2003年6月6日(金) 戻るホーム記者会見目次

岡田克也幹事長 定例記者会見要旨

○中東和平合意:今回はブッシュ外交を率直に評価したい、我が国も貢献を
盧武鉉大統領と北朝鮮の体制転換を取るべきではないことを話し合いたい
経団連献金:全体像が見て意見するが、献金の使途も評価対象にすべき
献金公開基準を引き上げれば説明責任を主張してきた某与党は全く矛盾
我が党の主張が入って有事法案が成立したことは非常に結構なこと
イラク新法:会期延長と絡めて政治ゲーム化しているなかではコメントしない
イラクに大量破壊兵器がなければ戦争の大義と総理の責任が問われる
マニフェスト:説明責任を果たすこととその結果評価という2つの重要な役割

■中東和平合意

【幹事長】まず、中東和平問題ですが、アメリカ、イスラエル、パレスチナの3者が集まって一定の合意に達したことは率直に評価したいと思います。

 私はかねがねブッシュ大統領の外交に対して疑問を呈することが多くて辛目の点を付けることが多いわけですが、この中東和平の問題についてはアメリカ主導で本来なかなかまとまらないと思われていたことが、合意に達したことは評価したいと考えています。

 もちろん、この合意が将来どうなるのかということは、今までの例を見ても手放しでは喜べませんが、しかし一旦こういった形で合意に達したと。

 しかも、シャロン首相がパレスチナ国家樹立の容認を初めて公式に認めたということですから、そういう意味では、この点については高く評価したいと考えています。

 いつでしたか、私もパレスチナにおける初めての選挙で、これは議会の議員を選ぶ選挙だったんですが、その選挙監視団の一員として参加しました。

 団長が小渕さんで、私もその一員として行きました。あのときは本当に平和への機運が満ちていて、初めて自分たちの代表者・議員を選挙で選ぶという試みだったわけですが、朝早くから30会場ぐらい回って適正に投票が行われているか監視するというというような仕事だったんですが、最初の会場でお年寄りのパレスチナ人が来て、涙を流しながら「自分が生きているうちにこういった形で投票ができるとは思わなかった」と言っておられたのが非常に強く記憶に残っていますが、そのあと、一旦「やっぱりまたか」という感じがあって、それがまた今回こういう合意になったということは非常に良かったと思います。

 これから、いろんな困難があると思いますが、日本ももちろんきちんと協力をしながら、パレスチナの新しい国づくり、そして中東における平和の構築というものに関係者がそれぞれ努力していただきたい、日本としてもそのために貢献していかなければならないと考えています。

■盧武鉉大統領との面会と北朝鮮問題

【幹事長】次に、韓国の盧武鉉大統領が日本にお見えになって、明日の土曜日は私は仙台に行く予定にしていますが、そのあと、菅代表と一緒に大統領にお目にかかることにしました。短い時間ですが、意義のある意見交換をしたいと思っています。

 私自身は、昨年6月に盧武鉉さんが新千年民主党の大統領候補に決まった直後に初めてお会いをした日本の政治家だったと思いますが、30分ほど意見交換をさせていただきました。

 そのときにも、なかなか現実に大統領になることは難しいのではないかと言われていましたし、一時期支持率が非常に下がったわけですが、そのなかを勝ち抜いて大統領になられた。久し振りにお会いすることを楽しみにしています。

 短い時間ですが、特に私が大統領に申し上げたいと思っていることは、北朝鮮問題で、この問題を日韓両国がしっかり協力して乗り切っていくことが、日韓関係の未来にとって非常に大きな一歩になるということです。

 小泉総理の北朝鮮問題に対する考え方というのは、この前にも同じようなことを申し上げたと思いますが、必ずしもはっきりしない。

 特に、日米首脳会談のなかで、ブッシュ大統領から「すべてのオプションをテーブルに置く」と言われ、それに対して「理解する」と言われたわけで、常識的に考えれば、「すべてのオプション」と言えば、武力行使や体制転換ということも含んだ概念ではないかと考えますが、それに対して理解を示したというのはどういうことなんだろうという気がしますが、体制の転換ということではなくて、平壌宣言にもあるように、金正日体制が核を放棄し、そして経済的に国を開いていくことで自らが生き残っていく、それしか道はないんだということを理解させていく。それが平和裡にこの問題を解決する唯一の道だと考えています。

