2003年6月13日(金) 戻るホーム記者会見目次

岡田克也幹事長 定例記者会見要旨

○明日14日の全国幹事長・選対責任者会議を皮切りに選挙準備をスタート
イラク新法は問題多く政府原案を丸呑みしろと言われても喉につかえてしまう
企業献金の公開基準緩和は政治改革10年目で初めての逆行、見逃せない
イラク新法をめぐる自民のドタバタは茶番、党内政局・権力闘争の疑い濃厚
片山知事発言はやや勇み足だったがそれだけひどい話、責任は総理にある
新体制半年:政権交代に向けて準備は整ってきた、民主は十分政権を担える

■全国幹事長・選対責任者会議会議と選挙態勢のスタート

【幹事長】まず、昨日の総合選挙対策本部と臨時常任幹事会でのご議論を踏まえて、明日、全国幹事長・選対責任者を招いての会議を、この党本部で開くことになっています。

 解散・総選挙の時期については諸説ありますが、現時点では10月解散・11月総選挙という可能性が非常に高いという前提に立って、これから党としての準備を本格化させていかなければなりません。そのことについて、明日をスタートにこれから進めていきたいと考えています。

 また、来週には明日の会議を踏まえて、全議員を対象とした総合選対本部主催の全議員懇談会を予定しています。

 いよいよ、本格的に選挙モードでスタートさせなければいけないと思っています。具体的には、お盆当たりまでを第1期ということで、特に新人候補者に対する支援を中心に進めていきたいと考えています。

■イラク復興・人道支援特措法案

【幹事長】次に、イラク復興支援の問題ですが、これまでにも何度か申し上げているとおり、我が党の基本的スタンスは、イラク国民の立場に立って復興支援を行っていくということは極めて重要であると。

 ただし、自衛隊を派遣して支援を行うことについては、先般の調査団の報告を聞いても、具体的ニーズがなかなか出てこないので、そういったことについて今後さらに詰めていきたい――。こういうことです。

 従って、法案について現時点で賛否を決めているわけではありませんが、1つはそのニーズが本当にあるのかどうかという点。

 あるいは、法案の前提になっている米英軍の行った戦争について、我々は国連憲章上問題があると言ってきたこととの整合性。その他、いくつか論点があると思いますが、これからそういったことについて党内で議論していく。

 政府原案を見ると、かなりいろんな問題がありそうで、これから政府・与党でどういう態度が取られるかにもよりますが、今日も自民党総務会で大量破壊兵器の撤去については削除する方向になったと聞いていますが、いずれにしても、原案のままでそれを丸呑みしろと言われても、それはかなり問題があって喉につかえてしまう。

 だからと言って今、反対ということを決めたわけではない、ということも併せて申し上げておきたいと思います。

■企業・団体献金の公開基準引き上げ

【幹事長】それから、政治資金規正法の改正問題、企業・団体献金の公開基準引き上げについてですが、特に公明党の対応には驚くばかりです。

 今までも神崎代表や冬柴幹事長が、「透明性を薄めることには反対だ」とか「改革に逆行する」とか「公開基準を引き上げることに反対だ」と言ってきたにもかかわらず、突然「透明性を確保できる」と言って自民党と合意したのは、公明党の原点というものを考えたときに、これは驚くべきことだと思います。

 同時に総理ご自身も、透明性がこういう形で低められることについて完全に開き直っているということも、これまた従来の発言との整合性をどう説明されるのか、是非説明をお伺いしなければいけないと考えています。

 この10年間、政治改革というのは、歩みは遅かったかもしれませんが、一定の方向に向かって進んできました。今回の決定は政治改革がスタートした、つまり、リクルート事件をきっかけに、政治改革の声が上がり、政界全体が改革に向かって歩み始めて初めて、遅いとはいえ前を向いて進んでいたのが初めて、逆方向に歩みだしたということであって、これは絶対に見逃すことにはできないと考えています。

 これは是非、今後、総理の責任あるいは自民党や公明党、与党の責任を国民の皆さんに訴え、そしてこういう改悪がなされないように、野党として我々の責任を果たしていきたいと考えています。

<質疑応答>

■イラク復興・人道支援特措法の問題点

【記者】イラク復興支援特措法についてですが、先ほど原案のまま丸呑みしようと思っても喉につかえてしまうとおっしゃいましたが、喉につっかえる部分というのはどの部分でしょうか。

