2003年3月13日 >>代表記者会見録 戻るホーム民主党文書目次

党首会談 発言概要メモ


日 時
場 所
出席者
当 方
:2003年3月13日【木】午後3時〜午後3時20分
:総理官邸4階
:小泉内閣総理大臣、福田官房長官、山崎自民党幹事長
:菅代表、岡田幹事長

総理:忙しいところ来ていただいて感謝する。今日は、党首討論ということではなく、意見を聞かせて欲しい。

菅代表:イラク問題等ということで、党首会談を呼びかけてもらったことは感謝する。意見をということなので、まず、私の方から言うと、今の状況の中で、国連の新たな安保理決議がないままに武力攻撃をすることは、わが党としては賛成できない。現時点では、ブリクス委員長も報告しているように、さらに査察を強化・継続するべきだというもの。

今日は、総理のはっきりした考えを聞きたい。場合によっては、今週中にも国連である種の決着がみられるかも知れないという状況であるし、さらに言えば安保理決議がないまま米国が武力攻撃にでることも言われているが、その場合、私たちとしては、支持できない。もしそういうことになったとしたら、国連憲章と反した行動になる、これはアナン事務総長も言っていることだが、そのように考える。あえて、国連憲章違反の行動を米国がとったとしても日本政府は支持するのか。総理の考えを明確に聞きたい。

総理:このことについては、自分ははっきりしていると思っている。まず、これはイラクの方に責任がある。今も、国連では最終的な交渉が行われている。これまで、軍事的圧力のもとで査察をしてきたことで、不十分とは言え、イラクが若干の協力をはじめた。

先日も、中間派のメキシコ、チリ、パキスタンの大統領とも電話で意見交換をした。中間派も迷っている。最後まで、国際協調が守られるような働きかけをしていかなくてはいけない。その点については、アメリカにもフランスのシラク大統領に言ってきた。

この決議、国連での議論が、どういう状況になるかわからない現時点では、何も言えない。その点は、ご理解いただきたい。その時点でないと言えないということだ。どういうことになるのか、もう少し様子を見てみないといけない。政府としては見守りたいと思っている。

菅代表:今日は党首討論ではないと言われたが、これではいったい何のための党首会談なのか。改めて申し上げるが、私たちとしては、はっきりと言っている。つまり、ブリクス委員長も言っているように査察を強化・継続していくべきとの立場。逆にいえば、現時点で査察をやめて、武力行使を容認する決議そのものは、時期尚早である、支持できないというものだ。

しかし、総理、外務省は、その武力行使を容認する決議案を支持すると表明し、また事実に各国に働きかけているのでしょう。やっているとしたら、明らかに米英の決議案に加担しているのではないか。そこで党首会談に招かれたというのだから、なぜ査察の強化・継続を言わないで、武力行使を容認する決議案採択への働きかけているのか、きちんと説明して欲しい。

総理:これは、武力行使の容認を働きかけているのではない。

菅代表:武力行使の容認する決議案に賛成しろと働きかけているのではないのか。

総理:我々は違います。国連が一致して採択することを期待している。国連が協力できるような方法はないのか、アメリカ、フランス、国際社会が一致するようなことはないのかということ。

岡田幹事長:今の話だと、総理が各国に言っている決議案は、武力行使を容認する決議案ではないという認識なのか。

総理:これは、イラクが協力すれば武力行使にはならない。

岡田幹事長:そうではなくて、この決議案は、イラクが最終的に協力しなければ武力行使を容認する決議案だと、一般的には認識されている。

総理:いやいや、どういう状況になるかはわからない。そんなことはない。それはイラクが武装解除すれば武力攻撃にならない。

菅代表:1441ではなくて、米英が次の決議案を政治的に出しているわけですから、それに対して、総理は賛成なのでしょ。

総理:そうです。それは、決議案があってもイラクが協力すれば武力攻撃にはならない。

菅代表:武力攻撃になるならないじゃなくて、もしイラクが協力しない場合には、武力行使を容認する、決議案自体はそういうふうになっているのではないかと聞いている。

山崎幹事長:新たな決議案は1441決議とワンセットで考えなくてはいけない。

菅代表:これ以上の継続ではなくて、17日なら17日で、イラクが協力しなければ、武力行使を容認するというものになっているというのは、世界中が認めている。その決議案自体には、賛成なのだろう。

総理:そうだ。それは、イラクに一致して圧力をかける。イラクに武装解除の最後の機会を与えるものだ。イラクが協力すれば、武力行使はしない。そこらへんが違う。武装解除をお前たちがやれというもの。

