1996/02/09

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衆院・予算委員会

○江田委員 平成八年度一般会計総予算、いろいろと聞かなきゃならぬ点があると思いますが、私も主として住専の問題に絞って質問をさせていただきたいと思っております。
 今お配りは、まだしばらく関係ありませんので、どうぞ置いておいてください。

 橋本総理、犬養毅、平沼騏一郎以来四十八年ぶりの岡山県出身の総理大臣誕生ということで、まず同郷の政治家として心から御激励申し上げます。

 日本も世界も大変な転換期ですね、今。しかも積年の矛盾が噴き出してきている。その後始末、これはなかなか大変。しかも、単に後始末じゃ済まない、次のレールに乗せていかなきゃならぬという大変な時期で、大変な御苦労と思います。しかし、同時に、こういう時期に内閣を担当されるというのは、私はこれは政治家冥利に尽きるということでないのかなという気もするので、そういう意味でも激励も申し上げるし、またこの時期を乗り切って次の時代を開くというのは、与党、野党みんなの課題です。同時に、国民の課題でもあるので、単なる重箱の隅をつつくとか、足を引っ張るとか、そういうことでない議論を大いにやっていきたいと私は思っております。

 しかし、それでも、積年の矛盾の後始末、住専処理問題を前任者から引き継がれておる。本当にこれは御苦労なことだと、御同情を申し上げると言うとちょっと皮肉に聞こえるかもしれませんが、本当にそういうふうに思います。ひとつこの機会に、難題を先送りするのでなくて、構造改革をやるんだ、構造改革実現の好機ととらえて頑張っていただきたい。

 さて、構造改革ということになりますと、住専問題に入る前に、一つだけ総理のお考えを伺っておきたいと思うのです。

 不良債権問題といいますと、住専問題と並んで、あるいはもっと大きな問題が、旧国鉄の長期債務問題ですね。これは総理はもう直接関係をされておられた。私なんかも、当時野党の立場ではありますが、この国鉄の問題はほうっておけることじゃないんだというので、菅厚生大臣おられますが、一緒にいろいろな知恵を絞りながら、逐次、地域分割、非公社化なんというようなことを言って、怒られ怒られしながら、半ば国鉄改革の応援団になっていたのではないかと思っておるのです。

 昭和六十二年の四月、国鉄改革時に清算事業団に引き継がれた債務二十五兆五千億円。さて、九年たった現在、土地とかJRの株の売却もあったにもかかわらず、利払いにすら追いつけていない。債務は逆に今二十七兆円と大きくなってしまっておるということで、これは、問題の先送りが矛盾をさらに大きくしてしまった典型的な例であろうと思います。

 私も、わずか十カ月ではありましたが、与党で、そのうちの八カ月でしたか、閣僚を務めたこともありますから、決して私どもの責任も回避はできないと思いますし、問題の難しさもわかっているつもりですが、総理はこの問題に精通しておられるわけで、この旧国鉄の長期債務問題に橋本内閣としてどう対処するおつもりであるのか。細かなことは結構ですから、今お考えの粗筋をこの際お聞かせください。

○橋本内閣総理大臣 今江田委員から激励とともに真摯な議論をと言っていただきましたことに、冒頭お礼を申し上げます。

 そして、その国鉄清算事業団の債務について御指摘をいただきました。まさに昭和六十二年四月の設立時、旧国鉄から引き継ぎました債務は二十五兆五千億円であったわけでありますが、今年度首にこれが二十六兆九千億円に膨らんでおるというのは御指摘のとおりであります。

 そして、当時の責任者として先の見通しが悪かったというおしかりを受けるかもしれませんが、あれほど異常な土地の高騰がその後継続するとは思わず、それなりの地価が続くという前提で資産売却を当時考えたことは事実でありました。しかし、その後、異常な土地の上昇の中で、清算事業団用地を放出することがなお地価の上昇に拍車をかけかねないといったことから、この売却も思うように進まなかったという問題点が一つございました。

 また、株式市況の低迷する中で、JR各社の株式売却といったものも思うように進んでおらないということも事実でありまして、これが今非常に大きな課題になってきている。これは、国鉄改革の総仕上げという意味でも非常に大きな課題になっておると思っております。

 それだけに、一言で申し上げようとするなら、今後その保有する資産売却に鋭意取り組んでいく中で、国民負担というものを極力少なくするように努力すると申し上げる以外にありません。

○江田委員 国民負担を極力少なくするという以外にないというのでは、まだなかなか大変だなということしか残らないですね。問題の難しさを痛感しますが、きょうは、その問題はちょっと導入部ということで伺っただけでして、それ以上お伺いをすることはやめます。

 住専問題も、これもやはり大変なことで、処理の仕方は、私ども、今政府がお出しのものに対していろいろ疑問も持っておりますし、これからその疑問を追及をしていきたいと思いますが、しかし、思い切った処理をしなければならぬ、先送りをしてはいけない、この点では全く同感でございます。

 総理、今国民、この住専の問題について、税金をつぎ込む、緊急金融安定化基金ですか、六兆八千億円プラス五十億円という、これに対して、八〇%とも九〇%とも言われる国民……(橋本内閣総理大臣「六千八百億」と呼ぶ)六千八百億円プラス五十億円ですね、済みません。国民の非常に多くの皆さんが、これを釈然と思っていない、反対をしておるということで、これは私は、国民の怒りの声というのは、単に政府あるいは与党に向けられているだけでなくて、私どもにもあるいは向いているのかなという気もいたします。今の政治全体に向いているのじゃないだろうかという気がするのですね。

 そのときに私は、そういう国民の皆さんの怒り、これにたじろいじゃいけないので、私たちはむしろ逆に、国民の皆さんのそういう怒り、つまり、国民から見ると、どうも、政治家あるいは官僚あるいは銀行その他、そういう皆さんが本当はみんな被告なのに、その被告が全部寄ってたかって何か談合をして国民にそのツケを回しておる。国民には物を言わさない。国民はただしりぬぐいだけ。そういう気持ちで怒っておるので、それにたじろぐのではなくて、そういう国民の皆さんの怒りというのが、まさに田中長官しきりにおっしゃる民権というものでして、その国民の怒りというものをしっかり受けながら、その怒りをいわば帆にはらみながら、改革のために政治家が努力をする、勇気を出す、決断をする、これが今必要だ。まさにそういう好機に今あるんだ。

 私は、大蔵省の枠の中で、大変恐縮ですけれども、大蔵省の皆さんが大蔵コンツェルンの中できれいにこれを処理してしまうというようなやり方でやっていくのじゃいけないのじゃないか。大蔵省でなければ、この大問題、解決つかないよと仮に思っているとすれば、それはやはり大蔵省の思い上がりなんじゃないだろうか。みんな被告なんだ、そういう思いでおるので、どうも今の処理のスキームは信用できない。

 今の処理のスキームは、やはりどこかまやかしがある。そうではなくて、こういうときのスキーム、こういうときの処理の装置としてはちゃんと既存のものが用意されているわけですね、法的整理の手だてが。裁判所である、あるいは法律家、あるいは法律で言えば、破産法もあるでしょう。あるいは和議法もあるでしょう。会社更生法もあるでしょう。

 今、いろいろ我々の同僚から提案がございました。私は、私個人の意見ですが、会社更生法がいいのではないかと思っておるのですが、そういうものもあるので、それを、なぜそっちを採用せずにこういう特別の処理方法をおつくりになったのか。

