河田英正の主張

戻る目次


2000/10/17 迷走する少年法「改正」問題

人間空母氏が少年法改正問題についてこの場でも既に触れています。改正の中味を一言でいうならば「更正・保護よりも厳罰化」です。厳罰化で少年問題が解決することはないでしょう。すさんだヒステリックな大人の社会が、そのまま改正の方向を決めてしまったといってよいでしょうか。

冷静に、何が原因ですさんだ子供たちの世界を作ってしまったのか考えてみる必要があります。少年問題は正に大人社会と時代に反映です。対話の手法を忘れ、すぐ切れてしまう子供たち、思考するという時間を失ってしまっている子供たち、私たちの社会の鏡ではありませんか。

大人の社会の刑罰も本当は更正のためのものです。決して被害者の仇討ち感情を満足させるためにあるのではありません。被告人に対する刑罰を被害者の権利との対比で被告人の権利が論じられていることに危惧を感じています。被害者の人権という新しい発想は必要なことですが、そのことによって被告人の基本的権利を制約すれば人類が築きあげてきた人権の歴史を逆戻りさせてしまうでしょう。被害者も被告人もその権利はまもられなくてはなりません。この、冷静な論議が欠如する社会が、声たかだかに少年法の「改正」を叫んでいるのです。

家裁の裁判官、調査官の質、量を増やし、施設を充実していくことこそが必要なのではないでしょうか。人間空母氏がいうように能力がないと判断された裁判官が家裁にいくことが多いという状況があるのは事実です。しかし、ほんとうに能力がない人ではなく、官僚としては評価できないが、裁判官としてすばらしいと評価できる「家栽の人」もまだいることをお伝えいたしておきます。


河田英正の主張

戻る目次