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緊迫の政局・秋の陣。民主党が多数を制した参議院議長に江田五月登場。往時政権めざした父・江田三郎没後30年。

 “議員二五年 政権取れず 恥かしや”

憲政記念館に残る江田三郎の痛切なる色紙。菅直人、土井たか子、榊原英資らによる異色の江田三郎論から旧江田ブレーン、稀代のジャーナリスト、気鋭の学者が江田父子の政権獲りを語る30年の政治ドキュメントであり、指導者論、人間論。

奇しくも今年は江田三郎生誕100年。ロマンの政治家が主張した連合政権が実現して14年が経過した。

激変の時代に問われる「政治家の人間力」、小泉改革を超える清冽なる変革への道筋はあるのか。江田三郎の胆力と比べながら20人の執筆者が今、改めて、泡(あぶく)のような、羽毛のような、政治家に人間力の原点を問う。


推薦の言葉  岩見隆夫(政治ジャーナリスト)
1980年代くらいまで、日本の政治には躍動感があった。保守、革新ともスケールと迫力のある指導者がいた。その一人が、テレビ映りのいい江田三郎さんだった。江田さんが「いる」だけで、政治と私たちがつながっている実感を持つことができた。最近は政治が漂流している。船が波間に消えてしまいそうで、船頭の顔もかすんでいるのだ。なぜこんな心もとないことになったのか。江田さんにぜひとも尋ねてみたい。


  第一部 江田三郎の人間力

・ 政治家・江田三郎の人間力 (北岡和義)
・ “政権とれず 恥かしや” (塩田 潮)
・ 「政治にはビジョンが不可欠」とクライスキ (榎 彰)
・ 「商売としての政治」否定のパトス (田中良太)

  第二部 江田三郎への手紙

・ 江田さんの世代、社会主義とは社会正義と同義語ではなかったですか (菅 直人)
・ 平和憲法と江田ビジョン―― 憲法研究者の一人として (土井たか子)
・ 輝いていた江田ビジョンと政権意欲 (榊原英資)
・ 若い人は問題意識をもってほしいと願う (山岸 章)
・ 政権獲得に挑んだ導きの星―― 江田三郎さんに捧げる (船橋成幸)
・ 石もて追った党は今なく (加藤宣幸)
・ 過去を語らず未来をめざす―― 江田三郎との五七年間 (仲井 富)
・ 江田さん、悲願の政権交代間近です (山田 高)

議員二五年 政権取れず 恥かしや  第三部 戦後政治における江田三郎

・ 歴史的転換への模索の時代を生きて (正村公宏)
・ グローバリズムを超える世界像を (北沢方邦)
・ 江田三郎の国際感覚 (初岡昌一郎)
・ 構造改革論争と《党近代化》 (松下圭一)
・ 社会民主主義の再生へ向けて (山口二郎)
・ 真の職業政治家としての江田三郎
 ― 解説にかえて (空井 護)

  『政治家の人間力−江田三郎への手紙』刊行にあたって

・ 政治家の人間力―― 父・江田三郎の場合 (江田五月)
・ 長島愛生園で語り継がれていること (石井昭男)

  編集を終えて 北岡 和義

  江田三郎没後三〇年・年表


責任編集 北岡 和義
四六判/上製/387頁 ◎定価2730円(税込) 2007年10月12日 初版第1刷発行
ISBN978-4-7503-2636-8
発行 明石書店
〒101-0021 千代田区外神田6-9-5 TEL.03-5818-1171 FAX.03-5818-1174
Amazon.co.jp Yahoo!ブックス Kinokuniya 明石書店


【執筆者プロフィール】 (掲載順)

北岡 和義 (きたおか・かずよし)
1941年岐阜県生まれ。64年南山大学文学部卒。読売新聞社入社、千葉支局、北海道支社編集部記者を経て横路孝弘衆議院議員秘書。74年フリー・ジャーナリスト。79年渡米。在ロス日本語テレビ・JATV社長。06年帰国。日本大学国際関係学部講師。著書に『べらんめえ委員長』など。

塩田 潮 (しおた・うしお)
1946年高知県生まれ。慶応義塾大学法学部卒。編集者、雑誌記者を経てノンフィクション作家。政治家論、官僚論など。『霞ヶ関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞受賞。94年、文藝春秋70周年記念出版、評伝『江田三郎 早すぎた改革者』(文藝春秋社)を上梓。

榎 彰 (えのき・あきら)
1934年旧満州・鞍山生まれ。九州大学経済学部卒。共同通信政治部記者として江田三郎と親交。ベイルート、プラハ特派員を経て共同通信社論説委員長。東海大学平和戦略国際研究所教授。著書に『テロリズム』(東海大学出版会)、『米中枢同時テロ事件』(共同通信社)など。

田中 良太 (たなか・りょうた)
1942年北海道生まれ。65年東京大学文学部卒。毎日新聞社入社、政治部副部長、編集委員を経て92年学芸部長、94年編集委員室長。96年退社。04年から千葉県四街道市会議員。著書に『中枢腐敗』『私の脳卒中体験』『ワープロが社会を変える』(中公新書)など。

菅 直人 (かん・なおと)
1946年山口県生まれ。70年東京工業大学理学部卒。74年市川房枝、参議院全国区当選の選挙事務長。76年衆院選出馬、落選。77年江田三郎と社会市民連合結成。80年衆院選で初当選。衆議院議員9期。橋本内閣で厚生大臣、薬害エイズの被害患者に謝罪。民主党代表代行。著書に『大臣』。

