1989/03 五月会だより No.45 ホーム主張目次たより目次前へ次へ

昭和 → 平成 今こそ、新時代の政治を!

野党連合で自民支配破れ

リクルート 長期政権が生んだ構造腐敗

リクルート疑惑はついにNTT、官界から逮捕者を出し 政界へも波及するのは必至の情勢。リクルートに象徴される政治の金権体質、腐敗・汚職の構造は根深い。時代が昭和から平成に変わった今こそ、自民党政治に終止符を打ち、新時代にふさわしい清潔な、希望に満ちた政治を確立すペき時。岡山から政治改革のうねりを起こそうとしている江田五月さんに、リクルート問題、野党連合、間近い参院選岡山選挙区の話を聞いてみた。

昭和政治の反省点は多い

―― 時代は昭和から平成に改まりましたが…。

江田 新年を迎えて気分が新たになるように、平成を迎え、まさに新しい時代になった気分ですね。

―― 江田さんは昭和という時代をどう受け止めていますか。

江田 昭和前期の20年は、日本が軍国主義に走り、戦争で多くの犠牲者を出した。後期の戦後は、その反省に立ち、日本国憲法により新しい日本を建設しようという希望を抱いてスタートしましたね。それから40年、たしかに経済は大きく成長しましたが、政治に関しては反省点が多いと思います。

自民党長期政権の腐敗がリクルート事件を生んだ

―― 今、問題になっているリクルートやロッキードに見られる政治腐敗のことですね。

江田 自民党政権が長く続いていることが最大の原因です。本来の議会制民主主義は、政権交替によって自浄作用が働き、民意が反映される。ところが、政権交替がなかったために政治が緊張感を失い、政・官・財の癒着を招いた。これがリクルート疑惑です。

―― 戦後間もない頃の造船疑獄などの、いわば単純な贈収賄ではなく、もっと構造的な根深い問題ですね。

江田 政官財の癒着がなぜ起こるかということ、官(官僚)をうまく利用して自分の利益に結びつけようとする輩がいるからです。現在の日本では、官が各種の許認可権を持ち、政策面でも大きな権限を持っている。よく民活、民活と言われますが、実際は官活なんですね。あらゆるものが金を使って動くという構造になっているのです。

―― その典型例がリクルート…。

江田 そう。リクルートは不動産の急騰を利用し急成長した。そして株をうまく使って政と官に手を押ばした。政治と企業が結びつき、政治を私することで企業が伸びていく。これは国政だけでなく、地力政治まで及んでいる問題ですよ。

―― それも自民党政権が長期化した弊害ですね。

江田 自民党一党支配により、金で便益を受ける体質が国民の方にもしみついてしまった。真面目に働いている人がパカバカしいという風潮を生んだ。リクルートに象徴される金権列島日本をどう正していくか。あきらめずに政治改革へ取り組むことが大切です。

野党がだらしないから政治が変わらない

―― 自民党政権による腐敗はわかるが、それにしても野党もだらしない…。

江田 その通り。野党が野党の地位に甘んじていることで、自民党を支えてきたといえる。政治の分野では、金権政治を変えることで、平成という新時代の新しい政治を目指さねばならない。そのためには政権交替構造をつくらねばならない。昭和の野党の枠組みを新しい時代にふさわしい枠組みに変える必要があります。

―― 金権政治を改めるには、まず野党の枠組みの改革からというわけですね。

江田 良識ある国民は、「世の中万事金次第」ではだめだということはわかっています。それが竹下内閣の支持率にも表れており、新聞調査でも最近は低下する一方。自民党政治はもはや国民の支持を完全に失っている。さらに最近の各種選挙で明らかなように、国民は事と次第によっては野党を勝たせるつもりでいる。政治を変える機は熱しているのです。

―― そのためには、まず野党の結束が大事だが…。

江田 そうです。今、確かに自民党にとっては向かい風が吹いているが、その風が野党にとってフォローかというとそうではない。国民にとっては「竹下はだめだが、野党にはとってかわる政党がない」ということなのです。今の野党はそれぞれ問題を持っている。政権を担いうるもう一つの勢力をどう作るか、真剣に取り組まなければならない。野党が連合することが先決問題です。

