2003年5月30日(金) 戻るホーム記者会見目次

岡田克也幹事長 定例記者会見要旨

○合流問題の党内説明は一通り済んだが個人的な説明は続けてていく
自由党党大会を新たなスタートに選挙協力や政策論議等の機会をつくりたい
候補者擁立:6月一杯には野党3党で全ての空白区を埋める勢いで進める
代表選見直し:代表の正当性に疑義が呈される仕組みは改善する必要あり
今後の合流の可能性はあるが、それには両党間の交流と信頼醸成が必要
イラク新法:自衛隊派遣ありきではなく具体的ニーズを見極めるべき
山田議員問題:法に触れる問題は倫理委員会で速やかに調査・報告する
「対話と圧力」:金体制に対する基本的立場が違えば日米間に混乱もたらす
政治がビジョンを示すことは重要で、今はそれが不足している

■自由党との合流問題

【幹事長】まず、自由党との合流問題ですが、月曜日に両党間の関係は明確になったわけですが、その後、火曜日の常任幹事会での報告、そして昨日の「自由党との合流問題についての議員懇談会」ということで、説明は一通り済んだと思っています。

 ただ、これは議員の身分に関わること、つまり選挙ということですから、そういう意味での関心が高いということはいわば当然のことで、まだ十分納得がいかない方がおられることは当然だと思います。

 そういう方々に対しては、きめ細かく説明をする必要があると考えていて、来週以降も、あまりフォーマルなところでマイクを持ってしまうとついつい形式論にもなりがちですので、当選回数の少ない議員の皆さんを中心に、インフォーマルに少人数でいろんな形で皆さんのご意見を聞き、こちらの考えも伝える、そういう機会を積極的につくっていきたいと思っています。

 北橋幹事長代理とも相談して、いくつかもう入っていますが、党内コミュニケーションの一環ですので、そういったこともしっかりやっていきたいと考えています。

 あとは、6月2日月曜日に自由党の党大会が行われます。菅代表もご出席になりますので、今回のことも踏まえて、菅さんからもしっかりとしたご挨拶をいただき、これを新たなスタートにしたいと思っています。

 今日、自由党の藤井幹事長とも少しお話をしましたが、2日を経て、選挙協力の話とか、あるいは政策面でのいろんな意見交換とか、お互いの議員が知り合う機会というのは非常に大事だと思います。

 統一会派は結成しないことになりましたが、それに代わるものとして、いろんな政策的な議論の場というのもこれから積極的につくっていくつもりでおりまして、そういうことも含めて、来週月曜日の自由党大会以降、よくご相談もしていきたいと考えています。

■総選挙・政権獲得に向けた今後の課題

【幹事長】次に、民主党としてこれから行っていかなければいけないこととして、政策・国対は、もちろん後半国会もまだ少し残っていますし、今後の選挙に向けてのマニフェストづくりとか、いろんなこともありますが、ここは枝野政調会長と野田国対委員長に一義的にはお任せしています。

 それは横に置きますと、まず第1に「政権戦略」です。自由党との合流は当面先送りになりましたが、自由党・社民党との選挙協力、あるいはより緊密な関係をつくること。それから各界との交流、これも代表らと共にいろいろと進めています。それから連合との信頼関係の強化、政権を取った後のことに関する政権準備委員会での検討。

 第2に「選挙」です。特にこれからはいよいよ、10月、11月の解散・総選挙という我々の前提の下、具体的なプランニングをやっていかなければいけないと考えています。

 今週も企画担当の江田さんや事務局長の前川さんも交えて、代表と1回目のフリーディスカッションをしたわけですが、総選挙から逆算をして「いつまでにこういうことをしなければいけない」ということを私のところで案を作って、それを選対本部にご相談していくと。こういうことだと思います。

 先日の新人候補者研修会は割と好評だったと思っていますが、そういう新人の皆さんへのケア、そして何よりまだ空白区がありますから、そこを埋める作業も6月一杯には全部埋めるという勢いで進めていかなければいけないと思っています。

 そういうことも実は今週、代表の下でそれぞれの選挙区ごとの空白区の現状について、赤松選対委員長あるいは堀込委員長代理からお話も聞いて、来週くらいまでにそれぞれどういう形で埋めるための手順を決めるのか私のところに考え方を出してくれとお願いをしたところです。

 第3は党改革です。今、党パーティーに向けていろんな労組や団体を私自身も回りながらパーティー券のお願いもしていますが、バランスの取れた収入構造をいかにして構築していくか。税金だけに頼るのではない、自立した政党ということも大事だと思います。

