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民主党平成16年度予算案

民主党『次の内閣』

1.総論
2.民主党予算案のポイント 
3.民主党予算案フレーム(総括表)
4.民主党予算案 一般会計 主要経費別内訳
5.民主党予算案の概要
6.歳入歳出の概要
  6-2.歳入の説明
  6-3.歳出の説明
7.民主党予算案における経済効果
8.補足説明
  ○公共事業の予算額の変化
  ○地方の裁量的予算の拡大
  ○高速道路無料化の財政負担
  ○ローン利子控除制度の創設

  予算案参考資料


1.総論

民主党は、昨年に引き続き、平成16年度についても霞が関の手を全く借りず、国民の代表たる議員独自の力で予算案を編成し、国民に選択肢を提示する。この予算案では、総選挙で国民に提示したマニフェスト掲載の予算関連項目は原則として全て計上し、民主党政権下ではどのような予算となるのかを示した。マニフェストは、衆議院の任期4年の間に実現する政策である。その意味で今回の予算案は、法改正・制度改正の必要性やそのための経過措置などに縛られることなく、民主党が政権を獲得し、改革を進めた結果としての予算の姿、ひいては将来有るべき国家・社会のあり方を反映した予算である。

基本的な考え方は、昨年と同様「『潜在需要』を掘り起こす」「『将来不安の解消を図る』」「仕事を生み出す」「地域の個性を生かす」「必要な資金を循環させる」であるが、さらに今回の予算案ではマニフェストに込めた将来への展望を具体的に表現することとした。

民主党の考えるわが国の将来は、民間、地域そして国民1人1人が主人公となる社会である。わが国経済を真に再活性化させるためには、「自主自立」に基づく民間主体の経済を実現することが不可欠である。また地域の活性化を図るためには、地域に自由な財源とそれを自由に使える裁量を移譲しなければならない。そのためには中央政府の役割・権限を縮小し、余計な規制や介入を極力排除することが不可欠である。民間企業、地域、国民が主役となり、存分にその能力を発揮できる舞台を作ることが、政府の今後の役割だと考える。

一方、「自主自立」に基づく経済・社会を築くためには、強くて安定したセーフティネットが必要である。様々な人生のリスクに対してはお互いに支え合うことが必要であり、その媒介を政府の主要な役割としなければならない。仮に舞台から墜ちても、安心して再び舞台に上がる環境が整っていてこそ、多様な人材がチャレンジを行うのである。

この2つの基本的な考え方は財政健全化によって一体となる。政府の役割を重点化し、税の無駄遣いを徹底的に排除する中で税金の使い道を根本から改める。そのことによって財政健全化を図り、将来的に強く安定的なセーフティネットを国民に提供していく。本予算案は、その第一歩である。

予算という具体的な形で民主党の「民間へ、地方へ、世界へ」「強いセーフティネットによる最少不幸社会」というビジョンを表すことによって、現在と全く違う政府のあり方があることを、国民に理解して頂きたい。



2.民主党予算案のポイント

(1) マニフェストの全項目を予算化
 昨年の総選挙で国民に提示した民主党マニフェストのうち、予算に関連する項目は全て計上した。これらを含む民主党重点項目の歳出増加額は7.0兆円である。この予算を実現すれば、その年度から高速道路は無料となる。

(2) 財政健全化への第一歩
 わが国の財政状況はまさに危機的な状況にある。このような状況から1センチでも改善するために、民主党案では新たな国民負担増を求めずに、国債発行額を政府案に比べ1.2兆円削減し、35.4兆円としている。

(3) セーフティネットの強化
 年金国庫負担を1/2に引き上げる他、医療費窓口負担の軽減、長期失業者に対する能力開発訓練制度の創設、グループホームの増設などセーフティネットの強化に、3.8兆円の財源を投入する。

(4) 125万人の雇用創出
 失業は時に人の尊厳にさえ影響を与えかねない深刻な問題である。民主党案では、潜在的な需要に対応する中で、約125万人の仕事を創る。

(5) 中小企業予算の倍増
 
中小企業の活性化無くして、わが国経済の活性化はない。民主党案では、政府案に比べ倍以上の中小企業予算を確保し、政府系金融機関の個人保証撤廃、中小企業再生、強力な商店街対策を講じていく。

