2003年7月11日(金) 戻るホーム記者会見目次

岡田克也幹事長 定例記者会見要旨

○参院予算委:責任が浮き彫りになった竹中大臣不信任案提出に向け詰める
小泉総理は改革が実現できるかのような幻想を振りまいているに過ぎない
福岡春日井市問題は党調査団を派遣して調査、民主だけでもきちんと対応
臨時国会中の解散は、十分な国会審議が確保されなければ認められない
鴻池大臣発言:打ち首といった形で加害者の親の責任を問うのはスジが違う
両党党首間で白紙が決まった以上、合流問題は一旦終わった話
単独比例候補の調整は常幹決定に基づいて粛々と進めていく

■参議院予算委員会集中審議

【幹事長】国会も実質的にあと2週間ということになりまして、今日も参議院で予算委員会集中審議がテレビ入りで開催されました。竹中金融・経済財政担当大臣の責任がより浮き彫りになってきたと思います。

 参議院ともよく相談しながら、竹中大臣の責任を問うための措置、参議院であれば問責決議ということになりますし、衆議院であれば不信任案ということになりますが、どちらするか、あるいはいつ出すかということを決めているわけではありませんが、そういうものを提出することを前提に具体的な詰めに入っていきたいと思います。

■『中央公論』小泉総理インタビュー記事

【幹事長】今月の『中央公論』で、小泉総理がいろいろと述べておられます。
 ネタ的には2年半前と全く同じですが、郵政民営化や道路公団民営化などを掲げて、しかしマニフェスト(政策綱領)といわれるような具体的な形ではなくて、あとでどうにでも言い訳のできる逃げ道をつくった形で公約を掲げて、総裁選を戦うと。

 そして、小泉さんが総裁に再任されれば、それが実現できるかのうような幻想を振りまいて、総裁選、そして総選挙を戦うということだと思います。

 是非、マスコミの皆さんにもお願いしておきたいのは、そういう幻想に惑わされないで、しっかりと現実を見ていただきたい。2年半の間、どこまで小泉総理がいろいろな改革を成し遂げてきたのか、ご自身が語ったことが実現したのかということを、もちろん我々もいろいろな場で厳しく、これからも国会の場で、そして総選挙になればそういった場でも指摘していきますが、マスコミの皆さんも是非現実をしっかり見据えて、これ以上引っ掛からないようにしていただきたいと思います。

 その一方、小泉総理はいろんなことが自ら総裁に再任されるということを大きな目標・目的にして総選挙の日程でありますとか、あるいはテロ対策特措法の延長問題とか、そういうもの全てを組み立てているような印象を非常に受けるわけで、自らが権力を取るために全ての物事をそれに合わせて組み立てていると。そういう姿は決していい形ではないと思います。

 しかし、そういうふうになりながらも、自らの権力亡者のようには映らないことが、この人のまたすごいところで、そういったところは我々もしっかりと冷静に見ていかなければいけないと考えています。

■政治とカネ

【幹事長】それから、「政治とカネ」の問題ですが、政治資金規正法の改正問題も来週ぐらいに本会議で趣旨説明・質疑という話もあるようですが、これは以前この場でも申し上げたように、今までの政治改革の流れを大きく後退させるものであって、絶対に認めるわけにはいかないと考えています。

 この国会では、自民党長崎県連の問題に始まって、大島前農水相問題とか、様々な政治とカネの問題が議論されるなかで、その結果として総理も前向きの改革を約束されながら、出てきたのはこの「逆噴射」だったわけで、政治とカネの問題に対する小泉総理の態度が透けて見えると思います。

 たまたま、マスコミ等が報じています、小泉総理に極めて近い森前総理と山崎幹事長が絡む、福岡県春日井市の土地等の買収問題、これは非常に重要な問題だと考えていますので、来週早々にも現地に民主党として調査団を派遣し実態を把握したうえで、今後、国会の場でも取り上げていきたいと考えています。

 埼玉県知事の問題も、身内の逮捕という事態になりまして、相も変わらずという感じがします。そういった政治に対する失われた信頼を取り戻すために、せめて民主党だけでもきちんとした対応をこれからしていかなければいけないと感じているところです。

<質疑応答>

■11月19日総選挙という日程

【記者】小泉さんが再選を目指して11月9日が総選挙じゃないかとかいろいろと日程が乱れ飛んでいるなかで、当然政府・与党はそこへ向けて組み立てをするのでしょうが、民主党がその日程を前に引っ張ったり、あるいは押し戻したりというようなことはしないのでしょうか。

