2005年8月16日 >>重点項目 戻るホーム民主党文書目次

2005年 衆議院選挙マニフェスト 政策各論

民主党


 
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
憲法
外交・安全保障
社会保障・雇用
子育て
教育・文化
地方分権・市民活動支援
財政健全化
8.
9.
10.
11.
12.
  13.
14.
郵政改革
経済・規制改革・中小企業
農業・林業・水産業
環境・エネルギー
法務・人権
暮らしの安全・安心
政治改革・行政改革

1.憲法 

日本では今、時々の政府の都合によって憲法が恣意的に解釈され運用されるという、いわば「憲法の空洞化」がすすんでいます。このままでは、憲法に対する国民の信頼感はますます損なわれてしまいます。民主党はこの状況を克服し、国家権力の恣意的解釈を許さず、立憲主義を基本に据えた、より確かな憲法の姿を追求していきます。

民主党は、過去ではなく、未来に向かって創造的な議論を推し進め、日本国憲法が高く掲げる「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3つの基本原則をさらに深化・発展させます。

憲法の姿を決定する権限を最終的に有しているのは、政党でも議会でもなく、国民です。民主党は、自らの「憲法提言」を国民に示すと同時に、その提言を基として、国民との対話を精力的に推し進めていきます。憲法改革のための提案が現実となるためには、まず衆参各院において国会議員の3 分の2以上の合意を達成し、その上で国民多数の賛同を得なければなりません。民主党は、国会におけるコンセンサスづくりにも、真摯に努力していきます。 

「日本国の象徴」にふさわしい開かれた皇室を実現するため、皇室典範を改正し、女性の皇位継承を可能とします。



2.外交・安全保障 

【1】「開かれた国益」の実現をめざします。

○受け身の外交姿勢を改め、主体的な構想力をもって世界の平和と豊かさに貢献し、その中で日本の平和と豊かさを実現することが、日本の「開かれた国益」です。排外的ナショナリズムや一国平和主義ではなく、日本と他の国々がともに利益を享受する外交を展開します。

○日本はかつて戦争への道を選び、国民に深刻な犠牲を強いたのみならず、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して植民地支配と侵略によって大きな損害と苦痛を与えました。私たちは、この歴史の事実を謙虚に受け止め、率直な反省と謝罪の気持ちを忘れません。60年前の戦争の検証を政府が中心になって行います。

○同時に、私たちはいままで日本が実現してきた平和主義、民主主義、経済的繁栄に自信と誇りをもっています。民主党は「自信に裏づけられた謙虚さ」をもち、アジアにおいても、世界においても、自らの責任をしっかり果たしていきます。

○これまでに戦争で犠牲になった方々や、国際公務に携わる中で不幸にして命を落とした方々のための国立追悼施設を建立します。

【2】平和で豊かなアジアをつくります。

(1)近隣諸国との信頼醸成を図ります。
アジア諸国からの留学生受け入れを増やすなど、未来志向で建設的な外交関係をつくりあげます。

(2)日中関係を再構築します。
日中関係の再構築は日本外交の最重要課題のひとつです。両国首脳間に信頼関係を築きあげた上で、経済、金融、通貨、エネルギー、環境、海洋、安全保障などの分野で政策対話を深化させ、制度化していきます。

(3)日韓関係を強化します。
日韓関係の強化も非常に重要です。日韓FTA(自由貿易協定)をすみやかに締結し、経済交流・文化交流を活発化させます。

(4)東アジア共同体の構築をめざします。
アジア地域における相互協力と信頼醸成をすすめ、FTA・EPA(経済連携協定)の締結を推進し、農業分野などの貿易面のみならず、人の移動の自由化、エネルギー、環境、教育、保健、犯罪対策など、さまざまな分野でアジア各国・地域との連携と協力を強化します。アジア地域を不戦地域とすることを各国共通の目標とすることをめざすとともに、将来的にはアジア・太平洋を含む姿に拡大・発展させることを展望します。

外交・通商政策における縦割り省庁体制を改め、強い政治的リーダーシップの下で、アジア諸国との経済協調を推進します。

【3】日米関係を進化させます。

(1)アジア・太平洋地域の公共財としての日米同盟の価値を高めます。
日米同盟は、アジア・太平洋地域の安定の要であり、日米両国は自由と民主主義という価値を共有しています。しかし、単に米国に追随するだけでは、真の日米同盟強化に寄与しません。日本国民やアジア・太平洋諸国の声を米国に伝え、必要な場合には米国に自制を促すことが、アジア・太平洋地域の公共財としての日米同盟の価値を高めることになります。

(2)日米の共同行動に関して基本方針を明確にします。
安全保障上の諸課題について、日米同盟が「安定力」として十分に機能するよう、日本の主体性を前提にして米国との防衛協力を推進します。また、日米の共同行動に関して基本方針を明確にします。

(3)日米地位協定の改定に着手し、3年を目途に結論を出します。
わが国の外交安全保障の基軸である日米同盟を健全に運営するため、日米地位協定の改定に着手し、在日米軍の凶悪犯罪容疑者について起訴前に日本の司法当局に引渡しを認める原則や、米軍施設への日本法令の原則適用、環境保全条項などを盛り込むことについて、3年を目途に結論を出すことを目標にします。

(4)アジア情勢などを踏まえつつ、日米の役割を見直します。
米軍の変革・再編(トランスフォーメーション)の機会をとらえ、在沖縄海兵隊基地の県外への機能分散をまず模索し、戦略環境の変化を踏まえつつ、国外への移転をめざします。普天間基地については、早期返還をアメリカに求めます。

【4】世界の平和と安定に貢献します。

(1)国連など国際機関の強化を図ります。
グローバル化がすすむ今日、安定的な平和の実現と持続可能な経済発展、大量破壊兵器の拡散防止とテロの抑止、国際機関の強化は、日本の「開かれた国益」につながります。

(2)ODA(政府開発援助)を戦略的に活用します。
ODAの透明性、効率性を重視し、外部監査・業績評価を徹底するとともに、国連の取り組みとの連携を図ります。環境、人権、紛争予防、平和構築、人間開発、アフリカなどへの人道支援、NGOとの連携、感染症対策、貧困層へのきめ細かい融資(マイクロ・クレジット)、人間の安全保障などの観点から、ODAを有効な外交ツールとして再生させます。

(3)ソフト・パワーを発揮します。
国際的な人的ネットワークの拡がり、文化・交易面での交流の深化など、いわゆるソフト・パワーの戦略的な活用によって、アジア・太平洋地域をはじめとする国際社会における平和構築に積極的な役割を果たします。

(4)国際平和の維持・構築に正面から取り組みます。
国連の要請に対しては、新たな「国際平和協力隊(仮称)」の創設などについて検討をすすめ、日本として国際平和の維持・構築に正面から関与できるようにします。また、PKOに関しては、多様化する協力要請に対応するため、派遣される隊員の武器使用基準や、参加条件・規模・期間などに関する国会の関与のあり方を見直します。

(5)「国際刑事裁判所(ICC)」への早期加盟をめざします。
集団殺りくや戦争犯罪など、国際法上看過できない事態に対応していくために、「国際刑事裁判所(ICC)」への早期加盟をめざします。

(6)国連安保理常任理事国入りをめざします。
膠着した国連改革を根本から建て直し、国内世論と加盟国の支持を前提に日本の国連安全保障理事会常任理事国入りをめざします。

【5】国民を守ることができる防衛力整備への転換を図ります。

(1)政権獲得後2年以内に新たな防衛構想を策定します。
政権獲得後2年以内に新たな防衛構想を策定し、自衛隊の体制・装備・運用などを見直し、ミサイル、テロ、ゲリラ、サイバー攻撃、不審船・武装工作員などの多様で新たな脅威に柔軟に対応できるようにします。

(2)弾道ミサイル防衛は、その必要性を踏まえ、シビリアン・コントロールを徹底します。
弾道ミサイル防衛については、その必要性を踏まえ、シビリアン・コントロールを徹底しつつ、費用対効果などを含め総合的観点から検討をすすめます。これらに必要な予算は、防衛予算の中での振り替えで対応し、負担増を抑えます。

(3)わが国の領土・領海、排他的経済水域を守ります。
北方領土問題の早期解決に取り組むとともに、尖閣諸島・竹島を含むわが国の領土・領海、排他的経済水域を守るため、国連海洋法条約に基づく「海洋権益確保法制(資源探査等主権行使法案など)」の制定をめざします。

【6】緊急事態に迅速に対処するため、「緊急事態基本法」の制定と「危機管理庁」の創設をめざします。

(1)次期通常国会において「緊急事態基本法」を制定します。
次期通常国会において、緊急事態の定義、緊急事態における基本的人権の尊重、国・地方公共団体の責務、国会の関与のあり方などを内容とする「緊急事態基本法(仮称)」を制定します。

(2)緊急事態に迅速に対応できる態勢を整えます。
「危機管理庁(日本版FEMA)」の創設により、武力攻撃、テロ、大規模自然災害など、各種の緊急事態に迅速に対応できる態勢を整えます。

【7】拉致事件の解決など北朝鮮問題に積極的に取り組みます。

拉致事件の解決は、日本の主権、国際的人権侵害の見地から喫緊の課題であり、被害者・家族全員のすみやかな帰国、特定失踪者問題の真相解明など、拉致事件の全面解決を北朝鮮に強く迫ります。

核・ミサイル問題は、東アジア地域の安全・安定にとって重大な影響を与えるものであり、六者協議などを通じ、その解決と信頼醸成機構の創設をめざします。

「北朝鮮人権侵害救済法案」の成立をめざすとともに、成立した「改正外為法」「特定船舶入港禁止特別措置法」に基づく措置の発動も視野に入れ、拉致事件、核・ミサイル問題の解決に全力をあげます。早期に実質的・具体的な進展がみられない場合、六者協議の場に加え、国連安保理での問題解決を求めていきます。

