1990/05 五月会だより No.50 ホーム主張目次たより目次前へ次へ


連合新党で作る21世紀の日本

新時代の課題は新党で!! 問われる経済大国日本の構造

ソ連、東欧、日米構造協議……世界は、そして日本は今、大きな変化の時代を迎えています。日本の政治も、こうした新しい時代への対応が求められています。先の衆議院選での結果、社会民主連合が主張してきた連合政権協議も転換点にあるといえます。そうした中で、社民連代表の江田五月は、労働界の最大組織である連合と、あらゆる職業分野の市民グループを母体とする「連合新党」づくりを提唱しています。新党の起爆剤として、今活躍が期待される江田議員に、取り組みの抱負などを聞きました。

まず、先ほどの衆院選では三回連続トップ当選、おめでとうございます。

 ありがとうございます。自分の選挙運動は半分くらいしかできず、連続トップ当選は本当にうれしい。岡山一区の有権者の皆さんが、私が訴えている政治改革を支持してくださったのだと受けとめています。

今回の選挙では社会党の大勝、公明、民社両党の敗北で江田さんが提唱してきた連合政権構想は転換点を迎えているのではないでしょうか。新たに連合新党を主張されていますが、このれらいと今後の取り組みについて、基本的な考えを聞かせて下さい。

 政治を変えるには政権交代をやらなければならない。自民党に代わって別の政治勢力が政権を担当しなければいけないわけです。その方法は二つあります。

 一つは既存の野党が腕を組むこと、もう一つは今の野党も時代遅れになってきているので、時代にふさわしい新党を作ることです。

 これまでは連合政権づくりに力を入れてきたのですが、各政党が今の体質のままで連合しようとしても、実際問題無理がある。各党とも脱皮が必要なのです。脱皮が行き着く先は新党なのだから、連合を成功させるためにも新党づくりを急いだ方がよいと考えます。

一口に新党と言っても、現実にはなかなか難しいでしょうね。

 連合政権協議の中で問題になったのは、安保、自衛隊、韓国、原発の四つの問題。日本がこれから90年代を歩んでいくのに、安保や自衛隊が政党が対立する大きな理由になるのはおかしい。ソ連や東欧にみられるように、世界が大きく動いているときに、これらの問題だけで協議が前に進まないのはダメです。しかし、実際は連合の政治になるとこれらの問題がむし返されてケンカになってしまう。そこで新党を結成することが大切になる。

日米構造協議とか、日本が取り組まねばならない新たな問題もありますね。

 日米構造協議では、大店法、独禁法、公共投資など個別のテーマはいろいろあるが、その底に流れているのは一つ。それは日本の経済や社会の構造です。例えば長時間労働、狭い家、わびしい老後などの問題。こういう生活を犠牲にして経済を大きくし、日本は世界一の経済大国になったわけです。ところが欧米は、そんなやり方はやめろといっている。欧米社会は生活しやすい国づくりをしており、下水道や歩道、公園など社会資本の整備は進んでいる。日本でもアメリカにいわれるまでもなく、当然進めて行かねばならない。それを遅らせてきたのが自民党政治。

 自民党は企業と一体になっているので、利潤追求という企業行動を優先する。大きくなった企業資産を皆で使える社会資産に変えて行かねばならない。環境問題、国際協調などに真剣に取り組む政策を作らなければならないのです。

新しい課題は新しい政党で、というわけですね。それで連合新党の実現の可能性はどうですか。

 意欲を持ってやれば何事も不可能ではないと思いたいですね。しかし、それだけではだめ。これから連合の側から新党を求める動きは強くなってくるし、国民の中からそうした声がおきてきている。市民も労働組合も新党を求めているのです。

 社会、民社、社民連が一つになり、そこに幅広い市民層に集まってもらう、こうした方向で取り組んでいくべきです。


来春までに新党のメドを 世界史は今、転換期

新党結成に向けて、どんな取り組みを進めるのですか。

 一年くらいで新党のメドを付けたいと思っています。来春の統一地方選まで今までのようなやり方で進められたら、国民も野党の政治の行方に関心さえ持たなくなってしますでしょう。自民党ではダメだから、ますます政治不信は深まる。統一地方選では、野党が足をひっぱりあうのではなく、新しいやり方で、統一候補を擁立しなければ…。

