2000/11/30

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内閣不信任案否決!! 「加藤政局」は「しらけ芝居」

11月20日(月)深夜、野党4党が提出した森内閣不信任案は237票対190票で否決されました。自民党の加藤紘一元幹事長が、森総理の退陣を要求。野党の不信任案に同調すると発言して始まった10日間の「加藤政局ドラマ」は、全くの不発の「しらけ芝居」となり、国民の期待を大きく裏切りました。

結局、加藤さんには、不信任案可決確実の状況をつくって、採決前に内閣総辞職に追いこむシナリオしかなかったのではないか。あとから検証すると5票差くらいの負けだったようですが、それでも十分な勝負だったと思います。加藤派・山崎派38名の除名などできるはずもないし、仮に除名されれば新党をつくればよいのです。森総理はいずれ辞めざるを得ないのだから、第2幕の勝負も十分展望があったはずです。加藤さんの大失敗でした。

今回のことで自民党の負った傷は深いと思います。自己改革能力を失って、5人組(野中・青木・亀井・村上・森)の権力が強化され、保守良識層はますます離れていきます。あとは民主党が頑張るしかありません。構造改革と財政再建という当面する日本最重要課題を実行する政権を早急につくることです。来年の参院選で与党3党に過半数を与えれば、今の政治がさらに3年続くことになる。そうなれば本当に日本は沈没します。何としても来年の参院選で、与党の過半数割れ(自公保政権打倒)を実現しなければなりません。そういう政治情勢になれば、来年の通常国会で今回の政局の第2幕がおこることも十分考えられます。


加藤紘一さんの件について (活動日誌より抜粋)


11月8日(水) NPOフォーラムin熊本・米大統領選挙

午後6時20分、会場の九電ホールに着いたら、がらがら。「苦戦している」と言っていたとおりかと思ったら、6時半にはほぼ満員。結局300人の参加で、9時まで一人も帰らず、充実したNPO地方フォーラムin熊本となりました。

出席者は加藤紘一会長のほか熊代議員、藤島議員、私。NPO側は熊本から3人、長崎から1人、シーズの松原明さん。会場から14人が発言。鹿児島、福岡、北九州など。今朝の新聞に出た民主党のNPO支援税制の記事も話題になりました。みな元気です。がっかりさせてはなりません。

9時すぎ夕食をかき込み、10時のJRで博多へ。泊。

米大統領選はすごいですね。今日の本会議の間にも、情報は入っていたのですが、気になって羽田空港からも熊本空港からも電話。ブッシュに決まったようだが、フロリダで気になる動き。結局これが再カウントになったのですね。すさまじい民主主義です。もしゴアが敗れると、ラルフ・ネーダーの果たした役割は何だったのでしょうか。ゴアの環境派は本物だけに、複雑な心境です。

ところで熊本で、ブッシュ勝利との一報にはしゃいでいた某与党議員。最終結果は別として、大接戦に考え込んでいた加藤さんと対照的でした。


11月11日(土) 森本イベント(菅さん、水島さん、山岸さん)

2時過ぎから森本てつまDAYです。打合わせの後3時から1時間40分、菅直人幹事長、水島広子(衆議院議員)、山岸章(元・連合会長)と私とで、森本さんを司会にディスカッション。昨日の加藤紘一さんの発言があるから、いやでも盛り上がります。8日の加藤さんとの会話を披露しました。

4時50分から菅幹事長の記者会見の司会。ここでも不信任案と加藤発言。菅さんは「事態を見極めながら」と、沈着冷静に不気味さを漂わせました。


11月13日(月) 大学同期会、多士済々

午後7時から大学同期の政治コースの仲間で作っている会で、多士済々が20人ほど出席。加藤紘一さんが、1年上なのになぜか会員で、今日は欠席でしたが、その動向に話の花が咲きました。

加藤さんは不退転の決意のように見えます。もし中途挫折したら政治生命が終わるというのが、会でも一致した見方でした。主流派がきついことを言っていますが、彼らの自信のなさとも見えます。自民党の中での争いに止まるのなら、私たち民主党は関わりません。しかし、加藤さんが自民党の枠を飛び出せば、ことは国と国民の問題になります。民主党も関わりを持たなければなりません。


11月14日(火) どこへ行ったの、国民は?

加藤紘一さんの件、さざ波がだんだん大波に成っているように感じます。

自民党の中枢部では、本気で森さんを代えるシナリオを練り始めたかも知れません。橋本派は、加藤さんのことを悪くいうなと、指示を出したとの噂もあります。

衆参の予算審議の合間に1日、法案を仕上げる日をかませることも試みられました。うまく行かないと思いますが。

つまり、予算と法案を最大限仕上げて、最終段階で不信任案を出させ、加藤さんらの動きが本物であれば、その採決前に、森内閣総辞職。自民党は両院議員総会で新総裁を選んで、首班指名。国会閉会。組閣。

その場合の首班は、小泉純一郎さん。加藤さんも反対できないから。これで取り込み完了。人気沸騰、参院選勝利。と、うまく行きますか?