脱北者問題に積極的に取り組むとともに、不審船などによる密入国、密輸・覚醒剤事件の取り締まりなど、海上警備体制の強化を図ります。

【8】イラクから自衛隊を12月までに撤退させ、日本にふさわしいイラク復興支援に取り組みます。

イラク全土に、「イラク人道復興支援活動等に関する特別措置法」の定める「非戦闘地域」は存在していません。また、イラク国民を含め戦闘やテロによる死傷者は増大し、サマワ周辺の状況も最近とくに悪化しています。

自衛隊の派遣期限が切れる今年12月までに、イラクから自衛隊をすみやかに撤退させます。一方、サマワの深刻な失業問題への対応など、イラク復興に向けた新たな支援についてはODAなどを活用して積極的に行っていきます。

同時に、テロの根源とされるイスラエル・パレスチナ紛争の解決への取り組みをはじめとし、中東全体の安定に資する国際協調体制の構築をめざして、日本としてふさわしい貢献を行います。

【9】大使などの民間からの登用率を倍増します。

「日本の顔」として柔軟かつ効果的な外交を展開するため、在外公館のあり方を見直します。大使など(特命全権公使を含む)の任用対象を、民間人、学識経験者、NGO関係者、首長や政治家などに広げ、日本人の顔が見える活力ある外交を推進します。民間人などキャリア外交官以外の大使などへの登用率の倍増を目標とし、政権獲得後4年間で達成します。



3.社会保障・雇用

【1】「公平・透明・持続可能」な制度へ、年金制度を抜本的に改革します。

与党は昨年の法改正を依然として抜本改革だと強弁していますが、出生率や年金保険料の納付率は政府の想定を下回っており、政府が国民に約束した「保険料率の上限固定」や「給付水準50%」が実現できる可能性は、乏しくなってきています。

職業や就業形態によって分立する年金制度は、現在の人々の働き方の多様化に対応しておらず、未納や未加入問題が発生する一因となっています。保険料が今後13年連続で上がり続ければ、現役世代の負担が過重となり、保険料を払えない人がさらに増えることが予想されます。事業主負担の増大が雇用に悪影響を及ぼすことも懸念されます。また、女性の年金制度に対する不信も全く解消されていません。何より、現行制度では年金月額1万円、2万円という人が多く、年金本来の役割を果たせません。これでは国民が年金制度に不信を抱くのは当然です。

年金制度に対する国民の信頼を回復し、年金制度を将来にわたり持続可能なものとするために、2008年度までに「公平・透明・持続可能」な年金制度への抜本改革を実現します。

その前段階として、まずは徹底的なムダの排除、現行制度の見直しに取り組みます。

(1)議員年金をただちに廃止します。
現在の国会議員互助年金制度はただちに廃止し、国会議員も国民と同じ公的年金制度に加入することとします。

(2)ムダづかいの社会保険庁は廃止します。
国民の財産である年金保険料をムダづかいする社会保険庁は廃止します。社会保険庁が行っていた年金保険料の徴収は、国税庁を改編した歳入庁で行います。税と保険料の徴収を一体化することにより、効率的かつ適切な徴収を行える体制を整えます。

(3)基礎年金国庫負担率引き上げは予算の徹底的な見直しで
政府与党は、基礎年金に対する国庫負担(税金投入)を「3分の1」から「2分の1」に引き上げるため、所得税定率減税の縮減を行いました。今後も定率減税廃止などの所得税増税や消費税率引き上げを予定しています。しかし、年金制度の抜本改革を行わず、年金保険料の流用なども是正しないまま、国民に負担を求めることは許されません。民主党は、徹底して予算のムダづかいにメスを入れ、それによって生み出される財源を段階的に基礎年金に充てることで、2008年度までに国庫負担率を2分の1に引き上げます(所要額2兆7000億円)。

(4)すべての年金を一元化します。
職業や働き方で加入する年金制度が異なることが、未納・未加入を生み、国民の間に不公平感や不信感をもたらします。これらを所得比例年金に一元化することによって、すべての人が同じ年金制度に加入し、「所得が同じなら、同じ保険料負担」「同じ保険料負担なら、同じ年金給付」という一目でわかる公平で透明な年金制度に改めます。その際、保険料率は上限15%とし、事業主負担増が雇用を脅かすことがないようにします。一元化によって、転職などの際の年金に係わる手続きを行う必要がなくなり、未加入を生む大きな要因を解消できるとともに、常に自分が将来受け取る年金額がわかるようになります。

(5)年金目的消費税などを財源に老後の最低限の年金を保障します。
所得比例年金に加えて、税を財源とする最低保障年金を設け、老後の最低限の年金(月額7万円)を保障します。最低保障年金は、税金を財源とすることから、高所得者への給付を制限することにより、すべての人に同レベルの国民年金・基礎年金を支給する現行制度に比べ、相対的に少ない財源で、すべての人に最低限の年金を保障できることになります。また、税が財源ですので、現行制度のような無年金者や空洞化という問題も生じません。新制度発足後の最低保障年金の財源は、予算のムダづかいに徹底的にメスを入れて実現する基礎年金国庫負担分2分の1の財源に加えて、安定的な経済成長の実現を条件に、年金目的消費税の導入によって確保します。

新制度への切り替えにあたっては、十分な経過期間をとり、また既に年金を受け取っている人への給付水準や、既に保険料を支払った期間に対応する部分の給付水準は維持します。

(6)働く女性も専業主婦もどちらも納得の年金制度へ
夫婦は独立した人格であると同時に、世帯単位で家計を支えています。その両面をいかすために、夫婦の収入を合算し、その2分の1ずつを各人それぞれの収入とみなす方式(二分二乗方式)を採用します。婚姻中の年金保険料は、このみなし収入に基づき、それぞれが納付したものとします。これによって、働く女性の不公平感を解消するとともに、専業主婦の年金権を確立します。

(7)納税者番号制度を導入します。
所得比例年金を導入するには、すべての人の所得を正確に把握することが不可欠です。また、所得の把握が正確にできなければ、将来の年金財政を正確に見込むこともできません。正確な所得の把握を可能にするために、納税者番号制度の導入します。

(8)「無年金障がい者」「無年金高齢者」の救済を
すべての無年金障がい者を「特定障害者特別障害給付金支給法」の救済対象(現在は元学生、主婦)とすることにより、無年金障がい者に基礎的な所得保障を行います(所要額900億円)。

また、国籍要件などの影響で、無年金、低年金となった高齢者(在日外国人、在外邦人)に対しても、老齢福祉年金などに準じた給付を行えるようにします。

【2】安心し納得できる医療を実現するための改革をすすめます。

(1)患者の立場に立った予防・早期発見・治療が一体となった安心の医療を実現します。
次期医療制度改革においては、患者の立場に立った予防・早期発見・治療が一体となった安心の医療を実現します。納得できる医療サービスの提供と医療の質の確保・向上を図るため、積極的な医療情報の開示、説明と同意の原則の徹底、患者の自己決定権(リビングウィル)の尊重とセカンド・オピニオンを得るためのルールづくりを行います。

診療報酬改定時には、薬、医療材料、医科点数、歯科点数、訪問看護などについての詳細情報や価格データの公表を行うとともに、パブリックコメントを行うことなどを通じ、保険点数の適正化を図ります。また、診療報酬改定作業を行う中央社会保険医療協議会(中医協)の委員構成を診療側、支払側、公益側(患者側を含む)それぞれ同数とするとともに、中医協の下部組織も含め、すべての関連会合を原則公開とします。

医薬品医療機器総合機構のあり方を含め、先進的な医薬品や医療の提供の妨げとなっている治験などの諸問題を抜本的に見直します。

地域救急医療の質の向上を図り、救急患者の救命率を高めるため、「ドクターヘリ」などの救急専用のヘリコプターを全都道府県に配備します。

(2)医療の質の向上に結びつく高齢者医療制度の改革を行います。
透明で、独立性の高い、新たな高齢者医療制度の創設を含む医療・医療保険制度の改革に取り組みます。

個人の人生観・価値観によって異なるQOL(生活の質)を重んじる医療政策をめざします。医療の内容を本人及び家族に充分な説明を行い、理解を得ることを前提に、患者の自己決定権(リビングウィル)を尊重する施策を講じます。また、コミュニティーの中で保健・医療・介護・福祉のネットワークを構築する体制をつくり、介護施設及びグループホームにおいて、より充実した訪問看護・医療を提供できるようにします。

(3)多くの国民の命を奪う「がん」と正面から闘います。
わが国では年間100万人が病気などによって亡くなりますが、そのうち30万人はがんが原因です。がんはもはや国民病とも言えます。がんに対する不安を少しでも解消し、適切な相談・治療を受けられるように、全国360カ所のがん拠点病院に「情報センター」を設置して相談員を配置し、がんに関する基礎知識、予防法、治療法、病院別治療成績などの情報やデータが容易に入手できる体制を整備します(所要額500億円)。治療成績の公開にあたっては、学会の協力を得て、客観性を確保します。

日本人に適した安全な治療法の開発のため、治験の推進と保険導入を図るための制度をすみやかにつくります。現状では、がん医療に地域格差があります。先進国水準のがん治療技術を広く国民が享受できるように、医療機関のネットワーク化をすすめ、専門医の育成に取り組みます。また「標準治療」として患者が最良の投薬治療を受けられるよう「特定療養費制度」を大幅に拡充します。

根治をめざせない緩和医療、あるいは再発予防の領域においても、相互補完・代替的な治療を中心とした新しい医療、最先端の医療法の開発を推進します。

(4)カルテ開示・医療費明細書発行を義務化するとともに、医療事故の防止に取り組みます。
患者と医師の信頼関係を良好なものとするため、患者に対するカルテの開示と医療費明細書の発行を義務づける法律案を次期通常国会に提出します。また、第三者機関への医療事故報告の義務化など、続発する医療事故・医療ミス防止対策を強化します。