(6) 税金の無駄遣いを徹底的に排除
 民主党の政策を実現するため、その財源は国民負担増に求めるのではなく、まず政府の税金の無駄遣いを徹底的に排除することなどによって、12兆円の歳出削減を行う。

(7) 地方へ19兆円の財源移譲
 
20.4兆円の地方に対する補助金(使い道を縛られるお金)を抜本的に改革し、5.5兆円の税源移譲と13.2兆円の「一括交付金」創設を行う。この約19兆円のお金は、地域がそれぞれの裁量で自由に使えるお金である。



3.民主党 平成16年度予算案 総括表

  民主党案  民主党案説明
《歳入》
 税収
 
 
 
 
 
 
 
 税外収入
 
 
 公債金
 
37.4兆
 
 
  
 
 
 
 
4.3兆
 
 
35.4兆
 
政府案税収見込み
所得譲与税未創設 
環境税の導入   
揮発油税繰入   
税源移譲     
ローン利子控除制度
自動車重量税減税 
 
政府案見込み   
 都市圏高速収入
 
政府案に比べ
 
 
41.7兆
+0.4兆
+0.7兆
+0.7兆
▲5.5兆
▲0.3兆
▲0.4兆

3.8兆
0.5兆

▲1.2兆
 

歳入合計

77.1兆  
《歳出》
 公債費
 
 地方交付税
 
 
 NTT償還

 一般歳出
 
  
 19.1兆

 12.8兆


  0.4兆

 44.8兆
 
 
高速道路無料化
 
政府案       
税源移譲等見返り
警官増員
 
 
政府案に比べ
 
 
1.5兆
 
16.5兆
▲3.8兆
0.2兆
 
 
▲2.8兆
 

歳出合計

77.1兆
政府案に比べ ▲5.0兆


4.民主党予算案 一般会計主要経費別内訳

事項 平成16年度
予算額(兆円)
主な事項説明
 一括交付金関係
   教育
   社会保障
   農業・環境
   地域経済
   その他
13.2
 2.5
 8.7
 1.2
 0.1
 0.8
 
教育関係(義務教育費国庫負担金含む)
社会保障関係補助金の一括交付
農業、環境関係補助金の一括交付
雇用、中小企業関係補助金の一括交付
上記に含まれない分野の一括交付
 社会保障関係費 13.6 年金国庫負担1/2引き上げ
職業能力開発制度創設
グループホーム増設等
 文教・科学振興費 3.6 「30人学級」実施等
 国債費 19.1 高速道路無料化に伴う債務償還増
 恩給関係費 1.1 政府案と同じ
 地方交付税交付金 11.9 税源移譲・一括交付金創設に伴う減
 地方特例交付金 0.9 「税源移譲予定交付金」未創設
 防衛関係費 4.8 行政経費の節減
 公共事業関係費 3.4 直轄事業3割減
公共事業補助金の税源移譲等
 経済協力費 0.6 国連ミレニアム開発目標
 中小企業対策費 0.3 対前年度比倍増
 エネルギー対策費 0.3 対特殊法人等支出の削減
 食料安定供給関係費 0.4 対特殊法人等支出の削減
 産投繰入 0.1 政府案と同じ
 NTT償還 0.4 政府案と同じ
 その他事項 3.0 警察官増員
国連待機軍調査費  等
 予備費 0.4  

合計

77.1 政府案に比べ5.0兆円減


5.民主党予算案の概要

I.7兆円の重点配分で将来の安心と125万人の仕事を生み出す
   〜民主党マニフェストの完全実施

1.『潜在需要』を掘り起こす    重点配分額=2.6兆
国民の間には多くのニーズが存在しながら、これに対応するサービスの提供がないままに埋もれている潜在需要が無限に存在する。この潜在需要の内、特に公的対応が必要なサービスについて対応しつつ、仕事を生み出す。
     主要事業 高速道路無料化 1.5兆
グループホーム増設 850億
学童保育拡充 360億
 
2.『将来不安の解消』を図る    
 
重点配分額=3.1兆
日々高まる不安は、国民の財布を一層固く閉ざし、消費の低迷を招いている。年金・医療・介護等の分野に資源を重点投入し、国民の不安を和らげ、消費の活性化に結びつける。
     主要事業 年金国庫負担率1/2実現 2.7兆
小学生医療費窓口負担1割化 450億
4年間で3万人の警官増員 1600億

