2009年 江田五月のショートコメント 戻るホーム主張目次

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2009/12/31 《ゆるぎない情熱》

大晦日だ。1年間のご支援に深謝する。今年は、私たち親子2代で半世紀の悲願だった政権交代が実現した。市民が自らの手で政権を選び、新政権は事業仕分けなどで透明性の高い市民参加の政治過程を始動させた。裁判員制度の開始で、司法の市民参加も始まった。「新」に相応しい「参加元年」だった。参議院議長も3年目半ばで「ネジレ」が解消され、来年は、「真の合意形成」に向けて通常国会が正念場となる。夏の参院選を政権交代定着の「画龍点睛」とするため、「ゆるぎない情熱」で臨む決意だ。一層のご支援をお願いする。


2009/12/28 《投票価値の平等》

今夏の衆院選定数訴訟で、本日大阪高裁は、「一票の格差」が最大2.30倍だった現行の選挙区割りを違憲と判断した。選挙無効請求は事情判決の法理で棄却したが、格差2倍は大多数の国民の視点からは耐え難い不平等であり、あらかじめ1ずつ割り振る「1人別枠方式」についても、過渡期はともかく現時点では憲法の趣旨に反するとした。先日他界された越山康弁護士の問題提起が、ここまで結実してきた。本年9月には、参院選定数訴訟の最高裁大法廷判決もあった。国会として重く受け止め、早期に検討を進める必要がある。


2009/12/24 《鳩山内閣100日》

鳩山内閣は本日で、発足100日を迎えた。10年度予算で再調整が残っていた診療報酬と地方交付税が決着し、明日には政府予算案が閣議決定の見通しだ。支持率は低下傾向にあるが、この100日間で、事業仕分けや対米密約の検証などに見られるように、情報公開はずいぶん進んでいる。政権交代なしにはありえなかったことだ。税収の著しい落ち込みの中、国民の生活を支えるのが政治の最大の使命だ。私も年末は地元で、今日も県北でミニ集会5ヶ所で切実な声を聞かせて貰った。有権者の意見が何より大切だ。


2009/12/21 《COP15の課題》

注目されたCOP15は、決裂寸前に米、中、印を含む主要国が「コペンハーゲン合意」をまとめ、全締約国がこれに「留意」することとなった。しかし、温室効果ガスの排出削減をはじめ重大な懸案を来年に持ち越し、ポスト京都の枠組みのあり方も示されず、この問題の難しさを改めて浮き彫りにした。地球温暖化の放置は、人類の未来の否定に直結する。温暖化対策の基本原則は、「共通だが差異ある責任」と言われる。鳩山首相は「25%削減」を高く掲げ、地球規模で人類益のために力強いリーダーシップを発揮するはずだ。


2009/12/17 《涙ぐましい「自助努力」》

本日発表の7〜9月期の資金循環統計によると、9月末の家計の金融資産残高は、前年同月末比0.7%減の1439兆4837億円となった。減少は8四半期連続だが、減少幅は6月末の2.9%と比べて大幅に縮少している。内訳を見ると、株式等は減少し、現金・預金は1.5%増の790兆6476億円で、特にその内の定期性預金は2.9%増の463兆405億円だった。保有する資産価値の減少による将来不安に備えるため、節約志向で消費抑制している。家計を直接暖める予算措置を急がなければならない。


2009/12/14 《国会見学大人気》

最近、国会見学の人気が高まっている。国会周辺を観光バスが2重に取り巻き、渋滞が発生するほどだ。数字の上でも見学者は激増しており、参議院では昨年比で11月は21%、12月も今のところ28%の伸びを示している。国民の政治との距離が縮まって来たからで、政権交代効果だと言っても我田引水ではなかろう。子ども向け広報企画の「特別体験プログラム」参加者も先日、40万人を突破した。市民が国会に接近してきているこの好機を逸することなく、分かりやすく内容の充実した通常国会にしたい。


2009/12/10 《「人権デー」に思う》

1948年の今日、第3回国連総会で「世界人権宣言」が採択された。そこで1950年の国連総会で、この日を「世界人権デー」とした。潘基文・国連事務総長は、世界中に見られる差別の現状に言及しながら、「これら差別の犠牲者は孤立しているわけではありません。国連はその味方となり、すべての人々、特にもっとも弱い立場にある人々の人権擁護に全力で取り組んでいます。それが私たちのアイデンティティであり、使命でもあるのです。」というメッセージを発した。同じことが国にも当てはまる。新政権の大きな課題だ。


2009/12/07 《子どもは必要》

内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果、「結婚しても子どもは必要はない」と考える人は42.8%で、92年の調査開始以来最高となった。女性や若い世代ほど高い。価値観や生き方の多様化もあるが、原因を細かく分析すると、雇用不安や経済の先行き不透明さが透けて見えてくる。これでは、社会保障の前提が崩れるだけでなく、未来の希望がなくなる。子育ての負担感を少なくし、手応えある喜びに変えるため、景気や雇用の対策を含め、全政策を総動員しなければならない。「チルドレン・ファースト」を旗印にした「子ども家庭省」を考えたい。


2009/12/03 《流行語大賞》

今年の年間大賞に、「政権交代」が選ばれた。夏の総選挙により、有権者の選択の結果として、政権交代が実現した。事実上、戦後政治で初めてのことであり、このインパクトは強烈だ。トップテンには、「事業仕分け」、「脱官僚」、「派遣切り」など、例年より多くの政治用語が並んでいる。家庭の中で、妻が夫の小遣いの「事業仕分け」を虎視眈々と狙っているとか、その逆とか、いろいろに使われている。国民の政治への興味と関心が、かつてないほど高まっており、これに政治は応えなければならない。


2009/11/30 《国会最終盤へ》

第173回臨時国会は本日、会期の最終日を迎えた。午前の本会議では、同意人事に加え、肝炎法案、新型インフル法案、金融円滑化法案等17本もの法案を可決した。「終わりは脱兎の如く」だが、与野党対立を最後まで引きずり、自民欠席、公明出席で150数人の出席だった。参議院が重視している平成20年度決算の審議は、午後の本会議で、各会派が揃って行われたが、会期延長は衆議院だけの議決となり、与野党の対立は大きい。政府の行った「事業仕分け」のように、国会の動きも透明で国民に分かりやすいものにしたい。


2009/11/26 《ODA調査の進展》

参議院では、改革協議会での議論をベースにして、決算審議を重視するとの立場からODA調査特別委員会を設置し、突っ込んだ審議をし委員の海外派遣も行ってきた。私も、昨日はクラーク国連開発計画(UNDP)総裁、去る20日にはグテーレス国連難民高等弁務官(UNHCR)の表敬訪問を受けた。ともに、特別委員会との懇談のため来日されたもので、両機関の活動へのわが国の貢献に対し、感謝と期待が表明された。新政権が進めようとする援助や国際貢献などの外交施策に対し、参議院としても引き続き注視していく。


2009/11/23 《EU初代大統領》

EUの初代大統領に、ベルギーのファン・ロンパイ首相が選ばれた。任期2年半の首脳会議常任議長だ。1951年のパリ条約による石炭鉄鋼共同体で示したベネルクス3国の、高い調整能力と巧みなリーダーシップに期待が集まる。任期5年の外相は、英国の女性、キャサリン・アシュトンEU委員だ。「結束は私たちの力、多様性は豊かさだ」というロンパイ氏と協働できる国際政治のアクターの地位を、日本も確立したいものだ。


2009/11/19 《田さんを悼む》

田英夫さんに衷心より哀悼の意を表する。1977年夏の参院選全国区で、田さんと私は1、2位で当選し、直後に週刊誌で対談したのが初対面だ。鋭い社会党批判で意気投合し、翌78年春、ともに社会民主連合を結党し、代表として長くご指導をいただいた。常に、特攻隊の生き残りが行動の原点で、警鐘を鳴らし続けられた。ともに目指してきた政権交代が実現したが、ご意見を聞くのは叶わぬこととなった。一昨年の常会最終盤の本会議で、田さんの議席に出向いてご挨拶をしたが、今は大先達の大往生に敬意を表するばかりだ。