 そういったことについて、盧武鉉大統領としっかり意見交換ができればと。つまり、体制を転換するというようなオプションは取るべきではないということが議論できればと考えています。いずれにしても、久し振りにお会いするので、楽しみにしているところです。

<質疑応答>

■有事関連法案の成立

【記者】今日、有事法制が成立しました。先ほど社民党で会見があったのですが、そこで土井さん、福島さんが「今回の法案は自民党と民主党の場外談合で決まった法律だ」ということをおっしゃったようですが、そのことに関してお伺いします。

【幹事長】どういう意味でおっしゃったか分かりませんが、衆参で審議を重ねてきたわけですし、その審議には社民党さんも参加されていたわけですから、場外で決まったということは私には理解できない発言です。

 もちろん具体的な交渉は国会のなかでも外でも行われたと思いますが、これは通常の法案修正というものはそういうものだと考えますので、言っている意味がよく分からないとお答えしておきたいと思います。

【記者】有事法制が成立したとはいえ、課題はまだ残っています。FEMA(危機管理庁)とか国民保護法制とかですね。今後、与党に対してどのように言っていくのか、あるいは民主党としてどのように進めていきたいとお考えかスケジュールなど含めてお聞かせください。

【幹事長】すでに与党との間で確認していることがありますので、その線で進めていくということだと思います。今までは法案の議論中でしたので具体的な話はしておりませんが、法案の成立を受けて、具体的なこれからの手順について与党としっかりと話をしていきたいと考えています。

■日本経団連の政治献金再開

【記者】企業献金についてですが、日本経団連が政党ごとに政策を評価して、それを会員企業に示して献金を流したいということを言って準備を進めているわけですが、それについてどう思われますでしょうか。また政策評価という点について経済界との意見交換というものをなさってますでしょうか。

【幹事長】経済界との意見交換については、適宜やっています。私が政調会長のときから旧経団連ともしていますし、同友会ともしていました。そういったものは続いていますし、日本商工会議所ともやろうということで、いろいろなレベルがありますけれども、政策の面での意見交換というのはこれからもどんどんやっていきたいと考えております。

 企業献金については、まだ全体像が見えませんので経団連のなかでもいろいろなご議論があるというふうにも聞きますし、割と経済人のなかでも意見を個々にお聞きしてみますと多様な意見がある段階ですので、まだ正式なコメントをするのは早いと考えています。

 ただ、政策面で評価をするということも、もう少し具体的な中身がはっきりしてから申し上げたいと思いますが、1つだけ申し上げておきたいのは献金についてそれがいかに使われたかと。そこの透明性の問題ですね、それは是非評価すべき基準に加えるべきではないかと。

 つまり、出したものが例えば今の自民党の収支報告を見ていますと、本会議で私が一度取り上げましたが幹事長に年間12億円行っている。しかし、その12億がいかに使われたかはどこにも書いていない。そういう透明性のない使い方、それを助長するような献金であってはならないと。そういうふうに私は考えます。

 それは企業経営者であれば、賛成していただける考え方ではないか、説明責任ということですから。お金を出す以上、その使い道がきちんと、もちろんお金に色は付いていませんが、出す以上はきちんと国民に説明責任を果たしているところに献金をするという考え方に立つべきではないかと思っています。

■企業・団体献金と政治腐敗

【記者】その献金に絡んだ質問ですが、参議院法務委員会で心神喪失者に関する法案を与党が強行採決をしました。それに関連して、日本精神科病院協会からの献金が問題化していますが、与党側のそういう姿勢についてどう思われるか。それからもう1点は、長崎県連の話から始まって、かなり政治とカネの問題が議論に上がってるんですが、なかなか進んでいない。そういう現状についてお聞かせください。