3.『仕事を生み出す』        
 
重点配分額=0.9兆
仕事を生み出すことは政府にとって最も重要な役割の一つであり、現在の雇用状況を見れば、その重要性はさらに高まっている。民主党は雇用状況の改善に全力を尽くす。
     主要事業 長期失業者等能力開発訓練制度 2500億
緑のダム事業 4000億
トライアル雇用助成強化 900億

4.『地域の個性を生かす』             (財源移譲額=約19兆円)
20.4兆円のひも付き補助金を抜本的に見直し、5.5兆円の地方自主税源と13.2兆円の裁量性の高い一括交付金に組み替える。地方が自ら使い道を決定できるこの約19兆円によって、地域住民が真に求めるサービスを提供することができる。

5.『必要な資金を循環させる』
 
重点配分額=0.2兆
中小企業の活性化なくして、わが国経済の活性化はない。民主党は中小企業支援策を政府に比べて倍増する。
     主要事業 政府系金融機関の個人保証撤廃 500億
中小企業再生支援協議会支援拡充 400億
中小企業技術移転促進制度の創設 280億


 上記の他、一括交付金の財源補填(2300億)を追加。

         重点配分額合計=7.0兆円


II.歳入における民主党改革の推進

(具体例)
○ ローン利子控除制度創設  
○ 環境税導入   
○ NPO支援税制拡充  
○ 税源移譲       
 



 
 3400億減収
 7400億増収
100億減収
5.5兆減収

     その他の政策の実施により、3.8兆円の減収となる


III.歳出の徹底的な見直し

(1) 直轄事業の3割カット・公共事業補助金は廃止して税源を地方へ
(2) 税源移譲と同時に地方交付税削減   
(3) 一括交付金創設に伴う一律1割カット          
(4) 特殊法人・独立行政法人への財政支出3割減 
(5) 公務員人件費等の圧縮    
(6) 個別改革対象以外の行政経費を1割減 
(7) 議員定数80削減他国会経費削減    






4.5兆
3.8兆
0.7兆
1.4兆
0.5兆
1.1兆
250億

     以上の見直しによって、12.0兆減の歳出削減を行う


IV.財政健全化へ最初の一歩〜1.2兆円の国債発行減

(1) 民主党マニフェストの完全実施による歳出増
(2) 歳入面における民主党改革の推進  
(3) 税金の無駄遣いを徹底的に排除  


+7.0兆
+3.8兆
▲12.0兆

国債発行額減 ▲1.2兆


6.歳入歳出の概要

(1)歳入増減の概要
  (1)税収の増減
   ○「所得譲与税」の未創設     
   ○環境税の導入          
   ○揮発油税の全額一般会計繰入   
   ●税源移譲          
   ●「ローン利子控除制度」の創設  
   ●NPO支援税制の拡充       
   ●自動車重量税の減税       
+4200億円
+7400億円
+7000億円
▲5兆5000億円
▲3400億円
▲100億円
▲3500億円

一般会計税収 ▲4兆3400億円
 
  (2)その他収入
   ○大都市圏高速道路収入 +5000億円

一般会計歳入 ▲3兆8400億円


(2)歳出増減の概要

  歳出減の項目 (1)公共事業費の削減   
(2)地方財政改革     
(3)一括交付金創設による減  
(4)特殊法人等への支出減 
(5)公務員人件費等の圧縮   
(6)その他行政経費の削減 
(7)国会議員定数削減等     
▲4兆5000億
▲3兆8000億
▲7000億
▲1兆4000億
▲5000億
▲1兆1000億
▲250億

合計 ▲12兆0250億
 
  歳出増の項目
 
民主党重点施策の実施
 
+7兆0069億

歳出減の額  ▲5兆0181億


(3)一般会計総額の変化

           歳入の増減  ▲3兆8400億……上記(1)
           歳出の増減  ▲5兆0181億……上記(2)
          国債の発行額  ▲1兆1781億



6-2.歳入の説明=3兆8400億円の減

(1)歳入増の項目=歳入増額2兆3600億

  1. 「所得譲与税」の未創設=4200億円
    民主党として5.5兆円の税源移譲及び約13兆円の「一括交付金」を創設し、総額約19兆円の裁量性の高い資金が地方財源となることから、「所得譲与税」創設の必要性は無い。