【幹事長】まだ具体的な日程が政府・与党筋から聞こえてきているわけではありませんので、あくまでも想定として出ているなかで、我々がそのことを前提にしていろいろな議論をする必要はないし、議論すること自身がそういう日程を固めることにもなります。我々としてはもちろん選挙に勝たなければいけませんので、最悪の事態を想定して早い日程を念頭に置いて準備をしていきますが、その日程に対してそれがいいと言ったことは一度もありません。

 具体的に、もし秋に国会を召集されるということであれば、当然国会できちんとした審議をすると。言われているテロ特措法もそうですが、それ以前の問題として本会議や予算委員会でそのときの課題をしっかりと議論し、そのうえで解散なら解散ということになっていくわけですから、そういう十分な日程が取れないまま解散をするということは少なくとも、私どもは認めないということは言えると思います。

■竹中大臣の追及と経済失政のアピール

【記者】冒頭の発言に絡んでですが、参議院の財務金融委員会などで竹中さんを追及されていますが、認識の違いかもしれませんが見ていてなかなか竹中さんを追い詰めるよな展開にはなっていない、当初の勢いからすると肩透かしを食らったような印象もありますが、現状認識とこれで経済有事なり経済失政をアピールできると思っていらっしゃるのかどうかお聞かせください。

【幹事長】私も今日の審議を全部見ていたわけではありませんが、しかし知り得た秘密を漏らしているわけです。それに対する答えは、「マスコミなどでも報じられていた」という答弁だったと思いますが、我が党の峰崎議員も指摘したように、マスコミが一般的に報じている話と当事者、知り得る立場にある者が話すこととは明らかに意味で違うわけです。

 そういう意味ではこれは職務上知り得た秘密を民間の特定の人に漏らしているということは、それ自身大きな問題だと思います。それだけでも私は責任あるということだと思います。

【記者】そこでもって問責対応をやっていこうと思われているのか、もしくはこれまでの竹中さんの2年半にわたる総括として考えているのか、その辺りのお考えはいかがでしょうか。

【幹事長】それはこれからの議論ですが、もちろん責任を取るときに今までの大臣としての実績ということはそれに対しての評価は前提になります。

 しかし、より具体的にといえば、今私が申し上げたようなことが中心になっていくんだと、私が申し上げたことだけではありませんが、そういうふうに思います。

■長崎県中学生事件に関する鴻池大臣発言

【記者】長崎の中学生の事件で、鴻池大臣が「加害者の親を市中引き回しのうえ打ち首にすればいい」というような発言をしたようですが、それについて幹事長はどのようにお考えでしょうか。

【幹事長】いろいろな批判がすでに出ていると思いますが、まず、いくら責任能力が問えないからといってその親を市中引き回しとか打ち首とか、そういった言い回しで親の責任を問うことはスジが違うと思います。

 もちろん、その子供を育ててきた親としての責任がないとは言いません。しかし、それは道義的責任ということであって、それと大臣が言ったようなこととは質的に違うことだと思います。

【記者】民主党として、そうした然るべき立場にある人が加害者の親の心境を無視してこのような発言をしたことに対して、何か責任を追及していくということはあるのでしょうか。

【幹事長】もちろん大臣という公人の立場にある方が、そういった非常に軽率な発言をされたわけですから、それは責任を問うべき問題だと思いますが、具体的にどこまでどういふうにするかということを今決めているわけではありません。これから協議していくことになると思います。

■合流問題の現状認識

【記者】合流問題なんですが、中期的な話かもしれませんが、5月に一旦党首会談を開いて合流問題は白紙ということになったと思うのですが、自由党のほうから最近、「合流するのであれば会期中に」というような声が挙がっている状態だと思います。幹事長としては自由党との合流問題は現在継続中なのか、それとももう終わった話なのかどういうふうにお考えでしょうか。

【幹事長】両党のトップが会談をして、白紙ということで一旦終わった話だと理解しています。その後、新しい状況が出てくれば、将来にわたって合流をすることを否定しているわけではありませんので、新しい話としてそういうことはあるかもしれませんが、今の時点では一旦終わったという状況が続いていると認識しています。

【記者】「一旦終わった」という認識というのは、今言われているのは「選挙前に合流するのかどうなのか」という、民主党のなかでもそういう意見を持っている方がいらっしゃると思いますが、その点についてお伺いしているんですけれども。

【幹事長】今、具体的な話はありません。

【記者】今後、選挙に至る過程での見通しというか戦略にかかってくる話だと思いますけれども、総選挙に向けての戦略を練るなかで、そういうことも視野に入ってくる可能性があるのかどうかということなんですが。

【幹事長】可能性は常に否定していません。それは白紙に戻した場でも、小沢さんも菅さんも言われているとおりです。

 それから、その場で白紙にすると言われたのは小沢さんです。ですから、それは額面どおり私どもは受け取っています。

■単独比例の処遇問題

【記者】選挙の関係なんですが、2年ほど前に全候補者が小選挙区に立候補して単独比例をなくすことを決められましたが、まだこの段階に至っても各県各地区で比例で処遇して欲しいという声が挙がっていることについて幹事長はどのように思われますか。

