2000年9月7日

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常任幹事会 幹事長 羽田 孜 殿

山本譲司議員問題に関する答申書

倫理委員長 藁科 滿治

山本譲司議員問題に関する答申について

 去る9月5日、常任幹事会より当倫理委員会に対し、山本譲司衆議院議員の一連の行為の事実調査とその対応のあり方についての意見を求める諮問がありましたが、倫理委員会として、党倫理規則にもとづき、必要な調査と関係者からの事情聴取等を行い、それらの集約の上にたって、次のとおり意見をまとめましたので、ここに答申いたします。

山本譲司議員問題に関する答申書   

 当倫理委員会は、事態の重大性と緊急性に留意し、調査と審議にあたっては、小委員会の設置などを通じ、集中的な取り組みをすすめ、次のとおり意見・報告をまとめた。

1、事実の確認について  山本譲司議員が9月4日に逮捕されたため、倫理委員会としての調査活動は、当初から一定の制約を余儀なくされた。このため、倫理委員会としては、まず、すでに常任幹事会が把握している調査情報と、山本議員が逮捕される前の段階における党幹部による本人からの事情聴取の内容について報告を受けた。加えて、倫理委員会独自としても、改めて山本議員周辺の関係者から事情聴取と情報の収集をはかり、さらにマスコミ情報の分析をすすめるなど、総合的視点にたって事実確認の作業を行った。
 この結果、いまだ不透明な面を残しながらも、この段階において、基本的には次の事実と状況を認めざるを得ないと判断する。 

  1. 山本譲司議員が、9月4日、東京地検特捜部に詐欺容疑で逮捕されたという厳粛な事実があること。
  2. 政策秘書採用の段階から、秘書給与流用が意図されていた事実が明らかにされていること。
  3. 取得された資金が、公私混同された形で使用されていた疑いが強いこと。
     
 かかる行為は、「民主党倫理規則」第2条第1号にいう「政治倫理に反し、または党の品位を汚す行為」であると言わざるを得ない。また、今回の行為が刑事事犯として立件されており、この点でも倫理規範違反は明らかである。さらに、「倫理規則の遵守」という大会・両議員総会での重要決定事項にも違反し(第2号)、今後への影響として「選挙または議会において他政党を利する行為」(第3号)となることが想定される行為でもある。
 以上のとおり、山本議員の一連の行為は明らかに「倫理規範に反する行為」と判定せざるを得ない。

2、処分について  前項の事実確認にもとづき、山本譲司議員の処分に関する倫理委員会としての意見は次のとおりである。 

  1. 山本議員の「倫理規範に反する行為」は極めて重大な意味をもっており、処分としては、最も重い「除籍」が妥当と考える。なお、すでに山本議員よりの離党届けが受理されているため、この処分は離党届け受理前に遡って適用するものとする。

  2. 山本議員の行為は、選挙民、納税者を裏切るものであり、議会制民主主義の基本ルールを逸脱したものである。したがって、山本譲司議員はすでに国会議員としての資質を失っており、この認識にもとづき、9月5日に常任幹事会が行なった山本議員への議員辞職勧告(倫理規則上の公職辞任勧告)は、当然の措置と考える。
     
3、党執行部への意見  本年3月7日、「民主党倫理規則」の制定にあたり、幹事長名で「本部常任幹事会をはじめ各級執行機関に対しても日常的にリーダーシップの発揮、公正かつ的確な姿勢を求める」旨の通達が出された。この通達は、倫理委員会からの「倫理規則」の答申に当たって提起された意見、すなわち「倫理規則の運用に当たっては、政治改革の推進、政治倫理及び政治資金規正を重視するとともに、執行部の責任にもとづく倫理規則違反の事前回避及び的確な指導、監督を主眼に置くべき」との意見を受けたものであった。
 しかし、今回、このことが生かされなかった結果を招いたことは、党執行部にも責任の一端があると指摘せざるを得ない。
 あわせて、今回の事態は、総選挙前に山本議員の疑惑が浮上したにもかかわらず、調査不十分なままで民主党公認候補者として容認したことが伏線となっており、この経過についても厳しい反省が求められると考える。

4、関連するその他の意見
  1. 前項でも述べたように、当倫理委員会は、「倫理規則」の制定にあたり、執行部による倫理規則違反の事前回避努力を要請したわけであるが、実際には、適正な政治資金の運用や事務所運営等について、個別の監察や研修、指導等は行われてこなかった。今後は、このような事件の再発を未然に防ぐためにも、議員・秘書に対する研修を徹底するとともに、事務所管理、秘書の人事等に関して一定のガイドラインを設けるなど、常任幹事会として必要な措置を早急にとっていただきたい。  

  2. 常任幹事会より倫理委員会への諮問される案件については、常任幹事会における事前の十分な調査が必要であるとともに、倫理委員会としての調査能力の向上が必要となっている。このため、「民主党規約」第25条に規定してあるとおり、党内外からの倫理委員の増員、とくに法律専門家等の選任を求めるものである。
      
  3. 本処分に対して、本人より不服申立てがある場合、さらには公判過程において政治的に喧伝されることも想定し、常任幹事会として、事実認識のためのさらなる調査について努力されたい。
      
以 上

2000年9月7日

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