2003年11月21日(金) >>菅直人代表の記者会見録 戻るホーム記者会見目次

岡田克也幹事長 定例記者会見要旨

○所信表明なき特別国会:憲政史上稀に見る事態、総理は国民の顔を見ていない
来週の予算委では、所信表明をしない総理に対し内政・外交の基本を質す
道路公団の新総裁が力量を発揮できる体制を政治がきちんとつくることが大事
参院選:候補者擁立を進めながら、政権党として国民の信頼を得るべく努める
田中真紀子議員には、外相経験者として川口外相と大いに議論してもらいたい
新人議員が地元の一般有権者と触れ合い議論することが次の選挙につながる
他党への投票依頼が事実なら、党のルールに従った措置が必要になる
マニフェストで示した政策は、現実的判断をしながら適宜具体化していく
大阪府知事選:府連の判断を待って、党としての対応を決める

■所信表明なき特別国会

【幹事長】まず、特別国会も始まって予算委員会の日程も粗々決まったようですが、火曜日に我が党は代表と私、そして山岡議員が質問するということで考えています。

 これから具体的な質問の調整をしたいと思いますが、とにかく本来であれば所信表明を行うべきところ、それを飛ばして、しかもわずか半日の予算委員会で済ましてしまおうということですから、国民から逃げていると言われても仕方がありません。

 自民党総裁規定によれば、これから3年間の任期があるわけですから、3年間で総理として自らが何をするのかということについて、しっかり国民に対して述べるいい機会であったにもかかわらず、その機会を自ら封じてしまったということは考えがたいことです。すでに、国民に顔が向いていない総理であるということがはっきりしたと思います。

 過去の例を調べましても、1つだけの例外を除いて、総選挙の後には必ず特別国会または臨時国会で所信表明をしています。1つだけの例外というのは、三木内閣の任期満了で総選挙が行われ、その後内閣が代わった、総理が代わったケースです。

 そのケースだけは通常国会での施政方針演説まで少し時間が開きましたが、それ以外では私の調べた限り、必ず特別国会、臨時国会を開催して所信表明をしていますので、臨時国会も開かないと総理は言っているわけですから、これは前代未聞のことが起こる、憲政史上稀に見る出来事ことが起こるということだと思います。

 そういったことついて猛省を求めますし、我々としてはきちんと臨時国会を開いて所信表明を行い、そして代表質問と予算委員会質疑を行うよう強く求めていきたいと考えています。

■テロの続発と自衛隊派遣

【幹事長】次に、いろいろとテロが続発しています。当然、予算委員会でも議論になりますが、イラクへの自衛隊の派遣がますます適切でない状況になっていますので、自衛隊を派遣しないということを直ちにきちんと意思決定するように予算委員会を含めて求めていきたいと考えています。

■予算委員会質疑の内容

【幹事長】それから、予算委員会でどういうことを議論するかということは、これから代表とも相談したいと思っていますが、私としてはそういった所信表明がない状態での予算委員会ですから、具体論・各論もさることながら――もちろん道路公団やイラクへの自衛隊派遣、年金制度改革などもやりますが――総理の所信表明がないというなかで、内政・外交の基本についてきちんと議論したいと考えています。

<質疑応答>

■国民保護法制の要旨

【記者】今日、政府が「国民保護法制の要旨」を決定・公表しました。「大規模テロにも準用する」といった記述もありますが、幹事長の感想というか、どういうところに問題があるかご指摘いただきたいというのが1点と、今後通常国会などで民主党はこの国民保護法制についてどのような立場で取り組んでいく考えかお聞かせください。

【幹事長】私はまだ中身を見ていませんが、「大規模テロを含めて」というのは、そもそも現在の武力事態対処法自体に大規模テロが入っているのか、入っていないのかはっきりしない状態で、大規模テロは武力事態に入るという議論もあったと思いますので、ちょっとコメントは差し控えたいと思います。これからをよく見て申し上げたいと思います。

 ただ、次の通常国会の中で大いに議論をし、そして基本的人権にも配慮したものとして成立をさせるということは必要なことだと考えています。

■道路公団新総裁人事

【記者】道路公団の近藤新総裁について、「参議院議員任期の途中で」という批判もありましたけれども、そういったことも含めて、新総裁決定の一連の経緯をご覧になってどうお感じになっていられるか、予算委員会でもぶつけられるかもしれませんが教えてください。