 これはもう何度も聞いていることですが、申しわけありませんが、簡単にひとつ、何点か、これとこれとこれと答えてください。

○橋本内閣総理大臣 司法の専門家である議員に私が司法の話をするのは大変借越かもしれません。しかし、私が知る限りにおきまして、会社更生法という法律を使いました場合、住専はそのまま形態としては存続するわけであります。しかし、住専というものを存続させる必然性あるいは存続をさせながら再建を図る必要があるでしょうか。私なりの感じの疑問の第一点はそれであります。

 また、破産法を適用いたしました場合、これは確かに住専を消滅させる一番早い手法であることは間違いがありません。しかし同時に、私は、住専の場合に、非常に多数の金融機関、系統まで入れますと三百を超えると言われましたが、そういう数多くの金融機関が資金の供給に当たり、またその貸し先も非常に多種多様でございます。そうしますと、その破産法を選びますと、住専というものはすぐに消滅いたしますけれども、その債権債務は残るわけでありまして、そしてその関連する金融機関、資金を供給しておりました金融機関にとりましては、その係争中の期間はみずからの負うべき債務の額が確定しない期間が続いてしまうんじゃないでしょうか。そして、これは私は金融システムの安定性というものを考えるときに望ましい状況ではないと思います。そして結果的に、それは、中に体力の弱いものもありましょうし、いろいろありましょうけれども、預金者である国民にとっても、私は望ましい状態だと思いません。

 昨年の春あたりから、政府部内におきまして議論をしてきた中で、むしろ逆に当事者の中で解決を何とかしたいということで、当局の諸君が努力をいたしましたものが、結果として情報開示がおくれ、御批判を受けるような諸点になりましたことは大変申しわけない、冒頭の審議でもおわびを申し上げましたが、私は、努力の上で積み上げられたこのスキームが、今我々がとるべき道だと本気でそう考えております。

○江田委員 確かにこれまで、政府、特に大蔵省中心にいろいろな努力を積み上げてこられた。そうした努力の中には、例えば大蔵省の銀行局長と農水省の経済局長でしたか、お二人の覚書、それに基づく各銀行に対する念書をとっていくというようなこともあったでしょう。これは、しかし、その努力としてはちょっと、さあ、そういう努力でよかったのかなという感じもします。まあいずれにしても、そういう努力をしてこられておるのはそうだと思いますが、それが私の言う、大蔵という枠の中で問題を処理してしまおうということになっているんじゃないかという気がするんですよ。

 今総理、会社更生法ですと住専というものを残すことになる、しかし、住専を残す必然性というのはあるのか、そこは疑問に思うとお答えになりましたね。

 私は、その点はむしろ逆ではないかという感じもするんです。住専から債権譲渡を受けて、そして不良債権はもちろん処理していきますよね。しかし、しっかりした債権もあるわけです。それは個人の住宅ローンですね。三兆五千億ですか、あるわけで、それは残すわけですね。そしてずうっとこれは今後、そういう住宅ローンを組んでいる債務者、国民ですね、普通の個人です、この皆さんがずうっとこれから返していくわけですよね。そういうものとしてこれは残るわけで、住専はつぶすけれども、住専の最も、まあ言ってみれば、すっきりした部分、コアの部分です。住専、一九七一年に最初のものをつくって、そして、なかなかよくできた仕組みだったんじゃないですか、初めは。ずうっとそういう個人向けの住宅ローンを扱うノンバンクとして健全なことをやっていたわけでしょう。それはちゃんと残っているのじゃないですか、まだ。それは住専処理機構になってずっと残していかなきゃならぬと。住専処理機構でそれを残していかなきゃならぬ必然性がなぜあるのか。住専で残せばいいじゃないですか。これはいかがですか。

○西村政府委員 確かに、住専処理機構が引き継ぎます資産の中には正常な資産もあるわけでございます。これは引き続き債権を管理していきまして、一部の収益を生んでこれを住専処理機構の運営に充てていく、こういうことになっておるわけでございます。

 ただ、従来の住専の形でそのまま残すという方がいいのか、このように集約をいたしまして、引き続き管理はしていくものの、いわば残務整理として逐次解消を図っていく、こういう方がいいのかということに関しましては、私どもは、住専という従来特別の目的を持った考え方の金融機関というものの存在は消滅させた方がいいのではないかというふうに考えて、今回のような処理策をつくったわけでございます。

○江田委員 初めに住専消滅ありきではないかという、そんな感じもするのですね。住専のもともとの役割というものはいい役割を果たしていたし、一時確かにバブルの中で、この数年、あるいはもうちょっとでしょうか、大変おかしなことになった。回りに非常におかしなものがいっぱいくっついてしまった。何ですか、脂肪がいっぱいついてしまったということかもしれませんね。

 しかし、それをきれいに洗い落としていけば、もとのものはちゃんと残っているわけで、次第に個人住宅向け融資のそういう機構はなくしていった方がいいという、それはそうかもしれませんけれども、今、現にまだ十数年、恐らく十数年でしょう。一般の個人の債務者がいる、それはやはりスリムな形で残していて、しかもその間、例えば、住宅ですからもちろんだんだん価値が下がっていく、それに伴って債務もだんだん少なくなっていく、担保価値はだんだん減っていくという、非常によくできておる。もし家がずっともっと続くなら、担保余力ができるわけですから、今度はそこで住専からまたお金を借りて、そしてその家を例えば修理をするとか、そういうようなこともあるわけですよね。

 ですから、結構いい仕事をやっているわけで、現に協同住宅ローンは、これは残すのでしょう。協同住宅ローンは残すのですか、どうですか、これは答えてください。

○大原国務大臣 幸か不幸か、協同住宅ローンは六十三年にある事件に巻き込まれまして、それ以来不動産融資を非常に制約をして今日に来ております。したがって、八千億の融資の中、貸し倒れになりそうなものが二千億ございます。これについては、農林中金が責任を持って不良債権の償却をしていく、こう言っておられますので、なお引き続いて住宅ローンの従来の役割を果たしていける、こういうことを当事者は言っておられますから、それを見守っていきたい、こんな気持ちで今おるところであります。

○江田委員 残すのでしょうと、こうちょっと聞いてみたのですが、本当はこれも怪しいのじゃないかなと実は私は思っておるのです。残せないのじゃないかなという気もするのですが、しかし残すというなら、それは残るものなら残した方がいい。同じようにほかの住専七社も、きれいにスリムにして、ちゃんと存続をさせて悪いことはないんで、それならば、協同住宅ローンの方もこの際きれいにする、スリムにする、そしてちゃんと残っていくということをやった方がいいんじゃないか。なぜ協同住宅ローンだけ別にするのか。まあこれは今までもいろいろ聞いていますから繰り返しませんが、そういう感じもあります。

 残していく、しかしまあどうしてもそれはあれこれのことで残らないということになれば、整理をしてしまうということもあるし、住専七社が全部が一緒じゃないですから、それぞれいろんなものがありますから、残れるものがある、残れないものもあるいはあるかもしれません。そういう仕分けをしながら、住専の一つ一つの会社について、透明性の高い、そして衡平な、そしてきっちりした処理の仕方をするというのが実は会社更生法ということになると私は思っております。