 その前提としての収支の透明化。自民党のほうは透明性をさらに低めようということのようですが、収支の透明化あるいは歳出の全面的な見直しといったことも、それぞれの担当のところで進めてもらっています。

 後は、来週ぐらいに方向性をつけなければいけないと思っているのは代表選のあり方で、次の代表選はまだ1年以上先ですが、サポーターの問題もありますので、そろそろ方向性を出していかなければならない。

 せっかく選んだ代表がその手順についていろいろ疑義が呈されて、その正当性に最初から傷が付いてしまうというのは誠に馬鹿げた残念なことで、そういったことにならないように、しかし一方ではあまり手続きを厳格化すると、今度は国民を巻き込んでいくという、一方での要請が難しくなりますので、そこのバランスが難しいわけですが、今までの代表選のあり方を基本としながら、手を入れるところもかなりあるんじゃないかということで、仙谷座長の下で今議論を進めているところです。

 そんなことを今、私の下で進めているところです。今まで合流問題で大分時間を取られましたので、こういったいろいろな課題について、とりわけ総選挙に向けての準備態勢について、しっかりやっていきたいと思っています。

<質疑応答>

■合流問題に関する党内論議の動向

【記者】合流問題についてですが、昨日の議員懇談会でひとまず議論が終わったという判断でしょうか。それからもう1つ、常幹のメンバーからも両院議員総会を開けという意見がありましたが、一度常幹で決めたことをまた改めて蒸し返す、そういう政党文化のあり方についてどう思われますか。

【幹事長】後者の話は私よりも、それぞれの該当者に聞いていただいたほうがいいと思いますが、もちろん大事な問題ですからね、特に常幹メンバー以外の方から今おっしゃったような話が出るのは、ある意味では私はうなずけるところもあります。

 党規約には常任幹事会は「執行機関」と書いてありますので、常任幹事会の性格そのものも少し議論にはなりましたが、基本的に常任幹事会というのは今まで決定をしてきた、執行部が行うものについて、それを承認・決定をしてきた機関ですから、そこできちんと決めたものについて再度議論をするというのは普通はないんだろうと思います。

 そういう意味ではこの問題は、一旦区切りを付けたと菅さんも私も考えています。
しかし、先ほども言いましたように、個人的にまだいろいろと納得していないという気持ち、それはよく分かりますので、そこは丁寧に説明をしていく必要が依然としてあると考えています。

■空白区の候補者擁立と今後の合流の可能性

【記者】先ほど空白区を埋めるということをおっしゃっていましたけれども、どれくらいの数の候補者を立てるということを考えていらっしゃるのかということと、選挙直前の合流というようなことをささやく方もいらっしゃいますし、実際まだ合流の可能性はゼロになったわけではないという菅さんの発言もありますが、そういったことについてはどのようにお考えでしょうか。

【幹事長】まず、空白区の問題ですが、私は「空白区」と先ほど申し上げたのは、我が党だけではなくて自由党や社民党も現時点で候補者を立てる見通しのないところを
「空白区」という表現で言ったわけです。その空白区はザクッと言いますと、恐らく40弱くらいだと思います。

 そういったところについて、引き続き選挙対策委員会で候補者擁立を図るところと、私が県連会長・幹事長に直接擁立をお願いするところ、あるいはそれもできないということであれば、こちらにある候補者リストのなかで、適切な人をその選挙区から立っていただくとか、そういう形で埋めていく必要があると考えています。基本的には、300小選挙区全部を共産党以外の野党3党で埋めるという方針で今、挑んでいるところです。

 それから、今後の合流の可能性ですが、これは月曜日の記者会見の折に、小沢党首そして菅代表が言われたとおりで可能性はあります。ただ、それを可能にするためには、両党間の信頼関係が増していくということが非常に大事で、そのための統一会派でもあったわけですが、統一会派をつくらないということであれば、それに代わるような形で両党間の交流を深め、信頼感を増していくことが重要です。

 そういう意味で、我々はそのための努力を全力でやっていかなければならないと思っております。おそらく自由党さんも同じ思いだろうと思います。

■イラク新法への対応

【記者】イラク新法への対応についてお伺いします。中身はまだはっきりしませんが与党側は恐らく新法について提出も含めて相当前向きに検討しているかと思いますけれど、新法の整備の是非と実際に自衛隊をイラクの現地に派遣することについて幹事長はどのようにお考えでしょうか。