2009/11/16 《連合産別まわり》

久々に平日の地元日程が取れたので、先日政策協定を結んだ「連合岡山」傘下の産別を挨拶してまわった。7時前に自宅を出て、8時から16時まで20数ヶ所をまわる強行軍だったが、久し振りに生の声が聞けた。雇用情勢は地元岡山でも本当に厳しい。9月時点での新規求人数を産業別に見ると、情報通信、金融保険など増加に転じたところもあるが、建設業、製造業、運輸業などが大幅に減少し、全体では対前年同月比で27.8%減で、23ヶ月連続で減少した。緊急雇用対策は待ったなしだ。


2009/11/12 《天皇陛下即位20年》

本日、「天皇陛下御即位二十年記念式典」に出席し、鳩山首相の式辞に続いて横路衆議院議長、私、竹崎最高裁長官と祝辞を述べた。それぞれに、被災地を回られた際の苦難に寄り添われるお姿やお言葉などに触れ、「つばさを下さい」や皇后陛下作曲の「星の王子の…」などの歌もあり、和やかで心の通う式典となった。天皇陛下のおことばは、歴史の回顧と未来への思いを率直に語られ、溢れる心情に感動が会場を包み込んだ。素晴らしい式典だった。明日の「宮中茶会」には、夫婦で参加する。


2009/11/09 《冷戦終結20年》

ベルリンの壁崩壊から、本日でちょうど20年が経過した。市民が壁に向けてハンマーを打ち下ろす感動的なシーンから東西冷戦の終わりが始まり、今やアメリカはオバマ大統領の国際協調主義に転換し、ヨーロッパも欧州連合(EU)が拡大を続け、近く新条約に基づき「欧州大統領」も誕生する。わが国も政権交代が実現し、先日の日メコン首脳会議など、鳩山イニシアティブのもとで東アジア共同体構想が進みつつある。21世紀は、経済のグローバル化はもとより、貧富の差を縮め環境保全を図るために、世界中で国境の壁を一層低くする時代だ。


2009/11/05 《中高生の就職危機》

来春卒業予定の中高生に、就職先がない。9月末の高校生就職内定率は37.6%で、前年同期を13.4ポイント下回り、求人倍率も前年1.52に対し0.89。中学生の求人倍率は前年0.55に対し0.28。下落幅は過去最大で、就職氷河期の再来が近い。最も高い三重県でも57.7%に過ぎず、最も低い沖縄県に至っては、なんと8・0%という悲惨さだ。若者に働く場所がなければ、社会に未来がなくなり国の衰退は免れない。政府の緊急雇用対策本部の踏ん張りを大いに期待し、国民みんなで若者を応援しよう。


2009/11/02 《研修バスツアー》

昨日、久し振りにバスツアーを行った。8年前の京都の湯豆腐7年前の高知のカツオづくし以来の企画で、今回は研修を重視し, 世界最先端技術の大型放射光施設SPring-8を視察した。15年前、私が科技庁長官時代に工事が始まったプロジェクトだ。180人を超える皆さんが, 岡山県下各地からバス7台で参加してくれた。車中で、来夏の参院選に向けたキャッチフレーズを公募した。新しい政治の定着が、参加者の最大の関心事だ。


2009/10/29 《参議院代表質問》

鳩山首相の初の所信表明に対する各党代表質問が、昨日の衆議院に続き、今朝から参議院でも始まった。与野党が入れ替わった本格的政権交代により、ひな壇には、これまで野党だった議員ばかりが並んでいる。参議院では昨年初から、議長から見て左の第1党席を、民主党が占めているが、衆議院も変わり、議場の風景が一変した。私の左からは拍手が、右から野次が飛び交い、閣僚答弁は、原稿の棒読みでなく、自分の言葉で話す場面が激増し、論戦も活気に溢れた雰囲気に一変した。


2009/10/26 《臨時国会開会》

本日、第173回国会が召集された。11月30日まで36日間の臨時会で、自民・公明の召集要求もあり、政権交代後初めての実質論戦となる。昨日の静岡と神奈川の参院補選の結果、参議院で民主会派は採決での過半数にあと1議席と迫った。鳩山首相は初の所信表明演説で、従来の例を大きく超えて50分ほどにわたり、鳩山哲学を存分に披瀝した。明後日からの各党代表質問と予算委員会で、野党の繰り出す建設的な論戦に正面から向き合い、実質的で充実した議論で応えることが大切だ。政権交代に対する国民の期待をしぼませてはならない。


2009/10/22 《足利事件・再審》

無罪判決がでる前に当事者が釈放されるという異例の展開の中、足利事件の再審の公判が始まった。本来なら裁判所は、有罪立証がなければ直ちに無罪判決を言い渡すべきだが、これを越えて、弁護側請求の証人尋問の一部を認め、取り調べテープの提出を検察側に命令し、誤判の原因解明に向けて一歩踏み込んだ。裁判員制度の導入で国民の司法への関心が高まる中、刑事司法の根幹に関わる冤罪の構造解明を全て再審公判に委ねるのでなく、取り調べの「可視化」導入の是非を見極めて、冤罪の根絶に取り組むべきだ。


2009/10/19 《海外出張を終えて》

11日間の海外出張を終えて、先ほど無事に帰国した。最初と最後は週末で、38年ぶりのオックスフォードとの出会いがあった。まずヘルシンキで留学時代の旧友と夫妻で再会し、一昨日はニッサン・インスティチュートで日本政治につき講演した。政権交代ある民主主義の先達である英国では、次の総選挙で政権交代が予測されている。日本の最新事情を説明し、政権党が権力を手放すことの重要性を、英国人に語ってみた。


2009/10/15 《今後への期待)

今回の海外派遣の主要目的であるロシア要人との会談は無事終了した。私たち一行の訪ロは、新政権発足直後で最初のハイレベルなものと歓迎され、暫く途絶えていた日ロの議会間交流が前に進み出したことは確かだ。様々な分野の協力や交流を通じて、両国間に良好で暖かい関係を醸成していくことが、領土問題の解決には必要だ。日ロ関係の一層の発展を願いつつ、ラトビアでの活動に移った。次は英国に向かう。


2009/10/12 《いよいよロシアヘ》

直前の台風の影響もなく、順調に海外派遣に出発した。院の野党代表者より臨時国会召集要求書が出されるなど、依然厳しい国会情勢ではあるが、諸外国との友好関係促進のため、議会間交流の重要性は理解いただいた。サンクトペテルブルクでは、参議院補選の海外投票で、3人の有権者のうち既に1人が投票したとのこと。パトカー先導の移動は違和感があるが、ロシア要人との会談も始まり、いよいよ正念場だ。


2009/10/08 《第2回海外派遣》

明日から19日まで、ロシアのミロノフ連邦院議長の招待により同国を公式訪問し、さらにラトビアとイギリスを訪問する。議長に就任して2回目の海外出張で、いずれも公式訪問だ。高嶋民主党参議院新幹事長と尾辻自民党議員会長にもご同行いただく。ロシアではミロノフ議長、ラトビアではザトレルス大統領とダウゼ国会議長、イギリスではヘイマン上院議長との会談などが予定され、私の留学先のオックスフォード大学でも講演を行う。英国では、留学中の1970年にも政権交代が起きた。先達の経験に学びたい。


2009/10/05 《立候補表明》

本日午後、岡山県政記者クラブで、来夏の参院選に岡山県選挙区から、私自身が立候補をすることを表明した。先週の土曜日に地元後援会「江田五月会」の拡大幹事会を開いてご協議いただき、その結論を得て決断した。選挙まで10か月を切っており、今月中旬には10日間余の外国訪問もあるので、この日程設定となった。鳩山連立政権樹立でスタートを切った「政権交代」構造を強固にし、確かな「市民政治」を具体化するため、来夏の参院選は極めて重要だ。キャッチコピーなど、皆さんにご提案いただきたい。


2009/10/01 《政治活動費について》

この一両日、私の資金管理団体「全国江田五月会」の政治資金収支報告書の記載のうち、政治活動費中の03年から08年までの6年間に合計260万円余の支出が、いわゆる「キャバクラ」や「韓国クラブ」など宛のものと報道されました。この件につき、当団体の役員会で協議の上、次のとおり措置いたします。 これらはいずれも、法律に則って正確に事実を記載したものであり、違法の点はありません。また、当団体は政党交付金を受けておらず、この点でも不当性はありません。 しかし、これらの支出はいずれも遊興に当てられ、資金管理団体の政治活動としては不適切と判断しました。そこで、私自身が関与しなくても私の活動の一環ではあるので、今年と来年の2回にわたり、150万円を、私が当団体に寄付します。今年分については、本日これを行いました。さらに、支出を実際に行った担当者については、今後このような支出を行わないよう、厳重に注意しました。