江田さんの「社会党復帰」を願う声も出ていますが…。

 政治を変えていくために何が必要かといえば、社会党も古い体質から脱皮していかねばならない。社会党も新党にならなければいけないのです。社会党復帰というと、今の社会党に戻るということになる。私は、もともと社会党ではないのだから、戻るというのはおかしい話。しかも、それでは政治を変えることにはならないので、私のいい方でいえば、「新しい時代にあった政党を新しく作る」ということ。社会党も、民社党も、社民連も、皆が新しい広場に集まって新しい政党を作ろうということです。そうでなければ、日本の政治を変えることはできない。

新しい時代を担う新しい政党を、というわけですネ。確かに世界は、「ヤルタからマルタへ」といわれるように、米ソの冷戦構造は変わり、ソ連のペレストロイカが世界情勢を大きく変えようとしている。そうした中で、日本だけが相変わらす古い構造のままでいいのかという問題がある。

 本当に世界史的な大転換期ですね。ここ一、二年の世界の動きは、例えばローマ帝国の崩壊とか、一九一七年の世界最初の社会主義国の誕生とか、そうした大きな転換期にあたる。

 米、ソそれぞれ中心にした陣営と第三世界とが争ったり、手を結んだりしてきたのが一九四五年から九〇年までの世界の構造だった。米ソはこれまで水と油のようにみられていたが、それが協力協調する時代になったのです。

 ここまで大きく変化する時期になっているのだから、日本も従来の枠組みで世界に関わるやり方はやめなければならない。例えば、安保条約は日本がアメリカ陣営についてソ連と対決するという軍事条約の性格が強いものだったが、それがこれからは変っていく。世界の大きな枠組みの中での日米間係というようになる。だから安保条約廃棄というのでなく、安保条約にどんな中身を盛りこんでいくかということが大切になる。日ソ関係だって、北方領土の問題があるが、これからは敵対国ととらえてはいけないい。友好関係を築いて、それから領土問題を話し合うという発想が必要になってきますよ。


平和・環境を大切に 市民の声を政治に反映

経済大国日本が、今後世界の中でとのような役割を果たしていくべきでしょうか。

 確かに日本は豊かになったが、これからはその恵みを世界に及ぼしていかねばなりませんね。第三世界への経済援助など、施しではなく、世界全体が豊かさを享受できるようにしていかねばならない。それも単に経済面だけでなく、地球環境問題や平和、人権問題などでも役割を果たす必要がある。

 しかし、世界は変わっているのだから、これまでの考えにとらわれていてはいけない。新しい発想で取り組んでいかねばなりませんね。

最後に、もう一点新党結成に向けての決意を。

 今の自民党政治は企業べったり。外国からは、「日本株式会社Lと批判されていますね。自民党の族議員は生産活動の分野の利益を代弁している。自民党はそうした様々な利益を調整する能力はあるが、今や、それが行きづまっている。自民党では市民、女性、高齢者の声にこたえることは無理。これからはそうした層の声を政治に反映していくことが大切です。

 世界でも日本でも、従来の枠組みにとらわれない、新しい政治が求められています。二十一世紀という新時代の新しい課題は、新しい党でなければ解決することはできない。そうした意欲をもってがんばりますよ。


 総選挙も終わり、結果は自民党の絶対安定多数ということになった。直後のNHKの世論調査では、消費税を追認した訳ではないとの回答が75%を占めたというから国民の選択の基準は、消費税でなかったといえる。参議院での逆転状況を考え合わせて昨年七月以来の社会党を中心とした野党連合の動きに、国民は新鮮な変化の魁をみて取れなかったばかりか、大小の別なく、我が党エゴイズムのぶつかり合いに、政権を担当させることの不安を感じた結果「衆議院は自民党、あくまで批判勢力として参議院では野党」という図式を国民は選んだとみられるのではないか。

 そんな中で社民連は少数とはいえ、現有勢力を保ち、支持率も倍増している。政治変革への国民の期待を読みとることができる。

 最近の報道によれば、社会党へのそねみもあってか、公民の連合政権作りにかける意欲は、大きく後退したといってよい。もはや既存の党のつなぎ合せによる野党再編は絶望的ではないか。同憂の志が、個人的に党の枠組みを越えて集まり、新党を創出していく他あるまい。その際の軸は、民主・自由・人権・環境・平和であり、良心的保守へもウイングを伸ばしたものでなければならない。

 江田五月の最近の動きもそこら辺りにあるようだ。

 裁判官から政界へ転じて十三年。明けても暮れても「野党の腕組み」をいってきたが、ここらで党から個人へ目を転ずる時期にきているように思う。最近の動きを更に進めて国民的新党を目ざして欲しい。


江田五月 注目の的  マスコミにしばしば登場

どの顔が一番似ていますか!