  2. 環境税の導入=7400億円詳細は参考資料P4
    石炭を含む化石燃料に対して、含有炭素1トン当たり3000円(ガソリン1L当たり2円程度)の環境税を課すことにより、約9000億程度の増収を見込む。但し一部振替を含むため、純増額は7400億円となる。

  3. 一般会計の揮発油税収の増=7000億詳細は参考資料P4
    道路特定財源制度廃止に伴い、現在道路整備特別会計に直入されている揮発油税収の1/4(7000億)について、一般会計の歳入へ繰り入れる。

  4. 大都市圏高速道路収入=5000億詳細は参考資料P2
    高速道路は原則無料化とするが、環境保全・渋滞防止の観点から、大都市圏の高速道路については、現行並みの料金を徴収することとする。


(2)歳入減の項目=6兆2000億円

  1. 税源移譲=5.5兆円
    国の所得税の減税・地方住民税の増税により、5.5兆円の税源移譲を行う。

  2. ローン利子控除制度の創設=3400億円
    法人同様、個人においても金利は経費との考え方から、住宅ローン・自動車ローン・教育ローン等キャッシュローン以外のローンに係わる金利の所得控除を行う「ローン利子控除制度」を創設する。現行住宅ローン減税は廃止。

  3. NPO支援税制の拡充=100億円
    全NPOの半数以上が「認定NPO」となるよう、NPO支援税制を改正

  4. 自動車重量税の減税=3500億詳細は参考資料P4
    自動車重量税の暫定税率を廃止し、法律上の本則に戻す。


6-3.歳出の説明=5兆0181億円の減

(1)歳出減の項目=12兆0250億の減

【1】公共事業費の削減=▲4.5兆

(ア)直轄事業の削減=▲1.2兆

 約4兆円の直轄事業費について3割の削減を行う。

【削減の方針】
○不要不急の事業見直し
 川辺川ダム事業や吉野川第十堰改築事業等は建設・計画を中止。さらに国直轄事業の精査を進め、不要不急の事業は中止を含め抜本的見直し

○公共事業コスト削減
現行のコスト削減計画(H15⇒H19で15%のコスト削減)の目標年度を前倒しするとともに、目標の上乗せを目指す。

○国の直轄事業の限定
権限・財源の移譲を進める中で、国が整備・管理等を行う社会資本の対象範囲を限定する。

(イ)補助金の削減=▲3.3兆(見かけ上の削減・地方財源は実質確保)

○国土交通省関係の補助金(道路、港湾、下水道等)3.9兆円は補助制度自体を廃止し、全額税源移譲の財源とする。但し一部削減が重複するため、この部分に計上する削減額は3.2兆円となる。

○農水省関係の補助金(土地改良、漁港、森林整備等)0.9兆円については、「農業等環境一括交付金」に組み替え、一括化の際に一律1割カットする。

(参考)一般会計「公共事業関係費」の減
平成16年度政府予算 公共事業関係費 7.9兆
一般会計直轄事業の3割減に伴う減 ▲0.3兆
特別会計直轄事業の3割減に伴う特別会計への一般会計からの繰入額減 ▲0.9兆
一般会計補助金の廃止(税源移譲財源)に伴う減 ▲1.9兆
特別会計補助金の廃止(税源移譲財源)に伴う一般会計からの繰入額減(重複分除外 ▲1.4兆
民主党予算案 公共事業関係費 3.4兆

 
【2】地方財政改革に伴う地方交付税の縮減=▲3.8兆

 5.5兆円の税源移譲・13.2兆円の一括交付金創設等に伴い、地方交付税を3.8兆円減額する。

【3】一括交付金創設に伴う歳出削減=▲0.7兆

(ア)補助金の一括交付に伴う歳出削減=▲1.3兆円

 一括交付金対象補助金の総額 13.2兆X0.1 =1.3兆…削減額

*13.2兆円には「三位一体改革」に伴い廃止された補助金等2300億円(平成15年度措置分)を含む

(イ)地方税減税の補填=+0.6兆

自動車重量税の本則税率化及び自動車取得税の廃止に伴う地方税減収分(0.6兆)を一括交付金として補填する。

【4】特殊法人・独立行政法人向けの歳出削減=▲1.4兆円

 民主党でとりまとめた「特殊法人改革案(01年12月)」に基づき、その後の状況の変化(独立行政法人移行等)を勘案した上で、削減額を算出。特殊法人・独立行政法人向け歳出の総額4兆1027億に対し、1/3の削減