【幹事長】この問題はとてもコメントしにくいんですよね。なぜかというと、理由は3つあります。1つは、この問題が自民党内の政局として語られているということで、不用意に我々が発言するとどちらかに加担しているのではないか、あるいは自民党が我々の発言を都合のいいようにその政局のなかで使う可能性がありますから、そういう意味で慎重でなければならないと考えています。

 2番目は、今の時期に我々がこの問題を前向きに議論するということになりますと、会期延長を暗黙のうちに前提にしていることになります。これまた我々は原則論として延長を認めていませんので、そういう意味でも発言は慎重にしなければならない。

 3番目は、与党の言う新法の中身がはっきりいたしません。いろいろなことが言われています。そういう意味でまだ公式にコメントする段階にないのではないかと考えます。我が党もイラクに調査団を派遣するということは決めましたので、1週間くらいかかると思いますが、その報告も聞いてみなければいけないと考えております。

 私がNGOの皆さんから聞いたところでは、病院とかあるいは食糧とかそういったものは少なくとも都市部ではきちんと供給されているということですから、具体的なニーズがどこにあるのかということをしっかりと見極めたうえで議論をしなければいけない。

 自衛隊の派遣の問題も、その関連のなかで議論されるべき話であって、先に自衛隊派遣ありきというような議論は望ましくない、適当でないと考えています。

■山田議員問題

【記者】山田敏雅議員の件について伺いたいんですが、倫理委員会を開かれるという報道がありましたけれども、山田議員からの申し立てだったのかというのがまず1点。それからこれはいつ頃までに常任幹事会に対して報告があるのかというのが2点。3つ目が、何についてそちらで調査されているのか、つまり経歴詐称の問題なのか政治資金規正法違反の問題なのか、あるいは税金滞納の問題も含めてやっておられるのか。この3点についてお聞かせください。

【幹事長】まず1点目についてですが、基本的には党として倫理委員会で調査をするということを決めました。山田議員にもそのことについて事前にお話をし、了解を得ています。

 2点目についてですが、いつまでにということは現時点では申し上げられません。
「速やかに」ということしか申し上げられません。倫理委員会はすでに2回開催していますが、まだご本人からはお話は聞いていません。少し論点の整理をしているところで、今後ご本人のお話も聞いたうえでなるべく早くとは思いますが、今の時点ではいつまでとは申し上げられません。

 それから3番目についてですが、これもご本人の話を聞いたうえでどこが問題になり得るかという見通しをつけなければなりませんので、現時点では確たることは申し上げられませんが、一般論として言えば法に触れるような問題、山田さんは我が党所属の国会議員で、もちろんその前提として公認もしていますので、そういったことに関係することについては倫理委員会で調査する必要があると思います。個人的なことは、ご本人自身が説明する問題であって、党として倫理委員会で調査することではない。

 しかし、そこの境目がどこになるかということも含めて、一度お話をよく聞いてみないと今の段階では具体的なお話はできないだろうと思います。

■自立した議員をめざす会

【記者】昨日、田中甲議員や江田憲司議員、山村健議員などが「自立した議員をめざす会」という企業献金に関する勉強会を発足させましたが、これから民主党の若手にも働きかけていって、人数が増えていけば、政党をつくることも念頭にというような話かと思うんですが――

【幹事長】政党?

【記者】政党というか、「あらゆる選択肢を」というお話をされてましたが、そういう動きについて岡田幹事長はどう見てらっしゃるんでしょうか。

【幹事長】献金の話とか、「政治とカネ」の問題について江田さんを中心に勉強会をつくられるということは、私は結構だと思いますが、その話と政党をつくるという話がどう関係があるのか私には分かりません。

【記者】その勉強会が政党をつくる可能性については……

【幹事長】勉強会に参加することは議員の自由だと思います。しかしそれが政党を結党するということは、遊びじゃないんですから、ちょっと私にはご質問の趣旨がよく分かりません。

■日米首脳会談の「対話と圧力」という文言

【記者】日米首脳会談についてですが、北朝鮮に対して「対話と圧力」という言葉が総理からあり、それについて田中外務審議官が「圧力」という文言を削除しようとしたわけですが、一官僚が外交に関する極めて重大な文言についてこのように関与することについて、どのように思われますか。

【幹事長】私もそのことは報道では承知しておりますが、事実関係を詳細には把握していません。田中さんが、例えば総理や総理周辺の人間の許可なくそういうことをしたのか、ということについても私は知識を持ち合わせていませんので、そのことのコメントは控えたいと思います。

