2000/10/25

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参議院選挙制度「改正」について(活動日誌から抜粋)


参議院選挙制度改悪・与党案 (9/14)

参議院比例区選挙の改革案が与党でまとまりました。これは、久世さん更迭のきっかけとなった、金で名簿順位を買う自民党のやり方への批判をかわす、猫だましです。さらに、昔の全国区の残酷区といわれた欠陥をそのまま復活させ、人材登用という比例区の長所を没却させ、しかも大量得票者の得票は、個人の名簿順位の決定だけでなく、政党の得票としても数えるため、有名タレントを多数抱える政党に極めて有利になります。どこから見ても欠陥だらけで、改革とは名ばかり。制度改悪そのもので、成立させてはなりません。


民主党選挙制度改革検討会(9/19)

参議院の民主党で選挙制度改革検討会。非拘束名簿方式に対し、対案をどう準備するかなど、戦術面のことです。

これまで参議院では、議長の下に検討機関を置き、定数是正につき協議してきました。その場で民主党は、三重県と鹿児島県は人口と定数配分が逆転しているので、取りあえずこれは解消し、次に制度改革に取り組み、その中で本格的に定数の削減と是正を行うことを主張していました。そうでないと小手先だけで、抜本的是正は出来ないからです。そして、比例区制度を全廃し、代わりに個人名投票のブロック選挙区制度を導入するという、具体案も用意しました。

自民党も、定数問題を先に処理し、制度改革は次の課題とすることを合意していたのです。今回の動きは、この合意を反古にし、党利党略のためには何でもするという態度です。

私の個人的意見は、比例区を全廃し、その100議席の内50議席程度を分配することによって都道府県選挙区の定数是正をし、残りの50議席程度は定数削減とするというものですが、党で決定している案も良いと思います。ややこしい技術論で、わかりにくいと思いますが、国会論議は、特に制度論で各党の利害が絡む場合には、なかなか分かりやすい議論ができません。


選挙制度改悪与党案 (9/20)

与党案は、比例区の非拘束方式と共に、選挙区につき、鹿児島、熊本、岡山の定数をそれぞれ2ずつ減らすことにしています。鹿児島は逆転区解消という理由があるとしても、他の2つは単に定数削減という理由のみ。格差是正には全くつながりません。衆議院は、戦後定数が増えつづけたのを、定数削減で元に近くまで戻したのですが、参議院は、沖縄返還の時に2つ増やしただけなので、衆議院に合わせて減らす理由はありません。久世事件に対する国民の批判を交わし、リストラへの国民の漠然とした期待を奇貨として、比例区も選挙区も、自民党に有利なように党利党略で制度改悪をしようというだけのものです。来年の参院選は、自民不利が予想されており、奸計を用いて劣勢を覆そうとするもので、認めてはなりません。


予算委員会総括質問 (9/29)

森首相は、「非拘束方式」は参議院で取りまとめの結果出てきたように言われますが、違います。今年2月25日の協議会の結論は、「来年の選挙は、現行制度のまま」と言うもので、その後、久世問題のすり替えとして、与党が唐突に出してきたものです。そこで、久世さんの参考人招致を要求。


公職選挙特別委の強行開会 (10/2)

1時に公職選挙特別委の強行開会の動きということで、一気に緊張が高まりました。

いくら何でも、金曜日に前代未聞の議長職権で、しかも50音順で機械的に、委員を割り当てておいて、月曜日に強行開会という手はないでしょう。しかも選挙制度という、民主主義の土俵に関することですから、与党だけで決めるのは「暴挙」です。と言うわけで、「無茶をするな」と与党議員を説得しようと、委員会室に行きました。ところが力で押してきます。私も前面で説得に当たっていたら、テレビに顔が大写しにされたようです。

委員会は開会され、与党が多数の力で、委員長の互選と与党理事の指名まで進めました。私たちはこんな暴挙に加担するわけに行きません。見届けて委員会室を出ると、テレビカメラに取り囲まれ、「10月22日の補欠選挙(参議院滋賀県と衆議院東京21区)の争点にされるのが怖いから、こんなに焦っているのではないかな」と、感想を述べました。

5時から両院議員総会。民主党は、衆参一丸となり、他の野党としっかり腕を組んで、選挙法改悪阻止のために全力を尽くすことを誓い合いました。5時半から参議院民主党の議員総会で同様の決意の確認。


野党の審議拒否 (10/4)