【幹事長】経済界の皆さん、特に経団連の皆さんが異論を述べておられるのは、これは自民党と経団連との問題ですから、経団連としては自らの代表を出そうということで参院選でカネも出し、汗も流したなかで、近藤さんが簡単に議員を辞めてしまったことに対する批判だと思います。それは民主党の立場でどうこう言うことではありません。

 ただ、非常に中途半端な人選だったと思いますし、自ら道路公団についてはほとんど分からないということを言われている方ですし、そして何より問題なのは道路公団の総裁が本当にきちんと力量が発揮できるだけのバックアップ体制ができているのかということです。

 それはこれから予算委員会の中で議論していくことではありますが、例えば整備計画路線について、採算の悪いものは造らないということを新総裁も言われているようですが、それは新総裁の前にきちんと政治が判断すべきことで、本来、民営化の最大の意味というのは無駄な道路を造らないことにあったはずで、公団が無駄な道路も含めて造らせられるということになれば民営化などできないわけです。

 あるいは公団がやらないにしても整備計画路線を全てをやるんだと公明党などはマニフェストで述べていますが、そういったことについて、総理として、まずきちんと判断を下さないと、いつまで経っても議論が煮詰まっていかないと思います。そういったことを恐らく予算委員会でも議論することになると思います。

■参院選の位置付けと取り組み

【記者】来年夏の参院選についてですが、これからどういったスケジュールで候補者擁立をしていくのかということと、政権交代に向けた参院選の位置付けについてお聞かせ下さい。

【幹事長】まずスケジュールですけれども、なるべく早く候補者を決める必要があります。したがってまず、来週には複数区でまだ候補者を決めていない都道府県連を呼んでヒアリングをし、早く決めるように指示を出すつもりです。引き続いてまた、当選可能性が高い1人区について、来週にも呼んで年内に決めてくれといことを強く申し上げるつもりです。

 5年前の選挙は民主党としてはかなりいい結果を出したものですので、それをさらに上乗せしていくというのは現実なかなか難しい問題ではあります。ただ、1人区でどこまで勝てるかということが重要だと思います。複数区は当然1人は通るということになりますが、もちろん2人出して2人通るという複数区もあるかもしれませんが、愛知などは現に2人立てていますが、重要なのは1人区でどれくらい取れるか。

 例えば新潟県とか滋賀県とか、滋賀県は衆院選の4選挙区の中で3つは小選挙区を取っているわけですね。そして1人は惜敗率で上がって、4つとも埋まっているわけです。奈良も4つのうち2つを取りました。

 それから、前回2年前の参議院選挙で1人区を制した三重、岩手といったところを中心に、1人区でどれだけ勝てるかということで、上乗せができるかどうか決まってきます。

 5年前には複数区だったところが1人区になったところもありますので、厳しいところもありますが何とか上乗せができるように頑張っていきたいと思います。

■参院選に向けての政権戦略

【記者】先ほどの参議院選のことにちょっと絡みますが、自公政権になったことを受けて、来年の参院選を目指して、どういうふうに政権批判というか戦略を立てていくのかということをお聞かせ下さい。

【幹事長】1つは大いに国会の場で論争・議論していくことだと思います。批判のための批判ではなくて、きちんと対案を示しながら批判をしていきたいと思います。

 そのときに、1つの基準といいますか我々の示したマニフェスト、これを全ての候補者が前面に立てて選挙を戦ったわけで、これを1つのよすがとしながら大いに議論をしていきたいと思います。

 もう1つは幹事長としていい候補者を立てるということも重要ですし、同時に民主党が政権を任されて大丈夫だという信頼感を得られるように、党の中をしっかりまとめていくということは非常に重要なことだと思っています。

 そういったことの全体の結果として参議院選挙で議席を増やし、次なる総選挙に向けての重要なステップにするということです。

■田中真紀子議員の外務委員会配属

【記者】田中真紀子さんが外務委員ということになって、田中さん、小沢さんと人材もかなり揃ってきたと思うんですが、来年の通常国会では川口大臣との新旧大臣対決もあるかもしれませんが、外務委員になった田中真紀子さんに対する期待感を改めてお聞かせください。