 ただこの問題で、私はかねがね申し上げていますように、官邸のなかでどういう路線でこの北朝鮮の問題に対応していくのかということについて、方針がブレているのではないか。例えば、福田官房長官と安倍官房副長官が果たして同じ考え方なのかということは問題提起をしてきました。

 今回の小泉総理の訪米を見て、恐らくアメリカは北朝鮮の体制が現状のまま維持されるということではないんだろうと想定をします。これは決定的なことではありませんが、恐らく北朝鮮の体制が変わるということを最終的に目指して組み立てをしてるんだろうと思います。

 じゃあ日本はどうなのか、総理はどうなのか。このことについて恐らく答えはまだない。あるいは平壌宣言を見る限りでは、今の金正日体制を前提にして、そして最終的には話し合いで問題解決をしていこうという姿勢だろうと思います。

 私はその姿勢を支持しますし、そういう立場に立ちますが、そういう基本的なところについて日米首脳間でどういう議論が行われたのか。そういったことは議論せずに、安易に「圧力」という表現に乗っかったとすれば、将来これは日米間にとんでもない混乱をもたらすことになると思います。

■『日本改造計画』と政治のビジョン

【記者】自由党の小沢党首についてなんですが、93年に『日本改造計画』を出されて自民党を離党されました。あれを出されてから10年経ちますが、当時の小沢さんが改造計画のなかでおっしゃっていた改革の中身を見たときに、現在の政治状況に照らしてどのように評価されますか。

【幹事長】ちょっと『改造計画』の概要を話してくれない?(笑) 

 『日本改造計画』そのものはかなり多岐に渡る内容で、安全保障もあれば政治のあり方についてもあり、あるいはかなり具体的な国土開発に関する記述とかいろいろあって、なかなかちょっと一言では言えないんですが、当時はかなりの新鮮さをもって迎え入れられたし、我々も非常に惹きつけられるものがあった。そういった本だったと思いますね。

 あの中身が今どのぐらい、依然として新鮮さを保っているかということについては個々にコメントするだけの記憶が今ありませんが、やはり政治はビジョンが大事だというふうに思いますね。そういう意味ではやはり今の政治に不足しているのは、そういった将来に対してのビジョンです。

 それは国家目標とかそういう形でのものではないと私は思いますが、国家目標のようなものを政治が指し示して、そこに国民を引っ張っていくようなそういう政治スタイルでは今の時代はないんだろうと思いますが、しかしビジョンを示して日本としての方向性を示すということは依然として重要で、今それが不足していると思います。

 そういったものを自分もいつかつくりたいと思いながら、日々忙し過ぎてその時間が取れないのは残念ですが。

■民由合流後のビジョン

【記者】ビジョンということに関連しますが、今回の自由党との合流については、合流をして何をやるかということが国民に対してほとんど示されることがありませんでした。幹事長は「合流を前提に」ということで、合流を進める方向で努力されてきたと思いますが、民主党が示すビジョンと自由党と合流した場合のビジョンというのは違うのでしょうか、あるいは同じなのでしょうか。

【幹事長】私は統一会派をつくるなかでそういったものをお互い出し合って、そしてそれが共有化できたときに1つになれると思ってきました。そういう意味では、今回そういったものがほとんど議論されないまま合流するしないの議論に終始してしまったことは残念なことだったと思います。

 本来、政権構想協議会をつくったときには、政権政策についても併せて議論をすることになっていたはずで、それができなかったことは私も責任者の1人ですから責任を感じるとともに、残念なことだったと考えています。

 我々が1つの政党になるのであれば、そういうことは当然必要になると思います。しかし、少なくとも今の自民党あるいは自公保政権を倒して、そして政権を変えていくというその1点だけでも連立政権であれば、十分立派な目標だと私は思います。細川さんのときもそうだった、政治改革だけだったわけですから。

 ただ、そうは言っても3つ、4つの共通の目標を掲げて選挙を戦う、別の政党で戦う場合ですね、というような形が望ましいだろうと考えています。1つの党になるなら、よりもっと広範な部分での合意が必要になります。

【記者】1つになったときの目標が、民主党が示すところと同じなのか違うのか、ということを聞いてるんですが。

【幹事長】それはこれから議論していかなくてはなりませんので、今の段階では憶測ではものは言いたくありません。安全保障の問題とか、あるいは国家観・国民観、そういうところでよく「違うんじゃないか」ということを言われることもありますが、しっかりと議論していけば私は十分埋められる程度の違いではないかと思っています。

編集/民主党役員室


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