(主な削減対象法人は以下の通り・カッコ内は政府予算)
○(特)首都高速道路公団           
○(特)阪神高速道路公団           
○(特)本四連絡橋公団            
○(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構  
○(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構
○(独)都市再生機構            
○(独)農畜産業振興機構          
○(独)水資源開発機構            
▲500億
▲100億
▲500億
 ▲1200億
 ▲1000億
 ▲1000億
▲1400億
▲650億
(500億)
(100億)
(500億)
(1700億)
(2500億)
(1100億)
(1400億)
(650億)


【5】公務員人件費等の圧縮=▲5000億円

○民主党政権による大胆な地方分権の実現によって、中央省庁の事務事業が大幅に縮減する。中央省庁の職員については、この事務事業の縮減に応じた定員とする。今後人員増が必要となる分野においては、原則として配置転換で対応する。

地方自治体での勤務を希望する職員を中心に、新たな地方自治を担う人材の積極的な地方への移転を進める。

○指定職の退職手当など特権的な処遇の抜本改革、天下りの禁止、業務の見直しを徹底し経費の節減を図る。

○ILO勧告にもとづいて公務員の労働基本権を保障する一方、人事院機能の見直しや公正な人事評価システムの確立を進め、国民に開かれた公務員制度とし、実際の改革の段階においては当事者との十分な交渉協議に基づき、一般職の給与制度の見直しを進める。

【6】その他行政経費の削減=▲1.1兆
 
公共事業、補助金、特殊法人等個別の削減対象とする以外の行政経費についても、一律に1割の削減を行う

  一律削減対象経費 11兆円 X 0.1 = 1.1兆


【7】国会議員の定数削減等=▲250億

 国会予算については、削減を行う。

○衆議院の議員定数を80削減する=▲50億

○国会経費全体の節減=▲200億
   平成16年度予算    衆議院
参議院
図書館
 673億
425億
241億
 
 
合計1339億

  議員定数削減の他に、経費の20%削減を行う。


(2)歳出増の項目=7兆0069億の増

  事業名 事業概要 雇用増
予算額(算出方法)
(1)社会保障関係費
  所要額合計=3兆8190億 雇用増=28万0244人
(1)学童保育拡充 学童保育実施カ所を現在の約1万4000から2万カ所へ増やし(受入児童増加数=20〜30万人)、また障害児童の受入、学年制限の撤廃などに対応した指導員を配置する。

○学童保育 新規6000カ所X3人(指導員)
      X300万円(報酬)=540億
 既存14000カ所X3人X100万=420億
      合計960億