【幹事長】真紀子さんは会派に参加されたわけで、民主党そのものではないのですが、非常に国民の考え方ということを捉えて非常にメリハリのある力のある発言をされる方です。

 今回外務委員になられたわけですが、大臣経験者として一般の国民の知らないこと、あるいは我々外から見ていて分からないこともご存じなわけですから、例えば機密費の問題などそういったことも含めて、外務委員会において川口外務大臣と大いに論戦していただきたいと期待しているところです。

■新人議員の政治基盤強化

【記者】今回の総選挙で当選された58名が新人の方ですが、今後新人議員のトレーニングといいますか研修みたいなことを具体的にどういうプランでお考えなのかお聞かせください。

【幹事長】それぞれ国民に選ばれた国会議員ですから、トレーニングという言い方は私は好きじゃありませんが、この前私と政調会長、国対委員長のところで、まず基本のところについてお話をさせていただきました。

 いろいろな機会を見て、そういった国会議員として、あるいは政治家として活動する際の基本になることについてはしっかりと理解していただけるように機会をつくっていきたいと思います。

 同時に、やはりそういった58人の皆さんが次は選挙区で全員勝つということが政権交代につながるわけで、日常の地元における活動も含めてこれから具体的にいろいろ申し上げていきたいと考えています。まだどういう組織でとか、そういうことは詰めていません。

【記者】それはこれから地元での組織づくりとか組織固めみたいなことを念頭に置かれているんでしょうか。

【幹事長】そういうことも含めてですね。やはり我々も選挙戦で全国の選挙区を回っていて、そういった自前の支援者のネットワークというのを作り得ていないという方もかなりいらっしゃいましたので、最初は民主党という名前と支援団体その他の支援の中で当選ができても、2回目以降はそういうわけにはいきません。特に接戦になればますます地力の差が出ます。

 相手は自民党の既存の支持者に加えて公明党支持者という二段重ねの布陣ですから、それを乗り越えていくということは相当な日常活動が必要になりますのでそういったことについてしっかりと理解をしていただけるように、我々も申し上げていきたいと思っています。

 そういうふうに日常活動、例えば私の例でいえば地域での後援会づくり、あるいは座談会、タウンミーティングと言えばより聞こえがいいかもしれませんが、普通の有権者との普段の意見交換や対話を通じて政治に求められているものということが理解されてくるわけで、そういった日常活動の結果いろんなことができるわけです。

 そういったことについて、従来はどちらかというと自民党議員の専売特許のようなところがあります。最近は自民党の議員すらそういうことをやっていない、単なる業界団体の上に乗っかっているだけの議員も多いと思いますが、一般の市民の皆さんとしっかり議論できる、触れ合うことができるような、そういう日常活動を多くの議員や候補者ができるように示唆していきたいと思っています。そのことが選挙にもつながるということですね。

■総選挙における他党への投票依頼

【記者】今回の衆院選で公明党との関係で、民主党の中に「比例代表は公明党で」という訴えをした方がいたという話で、具体的には東京10区の鮫島さんについては都連から厳正な対応を求めるといった要望を幹事長にしたと伺っています。鮫島さんのケースも含めて、この問題について実情をどの程度把握されているのか、それから今後の対応についてお聞かせください。

【幹事長】実情の把握は現在努めている最中です。そういう中で、もし今の党のルールに反するようなケースが出てくれば、党のルールに従って措置していかなければいけないと考えています。

 比例は何々党へということで、候補者が民主党以外のところをお願いしたという明らかな証拠があれば、それは党のルールに反していますので、そういうケースが本当にあるのかどうかということを精査していきたいと思います。

 自民党の場合には明らかにそういうケースが非常にたくさんあったわけですが、我が党としては他党を利する行為というのはしてはならないことになっていますし、しかも選挙戦の最中の話ですのでそういうケースが明確な証拠をもってあれば一定の対応が必要になってくると考えています。まずそういうケースがあるのかどうかについて、現在作業を始めたところです。

【記者】鮫島さんについては都連から報告があったと思いますが、現在なお調査中なのか、その辺はどうなんでしょうか。

【幹事長】よく話を聞いてみないといけないですね。まだそこまで行ってません。1人だけなのか他にもおられるのかということも含めて、対応が必要ですから。

■自衛隊を派遣しない場合の海外からの批判

【記者】イラクへの自衛隊派遣について、民主党は出すなという主張ですが、これに対してすでに出している国、例えばイタリア、オランダ、オーストラリア、韓国、そしてもちろんイギリスなどがありますが、そこから危ない仕事を自分たちにさせて何もしないという批判が出てきた場合にどのようにお答えになりますか。