昨日以来の衆参の状況は、報道のとおりです。審議拒否をすると、いつもはあちらも悪いがこちらも悪いと書くのに、今朝の各紙を見ると、いつもと異なり気持ち悪いほど野党に理解を示してくれています。久世問題の批判をかわすため、2月25日の協議会合意や6月2日の議長表明を反古にした与党に、厳しい目が向けられています。しかも非拘束名簿方式は、全国区制度の欠陥の復活、個人票の政党票への横流し、比例区の長所の没却、公費負担50億円増など、改悪そのもの。それでもマスコミ論調は、何時変わるか知れません。


強行審議(議運、選挙特)(10/6)

9時から緊急議員総会。与党は、非拘束名簿方式の法案を、本会議の審議を省略して、直ちに選挙制度特別委員会で審議する方針を決めました。そのことを決める議院運営委員会を、10時から強行するというので、抗議行動です。実力阻止ではないのに、ものすごい数の衛視(国会の警備を担当する職員です)がスクラムを組み、抗議行動を規制し、委員長を抱えて突進して来て、多くの議員が将棋倒しとなり、2、3の議員が怪我をしました。無茶苦茶な過剰警備に、私たちは蹴散らされました。

1時に再び議員総会。今度は、2時から選挙特委で法案の審議入り。抗議のため第1委員会室に詰めかけました。ところが1時30分、中国地方に大地震との一報。鳥取県西部が震源で、震度6強、マグニチュード7強。かなりの被害が予想されるのに、暫時休憩を申し入れても与党は素知らぬ顔。非拘束方式のほうが大切という与党の態度には、あきれました。これへの抗議も含めて、私たちは直ちに無言でその場を去りました。控室でテレビを見ると、野党との折衝責任者である自民党の国対委員長が、自ら提案理由を朗読していました。久保議員会長曰く、「長い議員生活でいろんなことを経験してきたけれど、自ら対決法案の筆頭提案者になるという、挑戦的な国対委員長に出会ったのは、初めてだ」。


非拘束名簿方式の狙い (10/09)

先日、自民党が比例区の公認候補を発表しました。17人中8人が官僚出身です。厚生と農水が2人ずつ。建設、郵政、自治、防衛が1人ずつ。その他は、遺族会、医師会、歯科医師会、JR、宗教団体から1人ずつと、運動選手3人とタレント1人。

参議院選挙に全国区があったころ、自民党はこの制度を利用し、中央集権と省庁縦割りの仕組みに張り付いた業界構造を集票マシーンにして、票をかっさらいました。全国津々浦々まで張り巡らされた中央省庁の地方組織にハッパをかけ、関係業界や企業を総動員して票を集めます。その結果は、各候補者の市町村ごとの得票数で、一目瞭然となります。官庁以外の全国組織も同じです。票の出方が補助金の額に響くので、市町村長さんたちも震え上がります。そして当選した議員は、出身官庁の代弁者となります。利権構造そのものです。

比例区で多数をとれなくなったと見るや、もう一度全国区型の集票構造を復活させようと、非拘束名簿方式の導入に躍起になっているのです。そのことをはっきり証明しているのが、今回の自民党の比例区候補の顔ぶれです。中央省庁と全国組織に見事に割り振られています。選挙が役所ぐるみ、業界ぐるみ、企業ぐるみになるのは、目に見えています。

明日からも、国会は異常事態が続きそうです。まずは与党が、2月25日のところまで戻ることが必要です。


野党5会派の統一要求 (10/11)

11時から議員総会。議長に対する野党5会派の統一要求につき説明があり、了承されました。2月25日まで9回行われた各派協議会を再開し、そこで選挙制度改革の議論を続けよう、協議の間は委員会審議は凍結しようというもの。来夏の選挙は現行制度でという2月の合意に固執しないのですから、野党としては十分歩み寄っているはずです。与党は初めから聞く耳持たずの態度で、混迷の非は挙げて与党です。


非拘束法案、委員会採決 (10/13)

非拘束名簿方式法案が、2時半過ぎに委員会で採決されました。1時半頃、野党代表者が議長に面会した際、議長は「民主主義の土俵に関する法案を、片肺審議で採決することは、良くない。職を賭して、乾坤一擲の努力をする。」と言ったそうです。どう努力したのでしょうか。これからするのでしょうか。議長の言葉がかんな屑のように軽くないことを期待します。