2009/09/28 《自民党新総裁》

野党になった自民党は本日、谷垣禎一さんを第24代総裁に選出した。総裁選で6割を得票し、いずれも40歳代の河野太郎さんと西村康稔さんを大差で下した。自民党は、国会議員も地方組織も、世代交代と派閥解消よりも、挙党態勢の安定感を優先したように見える。有力議員が相次いで出馬を見送り、国民の関心も高いとはいえず緊迫感を欠いた印象は否めない。谷垣さんらしい新しい国会対応と合意形成を期待したい。


2009/09/24 《政治の雰囲気》

鳩山政権誕生から一週間が経過した。各地の会合で、政治の雰囲気が変わったと口々に言われる。各大臣の表情も発言内容も一変し、自分の言葉で語り、真剣に懸案に取り組む姿勢が見て取れ、政治が身近になった。鳩山首相は国連総会で「温室効果ガス25%削減」を表明し、日本のプレゼンスを高めた。「かつての『討ちてし止まん』じゃないけれど、国民総動員で取り組もう」と同世代の友人が言った。各国首脳との会談も順調のようだ。オバマ大統領も、アメリカ単独型から大転換し、国際協調重視の姿勢をアピールした。新しい世界史が始まる。


2009/09/21 《シルバーウィーク》

本日は敬老の日。祝休日制度の変更により、今年は5連休でGWと並ぶSWとなった。総務省によると、65歳以上の「高齢者」は総人口の22.7%で、過去最高となった。女性は25.4%で、実に4人に1人となる。「高齢者」には私も妻も含まれ、若干の違和感を禁じ得ない。各地の敬老会をまわっているが、やはり多くの人が、新政権による高齢者施策の変更に期待している。議長の立場に変更はないが、政権との距離感は今までと多少異なる。政権と連携する立場で、国民の声をしっかり受け止めたい。


2009/09/17 《21世紀の日本へ》

遂に昨日、私たち父子が半世紀に渡り追求した「政権交代」が実現した。国民が選挙という手段で政権を選択したのであり、明治維新、戦後改革に勝る革命的な変革だ。ここから、真の「21世紀の日本」がスタートする。国会でも新体制ができあがった。衆議院の横路議長は私の司法修習同期、衛藤副議長は初当選同期、山東参議院副議長も私も科技庁長官経験者で、いずれも同年代だ。与野党と出自は違うが、互いに協力し合い、透明性が高く国民に分かりやすい議会運営で、質の高い合意形成を心掛けたい。


2009/09/14 《岡山市長選》

4月に全国18番目の政令市となった岡山市で、移行後初の市長選挙が行われ、保守系無所属の現職市長が二期目の当選をした。告示日が歴史的な総選挙の投票日と重なる異例の日程となり、各政党がいずれも総選挙を最優先したため、共産以外の政党は自主投票となり、投票率は44%で盛り上がりに欠けた。6候補乱立も市民を戸惑わせた。市長や市当局も市民も、政令市の権限や責任に相応しい「まちづくり」に取り組んでほしい。国政多数派となった民主党の責任も大きい。


2009/0910 《絶妙のバランス》

民社国3党は、昨日の党首合意により、連立政権を組むことが決定した。合意は詳細かつ具体的で、福島党首と亀井代表の入閣も内定した。93年の細川連立政権は、国民の政権選択とは言えず、連立合意も曖昧だったが、今回は様変わりだ。民主党会派は、参議院では118で過半数に足りないが、「連立与党」は衆議院で318、参議院で123となり、「ねじれ」は解消されたことになる。衆議院の3分の2再議決に僅かに届かない絶妙のバランスが、国民の選択結果だ。与野党とも、ここから妙味を引き出して、合意形成を図ろう。


2009/09/07 《イチローの快挙》

「一郎です。イチローほど人気はありませんが。」と、かつて小沢一郎さんが語りかけると、聴衆が大いに沸いた。一郎さんの方は、総選挙で快挙を成し遂げ、マリナーズのイチロー外野手は、日本選手初の大リーグ通算2千安打という快挙を達成した。史上259人目だが、1402試合目での2千安打は、近代野球とされる1900年以降では第2位。あと5本で、大リーグ史上初の9年連続200安打。3月のWBCでは不調を極め、決勝での決勝打の後に胃潰瘍が判明して開幕から8試合を欠場し、復帰直後に日本プロ野球最多記録の3085安打を日米通算安打数で上回った。繊細な神経と細かな計算があって初めて、快挙達成は本物となる。


2009/09/03 《河原太郎先生を悼む》

本日未明、岡山弁護士会の河原太郎先生が、享年97歳で永眠された。常に孤高を保ちながら、法曹界の重鎮としていぶし銀の存在感を示された。ご子息の昭文さんは私の中学以来の親友で、高校時代には一緒に学校と対立して懲戒処分寸前となった。その際、先生はPTA会長として、無鉄砲な生徒の側に立って笑顔で危機を救ってくれた。以来、先生は私の人生の師だ。地元後援会「江田五月会」の初代会長を引き受け、穏やかな語り口ながら、眼光鋭く、実直で的確なアドバイスで、私の政治活動を支えてくれた。6月には法曹70年表彰を受けられ、最後に劇的な総選挙結果を見ていただくことが出来た。議長公邸をご案内することは、もはや適わない。2代目会長の昭文さんとともに、常に先生のご指導を思い出しながら精進を重ねて行きたい。心より冥福を祈る。


2009/08/31 《政権交代と政権実現》

私にとって政権交代は、父子2代の半世紀以上にわたる悲願だった。交代自体の意義も大きいが、交代で何が実現できるかも、もちろん大切だ。今回の政権交代は、明治維新と戦後改革に匹敵する歴史的な意味を持つといわれるが、私はその程度では満足できない。国民が政権選択により、あらゆる場面で政権運営に関わり「参加民主主義」を実体化させよう。「自分たちの政権を実現する」という政権実現の第一歩となるには、政権担当する民主党が、国民共有の政治参加の仕組みとなることが求められる。


2009/08/27 《地域の再生》

恒例の首長まわりで、岡山県北の新庄村を訪ねると、笹野村長がほとばしるように訴えた。「人口1000人の過疎の村が、『日本で最も美しい村』連合の一つに選ばれ、今秋は『日本再発見塾』を開きます。しかし、郵便局は寂れJA窓口は撤退し、行政は大変です。旭川の源流で県下のブナ林の6割があり水の美味しいふるさとに対し、合併の強制だけはしないで下さい。強制では、地域が壊れます。」田舎の稠密な人間関係に疲れ果てる人もいるが、森林セラピーの魅力も大きい。地域の絆の再生が課題だ。


2009/08/24 《高校野球》

高校生の球宴は、決勝戦9回裏まで手に汗握る大熱戦で、中京大中京の1点差の勝利に終わった。途中経過では断然優勢だった同校も、何が起きても不思議でない戦いに、最後まで気を緩めなかった。選挙も同じで、まだまだ何が起きるか分からない。いよいよ後半戦だが、ここで緩んだ方が負けとなる。報道は政権交代を予測するが、結果を決めるのは有権者だ。期日前投票の出足は極めて好調で、高投票率が予想される。わが家には、フランスの古諺「最後に笑ふ者がよく笑ふ」という山川均さんの色紙がある。球児たちの闘いを見習いたい。


2009/08/20 《本格流行》

舛添厚労相は「新型インフルエンザの本格的な流行が始まった」と発表した。すでに3人が死亡し、2学期開始後の学校からの爆発的拡大が懸念される。基礎疾患がなくても、妊婦、高齢者、乳幼児らも重症化のリスクが高いという。選挙事務所は人の出入りが多く、徹底した管理は難しい。手洗いやうがいの励行のほか、症状がある時のマスク着用など、各個人の「責任力」も重要だ。インフルも選挙も油断禁物で、後悔先に立たずだ。


