参議院 行政監視委員会 1999/11/15

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○江田五月君 続総務庁長官、御就任おめでとうこざいます。続長官は、前国会まではまさにこの行政監視委員会の委員長を務めてこられました。ぜひ、総務庁の行政監察、そして本委員会の行政監視、これを車の両輪として行政改革を実現していきたいと思っております。

 また、大野厚生政務次官、お忙しいところ御無理を言いました。この国会から国会審議のあり方が変わって、政府委員という制度をなくした。政治家同士の議論をしようということになって、私も政府参考人の皆さんにこれは聞いた方がいいのかなと思うようなこともたくさんあると思うんですけれども、余りそれをやりますとだんだんもとのようになってしまいますので、きょうはどうしても厚生省に伺うことは大野さんに来てほしいと思って御無理を言いました。新進党時代には選挙の応援にも行ったりと、決していじめるつもりはありませんので、ひとつよろしくお願いいたします。

 さて、本題に入る前に、先ほどの理事会でも問題提起をしたんですが、緊急課題として神奈川県警の不祥事、これをちょっと取り上げたいと思います。

 きょうもまた何か現職警察官が恐喝ですか、新たな逮捕者が出たと神奈川県警をめぐって数々の不祥事が起きている。とにかく、県警本部長を初めとする警察の首脳部とさらに警察の監察官が加わってみずから犯人隠避、証拠隠滅の犯罪を犯したという前代未聞の非常に深刻な事件なんですね。我が国の社会は一体どうなってしまったのか。行政内部の監察機能というのが崩壊してしまったのではないかと。警察の監察官が一緒になって犯罪をやるというわけですから、行政内部の監察機能というのが崩壊しているんじゃないか。これは警察だけではない。例えば原子力委員会はつい先日の東海村の事故でどうだったのか、いろいろあると思うんですが、続長官、総論としてこの神奈川県警の事件についてどういう感想をお持ちか、どう対処されるか、お伺いします。

○国務大臣(続訓弘君) 冒頭に江田委員から私に対する励ましの言葉をいたださまして、大変恐縮しております。ありがとうございます。

 さて、御質問の神奈川県警に係る今の問題については、私自身も心を痛めております。まさにこれはその原因が那辺にあるのかということをやはり徹底的に追及する必要があるんじゃなかろうかなと、同時に公務員制度の問題にもこれは最終的には帰着するんじゃないのかな、こんなふうにも考えております。

 いずれにしても、今、江田委員が御指摘のとおり、これは大変な問題だと、したがって政府当局としてもこの問題に真剣に対応し、そして防止策を検討する必要がある、こんなふうに考えております。

○江田五月君 きょうの日本テレビの世論調査では、九〇%以上の国民の皆さんがこの問題は神奈川県警だけではない、警察全体の問題であって警察への信頼は損なわれた、こう考えているというんですね。私はそれは当然だと思います。

 精神論はいいとして、やっぱり行政内部の監察機能というものが国民に信頼されなくなってしまっておる。そうすると、この国会の行政監視機能というもの、この委員会の機能というもの、これは非常に重要になってきていると。自浄能力を失った行政のチェックシステムを国会としてあるいは政治家として相当真剣に考えなさゃならぬ、そのあたりについて長官の精神論をもうちょっと超えた決意を聞かせてください。

○国務大臣(続訓弘君) 重ねての御質問にお答えを申し上げます。

 先ほど私は公務員の制度の問題にも言及いたしました。やはりこれは、例えば神奈川県警本部長はいわばエリートであります。そのエリートが部下の不始末、そのために次の昇進がカットされたのでは大変だという意識が私は働いたのではないのかなと。そういう意味で、公務員制度の全体の問題としてこれは大変な重要な問題だと。そういう意味で、こういう制度を根本的に検討し、改善の方法を見出す以外にこの問題の解決はないと思います。したがって、その辺のことを含めて検討させていただきたいと存じます。

○江田五月君 警察におけるキャリアグループの動き方 といいますか昇進の仕方の異常さ、これはもう長官もよくおわかりのことと思います。警察だけじゃなくて、例えば私の古巣ですが、裁判所でも最近はタクシー乗務員を雲助などと言うような裁判官か出てきているとか、何か人材を養成していくシステム全体がどこかで狂っている。

