民主党 参議院議員 江田五月著 国会議員わかる政治への提言 ホーム目次
第1章 国会議員の実像−資金と特権

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政治活動の「公」と「私」

 政治資金とは、政治活動をするための資金である。

 国会は、憲法第四十一条に記されているとおり「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」のだから、国会議員の公的な政治活動とは、言うまでもなく「法律を作ること」。国政を調査、研究し、政策を立案するまでの諸作業が入る。

 この作業には当然金がかかる。調査研究スタッフの人件費、通信費、交通費、資料代、コピー代等々。まじめに立法活動をすればするほど、金がかかる。

 だが、こうした活動の費用は、前に記したとおり、国会議員個人には「文書通信交通費」が、国会議員の所属する政党または政治団体には「立法事務費」が、実費弁償として支給されている。

 一方、私的な政治活動は言うまでもなく選挙活動であり、そのための組織活動等である。もちろんこの部分の費用は、議員個人、あるいは議員の後援会等政治資金規正法の枠内に入る政治団体が、集金した資金でまかなわれる。

 ところが実際には、こうした活動をしている本人でも、公的な活動と私的な活動とを区別することは困難だ。

 私の例でいえば、まず「文書通信交通費」は、国会の事務所と選挙区の事務所で半分ずつ分けている。次に、所属政党(社民連)の金庫に入った「立法事務費」は、私が党活動を担当しているためもあって、「政党活動資金」として20万円還元されている。

 ところが、このようにして事務所の金庫に入った「文書通信交通費」と「立法事務費」が、実際にその名目どおりの使い方をされたかといえば、定かでない。お札に特別の色がついているわけではないので、他からの収入とまじり、さまざまな形となって支出される。

 私の場合は、たとえば「五月会だより」という後援会誌を隔月発行している(もっとも、遅れることもしばしば……)が、その印刷費に支出される。その配布方法は、国から「文書通信交通費」をいただく立場からすれば郵送するのがその趣旨にかなうのかもしれないが、宛名を書く手間や切手代を節約するため「手配り」方式を活用している。どこに届ければ配ってもらえるかを考え、「五月会だより」の束を抱えて街中を走り回るという涙ぐましい活動で私を支えて下さる後援会のみなさんには、頭が下がるばかりだ。


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