岡田幹事長:それでは、これは武力行使を容認決議ではないということか。万一、イラクが協力しないとなった場合、どう考えるのか。

総理:それはその時の状況を見ないとわからない。

岡田幹事長:それでは、たとえこの米英の決議が採択されても、イラクが協力しない場合の武力行使を容認する根拠にはならないということか。

総理:だから、それはわからないといっている。状況を見てみないと。

岡田幹事長:状況のことではなくて、決議案の内容だ。

福田官房長官:これは、国際社会と一致させることが重要で、今、イギリスが修正案を出し議論もされているので、国際社会でどういう形でまとまるかが問題。どういう形でまとまるかがわからない。目的は、イラクの大量破壊兵器を放棄させるということ。戦争することが目的ではない。その前の段階で、国際社会が努力をしている。

総理:そう。立場が違う。YES、NOの問題ではない。

菅代表:かってに決め付けないで欲しい。YES、NOなどとは言っていない。私たちは、少なくとも現時点では、査察の強化・継続とはっきりと言っている。

それに対して総理の方は、この新しい米英の決議案に賛成だということは、一般論からすれば、一定の期限を切って応じなければ、武力行使をするという決議案と理解して、それに賛成というのではないのか。それもそうではないというのか。そんなことを言われたら議論がおかしくなる。

だから、英米の決議案を支持しているのか。一般的な国際関係でのことで言えば、査察を維持するなど色々な形での結論はあるわけで、スタンスは英米案ということではっきりしているのだろう。そこははっきりしてもらわなくては。

総理:それは今でもはっきりしている。

菅代表:総理は英米案に賛成ということであるならば、米英の決議案が採択されて、イラクがそれに応じなければ、武力行使を容認するという内容ではないか。

総理:採択されたら、イラクが武装解除をすればよいことだ。

岡田幹事長:しかし、しない時には、武力行使をすることを認める決議案であるから、そうでない状況をいわれても。

山崎幹事長:そこがちょっと飛んでいるんだな。

福田官房長官:まずは、国際社会の意見をまとめること。それでイラクと対処しようということ。それからイラクがどうするのか、これはわからない。まだ見守らなくてはいけない。決議が出たら、即攻撃するというものではない。

菅代表:では、問い方をちょっと変えたいが、国際的な一致が望ましいということで、総理は国会でも新しい決議が望ましいと言っているが、しかし、それができなかった場合、例えば拒否権が行使されるなど、その時でもアメリカが武力行使をするといった場合、十分考えられるが、それを総理は支持するか。

総理:その時点で考える。

菅代表:もうここ2日とか3日の話だ。

総理:英米が武力行使をしても、日本は武力行使しないから。その時の日本独自の立場で判断する。イギリスとは違う。

岡田幹事長:そんなことを聞いていない。これでは党首会談の意味がない。

福田官房長官:だからその時点で考えるということだと言っている。

菅代表:我々はもうぎりぎりの問題だと思ったから、そういうことも含めて、総理の意見を聞きたいと思ってきた。我々はきちんと言っているのだ。新たな国連決議がないままで、米国が武力行使をすることには反対だ。

アナン事務総長も国連憲章に反するといっている。国連憲章と米国の行動が矛盾した場合、現実にはその可能性も高くなっている中で、どうするのか。それは、その時点で考えるというのでは、答えにならない。

総理:いや、党首会談は今日限りではのだから。もうしないというわけではないのだから。

菅代表:それはどういうことか。総理が結論を出す前に、また党首会談をやるということか。

総理:それもその時点での判断だ。状況が変わればまたその時に話す。

菅代表:状況が変わって、総理が何らかの結論を出す時に、党首会談をやるというのか。

総理:それは、状況によってということだ。

福田官房長官:17日に向けて色々と動きがある中で、丁寧に議論をしていこうということだ。

菅代表・岡田幹事長:まったく答えになっていない。

総理:これが現段階の答えだ。

菅代表:これは、国民をあざむくことだ。英米の決議案は、一種の最後通告というものを出しているというのが、一般の理解だ。フセインが受け入れればよいが、応じない時には、武力行使までしますという決議案を出し、それが通るかどうかという、ぎりぎりのところまで来ている。通らなかった時に米国は現実として、ブッシュ大統領は武力行使をするとまでいっている。その時点で考えると言うのでは、あまりに無責任だ。

山崎幹事長:だから英米案が通るように取り組んでいて、日本政府としても協力している。通ったということが望ましい。しかし、通らなかった場合での武力行使は、国連憲章違反ではないかというご指摘だったが、必ずしもそうとはいえないと思う。個人的には、国連憲章違反ではないと思うが、そういうことを総合的に判断すると、この時点での武力行使にはまだ早いと思う。

菅代表:なんで今日、呼ばれたのかまったくわからない。

山崎幹事長:この大切な時点で全力でやっているわけで、意見交換をしてそちらの意見を承るのが大切。

菅代表:意見が違うのは仕方がないが、意見がないではないか。我々は少なくともはっきりと意見を言っている。新たな決議がある時、ない時、はっきりと意見を言うべき。そのことすら言わないのは、意見がないというのが、意見というのではないか。