 破産法は、これはもう御承知のとおり全部整理をしてしまうわけで、整理をしてしまうということですから、場合によっては、もう早い整理がいいからかなり乱暴に債務をカットしたり、あるいは取り立てなんかも、難しければそれはもうやめたというふうなことでやっちゃう乱暴なシステムですが、会社更生というのは、これは結構おもしろい法律で、うんちくを傾けるわけじゃありませんけれども、会社更生法というのはアメリカの法制に倣ったようですね。

 つまり、会社というのはやっぱり生きていろいろ仕事をしている、そこに人が集ってやはりそこにそれぞれの個人のいろんな人生がある、ですから、それを全部ばさっと、もう死刑にしてしまうんじゃなくて、やはり大切に考えて更生をさせていこう。

 ですから、エクイティーといいますか、衡平、いろんな債権者のそれぞれの事情、悪質な債権者もおれば、そうでもない、巻き込まれた債権者もいるでしょう。そういういろんな事情をよく勘案しながら、みんなの、機械的な平等、形式的平等でない実質的な平等が図られる、そんな解決の仕方で、しかも会社を残していこうというんです。例えば今だったら、母体行の方は役員まで送り込んでとか、あるいはいっぱい紹介融資なんかもあり、農林系というのはそうでないとか、まあそんないろんな事情があるでしょう。そういう事情を考慮せずに全部包丁で切るようにちょんちょんと切っていくんでなくて、もう少し丸みを帯びた、いろんな事情を勘案した、そういう整理をしようということでございます。

 確かに破産法ですと、母体行の負担が結果的に少なくなって、農協系の金融機関の負担が三兆規模となって多過ぎる、まあそんな難点があるんでしょうが、少なくとも今母体行が三兆五千億円、一般行が一兆七千億円、農林系五千三百億円というところまでは、まだこれもちょっとはてなというところもあるのかもしれませんが、まあ合意ができるということで自信を持っておられるというようですから、これをベースにしていけばむしろ会社更生法の適用でやっていく方がいい。

 会社更生法でいいか悪いかという検討、これはもちろんなさったんですよね。これは大蔵大臣ですかね。

○久保国務大臣 今、住宅金融市場の需要やそれから住宅金融の機関、金融機関、こういうものの力関係、そういうものを見てまいります場合に、現に住専問題が起きてまいります過程で、住専が担う住宅金融の市場シェアというのは非常に小さぐなっていったわけですね。そのことがまた破綻の一因でもあると思っております。

 それで、仮にその部門だけは健全な債権なんだからその事業部門を残せばいいじゃないかということは、当初の住専の設立のときに返れということと同じことになるように思います。それは今のこの時代ではもう立ち行かなくなってきているのではないかなと思っております。したがいまして、住専を整理解消するということを前提にして住専問題の処理に当たる以外にない、これが今回提案を申し上げている基礎的な認識であると思っております。

○江田委員 私が大蔵大臣に伺ったのは、会社更生法による処理というのは検討をされたのでしょうねという、そういう質問をさせていただいたのですが。

○久保国務大臣 法的な破産処理も会社更生法によります場合も、いろいろなケースというのは、当事者間の協議でも、また政府との協議におきましても、いろいろな議論が行われて検討された結果であると思っております。

○江田委員 ちょっと無理な質問というのか、もともとこれを決めるときには大蔵大臣じゃないわけですから。総理もそうなんですが、まあ総理は閣内におられましたからおわかりなんでしょうが。

 自民党で作成されたという「住専問題Q&A」というのが私の手元にあるのですが、「法的処理をすればよいではないか。」こういう問いに対して、答え、いろいろ書いてあるのですが、破産の場合しか書いてないのですよね。会社更生のことについてはこの「Q&A」には出てないので、それでちょっと伺ったのです。それは自民党で政府じゃないと言われるかもしれませんが、もう一度、会社更生法についてはこういう難点があるという検討をされたのかどうか。いいです、お役人で結構です。

○西村政府委員 この住専問題の処理に当たりましては、春から、あるいは夏以降いろいろな場におきまして検討いたしました。それは政府の中でもございますし、与党の中でも検討されたわけでございますが、そのプロセスにおきまして、まず当事者間で問題の解決を図るということの努力がされたわけでございます。そういう当事者間の努力の一つとして、例えば再建型という中には会社更生法を適用する場合もございますし、和議法を適用する場合もございましょう。それから清算型でも破産法による場合と特別清算による場合とか、いろいろなケースを当事者を交えて検討をいたしました。

 ところが、会社更生法や特別清算を行う場合には、多数の人の賛同がなければならない、しかしながら、そういう合意を得るためにはそういう多数の、三分の二以上とかいうような形で多数の方の賛同を得るということはどうも難しいという難点もある。そういう合意が難しいという問題をどうして解決していくか。そういう当事者間の話し合いも長期にわたり熱心に討議されたわけでございます。

 与党の金融・証券プロジェクトチームという場におきましてお話し合いを促されたことも五回ほどございましたが、そういう中でも議論をされたことでございました。

○江田委員 多数の皆さんの合意を得るのが難しいと。しかしここまで合意ができている、まあできているというか、これからまだまだ取りつけるというのか、それは大蔵省が出ていって、さあ判こをつけと言わなきゃ合意ができないという、そういうことですか。大蔵省が例の覚書に基づいて、ゴム判でもいいからとか言って念書をとってこなかったら合意ができないと、合意というのはそういうことを言われるわけですか。

○西村政府委員 私どもは、あくまでもこの問題は、まず当事者間で解決すべき問題である、当事者間の話し合いで解決されることが最も望ましいし、本来そうあるべきであるということで、今回もそのような努力を随分長い間してまいりました。

 そういう話し合いの上に立って、残念ながらそれだけでは解決できませんでしたが、そういう話し合いの成果も踏まえて、最終的に、十二月の段階で与党の政策調整会議の御提案等もありまして、政府・与党が十二月の十九日に一つの提案を民間の方々にも提示をし、それに対して賛同を求めた、こういう形になっておるわけでございます。

○江田委員 その合意ですが、まあ母体行三兆五千億、一般行一・七兆、農協系が〇・五三、ここまでの合意ができていれば、例えば今政府が提案をされているスキームですと、母体行、一般行、それから農林系、それぞれ二兆二千億円ずつ、これは融資をするんですよね。しかも、これは長期、低利でということになっているわけです。しかも、国の場合は六千八百億出しちゃうんですね。それと五十億の出資、機構をつくる費用ですよね、つくって動かしていく。

 そういうものを言われるわけですが、会社更生法ならそういうものは要らないんですね。ちゃんと裁判所というしっかりしたシステムがあって、もちろん管財人に対する報酬とか、これは要るでしょう。あるいは管財事務所にいっぱい補助職員を置かなきゃいけないから、その費用も要るでしょう。しかし、税金六千八百億とか、さらに五十億とか、そんな金は全然要りませんよ。さらに、長期、低利の融資というのも要りません。そして、裁判所の監督のもとで透明な処理が図られていく。しかも、何か預金保険機構にいっぱい裁判官からも呼ぶんですって。検察や警察や、いっぱい集めて、それではっといくと言われるんですけれども、例えば債務者のところへ出ていって、もちろん任意に払ってもらえればいいですが、そうではなくて、いろいろなことをやらなきゃいけないときに、例えば保全処分というのはどうするんですか。これは、法務大臣は聞いても無理ですよね、やはりお役人ですね。