平成元年! 新党を作ろう

―― しかし、どの野党にも満足できない層が多いのが、現実です。

江田 だからこそ、そのための市民政治を作らなければならないのです。多くの国民に支持される新党を結成する必要があります。

―― 新党結成は江田さんの従来からの主張ですが、その構想について…。

江田 今年十月に官民八百万人の組合員が結集する「連合」が発足しますが、連合は政党との関係をどうするか、現在摸索中ですので、野党と協力関係を作ることになるが、従来のように政党と労組の一対一の関係は崩れるでしょう。だから、連合に応えて野党が党の枠を越えて集まる「連合クラブ」、あるいは「民主連合」といった会派を作り、次第に、党の枠組みを越えて機能していく。そしてさらに、従来の政党の枠を持ったままでも、持たなくても、とにかく参加する人を増やしていく。それが新しい政治を求める市民に支持される方法であると同時に、新党結成の基礎作りになると思います。そこから政権を担う力、深さを持った新党が出来るはずです。

岡山から政治の新しい枠組みをつくろう

―― その観点からも、参議院岡山選挙区は、新しい政治を目指す連合候補が期待されています。

江田 単に野党の一議席というのなら、社会党でも民社党でも一議席は一議席。しかし、今岡山で問われているのは、野党が協力して、みんなで一議席を作ることが出来るかどうかです。単に野党の一議席であれば、政治を変える枠組みにはならず、自民党政治は続くことになる。大切なのは、政治を変える枠組みを作る一議席です。つまり四党統一候補の実現です。

―― その意味から社民連をはじめ、民社、公明、連合が推している高原勝哉氏が議席を確保する義は大きい。

江田 そうですね。高原氏を候補にした動きは、政権交替できる野党を作る取り組みですから。岡山はその条件がそろっています。社会党も参加し、岡山からそうした候補が出ることで、全国に動きが広まることを期待します。


福岡の参議院補選で、社会党の候補が大勝した。勿論、リクルート汚染と国民不在の消費税創設の強行に対する国民の怒りを福岡の市民が代表した結果だ。

一昨々年も岩手県の参議院補選でも似た様な現象が起ったにも拘らず、政治を預る側の者が、これを軽く見て、何の反省もなかったことへの、国民の怒り、サイレントマジョリティの反抗という意味でこの結果は重大だ。我が国政界の中枢を預る自民党政権についての怒りは、殊の他厳しいものがあると想像される。

にも拘らず、昨今の政界の論議を聞いていると、「政治改革が私へ課せられた責務」などと、ピンボケの姿勢を竹下殿はとっておられるし、「殿御乱心召さるな」と注告をするものが自民党に居ない。野党もこぞって竹下内閣の退陣を要求すべきが民の声、天の声を背負うことであるのに、今一つ迫力にかける。政界と国民との間の信頼感の欠除、この恐しい程のクレディビリティギャップを何如にせん。

リクルートに汚染されていない社民連が、近く岡山県と全国で大会を開くと言う。最小の政党とは言え、社民連はこれまで、民の声を背にして政治の王道を歩んで来ている様に思う。この大会で、政治改革の方向が打ち出されることを筆者は大いに期待したい。と同時に、来るべき参議比例代表区には、財政的に多少無理をしてでも独自の候補者を出してもらいたいものだ。きっと国民の良識が社民連に集まると信じる。平成元年を政治改革元年と心得て、江田五月さん、大暴れして欲しい。


新しい政治をめざして 高原かつや氏を推薦

本年6月に行われる参議院岡山選挙区の選挙に対して、岡山社民連は、社会・公明・民社・社民連による「四党統一候補の実現」をめざし、さまざまな努力をしてきた。

もし、参議院岡山選挙で四党統一候補が実現すれば、全国的に図り知れない好影響を与えることは確実。全国の野党選挙協力も一段と促進され、参議院における与野党伯仲の実現も決して夢でない。

「岩手選挙」「福岡選挙」の結果は、その可能性を如実に物語っている。国民は、この新しい政治の流れに大きな期待を抱き、万雷の拍手を送ることは間違いない。

岡山社民連は、このような歴史の転換期に「わが党のみが正しい」との態度はとるべきでないと確信。社会党に対して四党統一候補への参加を働きかけてきた。だが社会党は、未だ独自候補の道を捨て切れないでいる。

岡山社民連は、これ以上、社会党の出方を待つことは時間的に難しいので、「今後もさらに四党統一候補の実現を追求する」ことを確認したうえで、高原勝哉氏(弁護士・45才)の推薦を決定した。

高原勝哉氏の推薦に至るまでには、公明・民社・社民連・連合と六回の会談を開き、(1)政治信条 (2)政治目標 (3)政策目標についても検討し、満場一致で合意に達している。