総理:その時点で判断するというのが意見だ。そういうはっきりした意見だ。

岡田幹事長:国会での議論はどうなるのか。

菅代表:各国では、イギリスでもフランスでも自分はこうやりたいと指導者が意見をきちんと国民に対して言っている。それに対して国内では賛成や反対がもちろん色々出ている。その時点になって判断するのが私の意見だ、といわれたら、国民は何を持って判断したらいいのか。その時点になるまで待ってろということなのか。

総理:その時点で判断する、これが意見だ。

菅代表:それは意見がないといっているのと同じだ。

岡田幹事長:なぜ、その時点にならないと判断ができないのか。

総理:どういうことか。

岡田幹事長:つまり新たな安保理決議があった場合とか、ない場合とか。

総理:米英の決議があっても、イラクが武装解除すればよい。そうすれば、武力行使をする必要はない。そういう圧力がないとイラクは協力しない。アメリカの圧力があるから、イラクは協力する。

岡田幹事長:圧力が必要であることは否定しない。しかし、それだけでは、米英案支持の説明にはなにもなっていない。

菅代表:少なくとも、私たちは、査察の継続を言っている。

山崎幹事長:総理は、米英案を支持するといっている。その成立に全力をあげているといってるではないか。どことどことどことに働きかけているといっているではないか。

菅代表:その米英案は事実上、通りにくくなっている。これが一般の見方だ。この現実にどう対処するのか。

山崎幹事長:そりゃ、結果をみてみないとわからない。

総理:国際協調と日米同盟とをいかに両立させるかということだ。

菅代表:問題は変わるが、北朝鮮問題はどうするのか。どうも総理の危機感が、イラクに比べて北朝鮮に対して非常に薄い。イラクは何度も国連決議に反しているというが、北朝鮮はまだそうなっていない、と言っているが、そんなことでいいのか。日本にとっては北朝鮮問題をより大きな直接の脅威ではないのか。

総理:だからこそ韓国、米国と連携を取って対処している。日朝平壌宣言に則って行っている。

菅代表:日朝平壌宣言は空洞化しているではないか。

福田官房長官:たしかに、ちょっとお休みしている。しかし、北もその存在は認識しているわけで、ちゃんとなる。息の長い交渉なのだから。

菅代表:総理の訪朝後に、現実に北朝鮮がNPT脱退表明し、黒鉛炉の再稼動などし、つまり、じっとしていて進まないのではなくて、平壌宣言とは逆の方向にどんどん進んでいるのに、まだまだ空洞化していないというのは、国民が納得できないのではないか。

総理:これは北朝鮮も日朝平壌宣言を評価している。日本は守るように努力しているし、北朝鮮が守るように働きかけていくのが日本だ。

菅代表:だから、守られてないのではないかと聞いている。総理は守られていると見ているのか。

総理:それは、守ることが大切だ。

菅代表:日本の立場を聞いているのではない。北朝鮮が守っていないのではないか、行動が平壌宣言に反するのではないかと聞いている。

総理:見解の相違だ。北朝鮮も宣言の重要性は認めているから。これを実行するように努力していくことが大切。

福田官房長官:たしかに、日朝平壌宣言はかなりあぶないところまでいっているような感じはする。しかし、それが完全に向こうの意向が、宣言の精神にもとっているかと言うと、精神と言うとおかしいというかもしれないが、まあぎりぎりのところで守っていると考えている。それは、我々としてはよく状況を観察しながら、守るという意向も伝えてきているわけで、我々としてももう少し長い目で見ていく。しかし、その間に何かあれば、それはそれで考えるが。

菅代表:交渉することを反対したわけでなくて、現実の行動は守られていないのではないか、ということを聞いた。

福田官房長官:それはまぁ、色々と見方もある。

菅代表:守られていないからといって、何をするかということは、こちらの意見は国会でも言った。あえてここでいう必要はない。

福田官房長官:だからと言って、我々が何でもやっていいというわけにはいかないし、自制をして守っていく意向があるのであれば、話をしていこうというもの。

菅代表:党首会談をよびかけてもらったこと自体は感謝するが、こういう内容には残念である。意見交換といっても、総理に意見がないということをわざわざ伝えてもらった。残念な内容だったということを最後に言っておきたい。

総理:残念だと言われたが、現時点での自分としての意見を言った。

菅代表:意見がないということが残念といった。

福田官房長官:この時点で行うことに意味がある。そういう状況だと言うことをご理解いただきたい。

菅代表:まったく失望した。

以上
(文責:民主党役員室)


2003年3月13日 >>代表記者会見録 戻るホーム民主党文書目次