【幹事長】最初おっしゃった具体的な話は、私は詳細を承知しておりませんのでコメントは控えたいと思います。

 それから、2番目の話ですが、一部には献金公開基準を引き上げることについて与党が合意したという報道もありますが、事実関係は私は承知しておりません。

 しかし今まで、先ほど説明責任に関することでもありますが、透明性を高めてきたという大きな流れに逆行するようなことをもし与党がすれば、それは当然批判されるべきだし、あってはならないことだと。

 与党のなかにもいろいろな党がありますが、自民党はともかくそういった政治に対して説明責任を果たしていこうということを前面に掲げてきた政党から見れば、それはほとんど説明できない事態ではないかと思います。

■有事関連法案に対する棄権1名の処分

【記者】有事法制が成立したことについてテレビ用に改めてコメントをいただきたいというのが1点と、それから採決に当たって神本議員が棄権という態度を取られました。院が違いますが、これについて党の幹事長としてどのような対応をかんがえていらっしゃるんでしょうか。

【幹事長】有事法制については我々は従来から申し上げていますように、緊急事態に備えるための法制は必要であるというのは我が党の一貫した主張ですので、それが100点満点とは言えませんが成立をした。そして我々の主張もかなり取り入れるなかで成立したということは非常に結構なことだと考えて評価しております。

 もちろんそういうなかでいくつかの宿題も残っています。国民保護法制も早く制定する必要がありますし、あるいは基本法の問題とか日本番FEMAの問題とか、そういったことについて誠意もって約束を果たしていただきたい。与党に対してはそういうふうに申し上げておきたいと思います。

 国民の皆さんの視点から見たときに、割と私は緊急事態法制、有事法制の必要性についての理解は進んできたと考えますが、今なお慎重なご意見があることも承知しています。そういった方々に対しては、きちんと説明責任を果たしていくなかで、さらに理解を得る努力が必要だと考えております。

 一部の野党の皆さんが有事法制を作ることが戦争につながるという論理を展開しておられますが、これは極めて無責任で、国民の皆さんも理解はされていると思いますが全く政党としては責任ある態度であるとは言えないと考えています。

 個別の神本さんの話については、先ほど参議院の執行部とも連絡を取りました。
「今、事実関係について、本人から意見を聞いている」ということでしたので、私からは「その結果をあとでお伝えください。同時に参議院としての考え方も伝えていただきたい」と申し上げました。それを受けて、党としての考え方、どういうふうに対応すべきかということを決めたいと思います。

【記者】今の後半の質問の答えについてなんですが、前回のテロ特措法のときは造反された方々への処分というのは、参議院で決めたという記憶があるのですが、今回は党として処分を決めるということでしょうか。

【幹事長】前回も幹事長が厳重注意をしたという例があります。従って、党の執行部として全く無関係ということではありませんので、もちろん参議院レベルでの対応に任せることも選択肢としてはありますが、少なくとも事実関係をきちっと把握して、そして私のところで対応すべき話なのか、参議院にお任せする話なのか、そこの判断は私がしなくてはいけませんので、そういう意味で申し上げました。

【記者】有事法制の採決に絡んで、特別委員会野党筆頭理事の斎藤議員が国際会議に出られるということで委員会の採決にも、本会議での採決にも欠席されました。これだけの重要法案で野党側の筆頭理事が欠席するというのは、かなり異例のことではないかと思うのですが、党も認める形での海外出張ということなのですが、その辺りどのようにお考えでしょうか。

【幹事長】私自身その話は今初めて聞きましたので、参議院の国対で海外出張の件に関してはご判断されたものだと思います。それ以上のコメントはありません。

■イラク復興支援新法への対応

【記者】イラク復興支援の件ですが、今、調査団を派遣されていて帰国されてから党としてのお考えをまとめるようになるのかどうかということと、恐らく政府のほうでイラク復興支援新法を作ってくると思いますが、それへの対応についてはどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