 それともう一つは、上から下への一方通行だけだとだめなんで、例えは原子力のことを見ても、現場の皆さんが日ごろ一仕事を終えて一杯飲みながらぐちを言う、そういう声がちゃんと上がってくるようなシステムも要るとか、市民オンブズマンの活動なんかもいろいろとありますが、ちょっとシステム全体を考え直さなきゃならぬ、そんな中にこの行政監視委員会がいるんだというふうに思っておりますが、ぜひ御協力いただきたいと思います。

 さて、総務庁は厚生省に対して昨年の九月十八日に年金に関する行政監察結果に基づく勧告を行ったりその中で年金福祉事業団の事業の見直しについて勧告をされました。これに対して今年八月三十日、厚生省から回答がありましたが、総務庁長官、この厚生省の回答、これは総務庁の勧告に対して十分満足できる回答であったか、それともまだまだ不十分な回答であったのか、総務庁としての評価、これをお聞かせください。

○国務大臣(続訓弘君) 総務庁が勧告をした内容は、例えば今問題になっておりましたグリーンピアについて、施設事業について、大規模保養基地については所在の道や県に譲渡を促進すべきである、さらには譲渡できない施設については民間等に積極的に売却すべきである、それは滅価してでも売却すべきであるという勧告を申し上げました。これに対して厚生大臣からの回答は、勧告の趣旨に沿って実施予定です、こういう回答でありました。今国会に関係法案が提出されております。

 もう一つは、貸付事業の廃止等の検討をしたらどうだという私どもの勧告に対して、社宅等の整備等に係る貸付事業は廃止いたします、あるいは病院整備等に係る貸付事業は社会福祉・医療事業団に移管しますという回答でありました。これも今国会に関係法案を提出しておられます。

 さらには資金運用事業について、評価結果等に関するディスクロージャーを積極的に推進すべしとの勧告に対して、勧告の趣旨に沿って実施予定だと、こう回答が参っております。

 したがいまして、払どもの勧告を総じて厚生省は守っておられる、このように評価しております。

○江田五月君 総じて勧告は尊重されておる、満足な回答になっておる、こういうことですかね。

 特にこの勧告では、厚生省は年金福祉事業団に係る閣議決定に定める措置の迅速かつ確実な実施や、それまでの間における事業の適切な実施を図る観点から云々ということが書かれている。ここで言っている閣議決定は平成九年六月六日のもの。その内容は、年金福祉事業団は、

 平成十一年に行われる年金の財政再計算に合わせ、年金資金の運用の新たな在り方につき結論を得て、廃止する。

 資金運用業務については、資金運用部との関係を含め、担当機関の在り方を長期的かつ専門的見地に立って、別途検討する。

 大規模保養基地業務からは撤退し、また、被保険者向け融資業務については、適切な経過措置を講じた上、撤退する。

これについて厚生省の回答は、年金福祉事業団は廃止をする。それはそれで廃止。しかし、看板を変えただけでほとんど内容の変わらない年金資金運用基金という機関を設立する。看坂が変わっただけじゃありませんか、内容は変わっていないんじゃないですか。土地を大蔵省抜きにしたというだけの話じゃないか。大規模保養施設は撤退するが、新たな基金がその撤退のための管理運営を十年間も行うんですね。これは確実、迅速、十年間、ううんと首をひねる。住宅融資事業、教育資金貸付あっせん事業、これも十年間ですか、撤退せずに継続する。

 これは閣議決定の迅速かつ確実な実施とはとても言えないと思うんですが、長官、いかがですか。

○国務大臣(続訓弘君) 先ほど私は勧告の内容についてそれぞれ対応をしておられる、したがって総じて評価すべき回答であったと、こう申し上げました。

 ただ、今重ねて御指摘がございました。確かに問題点が残っているわけであります。それは、御案内のように、施設はもう立派なものができ上がり、そして赤字ではあるけれども運営をしておられる。そういう状況の中で、私どもの勧告の趣旨に沿うような努力をする。直ちにそれを廃止して、じゃ廃止した結果どうなるか。これまた赤字に赤字を重ねるという状況になるかもしれません。いずれにしても、せっかくある施設をどうやれば国民の皆様の期待にこたえられるのかということを真剣に私は検討していただいている、こんなふうに思います。