【幹事長】いろいろありますのであまり細かく言うつもりはありませんが、今の段階で先ほど言った目的のところは1つありますね。米軍の行った戦争が正当であるという前提に立っているとすると、我々とはそこで違ってしまうんですね。これが1つあります。

 それから3つの活動類型がありますが、それが2つになったんだと思いますが、米軍の後方支援というところについていろいろな問題があると。もちろん、今の武器使用基準のまま行かせて大丈夫かという問題もありますし、それから米軍の後方支援をすること自体が今の考え方からいうと武力行使一体化ということにつながらないかとか、そもそもそういう後方支援をすることがいいのかどうか、すべきことなのかどうか、こういった問題があると思います。

 もちろん、事前承認になっていないことや期間が非常に長いことなど、ざっと言ってもそのくらいの問題があるということですね。

【記者】今おっしゃったような問題点が改善された場合に仮に修正協議をやって賛成するということもあり得るのかということが1点、あと法案とは別にオペレーションの部分でかなり実施計画のときに絞ってくると思うのですが、その際に法案への賛否とは別に賛成することはあり得るのでしょうか。

【幹事長】今申し上げるのは適当ではないですよね。閣議決定もしていないわけですから、間もなくされるんでしょうけども。具体的にはこれからで、まだ我々は正式な条文も見てませんし、多分自民党のほうは与党間の協議が必要ですよね、総務会で法案を変えたわけですから。

 そういったことが整って、そして委員会の場等で議論することになるのかならないのか、つまり会期延長というのがありますから、延長があるのかないのかそこもはっきりしませんので、今おっしゃるような仮定の質問には答えないほうがいいだろうと思います。

■大量破壊兵器処理を除外することで自民党が特措法を了承したことへの評価

【記者】関連なんですが、大量破壊兵器の処理についての部分を削除するという条件で自民党が納得したということ自体に対してどう評価されますか。

【幹事長】その背景が必ずしもよく分かりませんが、大量破壊兵器などあるはずがないというふうに自民党の皆さんが思っているのか、大量破壊兵器はあるのかもしれないけれどそれを自衛隊が処理をするのは望ましくないと思っているのか、そこはよく分かりませんが、恐らく自民党の大半の皆さんも大量破壊兵器が出てこないであろうと思っているのではないかと推測しています。

 そこはやはり戦争の正当性についての議論に戻るわけですね。これは法案そのものではありませんが、法案に関連して大いに議論されるべき点だと思います。

【記者】大量破壊兵器の処理の部分が落ちたということだけで、法案の賛否の方向性が出るというふうには認識しないほうがいいのでしょうか。

【幹事長】いいと思います。

■比例単独候補者は認めないという常幹決定

【記者】総選挙のことで確認させていただきたいのですけれども、比例区と小選挙区の対応について比例区単独の候補者は認めないという原則はまだ生きているのでしょうか。

【幹事長】常任幹事会で決定された原則は全く変わっていません。執行部としては常任幹事会でお決めいただいた原則をきちんと実現していく、実施をしていくというのが執行部の立場であり仕事です。

■竹中大臣の不信任案

【記者】党内で竹中金融・経済財政担当大臣への不信任案を出すべきだという声があるようなんですが、任命者の問題であるというのが基本的な民主党の立場かと思うのですが、一方で現在の経済状況に対して、デフレ対策が不十分であったことに対して、きちんと民主党として主張を示すべきだという政策的な意見もありますが、今のところどのようにお考えでしょうか。

【幹事長】竹中大臣に対するそういったご意見はいろんな理由がありますので、そこの理由も含めてこれから党内で議論していかなければいけないと思います。是非もですね、私は絶対可能性がないと言うつもりもありません。

 ただ、役員会等ではまだきちんと議論されていませんので、国対委員長からそういう提起があって議論されるというのが物事の順序だと思いますが、会期がどうなるかということにもよるんですけれども、恐らくく火曜日の役員会で議論にはなるのではないかと思います。

 「議論になる」という意味は、それで決まるということではありません。是非についての議論はなされるだろうと予想しています。

■イラク新法をめぐる自民党内のドタバタ

【記者】イラク復興支援に戻るんですけれども、1点目は今回与党のほうで法案を出す前にこういう修正が行われたというドタバタについてどのように見てらっしゃるのかが1点目と、先ほどおっしゃっていたように丸呑みできない、そういう問題はあるけれどもしかし反対と決めたわけではないとおっしゃっている、一般的な見方からすると丸呑みできなければ反対するのが普通ではないかという指摘も先ほどの社民党の福島幹事長の会見なんかであったんですが、整合性がとれるのかどうかその辺の説明をいただければと思います。

