江田五月 活動日誌 2002/01 目次 戻る


1月19日(土) 2002年度民主党定期大会 (民主党ニュース)

小泉政権への対決姿勢鮮明に 「行動する政党の姿を示そう」

 民主党は19日、東京のホテル・オークラで2002年度民主党定期大会を開催した。会場には党所属国会議員、全国からの代議員、特別代議員、来賓や傍聴者など約800人が集まった。

 武正公一総務局次長の司会で、まず大会実行委員長の江田五月参議院議員が、「日本は試練どころか、もう大変な危機的状況だ。こういうときに大会を開く民主党は、国民に対して、歴史に対して負っている責任は重いものがある。わが党をより強く、よりたくましく、そして政権交代を担い得る政党へと成長させていく、これは我々の共同責任だ」と大会への協力を呼びかけた。

 続いて、土肥隆一衆議院議員と小宮山洋子参議院議員が議長に選任され、出席した大会代議員数を確認し、定期大会の成立を宣言、議事を進めた。

政権交代目指す政党の歴史的使命自覚しよう=鳩山代表

 まず、鳩山由紀夫代表が登壇し、「小泉政権を打倒しなければこの国の未来を見いだすことはできない。政権交代あるのみだ」と力強く小泉政権打倒への意気込みを語った。

 鳩山代表は会場に事前に配布された原稿には一瞥もくれず、まず、結党からの4年間を振り返り、「民主党は、自民党政権では果たし得ないこの国の再生に向けての力を結集するために、自民党政権を終焉させる目的で二大政党政治の実現から、政権交代をめざして立ち上がった政党だ」として、「大きな歴史的な使命を負うていると自覚をしなければならない」と強調。

 西郷隆盛の遺訓「命もいらず、名もいらず、官位も金も望まざる者ほど御しがたきものはなし。しかれども、この御しがたきものにあらざれば、国家の大業を計るべからず」を引用しながら、「鳩山は国民のために命を捨てろと言われるなら、喜んで命を捨てる。名もポストもいらない。与えられた9月までの任期を、自らそのときまでと区切りながら、全力を果たしていきたい」と、日本の再生と党の一体化へ全力を尽くす自らの決意を強い口調で語った。

 続いて、鳩山代表は、年末から年始にかけてのアフガニスタン、パキスタン、インド歴訪の成果を紹介しながら、「野党外交の限界はあるが、“野党だからできない”のではなく、むしろ“野党の私たちならばできる”外交もあるのだと自覚すべきだ。できる限り行動する民主党の姿を、外交・内政、ともに考えながら見つけていきたい」と宣言。

 また、アジア歴訪によって、「友愛」が世界のキーワードになりつつあると指摘。「人と人が、人と自然が、また日本と世界が、それぞれ自立を求めながら共生をしていく“友愛”の理想の姿を、あらためて新しい価値として創造し、定着させていきたい」と語り、その理想を柱にすえた「教育・環境・介護」などの政策の事例を示しながら、「新しい価値観を政治家が訴え続けることによって、新しい産業、日本の経済を大きく動かすことすらできる」と参加者に語りかけた。

政権交代なくして この国の未来はない

 挨拶の後半で鳩山代表は、「昨年、小泉氏が首相になって、私たちが主張していた構造改革を小泉総理がやるという、その言葉を信じようとした。8か月たったが、すべての指標はその当時よりもさらに悪くなっている」と指摘。

 そして、小泉改革の欠陥として、「自民党の後ろだてがある限り、あらゆるものが後退を余儀なくされる」「小泉改革は冷たい構造改革。既得権をもつ者よりも、一般国民が先に痛みを味わっている」「経済政策がなく、不良債権処理はスローペースでタイミングも悪い。どのような日本をつくろうとしているのか姿すら見えない」と数え上げ、「大きな欠陥を持った内閣を、民主党の総意で、小泉内閣を打倒しなければこの国の未来は見出すことはできない。政権交代なくして、この国の未来をつかむことはできない」とひときわ言葉に力を込めた。

 鳩山代表は、そのための方策として、まず国会での野党共闘をあげ、「BSE(狂牛病)問題やスキャンダルなどに対する厳しい姿勢を野党共闘の中で実現したい」と述べた。また、民主党自体の力をつけるために、衆議院の300小選挙区すべてに候補者を擁立する方針や、従来の支持者からの一層の党支持層の拡大を重ねて強調した。