 ただ、今個々の具体的な事例については不満な点が多々あると思いますけれども、我々の趣旨を厚生省当局が、また年金福祉事業団当局が真摯に受けとめておられる、これは評価すべきと考えております。

○江田五月君 非常にタイミングよくといいますか、我々別にだれもはかったわけじゃないと思いますが、きのうのテレビ朝日の「サンデープロジェクト」でこの年金福祉事業団、まさにこの問題が取り上げられたんですね。

 あそこで見ますと、立派な施設ができていると言うけれども、立派過ぎて宝の持ち腐れで、今じゃもう何か草スキーですか、人工芝スキーか、人工芝に本当の草がどんどん生えているというような状能でで、これで立派に運用されているとは到底これは言えないんじゃないですかね。

 長官が今おっしゃった、個々的に見ると確かに不十分なところがあると。こういうことについては総務庁として具体的にきめ細かなアクションを起こすということも考えていかなきゃならぬと思いますが、一年後の行政監察局長のその後の改善措置状況の照会ですか、このときまで待つんですか。それとも、ああいうテレビがあって、ちゃんと一々のことについてきっちり調査をされ、具体的なアクションをとられますか。どうなんですか。

○国務大臣(続訓弘君) 今、江田委員から御指摘かございました。規則では一年後に改めて回答をいただく、こういうことになってございますけれども、せっかくの御指摘でございます。

 ついては、一年以前でも経過がどうなっているのか、どう改善をしておられるのかということについて私どもから投げかけたい、こんなふうに思います。

○江田五月君 ぜひひとつそうお願いをしたい。そこらが政治家同士の議論のいいところですね。これは官僚の皆さんに任せておいたら相変わらずむにゃむにゃで、一年後の改善措置状況の照会まで何もしないというので続いていくわけで、ぜひそういう緊張感ある行政をやっていただきたいと思います。

 さて、今申し上げたとおり、きのうのテレビ朝日で報道された、先ほど私は総務庁の行政監察と国会の行政監視委員会は車の両輪だ、こう言ったわけですが、私も実はこの委員会は初めてでいろんなことをよく知ってはいないんですが、苦情請願の審査ということで不適正行政に対する苦情を内容とする請願を審査する、これも大きな目的の一つになっていまして、これは言ってみればオンブズマン的機能を備えた委員会ということになるかと思うのでマスメディアによる問題提起、これもやはり非常に重要なことだと思っております。

 そこで、きのうのこの特集で指摘された問題について質問したいんですが、質問通告していませんが、大野政務次官、きのうのテレビはごらんになりましたか。これは余り難しい質問じゃないから。テレビはごらんになりましたか。

○政務次官(大野由利子君) 後でビデオをちょっと拝見しました。

○江田五月君 テレビですから、行政の担当者から言えば、いや、あれは扱いをもうちょっと考えてほしいよとかいうことはあると思います。しかし、やっぱりかなり問題点を鋭くえぐっているので、さわりだけビデオでぱっと見るのでなくて、ぜひごらんいただきたいと思います。

 これは通告をしていないので後日書面ででも回答していただけれはと思うんですが、お役人の皆さん、メモでもとってください。

 日本老人福祉財団というのがあるんですね。この財団が経営している「ゆうゆうの里」というのが全国に何ヵ所かあるんですが、これが倒産の危機にある、サービスの低下が心配されている。「ゆうゆうの里」に自分の財産を売って入った、ところがサービスがどんどん低下して、例えば食事指導なんかもしばらくは休みとかいうようなことになって、これがつぶれたら自分はもう行く場所がない、金は全部なくなっちゃった、こういった大変な心配を皆さんに与えている。

 厚生省はこの財団にどう対処し、入居者の方たちの不安をどう解消するつもりか。一点です。

 二点目。日本老人福祉財団の吉田理事という人、テレビに出てきたんですが、一体なぜ理事長の意思に反してテレビ朝日のインタビューに応じて説明責任を果たさないのか、調べてみてください。

