1993/12/09

戻るホーム主張目次会議録目次


参院・予算委員会

○国務大臣(江田五月君) 国会決議は、これは国権の最高機関たる国会の意思表示でございまして、私も参議院にも籍を置かせていただいたこともございますし、衆参問わず大変重要で、尊重していかなきゃならぬものだと思っております。

 そういうことを踏まえまして、八党合意覚書では、一つはウルグアイ・ラウンドは成功させる、しかし同時に例外なき関税化には反対をする、こういう二つのことを約束したわけでございます。さらに加えて三つ目、農林漁業の再建等というものも目標に加えでございます。

 そういうそれぞれの国の要請に従って外交交渉が行われてきたわけでございますが、外交交渉はこれはまた憲法によって、七十三条二号ですか、内閣の権限、「外交関係を処理すること。」ということになっているわけでありまして、そういう国会の御要請というものを踏まえながら内閣が国際社会の中で外交を行っていく。

 ウルグアイ・ラウンドを成功させなきゃならぬという、これも大きな要請の一つでございます。日本はこれは当事者なんで、日本もウルグアイ・ラウンドを成功させ、国際通商秩序をつくっていく当事者としてこれまでやってきたわけで、これは細川新政権、これまで国がやってきたことを基本的に引き継ぎながらさらに外交関係をつくっていくということでやってきたのだろうと思っておりまして、そういういろいろな要請がここへ来てぐっと集約されて一つの合意に今近づきつつあるということだと私は思っております。

 したがって、例えば国会決議にじゃ一言半句たがうところはないかと言われると、それはなかなかそうはいかないけれども、しかし、最大限そういうものを踏まえてここへ来たと思っておりまして、これからいよいよ国の最終的な意思決定というときには社民連として、衆参予算委員会に完全に私はとられておりますので、党内の議論が進んでいるところだと思いますが、この政府のやってきていることをしっかりと支えてまいりたいと思っております。

○片山虎之助君 各党でかなり差がありますですね。ただ、一〇〇%国会決議や八党覚書に合致しているという御意見はない。趣旨や精神には沿っているというのもありますし、しかし合致していないという意見も中にありました。

 外交交渉事で努力しているんだからと、こういうお話でございますが、我々もウルグアイ・ラウンドの成功はぜひ必要だと考えている。しかし、それは米の犠牲の上でなければその成功がないのか。ウルグアイ・ラウンド全部の中で農業はほんの一部分、その農業の中で米はさらに一部分であります。しかし、それを切り捨てるということもないけれども、犠牲にしなければ全体の成功がないのかな、こういう気がいたしているわけであります。


○片山虎之助君 この補正予算につきまして自民党は衆議院で組み替え動議を出しましたが、これは入れられなかったわけであります。今回の緊急経済対策、それに基づく補正予算、ともに不十分で内容にも問題を含むものもございますので、現段階では我が党としては直ちに賛成しがたいことを申し上げて、この質問を終わりたいと思います。

 続いて税制改革でございますが、十一月十九日、政府税調は総合的税制の見直しということで答申を発表されました。それについての評価をまず総理からお願いいたしたい。

○国務大臣(細川護煕君) 税調の答申におきましては、高齢化社会に向けて総合的な観点からバランスのとれた税体系というものを構築していかなければならない、そういう方向が示されたわけでございまして、まことに適切な御提言である、そのように受けとめております。

○片山虎之助君 総合的な税制の見直しというには、九月の初めに諮問を受けて十一月の半ばに答申するというのは私はやや拙速ではないかと思うんですが、総理、これは特別の意図、目的がおありだったんでしょうか。

○国務大臣(藤井裕久君) 税制調査会のあり方は御承知のとおりでありまして、三年でこの任期をやっておりまして、三年目に中期答申という形で最後の物の考え方をおまとめいただくものであると考えております。したがいまして、この三年間の御検討なさった総決算だと思っております。

 同時に、新内閣発足後、総理がみずから出られまして、所得税減税を含む税体系のあり方ということを御諮問になったという経緯もあり、そこいらに焦点を置いて三年間の検討の成果をお出しになったものと考えております。

○片山虎之助君 今回の答申は、所得税、住民税の減税をやる、中堅所得層を中心に減税をする、それとともにその六五パーぐらいを五〇パーぐらいにする、それと消費課税をアップしてウエートを上げる、こういうことでございまして、それを全体として一体的に成案化する、こういう答申なんですね、要約すれば。

