江田五月 活動日誌 2002年2月 (18〜21) >>日程表 ホーム総目次2月目次前へ次へ


2月18日(月) 入管、ツルネンさん、精神障害、金メダル

今日は10時から、法務省担当者から、アフガン難民申請者の皆さんに対する東日本入国管理センターにおける処遇につき、説明聴取。最近、病気や事故の情報が寄せられており、間違いのないようお願いしました。

10時半から、ツルネン・マルテイさんにお会いし、非永住外国人問題についてのPTの立ち上げにつき、協力をお願いしました。永住外国人については、いろいろな議論が積み重なっていますが、それ以外の外国人については、バラバラな議論があるだけです。権利と義務の両面から、総合的に光を当てていきたいと思います。

11時過ぎから、法務省の担当者と、触法精神障害者の処遇につき、突っ込んだ議論をしてみました。心神喪失につき、私の認識が深まった点があります。それは、「心神喪失」はあくまで、刑法的評価の対象となる「行為」の構成要素である「責任」の場面のことであって、行為者が心神喪失者であるかどうかではないということです。そうすると、一定の法益侵害を起こした行為を行った者に対し、心神喪失が理由で刑事責任を問うことが出来ない場合、その者に対する処遇はすべて精神医療に任され、何の社会的責任も問われないというのは、陥穽があるかも知れないと思います。

12時から来客。12時半から参議院憲法調査会事務局。昼食を取りながら、フィギュアスケートのペアでの2組の金メダル授与式を見ました。こういう競技に付き物の複雑な事情が想像されるだけに、競技者の喜びは格別だったと思います。感動しました。もちろん、審判の不正疑惑は徹底的に明らかにし、厳しい制裁も課さなければなりません。

午後は、デスクワーク。夕方、司法書士の皆さんを訪問して意見交換。



2月19日(火) ブッシュ演説、精神医療、役員会、NC、外国人、弁政連

今日は、10時半から参議院本会議場で、ブッシュ大統領の演説を聞きました。もともと議員全員は入れないのですが、さすが今日は大勢の立ち見がでました。演説は、ジェスチャーもユーモアもあり、話術は一流。しかし、私は英語で聞いていたのですが、ヒアリング・ミスでなく、内容には首肯できないところがいくつかありました。

福沢諭吉が、competitionを「競争」と訳したことを引き、日本は明治維新以来、競争で素晴らしい成果を上げたと誉め上げましたが、実は明治以来の日本は、中央集権の規制国家として発展したのです。また、日本は今、デフレ局面にあることを、どう考えているのでしょうか。外交についても、今後一層のテロ対策を進めることを強調されましたが、具体的に何をするのかの表明がないと、にわかに賛成とは言えません。Peace、Freedom、Competition、Friendshipといった言葉が多く使われましたが、哲学的な深さは感じられませんでした。

議場をでると、CNNのインタビューを受けました。
Q:「首脳会談の成果は何だったでしょうか。」
A:「アメリカは、日本の協力という成果を得たでしょう。しかし日本は、今はアメリカの賛意を得たように見えても、後で、内政外交ともに、とんでもない約束をしてたと、後悔すると思います。」

11時から、司法と精神医療の連携に関するPTで、政府案のヒアリング。12時から、常任役員会。参議院予算委員会での参考人質疑が、暗礁に乗り上げています。予算委員長が約束したことさえ、与党の怠慢で実現できないような不誠実な与党体制では、真面目な予算審議が出来ません。与党の猛省を求めます。13時20分から、予算委員打ち合わせ。

13時50分、参議院政策審議会の勉強会で、堀利和さんの問題提起。14時から、シンクネットのシンポジウム「小泉構造改革と公共事業の実態」。15時から、NC会議。私の所管で、「在日外国人に係る諸問題に関するPT」の設置が決まりました。ツルネン・マルテイさんが事務局長です。

17時から、憲法調査会会長に決まった中野寛成さんと、今後の進め方につき協議。18時から、弁護士政治連盟の皆さんと夕食懇談会。司法制度改革の推進につき、突っ込んだ意見交換をしました。



2月20日(水) 憲法公聴会、連合集会、東ティモールPKO

今日は、8時50分から参議院憲法調査会幹事会。9時から12時までと14時から17時まで、調査会公聴会です。午前は、「国会のあり方と2院制」をテーマに、専修大教授の隅野隆徳さん、弁護士の早川忠孝さん、婦人有権者同盟の本田年子さん。午後は、「地方自治と地方分権の在り方」をテーマに、自治体問題研究所の池上洋通さん、埼玉県議の舩津徳英さん、短大講師の松井圭三さん、ジャーナリストの山本節子さん。ご意見を伺い、質疑をしました。