(5)歯科医療と精神医療の充実をめざします。
医科疾患と歯科疾患は密接な関係があります。健康な自分の歯を保ち、正しい咬合(こうごう)を維持して歯周病を予防することは、予防医療として国民の健康に大きく寄与します。現在の医科偏重の医療行政、厚生労働省のあり方を見直し、歯科医療の充実をめざします。

成熟社会における健康な心身の維持のために、精神医療にも力を入れ、うつ予防などのメンタルヘルスチェック(精神予防検診)の奨励施策を実施します。

【3】介護保険の適正化、障がい者福祉の拡充に取り組みます。

(1)介護保険制度の適正化をすすめた上で、エイジフリー化を実現します。
今後高齢化が進展する中でも制度の持続可能性を維持するために、不要不急の介護ニーズの掘り起こしや不適正・過剰な給付などを排除し、信頼できる介護保険制度をめざします。予防介護の適切な実施などの適正化を行いながら、2005年の法改正で先送りされた被保険者と受給者の範囲の拡大(介護保険のエイジフリー化)を2009年度から実施します。また、在宅生活を続けられるよう、必要なサービス供給量を確保します。

あわせて、地域の実情にあった創意工夫により、できる限り在宅生活が続けられる介護施策と、都心における介護付住宅の整備やバリアフリーのまちづくり、高齢者医療の充実などを推進します。

(2)障がい者福祉政策を改革します。
現在、急速に顕在化しつつある障がい者のニーズの動向を見極め、その水準を把握した上で、より総合的で適切な障がい者福祉制度を構築します。精神障がい者についても、同じ水準をめざします。所得保障制度の確立を含め、障がい者福祉予算の拡充を行うとともに、障がい種別(身体・知的・精神)ごとに分かれ、その他の障がいや難病などに対応できていない現在の障がい者政策・法制度を抜本的に見直し、包括的な障がい者福祉法を制定します。

(3)在外被爆者問題の解決に取り組みます。
現行の被爆者援護法は、都道府県で申請を行うため、高齢や病気で来日できない在外被爆者には適用されません。在外被爆者にも援護法の適用があることを明確にし、在外公館でも各種申請を可能とするために「被爆者援護法」の改正をめざします(所要額68億円)。

【4】仕事と生活のバランスをとりながら、能力が最大限発揮できる雇用環境をつくります。

(1)誰もが仕事に就き、労働が正当に評価されるルールを確立します。
就業機会の拡大を図り、ワークシェアリングや男女共同参画の推進、不払い残業の解消などに取り組みます。失業の新規発生を食い止め、就労者を増やします。男性も女性も家事を担い、生活を共に楽しむため、長時間労働を解消し、休暇が取れ、年休の完全消化ができるワーク/ライフ・バランスを実現します。過重労働やメンタルヘルス対策として、長時間労働者に対する医師による面接指導を義務づけます。経済環境の変化に適合した労働者の権利擁護、労働債権の優先的な保証、官民格差の是正、国際的ルールの確立などを推進します。

(2)パート均等待遇の実現、育児・介護休業制度の拡充をすすめます。
正社員とパート社員などの間の合理的な理由のない格差を是正します。短時間労働であることを理由として、賃金その他の労働条件について正社員などと差別することを禁止する「パート労働法改正案」を、政権獲得後すみやかに成立させます。

実質的に1年以上の雇用契約を結んでいる有期雇用労働者であれば、育児・介護休業がとれるようにします。また、子どもが生まれてから小学校に入学するまでの間、月単位で2回まで分割して育児休業を取得できるように改善をすすめます。結婚、出産、育児、介護などを経て、再就職や起業にチャレンジする女性のため、教育訓練制度を創設します。

(3)能力開発と月10万円の手当支給で、失業・廃業からの再出発と暮らしを応援します。
雇用保険特別会計の安定を図るとともに、失業給付期間が終わっても就職できない人や、自営業を廃業した人などを対象として、能力開発訓練を拡充し、最大2年間、月額10万円の手当を支給する法律を制定します(所要額2500億円)。また、倒産やリストラで失業した人が安心して医療を受けられるよう、医療保険料を離職後1年間軽減します(所要額25億円)。

(4)若者の自立のため、就労支援をマンツーマンで行います。
「ヤングワーク・サービスセンター(仮称)」を整備し、失業・無業状態の若者に個人アドバイザーによるマンツーマンの就労支援、民間企業での職業訓練などのプログラムを用意し、必要に応じて就労支援手当を1日1000円(月3万円程度)支給します(所要額360億円)。学校にも行かず、職にも就かず、職業訓練も受けていない「ニート」と呼ばれる若者が集まることのできる場所をつくり、相談・支援を行います。また、全国の中学2年生に年間5日以上の職業体験学習を実施します(所要額17億円)。



4.子育て

【1】子どもが健やかに育つ社会をつくります。

(1)月額1万6000円の「子ども手当」を創設します。
次世代育成をすすめる一環として、配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除(老親控除以外)を廃止することにより、子ども手当(児童手当)を充実します。所得水準にかかわらず、義務教育終了年齢までの子ども1人あたり、月額1万6000円を支給します(所要額3兆円)。

(2)「出産時助成金」を創設します。
保険給付による現行の出産一時金に加え、国庫を財源として、出生児1人あたり20万円の助成金を給付し、ほぼ自己負担なしに出産できるようにします(所要額2200億円)。

(3)幼保一体化やNPO支援で保育を拡充し、学童保育を2万カ所に増やします。
約2万5000人といわれる保育所入所を待つ待機児童の解消をめざします。「保育所は厚生労働省」「幼稚園は文部科学省」という縦割り行政を是正し、「子ども園(仮称)」を創設して、幼稚園と保育所の一体化を推進します。また、NPOなどが行っている家庭的保育制度(保育ママと呼ばれてきたもの)など、地域の多様な資源の積極活用を推進し、待機児童解消に向けた具体策を実行します。

現在、約1万4000カ所で行われている学童保育を4年間で2万カ所に増やし、指導員も5万人から6万人へと増員します。さらに、父母の就業実態にあわせた保育時間の延長などを含め、待機児童解消に向けて、少なくとも960億円の予算を確保します。

(4)病院小児科ネットワーク・小児科勤務医の大幅増をはじめ小児医療提供体制の構造改革を図ります。義務教育終了年齢までの医療負担を1割に軽減します。
小児高度専門医療中核病院50カ所以上、地域小児科センター240カ所以上を設置します。また小児救急専任医約1000名の確保、地域の診療所と病院の一般小児科での当番制導入、高度救急医療を行う小児科医の集約など、日本小児科学会が提案する「小児医療・救急医療計画」モデルなどを参考にして、小児医療・救急医療体制の整備を行います(所要額10億円)。

また、小児医療に関する診療報酬の適正化を図るとともに、健康保険における小児医療の患者負担を、3歳未満については2割から1割へ、3歳から義務教育終了年齢までは3割から1割負担へと軽減するため、2006年度中に改正案を国会に提出します(所要額400億円。健康保険組合財政には配慮します)。

(5)「子ども家庭省」の設置に着手します。
子どもや家庭に係わる問題については、文部科学省や厚生労働省、法務省、さらに警察庁など多くの省庁にまたがり、縦割り行政の弊害が見られます。民主党は政権獲得後すみやかに、子どもや家庭の問題について、一元的に政策立案・遂行する「子ども家庭省(仮称)」の設置に着手します。

(6)子どもたちを有害情報から守ります。
残虐な暴力や性暴力などの有害情報から子どもを守るため、書籍の区分陳列や放送時間帯の配慮などによって、普通に暮らす子どもたちが有害情報に触れないですむ環境をつくります。そのため、「特定暴力情報等からの子どもの保護に関する法律」を制定します。また、情報社会に生きる子どもたちが、情報のもつ意味を正しく理解し、活用できる能力(メディアリテラシー)を育むような教育をすすめます。



5.教育・文化

【1】公立小中学校の改革をすすめ、質の高い学習機会をすべての子どもたちに提供します。

児童・生徒の生きる力(学力・体力・人間力)を高めるため公立小中学校改革を行います。
保護者の経済力や社会的立場にかかわらず、質の高い学習機会をすべての子どもたちが等しく享受できるよう、公立小中学校の改革を断行します。

(1)教育人材の質・量ともに充実します。
学校経営能力の高い「頼れる校長」登用のため、公募制拡大を促進します。教員の指導力向上とやる気を引き出すための人事改革に着手します。これまで民主党は30人以下学級導入に尽力してきましたが、さらに、OECD加盟国平均並みの教員配置(教員1人あたり生徒16.6人)をめざします。定年退職者の大量発生に伴う新規教職員の採用・登用にあたっては、実践的な指導力を重視した採用や、社会人採用を促進します。教員養成を原則6年制とし、教科指導や生活指導などの専門教員認定制度を創設します。また、学校経営者養成専門職大学院コースの設置を支援します。

(2)現場主権と説明責任を確立します。
児童・生徒一人一人の状況に応じたよりきめ細かな教育を可能にするため、2006年度に「地方教育行政法」を改正し、教職員人事、予算執行、教育内容に係わる権限を、設置者である基礎自治体及び学校現場へ移譲します。同時に、学校評価制度を導入するとともに、保護者・地域に対する説明責任を課します。小規模自治体に関しては、教育行政単位を再検討するとともに、自治体間協力や都道府県によるサポートで対応します。不適格教員対策などの実効性を高めるためにも、これら現場主権と説明責任の確立が不可欠です。

(3)地域住民・保護者の参画をすすめます。
民主党の働きかけにより広まってきたコミュニティー・スクール制度を進化・改善し、地域住民、保護者、校長、教職員、教育専門家などからなる学校理事会が経営・運営上の決定を担う地域立学校化を実現します。