学童指導員
1万8000人
(2)児童虐待防止策の拡充 ア)児童相談所の拡充
イ)小規模児童養護施設の拡充・小規模グループケアの推進
ウ)自立援助ホームの拡充
 2244人
ア)144億円
イ)92億円
ウ)3億円      合計=240億円
(3)非自発的離職者の健康保険料負担の軽減 リストラ退職者の退職後の健康保険料負担を軽減するため、報酬額の月額に関する特例を退職後1年に限り認める   ―
 見込み対象人員32万人・予算額12億
(4)能力開発訓練制度の創設 長期失業者、自営業廃業者等を支援するため職業能力開発訓練を実施すると共に、当該訓練を受講中の期間について手当を給付する。   ―
 制度対象人数86万人…半分が制度利用と見込む
 必要予算額 2500億
(5)年金国庫負担率引き上げ 基礎年金の国庫負担率を1/3から1/2へ引き上げる   ―
 所要額 2兆7000億円
(6)グループホームの増設 4年間でグループホーム1万カ所を増設するため、1年分として2500カ所の整備を行う ヘルパー
2万5000人
建設関係
2万5000人
 施設整備費 750億 人材育成費 100億
 合計850億
(7)サラリーマン窓口負担の引き下げ 制度改革の無いままに昨年引き上げられたサラリーマンの医療費窓口負担を2割に引き下げる。   ―
 所要額 400億
(8)小学生までの窓口負担1割化 少子化の進む中、子育ての不安を少しでも軽減するため小学生までの医療費窓口負担を1割とする。(現行は3歳未満のみ2割負担、他3割負担)  
 所要額 450億
(9)エンゼルプランの上乗せ実施・保育体制拡充 ○保育需要の急増及び地域ごとの保育ニーズに対応するため、新エンゼルプランを前倒し実施し、延長・休日・一時保育など多様な保育体制の拡充を図る
○NPOの行う「駅前保育」「保育ママ」などの子育て事業に対する支援拡充
保育士
 3万人
○所要額 3000億
○NPO支援 100カ所X500万=5億
(10)日本版デュアルシステムの拡充 若年未就業者対策としての日本版デュアルシステム導入にあたって、対象を政府案より拡充する  3万人
 訓練経費=月5万円X12ヶ月X30万人=1200億
(11)トライアル雇用に対する助成強化 若年早期離転職者(30歳未満)や45歳以上非自発的失業者に対して、10万円X3ヶ月の賃金助成を行うトライアル雇用(対象者の昨年の就職実績率=8割)の助成を抜本強化する。 トライアル雇用を通じた就職
 15万人
 30万人X3ヶ月 = 900億
(12)ワークシェアリングへの支援拡充 労使協定に基づく緊急対応型ワークシェアリング実施の場合に、要件を緩和の上で定労働時間短縮に伴う収入減額分の補填を行い、新たな離職者の発生を未然に防ぐ。  
 所要額 360億
(13)Job Cafeの整備 若年者が雇用関連サービスを一カ所でまとめて受けられるワンストップサービスセンター(Job Cafe)を、全都道府県に設置する  
 所要額 318億
(2)文教及び科学振興費
  所要額合計=6499億 雇用増合計=20万5000人
(1)30人学級推進 全国の公立小中学校を全て30人以下学級とすることとし、特に小学校3年生以下の30人学級化を優先的に実現する。 教員
2万5000人
 2万5000人 X 800万円 =2000億
(2)失業者子弟の授業料免除制度拡充 親の失業により就学継続が困難となった学生に対し授業料減免などの支援措置を行う学校に対する財政支援の拡充   ―
 所要額 10億
(3)公立学校の耐震化推進 公立学校の建物の耐震化・老朽化対策を加速させるため、政府予算の増額を行う。 建設関係
 18万人
 所要額 4489億
(3)国債費
  所要額合計=1兆5000億
(1)高速道路無料化 道路関係4公団の債務を一般会計で承継することによって生じる債務償還負担(国債費の増)   ―
 所要額 1.5兆
(4)経済協力費
  所要額合計=490億 
(1)国連ミレニアム開発目標の実施 「貧困と飢餓の半減」「初等教育の完全普及」など国連ミレニアム開発目標を達成するため、ODA予算の配分を重点化する   ―
 所要額 490億(ODA内の振替・純増無し)
(5)中小企業対策費
  所要額=2236億 雇用増合計=40人
(1)中小企業再生支援協議会の拡充 中小企業再生支援協議会の設置数を都道府県各1カ所から平均5カ所に増やす、配置専門家を2名から10名とするなど質量ともに強化を図る。   ―
 所要額 400億