2009/08/17 《総選挙公示》

第45回衆院選が明日、「公示」される。地方選などの「告示」と異なり、憲法第7条4号の天皇の国事行為である。解散から投票日まで40日で、1週間の予告まであり、超長期の政治空白だった。8月選挙は現行憲法下で初めてだ。2大政党の草分けの英国をモデルに民主党が始めた「マニフェスト選挙」も、かなり各党に定着してきた。「政権交代」が最大の争点で、自民王国だった地元岡山でも、若い力の民主党の台頭が注目される。昨日の中学同期会では、私は議長の立場を踏まえ具体的支援要請を遠慮したが、逆に皆から激励された。有権者の賢明な選択が楽しみだ。


2009/08/13 《自宅軟禁》

ビルマを最近はミャンマーと呼ぶが、米国は軍事政権による国名変更を認めていない。1990年の総選挙で圧勝し、民主政権を率いるはずだったアウン・サン・スー・チーさんが、今年5月に自宅を訪ねたアメリカ人と許可なく接触したとして、特別法廷で禁固3年に処された。その後、軍事政権側が1年半の自宅軟禁に減刑したが、それでも来年の総選挙に彼女の参加は困難になった。20年近く軍部は政権に居座り、この間、議会は召集されないままだ。通算14年近くに及ぶ拘束・軟禁状態がさらに続くという極端な人権抑圧を、国際社会は是認してはならない。


2009/08/10 《法律家の新分野》

司法制度改革の一環である法曹人口拡大で、弁護士が過剰になると心配する意見がある。これまでの活動分野を固定化して考えるのでなく、官庁や企業の協力を得て職域拡大に取り組み、司法過疎地にも積極的に出て行くなど、新分野を開拓し「法の支配」を行き渡らせることが大切だ。政治の分野も例外ではない。本日、岡山3区での立候補を表明した西村啓聡(けいと)さんは法科大学院卒の33歳の若者で、新しい法曹養成制度の最初の成果だ。活動地域も農村部が中心。新しい法曹像に期待する。


2009/08/06 《国連総会議長と核廃絶》

今朝、被爆64年目の広島の平和祈念式典に出席した。衆議院が解散されているので、毎年参加していた衆議院の正副議長はおらず、私が立法府の代表として麻生首相に続いて献花をした。オバマ演説をきっかけに、世界中で核廃絶への新たな機運が生まれ、国会でも両院で全会一致の本会議決議をした。秋葉市長の「平和宣言」は、工程表まで具体的に提案する画期的なものだし、国連のデスコト総会議長の挨拶は、カトリック教会の神父として、原爆投下した機長が教会の信者であったことを指摘し、率直に許しを請うた。今秋の国際舞台が重要性を増している。


2009/08/03 《裁判員裁判の初公判》

裁判員裁判の最初の公判が、東京地裁で始まった。刑事裁判への市民参加制度で、司法の大改革が期待される。午前中は裁判員選任手続きで、呼び出しを受けた49人中47人が応じたのは、好成績ではないか。選別を経て抽選で裁判員6人と補充裁判員3人が選任された。裁判員中5人が女性というのは偶然だろうが、個人情報を除く詳細な経過を知りたい。午後開廷し、証拠調べや証人尋問には、立証者側の工夫が見られた。これから各地の地裁で始まるが、立派に定着させるためにも、可能な限り関係情報を公開することが期待される。


2009/07/30 《18歳成年》

憲法改正は将来世代にとっても重要であるから、改憲手続きを定めた国民投票法は、投票年齢を18歳以上とした。他の分野にも「必要な措置を講じる」ため、最も影響の大きい民法の適用につき法制審議会に諮問し、民法成年年齢部会は、選挙権年齢を18歳に引き下げることを前提に、民法の成年年齢の18歳への引き下げが適当とする最終報告をまとめた。賛否両面にバランスある検討の結果で、時期は国会の判断に委ねられた。戸惑う向きもあるが、若者の政治参加の意欲が高まり、経済活動でも「一人前」と扱われることで、責任ある自立した若者の社会参加が実現することを期待する。


2009/07/27 《熱中症にご注意》

暑さで体内の水分と塩分のバランスが崩れると、汗が出ず体温が急上昇し、痙攣、目まい、吐き気などを催す。酷くなると、脳内の体温調節機能が狂い熱射病になる。これらを総じて熱中症という。私は昔の水泳のせいで足がつりやすく、これも筋肉の痙攣だが、辛目の食塩水を飲めばすぐ治る。熱中症の発症は「暑さの初日」が多く、暑さに対する現代人の順応性の低下が原因だとか。これから長い真夏の選挙戦だ。「働く事しか才能がない」高齢者は、とりわけご用心を。


2009/07/23 《議員派遣》

山口で豪雨災害が発生し、多くの人命が失われた。国会は通常なら、衆参で災害関係の委員会が「委員派遣」などで迅速に対応するが、衆議院の解散に伴い、衆議院機能は存在せず、参議院しか対応できない。しかし、突然の閉会により会期末手続きを取っていないため、委員会に閉会中調査権限がなく、肝心の災害対策特別委員会は消滅している。そこで、国会法や先例録に基づき、議院運営委員会理事会に諮ったうえで議長として「議員派遣」を実現するための調整を始めた。国権の最高機関としての使命を果たすため、全力を尽くす。


2009/07/20 《ついに到来》

麻生首相は明日、やっと解散に踏み切る。閣議の開催は通常9時だが、明日は、署名拒否閣僚が出るのに備えて、8時開催とのこと。これも異例だ。13時の衆議院本会議で解散詔書が朗読され、直後の臨時閣議で「8月18日公示、30日投開票」の総選挙日程が決まる。河野衆院議長や、ハンセン病関係議懇の藤井裕久、津島雄二両会長の勇退は、寂しいかぎりだ。9月には、実に4年ぶりに、国民の声を反映した政権が生まれる。解散により、国権の最高機関で唯一の立法機関である国会は、参議院しか存在せず、これを代表する議長も参議院だけとなる。内閣は、必要に応じて、参議院に緊急集会を求めることができる。選挙運動こそできないが、参議院議長として気を抜く暇はない。


2009/07/16 《異常のオンパレード》

麻生首相の異例の解散予告により、自民党は大混乱となった。解散から投票日まで40日も異例、8月中の投票日も戦後初だ。選挙日程が宣言されゴングが鳴ってから、古賀選対委員長は辞意表明し、所属議員の三分の一以上から両院議員総会開催を求められ、まさに異常事態だ。現職の主要閣僚2人が開催要求署名をしたのには、驚いた。「閣内不一致」どころではない。国民のことは、視野のどこにもない。参議院では麻生首相問責決議案が可決され、国会は事実上閉幕。有権者は、意思表示の機会を一日千秋の思いで待っている。


2009/07/14 《大詰めの攻防》

注目の東京都議選が終わった。公明は底力を見せて、23人全員当選。ところが自公を合わせると、結局は過半数割れ。民主は1名区でも圧勝し、現有から20議席増で第一党となった。政党別得票数では、民対自は230万(40%)対145万(25%)。同日行われた奈良市長選挙でも、民主系若手候補が自民の前衆院議員に完勝。本日の参議院本会議で、臓器移植3案のうち衆議院提出の法案がそのまま成立し、夕方には内閣不信任案と問責決議案が提出された。解散日程を語り始めた麻生首相に、野党と与党内との挟撃に対処する知恵はあるのか。


2009/07/09 《総選挙日程》

衆議院選挙は「総選挙」と称し、選挙期日は公選法31条により定まる。解散と任期満了とで異なり、日曜日を投票日とすると、任期満了の場合だと8月11日公示・23日投開票しかなく、お盆と重なる。解散だと、今国会の最終日に解散すれば、8月30日または9月6日が投票日となる。任期満了選挙の公示後に解散すれば、さらに先延ばしできるが、党利党略と言われる。参議院で審議中の臓器移植関連法案が、最大の山場を迎えている。麻生首相は、サミットと都議選の結果をふまえ、「どす黒いまでの孤独」の中、重大な決意を迫られている。


2009/07/06 《接戦選挙》

世界の原子力秩序を担いノーベル平和賞を受賞した国際原子力機関(IAEA)は、特別理事会で天野之弥さんを事務局長に任命した。アジア出身では初で、12月に就任する。選出選挙は終始トップだったが、決定は難渋し6回も投票が行われた。唯一の被爆国の出身者として、期待は大きい。国内では、昨日の静岡県知事選で、民主党推薦の川勝さんが0.8ポイント差で競り勝った。都議選が注目される。内外ともに僅差の選択の時代を迎えており、天候も政治も、梅雨明けが待たれる。