審議拒否の是非の議論は、古くて新しいものです。多数派に度量があればいいのですが、青木参議院自民党幹事長は「決めたことだからやらせて貰う」という態度です。これに対抗するには、まず民主党が衆参一致結束すること、そして野党が協力することしかありません。また国民へのメッセージは、明解で分かりやすくなければなりません。言葉や頭だけでなく、態度や体で示すこともあります。ご理解下さい。


議長斡旋案、話にならん (10/16)

2時から議員総会。議長斡旋案につき報告。話にならんという雰囲気です。3時半から常任役員会で協議。

斡旋案は、「定数問題の結論が出てないのに、新たな問題で混乱しているのは遺憾。」「多数会派の提案は放置できない。」「選挙制度は最重要課題。円満で正常な審議が不可欠。」「今なお不正常。」「状況打開のため、斡旋案を提示する。」として、「T定数は鹿児島県のみ2削減。U比例区は、拘束・非拘束混合方式。すなわち、(1)政党名又は個人名で投票。(2)当選者は、@政党名得票と個人名得票の合算得票数で、ドント方式で各党の当選者数を出し、A個人名得票の上位25人はそのまま当選、残りは政党提出の名簿順位に従い当選。但し、超過議席は認めない。」というものです。最後のところは、政党毎の当選者数以上の当選者はない、つまりある党が25人中に5人入っていても、その党のドントで得られた当選者数が4なら、5番目の人は落選ということです。すっと判りますか。

手続きにつき与野党が対立しているのですから、議長は、手続きについての斡旋を図るべきです。ところがこちらはいわばゼロ回答。採決には何らの瑕疵もないといい、現状は不正常というのですから、悪いのはあげて野党ということになります。そして内容について唐突に新たな提案をしてきたのです。その内容は複雑。しかも「票の横流し」も「銭国区、残酷区」も改善なし。これをどういう手続きで扱うかもはっきりしません。定数減を鹿児島のみに止めることで、野党を釣ろうというのでしょうか。公正中立な議長の提案とは思えず、あらかじめ仕組まれた筋書きのようにも感じます。

6時過ぎから、野党各会派の意見も参考にしながら、さらに常任役員会で検討しましたが、結論は明日出すことにしました。


議長辞任、緊急役員会 (10/18)

9時半から議員総会。斉藤議長が各派代表者懇談会を招集しており、ここで斡旋不調が確認されれば、辞表提出となる模様。緊迫したまま休憩。結局議長は、11時半過ぎに辞表提出。1時半から議員総会再開。考えなければならない問題がたくさんあります。まず、許可の本会議をどう開くか。そこで許可するのか。後任は、第一党の自民党が候補者を決めなければなりませんが、誰にするか揉めるようです。野党はその人に賛成するのか。新議長が決まった後、直ちに動議を出して、法案採決ということはないか。

7時過ぎ、電話の緊急召集で国会に戻り、8時半から常任役員会。明日の本会議の対応を協議しました。

議長が欠けたのですから、公職選挙法改正案が良いとか悪いとか以前の、先決問題です。そこで新議長を決める本会議には出席。あらかじめ自民党から、議長候補は井上裕さんとするとの連絡があったので、「議長は第一党から出す」との慣例に従うという趣旨で、井上さんに投票。しかし、今日の議運理事懇談会では、動議で法案採決ということはしないと確認されているので、その信義は守っていただくことになります。守らなければ、混乱が深まるだけで、その責任は与党にあることになりますが、そんな毒皿をするでしょうか。まさかこれを手引きする野党がいるとは思えないのですが。


議長不信任ぶっつけ討論
10月19日(木)15時10分

今日10時からの本会議で選ばれたばかりの井上議長が、就任の挨拶で述べた舌の根の渇かない内に、その言葉を裏切る行動を取ろうとしています。午後には、与党からの動議に基づき、非拘束名簿方式法案の本会議採決をしようとしているのです。

そこで、2時半から始まった野党4会派は一致して、議長不信任案を提出しました。ただいま休憩中。

これから始まる本会議で、久保亘議員会長が4会派を代表して提案理由を説明、私が、民主党・新緑風会を代表して、賛成討論をします。ぶっつけ、原稿なし、時間制限なしということで、どうなるか分かりませんが、精一杯頑張ります。


議長選挙、不信任討論、自由な議論を (10/19)