 最後に鳩山代表は、「小泉首相は江戸末期の15代将軍徳川慶喜とそっくりだ。本人は改革の意思を持って、古い殻を破らなければならないと努力をしたが、徳川家が実権を握っている限り、大きな古い体制は変わらない。だから倒幕しかないと西郷隆盛は決起した」と述べ、古い体制を存続させるだけの小泉自民党内閣を選挙によって倒すため最善の努力と共に闘うことを誓って、スピーチを締めくくった。

<来賓のメッセージ>
不良債権処理より不良政権駆逐を急げ 連合 笹森清会長

 連合の笹森清会長は、鳩山代表の決意を聞き、「民主党にもっと大きく強くなってほしいとの思いを改めて認識した」と前置き。その上で、「村山内閣から橋本内閣に政権交代して以来、自民党政権はたった5年で、日本経済を窮状に陥れた」と指摘。「民主党はこの事実を十分認識し、政権を変えなければならないという課題を重く受け止めるべきだ」とした。

 また、構造改革後のビジョンを示すのが政治であり、政権政党の役割だと指摘。その役割を率先して行うよう民主党への期待感を示し、「不良債権処理を急ぐより不良政権駆逐を急ぐべきだ」と提言した。

 笹森会長は「連合が求めているのは自民党に代わって、日本と国民のために行動することを中心軸に据えた新しい政権。働いている人が現役と老後に不安を抱かない社会をつくるために、民主党に基軸になってほしい」とし、支持を改めて明言した。

経済再生に政治と経済が協力して 経団連参与 内田公三氏

 内田氏は今井敬会長の代理としてメッセージを読み上げ、「一刻も早い経済再生には政治と経済界が協力して構造改革を進めることが何よりも重要だ」と提言。「政治のリーダーシップが問われるなか、政権担当能力のある複数の政党が国民に対して中長期的ビジョンと具体的な政策提示が必要だ」とし、民主党への期待感を示した。

政党は本当のインタレストをつかめ 専修大学 正村公宏教授

 続けて登壇した専修大学の正村公宏教授は「本当のインタレストを代表する政治運動が日本には欠けている」とし、民主党がそれを担う場合は協力すると前置き。

 正村教授は、日本が経済だけでなく社会も危機的状況にあると分析。なかでも大きな問題は、「子どもたちが自分の力で社会をつくり、生きぬく能力を身につけられないでいることだ」と指摘した。国民の多くが将来への不安を覚えつつある今、50年100年先を展望したインタレストを代表することが政党の役割であると述べた。

 その実現に向けての3つのポイントとして、第一に、本当の改革とは何かを考えなければならないとし、小泉改革は過去の失政の後始末にすぎないと分析した。そして、後始末後にどう建てなおすかのビジョンが見えないと小泉政権に対し、民主党こそはきちんとした提示が必要だとした。

 第二に、資源を浪費し、自然や子どもたちをダメにしてしまった20世紀型とはちがう、資源・環境・人間重視の社会づくりを提言した。

 第三に、「危機は岐路でもあり、チャンスでもある」と述べ、チャンスをつかむには、的確な状況認識が必要だとし、状況をアクティブに作り変える創造力がモノをいうとの見方を示した。「その力をつけるための知的な努力を惜しんではならない」と熱弁をふるった。

女性の候補者をどんどん支援したい WINWIN運営委員 落合良さん

 最後に登壇したWINWIN(Women In New World, International Network)運営委員の落合さんは、女性を政治の場へ送り出すために、資金面で支援する超党派のネットワークWINWINの活動を紹介。

 そして、「男性が実力ある女性と結びついて、パートナーシップですばらしい仕事をしていただくように、女性の候補者をどんどん発掘し支援していきたい。これは男性だけの幸せとか女性だけの幸せじゃなくて、男女ともに幸せになるためのもの」とし、男女共同参画時代をリードする民主党が起こす変化に期待したいとして、エールを送った。

地方組織の強化、党員・サポーター充実めざす
菅幹事長が活動方針案提起

 活動方針案を提案した菅直人幹事長は、小泉政権を映画「タイタニック」になぞらえ、「新鋭船・小泉タイタニック号で昨年4月に船出してやってきたが、日本国民もろとも氷山にぶつかり、太平洋に沈みかねない状況にある」と分析。今こそ船長を解任し、日本の舵取りを民主党が担うときにきているとし、その船出が今大会であると位置づけた。

