江田五月 活動日誌 2003年8月 >>日程表 ホーム総目次8月目次前へ次へ

8月8日(金) 愛生園歴史館、流し街宣(津村さん)、ツムジム

長島愛生園歴史館で
懇親会で挨拶

今日は10時から、ハンセン病の国立療養所、長島愛生園に設置された歴史館のオープンの式典に参加しました。愛生園は、国立療養所の第1号で、これまでの歴史の中で多くの資料が積み重なっており、これらを整理し展示して、ハンセン病の歴史についての国民の理解を深めるようにしようというものです。テープカットの後、参加者で展示を見て回りました。

11時からは、参加者で昼食懇親会。私も挨拶させていただき、ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会の会長として、これまでの活動を紹介しました。(参考:ハンセン病判決について

13時から、津村啓介さんと一緒に、玉野市に街頭演説に出かけようとしましたが、台風の影響で風雨が強まり、とてもその状況ではなくなりました。そこで、様子を見ながら、17時まで、近回りを流し街宣を中心に回りました。途中、風雨が収まった瞬間を狙って、街頭演説。

台風の影響で、盆踊りの企画がすべて流れたので、17時過ぎから、江田事務所でデスクワークなど。19時から、ツムジム(津村事務所)の若いスタッフの皆さんと、居酒屋で盛り上がりました。若いエネルギーを、何としても生かさなければなりません。


台風の中、街頭演説 ツムジム(津村事務所)にて

三重テレビ放送HPより

取材秘話と政策裏話 記者の窓
● 療養所に資料館  ● 記者 小川秀幸

資料館のテープカット(8月8日)

8月7日と8日、台風10号のさなかではあったが、岡山県にあるハンセン病療養所、長島愛生園 を訪れた。三重県出身の入所者の皆さんでつくる県人会「五十鈴会」の会長(Kさん=68歳)から、 愛生園歴史館(資料館)が完成した、という案内を頂いたからだ。

資料館は長島愛生園の旧・事務本館を使っている。旧・本館はかつての“患者立ち入り禁止区域” にあり、入所者は決してここに入ることができなかった。いわば強権的支配の象徴だったと、愛生園自治会のホームページにも記されている。

その象徴を資料館として使う意味について、入所者自治会の会長を務める日野三郎さんは、8日の開館記念式典でこう語った。

「この旧・本館を保存し、過去の差別、偏見の実態や患者の苦難の歴史をしっかり見てもらうことに よって、再び同じ過ちが繰り返されぬよう願いたい」

旧・本館には、患者にとって“聖域”だった園長室があり、資料館の完成に合わせて公開されてい る。また、監房や患者による園内作業、無らい県運動など隔離政策の歴史のほか、邑久長島大橋の開通や国家賠償訴訟の勝利といった人権回復の流れも、写真や実物を使って紹介されている。

県人会長Kさんと一緒に、短い時間ではあるが、展示室を見て回った。会長は、患者が到着した桟 橋の写真を見ながらこうつぶやいた。

「来た当時は子供やったから深刻に考えへんだわな。でも1週間もせんうちにこれは帰れやんな、というのを薄々感じた。結局その通りやった…」

そしてお金を持たせると逃走するからと、患者はお金を使うことが許されず、園内通用券を持たさ れた。もちろんそれらも展示されている。
「切ないぞ、こんな紙切れ持たされたら。今のコピーの方がよっぽどましや」

長島は長い間、離れ島だった。橋が出来たのは昭和63年、今から15年ほど前のこと。資料館に は建設中の時の写真も展示されていて、K会長は「皆でトラックに乗ってよく現場を見に行ったで」 と振り返る。開通した時の気持ちを尋ねると、「そらぁ、嬉しかったで」と目を細めた。

開館記念式典には入所者のほか、岡山県の関係者や邑久町の立岡町長ら来賓もたくさん招かれていて、その中のひとり、岡山県選出の江田五月参議院議員にお話を聞かせてもらった。長年ハンセン病問題に取り組み、ハンセン病問題の解決を図る議員連盟の会長を務める江田氏は、「この歴史館が出来るまで時間がかかったな、という感じだ。しかし、(元患者が勝訴した熊本の)判決が確定して2年が経ち、みんなに祝福される形で完成したのはいいこと。特に若い人たちにはじっくりと見てほしい」と答えてくれた。

お金が通用しない世界、何十年も島から一歩も出ることができない生活、子供を作ってはいけない きまり…若い人たちにとっては想像もつかないことだろう。実際私もそれを聞いた時には映画か物語の世界の話だと思ったほどだ。今から見れば、法律まで作ってとんでもないことをしたものだと思うが、当時の医学界や行政、政治、社会の常識がそれを許してきた。もちろん報道機関も反省すべき点は多い。

若い人には、当たり前だとされていることは本当に正しいのかどうか、他人を傷つけていないかど うか、自分の頭で考えて行動してほしい…開館記念式典の場にいたみんながそう思っていたに違いない。

※長島愛生園歴史館は、月曜日と金曜日を除く毎日、午後1時から4時まで開館していて入館は無料。 この取材の模様は9月29日(月)のニュースで放送予定。


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