 三点日。日本老人福祉財団に建設資金として融資された六十七億円、そのうちの十二億円、これが運転資金に流用されて建設会社に未払いとなっているようです。この問題の事実関係の解明、当事者の責任、これをどうするか、厚生省の監督責任はどうなるのか、後ほどで結構ですからお答えください。

 さて、これも質問通告していないんですが、できれはこの点は答えていただきたいんです。つまり、この番組の最後に厚生省というのが年金基金を運用するというのか、経営の才能があるんだろうか、厚生省のお役人にそんな運用を任せておいて大丈夫なんだろうかという、そういう大心配をこのテレビは投げかけているわけです。国民の大切な年金について厚生省の運用能力、あるいは運用姿勢、非常に強い疑いの目が向けられているんですが、その点をどう思われて、これをどうしようとされるか、突然の質問なんですが、今思っておられることを答えてください。

○政務次官(大野由利子君) 大先輩の尊敬をしております江田五月先生にお答えをするのは僭越至極ではございますが、御質問でこざいますのでお答えをさせていただきたいと思います。

 今の御質問の中で、突然の御質問でもございましたのでもっと詳しく厚生省として調べてまた御報告をしたい、こういう面かございますが、ただ若干きのうの報道の中には誤った報道もいろいろ行われておりまして、建設資金として融資を受けた十二億円が運転資金の方に回されているというのは、あれは間違いのようでございます。すぐにあの取材の後に訂正をされたようなんですが、残念ながら訂正された部分は報道されないで最初のことだけが報道されたという実態があるようでございます。いろいろなことでこの十二億円が間違って使われたということだけは訂正をさせていただきたい、こう思っております。

 それから、厚生省に任せておいて大丈夫なのかという、こういう御質問でございますが、これにつきましては保険料拠出者の意見も反映をさせまして、そして厚生大臣が定める運用に関する基本方針に基づき国債等を中心とした各種資産に分散投資を行うことにより安全かつ効率的な運用を行う、こういうふうに努めてまいりたい、こう思っております。

 また、さらに運用の基本方針や運用実績等について国民に対する厚生大臣の説明責任を果たしていくとともに、詳細な運用報告書の公表と情報公開の徹底を図り外部からのチェックができる体制にしてまいりたい、こう思っております。

○江田五月君 政務次官、政務次官におなりになって厚生省を見て、それでそういうテレビやなんか、恐らくテレビの間違いもあるでしょう、それは私は皆さんのおっしゃることが正しいのかテレビ局の取材の結果の方が正しいのか今はよくわかりませんが、そういうのを聞きながら、お役人が後ろからペーパーを出してきた、それを丸ごと棒読みするのじゃなくて、やっぱり政治家は国民の声を聞いているわけですから、その国民の声を背景にしながら役所に対してもっと強く物を言ってほしい。

 厚生省のお役人に資金の運用能力がそんなにあると思うのがどうも不思議なんで、民間のもっと切った張ったやっているところの知恵を使うとかいろんなことがあるんだろうと思うんですね。

 また、年金資金運用基金とかあるいは関連の財団法人、関連の民間会社、こういうものに対する天下り、これはもう年金福祉事業団の役員を見ましたら皆天下りですよね。天下りはやめると、そのくらい政務次官がおっしゃったらどうかと思いますが、どうですか。

○政務次官(大野由利子君) 今の御指摘は大変重要な御指摘でもある、このように思いますので今後の大きな検討課題であろう、このように思っております。

○江田五月君 それでは、厚生政務次官に質問通告をした点について若干伺います。

 この臨時国会から政府委員制度を廃止したと。国会で政治家同士の議論をするということで、なるべくずばりずばりと切り込んでいきたいと思うんですが、年金福祉事業団に対する総務庁の勧告を受けて厚生省としてはどのくらいの熱意を持って改善していこうとされるのか、大野次官御自身の熱意と決意をお伺いします。

○政務次官(大野由利子君) 総務庁の勧告で指摘されました事項につきましては、先ほど続総務庁長官からも御報告がございましたように、さきの通常国会に提出をされました年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案の中に種々自主運用関連法案について具体的に措置をされている次第でございます。

