民主党 参議院議員 江田五月著 国会議員わかる政治への提言 ホーム目次
第1章 国会議員の実像

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「私の政治団体」

 「私の政治団体」とは、選挙管理委員会に対し私を推薦する旨を届け出ている団体のことである。

 最初に誕生したのは 「江田五月会」だ。

 これは、江田五月を育ててやろうという方々が、父の葬儀の後で私が出馬声明をした直後に早くも結成して下さった組織で、年会費3,000円である。

 「会費だけでなく、カンパもしてやろう」と言って下さる方も多い。会費と寄付金の合計が区切りのよい金額になるよう、寄付金2,000円あるいは7,000円上乗せして、五千円札一枚あるいは一万円札一枚を送金して下さる。

 「軍資金だ」といって、ドンとカンパを下さる方も出てきた。ところが、政治資金規正法では、個人の寄付金は一つの政治団体に対して150万円が限度である。「もし200万円寄付しようという人が現われたらどうしよう」と秘書の石井君。「持ち逃げでもするか」と笑ったものだ。想像するだけでも楽しい。自民党の議員は、想像だけではすまないから、さぞ楽しいことだろう。

 ここに知恵者が出た。「政治資金規正法には一議員一政治団体に限るとは書いていない。もう一つ政治団体を作ろう」ということになって、二つめの「水月会」も作ってしまった。だから今では、いくらカンパをいただいても心配ない……!?

 さらに経営者の方から「後援会の三文字があった方がカンパを出しやすい」という要望もあって、三つめの「江田五月後援会」が生まれた。

 こうして私には、一人の支持者から、最高450万円のカンパをいただける窓口ができた。そこで……と続けるべきかもしれないが、ここから先は言わぬが花。身も蓋もなくなってしまう。たいした金額のものはないから、安心して欲しいし、心配もして欲しい。

 自民党の実力者と違い、私は野党、それも最初は「社市連」という生まれたての政党だし、今の社民連も最小政党。どんなに支援して下さっても、道路だ橋だ公共事業だという「ご恩返し」は思うにまかせない。(与党議員の専売特許にさせてたまるか……)と頑張ってはいるが――。それを百も承知でカンパして下さる方々の志の高さを思うと、身の引き締まる思いだ。

 このほか、先輩の大柴滋夫さんが主宰し、私のために政治資金活動をしてくれる団体もある。さらに岡山には、「税理士による江田五月後援会」がある。

 岡山県ではその後、地域の活動センターとして「江田五月会」を結成し、県選管に届け出てある。これも政治資金を扱う。

 以上六団体は、「江田五月を応援する」という同一目標を掲げながら、各々個性の違う組織である。

 各政治団体は年間の収支を、35ページの表(省略)のような項目に分類して、それぞれ選挙管理委員会(略して「選管」と呼ばれる)に報告しなければならない。

 こうして表にしてみると、びっくりするような数字である。ある団体が、その収入から他の団体に寄付をし、それがまた収入に計上されるというように、ダブった数字もある。

 それにしても、目のとび出るような大金を動かしているのに、何でこんなに金に苦労しているのだろう……と、我ながら不思議に思う。実際には結婚式のお祝いや葬式のお香典さえ、人並みの金額を包めなくて義理を欠いているのに……。

 実態は、数字の印象と異なり、お寒い限りで、金のやり繰りに四苦八苦。また、これらの数字は私自身の懐具合を表わすものではまったくない。ちなみに私自身は月10万円の行動費で何とかやっている。


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