2003年10月16日(木) >>菅直人代表の記者会見録 戻るホーム記者会見目次

岡田克也幹事長 定例記者会見要旨

○総選挙前哨戦:「政権選択の選挙」という期待感がひしひしと伝わってくる
自民党が民主党マニフェストを誹謗中傷するのは残念、政策本位の議論を
イラク復興資金:何に、どういう形で使うのか、まず国民に説明すべき
日米首脳会談では、イラク戦争の大義や先制攻撃論について議論を
石原大臣がイニシャルを挙げないなら、同僚議員をかばっていると言われても仕方ない
参院補選:磨きのかかってきた候補者の良さが周知されれば勝利できる
藤井総裁問題について、参議院で閉会中審査を求めたい
比例区調整は断腸の思いで職務を遂行、しかし若い新人に道を開けた

■総選挙前哨戦の手応え

【幹事長】解散になりまして、選挙戦もまだ本番ではないんですが、本番のように各候補者も動き出していると思います。

 私も連日、各地域を回っていますが、今日はこれから神奈川ということで、嬉しいのは解散後初めて、地元に夜入れるということです。 若干地元のことが気になっていますので、明日は1日地元に行ってきます。

 そういう中で、日々実感するのは、やはり今度の選挙はいつもと違うんだと。政権を選択する選挙だと。そういう国民の皆さんの期待感といいますか、気持ちはひしひしと伝わってきます。

 同時に、我々はマニフェスト(政権公約)を出しましたが、そのマニフェストに対する関心も、非常に強いものがあると考えていますので、いつもの選挙とはだいぶ状況が違うのかなと。

 例えば、選挙区においても、自らの掲げる公約を訴えるというよりは、党のマニフェストを正面から訴えていくという、少なくとも民主党はそうなりつつあるという感じがします。

 マニフェストについてのパンフレットといいますか、簡単な資料も作っていますが、随分それぞれの地域から増刷要求が出ていまして、民主党の資料としては非常に珍しいんですが、嬉しい悲鳴を上げていると。つまり、各候補者がそれぞれの地元で使っておられるということです。

 使っているということはニーズがあるということで、いつもの選挙とは違うという気がします。そういう中で、政権選択のための選挙、何か大きなものが動き出したと思っています。

 自民党のほうも、小泉さんが記者会見をして政権公約を出されましたけれども、もう少しサプライズがあると思っていたんですが、出ていた案とほとんど変わらない代物です。

 個々のことは中身で申し上げるべきだと思いますが、郵政民営化のところも、改革法案を再来年に提出するという小泉さんの総裁選挙での公約が入っていなかったり、道路公団民営化についても具体策が書いてなかったり、かなり不十分なものであると受け止めています。

 この「マニフェスト選挙」をやっていくなかでやや残念なことは、私は街頭演説でも申し上げているんですが、「絵に描いた餅」だとか「ショーウィンドウのアイスクリームみたいなもの」だとか「絵空事」だとか、そういう誹謗中傷、汚い言葉を投げつけるようなやり方を、安倍幹事長始め自民党幹部の皆さんがやっておられることは非常に残念。

 やはり具体的中身で、どこが実現不可能なのかということを明確に述べていただいて、そしてお互いより良い議論をしていきたいと。

 選挙でそういった政策論議が深まるなかで、どちらが政権政党として相応しいかということを国民の皆さんに選択していただけるわけで、特に、若い安倍さんには、そういう従来のやり方ではなくて、政策本位の選挙をやりましょうと言っておきたいと思います。

 是非できましたら、1時間ぐらい時間を取って、2人で徹底的に政策論議をする機会をつくりたいと思いますので、安倍さんには受けていただきたいと思います。

■日米首脳会談を前に

【幹事長】それから、ブッシュ大統領がやって来るということで、イラクの問題が国連でも議論が進んでいます。

 少し国連決議のタイミングがズレて、決議案はまだ安保理に出ていないということですが、そういう中で、1650億円という金額も出てきました。

 その金額について、私は昨日も申し上げたんですが、まず何に使うのかと。特に、米英軍の占領経費に使われる部分があるのかないのか。そしてどういう形で使われるのか。そういうことがきちんと説明されるべきだと思います。

 国民への説明責任を果たせと、私も国会などで何度も申し上げました。まあ、それも気にされたのか、大統領に直接言うのではなくて、先立って2日前に言うというのは、2日分だけ進歩したのかもしれませんが、現実にはほとんど説明責任を果たしていませんから、変わっていないということです。

 全体の議論の中で、トータルの金額550億ドル、その中で世界銀行や国連の予測値が356億ドル、CPA(占領当局)の試算194億ドル、合わせて550億ドルということですが、私は日本がなすべきは、この世銀・国連自らが積算した356億ドルの範囲の中でなければならないと考えています。

 CPAに対して積算をした、例えば治安活動などに日本が手を貸すというのは、イラクの状況を見れば、まだ半ば戦闘状況にある中で、米英軍を支援するということですから、そこは慎重でなければならないと思います。

 それからもう1つ気になるのは、ブッシュ大統領が来たとき、数字として1650億円を言うのか、言うこと自体がおかしいんですが、それとも、もう少し大きい多年度にわたる金額を約束するのか。