2009/07/02 《決算警告決議》

参議院は、決算とODAの審議を特に重視する旨を、全会派で確認している。昨日の本会議で、平成19年度決算につき、野党3党などの反対で97対131で是認しない旨を決し、内閣に対する警告決議を同数で可決した。2年連続の不承認だ。警告決議は、検査報告で法令違反を指摘された件数・金額がともに過去最悪となったことを指摘し、年金記録問題などにつき政府に善処を求めた。これまでは、決算を是認して全会一致で警告を決議するのが例であったが、今回は、決算を是認せずに多数決で警告決議をした。新機軸だ。


2009/06/29 《式泳》

各地で「海開き」が始まった。私の地元でも、風光明媚な瀬戸内の海岸の中でも代表格の渋川海水浴場で、開場式と各種イベントが行われた。神事での玉串奉奠に続いて、日本泳法の「神伝流」による儀式が行われ、私がみそぎの式泳の泳者を務めた。小学生時代から水泳道場に通い、現在は九段で日本水泳連盟の範士だが、主役を演ずるのは初めてだ。海に向かってお祓いをし、目などを清め、泳法の基本形となる草、行、真を泳いだ後、安全と加護を祈願した。何ごとも、神仏祈願に頼る前に、まず人事を尽くさなければならない。


2009/06/25 《伝統文化》

本日、雑誌「邦楽と舞踊」の中野儀徳さんの司会で、山東副議長と日本舞踊の葵七皆さんと座談会をした。葵さんは若手を育て国際交流にも取り組んでいる。議長公邸での欧州大使レセプションで、社中の皆さんとともに踊りを披露し、私が無理を言って、「東京音頭」で参加者を巻き込み好評を博した。今日は、私の書道や日本泳法の経験にも触れながら、日本の伝統文化にある内面の充実や「無」の追求にも話題が広がり、世阿弥の「時分の花」と「まことの花」などで話が弾んだ。国会論戦にも、内実を求めたい。


2009/06/22 《名誉回復と追悼》

ハンセン病補償法の施行日である6月22日を「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」とすることが決まり、本日、厚生労働省主催で追悼式が開催された。画期的な熊本国賠判決からすでに8年が経過し、療養所入所者の平均年齢も80歳を越えている。国の施策が作り出した差別と偏見の被害回復は、待ったなしだ。これを確実に実現することが、これからも起きるであろうあらゆる形の差別や偏見を、極力防ぐことに繋がる。4月からは「ハンセン病問題解決促進法」も施行された。地域懇談会も胎動している。

追悼式での挨拶


2009/06/18 《豪・英元捕虜と家族》

豪州のジョー・クームスさんらと面談した。1942年2月にシンガポールで日本軍の捕虜となり、神戸の造船所で、さらに1945年3月からは旧麻生鉱業の炭坑で、使役された。現在88歳で、2人のご子息や英国の旧捕虜のご子息と来日中だ。日本軍の捕虜の待遇は、強制無償労働など、苛烈を極めた。ところが政府は、炭坑での捕虜使役の事実を否定し続け、やっと昨年12月になって、厚生労働省が関係資料を公開した後に、麻生首相もこれを認めた。私は議長の立場で謝罪の言葉を述べたが、麻生首相に取って代わることは出来ない。


2009/06/15 《栄誉機関》

本日、天皇皇后両陛下の行幸啓を仰ぎ、「第65回日本藝術院授賞式」が行われ、麻生首相らとともに特別来賓として出席した。同院は、功績顕著な芸術家を顕彰する栄誉機関で、大正8(1919)年に創設。初代院長は森鴎外だ。現在は、文部科学省設置法に基づく文化庁の特別の機関。今回は9人が日本藝術院賞を受け、このうち、旧知のピアニストの中村紘子さん、書家の小山やす子さん、作家の井上ひさしさんが、昭和16(1941)年に創設された恩賜賞を受けた。学術も芸術も、長い歴史を持つ優遇制度は大切だ。ご受賞を心から喜びたい。


2009/06/11 《温室ガス削減》

麻生首相は、日本の温室効果ガス排出量の中期目標を、「2020年までに05年比で15%削減」と発表した。「極めて野心的」と言うが、90年比では8%減で、国際的な期待値からは遠い。オバマ政権の「緑のニューディール」は、温暖化対策と経済成長を両立可能と見る。日本でも、新たな分野での内需拡大や雇用創出、省エネ技術によるエネルギーコストの低減、エコ製品の市場拡大に伴う経済効果など、新しい経済連関が期待できる。環境問題は、核廃絶と並ぶ人類共通の重要課題であり、国際的駆け引きのテーマではない。


2009/06/08 《全盲ピアニストの快挙》

生まれつき全盲で20歳の辻井伸行さんが、米国のバン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した。4年に1回の開催で、世界的演奏家を多く輩出して来た。日本人としては初めてで、全盲で国際的コンクール制覇というのも異例だ。演奏後、「障がい者というより、一人のピアニストとして聴いてくれた」と喜びを語ったのが、心を打つ。係累に音楽関係者がいないのに、才能を発掘した両親らの慧眼に、頭が下がる。ひたむきで前向きな姿勢を支援した人たちみんなに、大きな「ブラービー」を送る。


2009/06/04 《足利事件・釈放へ》

女児殺害で無期懲役の受刑者につき、東京高検は東京高裁に対し新鑑定の証拠価値を評価する意見書を提出し、受刑者は執行停止で釈放され再審開始が確実になった。第1審での情状酌量との弁護方針に従い受刑者は「自白」をし、捜査段階のDNA型鑑定結果と「自白」とを証拠として、最高裁でも全員一致の判断で、有罪判決が確定していた。志布志事件や富山冤罪事件の例もあり、人間の判断に「絶対」はないことを改めて痛感する。死刑だったらと思うと、慄然とする。刑罰で被害回復を図るには、大きな限界がある。


2009/06/01 《会期延長へ》

本日の夕方、与党から、今国会の会期を55日間延長するよう申入れを受けた。補正関連法案の成立など景気対策に万全を期すためという。明日の常任委員長懇談会などで対応を決めるが、延長がこのとおり実現しても、通常国会の会期延長は1回のみなので、7月28日には国会は閉会する。補正関連法案の「60日ルール」による再可決はなくなったが、逆に同法案が早期成立した場合は、残余の会期をどうするのか。野党は、麻生首相の問責も視野に入れてきている。解散戦略と絡み、虚々実々の終盤展開となった。


2009/05/28 《原爆症訴訟》

広島・長崎の被爆者30人が、国による原爆症認定却下処分の取り消し等を求めた訴訟で、東京高裁は本日、29人を原爆症と認める控訴審判決を言い渡した。被爆者側は、69から89歳の16人と、死亡した14人の遺族だ。被爆から既に64年が経過することも考えれば、救済拡大と迅速化は待ったなしだ。司法は、この種の課題解決は不慣れなのに、ここまで踏み込んだ。全面解決のために、政治の器量こそが求められている。


2009/05/25 《大相撲と外国人力士》

大相撲夏場所は、幕内最軽量のモンゴル出身の日馬富士が、初優勝を飾った。千秋楽の本割で琴欧洲を、優勝決定選で白鵬を破った。皆、外国人力士だ。これで20場所連続、外国人力士の制覇となる。その先駆けとなる東関親方(高見山)が、今場所で相撲協会を定年退職する。初の外国人幕内優勝を果たし、親方としても曙を横綱に育てた功労者だ。3人の日本人大関は、揃って8勝どまりだった。相撲の国際化は歓迎だが、日本人力士の奮起も期待したい。


2009/05/21 《裁判員制度スタート》

本日スタートした裁判員制度は、戦後改革が一番不徹底だった司法の分野に、国民が主権者として直接に参加するものだ。制度導入に関わった一人として、関係者のご努力に感謝するばかりだ。制度設計の際には、様々な主張の違いをそぎ落として、改革実現の大義で合意を形成した。国民が主権の担い手として一定の責任と負担を負い、その経験が徐々に国民の中に広がることによって、民主主義の質的向上が図られると確信する。細部に残る手直しの余地を理由に、後ろ向きの論陣を張るのでは、いかなる改革も出来ない。