【幹事長】丸呑みができなければ反対というのもよく分からないですね。それは呑み込む前に捨ててしまうような話だと思うんですね。これから我々先ほど言いましたように、イラク国民にとって何が必要かという視点で議論していくと。

 そういうなかで支援が要るというときに自衛隊まで使って支援する必要があるのかどうかということについて、やはりきちんと政府側の説明も聞かなければならない。我々も調査団を派遣していますが限られた日数のなかで限られた地域のことを見てきたわけですから、もう少し違う視点もあるかもしれませんので、そういうものは謙虚に聞かせていただいて最終的に我々としてどうするかべきかという判断をする。

 イデオロギー的にとにかく自衛隊が海外に出ること全てに反対という立場ではありませんので、必要性に応じて判断をしていきたいということです。

 もちろん、そのときに憲法との関係とか、従来の我が国の国会での論議とかそういうものは十分踏まえて判断することになると。これは当然だと思います。

 1点目の自民党内のドタバタ、これは茶番ですよね。茶番なんですが、中身の話というよりももう少し違う視点で議論が行われているのではないか。今回、大量破壊兵器のところがなぜ削られたのかというのは、先ほど申し上げたように私もまだ明確には承知していませんけれども、あまり本質的じゃないところなんですね、ここは。

 本質のところが変わらないであれだけもめていたにもかかわらず、最後は合意してしまうというのは、そもそもの議論というのが本当にイラク国民のために必要かどうかという視点で行われていた議論、政策的な議論だったのか、それとも自民党内政局、権力闘争という視点で行われていた議論なのかということですね。

 どうも権力闘争として行われていた疑いが濃厚である、そのことを示していると思います。

■片山鳥取県知事の東芝製品不買発言

【記者】鳥取県の片山知事が、地方分権改革推進会議の議事運営で議長を務めた東芝の西室会長を批判して、不買運動をしたということがあったんですけれども、この片山知事の発言、行動についてはどのように思われますか。

【幹事長】片山さんのお怒りもよく分かるんですよね、ひどすぎますから。ただ、それは本来は総理に対して向けられるべき怒りなんですね。

 今回のことは、多くのマスコミもほぼ同じことだと思いますが、西室さんは東芝会長という立場で必ずしも参加しているわけではありませんので、やや勇み足だったのではないかという感じが私はします。

 まあ、それくらいの怒りが、冷静な片山知事がそういったことを吐いてしまうほどひどい話だったということで、その責めは小泉総理にあると思います。

■イラク新法修正協議の可能性

【記者】イラク新法の話に戻りますが、自民党内で当初から民主党の協力を得るべきだという意見が出ていたのですが、先ほどいろいろと法案の問題とかもおっしゃっていましたが与党サイドから修正協議の呼びかけがあった場合に、これについては協議には応じるというお考えでしょうか。

【幹事長】この問題、非常に答えにくいのは、会期延長の問題と絡んできますのでうっかりお答えすると、じゃあ会期の延長を認めているのかということになりますので、今の時点でその点についてはノーコメントだと言わざるを得ないという苦渋の言い方で理解していただければと思いますが……。

 しかし、一般論としてはやはり、議論すべきものがあれば議論するというのは当然だと思いますが。会期の問題さえなければね。まだ十分会期があるなかでこういう問題が出てくればそれは国会で議論すらしないということではなくて、国民の目の前でしっかり議論するということが国会議員として当然の務めだと思います。しかし、今回は会期に絡んでいるので話がややこしくなっているわけですね。

■宮沢内閣不信任案可決から10年

【記者】6月18日、来週水曜日ですが、宮沢内閣不信任案が可決されてから丸10年になります。当時幹事長は賛成されて、自民党を出られて政権交代のある政治というのも目指してこられたと思うんですけれども、今振り返ってみてどういうふうに思いを抱いていらっしゃるのかというのが1つと、次の衆議院選が小選挙区比例代表並立制の3回目の選挙になるわけですけれども、それをどう位置付けていらっしゃるのかということ、あと決意をお聞かせ願います。

【幹事長】もう10年かという思いと、まだ10年かという思いと両方ありますね。あのとき私は、宮沢内閣不信任案に賛成投票したときに、10年は野党だなと思いましたし、そういうふうに周りにも申し上げました。「10年は野党で我慢してくれ」
と。