○濱崎政府委員 どういう場面での保全処分かということを、私正確に質問を理解できなかったわけでございますけれども、破産手続なり会社更生手続なりの中での手続において保全処分の規定が用意されておりますけれども、その手続外の方法でやる場合には、それは一般の民事保全法とか、あるいは民事執行の場面でのそういう手続に入れば、民事執行の手続内での保全手続を使っていただくということになろうかと思います。

○江田委員 いや、どうも濱崎さんはごぶさたしておりますという感じになるんですが、ぐあい悪いんですけれども、ここはしっかり聞かなきゃいけません。

 会社更生法ですと、更生の申し立てをして、そうすると更生開始決定というのが出るわけです。そうすると管財人が選ばれて、そこからいろいろと進んでいくんですが、それまでの間でさえ、保全管理人をもう直ちに決めて、そして保全処分をちゃんとやっていけるというそういう手続が用意されているわけですよ。今度のスキームにはそういうものはあるのかないのか。これはどうですか、濱崎さん。

○濱崎政府委員 ただいまお答えしたのもそういう趣旨でお答えしたつもりでございまして、舌足らずだったかもしれませんが、御指摘のように、会社更生の手続の中では債務者の財産を保全するための手続規定が用意されております。

 今回のスキームというのは会社更生手続を使わないわけでございますので、その財産の保全の手続というのは、一般の、ただいま申しましたように、仮差し押さえ、仮処分でございますとか、あるいは執行手続、競売手続に入れば競売手続の中での保全処分といったようなものを駆使していただくということであろうと思っております。

○江田委員 一般の法律ではもちろん適用可能であることは言うまでもないんですけれども、会社更生法の方がずっと迅速に、しかも専門家がてきぱきとやることができる。警察、検察の皆さん方は、それは手荒なことにはなれておられるのかもしらぬけれども、下手をしたら、債権の取り立てを余り警察、検察的なやり方で、的なと言うと語弊がありますかね、本当に民事事件で取り立てをするやり方にしっかりなれている人でない人がやると、これは逆に今度は恐喝的要素なんかも帯びてきたりするんですよね。

 私は、何か強力な、腕力の強い者がいっぱい集まっておれば債権がどんどん回収できる、そんなものじゃないと思うんですよ。本当に知恵比べですからね。そういう民事的な知恵が集積してないとこれはやれるものじゃないんで、その意味からは、むしろ既存の、既に今用意されておる法的整理の仕方の方がずっといい。その中でも会社更生法の方が魂の通った整理の仕方ができる。第一早い。

 利息がすぐとまってしまって、これは住専から貸し手に対する利息ですね、これがすぐとまってしまうので、例えば農林系、もうお手上げになるところがすぐ出てくるなどという、何か、ふん、そうかなと知らぬ者が聞いたらそう思うかもしらぬけれども、利息は十二月期まで払って、三月期はまだ決まってないんだそうですよね。ですから、もうとまるかもしれないのであるいは会社更生法なら利息がとまるんだと。そうじゃないので、裁判所の許可があればちゃんと利息も払えるんですよね。

 あるいは、聞きますと、会社更生の手続の中で債権を回収しできますね。回収してきた債権というのは管財人の度量でいろいろ管理ができるわけで、したがって、会社更生法で回収されたものを例えば農林系に預けるという格好で保管をする。最後、更生計画のときに、その預けたお金は農林系の債務の弁済に充てるということを更生計画の中にちゃんと書いておって、それの認可を受けるとか、そういうようにすれば二兆二千億の長期、低利は要らないし、しかもちゃんと取れる。

 今の五千三百億で済むか、あるいはそれよりふえるか、そこはちょっとわかりませんが、更生管財人が、母体行に責任があるんだ、母体行の責任をあくまで果たさせていくんだというそういう方針のもとに更生計画をきっちりつくっていけば、これは私は、関係者全員が納得できるものはつくれる。

 なぜ大蔵省が自分の手の中で、自分の枠の中でやるのでなきゃだめだと言うのか。三権分立なんじゃないですか。国会ももちろんあるけれども、行政もあるけれども、司法だってあるので、今、申しわけないけれども、大蔵省よりは司法の方が、裁判所の方がよっぽど国民に信頼されていると思いますよ。なぜそれをきっちりやらないのだということですが、総理、私が言っている気持ちはわかりますか、それだけちょっと答えてください。

○橋本内閣総理大臣 私は、今、江田委員がみずからの御体験の中で蓄積された知識とともに述べられたそのお気持ちを全く理解しないつもりはありません。

 ただ、その上で、私は、資産の劣化とか、あるいはその間に発生する新たな金利負担とか、さまざまな要因があるように思います。そして、そういう論議は、このプロセスの中で、私は、大蔵省がではありません、政府部内において、関係各省の議論の中で当然のことながら議論をされておったということは申し上げておきたいと存じます。

 ただ、もう一つの問題点としては、やはりこの問題を、解決が、言いかえれば、損失が確定し、それぞれの負担がはっきりするその時間が余り先に延びることは避けたいという思いは関係者一同にございました。この点も御理解いただきたいと存じます。

○江田委員 それはそうだと思いますね。時間がかかる、その間に金利も膨らんでいく、またいろいろな不測の事態も出てくる。やはり早く確定をし、早く処理をし、そして金融機関初め自由な身になっていく、あるいは土地が動いていく状況をつくる、土地が塩漬けになっているのをやめる、そういうこと、それはそうだと思うのです。ですが、それは会社更生法はだめだという理由にはならないのじゃないかということなんですね。

 農林系が困ってしまう。破産だと確かに負担がかなり大きくなる。会社更生法だとそうまでいかないと思いますが、それでも困ってしまう。総理は、ずっと繰り返し、金融秩序のためであって農林系のことだけじゃないのだとおっしゃいますが、しかし、どこがどういうふうに救済されるかというと、やはり農林系が一番強い、どこがどう危ないかというとやはり農林系が一番危ない、これは事実だろうと思います。私どもも、農林系というものは、これはちゃんと守っていく、そして、農家の皆さん、組合員の皆さんに不測の損失が起きないように考えていく、これは大切なことだと思うのですね。

 ですから、それはそういうことだとして、そして国民の皆さんに我々も説得をし、御理解もいただいてやるということでなきゃいけないので、何かわけのわからぬうちに農林系だけが救われたということになるのは、これはやはり農家の皆さんのためにもならない。

 やはり今、これは農協だけじゃないので、農業全体ですよ。農業という産業あるいは農家の皆さん、農村、そして農協、こういうものも全部、今までの続きじゃなくて、やはり何か変えていかなきゃいけないときが来ているのじゃないでしょうかね、農業政策全体。

 そんな中で、今までの農協のシステムをただそのまま守るためにというのじゃなくて、やはりこれは農協にも体質改善をお願いをしていくというようなこともしなきゃいけない。その意味からも、今までのものをそのままにした解決策ではだめなんだ、国民の皆さんの怒りの声をひとつしっかりと受けて政治家としての決断をするのだという、これが必要で、それは、今のこのスキームを守ることじゃなくて、むしろ、あらかじめ用意されている法的整理だと。ここはちょっと見解が違うということになるのかもしれませんが。

 さらに、もっと言いますと、国民の税金を使わないとか、あるいは長期、低利の融資も要らないとか、それだけじゃなくて、民事、刑事の責任をちゃんと管財人が追及をする、うやむやに終わらないとか、今回のスキームと比べると責任追及の面で本当に雲泥の差、天と地ほどの差があると私は思いますよ。

