1982/02 五月会だより No.11 ホーム主張目次たより目次前へ次へ


参議院本会議で江田議員が代表質問
田中元首相に有罪判決が下っても総理は彼との盟友関係を続けるか?

 江田五月議員は、いま開かれている通常国会のはじめに行われた本会議で、参議院新政クラブを代表して「代表質問」を行いました。去る一月二十九日、各党代表質問のしんがりに登場した江田議員は、軍縮・平和、障害者福祉、財政・経済、政治倫理、政治の未来展望など、少ない持ち時間のなかに鋭い指摘と具体的な提案を折り混ぜて、迫力ある堂々の演説を行いました。江田議員らしい精悍な演説態度に対して、全国のテレビ視聴者や他党の議員さんなどから、喝采が寄せられました。

軍縮のためあらゆる手段を

 江田議員はまず、鈴木首相の軍縮への取り組みを一応評価しながらも、「軍縮を求める声は今や 世界の趨勢であり、軍事費を押さえて軍縮のためにとり得るあらゆる手段をとるべきだ」と述べ (1)外務省や在外公館の軍縮関係部局や人員を増強せよ (2)教育面での施策を講ぜよ。大学に平和と軍縮の講座を設けよ (3)被爆体験を世界に広めるため、総理訪米の際に、広島・長崎の記録映画と写真パネルを持参せよ――と提案しました。

障害者の完全な社会参加を

 障害者福祉の問題については、本年度政府予算案に「長島架橋」予備査費が計上されたこと評価しつつ、障害者の完全な社会参加の必要性訴えて、政府の真剣な取り組みを促しました。同時に、鈴木首相に対しハンセン氏病療養所を訪問するよう呼びかけました。

「五・ニ%成長」は強弁ではないか

 また、財政・経済問題では、鈴木内閣の経済・財政運営は、国民の生活実態へのあたたかい配慮に欠けていると批判。(1)五・二%成長と税収の見通しは強弁だ (2)財政再建は総理の“めんつ”になっているのでは (3)財政再建のためにも減税を実施せよ――と迫りました。

鈴木首相の政治姿勢を追及

 さらに 政治倫理と未来展望についても、強く鈴木首相の姿勢を追及し、「田中元首相に有罪判決が下っても由中元首相との盟友関係を続けるのかと斬り込んだ質問を浴びせるとともに、「無責任政治をつくりかえる」決意を表明して、初めての代表質問を終えました。

 鈴木総理は、例によって「努力します」「貴重なご意見としてうけたまわります」というように、お座なりの答弁を行った後、いきさか興奮気味に「ごれからの日本を背負って立つ江田さんのような人は、いたずらに現状を批判するのでなく……」などと、田中元首相との関係についても答弁てきない腹立たしさからか、お説教をはじめ、しまいには原稿をたたきつける始末。

 質問者も答弁者も、一定の型にはまった各党代表質問が続いたなかで、最後に、わずかながら政治のあり方に関するやりとり、あるいは政治の未来についての生きたぶつかり合いができたという点で、ユニークな代表質問であったと、各方面から好評を得ることができました。

 江田議員の感想――「はじめての晴れ舞台で緊張しました。しかし、さすがですね。音響効果バツグンで話しやすいのに驚きました。それにしても、鈴木首相の答弁、ひどいですね。やはり、この人にはまかせられないと、再確認しました。」


岡山県社会民主連合・江田五月会共催
21世紀の政治を考えるシンポジウム・パーティー盛大に

庶民政治家として岡山に根を  江田五月氏、決意を表明

 一月十六日、岡山県社会民主連合と江田五月会共催による「21世紀の政治を考える」シンポジウム・パーティーが、岡山市は青江の“あおえみよしの”で開かれました。

 県社民連の結成五周年記念と江田五月参議院議員の新たな政治的飛躍を期して開かれたもので、東京からも、風邪で床に伏していた阿部昭吾代議士を除く社民連の全国会議員(田英夫、楢崎弥之助、秦豊、菅直人)と新自由クラブ前代表河野洋平氏等がかけつけ、集まった約五百人の支持者の方々と歓談をして曳光弾を打ち上げました。

 午後一時から始まった「21世紀の政治を考える」シンポジウムには、田英夫社民連代表、河野洋平衆議院議員、楢崎弥之助書記長が各々パネラーとして参加し、江田五月氏が司会をつとめました。