2009/05/18 《率先垂範》

新型インフルエンザは、遂に16日に国内感染が確認され、かなりの速度で近畿地方を中心に拡大している。兵庫県、大阪府ではほぼ全面休校となった。この事態を踏まえ、参議院の新型インフルエンザ対策本部は、感染拡大防止のため、第2段階の措置を取った。全ての参議院施設への入館の際に、手指の消毒とマスクの着用を徹底する。国会は常に国民に開かれており、いかなる障壁もあってはならない。同時に国民に対し、公衆衛生の範を示す必要もある。私も昼前に本館正面で、「先ず隗より始めよ」を実行した。


2009/05/14 《民主党代表選》

小沢代表の辞任表明を受けて、民主党代表選挙が5月16日に行われる。任期途中の交代で、国会開会中でもあり、党規約に則り両院議員総会での国会議員投票で、短期決戦、早期決着を図る。新代表に求められる資質は、政権交代で新しい政治を進めるメッセージを国民に届けられることだ。そのためには、党内選挙ではあっても、国民の方を向いた分かりやすさが欠かせない。岡山県連のように、党員・サポーターの意見を反映しようとの工夫も始まった。首相候補選びであることを意識し、国民の納得を重視したプロセスにしたい。


2009/05/11 《新しい局面へ》

政治の閉塞感は頂点に近いが、今週13日(水)に国会は山場を迎える。まず、グアム移転協定が参議院で不承認となり、両院協議会が開催予定だ。与党は合わせて、09年度補正予算の衆院通過を目指しているが、野党は激しく反発している。さらに、今国会初の党首討論もセットされていた。そこに、小沢代表辞任のニュースが飛び込んできて、政治情勢は一気に緊迫しシナリオのない局面に入ることになった。政治家の世襲、景気と財政規律などの政策面も、政権の担い手についても、総選挙で国民が答えを出すときが近づいている。


2009/05/07 《オバマジョリティー》

オバマ大統領4月5日のプラハ演説は、このところ低迷していた「核廃絶」への機運を活性化させた。麻生首相は、中国に対し核軍縮を求め、来年早々に核軍縮国際会議の日本開催を提案するなど、意欲満々だ。秋葉広島市長と田上長崎市長は揃って、核拡散防止条約(NPT)の会議に合わせてニューヨークを訪れ、国連本部での非政府組織会合でオバマ大統領の核廃絶構想を歓迎し、世界が共に行動するよう呼びかけた。核廃絶を世界の確かな多数派にするため、唯一の核兵器使用国と唯一の被爆国とが、今こそ連携するときだ。


2009/05/04 《憲法改正》

日本国憲法」施行から62年目を迎え、「国民投票法」により来年5月18日には憲法改正原案の発議が可能となる。しかし、両院に設置された「憲法審査会」は、まだ始動していない。一昨年の参院選の際に、自民党が「戦後レジームからの脱却」の旗印の下に、手続法を強行可決して改憲を公約に掲げ、野党がこれに反発した後遺症のため、与野党合意が暗礁に乗り上げているからだ。憲法改正自体には国民の支持があるが、具体的な内容の議論には至っていない。改憲発議には両院の総議員の3分の2の賛成を要し、国民投票も必要だ。政党が功名争いを止め、党派の垣根を乗り越え、政治家が英知を発揮することによって、初めてこれは可能となる。浮き足立つことなく、総選挙後の仕切り直しに、誠意を持って取り組むことが肝心だ。


2009/04/30 《「パンデミック」対応》

新型インフルエンザは、世界的大流行(パンデミック)の危機が迫っている。WHOは矢継ぎ早に、警戒水準を「フェーズ4」から「5」に引き上げ、再引き上げもありうるという。これまでに10か国以上で感染が確認され、世界中で感染者は200人に迫っている。今のところ弱毒性といわれており、日本では水際対策が厳格なので、過度の心配は無用だ。しかし、自己判断によらない冷静な対応が、社会防衛のためにも必要だ。


2009/04/27 《ハンセン病地域議員懇談会》

4月1日の「ハンセン病問題基本法」の施行を受け、岡山県選出の国会議員で作る超党派議員懇談会の準備会が開かれ、私も長く関わった立場で出席した。地元の邑久光明園と長島愛生園から入所者自治会の両会長も出席され、平均年齢が80歳を超え多くの障害を負っている皆さんの看護や介護の劣悪さにつき、切々たる訴えがあった。地域の実情にあった将来構想を考えるのが課題だが、現状があまりに切実で、なかなか未来の夢の話にならない。6月22日には、「名誉回復及び追悼の日」が来る。重い課題だ。


2009/04/23 《経済見通しと根治療法》

世界も日本も、経済の先行きは暗い。IMFは、今年の世界全体のGDPの実質成長率見通しを、1月の0.5%から、第2次世界大戦後初の-1.3%と下方修正した。日本は対象国中最悪の-6.2%だ。日本政府も、去年12月の0%から、過去最悪の-3.3%まで落ち込むとして、大幅下方修正の方針を固めた。貿易収支の悪化が最大の要因とみられる。27日には13.9兆円の補正予算案が提出され、国債発行額は40兆円を超える。対症療法で景気回復しても、財政破綻に苦しむことになる。経済も社会諸制度も、根治療法が必要だ。


2009/04/20 《自治体選挙2》

昨日の「ミニ統一地方選」第2弾でも、16県の19市長選のうち6市で現職が敗北した。青森市の鹿内博さんや宝塚市の中川智子さんなど、野党系市民派の善戦が目立った。年初以来の市議選は、自民苦戦、民主躍進の傾向が顕著だ。4月12日までの44市議選で、自民公認の当選者は前回の86人から79人に減り、民主公認は40人から54人に増えている。次の日曜日は、注目の名古屋市長選だ。総選挙を前にして、党首力の争いとは別に、保守地盤の揺らぎと民主の基礎体力強化が見えてきたのか。


2009/04/16 《緑化》

緑化運動を進める国土緑化推進機構は、衆議院議長が会長、参議院議長が最高顧問を務める。宛職だが、大切な仕事だ。毎年4月15日から1ヶ月間、都道府県緑化推進委員会とともに、「みどりの月間」として各種の催しを開催し、緑の羽による「緑の募金」を行う。昨年の募金総額は約25億円で、森林整備、緑化推進、国際緑化などに充てられた。「緑の募金でふせごう地球温暖化」に、多数ご参加を!


2009/04/13 《自治体選挙》

昨日、ミニ統一地方選の投開票が全国で行われた。岡山県では、市長選で現職と新人が争う場合は、2004年4月以降、現職が9連敗中だったが、西岡憲康備前市長(民主推薦)と石垣正夫新見市長(無所属)がそのジンクスをやぶり当選した。合併の困難を乗り越える新たな取り組みが評価されたといえる。衆院岡山3区、5区という農村部だが、町長選や市議選でも保守系の退潮が目につき、民主党系は、真庭市で公認市議が誕生するなど、推薦を含め議席を増やした。秋には都市部の選挙もあり、国政選挙もあって目が離せない。


2009/04/09 《参院選一票の格差》

参院選の選挙区定数配分の合憲性が、重大な局面を迎えた。07年参院選を違憲無効と主張する訴訟事件が、大法廷に回付され、7月8日に弁論が開かれることとなった。「一票の格差」は最大4.86倍だったが、これまで5.18倍に上った時期もあった。過去の大法廷判決では、一票等価は憲法上の要請だが、都道府県単位は憲法事項でなく、立法事項に過ぎないという多数意見が示されている。参議院は議長の私の下に改革協議会の専門委員会(選挙制度)を設置し議論している。格差の是正は待ったなしだ。


2009/04/06 《脅威・不安・決議》

北朝鮮は昨日、国際社会の強い要請を無視して、「飛翔体」発射を強行した。甚だ遺憾だ。わが国領域への物体の落下は免れたようだ。しかし、国民が不安を感じたこと自体が、脅威といえる。また、「誤探知」など情報の確認と伝達のあり方と過剰な報道ぶりには、今後の問題が残った。衆参両院で、先日の「自制要求決議」が無視されたことに対し、「非難決議」を模索中だ。この時期オバマ大統領が「核廃絶」の決意を表明したことは、誠に時宜に適っている。新たな対立を煽るのでなく、粘り強い外交努力で脅威を取り除きたい。


