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代表記者会見録(党首会談を受けて)


2003年3月13日【木】午後4時半〜
院内4控室

(代表冒頭発言)
今日は党首会談があったということで、ぶら下がり(取材)にはお答えをしたのですが、記者会見の形で明確に結果の報告をした方がいいだろうと思いまして、この場をセットさせていただきました。

もう既に申し上げたことと重なりますが、若干の経緯だけまず冒頭、説明を申し上げます。

午後3時から官邸で、総理と福田官房長官、山崎幹事長同席の下、私と岡田幹事長とで党首会談に臨みました。冒頭総理の方から、イラク問題についての意見を聞きたいと、こういう話がありましたので、わが党としての考え方、つまりは査察の強化・継続を今行うべきだと。この時点での武力行使容認決議には反対だという姿勢を明確にいたしました。

その上で総理に対して、総理としてはどう考えているのか、特に英米の決議案が採択されない可能性が高くなっている中で、新たな決議がないまま米国が武力行使に踏み込んだ場合に、日本として、政府としてどうするのか、ということをお尋ねいたしました。

それに対して総理からの答えは、「その時点で考える」という答えであって、私はその答えを聞いたときに、一瞬耳を疑いました。いったい何故わざわざ党首会談まで呼びかけていながら、この時点になってさえそういう先送り的な意見しか言えないのか。

かなり何度もそれに関連して、どういうことなんだと。一方では武力行使容認の決議案を採択させる方向に、既に政府として動いているではないかと。こういうことを申し上げましたが、英米案に賛成だけれども、必ずしもそれは武力行使を容認するということではない、といった趣旨のことも話がありました。つまりは圧力をかけていくのだと。武力行使になるというふうに必ずしも思っているわけではないといったこととかですね、結局は何一つ踏み込んだ見解の表明がないままの会談でありました。

加えて北朝鮮問題についても、私の方から、日本にとってはより直接的な脅威であって、この問題にどう対応するつもりなのか。こう聞きましたけれども、相変わらず、平壌宣言の方向で、と言われましたので、平壌宣言は宣言がなされた後に、北朝鮮がNPT条約の離脱を表明したり黒鉛炉の稼働を始めたり、そういう意味では明らかにその方向とは逆の方向に踏み出して、空洞化しているのではないか、と申し上げたのですが、側から官房長官が話を引き取ったりしまして、いや、まだぎりぎり北朝鮮が平壌宣言を守っているのだ、といった趣旨のことを言われまして、これまた私にとっては、とてもではないけれども、そんな認識で対応していいのだろうか、という思いを強くしました。

そういったことで多少の時間そうしたやり取りをしましたけれども、議論の中身というよりも、それ以前の問題、つまりはここまで来てさえ総理が私たちに対して、或いは国民に対して、自分の考え方を述べないというのは、もう異常を通り越して、私は総理としての責任を放棄した行動だと。

たぶん本音は、アメリカが決定すればそれを支持するということを、外務省の方針として、いわば丸投げ・丸飲みですから、決めているのでしょうけれども、こういう場合はこう考える、こういうことについてはこうするんだ、ということが一切ないまま、その時点で考えるという、極めて無責任な言い逃れに終始しているこの総理に姿勢については、私は内容以前の問題として、総理としての資格というか資質を疑うと、このように強く感じた次第です。以上が私の方からの一応の説明です。

Q:具体的なやり取りだが、総理からは、まだ決めていないと、状況を見て判断する、という以外に具体的に何かあったのか。

(菅代表)
ここに、同席したスタッフから少しメモをつくってもらっていますが、ちょっと2、3それを追ってみますと、私の方が「新たな安保理決議がないままアメリカが武力行使をした場合には、国連憲章に反した行動となるのではないかと。そういう場合にも日本はアメリカを支持するのか」と言ったわけですが、それに総理は「自分は何度もはっきり言っている。今も国連では最終的な交渉が行われている。これまで軍事的圧力の下で査察をしてきたことで、不十分とは言えイラクが協力をし始めた。先日も、中間派のメキシコ、チリ、パキスタンの大統領とも電話で意見交換をした。中間派も迷っている。最後まで国際協調が守られるように働きかけることが大切だ。一貫して言っている。アメリカにもフランスのシラク大統領にも言ってきた。この決議、国連での議論が、どういう状況になるか分からない時点で、何も言えない。その時点でないと言えない、ということだ。どういうことになるのか、もう少し見てみないといけない。政府としては見守りたいと思っている。」まあ、こういう言葉がどんどん続くわけですね。

結局、総理としてどういうふうに考えているのだ、と聞いてもですね、見守りたいとか国際協調とか。つまり国際的強調の中で意見が、議論が分かれて、場合によっては分かれたものがある種の決着がどちらかに、国連という場ではつきそうだと。しかしそれでも、国連決議がなくてもやった場合にどうするのだと、幾ら聞いてもその問いには答えないで、今申し上げたような言い方を、繰り返し繰り返し言っているわけです。