【幹事長】イラクの復興に対して我が国がしっかり支援しなければいけないということは、党としては確認をしているところです。では、具体的にどういった支援をすべきか、何をなすべきかといったということについては、今、調査団も出しておりますし、その報告も聞きながら党としてまとめていかなければいけないと考えております。

 政府の予定される法案は、自衛隊を出すことに関する法案だというふうに考えていますが、我々はイラクに対する復興支援を議論していくなかで、自衛隊を出す必要があるのかどうかということも当然議論しなければいけませんし、あるいは出す必要があるということになった場合に政府のスキーム、法案の形で――今いろいろ報道されますが、まだ具体的な話は見えてませんが――政府の考える内容、やり方で出すことは適切なのかどうかということについて具体案が固まったところで我々の考え方を示したいと考えております。

【記者】現時点で幹事長としては、自衛隊を派遣することについてどういうふうに考えていらっしゃいますか。今後決めるとしてもその基準をどう見ていらっしゃいますか。

【幹事長】何度も申し上げているんですが、まだ与党のなかであるいは自民党のなかですらいろいろな議論ある。あるいは会期の延長と絡めて一種の政治のゲームとしてこの問題が扱われているときに、野党第一党である民主党が、政策論として述べたとしても、それが素直にそういうふうに受け取られませんのでここでコメントすることは控えたいと思います。

■鳩山グループの署名活動

【記者】鳩山さんの周辺のグループの方々が合流を求めて署名を集めるということですが、こういう動きについて容認されるのか、それとも一度常幹で決まったことなので中止を求めるのか、その辺はいかがでしょうか。

【幹事長】まず合流問題に関して言えば、常幹でお決めいただいた方針に基づいて、自由党と交渉し、そして常幹でお決めいただいた線で提案をしましたが、自由党のほうからそれでは飲めないということでお断りになりました。

 そして、お互いこの問題は一旦区切りを打とう、将来の合流というのはあるかもしれないけれども、一旦区切りを付けたほうがいい。そういうふうに小沢党首も菅代表も発言をして一旦そういう状況にしたわけです。そういう状況については常幹にも報告をしているところです。党としてはこれで、この問題は永遠の終止符ではありませんが、一旦区切りをつけたと考えています。そのことが変わることはありません。

 今の署名活動は、文書などを見ると執行部に対する励ましとも受け取れる部分もありますが、しかし、まだ党首会談をやって2週間ですので、またぶり返した議論をするとしたらそれは適切ではないと考えます。

 署名をしてそれが集まれば、それは今後の1つの参考になると思いますので、中止を求めるとかそういう気は私はありませんが、私としては半年後の選挙に向けて全力投球の態勢に入っていますので、あまりこの合流論で時間を取りたくないなと考えています。

 皆さんの真剣なご意見、お気持ちはそれは選挙にも関わる話なので当然だと思いますので、合流に関してご意見のある方はいつでも幹事長としてお聞きをしたいと申し上げていますし、現にそういう会を作ったり、鳩山さん始め関係者のところには適宜出かけていろいろなご意見をお聞きしているところです。

■大量破壊兵器未発見の責任

【記者】イラクの問題で、イラクでは大量破壊兵器が未だ存在が発見されていませんが、政府がアメリカの武力攻撃を支持したときの、これは大前提だったと思うのですが、このことについて党としてどうお考えになっているのかということと、この追及の動きというのが民主党のほうからあまり聞こえてこないんですが、その辺はどうお考えですか。

【幹事長】私は少なくとも申し上げているつもりです。あまり皆さんには書いていただけませんが。

 アメリカも大量破壊兵器の除去ということが1つの大きなお題目になっていて、正当化の事由になっていて、そして大量破壊兵器が出てこないということに対してアメリカの議会でも厳しい議論があると聞いています。

 日本の場合には、アメリカ以上に大量破壊兵器ということに重点を置いた説明を国民に対してしていました。アメリカの場合にはテロが起こるのを防ぐための先制攻撃だとか、いろんな議論を挙げていましたが、日本の場合には大量破壊兵器一辺倒と言ってもよかったと思います。

