2000/07/15

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江田五月の国会レポート [5]


◆民主党躍進するも、森政権打倒はならず

 6月25日投票の総選挙の結果、「白公保」などの与党は65議席を滅らして敗北しましたが、それでも271議席の「絶対安定多数」を確保して、森政権は継続しました。一方、民主党は32議席増えて127議席となり躍進しましたが、政権交代は実現できませんでした。

 民主党は勝利とは言えません。政策・組織・広報・リーダーシップなど、有権者のみなさんから見て政権へのチャレンジャーとしては認めてもらえても、政権をまかせるところまでは認めてもらえませんでした。今回の総括と反省をしっかり行って、次期総選挙の準備を今すぐはじめれば、政権交代は必ずできると確信しています。

 森政権は国民の支持率が相変わらず非常に低い弱い政権です。その上、総選挙直後に「そごう債権放棄問題」「中尾元建設相逮捕」「竹下・亀井疑惑」がとび出してきました。7月28日から8月9日までの13日間、臨時国会の召集が決まりました。与党としてはここでガス抜きをして次の臨時国会は補正予算がらみで10月頃に開きたいというところでしょうが、野党としては疑惑・責任追及とともに「国会議員の地位利用収賄等の処罰こ関する法律案」(あっせん利得罪創設)の制定に全力をつくします。私個人としては民主党の司法制度改革案「市民が主役の司法へ――新・民主主義確立の時代の司法改革――」をまとめ上げました。ご理解・ご支援をお願いします。

◆総選挙・岡山は完敗しました

 6月26日、総選挙の結果をうけて、私は民主党岡山県連代表として以下の「談話」を発表しました。

 今次総選挙の結果、民主党は岡山県では、選挙区も比例区も1議席も得られず完敗した。全国的には民主躍進の中のこの結果であり、県民の皆さまに率直にお詫び申し上げる。

 2区の現職の惜敗については、あと1000票余で比例区当選を果たせた。また、比例区票の若干の積み上げがあれば、1区も当選可能であった。取り組みの弱点を仔細に検討し、今後の教訓としたい。

 しかし、いくつかの成果も上がった。まず、すべての選挙区で、強力な自民現職がいるのに、勢力分散のおそれを克服して候補者を擁立することができた。しかも候補者は、男女、青壮、職種等でバランスが取れ、国民を代表する構成となった。

 次に、各候補者とも厳しい状況を考えると善戦といえる結果を上げ、次の取り組みへの基盤を築いた。

 特に、パートナーというべき連合岡山の皆さんとの連携が成功し、将来に明るい展望が開けた。また、当選のためには、組織選挙のほか、市民選挙が欠かせないが、この点でも、いずれの選挙区でも貴重な経験を積むことができた。

 以上の諸点を考えると、「21世紀は民主党」と胸を張ってスタートするための基礎は作り得たと確信する。自信を持って、今日から再出発を宣言する。


政治 経済 永田町の今

◆税金による「そごう救済」に国民の批判集中

 6月30日の金融再生委員会の決定(預金保険機構が新生銀行<旧長銀>から買い取ったそごう向け債権1976億円のうち、970億円を債権放棄することを承認する)によって、国民の税金が、一私企業の借金の穴埋めに使われることになり、民主党をはじめとする野党と国民の批判がこの問題に集中しました。与党の中にも疑問の声が上がり、7月12日とうとう「そごう」は債権放棄による再建計画をあきらめ、民事再生法の適用を東京地方裁判所に申請し、事実上倒産しました。

 私は4年前の住専問題以来、事実上破綻している企業は基本的に法的整理をすペきだと主張してきたので、今回の申請は当然だと思います。問題は政府が勝手に約束した金融再生法にもない「瑕疵(かし)担保特約」で、これが税金投入の原因です。この特約の破棄と責任追及が臨時国会のテーマになると思います。

◆中尾元建設相逮捕、亀井氏は?