 年金法案にあわせまして十六日からいよいよ審議も始まるという状況でございますので、早期に御審議をお願いしたい、この法律の成立をもとにしてしっかりと取り組んでまいりたい、こう思います。

○江田五月君 法案は出したからあとは国会だ、こういうお話かもしれませんが、それだけで済むのかどうか。

 大規模保養施設グリーンピアは来年三月までには基地所在道県から最終的な意向が示されるということですが、見通しはいかがですか。民間に売却するとすればどういう方法で売却をしますか。

○政務次官(大野由利子君) 民間への売却の具体的な方法につきましては、今後年金福祉事業団におきまして有識者を中心に関係者などを交えて具体的に検討をしていく、そしてこの中で例えは施設機能をできる限り有効に、また地域環境に配慮する等々の観点から利用方法について申請をしていただく利用提案方式なども一つの方法ではないか、今後この有識者の方々の御意見も交えて決定をしてまいりたい、このように思っております。

○江田五月君 いつまでに売却をし終わるんですかね。新しい基金が十年間管理運営する。したがって、十年かけて売却し終わるというのか、あるいはもっと手際よくやろうという覚悟があるのか、それはいかがですか。

○政務次官(大野由利子君) このグリーンピアにおきましては、現在十三ヵ所で約一千名の方々が働いていらっしゃるという、こういう実情もございます。地域の実情、また雇用の状況等々も踏まえながら今後の撤退のあり方について検討をしていかなければいけない。

 具体的には次々回の、次々回と申しますと十年後の財政再計算時の法案のときまでに政令で定める日までに譲渡を行う、このようにされているわけでございます。

 この間にできる限り、十年放っておくという意味じゃなくて十年を超えない範囲でということで、ことしじゅうに撤退をするという方向が決まっている施設もございますが、十年を超えない範囲で政令で定める日までに譲渡を行う、こういうふうにしております。

○江田五月君 十年あるからまあゆっくりやればいいやという、そういう姿勢じゃなくて取り組んでいただきたいと思います。

 それから、住宅融資とか教育資金貸し付けあっせん、これは現下の厳しい景気の動向や雇用等に配慮して継続するとなっている。しかし、閣議決定や勧告の趣旨は事業の廃止なんですね。これは景気とか雇用とかで見通しがついたら速やかに廃止をするんですか。いつまで続けるんですか。お考えはどうですか。

○政務次官(大野由利子君) この年金の住宅融資につきましても、現在は住宅金融公庫に次いで年金の住宅融資は大変国民の皆さんから需要が大きくて、そして被保険者の生活設計の中に大きく組み込まれているという、こういう実情もございます。また、景気の動向や事業に従事している人たちの雇用に配慮する、こういう必要もございまして、被保険者の方々の声や与党における議論等々を踏まえて、別に法律で事業廃止の日を定めるまでの間、年金資金運用基金においてこの事業を引き継ぐ、こういうふうになっております。

○江田五月君 総務庁の勧告では貸付事業については早急に検討しろ、こうなっているんですが、今の厚生省の答弁だと大分ゆっくり。総務庁の勧告と同じペースなのかそれともどうも勧告と比べるとちょっと厚生省はゆっくりしておるなという感じなのか。ちょっとゆっくり過ぎるなという感じを総務庁としてはお持ちになるんじゃないかと思いますが、大野政務次官も続長官ら行政改革あるいは高齢者福祉に熱心な公明党の御出身で、この年金福祉事業の問題はぜひとも熱意を持って取り組んでいただきたいと思うんです。

 最後に、総務庁長官、厚生省の今のペースはこれでいいというのか、もうちょっと頑張れというのか、そのあたりの決意を聞かせていただいて質問を終わります。

○国務大臣(続訓弘君) せっかくの御質問でございますけれども、私どもは実情を調査して、そしてもはやこの事業は撤退すべきだ、あるいは廃止すべきだという理論的な勧告を申し上げました。今度はそれを受ける厚生省は、実は今御指摘のようないろんな課題を抱えておられる実際の舞台である。したがって、撤退の仕方はいろいろあろうかと存じます。しかし、いずれにしても前向きの姿勢で取り組んでいただきたい、このように思います。

○江田五月君 終わります。


参議院 行政監視委員会 1999/11/15

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