 例えば、管財人には否認権の行使という方法があります。この否認権は、破産ですと訴えとか抗弁でしかできませんが、会社更生ですと請求ということでできます。この違いは、これはもちろんおわかりですね。濱崎さん、ちょっと説明してみてください。

○濱崎政府委員 突然の御質問でございまして、余り正確にお答えできるかどうかわかりませんが、御指摘の否認権という制度が会社更生手続においては設けられておりまして、債務者の財産が不当に流出した場合に一定の範囲内でそれを取り戻すことができる、そういう権利が管財人に与えられているわけでございます。

 なお、申しわけございませんが、先ほどの保全処分との関係で御答弁申し上げたことを若干、若干といいますか、場面を取り違えておりましたので訂正させていただきたいと思いますが、会社更生手続で、破産宣告前であっても債務者の財産の散逸を防ぐための保全処分をすることができるわけでございますが、今回の法案で想定されているスキームにおきましては、債務者すなわち住専の財産の散逸という観点からは、債権処理会社が住専の持っている貸し金債権その他の財産を譲り受けるということによって、譲り受ければそれ以上散逸するおそれがないという形によって処理されるという関係にあるものと思っております。訂正させていただきます。申しわけありません。

○江田委員 今、私、訂正の部分じゃなくてその前のことですが、否認権というのは訴えか抗弁、これは破産法。これは訴訟手続になるわけです。訴えなら否認権を行使する者が原告だし、抗弁なら被告だし、訴訟手続になる。ところが、会社更生法では請求でいいとなっているのはどういうことかというと、会社更生手続の中の請求で、後は決定で、つまり口頭弁論だ、証拠調べだということでない、もっと簡便な方法で否認権の行使ができるというそういう処置になっているわけです。

 そんなこともありますし、あるいはこれは、後これからだんだんそっちの方へ入っていきたいと思いますが、損害賠償請求権査定の申し立てというのがあるのですよ。これはなかなか大したものでして、すぐれものなんですが、例えば住専の取締役の皆さん、監査役の皆さんがおられますよね。この皆さんに対して、住専という会社の仕事を処理するのにいささか手落ちがあったじゃないか、忠実義務に違反しているじゃないか、そうするとその取締役に対しては損害賠償を会社は求めることができるわけです。

 きょう午前中でしたか午後の最初かな、何かそういう質問があって、この問題について答弁もあったようですが、これから詰めていきたいと思うのですが、そういう損害賠償請求権の査定の申し立てを更生裁判所に対して管財人がやるのです。そうすると、各取締役の皆さん方、監査役の皆さんは、訴えでその損害賠償額を決めるのではなくて、更生手続の中で損害賠償額や何かが決まっていく。しかも、これは管財人が決まる前、つまり申し立ててから更生開始決定が行われる前、その間に保全管理人を決めて、その保全管理人が申し立てて、しかもそれについて保全処分もできるという、各取締役、監査役などですよ、こういうこともできるとなっているのです。今度のこのスキームにそういうものがどこか片りんでもありますか。

○西村政府委員 まず、住専と住専にお金を貸しております金融機関との関係の問題について今議論がなされておる、こういうふうに理解した上で……(江田委員「いや、今言っているのはそうじゃなくて、住専とその住専の役員との関係」と呼ぶ)はい。

 したがって、住専に対してお金を貸しておった、あるいは住専そのものの役員の問題、もう一つは住専がお金を貸しておったところの債権債務関係、この二つの問題に明確に分けて議論がなされる必要があろうかと思うのでございます。

 まず、その今お尋ねの件につきましては、住専処理機構は住専が持っておりました債権債務を引き継ぐわけでございますが、その中には損害賠償請求権を貸付債権等とともに住専から譲り受ける、このようなことになっております。したがいまして、住専が持っておりました役員に対する損害賠償請求権、そういうものもこの住専処理機構が引き継ぐという考え方をとっております。

○江田委員 それはちょっと、どうせそこへ質問が行くからと思っておられたから質問を勘違いして聞かれたのかもしらぬけれども、早とちりなんですね、早く答え過ぎているんです。そこまで行っていないんです、まだ。

 私が聞いたのは、今の損害賠償請求権査定の申し立て、しかも、更生開始決定が出る前であっても、保全管理人を任命して、その人がこの申し立てをして、しかも保全処分までやるということが、会社更生法の中にはそういうシステムがあるんですが、そのようなことが今のこのスキーム、今のこのというのは政府が出しておられるスキーム、法案もきょう出てきたようですが、そうしたものの中にありますかということを聞いたのです。

 同じ質問を何回もしていると時間がかかってしょうがないので、よく聞いていてください。

○西村政府委員 江田委員と法律問題について御議論をいたしますのは大変荷が重いのでございますけれども、私どもは、今おっしゃいましたようなことが必ずしもこの住専の役員……(江田委員「あるか、ないかと聞いているのですから、ないならないと答えてくださいよ」と呼ぶ)ないと理解しております。

○江田委員 ないんですよね。ですから、それは、そういう会社更生法というものの、いろいろ用意されている、ほかにもいっぱいあるのですよ。例えば、送達なんというのがありましてね。これ、総理、送達なんというのは本当に専門家じゃないと、書類を届けるのですけれども、これは普通だったら、届けないと、それで、ちゃんと届いたということが証明できないとなかなか前へ進めないのですが、会社更生法はそんなのも普通の郵便で送ればいいんだ、それで普通の郵便が届くであろうときに届いたとみなすんだという規定までちゃんとできているわけで、どんどんどんどん進めることができるのです。本当によくできたものがあるのです。現に用意されているのですよ。

 お配りしている紙、これは簡単な紙ですが、大蔵省、農水省がそれぞれ指導して、銀行、農協、そこから融資が出て、住専七社、そこへ来ている。そこに行政責任もあるし、あるいは民事、刑事の責任も出てくる。その住専七社に管財人を置いて裁判所が監督して、その管財人がそれぞれの融資をしているものをちゃんと処理をしていく。そこに責任もあるし、民事、刑事の責任追及もそれぞれある。不良債権については、管財人が、不良債権となってしまった借り手、これも場合によっては破産をさせたり会社更生をさせたりということになって、そうするとそこへも管財人が送り込まれて、そして全部これを裁判所が監督をしながらやっていくわけです。警察、検察の役割もあるでしょう。暴力団が出てきたら、そこへ管財人が待ったをかけるようなこともできるでしょう。

 こうしたことが全部きっちりできて、しかも、先ほどちょっと言いましたような、回収できたお金の管理の方法などを通じても、債権者に対していろいろな説得の道具も用意できるわけですし、また母体行、一般行、農協系、それぞれ更生決定の中で決められた額を放棄をしますが、その放棄は解除条件つきとすれば、放棄したものだってさらにお返しできるというような形にすれば、そうすると、こういう債権者の皆さんもずっと安心する。

 東京地方裁判所、大阪地方裁判所民事部にそれぞれ住専関連の特別部をつくるとか、そして、これも申し上げましたが、破産管財人事務所にちゃんと専門の補助職員をきっちり置いてやるという、そういうやり方でやれるのに、なぜそれをやらずに、しかも、住専それぞれまだ優良なちゃんとした債権があるのに、そして仕事もある、本来の住専の使命もあるのに、なぜ整理をしてしまわなきゃならぬかというと、私は、やはり整理をしてしまって住専処理機構に移さなきゃならぬと思った別の理由があるような気が実はするんですよ。

