1983年10月 ロッキード事件判決(1983/10/12)

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  10・12総理犯罪一審判決に対する党声明

社会民主連合

一、有罪判決は予想通りである。小佐野及び全日空ルート判決の流れからみて有罪は当然であり、国民の常識と期待にそったものと評価しうる。

 しかしロッキード事件に関する一連の裁判は、ロッキード疑獄の構造性を一部解明したにすぎず、構造汚職のメカニズムに介在した灰色政治家の政治的道義的責任は不問のままであり、九十ユニットの内容、軍用機P3C・E2C問題の真相などはいまだ闇のなかである。

 ロッキード事件は政官財ゆ着の構造汚職であるとともに、日米安保の体制的疑獄であったはずであるのに、ロッキード事件はP3C・E2C問題を打ち切って民間機トライスターを軸とする全日空・丸紅事件にわい小化され、ダグラス・グラマン事件は日商社内の経理不正操作事件にすりかえられ、政産軍ゆ着体制は霧のなかに葬られた。

二、田中元総理は「総理在職中の事件で逮捕、起訴されたことは、それだけで罪万死に値する」と冒頭陳述で自らの心境を吐露している通り、その心情にたちもどって、元総理としての分別、見識によりこの際、潔く静かに議員及びすべての公職から退かれることを期待する。

 もし内中元総理自身に自浄能力がないならば、議員辞職勧告決議案を本会議にかけて、今度こそケジメをつけなければならない。

 勿論、田中問題の処理だけが政治倫理確立のすべてではないが、少なくとも政治倫理確立の出発点であることは間違いない。

 またこれは、国民に負担をかけることになるかもしれない行財政改革の原点であるし、青少年の非行化などを糾す教育の原点でもある。

三、この七年間、汚職の構造性解明、汚職再発防止にほとんど見るべき成果をあげえなかった国会の怠慢に、あらためてわれわれは反省と自責の念を深くする。汚職の構造性はむしろ深く巧みに沈澱し、利益誘導、利権構造はますます温存、定着しているかにみえる。誠に慙愧にたえない。

四、われわれは今後この種疑獄の再発防止のために、政産軍、政宮財のゆ着構造を解体し、政治に金がかからない方向へ、制度の抜本的改革を行うことを基本にし、「政治資金規正法」の強化、「公選法」の公営部分を拡大する改正、「議院証言法」の強化、「情報自由化」の法的措置、政治家の資産公開、政治倫理の確立を具体化するための「政治倫理法」制定など、一連の再発防止装置の策定について努力し、国民の負託にこたえたい。

五、最終的には、汚職構造の土壌が三十数年にわたる自民党一党支配体制により形成されてきた事実を反省し、来るべき政治決戦において、その自民党単独支配体制を破砕するため全力をあげる決意である。


1983年

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