 そこで、この減税、増税についてどういうふうにお取り扱いになるのか、まず総理から今後の取り扱いとスケジュールをお聞きし、また申しわけないんですが、各党の代表の御年長の五人の方にそれぞれ所見を増減税について申し述べていただきたいと思います。

○国務大臣(細川護煕君) 先ほど申し上げましたような方向を踏まえて六年度の税制改正の中で取り組んでいくということでございます。

○国務大臣(山花貞夫君) 今日の経済情勢等を考えるならば結論として減税は行うべきではなかろうか、こう考えております。

 具体的には今お話しのとおり、これからの税制改革、まず具体的にこれから議論が進むテーマと、こう考えております。

○片山虎之助君 増税はどうですか。

○国務大臣(山花貞夫君) 全体的には、六年度の税制改革、そしてその後の議論ということになると思っております。

 減税をやったからすぐ増税ということでは国民の理解は受けられないのではなかろうかと現在の段階では考えております。

○国務大臣(羽田孜君) 今、山花大臣からお答えしましたこと、私もほとんど変わっておりません。

○国務大臣(石田幸四郎君) お答え申し上げます。
 私どもも所得税減税の必要性は痛感をいたしておりますが、それが直ちに消費税アップにつながってはならない。やはり将来の福祉ビジョンをどういうふうに確立をしていくか、その状況の中でこの税制改革の問題が議論をされるべき問題だと。直ちに直結ということは考えられないと思うのでございます。

○国務大臣(大内啓伍君) 残された景気対策といたしましては、一定規模の減税及び特に土地、住宅等の流動化対策、これが一番重要ではないかと思っております。

 しかし、減税と抱き合わせで消費税を引き上げるということは減税の効果を減殺いたしますし、また今日の不況下においては好ましくない。と申しますのは、大体消費税一%で一兆四千から一兆八千という税収でございますが、これをやった場合にはまさに消費者が直撃をされまして、今日の個人消費の停滞に拍車をかけるという意味で好ましくないと考えております。

○国務大臣(江田五月君) 未曾有の大不況でございまして、手を打たなきゃいけないといろんな手を打ってきたわけでございますが、今のお話の土地の流動化を増していくとか、そして所得税減税についても本当に効果があるのかという議論もあるところではありますけれども、しかし、やはりそういうことを言っているときじゃないんで、考えていかなきゃならぬと思います。

 しかし、減税する以上、一体財源はどうするかという議論は当然あるんですが、やはり所得、消費、資産のバランスのとれた税制をつくるにはどうしたらいいのかこういう観点で来年度以降の税制改正の中で考えていかなきゃいかぬと思っております。

○片山虎之助君 今お聞きしますと、減税についてはおおむね御賛成でございますが、増税については慎重論もかなりある。

 総理は、来年度の税制改正大綱ですか、その中でお決めになる、こういうことでございますけれども、例のAPECでクリントン大統領と総理が首脳会談をされたときに、所得減税を先行して景気対策のためにやるんだ、こういうことを言われたとかというふうに伝えられておりますけれども、いかがですか。

○国務大臣(細川護煕君) そういうことは申しておりません。

○片山虎之助君 そこで、総理は来年度の税制改正大綱の中で決めると言われたんですが、税制改正大綱は内閣が決めるんですよ。総理大臣がリーダーシップを持ってお決めになるので、大蔵省が決めるわけじゃないんですから。その中で決めると、もうすぐ決めないといかぬのですから、総理としては大体どういうお考えですか減税と増税について。

○国務大臣(細川護煕君) 今、税調での御審議もまだいただいているところでございますし、その御論議を踏まえて最終的に判断をさせていただきたいと思っております。

○片山虎之助君 それではそれを待ちますが、そこで、地方税源の問題です。
 総理は大変熱心な地方分権論者。地方分権というのはうまいことを言ってもだめなんですね。やっぱり地方にきちっとした税財源を与えるということが、特に地方に独立税源を与えるということが私は必要だろうと思う。

 そこで、あれは東大の宮島さんという先生ですか、所得課税は国に、消費課税は都道府県に、資産課税は市町村に、こういうことを新聞か何かで言われている。私は一つの意見だと思いますけれども、総理、どう思われますか。

○国務大臣(細川護煕君) それも一つのお考えだとは思いますが、やはり地方制度全般のあり方というものとも関連をしてくることだろうと思います。

 国と地方の基本的な権限、財源のあり方というものをどういうふうに考えるのかあるいはまた地方制度全般の、例えばサイズの問題とかいろいろあろうと思いますが、そうした問題等々も含めて、これも総体的に判断をしなければならないことだろうというふうに考えます。


1993/12/09

戻るホーム主張目次会議録目次