加藤さんがしぼめば、不信任案否決で、加藤さんも政局も終わり。

野党は、この状況を見ながら、何時の不信任案提出が一番効果的かを考えます。

晩秋の夜の夢。国民はどこに行ったのでしょう?


11月15日(水) 竜馬の心意気

慶応3年の今日、坂本竜馬暗殺。享年33歳。加藤紘一さんの件は、昨日の私の夢物語のとおりに進行中。それで良いのか。竜馬の心意気、ありやなしや。加藤さんだけでなく、与党だけでなく、野党も含めすべての人に、何をなすべきかが問われているのです。


11月16日(木) 森内閣不信任案

12時半、弁当付き会議で情報交換。森内閣不信任案は、遅くとも21日には提出の運び。可決の可能性あり。緊迫しています。加藤さんが、どこまで固い決意で不退転で頑張るか、小泉さんが出てきても、突っ張れるか、注目しましょう。


11月17日(金) 予算委員の打合せ、両院議員総会

8時から、予算委員の打合せ。今日、森首相が帰国後、総辞職を条件に予算や法案の審議を求めてくるかも知れません。それだと自民党内抗争で終わってしまうので、そう切り出される前に不信任案を提出しなければなりません。そうでなくても、20日に衆議院の予算委員会が、1日だけの予定でセットされたので、その日中に提出することになります。可決・否決、いろんな場合のケース・スタディーをしました。

昼前に弁当つき会議。今日から当分毎日集まるので、弁当はおにぎり。ホット情報の交換。

12時から両院議員総会。菅幹事長から、(1)不信任案には全員賛成、(2)提出時期は代表と幹事長に一任、(3)不信任可決のうえ、解散。総選挙を求めることを提案、全員の拍手で決定し、ガンバロー三唱しました。首相交代で自民党内の権力闘争だけに終わり、「国民はどこに行ったの」とさせてはなりません。民主党は、傍観者ではありません。不信任案を出すのは私たちなのです。加藤さんたちは、これがあるから行動を起こせるだけのことなのです。ここのところを間違ってはいけません。


11月18日(土) 地元紙取材、高校同窓会総会

1時過ぎの新幹線で岡山へ。駅に降り立つと、地元紙の記者が取材に。岡山県は、加藤派の国会議員が2人います。一人は記者会見で、加藤さんと行動を共にすることを言明したようです。もう一人は、うろうろしているようです。

「民主党は自民党の内紛に翻弄されているのではありません。その逆です。野党の不信任案提出がことの始まりなのです。不信任案が可決されるかどうかは、何とも言えません。野党190人の完全結束が何より大切です。可決されれば、総選挙で国民参加の政治改革を行うべきです。民主党岡山県連はどうするか。『取らぬ狸』でぬか喜びせず、月曜日の結果を見てから慌てたって、遅くはありません」 そう、記者には答えました。

7時、岡山市で母校・岡山朝日高校同窓会総会。一中・二女時代の大先輩や母校の教師も総参加で、大賑わいでした。小合先輩のご配慮で、片山さんと私の2人が、国会議員として挨拶させてもらいました。片山さんは、「予算や法案が目白押しなのに、自民党内から反乱とはけしからん。選挙になるなら、ぜひ落としてください。」私は、「野党から見ると、まったく逆。あんな首相に委ねようという人がいるとは。自民党はなぜ森離れできないのか。」最後は、校歌大合唱でお開き。


11月19日(日) 焦る野中さん、高梁市長選、栃木知事選

今日は、7時に自宅発。車中のラジオでNHKを聞くと、野中さんは相当焦っていますね。除名などの脅し、予算による利益誘導、宮沢さんに絡めた泣き落とし。日本の政治や社会をどうするかは、念頭にないようです。サンプロは、聞けませんでした。

8時半から高梁市で、市長選挙の出陣式。26日が投票日ですが、自民、民主推薦で現職の立木大夫(ともお)さんしか立候補の動きがありません。それでも万が一に備え、選挙運動を始めます。市民も大勢集まり、国会議員4人が来賓として2分間の挨拶。3人は自民党です。村田さんは加藤派なのですが、中央情勢には特に触れません。実は、私にこっそり、「加藤派は分裂ですよ」。私は、「親分が重大決断したのに?」。「みんながついて行く親分じゃあない。そこまでの信頼関係はない」。ウーン。橋本派の片山さんは、「中央は、誰がなっても同じこと。地方こそ大事。」と、かわしていました。フーン。私は最後で、「今は野党ですが、明日はひょっとしたら…」などと軽口。結局5時の締め切りになっても他に立候補はなく、立木さんが当選しました。