(2)中小企業施策ワンストップ事業の創設 複雑な中小企業支援策について、紹介・相談・手続き等を1カ所で行えるワンストップサービスセンターを創設し、支援策の活用を図る   ―
 所要額 200億
(3)商店街対策の拡充 地域の顔である商店街の再活性化を協力に推進するため、商店街の社会的な機能・役割(伝統維持・防犯・ライフライン等)強化に対する支援を行う   ―
 所要額 80億
(4)STTR事業の創設 中小企業技術移転促進制度(Small Business Technology Transfer =STTR)を創設し、中小企業が大学・非営利研究施設などと共同で行う技術開発を支援する   ―
 所要額 280億
(5)その他各種事業の拡充 中小企業ISO取得支援、BSE対策(飲食店等)、女性の起業支援、ものづくり教育等に関する施策を拡充する   ―
 所要額 500億
(6)政府系金融機関の個人保証撤廃 政府系金融機関(国民公庫、中小公庫、商工中金)の行う貸し付けは原則として個人保証を撤廃する   ―
 所要額 500億(過去の実績より見込み)
(7)下請代金支払の適正化対策 民主党の提案によって改正された「下請代金支払遅延等防止法」の厳正な執行を担保するため、公正取引委員会の人員を増強する 公正取引委員会増員
  40人
 所要額 4億(40人の増強)
(8)中小企業支援センターの拡充 センターの窓口相談時間の延長・休日開催、専門家派遣の場合の企業負担の軽減等都道府県及び地域中小企業支援センターの支援を拡充する   ―
 所要額 60億
(9)中小企業ネットワーク構築支援 中小企業同士のネットワーク構築支援を行い、技術を有する中小企業の受発注支援体制を確立する。その際には、中小企業の権利や義務を整理するなど中小企業の知的財産権の保護を図る   ―
 所要額 40億
(10)産官学金労体制の助成強化 産官学連携に金融機関と労働組合を加えた「産官学金労」の枠組みにより地域雇用の創出、新事業の展開、技術開発を進める体制に対して助成を行う   ―
 所要額 170億
(11)中小企業退職金共済制度の改善 企業の倒産・廃業の場合の支給要件の改善を行い、掛金納付期間1年未満でも掛金相当額の支給を行う   ―
 所要額 2億
(6)その他事項経費
  所要額合計=6066億 雇用増合計=17万2700人 
(1)緑のダム事業 ダム建設を極力抑制し、森の整備を通じて山の保水力を高めることによって治水機能を向上させる 間伐要員
13万4400人
 所要額 4000億
(2)テレビ字幕普及推進(民主党ネット政策公募案件) テレビ番組における字幕付与を義務化し、その必要経費の一部を補助する   ―
 所要額 25億(4年で100億の1年分)
(3)警官増員 検挙率の向上を実現するために、4年間で3万人(政府予算で一部手当てしているため、民主党予算分は2.7万人)の警官増員を図る(地方交付税の増) 2万7000人
 所要額 1600億(4年後の必要額)
  600万円(人件費) X 2.7万人
(4)苦情処理委員会設置 警察機能の強化を図りつつ、一方で警察行政の適正性、透明性を向上するため、各都道府県に「苦情処理委員会」を設置する 委員会事務局
  900人
 所要額 50億
 設置費1億 X 47都道府県
(5)DV対策 ドメスティックバイオレンス(DV)被害者の一時保護・自立支援を行う民間シェルターに対する財政支援拡充   ―
 所要額 6億
(6)国連待機軍調査費用 国連待機軍の設置について可否を検討する   ―
 所要額 2億
(7)環境循環型社会形成 産業廃棄物不法投棄監視、廃棄物減量事業の拡充等  5000人
 所要額 100億
(8)グリーンワーカー事業の拡充 投棄ゴミ処理など国立公園内の環境保全を行うグリーンワーカーを抜本拡充し、森林管理を行う  5000人
 所要額 100億
(9)地球温暖化防止活動推進センターの全都道府県設置 現在20都道府県に設置されている地球温暖化防止活動推進センターを、残る27県にも設置する   300人
 所要額 150億
(10)輸入農畜水産物の安全性確保 わが国が多くの輸入農畜水産物を輸入する国に対して検査官を派遣し、その安全性を確保する   100人
 所要額 30億
(11)消費者行政の拡充 消費者行政に関する広報・啓発活動及び公益開示「公益通報者保護」制度の整備・広報活動  
 所要額 3億
   所要額合計  6兆7991億 雇用増合計
65万7984人

