2010年1月1日

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年頭所感

 明けましておめでとうございます。皆さんには、すばらしい新年をお迎えのことと思います。本年が皆さんにとって幸多く、実り豊かな一年となることを心よりお祈りいたします。

 昨年夏の衆議院選挙により、政権が交代し、わが国の政治は大きく転換しました。有権者が投票により政権を実質的に選択したのは、歴史上初めてのことで、まさに画期的です。国会も、衆参のいわゆる「ねじれ」が解消し、新たな局面に入っています。「ねじれ」国会の運営にはさまざまな困難がありましたが、この経験は必ず将来に生かされると確信しています。しかし現在のところ、国会も政府もまだ手探りの状態にあるようです。先の臨時国会では、党首討論が行われず、また最後の本会議にも全会派揃っての出席が得られなかったなど、国会の生命というべき充実した審議とは遠い結果に終わりました。残念なことです。

 議院内閣制の下では、与党は政府とともに、自らの施策について説明を尽くし理解を得る努力をしなければなりません。他方、野党は政権運営を厳しく監視するという民主主義に欠かせない重い役割を果たす必要があります。それぞれの主張を一方的に言い放つだけで、噛み合った討論がないのでは、議会政治の本義は生かされません。何はともあれ各会派がテーブルに着いて現実に政策論争を行い、協調して合意点を探って初めて、国会が仕事をしていることになるのだと思います。昨年は「事業仕分け」が注目を集めましたが、すべての国会議員は国会の場で活気ある議論を交わし、ここに国民の注目を集めたいと思っていますし、国民の皆さんもそれを望んでいるはずです。

 私はこれまで、「政権交代構造の構築」とともに「市民政治の前進」を目指して政治に携わってきました。国会での活発な議論は、必ず市民の政治参加に結びつきます。これを促す議長の責務はますます重く、身の引き締まる思いでさらに力を尽くします。

 幸いにして参議院には、先の臨時国会の厳しい与野党対立の中でも、参議院が重視する決算審査の本会議質疑が全会派出席の下で行われたように、与野党の枠を超えて課題に取り組もうとする伝統があります。この夏、参議院議員選挙が行われますが、引き続きこの伝統を大切に守っていくべきだと思います。国民の皆さんには、今後も参議院の活動に対し、ご理解とご支援をいただくようお願いして、年頭のご挨拶といたします。

参議院議長  

2010年1月1日

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