土井 たか子 (どい・たかこ)
1928年神戸市生まれ。京都女子専門学校(現在の京都女子大学)卒。同志社大学大学院研究科修士課程修了。69年日本社会党から衆議院選に出馬、初当選。86年日本社会党委員長。89年の参議院選挙でマドンナ旋風を起こした。93年憲政史上初の女性衆議院議長。社民党名誉党首。共著に『護憲派の一分』。

榊原 英資 (さかきばら・えいすけ)
1941年神奈川県生まれ。東京大学経済学部卒。65年大蔵省入省、国際金融局長、財務官等を歴任。95年超円高是正の為替介入で手腕を発揮、「ミスター円」 の異名をとる。早稲田大学教授。江田五月議員の東大の学友。近著に『幼児化する日本社会』(東洋経済新報社) など。

山岸 章 (やまぎし・あきら)
1929年大阪府生まれ。48年金沢逓信講習所卒。労働運動家。全電通委員長。「連合」初代会長。54年左派社会党に入党、60年代、社会党江田派の活動家。労働戦線統一の功績によって2000年勲一等瑞宝章を受章。著書に『 我かく闘えり』など 。

船橋 成幸 (ふなはし・しげゆき)
1925年朝鮮平安北道生まれ。神戸高等商船学校中退。戦後、船員生活を経て全日本海員組合専従。労農党本部書記。社会党に合流、同党組織局長。飛鳥田一雄横浜市長のもとで同市参与。飛鳥田社会党委員長の指名中執。企画調査局長。著書に『 <証言> 戦後半世紀の政治過程』 (明石書店)。

加藤 宣幸 (かとう・のぶゆき)
1924年愛知県生まれ。45年都立工専機械学科卒。社会党本部書記局青年部、組織部副部長、教育文化部、機関紙経営局長を経て68年退職。新時代社を設立。共著に『構造改革の理論』など。本部中央執行委員の貴島正道、森永栄悦とともに「江田派三羽烏」の一人と言われた。

仲井 富 (なかい・あつし)
1933年岡山県生まれ。岡山県鏡野町香北中学校卒。51年社会党岡山県連書記、55年党本部入り、青年部長、国民生活部長を経て70年退職。公害問題研究会設立、代表幹事。『月刊環境破壊』発行。公害問題など住民運動の実践者。76年住民図書館設立。共著に『住民運動私論』。

山田 高 (やまだ・たかし)
1948年兵庫県生まれ。70年中央大学経済学部卒。社会調査研究所(現インテージ)入社。専門は地域再生支援に関するリサーチ、コンサルティング。主席研究員。高校生のとき江田三郎に手紙を出し、大学入学とともに江田三郎国会事務所で研修。「江田ファミリーの会」生涯幹事。

正村 公宏 (まさむら・きみひろ)
1931年東京都生まれ。58年東京大学経済学部卒。68年専修大学経済学部講師、助教授を経て74年教授。現名誉教授。平和経済計画会議の『国民の経済白書』主査、現代総合研究集団事務局長、会長。経済政策、行財政改革、地方分権、社会保障、教育改革で多くを提言。著書に『戦後史』など。

北沢 方邦 (きたざわ・まさくに)
1929年静岡県生まれ。専門は構造人類学、科学認識論。桐朋学園大学教授、信州大学教授、神戸芸術工科大学院教授を経て。現在信州大学名誉教授。江田三郎が社公民連合政権構想を主唱した前後のブレーン。著書に『構造主義』『 脱近代へ』『風と航跡』ほか多数。

初岡 昌一郎 (はつおか・しょういちろう)
1935年岡山県生まれ。59年国際基督教大学卒。63年ベオグラード大学院大学留学、64年全逓本部書記局専従書記。72年PTTI東京事務所長。89年より姫路獨協大学外国語学部教授。専攻は国際労働問題・国際関係論。編著に『児童労働』(日本評論社)など 。

松下 圭一 (まつした・けいいち)
1929年福井県生まれ。法政大学名誉教授。専門は政治学、都市政策、自治体分権論。江田三郎の構造改革論や地方自治論に影響を与えた。元日本政治学会理事長。元日本公共政策学会会長。著書に『 シビルミニマムの思想』 『現代政治・発想と回想』ほか多数。

山口 二郎 (やまぐち・じろう)
1958年岡山県生まれ。東京大学法学部卒。北海道大学法学部教授。専門は行政学・政治学。選挙制度や政治改革の論客として積極的な政治への提言を行っている。民主党の政策ブレーンの一人。著書に『戦後政治の崩壊』(岩波新書)、近著に『ブレア時代のイギリス』など。

空井 護 (そらい・まもる)
1967年広島県生まれ。92年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。東北大学法学部助教授を経て、2006年より北海道大学大学院法学研究科教授。専攻は戦後日本政治・現代政治分析。訳書に『アメリカ文化の日本経験』(ジョセフ・M・ヘニング著、みすず書房)。

江田 五月 (えだ・さつき)
1941年岡山県生まれ。66年東京大学法学部卒。オックスフォード大学留学。東京地裁、千葉家裁、横浜地裁判事補を経て77年退職、参議院全国区出馬、2位当選。社民連代表。衆議院議員4期。93年科学技術庁長官。07年8月参議院議長。著書に『出発のためのメモランダム』『国会議員』など。

石井 昭男 (いしい・あきお)
1940年兵庫県明石市生まれ。早稲田大学政治経済学部、法政大学法学部中退。地方公務員、労働団体役員を経て、78年(株)明石書店を創業。人権問題を出版理念に据え、2007年9月現在、2700点を刊行。2001年1月第16回梓会出版文化賞を受賞。


参考:江田三郎講演録(1977年5月1日) 音源MP3(7M)


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