【幹事長】日本には憲法9条があるということです。武力行使には参加しないというのが日本国憲法ですから、戦闘地域と非戦闘地域の区別ができないなかでは、それは武力行使に該当する。そこは政府も同じだと思うんですね。

 戦闘地域と非戦闘地域に分けられるということで政府は説明しているわけですが、分けられないとなった瞬間にそれは憲法9条との関係が出てきます。もし、それでも自衛隊を派遣しろということになると、憲法そのものを考えるということにならざるを得ないと思います。

■新たな党人事体制

【記者】参院選に関連して先ほど、党をきちんとまとめていきたいというお話がありましたが、人事について菅代表は特別国会が終わるころまでには決めたいということをおっしゃっていましたが、幹事長ご自身としては特に旧自由党の小沢さんの処遇も含めて、どういう体制で今後通常国会を経て、参院選に臨むのが望ましいとお考えでしょうか。

【幹事長】私は個別の話はしません。ただ、1つは党の組織そのものが今のままでいいかとどうかということについても、再検討しているところです。

 それから、個別の人事のことは申し上げませんが、やはり政党組織ですから意思決定すべき場で意思決定をするという形が必要ですので、そういう意味では旧自由党に所属されていた皆さんもそういう意思決定の場に入っていただいて、そしてもちろん決めたことにはそれに基づいて行動していただくという、組織として当然のことを実行できるような形が必要だと思っています。一般論で申し上げます。

■今後のマニフェストの取り扱い

【記者】マニフェストの件ですが、政権を取った場合にこういうことを実行しますという中身ですが、今後対案という形で出していくのかということと、例えば政治資金の問題であれば民主党だけで自主的な対応も可能かと思うのですが、そういったことについてはどうされるのか。有権者は投票したけれども、その場限りのことでしたよということだと問題があると思うんですが、その辺りご説明ください。

【幹事長】もちろん、基本は我々が政権を取った場合にそれを実現するというのがマニフェストですので、政権を取れなかったという現実がありますから、次に政権を取るときまでにそのマニフェストをバージョンアップしてもう一度世に問うということが基本です。

 ただ、国会の論戦の中でそのマニフェストに書かれたことについて議員立法をして政府・与党にぶつけていく、少しでも実現を図るということは必要なことですから、それは折に触れてそういったことを考えていきたいと思います。

 最後におっしゃった点はなかなか難しい問題ですが、政党として同じ土俵の上で競争をしているときに、自らどんどん手足を縛っていけば政権は遠のいてしまう場合もあるかもしれません。そういう点については現実的な判断をしながら考えていくということで、十分ご理解いただけるものだと思っています。

■大阪府知事選への対応

【記者】民主党の江本参議院議員が大阪府知事選に出馬する考えを正式に表明されましたが、党としての対応をお聞かせください。

【幹事長】参議院の執行部でいろいろ慰留に努めたようですが、どうしても出られるという決意が固くて今日の記者会見になったということです。我々は一緒にやってきた仲間ですから、参議院を辞めて知事選に出られることは非常に残念なことだと思っています。

 今後、党として大阪府知事選についてどういう対応をするかということについては、党のルールに従って、大阪府連からのどういうことで上がってくるのか、今週末ぐらいに府連で議論をするということも聞いていますので、それを待って判断をしたいと思います。

 一般論でいえば、江本さん以外の人を推薦ということで府連から上がってきて、常任幹事会で議論した結果推薦ということになれば、それは江本さんはかつての仲間だったとしても応援できないということになりますが、江本さん自身が推薦を希望するということはどうもなさそうです。

 もう1つのケースは推薦ということが上がってこない状態、誰も推薦ということが上がってこないという状態、あるいは上がってきても誰も推薦しないと決めるということも考えられます。そのときは基本的に個々の議員の判断に委ねるということになります。いずれにしても府連の対応をまず見極めたうえで、常幹で議論するということになると思います。

 今申し上げたことを、昨日太田知事にも一般論で申し上げておきました。


編集/民主党役員室


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