9時半から議員総会。動議を出して非拘束方式法案を採決しようとの不穏な動きが見られます。しかし民主党としては、事情はいろいろあっても、議長を第1党から出すという慣行は大切にしようとの思いから、10時半からの本会議に出席し、与党の井上裕候補に票を投じました。正常化のため努力して欲しいという願いを、1票に託したのです。そして井上議長が誕生し、立派な就任挨拶をされました。ところが…、情けないではありませんか、挨拶の舌の根も乾かない内に、与党から出された休憩動議を採択したのです。つまり休憩後に、動議により公職選挙法改正案を採決するということです。

12時から昼食付き会議。その途中で、12時半から議員総会との連絡が入り、大慌てで国会に戻りました。もたもたしたあげく、2時半から本会議再開。選挙法案採決に入る直前、議長不信任案を提出し、その扱いの協議のため休憩。その直前、私に不信任案賛成の賛成討論をするよう求められました。慌てましたが、精一杯のことをしなければなりません。原稿を書いている余裕はありません。腹をくくって、準備をしました。

いよいよ3時45分から議長不信任案処理の本会議です。久保会長が提案理由説明。自民党から反対討論。次いで私の番。井上議長の就任挨拶を引きながら、正常化のための何の努力もせず、逆に自民党執行部の指示に唯々諾々と従う井上議長の言葉の軽さを糾弾するところから、討論を始めました。35分間、思いの丈を述べましたが、冗漫になってもいけないので、自分の判断で討論を終えました。多くの人々から「よかった」と誉められましたが、それでどうなるの…と考えると、複雑な心境です。

不信任案否決で、野党議員は皆議場を出ました。付き合いきれないからです。テレビのぶら下がりインタビューが来ました。「なぜもっと、牛歩など徹底抗戦をしないのか」との質問。「古い抵抗戦術は、もう終わりにしたい」と答。「ならなぜ審議拒否か」との質問。「がんじがらめに決められた議事手続きの元で、審議に応ずれば、有無を言わさず採決まで持って行かれることが目に見えているのですよ」と答。「これからどうする」との質問。「選挙法についての攻防は、残念ながら終わりが来ます。次は別のテーマになるので、新しいテーマにつき、国会に籍を置くものとしての責任を果たさなければなりません」と答。「正常化に応ずるのか」との質問。「応ずるも応じないも、次はテーマが変わるのだから、起きあがるきっかけとか何とか考える必要はないと思う」と答。

今の国会の論戦は規制だらけで、市場原理が働いていません。厳重な議事規則を規制緩和し、自由な論戦を戦わせることにより有権者に十分な判断材料を示すやり方に変えるべきです。フィリバスター(言論による抵抗)を、もっとおおらかに認めれば、「スミス氏、都へ行く」の民主主義が復活します。論争民主主義を復活させるべきです。

参院・本会議会議録


方針大転換 (10/20)

10時から両院議員総会。方針を「大転換」し、審議に参加して、全ての課題に付き徹底的に議論することとしました。与党が「論争民主主義」に乗るかどうかで、与党の民主主義度が試されますが、早速多数決で、「非拘束名簿方式」法案を本会議にかけずに委員会に付託しました。与党は、23日に委員会、24日に本会議で採決の方針とのこと。残念ですね。

 日本の危機・民主主義の危機
参議院比例選挙「非拘束名簿方式導入」について(民主党10/04)


参議院選挙制度改革に関する協議会報告書
(02/25)

公職選挙法参考人 (10/25)

昨夜遅く、本日1時からの衆議院の政治倫理・公職選挙法改正特別委員会に、参考人として意見陳述するよう、要請されました。そこで午前中はその準備に追われました。10時からは、質疑に立つ山花郁夫衆議院議員と打ち合わせです。

12時から、民主党国対・理事合同会議。井上議長不信任案が否決された後、野党は本会議審議に加わらず退席しているので、議長から今後の不偏不党の議事運営につき決意表明を受けた後、審議復帰する方針が確認されました。

1時から3時過ぎまで、衆議院特別委員会で、参考人として意見陳述と委員からの質疑を受けました。長い国会議員の経験でも初めてのことでした。実は与党は、私たち参考人の意見を形だけ聞いて、今日中に委員会で採決するつもりのようなのです。それではあまりに屈辱的だと抗議し、野党の立場を最大限主張しました。

衆院・政治倫理・公職選挙法改正特別委員会会議録


2000/10/25

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