 ずらりとならんだ江田五月の似顔絵。新聞、雑誌から最近のものだけを集めて並べてみたらこんなにありました。どの顔が一番似ていますか。

 股裂きにあってお手あげ、顔をしかめている一枚もありますが、もう大丈夫。院内統一会派の「進歩・民主連合」も発足させ、いよいよ「連合新党」結成に向けて大活躍。

連合新党へと軌道修正

 社会党、民社党の党大会の結果をみると、私たちの目ざしてきた野党連合政権構想は、残念ながら一歩も二歩も後退しました。

 そこで江田五月と社会民主連合は、今までの山野党の接着剤・カスガイ役からもう一歩踏み出して、政界再編=連合新党づくりへと大きく軌道修正をしました。

一騎当千の仲間と共に

 予算委員会の爆弾男、楢崎弥之助国対委員長、農業問題ならピカ一の阿部昭吾書記長、外交通として名高い田英夫常任顧問、政策のエキスパート菅直人政審会長の一騎当千の侍を抱えて、連合新党結成のため、荒波高い大海原へと乗りだす江田五月。

 笑顔いっぱいの似顔絵が新聞、雑誌にあふれる時の到来を願いながら、皆さまと共に頑張りたいですね。


ご一緒しませんか 松山、道後温泉の旅
= 江田五月会旅行の御案内 =

初夏の四国路。いで湯と文学のまち 松山、道後温泉へ。江田五月と飲んで歌って楽しさいっぱいの旅行です。ぜひ 皆さま おさそいあわせの上、多数ご参加下さい。

日時 6月23・24日(土・日)/行先 四国松山、道後温泉
会費 23,000円/申込は電話か郵便で6月10日までに(必着)
募集定員150名/申込金として10,000円いただきます。残りは当日いただきます。詳しくは江田五月事務所まで


From とうきょう

新党結成に向けて勉強会

 世界は資本主義か社会主義かの体制の選択の時代から、保守主義か社会民主主義かという政策の選択の時代となってきました。江田五月の率いる社民連は政権協議よりもまず政界の再編成に着手し、連合と市民の力で、野党各党の脱皮と、「連合新党」ともいうべき新党結成をめざすこととなりました。手初めとして江田五月は、連合参議院と進民連の合同勉強会と、社会党一年生議員を中心に民社党議員も含めた超党派による勉強会の二つをスタートさせました。

 連合参議院との合同勉強会は去る3月18、19の両日神奈川県大磯町で開かれ、(1)「どうなる日米関係−今後の構造協議をめぐって」(船橋洋一朝日新聞編集委員)(2)「マルタ会議後の日本の進路−冷戦終了後の日本外交」(佐々木毅東大教授)、(3)「野党陣営の再構築について」(山岸章連合会長)の各講演と、議員の自由な意見交換が行なわれました。

 一方若手議員による勉強会は、4月6日、「九〇年代の世界の動きと日本の役割」(猪口邦子上智大学教授)、4月19日、「日本の財政の現状と課題」(中島義雄大蔵省主計局総務課長)の二回開かれ、フランクでフレンドリーな勉強会と好評を集めており、今後隔週木曜日に朝食会形式で行なうことが確認されました。

江田五月は商工委員会に所属

 院内会派の進歩民主連合の結成に伴ない、文教委員から商工委員へと所属が変わりました。商工委員会は、今話題の日米構造協議やスーパー301条問題、貿易問題の他、公害問題、中小企業問題等幅広く商工業問題を取扱う委員会です。早速、4月18日には、「構造協議の情報公開を求める」と鋭く武藤通産大臣に問題提起しました。どしどし御意見、御要望をおよせ下さい。

外国大使とひんばんに会見

 野党議員の中でも指折りの国際派議員の江田五月に、今後の政治状況についての会見申し込みが殺到しています。3月、4月だけでも、スペイン大使、中国公使、カナダ大使、フランス大使、ドイツ大使など。またBBCをはじめとする外国通信社からの取材申し込みもひんぱんです。

カナダの国会で働いてみませんか?