2009/04/02 《政令市岡山誕生》

昨日、岡山市が政令指定都市に移行した。私の地元で、全国18番目だ。国・県道の整備と管理、児童相談所の運営、小中学校の教員採用など、1572の事務が県から移管された。市域が4区に分けられ、新設された区役所で住民サービスが始まった。道州制をにらんで、中四国の拠点都市としての期待も高まるが、大きければ良いとは限らない。NPOなどの市民組織と行政とのきめ細かな「協働」で、新しい地域社会を構築したい。


2009/03/30 《後半国会へ》

09年度予算と関連4法が27日に成立し、関税定率法の改正案などの日切れ法案も明日の参議院本会議で成立する見通しだ。第171通常国会はいよいよ後半戦に入る。ポイントは、09年度補正予算と「消費者庁設置法案」、「海賊対処法案」や基礎年金の国の負担の割合を2分の1に引き上げるための関連法案、そして野党提出予定の雇用・景気対策独自法案などだ。解散時期も焦点になる。国民の政治不信を煽って現状追認を図る政治手法は邪道だ。堂々たる国民生活重視の審議を期待する。


2009/03/26 《日中議員会議と梅蘭芳》

本日、参議院と中国の全国人民代表大会のメンバーによる第3回「日中議員会議」が、参議院内で開催された。扇前議長のご努力で作られた公式メカニズムで、毎年1回、両国で交互に行う。今夜は、議長公邸でのレセプションもある。この機会に、映画「花の生涯―梅蘭芳」を鑑賞した。数年前に代表質問で取り上げたが、日中戦争の時代に京劇俳優の誇りを守り続け、戦後は日中友好の礎を築いた先人の功績に、改めて敬意を表する。この枠組みをさらに発展させることが、両国間の懸案解決に繋がると確信する。


2009/03/23 《花は咲いたが・・》

岡山と東京から21日、ソメイヨシノの開花のニュースが届いた。岡山では平年より10日早く、観測史上2番目のスピード開花。東京も7日早かった。議長公邸では、「日本さくらの会」経由で世界各地に苗木が届く手筈になった「陽光桜」が、すでに満開だ。庶民による不況対策か、各地で花見の趣向も凝らされているが、肝心の国会では、09年度予算と関連法案の参院審議の山場なのに、与野党ともに閉塞感が色濃く漂っている。桜の満開に合わせて春嵐が吹き荒れるのか、まさに嵐の前の静けさだ。


2009/03/19 《09春闘》

春闘は、賃金の引上げをはじめ労働時間短縮などの労働条件の改善を求める統一闘争で、今年の主要企業の一斉回答が昨日あった。複数の電機大手が、ベア一律ゼロ、ボーナス減額に加え、定期昇給の凍結に踏み切り、大変厳しい回答だ。その上、減産ラッシュなどで残業代もカットされ、マイホームローン返済や老後の人生設計にも影響がでそうだ。雇用や成果配分のあり方など、企業の社会的責任や労働の人間化を、根本から問い直す時期だ。


2009/03/16 《刑事裁判の新展開》

5月21日の裁判員制度の開始に先立って始まった被害者参加制度で、実務の事例が出てきた。裁判所と参加人の対立や被告人の萎縮が心配され、私も特に検察官の負担過重を心配していたが、これまでのところは着実に定着しつつあるようだ。被害者参加した30代の女性が被告人から脅迫的な暴言を吐かれ、出廷を断念した公判で、裁判所は本日「被告の規範意識の低さは深刻」と述べ、懲役2年2月の実刑を言い渡した。参加人側の求刑も行われている。「損害賠償命令制度」適用申請も認められ、その手続きも始まる。暴言については、証人威迫罪などで別に審理が始まる。まさにフルバージョンだ。さあ、いよいよ次は裁判員制度の番だ。


2009/03/12 《政治資金パーティー》

私の資金管理団体は「全国江田五月会」といい、本日、政治資金パーティーを開いた。一昨年の10月以来だ。収益は、地元事務所の運営費に充てる。簡素を旨とし、本日も、昼食時に合わせて、4種のカレービュッフェとし、酒類は出さなかった。著名人によるシンポジウムも行い、本日は茂木友三郎さんを煩わせ、350名ほどの参加者で「国連グローバルコンパクト」の議論をした。会費は1万円で、限度額は150万円だが、公表額の20万円を超えた者はいない。今後とも、有意義な企画で清潔な資金集めを心懸けたい。


2009/03/09 《政党のあり方が問われる》

「政治とカネ」の問題が再燃してきたが、今回は政党のあり方につき、別の切り口が問われている。政党は、個別の選挙区事情による議員と候補者の単なる寄せ集めではなく、組織的一体性を持った政策集団だ。民主党は個々の議員らが各々存在感を示すだけでなく、右往左往することなく一体となって、今回の試練を乗り越えてこそ、国民に信頼される政権政党の資格を得られる。国会議員は、自分のためではなく、国民のために働くという矜持を、今こそ示さなければならない。


2009/03/05 《年度末の攻防》

定額給付金等の財源を賄う補正予算関連法が、昨日の参院本会議での否決の後、衆院本会議の3分の2の再可決で成立した。本日から、09年度本予算の参議院審議が始まり、民主党小沢代表の公設秘書に対する検察捜査まで発生し、年度末政局の攻防が激化している。権力争奪戦の先行きは見通しがつかないが、国民生活の見地から見ると、緊急経済対策にしても雇用や社会保障などにしても、忍耐の限度を越えている。年度内成立が確定した予算審議も極めて重要だし、その後の政治運営の道筋も描き始めなければならない。


2009/03/02 《自治体独自の景気対策》

倉敷市水島にある大手自動車製造会社が世界的大不況で大幅減産し、隣接する総社市に集積する系列関連企業が大打撃を受けている。本日から、市による画期的な景気対策が始まった。同社の新車購入者に、先着200台に限り市が10万円を助成する。初日の午前中だけで、約80台の申請があった。これに応えて、部品工場の元従業員や社員ら延べ2000人が今月いっぱい、小学校や遊園地で遊具の塗り替えなどの奉仕作業を行う。片岡市長から先日、ここに定額給付金を使えないかと相談があった。地方には知恵がある。


2009/02/26 《日米首脳会談とオバマ演説》

世界同時不況の中、経済規模1位と2位のトップが会談した。経済問題での国際協調や地球環境対策などに方向付けがなされたことは有益だった。ブッシュの対イラク開戦からオバマの撤退路線への変更を、麻生首相はどう受け止めたのか。その直後に行われたオバマ大統領の初議会演説は、危機に直面して困難に立ち向かう米国民の覚悟を促すものなのに、国民の9割が肯定的に受け止めた。実質を伴った新しい日米関係構築を始めるには、選挙による国民の負託が必要だ。


2009/02/23 《新型インフルエンザへの備え》

鳥インフルエンザウイルスが変異し、人から人へ感染する新型インフルエンザが発生する可能性が危惧されている。人類のほとんどが免疫を持っていないため、パンデミックという大流行となって、大きな社会問題を引き起こす恐れがある。政府は発生に備えた行動計画を定めて準備を進めているが、自治体、企業、病院などは、まだまだ備えが整っていない。警視庁は近く対策室を立ち上げるため、その準備を開始した。個人の対応はもちろんだが、社会的免疫力を備えるため、政治の信頼確立が急務だ。


2009/02/19 《量刑と裁判員制度》

江東区の女性殺害、遺棄事件につき、死刑求刑に対して無期懲役が言い渡された。人は誰でも、心の中に悪魔的な要素を有し、具体的な犯行結果に直面してパニックになることもある。量刑は、社会の非難を反映すると同時に、犯人の内心に立ち入り人格改善の可能性も見極めなければならない。甲論乙駁あるところだが、裁判所は、圧倒的な非難の声に流されず、量刑の基本を踏まえた判断を下した。裁判員制度では、裁判官が技量を磨き、裁判員と十分な意思疎通を果たし、量刑の基本で合意することが求められる。


2009/02/16 《GDPの急落》 

内閣府が本日発表した08年10〜12月の実質GDP速報値は、年率換算で12.7%減と、3四半期連続で減少した。2桁のマイナスは、第1次石油危機時以来、戦後2度目であり、09年の見通しも暗い。直接の原因は、世界的な金融危機が実体経済に波及し、輸出の減少幅が過去最悪となり、設備投資も大幅にダウンしたことだという。応急的対処策は取られ始めたが、極端に膨張した国際金融市場やこれに振り回される各国実体経済といった構造的要因の改革は、まだ見えてこない。内外ともに、政治の英知と決断が求められる。