この武力行使を容認する決議案、英米が出しているその決議案に加担しているのではないか、という私の指摘に対しても、「これは武力攻撃を容認する決議ではない。国連が一致協力してイラクにあたらなくてはいけない。協力できるものは何なのか、国際社会が一致するように働きかけている。」つまりは、総理にとっては英米の決議案は、武力行使を容認する決議案という認識がないようにも、話の中で言えば受け取られます。つまり圧力をかける決議案なのだと。

そこで岡田幹事長が「米英の決議案は武力攻撃を容認する決議案ではないという認識なのか」と改めて聞いたところ、「これは、武力攻撃になるかどうか、それはその時の状況にならないと分からない。イラクが武装解除すれば武力攻撃にならない。」

さらに岡田幹事長が「米英の決議案は、武力行使を容認するものであるというのが、一般の認識である。そうなる、ならない、という話ではない。」こういうふうにさらに詰めるわけですが、総理からは「イラクに、武装解除の最後の機会を与えるものだ。イラクに、一致して国際社会の圧力をかける。これが大事だ。イラクが協力すれば、武力行使にはならない。」つまりは武力行使を容認する決議だということ自体を、言い方としては避けたいというのが、どうも総理の言いぶりでありまして、そういったことからも非常に、まあ一言で言えば、何を言っているかよく分からない。そういう議論でありました。

Q:ある意味では国会答弁と同じような答えが総理から返ってきたようだが、菅代表の方からそれを踏まえて何かガツンと言ったか。

(菅代表)
つまり、何のために党首会談を呼びかけたのですか、ということを言いました。つまり党首会談というのは、もちろんわれわれの意見を聞くということもありますが、われわれが聞いたことに対して答えていくということもあるわけであります。

これが外国にでも出かけられる時であれば、一方的に意見を聞く場面もあってもいいと思いますが、ここまでイラク情勢が、国連での情勢が煮詰まっている段階で野党と会談をするということは、それなりの見解を総理からも当然述べられると、そう思うのが自然であって、自分の方は何も考えていませんというのであれば、わざわざ呼ばれてですね、われわれの見解は国会でも全部言っているわけですから、そういうことがなんで必要なのか。

ガツンということになるかどうかは別として、いったいこれは何なのですかと。なんのために党首会談をわざわざ呼ばれたのですかと、最後にも繰り返してそれは言っておきました。党首会談そのものを呼びかけられたことについては評価するけれども、内容的にそれに値するものでなかったことは残念だということを申し上げておきました。

Q:イギリスでは修正案に6つの条件を盛り込むなどアメリカとの路線の違いが出てきているが、こういったイギリスの提案と今の米英の関係のきしみをどうとらえているか。

(菅代表)
イギリスのブレア政権の下で相当程度、特に与党労働党の中から今のブレア首相のこの問題への対応に対して、党内からかなりの強い批判が出ている。またイギリス国民の多くも今のブレア路線に反対をしている。そういう中でのブレア首相の、ある意味では大変厳しい状況の中で、なんとかイギリスの立場を、或いはブレア首相の立場を貫くには、やはり国連決議なしでの武力行使にイギリスが賛同するというのは、たぶん避けたいというのが、その思いにかなり強くあるのではないかと推測されます。ですから何らかの形で新たな国連決議を得るための、いわば色々な努力をイギリスがしていると、そういう状況だと見ております。

ですから英米の亀裂というよりも、ある意味ではブレア首相そのものが国内的に追い詰められた中で、新たな決議がないままの武力行使に非常に躊躇していると。その結果、これまでのブッシュ政権と歩調を合わせてきたブレア政権の路線が、やや揺らいでいると見るのが適切ではないかと。対立というよりも、今申し上げたように、ブレア政権そのものの路線が、党内或いは英国国民の反対によってかなり揺らいでいるというのが、こういう状況の原因というか状況ではないかと見ています。

Q:先ほどの、官房長官の北朝鮮に関しての「まだぎりぎり平壌宣言は守られている」という発言を、もう少し詳しく教えて欲しい。

(菅代表)
若干、どこまで正確かあれですが、一応メモに沿って言ってみますと、私の方が「話は変わるが、北朝鮮問題はどうするのか。日本にとっては直接の脅威でもある。」こういう趣旨のことを言いましたら、総理は「韓国・アメリカと連携をとって対処する。平壌宣言にのっとって行う。」と。

そこで「平壌宣言は空洞化しているのではないか。」というふうに私が申し上げたら、福田官房長官が「確かに一時お休みしている。しかし北も存在は認識している。息の長い交渉をしていかなくてはいけない。」

そこで私の方から「停滞といっても、何も動いていないのならともかく、つまり平壌宣言後にNPT条約からの脱退表明や核施設の再稼働など、完全に平壌宣言とは逆方向に進んでいるのではないか。」こういうふうに言いましたら、総理が「北朝鮮も平壌宣言を評価している。それは見解の相違だ。」と。見解の相違とは私との、でしょう。「日本は(平壌宣言を)守るように努力しているし、北朝鮮が守るように働きかけていくのが日本だ。北朝鮮も宣言の重要性は認めている。」

その時に福田官房長官が「確かに平壌宣言は危ないところまでいっている。ぎりぎりのところで守っていると考えている。よくよく観察しながら、守るという意向で交渉をしている。自制の気持ちがある。」こういうやり取りの中で、ぎりぎりのところで守っていると考えている、というのが官房長官の話でした。