(4)土曜学校・放課後学習などを支援します。
子どもたちの生きる力を総合的に伸ばすため、地域、保護者、ボランティアなどの力を最大限活用した土曜学校(自然体験や野外活動を含む)、放課後学習、総合学習、読書推進活動などの実施を支援します。

(5)義務教育財源を確保します。
公立学校における教育の質を確保・向上させるため、国から設置者(基礎自治体)に直接交付する教育一括交付金制度の導入などにより、学校現場で必要な教育予算の確保に万全を期します。

【2】児童・生徒の安全を高める「学校安全基本法」を制定します。

子どもたちが、安全で安心な学校生活がおくれるよう、学校安全対策を総合的かつ計画的に推進するため、「学校安全基本法案(仮称)」を制定します。国や自治体が、安全基準策定や体制整備の責務・役割を積極的に担い、防犯、防災、老朽化、事故防止、環境衛生(アスベスト対策含む)対策に万全を期します。

【3】多様な教育機会確保のための私立学校改革をすすめます。

高校全入時代を迎えた現在、370万人のうち109万人が私立高校に通学しています。私立生は、公立生に比べ著しく公的支援が少なく(約3分の1)、その保護者に過重な教育費負担を強いています。この公私間格差是正のため、私立通学者に対して、直接授業料補助などを行います。

あわせて、学生に多様な教育機会を提供する私立学校の設立を促進するため、学校設置基準の再点検・見直しを行います。客観基準を満たしていれば、私立学校審議会の意見を聴取することなく設立を認めるように私立学校法の改正を行います。

【4】希望者全員奨学金制度を実現します。

保護者の経済状況が悪化し、途中退学を余儀なくされる学生・生徒が増加していることを踏まえるとともに、学生・生徒の社会的自立と自覚を促すため、希望者全員への奨学金貸与を可能にします。あわせて、貸与額を50%引き上げます(例えば自宅外私大生の場合、現行6万4000円を9万6000円へ)。保護者の所得要件の撤廃などの条件緩和も行います(所要額600億円)。

また、現在、国際人権規約批准国約150カ国中、日本を含む3カ国のみが留保している「高等教育無償化条項」を批准します。 

就学継続が困難な生徒に対して、授業料減免措置を行う高校への財政支援を拡充します。

【5】文化・芸術における知的財産政策をすすめます。

公正使用(フェア・ユース)規定を創設し、創作者(アーティスト・クリエイター)と、将来の創作者を含む著作物利用者(消費者、エンドユーザー)のための知的財産政策を実施します。国会図書館などによるデジタル・アーカイブ事業を本格化します。

【6】スポーツ振興で健康を増進します。

低下が著しい子どもたちの体力を増進するため、学校間交流をすすめ合同部活動を推進する外部コーチ派遣制度確立、スポーツ少年団支援、社会体育指導者などの身分保障、養成・確保、生涯スポーツ振興事業を推進します。



6.地方分権・市民活動支援 

【1】分権革命―地域のことは地域で決める社会へ

(1)税金の使い道は地域で決められるよう、18兆円の税財源を移譲します。
○霞が関の縦割り行政による弊害と、国・地方のコスト意識の欠如が膨大な税金のムダづかいをもたらしています。その最たるものが「ひも付き補助金」です。民主党は、税金の使い道を地域が自らの責任で決められるように、抜本的な税財源移譲を行います。

○第一段階として、現在の約20兆円の補助金のうち、国が責任をもつべき事業(生活保護など)に係わる補助金以外の約18兆円を原則廃止し、3年以内に税源移譲(5.5兆円)や一括交付金(12.5兆円)に改めます。一括交付金は、「教育」「社会保障」「農業・環境」「地域経済」「その他」という5つの大くくりで地方へ交付し、そのくくりの中で地方が自由に使途を決定できる財源です。従来の「ひも付き補助金」とはまったく異なり、中央への陳情も不要になります。自治体の使い勝手の良い財源が飛躍的に増え、今までの「縦割り行政」を排して、例えば高齢者福祉と保育の複合施設の建設など、地域の行政ニーズに応じた「横割り行政」的な税金の使い方が可能となります。また、地方に当事者意識が生じることでムダな事業が減り、地方行政も効率化がすすみます。なお、地方債制度についても、地方の自立と自己責任の徹底を図る観点から、改革を行います。

○第二段階では、国と地方の役割分担を「補完性の原則」に基づき明確にした上で、さらなる税源移譲をすすめます(財源は「一括交付金」)。加えて課税自主権を大幅に強化し、地方の努力による税収確保を促進することによって、自主財源だけで運営できる基礎自治体の割合が、全体の2分の1を超えることを目標とします。自治体間の格差を一定程度調整するために、地方交付税制度を抜本的に改めた、透明性の高い財政調整制度を構築します。また過疎・離島などの特殊地域については、特別の財政調整制度を設けます。

○分権政策を推進するに当たっては、国と地方の協議を法制化し、地方の声、現場の声を聞きながら真の分権を実現していきます。

(2)市町村に権限・税財源を優先的に移譲し、住民が主役の社会をつくります。
○地方分権とは国に集中した権限を、住民(国民)に返すことです。その際、住民に最も近い基礎自治体(市町村)に可能な限り権限と財源を移譲します。特に、人口30万人程度以上の基礎自治体に対しては、政令指定都市と同等かそれ以上の事務権限と財源を移譲します。その上で、基礎自治体にできないことは広域自治体(都道府県または道州)が、広域自治体にできないことは国が行う、という「補完性の原則」を徹底します。

○住民参加、住民による行政の評価や監視が容易にできる環境を整備し、住民が地域の主役であることを明確にします。政策の決定に住民が参加し、意思を反映するために最も重要な「情報公開」「住民の直接参加」を強化するための「住民自治推進基本法案(仮称)」や「住民投票法案」を制定します。

○地域のニーズに応え、活力を高めるために、国が政省令などを通じて一律に定めている基準のうち、住民生活に密接に関係するものについては、地方の条例に委ね、政省令は原則廃止するなど、地域住民の判断で決められるようにします。

(3)中央政府の権限を限定し、その範囲で強い政府をつくります。
国にあまりにも多くの権限が集中していることが、全国一律の「硬直社会」、住民が政治行政から疎外される「不満足社会」、地方が国に依存する「依存社会」をつくっています。任期中に、中央省庁の権限を限定し、地方自治体との間の権限配分を明確にすることなどを盛り込んだ地方自治確立に関する法律を制定します。これによって地域のニーズに応じた「柔軟社会」、住民が政治行政に参加しやすい「満足社会」、自治体間の健全な競争による「自律社会」をつくります。また国は、外交、安全保障、通貨、金融など限定された分野を担い、機動的で効率的な強い政府をつくります。

(4)新しい地方政治のかたちをつくります。
基礎自治体の規模拡大、基盤強化の中で、都道府県の自主的な判断を尊重しつつ、合併などによる道州制の実現へ向けた制度整備に着手します。同時に、住民に一番身近なコミュニティーを活性化することによって、自立と共生の社会を実現します。シティマネジャー制度の導入や地方議会定数の見直しなど、地方の政治の仕組みに柔軟性をもたせます。

【2】主権者である市民の自発的活動を支援します。

(1)特定非営利活動法人を税制でも支援します。
特定非営利活動法人(特活法人)を、地域の公共サービスの担い手、雇用を創出する主体として育成・支援し、市民活動の活性化を応援します。現在全国2万2000余の特活法人のうち、わずか34法人(2005年6 月現在)しか税制優遇の対象法人として認定されていません。認定要件の大幅緩和などにより、特活法人全体の5割程度が認定を受けられるようにします。また、少額寄付を行いやすくするため、1万円以下の寄付金を控除の対象としない、いわゆる「裾切り」を廃止します。

(2)公益法人制度を抜本的に見直します。
民主党は、市民・共同セクターの形成に取り組みます。民間の市民活動を促進するために、民法34条「公益法人」の規定を改正し、非営利法人の一般法を制定します。新たな非営利法人制度は、(ア)主務官庁による許可制を廃止し登記により設立可能、(イ)法人税は原則非課税、(収益事業は原則軽減税率を適用、本来事業であれば課税除外)、(ウ)一定要件を満たしている法人については、現在より拡充した「みなし寄付制度」や「寄付控除」などを適用、(エ)個人の寄付金については、原則、寄付金の50%まで(所得税の20%を上限)の税額控除、ことなどが骨格となります。また法人による寄付金についても課税所得の10%までの損金算入と5年間の繰越期間を認めます。



7.財政健全化 

【1】3年間で10兆円の歳出カット、国債発行額30兆円未満、プライマリーバランス赤字の半減を実現します。

国の一般会計のプライマリーバランス(借金収入・利払い費を除く財政収支)を8年間で黒字化するため、最初の3年間は徹底的な歳出改革に取り組みます。その間、財政再建を目的とした増税は行いません。なお、控除整理による「子ども手当」の創設など、振り替えによって実質的に国民負担増とならない範囲で、明確な政策実現を目的とするものには取り組んでいきます。

マニフェスト政策実施のために約7兆円を充当する一方で、国の直轄公共事業半減(1.3兆円)、国家公務員人件費総額2割減(1兆円)、特殊法人向け支出半減(1.8兆円)、現在の個別補助金の一括交付金化に伴う2割減(2.8兆円)、税源移譲に伴う交付税削減(1.7兆円)、その他経費の1割削減、特別会計の徹底的な見直しなどによって、17兆円の既存経費カットを実現します。その結果、2008年度予算においては国債発行額30兆円未満、プライマリーバランスの赤字半減を実現します。

次の5年間ではさらに歳出改革をすすめることを前提とした上で、歳入改革も並行的に行い、8年目にはプライマリーバランスの黒字化を実現します。

【2】「ムダづかいの温床」特別会計をゼロベースで見直し、財政健全化にいかします。

特別会計制度は国の財政状況をわかりにくくし、また各省庁の隠れた財布となって、巨額のムダづかいの温床となっています。このムダづかいを止めるために、3年間で、31特別会計63勘定の特別会計をすべてゼロベースで見直します。