 多年度にわたる金額を約束するのであれば、それは国民に対して今まで全く説明されてません。そういったことについて、現実どうなるのか、非常に関心を持って見守っているところです。

 私としては、繰り返しになりますが、きちんと国民に説明責任を果たし、つまり何に使うのか、どうやって使うのか。その上でブッシュ大統領に説明するというのであれば、まだ形だけはつきますが、本当にそうなのかということも気になるところです。

 それから、もう1つだけ申し上げますと、せっかくブッシュ大統領と会って話をするのですから、戦争の大義についての議論を2人の間でしっかりしてもらいたい。

 大量破壊兵器が見つかっていない状況の中で、なぜ大量破壊兵器があると判断して攻撃をしたのか。あるいは、先制攻撃という形が良かったのか、ということについて両首脳間でしっかり議論してもらいたいと思います。

 私が聞いているところでは、例えばチェイニー副大統領は10日の講演で、「国連は無力だ」とか、あるいは「先制攻撃の権利をアメリカは持っている」とか「コンセンサスに基づく外交は時代遅れだ」といったことを明確に述べていまして、アメリカ政府としてそういう方針でこれからもやっていくということであれば、これは資金協力についても相当慎重に考えなければいけないということになります。

 そういったところについて、実のある意見交換を両首脳間でしっかりやってもらいたいと思います。時にはアメリカに対してしっかり意見を言うことも、同盟国である以上大切なことだと考えています。

<質疑応答>

■「投票率65%以上」の根拠

【記者】先日の遊説先で投票率について言及されていましたが、「65%以上」という数字についてもう少し具体的に伺いたいんですが、無党派層などなかなか投票に行かない人の中に民主党支持層があるという前提のお考えなのか、ざっくりした数字なのかもしれませんが、それが導き出された公式といいますか、お聞かせいただければ……。

【幹事長】私は政治家であってアナリストではありませんので、そういう具体的な細かい数字について説明を申し上げません。

 ただ、小選挙区制になって投票率がガクッと落ちました。しかし前回は少し戻しましたね。私は総選挙であるということであれば、普通なら7割近い投票率があって当たり前だし、中選挙区制のときにはそうだったと思います。

 そのことに加えて、今回は政権を争う選挙だということもありますので、私は少なくとも65%あるいはそれを超える投票率が期待できるのではないかと考えています。

 そのときには無党派層と言われる人たちが投票に行くことで投票率が上がるわけですから、民主党にとって非常にいい結果が得られるのではないかと考えています。

■藤井道路公団総裁の聴聞

【記者】明日、道路公団の藤井総裁の聴聞が行われますが、これについて石原国土交通大臣がいろんなイニシャルを挙げている経緯がありますが、聴聞に対するご意見をお聞かせください。

【幹事長】イニシャルは挙げてないですよね、石原大臣は。ただ「藤井さんがイニシャルを挙げた」と言ってるだけです。しかし、そこまで明確に言われるのであれば、きちんとそのイニシャルを言っていただきたいと思います。

 もちろん、聴聞で藤井総裁が実名を挙げられればそれで済む話ですが、そうでないときには大臣の責任として、藤井総裁がどういったイニシャルを挙げたのか、国民に対して説明責任があると思います。

 藤井さんが言わないのであれば、大臣自らが言われる必要があると思います。そうでなければ小泉総理も石原大臣も同僚議員をかばっていると言われても仕方ないと思います。
 
 せっかく、そういった高速道路をめぐる利権構造が明らかになりつつあるわけですから、それを率先して国民に開示していく姿勢が、総理にも石原大臣にも求められていると思います。

■埼玉参院補選

【記者】埼玉参院補選についてですが、告示から1週間が経ちましたが、その現状について、それから補選でもマニフェストを前面に出して戦うのか、それについてもお聞かせください。

【幹事長】補選は総選挙への入口に当たるわけで、大変大事だと以前から申し上げています。

 ただ、状況を楽観しているわけではありません。知名度の点でもかなり劣るものがあります。そういう意味で運動量のレベルをもっともっと上げていかなければならないと考えています。

 前川選対事務局長を「しばらく埼玉にずっといてください」ということで張りつけてありますが、皆さん総選挙を抱えるなかでの選挙ですから大変なんですが、埼玉の国会議員の皆さんにもご努力いただき、そして党本部ベースでもしっかり応援しているところです。

 ご本人自身も非常にいい候補者ですので、しかも磨きがかかってきましたので、私はその良さが周知されていけば必ず勝利できると考えています。

 マニフェストについては、もちろん我々としては前面に掲げて選挙を戦うわけですが、選挙は基本的には候補者ご本人が行われるものですので、我々から指図することはありません。ご本人がいろいろお考えになるなかで進めていかれることだと思います。

