江田五月 活動日誌 2000年9月(11〜20) >>日程表

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9月11日(月) 駅前演説、「寺田流」人生、海外視察延期

今日は、恒例の駅前演説。山本議員の事件について、経緯と私自身の果たした役割を報告し、お詫びと問題点の指摘を行いました。「水島広子さんの国会報告」(9月8日)が、的確です。

9時過ぎの新幹線で大阪へ。9月6日の活動日誌で報告した知人が8日に死亡し、その葬儀に参列しました。彼は、私の中学時代以来の親友。幼時に両親をなくし、中学の頃から天涯孤独。兄弟には恵まれていたのですが、みな自分が生きていくのが精一杯だったのです。正義感が強く、高校の時は一緒に生徒会運動をしました。岡山市役所に就職し、岡大夜間部へ。60年6月には、一緒にハンドマイクで安保反対の街頭演説。19歳でした。

市役所の徴税の仕事で社会の現実を見、一念発起して上京。大学を出て司法試験を志し、私と小さなゼミをしたこともあったのですが、試験運に恵まれず挫折。東京下町で市民運動に取り組み、社会市民連合に参加。岡山に戻り、社民連で市議に3期当選。その後、大阪で韓国料理屋をしていました。享年60歳。

遺志に従い、臓器の一部が移植に提供されました。親族の他は、最小限の参列者でした。台風の土砂降りの中を、霊柩車で旅立ちました。最後まで、「寺田流」の人生でした。4人の子どもたちが、父親を乗り越えて成長するのが楽しみです。

今年3人目の、同期の旅立ちです。自殺、肺癌、脳出血。この国の中年後期も、楽じゃありません。2時過ぎ上京。台風で1時間以上遅れ。臨時国会が21日に召集される運びとなり、憲法調査の海外視察は、延期しました。


さようなら、寺田さん 井上康生



9月12日(火) NPO、法務サービス、クローン法、秘書制度、山岸さん

今日は、10時から組織スタッフとNPO委員会の打ち合わせ。新しく委員長に就任するので、これまでの経過報告などです。

11時から、法務や税務のサービス業務を改善する方策について、関係者と打ち合わせ。国民から見ると、弁護士と税理士と司法書士と、煩雑でどこへ行ったら良いか分からず、しかも複数の事務所が関わったりするのは、たらい回しとも思えます。海外との競争でも、こんな非能率では困ります。

3時からクローン法について、科技庁からの説明聴取。3時半から企画スタッフと山本事件や秘書制度のあり方について打ち合わせ。

4時に元連合会長の山岸章さんが来室。英国の留学生が、勉強のため話を聞きたいというので、来てもらいました。お元気そうで何より。5時からは、私自身が勉強材料になりました。その後、数人で食事。

その他雑用が飛び込んできて結構忙しく、机の上は紙の山がどんどん高くなっています。



9月13日(水) 人クローン、移植禁止、東チモール、ベロ司教、孫

今日は、9時から人クローン法案の検討。いよいよ大詰めが近く、3時間近い議論でした。

例えば私たちの法案では、人の属性を有する胚を胎内に移植するのは、すべて禁止としています(政府案も同じ)。しかし動物の卵から核を抜き、そこにその卵と一緒に成長する人の細胞片を入れた胚は、その動物の胎内に移植すると成長してその動物となり、その臓器は人に移植可能となるかもしれません(うろ覚えなので、間違っていたらご免なさい)。これは研究価値があり、例外的に許可制としても良いかといった議論です。

私は、このような研究は、素晴らしい成果を上げることもあるでしょうが、人間の立ち入るべき分野ではないということが分かるだけで、移植医療にバラ色の夢を与えない可能性も大きく、逆に不測の事態を引き起こすこともあると思います。だから、科学者の研究意欲を阻害してはいけませんが、十分な動物実験による基礎研究を積み、安全性が十分確認されてから認めても遅すぎることはなく、今の段階では上の例は禁止のままでよいと主張しました。べロ司教(ノーべル平和賞)東ティモールより来日。現状と独立へのプロセスについて懇談

11時半、ノーベル平和賞を受けられた東チモールのベロ司教が国会に見えました。昨年住民投票の時と11月と、2度の訪問の都度お会いしており、旧知です。参議院の菅野副議長のご厚意で、副議長室でご一緒に昼食。1時から1時間余、超党派の国会議員と懇談会。私は司会をしました。現在は特に西チモールの状況が悪く、日本の国会議員としてインドネシアに働きかけるよう要請されました。最もマイナーだった議連が、ここまでの結果に結びついたことは、驚くべきことです。しかしまだ終わっていません。