 これはあるいは、そんなことはないと総理お怒りになるかもしれませんけれども、本当にそんな気がして、国民が皆そのことを疑問に思っているんです、疑っているんです、これは。それが何かといいますと、さっきの損害賠償請求査定のことや何かと関係するんです、それは。本当に民事、刑事の責任を追及する気持ちがあるのかという。

 与党三党の合意がありますね、この何か分厚い資料の中で。どこでしたか、「住専問題の処理について」で、一の(c)項ですか、「民事上・刑事上の責任」「住専処理の過程で発見される民事上・刑事上の責任は厳格に剔抉されるべきである。」という、剔抉なんというのは、昔何か受験勉強の時代に読み方を習ったような難しい字ですが、なかなか味わいのある言葉でちゃんと書いてある。それはそれで多とします。しかし、本当にそれをやるんですか。

 例えば私、刑事上の責任のことをちょっと聞いてみたいんですけれども、お出しいただいた資料の「住宅金融専門会社七社に関する平成三年ないし平成四年の第一次立入調査結果(個別貸付先の財務状況等)」で、ぱっとめくりますと、これは日本住宅金融株式会社の項の、あっ、そうだ、きのうですかおとといですか、だれか聞いていましたね、海江田さんか。法人税の偽造納税証明書を利用されて、担保物件に国税庁の先順位債権があるのを見逃したというケース。いや、ほかにも似たようなのはいっぱいあるんですが、これなんか公文書偽造ですよね、公文書偽造。これは告発をされるのかされないのか、これはどうですか。

○西村政府委員 告発という意味でございましたら、今の住専が告発することも可能なわけでございますけれども、引き継ぎました住専処理機構が告発するということもあり得ると思います。

 なお、先ほどからの御議論で、どうも私どもと少しすれ違いがあるかなと思いますのは、先ほど橋本総理も御説明されましたように、我々の今回のスキームの前提は、住専というものは整理、清算しなければならないという現実から出発しておるわけでございまして、委員御指摘の会社更生というのは、会社を存続させるという前提での御議論だろうと存じますけれども。したがいまして、私どもの御説明が必ずしも御指摘と合わない点があるとすれば、その前提、出発点において違いがあるからかと存じます。

 なお、その点に関しまして、既に一番初めに提出いたしました資料で、例えば四十二ページでこの住専の実態をごらんいただきますと、関係者が整理、清算ということを前提にせざるを得なかった事情をおわかりいただけると存じます。

○江田委員 もう議論を蒸し返してやってもしようがないので、そこは、皆さんがそういう気持ちでやられていることは、こちらはわかっているわけで、しかしそれでいいのかということも聞いているわけですよ。それは、住専を全部整理しなきゃならぬ理由があるんじゃないかと実は思っていると今言っているわけで、その理由というのは何だということをこれからちょっと聞いてみたいなと思っているわけですが。

 偽造ですね、これ。それで、刑事訴訟法二百三十九条は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」こう書いてあるんですよ。これはあれですか、飾りですか。何か、することになろうかと思いますとか――なろうかと思うとかじゃない、「ならない。」と書いてあるんですがね。これ、どうなんです。

○西村政府委員 私どもが告発をするかという意味でのお尋ねでございますれば、私どもは告発すべき事実及び確信を得ましたら、私どもの立場で必要な措置をとる、こういうことになろうかと思います。

○江田委員 それは、それぞれお立場、お立場、いろいろあるから、物の言い方いろいろあると思うけれども、国民が今のあなたの言うようなことを聞いたら、これは本当にやる気があるのかなという、何かやっぱりやましいところがあるのかなというような勘ぐりが出てきますよ。

 公文書偽造というのは、これは刑法百五十五条でしたか、一年以上十年以下、刑訴法二百五十条三号ですから、長期十年以上で七年の時効ですから、早くしないと時効になっちゃいますよ、早くしないと。

 それで、商法の特別背任、これは五年で時効なんですよね。ですから、今九六年ですから、九一年、日々時効で逃げていっている。どうしますか、これは。

○西村政府委員 私ども、いわば監督の立場にある者として、適切な措置をとらなければいけないという気持ちで取り組んでおりますことはお認めいただきたいと存じますが、他方におきまして、今回の住専の調査につきましては、調査ということではございますが、銀行検査の場合に、検査の結果を犯罪捜査のために用いてはならないというような法律の明文上の規定もございまして、調査とか検査とかいうものの性格というものをも御理解いただきたいと存じます。

○江田委員 犯罪捜査のために用いてはならぬことはよく知っています。犯罪捜査のために調査に行ったわけじゃないでしょうから、その規定にはあなた方違反していないことはよくわかっています。しかし、その職務を遂行していく中で犯罪が発見されているんじゃないですか。

 与党の方は時効のことを何か議論されているようですが、刑事の時効を議論しておったら、どうもやっぱりこれはまずいというので民事の時効の方にひょいっとすりかえてというように私には見えるのですが、違うかもしれませんが。

 刑事の関係の時効の延長というのは、やっぱりちょっと無理がありますね、総理、残念ながら。やっぱり、事後法で憲法違反の疑いがどうしたって出てくるから、刑事は。これはしようがない。しょうがないけれども、だったらやっぱり迅速にやらなきゃ。今の公文書偽造なんか何をか言わんやですが、もっとあるんですよ。

 去年の臨時国会のときでしたか、山口敏夫議員が議論になりましたね。あれは、回収の見込みのないところへそのことを知りながら貸しちゃったら、まあいろいろほかの要件がありますが、背任になるよと、貸せと言ったら背任の共犯になるよということでしょう。回収の見込みのないところへ貸したら背任で、それを貸せと言ったら背任の共犯になる。母体行も含めてですよ、紹介融資をしたような銀行も含めて、私は、商法の特別背任あるいは刑法の背任に当たるような事例というのはかなりあるんではないかと思いますよ。この追及をやる気があるのかないのか。総理、これは覚悟の点をひとつお示しください。

○橋本内閣総理大臣 私どもは、議員が言われましたように、刑事、民事いずれの場合でありましても、違法なものはそれこそ、剔抉という難しい言葉は私使うつもりはありません、むしろ本当に一つでもきちんと処理をしていかなければならないという覚悟でこの問題に当たっております。

 それだけに、できるだけ早くそういう体制をつくって取り組めるようにしていただきたい、心からお願いをいたします。

○江田委員 いや本当に、例えば相手先の調査が不十分であったとか調査を全然していないとか、紹介融資とか仕手株の失敗なんかまであるんですね。回収の見込みのない融資、追い貸し、利息上乗せ貸し、リベート、粉飾、まあまあいろいろ挙げていけばもう切りがない。総理も慨嘆をしておられましたがね。本当に……(発言する者あり)いや、つぶすのがいいのかどうかという話は、しかも、そのつぶし方がどういうつぶし方がいいのかというのはまたいろいろ議論があるんです。いろいろあるんですけれども、刑事の問題はやれます、これはやれます。しっかり本腰を入れてやっていただければやれます。

 民事の方は、私は本当にこれはいぶかしく思います。本当にやる気があるのかどうかいぶかしく思います、残念ながら。商法二百六十六条、取締役、監査役その他がその忠実義務に違反をして会社に損害を与えている場合に、会社に対してその賠償をしなきゃならぬ。この責任の追及を本当にする気があるのかどうか。これは……(発言する者あり)第三者は二百六十六条ノ三ですよ。弁護士でしょう、あなた。ごめんなさい、ちょっとあっちとけんかしちゃいかぬ。