テーマが地味だったので、公述人が揃うかどうか心配し、会派推薦の人での補充も考えていたのですが、「案ずるより生むがやすし」で、立派な人が揃いました。

隅野さん:「戸別訪問や文書図画の規制を廃止すべきです。参議院は、衆議院と距離を置き、慎重審議を重視し、大臣は出さず、少数意見尊重や情報公開に徹するべきです。」

早川さん:「憲法制定過程を精査すると、職能代表による参議院を目指していたのに、途中で変わりました。権力分立、抑止型の2院制から、機能分担、監視型の2層制に変えるべきです。」

本田さん:「選挙結果に照らし、投票率×生票率(死票の反対)で解を得ると、有権者の33.6%の人しか代表を出せません。しかも大政党に有利な議席配分で、民意の反映になっていません。」

池上さん:「住民自治と団体自治からなる地方自治の本旨が、市町村合併推進法で歪められ、地方は苦悩しています。憲法95条に定める地方自治特別法に際しての住民投票の精神が大切です。」

舩津さん:「国は、地方自治体をすべて金太郎飴みたいに同じものと見ていますが、千差万別です。鳩ヶ谷市は小さいけれど、自治の精神も誇りもあります。これが損なわれようとしています。」

松井さん:「福祉政策でも、地方自治が形骸化し、中央集権が進んでいます。情報公開、公務員の意識改革、地方選挙への立候補の容易化、自治教育、外国人参政権などが大切です。」

山本さん:「ゴミ処理の広域化が、2つの課長通達で進められています。広域連合は、国の直轄自治体で、市町村が自発的に自治権を放棄しています。その先は民営化で、経済効率だけです。」

12時から、国対・理事合同会議。12時45分、連合の医療費増額反対集会。13時半、外務・安保部門合同会議で、東ティモールへのPKO派遣についてのヒアリング。道路、橋等の維持補修等のため、680人の第1次施設群、10人の司令部要員等を、派遣します。一部は明日から出発です。真に必要な仕事が、効率的に行えるよう、さらに任務に逸脱することがないよう、関心を持って見守ります。

21時から、参議院有志で一杯。



2月21日(木) 有事、法務、菅G、慰安婦、触法、NC、人権、坪田賞

今日は、8時からの緊急事態法制に関する関係部門合同会議に遅れて出席し、西修教授と参加者との質疑を聞きました。9時半から、法務部門会議。

10時半、法務省の担当者から、会社更生法改正と建物区分所有法改正の動きにつき、説明聴取。いずれも、近々法制審議会部会の中間試案が公表され、パブリックコメントに付した上、今秋にも臨時国会があれば、法案提出の運びとなりそうです。民事再生法の実施状況の実態調査をお願いしました。

11時半、国のかたち研究会。河村たかし質問の後日談や青木幹事長告発問題などにつき、活発な意見交換が行われました。昼は、若干の企業挨拶まわり。

13時半、岡崎トミ子さん、円より子さんたちによる超党派の「従軍慰安婦問題」インドネシア調査団報告会に出席。これまでヤミに包まれていましたが、やはりここでもありました。慰安婦の人たちとの面接のほか、アミン・ライス国民協議会議長との会見など、成果を上げてこられました。「アジア女性基金」は、評価されていないようです。

14時から、司法と精神医療の連携に関するPTで、日弁連の意見書につきヒアリング。与党案に対する鋭い批判を聞きました。15時から、NC会議。租税特別措置法改正案や地方税法改正案につき、賛否の協議をしましたが、さらに議論を深めることになりました。

16時半から、部落解放推進委員会、人権調査会、国内人権機関設置WT(私が座長)の合同役員会。「人権擁護法案」に対する対案と教育・啓発基本計画に対する意見を取りまとめる作業の方向付けをしました。17時半、菅幹事長と打ち合わせ。

18時半から、岡山市の「坪田譲治文学賞」の祝賀会。第17回で、川上進一さんの「翼はいつまでも」が受賞。一言だけ挨拶し、19時から有志懇親会。


人権擁護法案、参議院先議に!

今日の夕方、「人権擁護法案」を、国際受刑者移送法案、更生保護事業法改正案とともに、参議院先議とすることが決まりました。私たちの主張が通りました。

憲法の人権保障を現実のものとするため、人権委員会の組織と救済手続きを定めるもので、人権保障の基本法と言えます。特別救済手続きでは、委員会が原告となって、裁判所に差し止め命令を求める制度まで設けます。しかし政府案は、人権委員会を法務省の外局とすること、地方に人権委員会を置かないことなど、私たちから見ると不十分な点があります。参議院の特色を生かし、じっくりと審議、検討し、少しでも良いものを作るため、参議院先議は当を得たものと言えます。

民主党は、対案を作って、政府案とどちらがよいか、判断しやすくしようと思い、大綱作成作業に入っています。乞うご期待。


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