3時半から党本部企画スタッフと秘書問題につき協議。4時半から日弁連と民訴法改正につき協議。6時から科技庁担当者からスペースガードの説明聴取。その間新聞記者の取材や電話連絡。

夜、娘が孫を連れて来訪。孫と一緒に風呂に入りました。こちらが遊んで貰っているようです。



9月14日(木) 千客万来、電力料金、憲法判断、参院選挙制度

今日は、外交官、新聞記者、労働運動、市民運動、企業経営者など、千客万来。その間、電話も頻繁。

10時は、アメリカ大使館のフリードマンさん。5年振りの日本勤務ですが、相変わらず流暢な日本語。民主党につき話を聞きに来られ、総選挙総括などを説明しました。この間の政党の離合集散は、さすがにあきれた様子。日米議員交流の必要を改めて強調しておきました。

11時は、民間政治臨調の前田さん。司法制度改革審議会の議論に世論の注目が集まるようにするには、まず国会議員が注目するようにしないといけません。司法改革に向けた国会議員の役割につき相談。

4時に、中国電力の南部さん。中電が電力料金改定の申請。かなりの幅の値下げと、料金メニューの多様化。

ところで、憲法裁判所について掲示板が賑やかです。司法制度改革の提案には入れていませんが、論憲の1分野として検討しています。2つの側面があります。1つは、司法のあり方として、または司法とは別の国家機能として。理念的なことです。魅力ある制度ですが、反対論もあります。

もう1つは、理念よりも、現実論として。現在、国会の立法に際し、憲法適合性の判断を最終的に示しているのは、内閣法制局です。ところがここが常に、例えば先日の小渕首相が倒れた後の措置のように、時の内閣に都合のいい憲法解釈を示してしまいます。これでは、立法や行政の指針となる客観的な憲法判断としては失格です。そこで、最高裁に判断の機能を委ねてはどうかということ。

最高裁の信頼性に異論もあり、多方面からの検討が必要です。

参議院比例区選挙の改革案が与党でまとまりました。これは、久世さん更迭のきっかけとなった、金で名簿順位を買う自民党のやり方への批判をかわす、猫だましです。さらに、昔の全国区の残酷区といわれた欠陥をそのまま復活させ、人材登用という比例区の長所を没却させ、しかも大量得票者の得票は、個人の名簿順位の決定だけでなく、政党の得票としても数えるため、有名タレントを多数抱える政党に極めて有利になります。どこから見ても欠陥だらけで、改革とは名ばかり。制度改悪そのもので、成立させてはなりません。

少年法の動きも急ですが、今日はここまで。



9月15日(金) 結婚式、中西圭三さん、法制局

今日は、敬老の日。ところが私は、上野から水戸へ。11時から、妻の甥の結婚式に出席。牧師さんの、「神が引き合わせたものを、人が離してはいけない。」という言葉は、いつも共感します。その後、新郎新婦の親族だけのささやかな披露宴。仲人もなく、新郎の父が司会。おいしい料理と和やかな会話で、楽しいひとときでした。

東京に戻って、銀座で、中西圭三さんたちの写真展へ。
http://www.docoal.com/keizo/に、案内が載っています。中西さんはモノクロ、中西さんの舞台の演出をしている西田擁平さんはカラー。感性の優れた人は、どんな分野でも面白い表現をしますね。夜は中西さんたちとうどんすきをつつきました。

ところで、内閣法制局と衆参法制局のことです。衆参法制局は、衆参の議員立法の手伝いをしてくれます。その審査を経ないと議員立法は出せません。時には審査で議員立法にたがをはめることもあります。最近は、法制局の判断基準からすると難点があっても、政治判断を優先させてくれることが多くなり、強い味方です。彼らは裏方で、国会審議では、法案を提出した議員の答弁の手助けをしてくれますが、自ら答弁に立つことはありません。

内閣法制局は、内閣提出法案の審査をします。通常は所管の大臣や政務次官が答弁に立ちます。以前は各省の局長などがよく答弁していましたが、最近は政治家同士の議論を重視し、少なくとも民主党は、局長など政府参考人の答弁はなるべく断るようにしています。しかし、法案提出などの内閣の行為については、内閣の中での最終判断は内閣法制局が行っているので、国会審議の際、憲法適合性につき内閣法制局長の答弁を求めることがあるのです。