 総選挙直後に、「そごう」問題とならんで中尾栄一元建設大臣が受託収賄罪で逮捕されたことが大きなニュースになりました。自民党政権の末期症状を表す事件です。

 しかもこの事件の根はさらに深く、同じルートから竹下元首相(現金を受け取ったのは実弟の竹下亘新衆議院議員とされる)と亀井静香自民党政調会長に数千万円の現金が渡されたことが報道されています。この事実が立証されれば、職務権限の関係で収賄罪にはならなくても、政治資金規正法違反になる可能性は高いと思います。民主党はさっそく他の野党とともに職務権限がなくても罪に問える「国会議員の地位利用収賄等の処罰に関する法律案」(あっせん利得罪)を衆議院に提出しました。政治による金もうけは根絶しなければなりません。

◆民主党版「司法改革」を発表

 7月12日、民主党司法ネクスト大臣として、民主党の司法制度改革案「市民が主役の司法へ――新・民主主義確立の時代の司法改革――」を発表しました。その内容は、

  1. 法曹人口を10年後に5万人、将来は10万人に。
  2. 法曹経験の豊かなものから裁判官を選ぶ法曹一元制度を早期に実現。
  3. 市民の司法参加である陪審制・参審制を実現。
  4. 行政訴訟手続を民主的に改革し、行政に対する国民の権利保障を行いやすい制度を実現。 
  5. 少年の健全育成、家事紛争の解決や豊かな後見制度のために、家庭裁判所の機能を飛躍的に充実。
  6. 法律扶助制度の充実。
  7. 犯罪被害者基本法を成立させ、被害者の権利と確立。
  8. 裁判の迅速化。
  9. 裁判外紛争処理制度(ADR)の充実、隣接士業の活用。
  10. 最高裁判所のジェンダ−バランスを実現。

インパクトの強い提案ができたと思います。

◆菅グループも躍進しました

 「国のかたち研究会」(菅グループ)は、現職15名のうち3名が落選しましたが、新人が15名以上当選して大躍進しました。ただしもともと菅グループはきっちりした組織にはなっていませんので、周辺住民がたくさんいて境界線はあいまいですが、会長である私としては、それでいいのだと思っています。

 今年秋には民主党の代表選挙があり、1000円の参加費でサポーターが投票できる制度がスタートしますが、現段階では菅さんは今回は出馬する気はないようです。今の鳩山代表・菅政調会長の体制(首相と官房長官の関係)が、一番仕事がしやすいと言っています。しかしいずれは代表選に出馬するときも来ると思います。そのためにも全国規模でサポーターをふやしていく運動も始めなければならないと思います。


岡山トピックス

◆8月26日(土)に民主党岡山県連大会

 総選挙で完敗した民主党岡山県連をどう立て直すのか。選挙総括の中から、どのような方針を打ち出すのか。県連代表としての私の責任問題も含めて、当面の最重要課題となっています。県連としては、8月26日(土)午前10時から、丸一日かけて総社市の厚生年金休暇センターで第4回民主党岡山県連定期大会を開くことを決めました。7月中旬から8月上旬にかけては、岡山第1区から第5区まで各選挙区ごとに総括会議や大会を開くことになっています。

 私としては今回の5人の候補者のみなさんには全員再挑戦のスタートを切ってほしいと思います。国民の支持のない森政権の基盤は脆弱で、早期の解散総選挙の可能性もあります。政策・組織・運動・財政などあらゆる問題点をあらい出して、正しい方針を決めてリベンジを果たしたいと思います。

◆江田五月会は4年後へ向けてスタート

 江田五月会のみなさんには大変お世話になりました。岡山県の5つの小選挙区にすペて候補者を立てることを最優先した結果、五月会のみなさんには大変な負担をかけてしまいました。みなさんのご努力に深く感謝するとともにお詫びを申し上げます。

 選挙の結果は完敗でした。秋の県知事選についても明確な方針は定まっていません。これではいけないので、9月上旬頃に江田五月会の全県の代表者会議を開いて、江田五月会としての選挙総括と今後の方針を討議していただきたいと思います。事務局としては、4年後の江田五月の全県選挙の準備を今からスタートしたいと思います。そのために江田五月会をどのように組織するのか、女性の会や若者の会をどうつくるか、民主党との関係をどうするか、などを提案させていただいて、議論していただきたいと思います(事務局 湯川)


2000/07/15 第5号

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