*1 一括交付金財源補填
「税源移譲予定交付金」は創設しないこととし、当該予算は「教育一括交付金」に同額計上しているため、一括交付金の財源として所要額を追加している。

上記一括交付金財源補填分を含め民主党重点配分額は7兆0069億となる。


7.民主党予算における経済効果

T.GDPに対する影響=波及効果は極めて大きい
    試算可能範囲で少なくとも政府案と比べて+0.36%増

(1)予算額の削減=▲2.7兆 ⇒⇒⇒ GDP▲0.542%

 民主党案による国・地方を通じた歳出の削減額は▲2.7兆。
 これを内閣府経済社会研究所の「短期日本経済マクロ計量モデル(2003年度)の構造と乗数分析(2003年11月)」に基づき試算。この内閣府経済社会研究所の報告においても、公共事業費の削減にマイナスの乗数効果は無い。
 予算削減額 ▲2.7兆/GDP497.9兆 = ▲0.542%

(2)ローン利子控除制度=減税幅拡大3400億円 ⇒⇒ +0.395

  1. 減税による直接的経済効果 +0.033
     上記レポートにある個人所得減税の乗数効果(0.48)で試算。
     減税額3400億/497.9兆 X 0.48 = +0.033

  2. 減税に伴う需要誘発効果 +0.362
     現行住宅ローン減税による約10万戸の住宅建設増で、3.6兆円(国土交通省)。
     民主党案は政府案に比べ減税幅5割増で、5割程度の上積みが見込める。
      3.6兆X0.5/497.9兆 = +0.362

(3)高速道路無料化=2兆円の国民負担減 ⇒⇒⇒ +0.502

  1. 料金無料化による直接的経済効果 +0.181
     2兆円の料金収入(国民負担)の無料化を減税とみなし、直接的効果を試算。

  2. 高速道路無料化に伴う需要誘発効果 +0.321
     20.6兆円の旅行・観光消費額で25.8兆円の付加価値が発生(観光白書)。
     無料化による個人の高速道路利用料(=1.3兆円)が旅行先での宿泊費、飲食費等に投入すると仮定した場合、付加価値を1.6兆円増大させる。
       1.6兆/497.9兆 = +0.321


U.雇用に対する効果=125万人増

民主党予算による雇用増(直接的雇用の発生)     
ローン利子控除制度による住宅建設増に伴う雇用増   
高速道路無料化による観光産業等における雇用増    


66万人
34万人
25万人

合計       125万人

以上から、民主党予算案によって、直接的効果で100万人、観光産業の発展等波及効果を併せれば125万人の雇用増が見込まれる。


V.その他想定できる経済効果

○民主党のNPOに対する税制支援拡充策によって経営の自立性が高まり、NPOによる雇用も大幅な増加が期待できる(政府の推定では、2010年段階で最大260万人の雇用増を見込んでいる。)

○「緑のダム事業」では国費を投じて森林の整備を進めることとしており、これにより我が国の森林業の競争力が飛躍的に向上する。

○中小企業対策費は、政府案の1737億円に対して、民主党案では3881億円であり、2144億円増(2.23倍)となっている。中小企業は我が国雇用の8割を担っており、この中小企業支援策大幅拡充による雇用維持・創出効果は大きいものと考えられる。



8.補足説明


(補足1)公共事業予算の変化

    国直轄事業の削減       
    地方実施の公共事業の削減   
……
……
▲1.2兆円
+1.6兆〜▲3.9兆円

地方実施の公共事業については、税源移譲によって得た5.5兆円を全額公共事業に当てれば+1.6兆円となり、全額公共事業以外に充てれば▲3.9兆円となる。
その判断は、地方分権の主旨に則り、地方が自ら判断することになる


(補足2)地方の裁量的予算の拡大

民主党案における地方裁量的予算 
       地方税収      
       地方交付税     
       地方特例交付金
       一括交付金     
 38.5兆
 13.1兆
0.9兆
13.2兆
 
(交付税特会出口ベース) 
  
  

合計       65.7兆 (対政府案14.2兆増)


(補足3)高速道路無料化の財政負担

高速道路無料化による財政負担の発生
  (1)道路関係4公団の債務承継による償還負担   
  (2)無料化された道路の維持・管理        
1.5兆
0.5兆

       合計 2.0兆

  1. 公共事業を中心とする予算の見直しによって償還財源捻出

  2. 国の直轄事業を3割削減する中で、道路関係については現在の規模(1.7兆)を維持する。高速道路以外の一般道路関係予算を見直し、無料化された高速道路の維持管理及び新たな高速道路の建設費用へ振り向ける。


(補足4)ローン利子控除制度の創設=3400億円

(減税規模)  既存住宅ローン残高
 消費財・サービス購入資金ローン残高
149兆円
10兆円
  上記に基づき試算すれば、減税見込額は ▲9300億円
現行の住宅ローン減税の廃止 +5900億円
  よって差引3400億円の減収となる。



>>予算案参考資料


2004年2月9日 >>PDFファイル 戻るホーム民主党文書目次