違憲立法審査権により憲法の最終判断をする最高裁が、立法などの憲法適合性につき、事件性がないからという理由で判断を示さないので、内閣法制局の判断が、事実上最終判断となっています。内閣法制局の判断は当然内閣寄りとなり、客観的判断が得られない構造となっているのです。



9月16日(土) 鳥取2区、山内さん、公共事業

今日は、午後の便で羽田から米子へ。鳥取2区から比例区で当選した山内おさむさんの応援です。

まず、4時から米子市で菅直人新幹事長と一緒に街頭演説。山内さんの挨拶に続いて、短い演説。選挙戦での争点の一つは、公共事業の是非でした。私たちは、中海干拓を例に引き、無駄な公共事業を批判しました。利権の温床となり、環境破壊ともなります。相手候補は、この地域に公共事業は不可欠と強調していました。山内さんは、相手を落とすことは出来ませんでしたが、有権者の皆さんの大きなご支援で相手に肉薄し、惜敗率1位で当選できました。

選挙後自民党は、手の平を返したように、公共事業見直しを叫んでいます。中海干拓も中止と言っていますが、その場凌ぎで信用できません。次の総選挙では、是非鳥取2区の有権者にも、私たちの主張の方に勝ち名乗りを上げさせて欲しいと思います。

記者会見の後、6時前から山内さんの励ます会。400人もの方にご参加いただき、大盛況でした。菅さんはそこまで。私はその後、民主党の地元幹部の皆さんと懇親。米子泊まりです。



9月17日(日) 知事選、県連常幹、連合・民主党中国ブロック協議

今日は、9時前のJRで米子から岡山へ。11時到着後、県知事選につき地元テレビのインタビュー。連合は現職推薦、民主党は自主投票なので、連合に配慮すると、どうしても私の話は歯切れが悪くなります。独自候補を出せなかったので、仕方ありません。それでも精一杯、現職知事を評価しながら、自主投票の立場を説明しました。どの部分が採用されるか、ちょっと心配。

12時から昼食付きで2時間半、民主党県連の常任幹事会。県議会や市議会の課題、県連組織の在り方、参衆の候補者選考などに付き、突っ込んだ議論をしました。大会で決定された「組織検討委員会」を立ちあげました。県連臨時大会の日程は、まだ決められませんでした。参院候補者調整は、もう少し時間がかかります。

岡山市議会では、教科書採択につき、現場の意見を反映させている今の方式を改めるよう、請願が出ています。理屈はともかく、おかしな傾向です。それと例のドームも議論の最中。岡山市選出の県議と市議で、十分議論するようお願いしました。

その後半分歩きながら、記者の取材を浮け、3時過ぎの新幹線に飛び乗って広島へ。4時から駅前のホテルで、連合と民主党の中国ブロックの協議会。各県から数人ずつの参加で、まず連合広島の森川会長が連合を、私が民主党をそれぞれ代表して挨拶した後、総選挙総括と民主党の在り方につき突っ込んだ意見交換と協議をしました。厳しい意見が相次ぎ、主として私が党の立場や考えかたを説明しましたが、釈明や弁解しなければならないことも多く、大変でした。

5時半から懇親会。和やかで賑やかな2時間が過ぎ、私は最終新幹線で上京。



9月18日(月) 人クローン、参院役員会、少年法、NPO委員会

今日から憲法調査の海外視察でしたが、21日臨時国会召集のため延期。10時から2時間、人クローン法案の検討。掘っても掘っても尽きることなき問題の山です。しかし対案を提出するなら、どこかで区切りをつけないと、時間切れになってしまいます。折角ヒト胚まで視野に入れた議論をしたのだから、何かアウトプットを出したいものです。

12時半から、参議院の「民主党・新緑風会」の常任役員会。国会召集を目前にして、特別委員会の設置などを巡って、議院運営委員会を舞台に駆け引きが始まっています。自民党が、公職選挙特別委は設置し、行政改革特別委は設置しないとの案を出してきました。公選特で非拘束名簿方式を審議するための布石です。虚々実々の駆け引きです。わかりにくいですが、これも大切なことです。