 菅幹事長は「今年の方針として、第一に自由民主党・小泉政権に対峙・対抗し、政権交代をめざしていく」と宣言。

 第二にそれを実行する手立てとして、衆議院300小選挙区にすべて候補者を立てていくとの方針を示し、その候補者擁立のため国会議員・地元組織一丸となって活動していくことを確認した。

 第三には、結党以来の課題である地方組織の強化や、党員と、準党員に相当する「サポーター」の合計数を現在の3万数千人から10万人に増やすことを目標にするとした。

<質疑>
生活実感伝わる政策うちだせ
女性の顔の見える党運営を

 質疑では、5名の代議員が発言した。

 北海道の佐々木隆博代議員は、「民主党に対する女性の支持率が低いのは、生活実感が伝わるような政策を打ち出していないことが原因」と指摘。そうした政策をつくるため、党中央も地方の現場に入って一緒に行動し、意見を吸収することなどが必要だ、と問題提起した。また、あっせん利得法改正問題への党の対応として、私設秘書への適用範囲拡大など厳格化を求めるべきだとした。

 京都府の北岡ちはる代議員は、自治体議員擁立への支援をめぐって、女性だけでなくすべての新人に支援を広げるよう要請。

 千葉県の生方幸夫代議員は、小泉政権と対決する路線に変わったのなら、執行部はそれまでの路線を総括すべきだと提起するとともに、今後は他の野党との選挙協力も視野に入れた方がいいとの考えを述べた。

 福岡県の藤田一枝特別代議員は、民主党には多くの優れた女性議員がいるのに、その存在が見えないと問題提起。アフガニスタン難民支援など党の主な活動では、常に女性の姿が見えるようにし、行動する民主党のイメージとして定着させるべきだと述べた。

 滋賀県の朝倉克己代議員は、衆院選挙区の区割り問題で、自民党が選挙区画定審議会の勧告を無視して党利党略による区割り案を検討しているのをいかに粉砕するのか、と執行部に質した。

野党共闘は政策ごとの提携から
菅幹事長の答弁

 答弁に立った菅幹事長は、まず生活実感に訴えることが足りないという指摘に対して「努力しているが、充分とは言えない」と述べ、雇用問題やBSE問題などで国民の悩みや不安を共有する姿勢を具体的に示していきたい、とした。あっせん利得法改正問題では、法律を骨抜きにさせないために与党への対案を準備していることを明らかにした。

 自治体議員に対する支援をめぐっては、自治体議員の横のネットワークづくりを進めるとともに、各地方(ブロック)で1日ネクストキャビネットを開催するなどの取り組みも検討していることを明らかにした。小泉内閣に対するスタンスについては、昨年からの議論を通じて、これと対峙・対決し“選挙による倒幕”を目指すことで一致してきたと考える、と述べた。

 野党共闘のあり方については、政策ごとの連携や勉強会など種々の共同の取り組みを始めている段階であり、選挙協力を否定するものではないが、まだそういう段階ではない、とした。

 さらに、女性議員の存在感をアピールすることに関しては、女性議員たちの側から有効な方策を積極的に提案してもらえれば、どんどん取り入れていきたい、と呼びかけた。衆院選挙区の区割り問題については、まずは選挙区画定審議会の勧告通りの改正を求めていくとし、与党がそうした改正案を出さない場合には野党で共同提案することも含めて考える、と述べた。

危機に瀕する日本救うため全力で行動しよう
羽田特別代表が締めくくり

 続いて、議案採択に移り、提案された3つの議案が満場の拍手で承認された。討論の熱気が冷めやらぬ中、羽田孜特別代表が登壇し、締めくくりの挨拶を行った。特別代表は「議論は大事だ。しかしそれだけでなく、議論に基づいて行動して初めて一つに結束していることを示すこともできる。今日ここで、危機に瀕する日本を救うために全力で行動する覚悟を確認しよう」と力強く呼びかけた。

 最後に、石井一副代表の音頭のもとに会場全体で「ガンバロウ」と唱和して決意をうち固め、大会を終えた。


写真提供:ほりこしちよこさん

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