 本当にやる気があるのかどうかで今先ほどのお答えを聞いていると、債権譲渡でその責任も住専処理機構の方に移すんだという、そういう答えでしたね。

 それはこの、今出てきたばかりというか、これは閣議決定、国会にまだ出ていないのかな。もう出ていますか。この法律の中ではどこにそれが書いてあるんですか。

○西村政府委員 「預金保険機構の業務の特例」といたしまして「特定住宅金融専門会社からその貸付債権その他の財産を譲り受ける」となっておりますが、その中には先ほど申し上げましたような損害賠償請求権をも含んでおる、したがって、それに基づいて住専が損害を受けた場合のそれに対する請求権も引き継ぐ、こういう理解をしておるところでございます。

○江田委員 これは債権等の譲渡で財産の譲渡と、こうなるのだろうと思いますが、あれでしょう、私の理解では、それぞれの住専がいろいろ経理上の処理をちゃんとやって、どれだけの債権を譲渡をしますということをきっちり整理をして、それに数カ月かかる、そして、これだけのものを譲渡ですよといってちゃんと住専処理機構に渡すと、こうでなけりゃ、何かうちの債権は全部譲渡だよというんで、それで全部移るとかそんな話じゃないと思いますよ。ちゃんとやはりきちんと処理をして譲渡をするんだろうと思いますが、そういう処理をやるんですか。

○西村政府委員 政府部内で関係者の間で検討いたしまして、そのような処理ができる規定になっているということを確認をいたして、先ほど申し上げたような理解をしておるところでございます。

○江田委員 いやいや、ちょっともう一遍聞いてください。

 ちゃんと債権を譲渡するのですから、借り手はこことこことここで、それぞれの案件ごとの債権がこうあって、担保がこうついていてとかいうのが全部あって、さらに、だれそれ取締役についての損害賠償債権、だれそれの損害賠償債権と、ちゃんとそういうものが全部きっちり一覧になって、そして譲渡をされるという、そういう処理の仕方でしょうと言っているのですよ。

○西村政府委員 先ほど申し上げましたように、住専の役員や紹介融資を行った金融機関等に対する住専の損害賠償請求権は、貸付債権その他財産の一部として、他の資産とともに一括して住専処理機構に譲渡し得るという理解のもとに、当該損害賠償請求権は、譲渡の時点において賠償の金額や具体的内容が特定されている必要はなく、賠償の相手や不法行為の事実がある程度特定されていれば足りる、そのような理解をしておりますので、問題はないと思います。

○江田委員 ちょっと、どの程度特定するのですか。もう一遍。

○西村政府委員 先ほど申し上げました、引き継がれる損害賠償請求権は、譲渡の時点において賠償の金額や具体的内容が特定されている必要はなく、賠償の相手や不法行為の事実がある程度特定されていれば足りるという理解をしております。

○江田委員 賠償の相手というのは住専のことですか。賠償の相手とは何ですか。

○西村政府委員 賠償を請求する相手というのは、今申しましたのは……(江田委員「賠償する相手じゃなくて、賠償を請求する相手ね」と呼ぶ)

○三野委員長代理 委員長の許可を得て発言してください。

○江田委員 はい、済みません。

○西村政府委員 私が申し上げましたことをもう一度読みますと、当該損害賠償請求権は、譲渡の時点において賠償の金額や具体的内容が特定されている必要はなく、賠償の相手や不法行為の事実がある程度特定されていれば足りると申し上げたわけでございますが、その賠償の相手というのは、賠償を請求をする相手という意味でございます。

○江田委員 何か急ごしらえの文章のような感じですよね。賠償の相手というと、普通だったら賠償……(発言する者あり)まあいいですよ、それは。わかった。

 いや、本当ですかね、しかし。損害賠償を請求する、この人、この人、それで不法行為の事実のあらまし、そんなことで、それでいいのか。

 あるいは、もっとずっと調査を、これは秋ごろまでの間の調査でそういう事実を明らかにして、それで損害賠償を請求する相手を特定して、そして譲渡するというようなことですが、では、だれがやるのですか、それは。だれがそういう整理をするのですか。

○西村政府委員 整理とおっしゃいましたのは、住専処理機構がそのような任に当たるという御趣旨と承りました。

○江田委員 ちょっと今、質問が僕も悪かった。ごめんなさい。

 そういう債権譲渡をするときに、金額とか具体的内容までは特定をしていなくても、だれが賠償の相手とか不法行為の事実とかをちゃんと整理を、何という言葉でしたかね、それを特定して、そして債権譲渡をする。そういうその賠償の相手とか不法行為の事実を特定して、そして、どういう言葉で言うのですか、それぞれの譲渡する債権を特定をする仕事はだれがするんですかと言うんです。

○西村政府委員 それは、住専からその資産を住専処理機構が引き継ぎました後でございましたならば、住専処理機構が行う、こういうことになろうかと思います。

○江田委員 債権譲渡でしょう。何を譲渡をされたかを、譲り受けた方が後から決めるんですか。何ですか、それは一体。

○西村政府委員 住専の資産を住専処理機構が引き継ぐわけでございますが、その際にある程度特定するのは、住専が特定すればいいかと存じます。

○江田委員 そうでしょう。住専がやるんでしょう。それは住専がやらなきゃ、ほかにだれもできない。

 そこでなんですよ、総理。住専の役員が、自分の前の役員とか今の役員とか、これは監査役が監査しているのが適当な監査だってありますよ。そういう住専の役員が自分のところの役員に、あの人に請求する、この人に請求するなんてことを、そんなことをやれると国民はとても信じられないですよ、それは。

 総理、どうです。総理、一人の国民となって今の役人の方の――それがちゃんと住専の役員が自分の身内のことを、そんなことをすると思いますか。大体これは自己契約とか双方代理とか、そういうようなことで、そもそもそんなことは許されないんですから、法の精神として。いかがです、総理。

○橋本内閣総理大臣 大変申しわけありません、法制局長官から専門家の耳打ちがありましたが、専門家過ぎて私にはよくわかりませんでした。

 ただ、いずれにしても、債権債務を住専処理機構に移します段階で、住専は当然ながら、私は良心を持って行動すると思いますけれども、委員が指摘をされたようなケースが全くないとは私も言えないと思います。

 その場合に、債権債務を引き継ぎました住専処理機構並びにそれを監督する預金保険機構において、それぞれを精査する過程におきまして役員等に問題がありました場合には、当然ながら、その時点において、住専処理機構、場合によりましては預金保険機構がその権利を行使するということは否定されていないと私は思います。

○江田委員 住専処理機構とか、あるいは預金保険機構にこれから置かれるところとか、そういうものがそれぞれの住専がちゃんとした仕事をするのをチェックして、そして、住専が自分の身内のことを処理するのに身内だからといって甘いことがあっちゃいかぬ、そういうことのないようにする、それはできると思うのですよ、そこは。

 だけれども、それは事実上のことであって、それだってやはり隠せば隠せてしまうようなところはあるだろうと思うのですよ。これは、今回の住専の一連のことを見ていましたら、もういっぱい出てくるんだと思いますよ。本当に、もうみんな取締役がごろごろ、これはひっかかるんだろうと思いますよ。