 そういう意味で大量破壊兵器が未だに見つからないということは、何のための戦争だったのかという議論がもう一度問い直されなければいけない事態だと思います。そのことに対して小泉総理は説明責任を果たさなければいけないと考えています。

 私は前にも言いましたが、あれだけ大量破壊兵器の危機について強調された以上、アメリカから我々には言えないだけの証拠を示されて、確信をもって総理は言っておられる、あるいは与党の幹事長が言っておられると思っていましたが、こういう事態になって一体何だったんだろうかと。

 この戦争によって多くの方が亡くなり、被害が出たわけですから、その本来の目的が正当化される理由がこういうことで未だに明確でないということは大変由々しき事態だと思います。

 是非、マスコミの皆さんもこの問題を正面から取り上げていただきたいと思います。

【記者】イラクの復興支援の関係ですが、復興支援と戦争の是非とは別だと切り分けをされているようですが、大量破壊兵器が見つかっていないということはかねて民主党が主張されていたように、この戦争には大義がなかったということを裏付る結果になっていると思うんですが、そこはやはり切り分けて考えるべきだとお考えでしょうか。

【幹事長】それも1つの論点ですね。法案についての議論する際の。戦闘行為そのものは終わっていると。今でも散発的にはロケット砲が打ち込まれて米兵が亡くなったり、最近もそういうことが起きているようですが、おおむね終わっていてあと散発的にこういった事件が起きている状態。

 それから国連決議があった。その国連決議をどういうふうに評価するのかということですね。そういったこともこの法案を議論する際の論点、争点であるというふうに思います。あまり言い出すと中身に入っちゃうのでこれ以上言いませんが。

 私は賛成とか反対という意味で申し上げているのではありません、ニュートラルですから。論点になり得るという意味で申し上げています。

■山田議員問題

【記者】山田敏雅議員の倫理委員会の件ですが、進展状況と今後の見通しを教えてください。

【幹事長】結論から申し上げますと、倫理委員会は何回か開いています。ご本人からご意見を聞くという場面もあります。ただ、いつとか中身がどうとかそういうことは個々には申し上げるべきではないと思います。

 倫理委員会に今何をお願いしているかというと、調査をお願いしているわけですので、私のところには倫理委員会としての調査結果が上がってきます。その段階で皆さんにもご説明することがあるかと思いますが、その途中の段階では具体的に申し上げることは控えたいと思います。

■外交問題に関する追及と総理の責任

【記者】先ほどイラク戦争の大義について、総理はきちんと説明をする責任があるとおっしゃったんですが、これまで民主党は終盤国会は経済有事だという位置付けのなかで、経済運営上の責任を問うていくという姿勢が強かったと思うんですが、外交問題で総理の責任を問うていくということが強くあるんでしょうか。あるいは、総理の責任として、今回の戦争に至る経緯について小泉総理の責任というものをどのくらい強く考えていらっしゃるんでしょうか。

【幹事長】先日の予算委員会での経済・外交に関する集中審議で菅代表がトップバッターで立ちましたが、そのなかでも外交をかなりやってるんですね。そういう意味で、経済だけに特化するということではありません。

 ただ、経済問題が非常に重要だということで、我々は「経済有事」という言葉を使って、そこを中心に議論しているわけですが、先ほど言ったイラク戦争に大義があったのか、正当事由があったのかといったような問題は非常に大きな問題ですから、北朝鮮の問題と並んであるいはイラクの復興支援の問題と並んで、これからも国会での大きなテーマだと考えています。

【記者】総理の責任については?