道路、治水、港湾など公共事業関係6特別会計のあり方を見直し、国直轄事業を半減した上で、重点投資を行います。「国債整理基金特別会計」は「財政再建特別会計」に衣替えし、財政健全化への姿勢を明確にします。特殊法人などの財布となっている「財政融資資金特別会計」は廃止し、特殊法人などの資金調達は政府保証のない特殊法人債によるものとします(「暗黙の政府保証」があるような印象を与える財投機関債の名称を特殊法人債に改称します)。



8.郵政改革

民主党は、郵政改革の最大の目的は、郵便貯金・簡易保険に集められた国民(民間部門)の資金が、国債や財政投融資制度を介して公的部門に流れ、ムダづかいされている実情を是正することだと考えています。そのため、郵便貯金・簡易保険の規模を徹底的に縮小し、公的部門に流れている国民の資金を民間部門に取り戻すことに第一に取り組みます。こうした方向での対応は、財政規律の向上と民間経済の活性化に寄与します。

2003年の衆議院選挙マニフェスト(34頁)、2004年の参議院選挙マニフェスト(20〜21頁)で明らかにしている方針、及び本年3月29日に発表した報告書の考え方に基づいて、以下の施策で郵政改革に取り組みます。

【1】現在340兆円ある郵便貯金と簡易保険を適正規模に縮小します。

(1)2006年度中に郵便貯金の預入限度額を700万円に引き下げます。
(2)同時に、名寄せを徹底し、預入限度額を超える分については個人向け国債などに振り替えます。
(3)その後、預入限度額をさらに500万円に引き下げます。
(4)8年以内に郵便貯金220兆円を半減させることを目標とします。

【2】特殊法人などに対する補助金3.5兆円を3年間で半減させ、郵貯・簡保資金のムダづかいを元から断ちます。

【3】郵便事業については、国の責任で全国的サービスを維持します。但し、民間事業者の参入を促進し、国民に選択可能な「官」「民」双方のサービスを提供します。郵便ポスト10万カ所設置などの高すぎる参入要件を緩和し、民間事業者の参入を具体的に促進します。

【4】お金の出し入れや公共料金支払い、年金受け取りなどの決済機能、行政のワンストップサービスなどについては、国の責任で維持します。

【5】郵便貯金・簡易保険を適正規模に縮小した後は、政府系金融機関との統合も含め、あらゆる選択肢を検討します。



9.経済・規制改革・中小企業  

【1】経済を活性化します。

(1)「コンクリートからヒトへ」資源配分を大きく転換します。マクロ経済政策の健全化をめざします。
マクロ経済政策は財政政策と金融政策で運営されていますが、この2つを健全化することが急務です。財政政策においては、今まで「コンクリート」に偏っていた資源配分を改め、「ヒト」に重点投資します。「ヒト」を育て、新たな需要・仕事を生み出すために、財政を適切に運営します。また財政の健全化を実現するため、徹底的な歳出改革を断行し、プライマリーバランスを8年間で黒字化させます。金融政策は、ゼロ金利と量的緩和という異常な政策をできる限り早く終結させ、正常な状態に戻します。

(2)公共事業のムダを止め、生活・環境重視の経済政策に転換します。
国直轄の大型事業を5割、1.3兆円を目標に削減します。ムダづかいの象徴である川辺川ダム事業(熊本県・総事業費2650億円)や吉野川可動堰計画(徳島県・総事業費1040億円)、八ツ場ダム事業(群馬県・総事業費4600億円)など、大規模な直轄公共事業の建設や計画をすみやかにストップし、真に地域振興となる事業に切り替えます。さらに、他の事業についても精査し、凍結、中止、見直しなどに分類して、できるものからただちに対応します。工事が相当すすんでいる諫早干拓事業(2490億円中2368億円が執行済)、工事が終了した長良川河口堰などについても、住民・自治体の意見を聞きながら、事業のすすめ方、活用のあり方を見直します。

橋梁談合事件により、談合による公共事業の高コスト体質が明らかとなりました。税金のムダづかいを防ぐために、談合を徹底的に防止し、より少ない経費で、より多くの事業を可能にします。とりわけ、官製談合防止の視点から、官製談合防止法及び刑法を改正し、公務員の関与に関する罰則を強化するとともに、天下り規制の強化を図ります。さらに、談合防止のために、国・地方公共団体の入札の一般競争入札化、電子入札導入促進などを含めた入札改革に取り組みます。

(3)道路公団を廃止し、高速道路を原則無料化します。
現在の道路公団民営化の仕組みでは40兆円の借金を減らすことはできず、ムダな高速道路をつくり続けることに変わりはありません。一般道路建設を目的に徴収している年間6兆円に及ぶ税金が、国では余っているにもかかわらず、そのお金は高速道路にはまわりません。その結果、日本の高速道路の料金は世界一とも言われる高さです。民主党は、高速道路を使いやすくし、物流コストの引き下げ、生活の利便向上をめざしてフリーウェイ(無料化)にするとともに、さまざまな「族お化け(税金をムダづかいする既得権益集団)」がはびこっている道路を「つくる、利用する、管理する」それぞれの面において、地域と国民の手に取り戻します。

多額の投資をしながら有効活用されていない高速道路をいかすことで、地方を活性化するとともに、流通コストの削減を図ります。不透明な道路特別会計や道路公団の実態を精査し、具体的な無料化計画を策定します。そのうえで、高速道路は3年以内に、一定期間一部大都市を除いて、無料とします。道路関係四公団(日本道路公団、首都高速公団、阪神高速公団、本州四国連絡橋公団)は廃止します。料金徴収が不要となるなど無料化によってコストが削減されるだけでなく、出入口を大幅に増設できることから、地方の高速道路が暮らしにいかせる道路としてよみがえります。また農産物、畜産物、水産物の消費地への流通コスト、時間コスト削減は、農林漁業など生産者の基盤強化にもつながります。高速道路に係わる債務返済と道路の維持管理には、年間2兆円の財源が必要ですが、国と地方を合わせて約9兆円の道路予算の一部振り替えと、渋滞・環境対策の観点から例外的に徴収する大都市部の通行料でまかないます。

(4)道路特定財源制度の廃止、自動車関係諸税の軽減・地球温暖化対策税の創設を行います。
自動車にかかる税金は、道路建設を優先するために高く設定されてきましたが、道路政策を見直すことにより、道路特定財源を一般財源化するとともに、税金を大幅に引き下げます。道路特定財源制度の廃止法案と、自動車重量税半減・自動車取得税廃止の税制改革法案を国会に提出します。同時に、将来の世代に良好な地球環境を引き継ぎ、また京都議定書の議長国としての国際的責任を果たすため、わが国の産業競争力維持に配慮した措置を講じつつ、実効性のある温暖化対策としてCO2(二酸化炭素)の発生源に、環境負荷の程度に応じて炭素含有量1トンあたり3000円程度の税金をかける「地球温暖化対策税」を創設します(「地球温暖化対策税」については11.-【2】参照)。

(5)団塊世代の地域への還流をすすめ、地域主体の雇用創出を図ります。
NPO法人に対する寄付税制の拡大や、住民税の使途特定制度の普及などを通じて、地域を活性化し、雇用創出を図り、民間の活動基盤を強化します。定年を迎える団塊世代が地域に密着しながら新たな人生をスタートできるよう、民間活力をいかして再就職や継続雇用の機会を広げ、地場中小企業や地方商店街の活性化につなげます。

(6)「ローン利子控除制度」創設で家計を支援します。
住宅ローンだけでなく、自動車ローンや教育ローンなど、消費対価としての各種ローンに係わる利子を所得から控除する「ローン利子控除制度」を2007年度までに創設します。これによって家計の消費を支え、豊かで多様な生活の実現を促進します。

(7)「貯蓄から投資へ」間接金融から直接金融への金融改革をすすめます。
公正・透明な証券市場を実現し、貯蓄から投資への金融改革をすすめるため、3年以内に日本版SEC(証券取引委員会)を設立し、金融サービス・市場法を整備します。また、個人を中心とした株式の長期的保有を促進・拡大するための配当課税の廃止・軽減や、ベンチャー企業に対する投資額の一定割合の税額控除などの金融・証券税制を検討し、すみやかに実現します。

(8)事業規制原則撤廃をすすめ、企業努力と起業意欲を増進させます。
民間の活力と創造力を引き出し、新たな需要を掘り起こすために、民間事業活動に関する規制の撤廃、公正競争の環境確保などをすすめます。現行の事業規制はすべてゼロベースで見直します。すべての官業を納税者・生活者の視点で徹底して効率化し、質の向上を図ります。そのため、市場化テストを進化させ、官民双方から競争によって優れたサービスを低廉に提供する主体を選ぶ「生活利便向上テスト」を実施し、事後チェックを強化します。

来年度から「生活利便向上テスト」を実施することとし、所要の法整備を行うとともに、強力かつ中立的な第三者機関を設立し、その下で対象事業者の選定と落札者の決定を行うこととします。対象には特殊法人、独立行政法人の行う事業を含めるとともに、地方自治体にも「生活利便向上テスト」の導入を促す仕組みとします。

2006年度中に「規制改革推進基本法(仮称)」を制定し、規制改革を推進する上での法的根拠を明確にし、規制の全面見直し、アクションプラン策定、進捗状況の評価・監視などに、早急かつ着実に取り組みます。

(9)競争力強化・技術力強化に向けて、知的財産権立国をめざします。
国際競争力の強化、科学技術振興を図るために、知的財産権強化に取り組みます。「知的財産基本法」をさらに具体化し、中小企業・ベンチャー企業に対する支援強化、知的財産紛争処理能力の強化、知的財産権に関する専門家の育成、地域をはじめとする産学の連携強化、研究開発予算の配分見直し、研究者の意欲向上につながる環境の改善、TLO(技術移転機関)の充実、模倣品対策や特許権侵害対策の強化をすすめます。