 まだ刑事事件は故意が要りますから、それは、いや悪気じゃなかったんだということも、それだって悪気のケースもあると思うけれども、まあ悪気じゃなかったというのはあるでしょう。しかし、民事事件の方はそうじゃないんで、忠実義務違反ですから、忠実義務違反はいっぱいあるだろうと思うんですよ、本当に。ですから、民事の責任、これは厳格に剔抉されるべきであると与党で合意をされているんだったら、こんなものじゃだめだと言わなきゃいけない。

 私は、きのうおとといあたりからずっと大蔵省の説明を受けてきて、これはちょっと、まあこんなところで言うのも変ですが、説明が変わってくるんですよ、大蔵省の方の。やはり与党の皆さんも頑張られたんだと思いますよ。与党の皆さんも頑張られて、これじゃだめだと言って突っ返したんだと思いますよ。だけれども、突っ返してもまだこれでは、与党の中でそういうことにきっちり認識を持っておられる皆さん方がもし納得をしたんだとすると、これじゃ民事の責任は全部逃れてしまう。先ほどどなただったか、恩赦令と言いましたか、私は、これは壮大なる免責機構だ、住専処理機構じゃなくて住専免責機構だ、そう思いますよ。本当だったら、ここでこれは審議をとめなければいけないところだと思いますけれどもね。――法制局長官が何か言いたそうですから、どうぞ。どうぞと私が言うのじゃない、委員長、どうぞ。

○大森(政)政府委員 本日閣議決定をいたしました法案のスキームに関することもございますので、法案審査に当たりました法制局の立場として若干お答えを、御説明を申し上げたいと思います。

 債権の回収強化策についてのお尋ねでございますが、立場が異なりますので、委員が求められるほどの強度なものであるかどうか、御満足をいただけるものであるかどうかについては、見解の相違もあろうかと思いますが、今回の法案で仕組んでおりますスキームの中で、損害賠償請求権の処理の問題でございますが、御承知のとおり、債権の譲渡ということになりますと、債権の譲渡者と譲り受け人の間の合意が要ります。そして、その旨の債務者に対する債権譲渡の通知が要ることは、委員御承知のとおりだと思います。

 したがいまして、債権譲渡、損害賠償債権の譲渡のためには、だれが債務者であるかということは当然ある程度確定していなければいけませんので、その程度のことは判明しておらなければそもそも不法行為債務の譲渡ということはあり得ないわけです。

 そこで、今回は、十六条におきまして、「機構は、第三条第一項第二号から第八号までに掲げる業務を行うため必要があるときは、債権処理会社に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。」ということで、住専会社だけにゆだねるのではございませんで、預金保険機構の立場でそういう不法行為債務が発生しているのではないかということを積極的に探知し得る根拠規定を設けているわけでございます。

○江田委員 これで本当にできるか。だれが一体そういう整理をするのか。住専がやる、住専が身内に対してやる。後から出てくるのだってありますよ、多分。従業員に対する責任追及だってあるだろうし、母体行側にもいろいろあるかもしらぬし、借り手の方にもあるかもしれないし、じゃ、借り手が借り手の取締役に対して、あるいは監査役に対して責任を追及しなければならぬ事案というのを住専側ならできるというようなケースだってあるかもしれませんよ。

 これは総理、本当だったら住専の株主が株主代表訴訟でやれるケースがいっぱいあるはずなんですよ。ところが、住専の株主というのは、これは全部母体行でしょう。母体行は紹介融資まであれこれやっておいてまさかやるわけないとか、なかなか市民が責任追及しにくい構造になっているところへ持ってきてですよ、今度これで住専をつぶして、住専処理機構に移して、そして確かにそれは何人か血祭りに上げるというようなことはあるかもしれません。しかし、あとの人はみんな免責、逃れていく。免れて恥なきというのはこれなんじゃないか。

 私は、だから大蔵省がつくった壮大なこのシステムの中でやっているのじゃだめだ。まさに官権じゃなくて民権の出番なんじゃないか、そのことを聞きたいのですが、まあやめておきましょうか。一言、田中長官、答えられますか。いいですか。いや、本当にそう思いますよ。ここで頑張っていただきたいと思いますよ、本当に。

 もう時間がありませんが、ここへ投書が、まあ新聞の投書を読み上げるのもどうかと言われれば― それでもやはりこれはぜひ読んでおきたいと思いますよ。

 東京都の方で、夫の経営していた従業員十人にも満たない町工場が倒産して二年になります。役所や銀行、親会社以外、債権者はほとんど関連の業者仲間。「必ず返済する」との夫の言葉を信じ、「返せ」と押しかけてきた業者は一軒もありませんでしたが、工場を明け渡し、家も土地も競売に付され、生命保険すら解約。自殺もできないからと、夫は五時起きして図面を引き、仲間の好意で借りた工場の片隅で文字通り身を粉にし、日曜も祝日もなく働いております。毎月、たとえわずかでも都合のつく額を、今も債権者に返し続けております。

  夫はバブルに狂ったわけでも、金もうけに走ったわけでもありません。納得のいく機械作りに心血を注いでいただけです。資金繰りにほんの少しつまずいただけで、銀行にも親会社にも情け容赦なく切り捨てられ、今届くのは払えぬままの固定資産税と国民健康保険料の督促状ばかり。

  「住専」に怒らずにおられましょうか。怒りは日々募ります。わが夫のような思いをしながら、黙々と税金を納めている人たちが、全国にどれほどいることでしょう。

  バブルで散々甘い汁を吸い、なお平然と国民の血税を当て込む企業にも銀行にも、それを助けている官僚や政治家にも、「恥を知れ!」と言いたい。

投書です。

 さらに、こういうシステムで住専をつぶして処理機構になんか移して、免れて恥なきというのをそのまま許していたら、これは私はとんでもない、後世私たち政治家はどう謝っていいかわからぬ。ですから総理、私は、今国民の怒りをちゃんと受けて本当に政治家が決断をしろ、こんな甘やかし、こんなあいまいな処理の仕方はだめだ、こう言っているわけですが、最後に総理の覚悟を聞いておきたい。

○橋本内閣総理大臣 司法の専門家としての立場からの委員の真剣な御議論、その立論は私も真剣に聞かせていただいたつもりであります。しかし同時に、私どもがこの何カ月かの間、この問題に真剣に取り組まなかったと思われることは心外であります。

 そして、議員は会社更生法を中心にした考え方の中で、これに対しての対応を御論議をいただきました。本日までに、破産法を適用すべしということから議論を展開をされた議員もおられます。それぞれに私は、そのお立場からの議論は真剣に拝聴させていただきました。同時に、政府としてぎりぎりまで当事者の話し合いを進めながら積み上げてまいりました結論は、現在御審議をいただいておる中身であります。これに対して、世論に厳しい御批判のあることも承知をいたしております。殊に情報開示がおくれました分、その厳しさは強いものがあります。

 私どもとしては、その理由を一生懸命これからも御説明をしながら、先ほど来議員が述べられたような、すべての悪が逃げ出すような組織にならないように全力を尽くしてまいるつもりでありますし、ここにおります官僚諸君も、議員の御議論を聞いておりまして何らかの思いをそれぞれ胸に秘めたと私は思います。ぜひ御協力をいただき、効果が上がるように、今後ともに御支援をお願いを申し上げます。

○江田委員 会社更生法ならそれができるということを申し上げて、終わります。


1996/02/09

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