【幹事長】総理の責任は追及されるべきだと思います。

■企業・団体献金に対する民主党の基本的な考え方

【幹事長】先ほどの日本経団連の献金の問題、最初に基本的なことを申し上げたほうが良かったのかなと思いますが、我々は、企業・団体献金について、将来的には個人献金に依存する形にすべきだと考えていますが、現実にはいろんな法制上の問題もあって、あるいは意識の問題もあって、個人献金についてはそう多くを望めない状況にあります。

 そこの改革も必要だと思いますが、そういう現実もあるなかで、あまりにも税金に依存しすぎた党運営は健全ではないと私は考えますので、企業・団体献金やパーティーによる活動資金の調達は必要であるという基本的考え方に立っています。

 現に、7月1日には党主催のパーティーも、規模から言うと自民党の派閥のパーティーよりもややかわいい程度の規模で、議員個人のノルマから言ってもかなり少ない、そういうパーティーですが、今そのパーティーについて、私自身も含めてお願いをしているところです。

 ご質問の日本経団連の問題は新しい要素が入っていますので、つまり評価をするということですね。それによって献金の額が決まってくると。そういう新しい考え方について、党としてどう考えるかということは、先ほど言いましたように、もう少し具体化した段階で申し上げたいと考えています。

■経団連献金の実効性

【記者】今のお答えに関連してなんですが、結局評価をしても自民党への献金再開を形作るだけに終わってしまうんじゃないかというような見方もあるんですが、例えば政策についても実際どれだけ実行したかということが問われるとなると、やはり与党と野党とでは野党が不利になると思うんですね。あるいは、議員個人ごとに評価したいという意見も出ているようですが、これも実際に献金額に反映させることはできないのではないかと思うんですが、その点も含めていかがですか。

【幹事長】そういう問題は当然あると思います。だからこそ、もう少し具体化したところでご意見申し上げたいと思います。

 先ほども言いましたように、まだ経団連のなかですらいろんな意見があると認識していますので、今の段階であまり早く言うことはいかがなものかと。経団連としての考え方がまとまった段階で、意見を申し上げたいと考えています。

■マニフェストの意義と民主党の取り組み

【記者】与党各党でも、マニフェスト(政策綱領)作りが進んでるんですが、民主党としても今作ってると思うんですが、そういうふうに各党でマニフェスト作りが進んでいる状況についてどういうふうに思われるのか、また、民主党としてのスケジュールについても教えてください。

【幹事長】まず、最初のご質問について言えば、非常に結構なことだと評価しますね。政治が、よりはっきりと説明責任を果たすということですから。

 例えば、私は前回の参議院選挙における民主党の選挙政策は、数値がたくさんは入っていないという意味では、マニフェストとはいえないかもしれませんが、かなり具体的なものとして、しかも半年くらい、その関連でネクストキャビネット(『次の内閣』)も10回くらいやったと思いますね。そういうなかで議論して練り上げたもので、私なりに自信を持って出したつもりです。

 それに対して、自民党のほうの選挙公約は、実態はほとんどお役所の係長クラスが書いていると。それがきちんとマニフェストという形でお作りになるということであれば、それは評価できると思います。

 ただ、マニフェストというのは作って終わりではありません。実効性が問われるわけですね。そういう意味で、今回はマニフェストを掲げて選挙するというそのこと自体にも意味はあると思いますが、その次の選挙は、じゃあ前回の選挙で掲げたマニフェストがどれだけ実行できたのかということの評価も併せて問われる選挙になるわけです。

 そういう意味で、マニフェストというのは、「1粒で2度おいしい」ではありませんが、作ることとその結果の評価という2つの重要な役割を果たすということだと思います。

 自民党に申し上げておきたいのは、例えば前々回の参議院選挙のときに、我々はいろいろと議論がありましたが、消費税の引き下げについていろんな議論が出ていましたが、民主党は消費税は現状をそのまま行く、つまり引き下げということは言いませんでした。

 いろんな議論が党内にありましたが、政調会長代理としてその一線は守ったつもりです。真面目に公約として掲げたつもりです。

 政府は何も言わなかったんですが、自民党は消費税を引き下げるということを公約として掲げました。つまり、政府と与党が違う約束をして、選挙を戦ったということがありました。マスコミはあまり書きませんでしたが、これなどは本当に馬鹿げたとんでもないことで、マニフェストをもし作るということになれば、それは政府と自民党一体のものでなければ意味がない。そういうふうに思いますし、そういうものが出てくることを期待しています。

編集/民主党役員室


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