Q:先ほど代表は党首会談の呼びかけを評価すると発言されたが、国会の答弁がああいう状況の中、表からは見えない場で、いわば裏の党首会談を呼びかけるというやり方をどう思うか、もう少し詳しく教えて欲しい。

(菅代表)
党首会談というのは色々なケースがあります。ですから国会の議論は国会の議論としてオープンの場で国民の前で議論するわけですけれども、ある意味では二党間だけの議論ではなくて、国民の前での議論ということももちろん重要です。しかしある場面では、党首会談という形で個別的に意見交換をする、或いは意見を伝える、或いは意見を聞く、ということがあってもいいわけでありまして、私の記憶では、多少この間色々なポジションにいましたので、その間に一つ二つあったかもしれませんが、私が幹事長時代に、9月の総理の訪朝前に党首会談が開かれて、当時の鳩山代表と私が出かけまして、その時点での訪朝に臨む我々の意見を申し上げたこともあります。そういうことは、全てが国会の場でなければいけないというふうには思いません。国会の場もあり、党首会談の場もあってもいい。ただ国会の議論と全く違う議論をそういう所でするということには、もちろんならないだろうと。そういう意味で、秘密で何かを行うという意味合いで党首会談をするというふうには、私自身は考えておりません。

Q:民主党の考え方の確認だが、国連決議があって武力行使があった場合、決議の内容にもよるだろうが、その場合は武力行使を認めるのか。

(菅代表)
まず今日の会談では、総理の方からそういう議論に踏み込んだ発言は一切ありませんでした。まず自分の方が何も踏み込まないわけですから、あの得意の、じゃあ民主党はどう思われているんですか、こういう場合はどうなんですか、という逆質問らしいものは一切ありませんでしたので、今の質問にあたるような議論は党首会談そのものでは一切出ておりません。

一般的に言えば、わが党の基本的な姿勢は、先程来申し上げているように、査察の強化・継続と、現在の米英が出している、結果的に武力行使を現時点で容認するような決議案そのものに反対だと。しかし何らかの決議案が国連という場で採決をされた場合には、その決議案の内容に沿ったところについては、それを認めていくというのが基本的な姿勢です。

その場合にももちろん、内容にもよりますけれども、内容を大幅に越えた行動については、それまで含めて武力行使を容認することにはなりません。ですから例えば、それこそ仮定の問題ですので言いようがありませんが、何らかの形で新たな決議がなされてある一定の行動をとった中でどうしても限定的な武力行使が必要だということが、国連という場で正式に決議をされた場合には、そういうことについて認めていくということが基本的な姿勢です。中身についてはまだはっきりしたことが見えてきておりません。

Q:総理の方から、折に触れてこういった機会を設けることや何かあったら連絡するという話はあったか。

(菅代表)
ちょっと面白いことを言われたんですよね、途中で。ここですね、前後をちょっと読んでみますと、総理が「イラクに武装解除の最後の機会を与えるものだ。」云々というときに、岡田幹事長が「米英の決議案は武力行使の根拠にならないとの考えなのか。」ということに対して、福田官房長官から「これは、国際社会と一致させることが重要で、今、修正の議論もされているので、どういう形でまとまるかが問題。目的は、とにかくイラクの大量破壊兵器を放棄させるということ。」総理が「そう、YES、NOではない。」とこう言われたので、私の方から「YES、NOなどとは言っていない。私たちは現時点で、査察の強化と継続を主張している。英米の決議案を支持するという政府の立場は、このこととは違っている。」と。総理は「それ(英米の決議案)を支持している。英米案で一致している。」と。そこで「総理のスタンスは英米案に賛成ということか。」と聞きましたら、総理は「イラクが武装解除をすればよいことだ。」その後官房長官が「まずは国際社会の一致した意見でイラクと対処しようということ。それからイラクがどうするのか、まだ見守らなくてはならない。決議が出たら攻撃するというものではない。」

そこで私が「国際社会では、新しい決議が成立しない場合の可能性が高いと見られていて、米英案は厳しいと見ている。米国は単独で武力攻撃するということをアメリカは言っている。その時はどうするのか。」ということに対して、「その時点で考える。その時の日本独自の立場で判断する。イギリスとは違う。」これは総理の言葉です。福田官房長官も「その時点で考えるということ。」

そこで私が「民主党は、はっきり言っている。新たな国連決議がない場合には、国連憲章にも反する行動なので反対だ。」ということを言った中で、総理がこういう言い方をしました。「何も今日が最後の党首会談ではない。状況が変わればまたその時に話す。」と、こういう言葉があったものですから、私が「総理が結論を出す前に、また党首会談をやるということか。」ということを聞きました。そしたら総理は「それもその時点での判断だ。」と、逃げたわけですね。

つまりは総理は今日の時点では判断していないと言うから、それなら最終的な決断を下す前にもう一度党首会談をやるのかと言ったら、それもその時点での判断だと、こういうふうに逃げております。ですから更に党首会談を呼びかけてくるかは分かりません。

以 上


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