 その後思いもかけず、細川政権ができて少しスタートは遅れたんですがほぼ10年経ちました。そろそろ政権交代を実現しなければいけない時期が来ていると思いますし、今の民主党はその準備が整ってきたと思います。次の総選挙はそういう意味で大きな勝負になると考えています。

 我々の準備が整ってきたと同時に、自民党の壊れ方も予想以上のものがあって、小泉さん自身も「半分壊れている」とおっしゃいましたが、それ以上にガタが来ている。従来の支持層が完全に離反しているという状況だと思います。

 あとは我々がいかに素晴らしい政党をつくり上げるか、国民の皆さんの目に見える形でそれをアピールしていくか、ということに尽きると思いますので、しっかり頑張りたいと思います。

 小選挙区比例代表並立制というのは、いろんな妥協のなかで成立したものですが、基本的な仕組みとしては悪くないと私は思っています。

 ただ、どうしても今の小選挙区300、比例代表180という議席配分は連立政権を生みやすい形になっていますので、本来であればやっぱり単独政権が原則で、国民の意見がかなり分かれたときには連立政権と。投票の結果がですね。

 普通で行けば単独政権が構成できるような仕組みが望ましいと思います。連立政権もいいところはありますが、やはり連立政権というのは選挙前の約束と、選挙後の行動がそのままストレートに一致しませんから、そういう意味では有権者から見て分かりにくいわけですね。

 そういうことを考えますと、私は小選挙区300、比例代表100くらいが望ましい形だと思いますが、あまりそんなことを言いますと他の野党からお叱りをいただきますので、個人的な見解ということでとどめておきたいと思います。

 さっきの政治とカネの問題は、まさしく10年目で初めての逆行で、これはやはり見逃せないと思いますね。

■戦争反対論と自衛隊派遣の整合性

【記者】蒸し返すようなんですが、戦争に反対したのに軍隊を送っているというのは世界的に見てどこもないですよね。フランスとか含めて、軍隊を派遣していないと思うんですけれども……。

【幹事長】デンマークはどうですか? 賛成しました?

【記者】不勉強で申し訳ないんですけれども、民主党は少なくとも戦争に反対して、それでも一応政府案の細かな話し合いのなかで協議するかも決めるという部分に対して何かちょっと矛盾を感じるのと、実際に調査団を派遣して、明らかに自衛隊のニーズが見出せないという印象を受けたんですけれども、それでも自衛隊を出すことに対して反対という意見をおっしゃらないのも、何かちょっと矛盾を感じるのですが……。

【幹事長】あれですか、そうすると戦争に反対したから協力するなと、イラクに対して復興支援するなとこういう話ですか。

【記者】いや、人道上の支援とかはいいんですが、軍隊が出るというのは非常に意味合いが違ってくると思うんですけれども……。

【幹事長】今、そこは考え方の問題だと思いますね。政府案にもそういう人道支援は入っているわけですから。自衛隊を使った人道支援が入っているわけですから。自衛隊ということをどういうふうに考えるのかという、そこの考え方の違いじゃないでしょうか。

 ニーズについても、先ほど申し上げたとおりですが、調査団の報告は聞いていますがそれは限られた期間の中で、限られた地域を見てきたにすぎませんから、もう少し違う視点もあるかもしれません。

 そういうものを聞くことはやぶさかではありませんし、聞かずに早急に結論を出すというのはいかがなものかと私は考えます。

■新体制発足半年間の評価

【記者】先ほどの宮沢内閣の不信任案と若干かぶると思うんですが、政権交代に向けて準備が整ってきたという話がありましたが、さすがに新体制になって半年になりました。この間党内でもいろいろ、自由党との合流問題など議論がありましたけれども、半年間を振り返られてどのように評価されるのか、また支持率なども絡めてお聞かせください。

【幹事長】支持率は当時と比べれば上がっていますが、最近は上がったり下がったりだと思います。あまり支持率にとらわれてもいけないと思いますが、今の支持率で満足はしていません。

 これから選挙に向けて、これがどんどん上がっていくような、今まではどちらかというと内向きといいますか、中を固める作業を、少なくとも私は進めてきましたが、これから選挙に向けて外に打って出るということも必要だと思っています。

 民主党の現状についてはいろいろご意見があるかと思いますが、自民党や私がかつて席を置いた新進党など他のいろいろな党と比べて、はるかに党としてのまとまりを持ち、そして多くの能力のある人が前向きに頑張っている政党だと、十分政権は担える党だと私は考えています。


編集/民主党役員室


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