(10)国際標準並みに独占禁止法を抜本改正します。
公正な競争を実現するための基盤確立を、経済構造改革の最優先事項と位置づけます。まず経済活動の基本法である独占禁止法を抜本改正し、(ア)事案の性格に応じて、柔軟に減らしたり、増やしたりする「行政制裁金」を導入する、(イ)審判官を増員し、法曹有資格者を過半数とする、(ウ)法令順守に着目した減免制度を導入する、(エ)官製談合に関して、発注官庁職員の行為の申告者への制裁金を減免する、などを2006年度中に実現します。あわせて、行政側に対する厳格対処規定を盛り込み、警察、検察との連携も含め公正取引委員会の機能を強化するとともに、官製談合防止の視点から、公務員の関与に関する罰則強化などを図り、官製談合防止法、刑法の改正を実現します。

(11)科学技術政策を戦略的に推進する体制を整え、次世代の競争力を確保します。
今後、医療を含む生命科学分野、情報通信技術、ナノテクノロジー(超微細技術)関連技術、環境・エネルギー技術などが世界の経済・産業競争の主要分野となることは確実です。次世代の産業競争力確保の観点から、これら先端技術分野における研究者・技術者の質的・量的不足を一刻も早く解消するとともに、課題とされる倫理規制の整備などを含む技術開発施策を戦略的に推進します。その際には、国民生活の維持向上・安全確保、産業競争力強化、基礎研究の推進、地球環境対策、などの長期的観点から研究テーマを選定し、国家予算を集中的に投入します。

また、科学技術政策を戦略的に推進するための体制を整備し、予算の配分は組織単位の補助金ではなく、研究内容そのものに着目し、研究者単位での資金配分を行う仕組みに転換します。研究開発への客観的評価を徹底するために「研究開発評価法」を制定します。

さらに未来の人材を育成するため、初等教育において科学や理数分野に理解の深い教員を増やすなど理数系教育環境の改善や、大学入試改革を行います。

(12)電波行政を抜本的に改めます。
電波の有効利用促進のために周波数割当制度を抜本的に見直します。同時に、公正な競争を促進するために独立した行政機関として「通信・放送委員会(日本版FCC)」を創設します。

【2】中小企業を支援します。

(1)中小企業予算倍増、政府系融資の個人保証撤廃などにより「再起できる中小企業政策」を展開します。
地域産業と商店街に元気を取り戻すため、中小企業向けの助成や商店街の活性化のための予算をまずは倍増します。エンジェル税制の改善などにより、起業の促進も図ります。また、個人保証を余儀なくされている中小企業金融の誤った常識を転換させるため、政府系金融機関が行う融資については、個人保証をなくします。

(2)「お金を貸せる銀行」をつくります。
○中小企業金融(自営業者を含め、個人の信用に基づき受けている融資)を、大企業向けの貸付と明確に区別して取り扱います。担保に偏らずキャッシュフローに重点をおいた中小企業向け金融検査マニュアルを大企業向けとは別につくり、貸し渋り、貸しはがしを解消させます。

○金融機関の地域への寄与度や中小企業に対する融資条件などについて、情報を公開させる「地域金融円滑化法」を制定します。

○中小企業金融の円滑化・適正化を図る観点から、銀行に対して、貸付条件などの説明義務、書面の交付義務、貸付方針の策定義務を課す法律を制定します。



10.農業・林業・水産業  

【1】農政の柱としてー補助金行政から直接支払へ大胆に転換します。

現在の農政は、作物の価格支持政策や構造改善事業への助成を中心とした補助金漬けの内容となっています。これを抜本的に転換し、農業・農村を活性化するため、農政の柱として、原則としてすべての販売農家に直接支払を行います。

総額は1兆円程度とし、このうち5000億円を国の直接支払として米・麦・大豆・雑穀・菜種・飼料作物などの重点品目を対象に行います。また地方分権を推進する観点から地方に5000億円を交付して地方公共団体が地域の農業の実情を反映した直接支払ができるようにします。

その他、中山間地域や環境保全型農業(有機農法など)に対する直接支払を実施します。

これらの施策により、現在の自給率40%を、政権獲得後10年で50%にまで引き上げ、将来は60%以上にすることを目標とします。さらに、強制減反の廃止と米の備蓄300万トン体制の実現により、食料安全保障、諸外国への食料人道支援、余剰米を利用したバイオマス推進への道を確立します。
特に、食料安全保障の観点から、農地を有効活用するとともに、現在の農地面積約470万haを確保します。

【2】農山漁村を活性化します。

都市への人口集中がすすんでいますが、日本の発展を考えた場合、わが国の国土の大半を占める農山漁村の活性化を抜きには語れません。そのため、就業機会の拡大、教育・医療サービスの向上、公共交通機関の確保などによる定住条件の向上をすすめ、子どものいる家族や高齢者でも安心して住めるような地域環境の整備を推進します。また農村資源の保全(基幹水利施設などの維持管理など)を国・地方公共団体が責任をもって行えるようにします。

また、都市と農山漁村の交流を推進をするため、農山漁村において、農林漁業体験学習を推進するとともに、ヨーロッパ型の本格的なグリーンツーリズムなどをすすめる施策を実施します。

なお、農業就業人口の約6割を占める農山漁村女性の重要な役割を考慮し、農山漁村における女性支援のために、「農山漁村女性起業支援法」の制定や、農山漁村女性子育て支援ヘルパー制度を創設するとともに、行政や地域社会運営の意思決定の場への女性参画支援を行います。

さらに、農業に意欲のあるサラリーマン・定年退職者に対し、農業の継続・市町村の農地の利用計画に基づくこと・転用を認めないことなどを要件として、農地取得の下限面積条件を緩和します。

【3】水産資源回復事業で漁村を活性化します。

日本はかつて世界でも有数の水産物輸出国でしたが、現在は輸入国に転落し、水産物の自給率は53%まで落ち込んでいることから、わが国の水産資源の管理徹底と本格的な回復を図ります。その一環として、魚介類の産卵場である「海藻による海中の森」を公共事業で造成するとともに、資源回復事業を実施します。また、漁村を活性化するため、集落が独自に行う資源回復事業や活力維持事業に対し、500億円程度の直接支払を行います。

【4】10年間で1000万haの森林を再生(みどりのダムの育成)します。

さまざまな公益的機能をもっている森林を効果的かつ早急に再生するために、林野行政と環境行政を一体的にすすめます。

天然林の育成をすすめ、森林の水害防止効果や地球温暖化防止効果を高めます。治山治水事業を隠れ蓑とした環境破壊型公共事業を縮減し、環境・緑を守る持続可能な公共事業(=みどりのダム事業)に転換させ、12万人の雇用増につなげます。

人工林の管理・充実をすすめ、間伐などの森林整備を計画的に行い、10年間で1000万haの森林を再生することをめざします。政権獲得後ただちに年次計画を策定し、初年度に1000億円、4年後には2500億円の予算を充当します。また、森林認証制度の推進や公共建築物への一定量の国産材使用の義務づけ、木質バイオマスの推進などにより、国産材の利用推進を図ります。

なお、これらの施策とあわせ、河川の自然再生事業を積極的にすすめます。



11.環境・エネルギー

【1】地球温暖化対策を強力に推進します。

地球温暖化防止のために、国内におけるさらなる温室効果ガス削減が必要です。しかし、温室効果ガスの排出削減義務を定めた京都議定書は、「究極の目標」に向けた第一歩に過ぎません。まずは、国内における温室効果ガス削減の長期目標を設定します。その上で、エネルギーの需要抑制、省エネルギー対策の推進、再生可能エネルギーの普及促進、フロン回収の推進のために、地球温暖化対策税などの経済的措置を導入します。諸外国との環境対話を積極的に推進し、地球温暖化の進展を食い止めるために国内排出権取引制度を導入するなど、より実効性のある施策を実施します。また、ポスト京都議定書に向けた新たな国際的枠組みに対する主導的役割を果たすために環境外交を推進していきます。

【2】地球温暖化対策税を創設します。

経済活動の地球環境に与える影響(外部費用)を内部化し、市場メカニズムの価格決定システムの中に組み入れる必要があります。特に、京都議定書の達成が極めて困難となっている地球温暖化対策では、経済的措置の導入は喫緊の課題です。化石燃料の使用抑制・効率化と、省エネルギー・新エネルギーの技術開発や環境関連投資促進に資する地球温暖化対策税を導入します。CO2排出量(炭素含有量)に着目し、炭素含有量1トンあたり3000円程度の課税を行います。電力については、現在の電源開発促進税を一部組み替えて課税する炭素・エネルギー税とします。ただし、その際には他に転換不可能な原料炭・ナフサなどの原材料としての使用については課税の対象から外します。産業界などの温暖化ガス発生抑止への効果的な取り組みに対しては税の軽減もしくは還付制度を設け、わが国産業競争力の維持・強化を図ります。また輸入石炭に対しても一定の措置を設けます。税収は、省エネルギー・新エネルギーの技術開発、設備投資、普及などに優先的に配分します。これにより、環境技術立国として、環境と雇用を両立させた持続可能な社会を構築します。なお石油・石炭税制についても、そのあり方を含め今後検討します。

【3】新エネルギー予算を倍増、低公害車普及・拡大をすすめます。

風力、太陽、バイオマス、波力・海洋エネルギーなどの再生可能エネルギーや、燃料電池などを中心とした未来型エネルギーの開発普及のため、新エネルギー関連の予算を計画的に増額し、現行の年間約1700億円から任期中に3000億円へと増額をめざします。また、電気自動車、燃料電池自動車をはじめとした環境にやさしい乗物に対する助成を強化します。すでに普及しつつある電気自動車に対する集中的助成、今後本格的実用化が見込まれる燃料電池車への支援を中心にして、低公害車の普及・拡大をすすめます。必要な財源は、エネルギー関係予算全体の中での振り替えおよび環境対策予算などを充当して確保します。