■藤井総裁の聴聞に対する民主党の対応

【記者】しばらく記者会見がないので、何点かまとめてお伺いします。

【幹事長】1週間に1回はやります。

【記者】あ……。それで4点伺いますが、まず藤井総裁の件で民主党としては何か具体的なアクションを取るお考えはあるのでしょうか。例えば閉会中審査を求めるとか……

【幹事長】ええ。参議院において閉会中審査を求めたいと考えています。今、参議院の執行部と連絡を取り合っているところです。

■社民党との選挙協力、旧自由党候補者との調整

【記者】それから2点目、選挙関連なんですが、昨日また社民党が新たに追加公認等を発表しまして、社民党との協力関係について順調に成功している地域がある一方で、競合区が増えているということは民主党としても大変悩ましい問題ではないかと思うのですが、また、自由党との調整は決着しましたが一部無所属で出る動きなど、その辺あわせて見解をお聞かせください。

【幹事長】社民党との関係はじっと我慢をしています。我々は政権を交代するという大きな目標に向かって努力をしているわけで、社民党にも同じ考え方で協力をしていただきたいと考えています。

 現状はそういった協力関係がうまくできている都道府県と、そうでないところと分かれます。残念なことだと思っています。しかし、我々は辛抱強く我慢をしたいと思っています。

 社民党さんにも是非、政権を代えるという大きな目標に向かって我慢すべきところは我慢していただきたいと考えています。

 自由党との調整の結果、無所属で出られる方が若干いることは残念なことです。ただ、民主党に加わらず無所属でやられる方に対して、それを止める手段はありませんので、残念なことですがそれを乗り越えてそれぞれ候補者は頑張っていただきたいと思います。

 調整がスムーズに進んだところは非常に良い結果が出ています。2人の候補者を合わせた以上の得票が見込まれていますので、これからも諦めないで説得を続けていきたいと考えていきます。

■比例区調整の進展と課題

【記者】選挙に関連してもう1点ですが、比例の関係で自民党が定年制の問題もあり、なかなか前に進んでいない点もありますが、それに比べて民主党は比較的順調に進んでいるように見えます。今後比例の関係で残された課題があるとすればそれは何でしょうか。

【幹事長】「比例の問題は順調に進んでいる」という表現を使われましたが、私としては断腸の思いであります。

 つまり前回20名の比例優位の方がいらっしゃったというなかで、1人ひとり、党の常任幹事会で決められたルールをご説明をして、そして説得をしていった。

 説得をするということは結果的には議員という職を失う、つまり次は出ないという決断をしていただくことにもつながる話で、この数ヶ月間職責上やらざるを得ませんから進めてきましたが、大変尊敬する同僚・先輩議員、そういった方々に対して非常に辛い思いをしながら進めてきました。そして、現在比例で優遇される方というのは、かなり減る見通しです。

 加えて、今回限りということは常任幹事会で判断をしていただきましたので、次回以降はないということも確保できましたので、結果的には、辛かったけれどもこれから伸びていこうという若い新人にとっては道を開いたかなと自負もしております。

 これからのことについては、具体的に比例優遇あるいは比例単独そういったものをどの範囲で認めていくのかということについて、今、具体的な作業をしているところです。

■民主党公認候補者のマニフェストへの署名

【記者】マニフェストの署名に関してですが、集約状況はどうなっているんでしょうか。

【幹事長】私もずっと全国遊説に出ていますので、細かくは聞いていません。ただ、問題があるとは聞いていません。

■拉致問題に絡んだ自民党の攻撃

【記者】最後に拉致問題ですが、先ほど来、安倍幹事長と政策論争をしたいとおっしゃっていましたが、14日の自民党全国幹事長会議で、菅代表がかつて辛光洙(シン・ガンス)死刑囚の釈放の件で署名をしたということを報じた記事のコピーを会場で配ったということがありました。政策論争をしたいという一方で、自民党がそういう形でやっていることについて幹事長としていかがでしょうか。

【幹事長】この問題は時系列で考えていかなければならない問題で、菅代表は別に拉致の関係者であることを知ったうえでサインをしたわけではありません。そこのところがきちっとされずに、あやふやなまま宣伝に使われているという印象を私は受けています。残念なことです。

 この問題は菅さんご自身がご説明されているように、社民連の時代でかなり昔の話ですし、当時はそういった拉致の問題との関係が、私の理解では明確でない状況の中で、人権問題として捉えてサインをされたと聞いています。

 結果的には拉致の関係者だったということですが、政争の具にされているという印象を受けます。

【記者】その関連なんですが、岡田幹事長についても安倍さんが10月の初めの街頭演説で「民主党の岡田幹事長は拉致された5人を帰すべきだと言っている」という表現で批判をされましたが、それについて昨年幹事長自らきちんと説明をされたと思いますが、それについてはどうでしょうか。

【幹事長】安倍さんは一度おっしゃっただけだと私は承知していますので、そのことについてあえて反論をしようとは思いません。「事実に反する」ということだけ申し上げておきたいと思います。

■藤井問題に関する閉会中審査の時期と場所

【記者】先ほどの藤井総裁の閉会中審査についてですが、その時期と場所は、例えば予算委員会なのか国土交通委員会なのか、その辺はどう考えていらっしゃるんでしょうか。

【幹事長】明日ですか、聴聞は? それを見て判断していきたいと思います。


編集/民主党役員室


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