2009/02/12 《津山市と洋学》

津山市が市制80周年を迎え、昨日の記念式典に私も祝辞を述べた。「小京都」として知られる美作国の中心都市で、幕末から明治初期にかけて、西洋医学の草分けの宇田川玄随や対露交渉に活躍した箕作阮甫など、優れた洋学者を輩出した。古式泳法「神伝流」の指導を受けた石名善積宗師など、私も思い出は多い。水谷仁さんは洋学者の足跡を冊子にし、式典では薬師寺克行さんが講演した。「新洋学資料館」を建立し、伝統と文化、芸術を基に新たな街づくりを進めようとしている。危機の時代に、周辺部に新たな息吹がある。


2009/02/09 《日本・東ティモール議会交流》

昨年6月に参議院議長としての最初の外国訪問国として訪問した東ティモールから、本日、参議院の公式招待で、ラサマ・アラウジョ議長一行が来日し、参議院本会議場で全議員に紹介して大きな拍手を受けた。今期の国連非常任理事国となった日本は、国連内での東ティモール問題担当国となり、間もなく日本が中心となり、国連の安全保障会議での公開討論会も開かれる。1999年の住民投票から10年の記念事業として、カレ国連事務総長特別代表に、国立図書館建設を提案した。心の通った信頼関係構築に一層努力したい。


2009/02/05 《災害弱者》

今朝、岡山市内の私が子ども時代を過ごした地域で火災が発生し、3人が死亡、1人が重体となった。竹馬の友らにお見舞いの電話を掛けると、犠牲者のお一人は75歳の隣人で、消火活動中に煙に巻かれて亡くなり、他は84歳の母親と障がいを有する50代の子らで、心配していた矢先だという。中心市街地が高齢化して住居も有毒ガス発生など、災害への耐性がなくなっている。暮れの夜警回りで、この地域の消防団を激励したばかりだった。岡山県内では今年すでに建物火災6件で6人が死亡している。何はともあれ、火の用心!


2009/02/02 《自然の怒りか?》

浅間山が今朝2時前に噴火し、関東地方に火山灰が降った。朝の出勤時に、愛車の汚れにびっくりした人も多いという。まるで打ち合わせたかのように、遠く離れた鹿児島の桜島でも、小規模だが爆発的噴火が観測され、噴煙が上がっている。偶然だが、東京でも地元でも知人が、週末に相次いで、木を切っていて事故に遭った。「たまたま」と言って済まされない心の騒ぎを覚える。やりたい放題の政治が、天地自然の大きな流れをおかしくさせてはいないか。災害や災難を、警鐘と受け止めたい。


2009/01/29 《衝撃的な予測》

IMFは、今年の世界経済の成長率は0.5%と戦後最低となり、昨年11月の2.2%から急激に落ち込むと発表。ILOは、世界の雇用年次報告書で、今年の世界全体の失業者が最悪では2億3千万人に上ると指摘。国内でも、派遣・請負関係業界団体の試算では、製造業で働く派遣・業務請負労働者の失業が、今年3月末までに40万人に達するとの見通し。数字だけなら、空疎でバーチャルな響きに過ぎないが、数字の向こうには、現実の生身の人生と家族の生活が存在するのだ。明日から参院でも代表質問だ。血の通った心に響く言葉を聞きたい。


2009/01/26 《予算の修正議決》 

第2次補正予算につき、参議院は本日の本会議で、定額給付金部分を削除するとの議員提案の修正案のとおり修正議決した。予算提出権は内閣にあり、国会にはこれを侵犯するような修正権限はないとの扱いが、長い実務慣行で、衆議院での組み替え動議で処理するのが通例だった。参議院の今回の議決は、国会の予算修正権を前提とするもので、今後の予算審議のあり方に大きな影響を与える。給付金以外では両院の意思は一致している。両院協議会での実質的協議が注目される。


2009/01/22 《オバマ現象》

オバマ第44代米国大統領の就任式は、200万人もの観衆の中で行われた。奴隷制度の過去を持つ国で、黒人が頂点に立った。就任演説では、「新たな責任の時代」として米国市民の「責務」を強調し、外交でも対決から協調に転換した。米国民は、各自の奮起を訴える大統領演説に感動し、主権者としての責任の重さを受け止めている。その演説は、内容から姿や声に至るまで多くの人々を魅了し、この現象は世界中に広がる様相を示している。民主主義の政治過程でも、政治家が人を感動させ人の心に火を点すことは、可能だ。「Yes, we can!」


2009/01/19 《公邸から世界へ》

参議院議長公邸の花は、桜だ。昨冬からフユザクラが可憐な花をつけており、マメザクラもつぼみが膨らんできた。ひときわ大きく鮮やかな紅色で華やかなのが「陽光」だ。花の蜜が甘いのか、満開時には小鳥たちが喧しいほど群れる。青年学校の教師だった高岡正明さんが、戦後、戦地に送り出した若者を悼み平和を希求して、改良を重ねて作った。本日、その穂木を採取し、日本さくらの会を通じて、上海、ワシントンDC、ハンブルグや八代市に、平和を希求するメッセージとして寄贈した。


2009/01/15 《宮中行事》

旧蝋の天皇誕生日、元旦の新年祝賀の儀、昭和天皇20年式年祭、講書始に続いて、本日は歌会始に出席した。国会開会式への行幸、鴨猟招待の各御礼記帳もあり、宮中参内が続いた。歌会始は,マスコミにも生中継され、海外からも作品が寄せられ、国民参加の貴重な文化行事となっている。今年のお題は「生」。ブラジルからはエタノール工場から四方に伸びる甘藷畑の歌が寄せられ、福岡の中学生は原爆で焼かれた人影と自分の影を対比させた。青森の農家の古古米を案じる歌もあった。開かれた皇室を示す得難い企画だ。


2009/01/12 《成人の日に》

1988年生まれの新成人は133万人で、2年連続で過去最低を更新した。少子高齢化が進み、若者負担はますます重くなる。未曽有の経済危機の中で、新成人の69%が「今後の進路」に不安を持ち、就職不安を挙げる人が56%、結婚先延ばし傾向が強まると思う人が66%という調査結果もある。しかし、若さは可能性であり、社会にとって、若者こそが未来の希望なのだ。今年は、裁判員制度が始まり、総選挙も必ずある。傍観せず、未来からの使者として、思い切って瑞々しい発想で、どしどし意思表示をして欲しい。


2009/1/8 《全会一致の参議院決議》

昨日の参院本会議で全会派共同提案による「雇用と住居など国民生活の安定を確保する緊急決議」を、全会一致で採択した。与野党の思惑だけの「言葉遊び」との揶揄もあるが、ねじれ状態を乗り越えた完全合意の意義は大きい。採決の直前に、地元企業の1000人規模の派遣・期間従業員削減とその経営する総合病院の閉鎖のニュースが飛び込んできた。決議は、企業への努力も求めている。政府にも、厚労相の所信表明を言葉だけに終わらせず、趣旨に則った具体的な努力を求めたい。


2009/01/05 《第171通常国会開会》

本日から国会が始まった。異例の早さだ。会期は150日間と法定され、6月3日までだ。今年度第2次補正予算案、来年度予算案とそれらの関連法案が最大の懸案だが、野党は定額給付金を激しく批判し、予算の修正案や法案の対案を準備しており、また「派遣村」での発想で「雇用と住まいの決議案」提出も検討を始めた。ガチンコ勝負だ。麻生首相は記者会見で、色紙に「安心活力」と揮毫したが、いかにも線が弱い。私は出身高校書道部の書き初めで、しがらみを断って新たな天地に臨むとの決意を込めて、全紙に「断」と記した。


2009/01/01 《年のはじめに》

謹賀新年。雲ひとつない快晴で穏やかな元旦だ。今年も皇居での「新年祝賀の儀」が仕事はじめとなり、正殿松の間で、燕尾服姿で参議院議員を代表して祝詞を述べた。しかし年末には、ボランティアの炊き出しから「夜逃げ屋」まで登場し、国民生活は今日の空のようには行かない。今年は必ず総選挙が行われ、国の将来を国民自身が決めるチャンスが来る。躊躇することなく、有権者としての責任を果たそう。


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〜2001/06/14 政策秘書のショートコメント


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