 おめでたい正月のシンポジウムということで、三氏とも細かい政策論をさけ、行きづまりつつある現代政治、文化を、二十一世紀に向かって乗りきっていくためのてだては何かという、大所高所からの論陣をはりました。

 「イデオロギーを超えた、人間本位の政治がこれからの政治目標」(田氏)「二十一世紀は政党より政策の時代」(河野氏)「多元化社会、価値観の多様化に即応するには、保革を問わず現代を改造する理念が必要」(楢崎氏)など、新しい政治の方向を提言、出席者の中から「人間本位の政治」、「現代を改造する理念」とは具体約にどのようなものかとの的確な質問があり、田氏はこれに答えて、これまでのように、政治を見るにあたって、資本と労働、保守か革新かという野点から見るのだけでは十分でなく、むしろ「生活者」の場から政治を考えていく、いいかえれば生産現場からではなく、生活現場を通して政治をとらえ直すことにより、国民自身が、これまでの自分の立場を見直し、新しいポジションから連帯をつくり上げていくことが必要とされている時代だと強調しました。

 司会者江田五月氏も三人のパネラーの主張をまとめれば、二十一世紀に向かって、われわれはこれまでのように、物と金を追い求め、自然を改造しながら無限の発展を夢みるのではなく、人命を大切にし、心の豊かさを求める政治のあり方を探していこう、そのためには、われわれの先輩たちが自然とうまくつきあっていく生き方の中に生活の豊かさ、心の豊かさを求めた、その生き方に学ぶ、いわば政治・文化のルネッサンスを求めていく時代だとしめくくりました。

 続いて午後二時半からは、河野、田、楢崎、菅、江田の各国会議員を囲んでなごやかな中にも熱気ただようパーティーが開かれました。

 地元からも黒瀬岡山県副知事、岡崎岡山市長をはじめ、政・財界など各界代表が祝辞を述べ、最後に、江田五月夫妻が壇上に登りました。特に去年三月以来、岡山に居をうつして、内助を続けている京子夫人は、初めて公式の場に紹介され、地元岡山の皆さんに認知されました。

 江田五月氏は「昨年三月、岡山市に居をうつした。法律事務所も開いた。ここを基礎に岡山に根を張って、庶民政治家として、新しい政治の方向を求めていきたい」と力強くのべ、新しい政治的飛躍を決定的にしました。

 そのあとアトラクションとして、作州武蔵太鼓、楢崎氏など、のどに自慢のある人々がカラオケを披露し、宴は最高潮に達しました。


岡山一区に“暴風雨警報”

 江田五月会と岡山社民連が行った「シンポジウム・パーティー」についてはほとんどの地元紙、全国紙が大きく報道しましたが、ここに「岡山一区に暴風雨警報」と題した岡山日日新聞の記事を紹介します。


 岡山県社会民主連合の結成五周年を記念する「江田五月と語るパーティー」が十六日午後、岡山市青江新屋敷「あおえみよしの」で開かれ、次期総選挙に参議院からのくら替えがうわさされている江田五月参院議員(全国区)が「郷土岡山に根を下ろした政治家になりたい」と、岡山一区からの、事実上の出馬表明を行った。

 パーティーには、県内政財界の有志や江田ファンら約五百人が出席。黒瀬剛副知事、民社党の林保夫代議士(岡山二区)松本安正県総評議長らの祝辞に続き、田英夫社民連代表、河野洋平前新自由クラブ代表の激励に応える形で、主役の江田氏が京子夫人と登壇「より大きな政治家を目指すには、しっかりした基盤が必考。郷土岡山にどっかり根を下ろすよう頑張るつもりです」と、力強くあいさつし、柏手を浴びた。

 江田氏は故江田三郎氏の遺志を継ぎ、五十二年の参院選に全国区で出馬、二位で当選(約百三十九万寮)県内でも約十四万票獲得の実績があるだけに、他陣営にとっては大きな脅威。昨年三月、岡山市山崎に居を構え、活発に動いており、岡山一区の出馬は既定の事実。それだけに、パーティーでの言動が注目されたが、任期を一年半残しているのと、中央の情勢判断からやや“トーンタウン”の表明となったが、激戦必至の岡山一区に“暴風雨警報”となったことは確か。


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