 去る4月10日にカナダ大使との昼食の席ででた話題。「カナダの国会議員の事務所で働きたい女性がいたらいつでもどうぞ」

 チョッピリ英語に自信のある女性。森と湖の国カナダであなたも働いてみませんか。(問い合わせ先 江田五月東京事務所 担当江田洋一)


選挙を終えて楽しいひととき  パーティー開く

 おつかれさん。おめでとう。よかったね。そんな言葉が飛びかった一日でした。江田五月を囲んで多くの人々が集まりました。

 3月21日午後、岡山ロイヤルホテルの会場は和やかな雰囲気に包まれ、乾杯の輪が次々と広がりました。会は江田五月会々長の河原太郎の挨拶ではじまり、今の政治状況を変えるため、「連合新党」への道を探るという政治家江田五月の方針が承認されました。その後は、江田のバイオリン演奏も飛び出して、楽しい一時を過ごすことができました。


投書  岡山市中島 別俊 進

 百間川にゴルフ場をつくる計画が昨年発表きれて、私の住んでいる地域で反対運動が起きています。

 行政側は、地元は同意したといいますが、余りにもそれは形式的です。ごく一部の人は了解したかもしれませんが、大部分の人にとっては寝耳に水です。こんな事が罷り通るようなら、民主主義は見せかけだけだといえます。

 何といっても、ゴルフ場にまかれる農薬が問題です。環境アセスメントで安全を確認すると行政はいいますが、本当にできるのでしょうか。水俣病の公害認定でも、30年かかりました。この種の安全性については、何十年という期間で検討されなくてはなりません。

 地元の主婦が中心になって反対署名を集めています。市民運動で自然環境を守りたいと頑張っていますので、どうか応援して下さい。


社民連全国代表者会議

 社民連全国代表者会議が3月26日、東京全共済ビルで開かれ、岡山からは、大亀書記長と寺田副代表が出席しました。中心テーマは総選挙の総括と、新しい政局に対する社民連としての政治方針を協議することでした。

 もっとも論争になったのは、楢崎提案の、「国民連合政権実現のための社民連の提案」でした。この楢崎提案は三つの柱で構成されています。
 第一は、既成政党の枠を乗り越えた、「連合+市民」の総結集による連合新党の結成を、今こそ提唱すべきだ。
 第二は、消費税廃止法案のような四党共同提案の法律をどんどん作り、政策連合を進め、共通の広場を拡大しながら、国民連合政権へ発展させていくべきだ。
 第三は、四党結集の障害となっている安保、自衛隊、原発、対韓国問題については大胆な発想で対応し、安保については、「日米安保活用論」の立場を、自衛隊については、「八条件つき合憲論」の立場をとるべきだ。

 楢崎提案は激しい論争になりましたが、大枠承認されました。

 江田代表は挨拶の中で、「ここ1、2年が社民連にとっては正念場である。来年の統一地方選挙、二年後の参議院選挙で、特に一名区で野党が対立のまま選挙に臨めば、革新野党の大敗は必至だと思う。社民連は今こそ連合新党の結成をめざして奮闘すべきだ」と挨拶、全国の仲間も万雷の拍手でこれを承認、奮闘を誓いあいました。


新人秘書  若井たつ子

 江田五月の秘書として、初めて女性が登場しました。

 秘書の仕事は時間の制限がない上、あの細い体で大丈夫だろうか、という周囲の声を、「いやよくやるわ」に変えさせてしまいました。

 本人の声、「女性ということは意識せず、早く一人前になりたい。皆さん、温かく見守って下きいね。」 趣味は乗馬にスキー。血液型はB。さそり座。独身。


森秘書退職
 六ケ年にわたって、江田五月の秘書として活躍した森利行氏がこのたび退職することになりました。今後は、司法書士事務所を開設します。


編集後記
五月会だよりも、今号で五十回目の発行となりました。これもひとえに皆様のご協力のお陰でございます。本当にありがとうございました。1978年の第一回発行以来、幾多の紆余曲折をへながら今日に至りました。今後共、紙面の充実に努め、皆様に愛され親しまれる五月会だよりを目ざします。何卒、よろしくお願い致します。
(編集子一同)


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