2011年6月22日

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「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」
江田法務大臣挨拶


 本年も,「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」を迎えました。本日,「名誉回復及び追悼の碑」の序幕と共に,このように盛大に式典が開催されますことは,誠に意義深いことと思っております。

 平成13年の熊本地裁国賠判決から10年が経過しました。今もあの燃えるような五月の日々が鮮やかに思い出されます。この間,補償金支給法や問題解決促進法が施行されるに至ったとはいえ,国が行った隔離政策が,特定の方に限りない苦難を与え,社会に差別と偏見を深く植え付けてきた事実は消えません。現在,療養所に入所されている方々は高齢化の一途をたどっており,問題解決にはなお道半ばです。

 私たちがこれからできることは,被害に遭われた方々が穏やかな生活を送られるよう環境を整えるとともに,誤った認識や偏見によって同様の悲劇が生じないようにするための啓発を続けていくことです。ハンセン病に対する正しい知識や理解は着実に広がり,差別や偏見が不当であるという認識も,次第に定着してきておりますが,いまだ十分とはいえない状況にあります。この式典も,広く報道されることにより,国民の間に議論を喚起する役目を負っているものと思います。この日が,人々の記憶を呼び覚まし,あるいは新たな認識のきっかけとなって,社会に反省を促す機会となることを心から願っています。

 法務省としましても,平成11年度から人権週間の啓発活動の強調事項のーつとして,ハンセン病問題を含む,感染症患者に対する偏見・差別をなくすことを掲げているほか,ハンセン病への正しい理解を深め,偏見や差別をなくすための取組の一つとして,平成17年度から,毎年,シンポジウムを開催させていただくなど,様々な啓発活動を展開しております。今後とも,厚生労働省を始め,国の機関,地方自治体,ハンセン病関係者の皆様との連携を深め,協力しながら,ハンセン病問題に関する啓発活動に取り組んでまいりますので,よろしく御支援の程をお願い申し上げます。

 私としても,これまでこの問題に取り組んできた経験を生かして,引き続き完全解決に向けた努力を続けていくことを改めて誓います。

 最後になりましたが,被害を受けられた方々に心からお見舞いを申し上げますとともに,亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げ,御挨拶といたします。


2011年6月22日

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