【4】安全を最優先し、原子力行政の監視を強めます。

原子力に関する行政組織を推進機関と規制機関に明確に分離し、安全を最優先させます。原子力の安全行政を経済産業省から切り離し、内閣府に独立した規制機関を新たに設置することにより、強力かつ一元的なチェック体制を築きます。そのため、民主党が既に提出している「原子力安全規制委員会設置法案」を任期中に成立させます。

【5】原油高、中国などのエネルギー需要の増加などに対応し、環境・エネルギー分野における国際協力を推進します。

近年の原油価格の高騰、中国を含むアジア諸国などのエネルギー需要の高まり、地球温暖化対策の必要性などにかんがみ、日中韓とロシアを含む東アジア・北太平洋地域における環境・エネルギー分野での国際協力を推進します。とりわけ、(ア)風力、太陽、バイオマス、燃料電池など新エネルギーの研究開発・普及促進、(イ)産業部門、民生部門を通じた省エネルギー技術の開発・普及の推進、(ウ)二国間及び多国間のエネルギー政策協議の緊密化、に重点をおきます。

中国に対しては、原子力や石炭ガス化を利用した発電などの技術開発・普及の促進に向けた支援を積極的に行い、あわせて環境汚染に対する対策の強化、環境保全に関する国際的な枠組みへの参加を働きかけます。国際法理や科学的根拠に基き、天然ガス・石油の共同開発を実現し、東シナ海を平和の海とするよう努めます。

【6】資源循環・廃棄物管理法案の成立をめざします。

大量生産・大量消費・大量廃棄の社会を省資源型の循環型社会へと転換させるとともに、不法投棄や不適正処理を防ぐために、現在の法制度を変える必要があります。(ア)廃棄物・リサイクル法制の統合、(イ)有価・無価に影響されない廃棄物の定義、(ウ)リサイクル施設に対する環境規制の適用、(エ)製造者の製品引取義務(拡大生産者責任)の明記、(オ)埋立税・焼却税などの導入(経済的措置)、を内容とする「資源循環・廃棄物管理法案」を2006年度に提出します。



12.法務・人権

【1】国民に身近で公正な司法制度に改革します。

(1)裁判員制度に国民が参加しやすいよう環境整備を行います。
2009年の裁判員制度開始までに、国民の制度への理解がすすむように広報を強化します。また、裁判員休暇制度の創設、裁判員の育児・介護などへの配慮を含め、国民が参加しやすいよう環境整備を行います(所要額5億円)。

(2)国民が利用しやすいよう総合法律支援制度を充実します。
全国どこでも、誰でも、いつでも法的サービスが受けられるよう、2006年に日本司法支援センターが業務を開始するまでに、同センターの地域事務所を全国に整備し、スタッフ弁護士を配置します。そのための財政支援を充実します。

(3)公正で透明性の高い刑事司法に改革します。
取調べでの自白の強要による冤罪を防止するために、民主党が既に提出しているビデオ録画などによる取調べ過程の可視化(所要額6億円)、取調べ段階における弁護人立会権の確立を柱とする「刑事訴訟法改正案」を2009年までに成立させます。刑事裁判での証拠開示の徹底を図る法案を成立させます。 

(4)国民が利用しやすい行政訴訟制度に改革します。
行政訴訟を利用する国民の視点から、団体訴訟制度の導入、訴訟対象の拡大など、3年以内に行政事件訴訟法改正案を制定します。

(5)法曹養成制度を充実します。
法科大学院への財政支援を充実させるとともに、法科大学院の学生が大学院のカリキュラムの勉強に専念できるような新司法試験制度として整備・運営します。

【2】犯罪被害者への支援を強化します。

犯罪被害者に対する生活支援や精神的ケアを充実するなど、被害者に対する的確かつ十分な支援が行えるよう、犯罪被害者等基本計画の策定段階から、被害者や支援者の声が反映されるようにします。ヤミ金融業者などが不正に得た犯罪収益が没収・追徴された際に、被害者に分配して損害を回復する手続きを定める法案を成立させます。 

【3】仮釈放のない「終身刑」を創設し、刑罰を見直します。

仮釈放のない「終身刑(重無期刑)」の創設を図るとともに、刑罰の見直しをすすめ、政権獲得後3年以内の刑法改正をめざします。

【4】ドメスティック・バイオレンス(DV)防止法を強化します。

2004年通常国会で「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(いわゆるDV防止法)」が改正されましたが、法改正後3年後の見直し時期に、積み残しの課題を盛り込んだ改正案を国会に提出し、加害者更生プログラムの導入、保護命令対象の親族などへの拡充、ファックスや電話などによる脅迫の禁止を実現します。自立支援体制の強化、特に民間シェルターに対する財政支援の強化などのために、年間約25億円の予算を確保します。

【5】「高齢者虐待防止法」および「障がい者虐待防止法」を制定します。

施設・家庭における悲惨な事件をなくし、安心して生活ができる環境をつくることを目的として、「高齢者虐待防止・養護者支援法案」を制定します。政権獲得後すみやかに法律を成立させ、市町村に相談窓口を設置します。通報・確認・立ち入り調査手続きの制定、緊急保護のためのショートステイの確保、養護者のサポートなどの総合的対策を行います。

「高齢者虐待防止・養護者支援法案」は、相談や関係機関の紹介などを通じて、現在社会問題化しているリフォーム詐欺など財産侵害行為に対応できるようにします。

また、すみやかに障がい者に対する虐待防止法を制定します。

【6】テレビの字幕化を推進します。

聴覚に障がいがある方々もテレビ放送を楽しみ、情報を確保できるようにするため、2009年度までに、技術的に可能なすべてのテレビ番組の字幕化を実現します。字幕化を行う放送事業者や製造業者に対しては、事業支援措置として総額100億円の助成を行います。

【7】差別の解消をめざす法律を制定します。

社会に残っているさまざまな差別を解消するため、すべての障がい者に「完全参加と平等」を保障し、具体的な差別の禁止を規定する「障がい者差別禁止法」、年齢を理由とした就職差別を禁止する「年齢差別禁止法」など、差別解消のための法律の制定をめざします。

法務省から独立した人権委員会の設置などを盛り込んだ「人権侵害救済法案」を成立させます。

【8】成年後見制度の利用を積極的に推進します。

現在の「成年後見制度」は、ほとんど利用されていません。判断能力が十分ではない認知症の高齢者や知的障がい者・精神障がい者が、どのような福祉サービスを受けたいか、お金をどう使いたいかなどについて、本人の意思にそった暮らし方を選択できるように、「成年後見制度」の利用促進と、運用の適正化を図ります。

【9】人権侵害の救済へ向け国際機関への個人通報を制度化します。

人権侵害の救済機会を広げるため、国際機関に対し個人が直接、人権侵害の救済を求める制度(個人通報制)が求められています。政権獲得後すみやかに、個人通報制を認める「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書」と「自由権規約選択議定書」を批准します。



13.暮らしの安全・安心

【1】アスベスト被害に対する健康対策、補償制度を確立します。

(1)アスベストによる健康被害を最小限に食い止めます。
アスベスト関連疾患に関する情報開示、悪性中皮腫の全数調査を行い、中皮腫登録制度を創設してアスベスト関連疾患について質の高い診断と治療・研究を推進します。家族や周辺住民への影響についての緊急調査を行い、特別立法による救済制度を構築します。アスベストなどに起因する業務災害に関する労災保険給付については、時効が過ぎても請求ができる改正案をすみやかに成立させます。健康管理手帳制度を改善し、退職後の定期健診などの健康管理体制を確立します。

(2)安心して日常を過ごせるアスベスト処理方法を義務づけます。
ただちにアスベストの新たな使用と販売を全面禁止します。アスベストを含む製品及び建築物など(学校や公共施設も含む)について全国調査と情報開示を行い、アスベストを含む製品についてはアスベスト含有率の表示を義務づけ、アスベスト飛散を防止します。同時に過去の法令や通達を精査し、行政責任を総括します。解体及び廃棄作業における被曝を防ぐための作業基準を確立し、履行確保措置を徹底します。アスベスト含有廃棄物の処理方法について早急な調査を行い、規制を強化します。被害者補償、健康管理、飛散防止、解体や廃棄に必要な財源確保のため、基金を創設します。

【2】消費者の食に対する不安を解消します。

BSEや鳥インフルエンザの発生、残留農薬問題、食品の偽装表示事件など消費者の食に対する不安を解消し、食に対する安全・安心を確保するため、内閣府・農林水産省・厚生労働省にまたがっている食品安全行政を一体化します。また、地産地消・旬産旬消を推進するとともに、加工食品への原料産地表示の導入、輸入検疫体制の大幅な強化、主要な食料輸出国に輸入国の立場から調査を行う国際食品調査官を配置することなどを実施し、食の安全・安心の確保に努めます。

【3】偽造・盗難カード、通帳による不正な預金引き出しから預金者を守ります。

技術の進歩でカード・印鑑の偽造が容易になったこともあり、偽造・盗難カード、通帳による不正な預金引き出しの被害が拡大していますが、現状では預金者がすべての損失を負担せざるを得ません。民主党は、偽造・盗難カードのみならず、盗難通帳による不正な預金引き出しから預金者を守る法案を、政権獲得後すみやかに成立させます。

【4】自然災害による被災者を対象に、住宅本体への再建支援制度を確立します。

わが国は、地震、台風、豪雨、火山噴火などの災害が発生しやすく、毎年、甚大な被害がもたらされています。自然災害により家を失った被災者にとって、住宅の再建は、生活基盤の回復のために欠かすことはできません。現行の「被災者生活再建支援法」を改正し、住宅本体への再建支援制度を確立します。