11時から、民主党県連の緊急常任幹事会。情勢の説明をし、明日の結果次第で、1区から3区までの衆議院候補選びが緊急の課題となることを確認しました。1区の逢沢さんは不信任案賛成でしょうが、そこから後のことはまだ不明。民主党としては、6月の総選挙で惜敗した河田英正さんに再度の決断を要請しています。2区は、中桐さんが撤退したので、新規まき直し。3区も、樽井さんが撤退の方向なので、大変です。

1時過ぎの新幹線で上京。東京は、嵐の前の静けさか、嵐は幻なのか、静かです。栃木県知事選の開票速報が、新しい政治のうねりを示しています。加藤さんも、大山鳴動何とやらとなると、政治生命は終わり。分かっていると思いますが…。


11月20日(月) 予算委員、少年法、議員総会、しらけの極致

今日は、古今東西稀に見る「しらけ芝居」を見せて貰いました。記念すべき日です。

12時前、弁当付き会議。依然として、不信任案の行方は定かでありませんが、どうも喧嘩集団と比べて、お公家集団は弱そう。12時から、参議院の常任役員会。今、舞台は挙げて衆議院のため、参議院は静かです。衆議院の情勢報告も、見通し定かならずと言うのみ。不信任案可決の場合、否決の場合に分けて、参議院での法案の処理の見通しなどを協議しました。12時40分から、予算委員打ち合わせ。否決の場合、予算案が参議院に送付される日が、まだ分かりません。「延会」という手続きを取ってすべて処理すれば、明日から参議院審議。衆議院採決を明日に延ばせば、明後日から。

1時から、拡大法務委員勉強会で、少年法について私から報告。時宜にかなったとは言えないため、参加者は少数でした。その後、衆議院予算委員会を傍聴。仙谷、日野、原口さんらが頑張っていました。4時から議員総会。あっせん利得罪について、委員会で野党共同の修正案を提出しましたが、これは否決、与党案が可決されました。しかしその採決のための本会議は開かれませんでした。

再び衆議院予算委員会を傍聴し、不信任案提出を受けて休憩になったのを見届け、6時過ぎから弁護士会館の少年法「緊急集会」に出席、今の事態を報告しました。不信任案可決で衆議院解散になれば、少年法は廃案になります。不信任案の行方は、少年法に大きく影響を与えます。

その後夕食を取り、国会に戻り、9時からの衆議院本会議傍聴に出かける寸前、なんと、加藤、山崎両派は欠席とのニュース。せっぱ詰まった人間ドラマが有ったと思います。しかしこれでは結局、あの人たちの中だけでの自己満足。猿芝居です。国民不在です。そんなこと、分かりきったことじゃあないかと言われれば、そのとおりです。加藤さんと言えども、その程度のもの。見せ場は松浪なにがしの馬鹿な格闘技だけでは、究極のしらけ芝居です。

不信任案採決欠席議員リスト


11月21日(火) 幻のコメント、NPO議連

今日は、未明に森内閣不信任決議案が否決されました。昨夕、民主党岡山県連代表として、可決に備えて次のとおりのコメントを用意しましたが、幻に終わりました。

ついに森内閣不信任案が可決された

森内閣は、本年4月に小渕前首相が倒れた後、密室での談合により成立した。理念・政策・ビジョンのない政権たらい回しである。首相は「神の国」など失言を繰り返し、連立与党は「非拘束名簿方式」など重要法案を数で押し切り続けた。当初から低い支持率は、さらに落ちていった。国民は既に森内閣を見放している。野党の提案した不信任案は、民意そのものであり、可決は当然である。

自公保の与党体制のもとでは、自民党の利権政治を打破し、21世紀を目指した改革をすることは不可能だ。この際改めて、与党体制の信を問うため、森首相は、解散総選挙に踏み切るべきだ。これにより初めて、与党内のたらい回しでなく、国民参加の改革の道程が始まる。国民の声を聞くことを強く要求する。

民主党岡山県連は、「市民の政治」のため県内全選挙区に候補者を擁立する作業に、大至急着手する。県民の皆さまに、『リベンジ岡山!』の挑戦に参加されるよう、心から訴える。 

午後7時から2時間、NPO議員連盟主催の東京フォーラム。加藤紘一会長、自、民、公、社、由、保の代表が出席し、私は民主党を代表して党の支援税制案を報告。400人くらい集まってくれたでしょうか。日本NPOセンター事務局長の山岡義典さんの報告の後、会場から16人が発言。活発な議論でした。加藤さんが最後の挨拶。「あまり期待され過ぎて、後で失望させても…、最近もそんなことがありましたが…」で、みんなドッと笑いました。複雑な思いで……。


2000/11/30

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