【幹事長】常任幹事会で決めたことは皆さんも十分ご存じのことと思いますが、選挙区調整の結果比例に回った人については「原則単純比例は認めない」と。それから、選挙区調整の結果ではなくて比例におられる方に対しては「認めない」ということですので、その常幹での決定に基づいて粛々と物事が進んでいると理解しています。それ以外の結論というのはあり得ません。

【記者】各ブロックから例外を認めて欲しいという要望があっても、原則として受け付けないということで理解してよろしいでしょうか。

【幹事長】先ほどの原則に従って粛々と進めていくということです。

■合流問題と選挙協力との関係

【記者】先ほどの合流問題についてなんですが、自由党側のほうから「会期中に決断をしてくれなければ、選挙協力にも限界がある」というふうに伝えられているかと思うのですが、これにはどう対応されるのでしょうか。

【幹事長】先ほど言いましたように、期限を切って5月いっぱいに返事をくれと自由党がおっしゃって、そして協議した結果、これでは合流は無理だということでお断りになったのは自由党のほうですから、額面どおりに私としては受け取っています。

 その際に選挙協力については極力やると。しかし、一緒になることと比べると難しい部分が出てくるということは事実です。我々としては300小選挙区全て調整するというのが常幹の決定でもありますので、そういう決意の下で調整作業を進めていますし、現にかなり進みつつあります。

 しかし、全て300きちんとできるかどうかというと、それは相手もあることですし、300選挙区100%できるという見通しは今のところ立っていないということです。

■祝日法の見通し

【記者】祝日法についてですが、両院議員総会を開いてくれという話が代議士会でも出ていたようですが、幹事長・政調会長・国対委員長一任となっていると思いますが、どのように対応なさるおつもりでしょうか。その場合の見通しをお聞かせください。

【幹事長】見通し?

【記者】衆議院通過後の見通し……

【幹事長】まず、衆議院を通過するかどうかも分かりませんよね。

 水曜日の『次の内閣』では、内閣部門で議論した結果として、部門では結論が出ないので『次の内閣』で決めてくださいということで、それで 『次の内閣』で議論した結果、幹事長・政調会長・国対委員長に一任ということで、手続きを踏んで決められてきたことです。

 内閣部門会議には誰でも参加できることが保証されていますし、両院議員総会というお話もありましたが、その場でもそういうことを説明して、従来の党としての意思決定の仕組みに基づいて進めていくということが確認されたと思っています。

 ただ、審議がまだ始まっていませんので、3人に一任されたからといってすぐに結論を出すというよりは、審議の状況なども見ながら最終的な判断をしていきたいと思っています。まだ3者の協議は行っていません。

■竹中路線に対する評価

【記者】先ほどの竹中大臣のお話に戻りますが、竹中さんの目指している構造改革と民主党が目指しているものがほぼ一致しているものだから、うまくいっているかいないかという違いでしかないので、なかなか政策のほうでは追及できないのだと。だから金融庁への監督責任なんかを問うしかないというような声も出ていますが、それに対してはどう思われますか。

【幹事長】いろいろな意見があると思います。最終的には不信任の理由のところで明確に述べられると思います。

【記者】竹中さんの目指しているものと民主党が目指すものは方向性としては一致しているというところはあるのでしょうか。

【幹事長】小泉さんや竹中さんが何を目指しているかは我々には分かりません。

■総選挙の時期と準備態勢

【記者】補欠選挙の告示が10月14日ということで、その前に解散という話が一案として出ているわけですが、幹事長は十分な審議を要求するとおっしゃっいましたが、それを考えると補選の告示前に解散するというのはあり得ないと考えているのでしょうか。

【幹事長】それは分かりません。総裁選もどうなるか、今の時点では前倒しをしないという話も聞いていますが、それすら我が党の話ではありませんので、どういうふうに最終的に決まるのか分かりませんし、そもそも補選の前に解散するのかどうかということも分からないわけです。

 誰もそんなことを明確に言っていないわけで、ひょっとする衆参ダブル選挙かもしれません。あるいは1月かもしれません。いろいろな可能性があるなかで、あまり決め打ちをして私の立場でものを言わないほうがいいと思います。

 それぞれ与党の幹部が発言したことについてコメントすることはできても、それがそういうふうになるかどうかはその場になってみないと分からないわけなんで、そういうことを一定の仮定に基づいて私がコメントするというのは適当ではないと思います。

 ただ、党としてはどんなタイミングであったとしても、きちんと対応できるだけの準備だけは整えておかなければならないということだと思います。


編集/民主党役員室


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