全国各地で大規模地震の危険性が指摘されており、その対策は急務となっています。特に都市部においては、木造建築物の多い密集市街地が広範囲に存在しており、倒壊や火災による被害は甚大なものになると予測されています。このような被害を減らすため、既存不適格住宅の耐震改修補助予算を倍増します。

【5】盗聴法、住基ネット法、個人情報保護法を見直します。

政権獲得後ただちに、盗聴法の運用を凍結し、2年以内に抜本改正の法律案を国会に提出します。また、住民基本台帳法の住基ネット条項と個人情報保護法についても、即時に見直しに着手し、抜本改正のための法律案を国会に提出します。

【6】住民基本台帳の大量閲覧を制限します。

地方公共団体の窓口で大量に閲覧された個人情報(住所、氏名、生年月日、性別)をもとに、ダイレクト・メールが勝手に送られてきたり、犯罪に悪用されたりする問題が起きています。住民基本台帳の閲覧者を国、地方公共団体、公益上特に必要と認められる者に制限する「住民基本台帳・大量閲覧制限法案」を成立させます。

【7】信頼される警察行政を取り戻します。

本来は現場で捜査に使うためのお金を、長い間慣習的に一部の上層部が私的流用していたという警察不正経理疑惑は、内部告発などにより深まる一方であり、警察行政への信頼は低下しています。政治主導で不正経理問題の解明を行い、その調査結果を踏まえ「報償費」「捜査費」などを改廃・圧縮するとともに、現場の警察官が使いやすい会計制度に改めます。

また、警察を監督する公安委員会の事務を警察が行っているという矛盾を解消するため、警察法改正案を提出し、国家公安委員会・都道府県公安委員会に独立した事務局を設置します(所要額48億円)。また、「国家による国家のための秩序維持」ではなく、「国民による国民のための治安の確保」のために、都道府県知事・都道府県議会による監督の強化、苦情処理制度の大幅拡充など、市民の声を反映した透明度の高い警察行政を実現します。

【8】警察官の3万人増員により、落ち込んだ検挙率を回復させます。

落ち込んだ検挙率を回復させるために、4年間で地方警察官を3万人以上増員し、「地域・刑事・生活安全」警察機能の拡充、防犯パトロール体制の強化と「空き交番」解消をすすめます。そのために毎年7000人以上の増員と、約700億円の財源を充て、4年後には3000億円の予算を確保します。また、地域社会の防犯機能をいかすため、自治会、町内会などが自主的に結成する「防犯パトロール隊」などに対し支援を行います。

【9】急増する薬物乱用対策に取り組みます。

薬物乱用の低年齢化を防ぐため、薬物依存からの回復者の体験談などを通じて、薬物依存の恐ろしさが実感できる中高生への教育・啓発活動を実施します。薬物依存・中毒者への治療と自立支援、家族からの相談支援体制を整備します。省庁横断的な薬物取締体制を強化し、薬物の供給源根絶に取り組みます。

【10】自殺予防の総合対策を推進します。

年間自殺者が7年連続で3万人を上回っていますが、自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題です。民主党の提唱により、先の国会で、政府に自殺予防総合対策の推進を求める委員会決議が行われました。民主党は、「自殺問題総合対策センター(仮称)」の設置、自殺者の家族・未遂者への支援などを柱とする「自殺予防総合対策推進法」を2006年度中に制定し、自殺予防の総合対策を推進します。

【11】消費者団体訴訟制度を創設します。

民主党は、「生活者」「納税者」「消費者」の立場を代表し、国民・消費者の視点に立った政策実現を図ります。消費者の利益を擁護するために、消費者団体が消費者全体の利益のために訴えを提起することを認める消費者団体訴訟制度創設の法案を提出します。

【12】「公益通報者保護法の改正」「公益開示法」「危険情報公表法」で国民の生命・財産を守ります。

「公益通報者保護法」を改正し、公共の利益に資する通報をした下請等事業者も不利益な取扱いを受けないよう保護します。同時に、公務員を対象にした「公益開示法案」、事業者に危険情報の提供や行政庁への報告などを義務づける「危険情報公表法案」を成立させ、消費者・国民の生命・財産を守ります。

【13】美しく暮らしやすいまちづくりへの転換

都市化の進展の中で、大都市郊外を中心に不要不急の基盤整備と画一的な建築物の建設が行われ、質の低い都市環境が粗製濫造されてきました。一方、放置された地方の中小都市は荒廃・衰退がすすみました。また、市街化圧力と地価高騰を背景に、無秩序な土地利用と緩い容積率・斜線規制などを目一杯利用した建物が建築され、街の美観が損なわれてきました。欧米諸国では「計画なくして土地利用、建築なし」の原則が確立し、美しい街並みを保全しています。現在の法体系を抜本的に見直し、(ア)建築基準法の単体規制への特化、(イ)都市計画法をあまねくすべての地域を対象とする「まちづくり法」に大胆に改変、(ウ)地域コミュニティーの自立・再生・充実を図るまちづくりの基本原則を明記した「景観・まちづくり基本法」を制定する、などを通じ、コミュニティーと美しく活気あるまちの再生・保全を図ります。

これまで「国土の均衡ある発展」の名目において、わが国政府は美しい自然を破壊し、国土をコンクリートで覆い尽くし、日本中同じような景色にしてしまいました。工業再配置法をはじめとする日本列島改造法120本を全面的に見直します。



14.政治改革・行政改革

【1】政治家の不正を根絶し、議員定数を削減します。

改革の原点である政治改革をまじめに推進し、まず自らを厳しく律し、国民の前にすべてを明らかにする、公正で透明な信頼される政治を実現します。

(1)迂回献金を禁止し、政治資金の透明性を高めます。 
○政治家と業界団体との癒着構造を隠し、法の規制を逃れるために、政党や政治資金団体を介在させて寄付を行う、いわゆる「迂回献金」を禁止します。 

○政治家の「あっせん利得処罰法」の処罰対象を、議員などの親族や首長の秘書にまで拡大します。

○公共事業受注企業からの政治献金を全面禁止します。

○企業・団体献金の公開基準を、現行の年間5万円を超えるものの公開から、全面公開へ広げていきます。民主党が既に実施している政治資金収支報告書のインターネット上での公開や、外部監査導入をすべての政党や政治資金団体に義務づけます。

(2)「一票の格差」是正をめざすとともに、衆参国会議員の定数を1割以上削減します。
緊急課題として、都道府県に1議席ずつ配分する「基数配分」の廃止などによって「一票の格差」を是正するとともに、衆議院比例区の定数を80削減します。

勾留中の国会議員について、歳費などの支払いを凍結し、有罪判決が確定した場合にはこれを支払わないことを内容とする改正案の成立を図ります。衆議院・参議院のあり方を整理し、各々の役割に適した選挙制度改革をすすめます。

(3)成人年齢を18歳に引き下げ、選挙権も18歳以上とします。
若い世代に、社会の一員としての責任感を醸成し、積極的な社会参加を保障するため、成人年齢を18歳とし、選挙権年齢も18歳から付与します。

(4)マニフェストを誰もがどこでも入手できるようにします。インターネット選挙運動を解禁します。
「政策本位の選挙」「政権選択の選挙」を実現するために、すべての選挙について、マニフェストの配布方法の制限を撤廃します。またローカル・マニフェストも解禁します。ホームページ、電子メール、ケータイ、ブログなどを利用したインターネット選挙運動の解禁と同時に、戸別訪問による直接対話による政策宣伝活動の解禁など、選挙運動の規制改革をすすめます。また、政策宣伝物の点字化、手話化の促進など、障がい者が選挙に参加しやすいように環境を整備し、電子投票制度の国政選挙への導入も促進します。

【2】公務員の天下りを禁止し、人件費総額を引き下げます。

(1)官僚や特殊法人の役職員の天下りを禁止します。
道路公団などの特殊法人の役職員が民間企業へ天下ることを規制するため、「道路公団等天下り規制法案」をすみやかに成立させます。国家公務員についても天下り規制を強化し、離職後5年間は、離職前5年間に在職していた機関と密接な関係にある民間企業、特殊法人、独立行政法人(大学教官などを除く)などへ天下ることを禁止します。また現行の天下り規制には、人事院・各府省から承認を得れば、離職後すぐにでも民間企業へ天下ることができるという抜け穴があります。天下り規制を厳格に適用するため、人事院・各府省の承認制度を見直します。

(2)公務員に労働基本権を保障します。
任期中に、国際労働機関(ILO)勧告に基づいて、一般の公務員に労働基本権を保障します。

人事院機能を見直し、公正な人事評価システムの確立と労務管理の厳格化をすすめるとともに、給与などの労使交渉は担当大臣を置き内閣が責任をもって行うこととします。これにより、人事評価が徹底され、公務員のやる気を引き出すとともに、勤務態度の悪い公務員には免職・減給などの厳しい対処をします。

(3)公務員人件費総額を削減します。
国・地方を問わず、政府も効率性と機能性を追及しなければなりません。分権の推進、「生活利便向上テスト(参照)」などを通じた「官」の役割の見直し、国民の理解を得られない諸手当の廃止、人事計画に基づいた定数削減、給与水準の見直しなどを順次すすめ、3年間で国家公務員人件費総額を2割削減します。

(4)行政監視院(日本版GAO)を設置し徹底チェックします。
行政が行政自身のムダの点検や規制緩和を行うには限界があり、内閣として「行政刷新会議」で行政のムダづかいや悪弊の点検に集中して取り組みます。2007年度までに選択的検査対象拡大など会計検査院の機能強化を図るとともに、任期中に国会内に行政の監視、政策評価を行い、国民の立場で行政をチェックする行政監視院(日本版GAO)を設置します。


2005年8月16日 >>重点項目 戻るホーム民主党文書目次