2時から衆参の予算委員の打合会。3時から企画スタッフと秘書問題の協議。

4時から、岡田政調会長、枝野代理、小川NC司法ネクスト大臣、竹村少年犯罪総合対策PT座長、私の5人で、少年法改正問題への対応を協議。「18歳成年制」の法案を準備して、これを与党の少年法改正案に対する対案とするほか、与党案の個別の項目についても修正項目を早急に検討します。党内協議も急がなければなりません。

5時半から、NPO委員会の引継と打ち合わせ。委員会役員構成や今後の活動の方向を、岡崎トミ子前委員長、金田誠一前副委員長らと協議し、その後岡崎さんを交え、スタッフらと夕食。



9月19日(火) 常任幹事会、国対・理事、参院選挙制度、懇親会s

今日は、10時から民主党常任幹事会。定例日を毎週火曜の10時からとする、日常の最高意志決定機関です。非拘束名簿方式についての対応などを協議しました。私は、山本譲司君の弁償関係について、処理方針の中間報告をしておきたかったのですが、準備不足だったようです。

1時から、参議院の国対・理事合同会議。まだ召集前であり、一部を除き委員会の動きはありません。憲法調査会は、近々運営検討委員会を開きます。その後、「赤坂ラーメン」で昼食。なんと日本のラーメンが台湾に進出し、大賑わいで現地で話題になっているそうです。

3時から参議院の民主党で選挙制度改革検討会。非拘束名簿方式に対し、対案をどう準備するかなど、戦術面のことです。

これまで参議院では、議長の下に検討機関を置き、定数是正につき協議してきました。その場で民主党は、三重県と鹿児島県は人口と定数配分が逆転しているので、取りあえずこれは解消し、次に制度改革に取り組み、その中で本格的に定数の削減と是正を行うことを主張していました。そうでないと小手先だけで、抜本的是正は出来ないからです。そして、比例区制度を全廃し、代わりに個人名投票のブロック選挙区制度を導入するという、具体案も用意しました。

自民党も、定数問題を先に処理し、制度改革は次の課題とすることを合意していたのです。今回の動きは、この合意を反古にし、党利党略のためには何でもするという態度です。

私の個人的意見は、比例区を全廃し、その100議席の内50議席程度を分配することによって都道府県選挙区の定数是正をし、残りの50議席程度は定数削減とするというものですが、党で決定している案も良いと思います。ややこしい技術論で、わかりにくいと思いますが、国会論議は、特に制度論で各党の利害が絡む場合には、なかなか分かりやすい議論ができません。

5時からシースの松原さんとNPOの打ち合わせ。来客。

6時前に、東京税理士政治連盟の懇親会。次いで軍縮問題を考えるエコノミストの会の懇親会。川端達夫さんを励ます会。7時半から、新旧NCの引継ぎ懇親会。



9月20日(水) 候補者調整、対案、選考委員会、選挙制度改悪

今日は、10時から党本部で佐藤敬夫選挙対策委員長らと、岡山県の国政候補者調整につき協議。11時から参院選挙制度の民主党としての対案作りを協議。非拘束方式に対抗するために、対案を出すのが戦術的にいいのかどうか、難しいところです。

12時、本部の組織スタッフと県連組織につき協議。地元新聞記者の取材。2時前の新幹線で帰岡。高校時代の友人が心臓で入院と聞いたのですが、幸い既に退院。ご自宅に伺うと、ぴんぴんしており、ホッとしました。

8時から県連の候補者選考委員会。10月はじめに県連臨時大会を開くことにしました。8月の定期大会の時は、9月下旬にと思っていたのですが、おおむね考えていたとおりになりそうです。

与党案は、比例区の非拘束方式と共に、選挙区につき、鹿児島、熊本、岡山の定数をそれぞれ2ずつ減らすことにしています。鹿児島は逆転区解消という理由があるとしても、他の2つは単に定数削減という理由のみ。格差是正には全くつながりません。衆議院は、戦後定数が増えつづけたのを、定数削減で元に近くまで戻したのですが、参議院は、沖縄返還の時に2つ増やしただけなので、衆議院に合わせて減らす理由はありません。久世事件に対する国民の批判を交わし、リストラへの国民の漠然とした期待を奇貨として、比例区も選挙区も、自民党に有利なように党利党略で制度改悪をしようというだけのものです。来年の参院選は、自民不利が予想されており、奸計を用いて劣勢を覆そうとするもので、認めてはなりません。


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