江田五月 活動日誌 2003年6月 >>日程表 ホーム総目次6月目次前へ次へ

6月10日(火) 憲法、教育、行訴、難民、日韓、MRA、法人、斎藤さん

今日は8時半から1時間強、民主党憲法調査会役員会。昨年7月の総会で「報告」を承認し、若干の字句修正を行った上で、当時の鳩山由紀夫代表に提出することになっていました。その後、党内事情により、活動が事実上止まっていましたが、会長を中野寛成さん、会長代理を仙谷由人さん、事務局長を私とし、枝野政策調査会長直轄の特別調査機関として、第3次調査会をスタートさせることとなりました。そこで今日の役員会で、位置付けと役員構成を了承し、この役員会として「報告」を了承しました。その上で、今後の進め方につき協議しました。

デスクワーク。11時、岡山県教祖の皆さんが、義務教育費国庫負担制度堅持の要請に来られました。特に、事務職員と栄養職員が、毎年槍玉に挙げられており、切実です。11時半、遅れて市民政策調査会に出席し、行政訴訟改革につき、弁護士の越智敏裕さんと中下裕子さんの話を聞きました。次いで12時、遅れて世界連邦日本国会委員会の総会に出席し、「難民を助ける会」の柳瀬房子さんのお話を聞きました。どちらも十分聞けず、失礼しました。

14時半、日教組の皆さんの義務教育費関係の要請行動を、議員面会所前で出迎えました。15時、民主党日韓議員交流委員会の設立総会に出席し、姜尚中(カンサンジュン)東大教授の話を聞きました。15時半、MRA推進議連の小田原会議に向けた勉強会。

16時から1時間15分、公益法人改革の進め方につき、数人で詰めた協議。17時15分から、デスクワークや取材。国家基本政策委員会のスタッフと、明日の党首討論につき打合せ。斎藤淳さんと、今週末の庄内行きにつき協議。


義務教育費国庫負担制度の堅持に関する要請行動

原口一博さんの国会通信101号から

行政訴訟法改正とオーフス条約
市民公益のための司法改革

公益の担い手は官だけではありません。政官業の癒着にメスを入れ、税金の無駄使い・環境の破壊等をしっかりとチェックするためには、市民公益という概念をさらに進めて公益の担い手を「自由化」する必要があります。市民自らが主体となって公益を実現する潮流を着実なものとするためには、立法府における行政監視機能を充実させるだけでなく、公益を独占(寡占)している行政に対する司法からのチェックを効かせる事が必要です。

諫早湾干拓事業など、環境破壊のおそれから中止を求めて市民が工事の差し止め訴訟を提起してきました。しかし、第3者委員会の報告を尊重すると言いながら実際の工事は進んでいます。国民が司法の場を通して行政の姿勢を変えようとしても行政訴訟法上の問題点が山積していて、官にやさしく民に冷たい制度の壁は乗り越えられません。

実際に行政訴訟の現状を見ると

  1. 訴えるにはもう遅いですよ(出訴期間の徒過)
  2. ところで被告を間違っていますよ(被告選択の負担・教示)
  3. 裁判は東京でどうぞ(管轄)
  4. その行政の行為は争えませんよ(訴訟対象―処分性)
  5. あなたに訴える資格はありません(原告適格性)
  6. 訴訟提起が早すぎますよ(成熟性なし−処分性)
  7. 訴訟提起をしても行政活動は止められません(執行不停止原則)
  8. 訴訟提起が遅すぎます(違法ですが完成しました)(狭義の訴えの利益の喪失)
  9. 民事訴訟は駄目ですよ(行政訴訟も無理でしょうが)(公定力)
  10. それは行政裁量の範囲ですよ(行政裁量の壁)

提訴件数も年間1000件から1800件にとどまっており、諸外国に比べても異様なくらいの少なさです。「お上に逆らうな」という官尊民卑の風土の名残からか、国民は最初から「やっても無駄だから」と諦めてしまっているような状況ではないかと思います。

「行政庁の優越的地位と抗告訴訟制度の機能不全が官の肥大化を増長させている」との専門家もいます。司法の行政に対するチェック機能強化するためには、諸外国では認められているのに日本には無い、NGOの原告適格性を含めた法改正が必要です。

環境訴訟・消費者訴訟など利益が広く薄く、個人としては原告適格になりにくいけれども、重要で関心の高い事項については一定のNGOに原告適格性を付与すべきだと考えます。民間公益活動を行う団体は、司法過程においてもしっかりとした位置付けをするべきであり、市民訴訟条項の整備にむけた作業を進めて行きたいと思います。

アメリカの環境訴訟・消費者法にも、企業が行政法に反している事実がある場合、直接市民が違反企業に差し止めを求め、民事制裁金を求めることができる、との条項が明記されています。行政ソースの補完という考えから原告適格が緩和されており、市民が法を執行していく考えが徹底しています。『公益擁護であるのでそれにかかわる手当ては市民に負担させない』・『客観訴訟としての権利侵害を前提とせずに、違法があれば市民が訴訟をおこして公益をまもることができる』との考えです。司法審査が潜在的に存在することで、違法な行政作用に対する抑止力にもなります。

「環境問題はあらゆるレベルで市民が参加することで解決される」との原則をもとに国連欧州経済委員会で以下の3項目が採択されました。

  1. 環境に関する情報へのアクセス権
  2. 意思決定における市民参画
  3. 環境問題に関する司法へのアクセス権についての国際的な最低基準を設けるいわゆるオーフス条約です。

オーフス条約の3つの柱のうち、司法へのアクセスについては、行政訴訟法一つとってみても日本の実情は大きく遅れを取っています。環境保全に取り組むNGOなどの団体が訴訟を起こせるようにする「団体訴訟」制度の導入・個人でも公益のための訴訟を起こせるようにする「市民訴訟」制度の導入に向けての検討を開始いたしました。様々なNGOの皆様とのネットワークを通して市民公益の基盤を築いて行きたいと思います。


民主党市民政策議員懇談会で越智敏裕さん(日弁連弁護士)、 中下裕子さん(オーフス条約を日本で実現するNGOネットワーク/弁護士)のお話をお聞きし、方向性を確認しました。


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