高原勝哉氏は、「岡山から新しい政治のうねりを巻き起こしたい」とその決意を表明、東奔西走中。


竹下首相に申し入れ

1月21日、江田議員は竹下総理に当面の政治課題につき、以下の七項目の申し入れをしました。(1) リクルート疑惑の徹底解明を図り、政治浄化をすること。(2) 国際平和に向けて、日本が積極的な役割を担うこと。(3) 消費税の見直し等を含めた平成元年度予算修正を行うこと。(4) 労働時間週40時間制の早期実現。(5) 育児休業法、パートタイム労働法の制定。(6) 世界各地での民族自決運動、民主化運動、人権運動などの支持。(7) 新石垣空港建設の計画変更など。


石井紘基のパーティー

1月25日、渋谷東武ホテルにおいて、江田五月秘書・社会民主連合事務局長である石井紘基氏の「つながればパワー」出版記念パーティーが開かれました。当日は四百余名の参加者。宇佐美ゼンセン同盟会長をはじめ来賓も多数。世田谷・目黒の市民の皆さんも参加し大盛会。アトラククションでは、奥さんのナターシャさんが「カチューシャ」を歌い、娘のターニャさんもゲストの出門英さんとデュエットして歌うなど、家族のチームワークもバッチリ。

五月会の皆さん! 東京の世田谷・目黒区にお住まいの友人・知人をご紹介下さい。明日の政治のために、石井紘基氏のご支援をよろしくお願いします。


千神さんおめでとう

2月初旬、さわやかで小さなパーティーが行われた。備前五月会の会員である千神幸雄さんが、昨年、伝統工芸品の産業功労者として、広島通産局長賞を受けられたのだ。そのお祝いを五月会々員が中心となって、長船モーテルで行われた。

千神さんは長年、新聞記者として、備前焼に携われ、備前焼陶友会発行の「備前焼 その魅力」を執筆。備前焼の紹介、普及に頁献したというのが、受賞理由。

パーティーは、出席者全員が紹介され、江田議員、大饗定雄・備前商工会議所会頭らも祝辞を述べ、長年の執筆の功労を讃えられました。


岡山大で政治学の講義

新春早々、江田議員は岡山大学教養部の政治学の特別講師として約一時間半にわたって学生に講義。「新しい時代が始まる」 「国際社会の中で日本の進む方向は」 「政治は政権交替が大原則だ」 など持論を展開。学生からの質問も活発。

学生の江田議員への印象は、「リクルート疑惑にみられる政治家とは明らかに異質である」 「いわゆる政治家らしくない、いい意味で理想主義者である」という意見もあれば、「リーダーシップに物足りなさを感じる」 などの手きびしい意見もあり、反省することもありました。


「この眼でみたい」

江田さんが話の中で強調していたのは野党連合について。政権交替すると日本の政治はどのように変わるのか、私はこの眼で見てみたい。

政治家らしからぬ江田さんに、私は好感を覚えた。“理想”をどこかに置き忘れたような日本の社会において、江田さんには、あくまでも江田さんの理想を貫き、その実現に向け頑張ってほしい。

法学部・一女子学生  


全逓美作西支部で講演

1月15日、全逓美作西支部の旗開き勉強会に、江田議員が講師として招かれました。参加者百三十余名、テーマは“国民待望の新党を問う”。昨年末の自民党による強行採決直後だけに、参加者は真剣なまなざし、リクルート問題、消費税、そして政権交替へと話は展開。「自民党はもちろん悪いが、それを許している野党にも責任がある」 「真に信頼される新党を今国民は求めている」と強調。会場から替同の拍手を浴び、約2時間にわたる講演を終えた。


津山五月会だより

私達の仲間が5月に歌手としてデビューします。グループ名はビ−ズ(B'Z)で稲葉浩志君24才。彼は津山市川崎の出身。横浜国大教育学部卒業。現在TMネットワークと共にコンサート活動、アルバムの発表等を始めています。後援会作りも進行中です。ぜひ、応接して下さい。


西秘書退職

江田議員の秘書として4年間、みんなに親しまれてきた西信男君が退職する。西君はかねてより念願の高校教師を目指す。あの大きな笑い声が聞けなくなるのは淋しいが、ぜひ合格して、熱血先生になってほしい。西君、ガンバレ。


編集後記

学生時代、家庭教師で受験生をもち、「厳しい冬のあとには、必ず暖い春がやってくる」と言って、彼らを励まし続けた。冬がつらければつらいほど、春になったときの感激がある。私は、常にそう心掛けて生きてきた。

ことし平成元年は、暖冬。しかも厳寒であるはずの2月は記録的な降雨。天が異常だからかもしれないが、地も異常。まじめに生きているのがアホらしくなる今の日本。いっそ外国へでも、と思いたい現実にはそうもいかないのでたっぷり時間をつくって本を読み、考える時期にきている。私にとっては。(ノブ)


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