1993/10/29-4

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参院・科学技術特別委員会  4


○翫正敏君 午前中江田科学技術庁長官からの所信表明をいただきまして、また配付されましたペーパーでは「プルトニウム及び高濃縮ウランに関する国際管理について」という資料も科学技術庁からいただきましたので、プルトニウムの問題について大臣に幾つか質問をさせていただきたい、このように思います。

 まず、プルトニウムと非常に関係の深い動燃ですけれども、動力炉・核燃料開発事業団、この事業団と政府、科学技術庁との関係ということについて、初歩的なことなんですけれども、説明を一応しておいてください。

○国務大臣(江田五月君) 動力炉・核燃料事業団は、科学技術庁が所管をしておる特殊法人であるというふうに理解をしておりますが、細かな法律の立て方は政府委員から答弁させます。

○政府委員(石田寛人君) 若干補足させていただきますと、今大臣から御答弁がありましたように、動燃事業団は内閣総理大臣が指導監督を行う特殊法人、具体的には今御答弁にありましたように科学技術庁が所管しております特殊法人でございます。御承知のように、動力炉・核燃料開発事業団の前身は原子燃料公社でございまして、昭和四十二年に今の立て方、動力炉・核燃料開発事業団という、そういう姿になったわけでございます。

 この動燃事業団の業務といたしましては、高速増殖炉及び新型転換炉に関する開発及びこれに必要な研究を行うこと。それからそれに関連いたしますことはございますが、重立ったものを申し上げますと、核燃料物質の再処理、いわゆる再処理を行うこと。核燃料物質の生産、保有。核原料物質の探鉱、採鉱、選鉱等々。それからこれらの附帯業務等々ございますけれども、そういう一連の業務を行う特殊法人ということでございます。

○翫正敏君 それで、プルトニウムという化学物質、この物質について我が国が今までに外国から購入をしました量、それから我が国で使用済みのものを外国で処理してそれを我が国が返してもらった量、こういうものに仕分けをしながら、さらには年度別の仕分け、それから国別の仕分け、それから我が国へ運んでまいりましたときの輸送方法の仕分け、こういうものをしていただきながら、現在保有しておりますプルトニウムの全量はどれだけになるのか、これを数量的にお示し願いたいと思います。

○国務大臣(江田五月君) 私の方から細かく申し上げると、ちょっと説明を受けながら申し上げなきゃならぬかと思いますので、概略は私ちゃんとつかんでおりますが、政府委員からの方がより正確な説明になるかと思いますので、さようさせていただきます。

○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 今先生御指摘のように、プルトニウムを我が国に持ってくる入れ方につきましては、御指摘のように購入プルトニウム、買ったものと、それから英仏で再処理いたしました結果出てまいりますプルトニウムを返還するいわゆる返還プルトニウムという二種類があることは御指摘のとおりでございます。

 そのうち、若干お答えが長くなりますが、今先生の御指摘の文句に従いましてお答え申し上げますと、まず一番目が返還プルトニウムでございます。返還プルトニウムは、これは我が国の原子力発電所の使用済み燃料を処理したものでございますけれども、特にイギリスのものは日本原子力発電株式会社東海発電所一号、いわゆるコールダーホール型炉の使用済み燃料の再処理から出たものでございます。

 イギリスにつきましては、再処理するところはBNFL、英国原子燃料公社とでも申すべきところでございますが、これにつきまして申し上げますと、昭和四十五年に一回、これは航空輸送でございます。それから昭和四十七年に四回、これも航空輸送でございます。それから昭和四十八年に三回、これも航空輸送でございます。それから昭和五十年に一回、これは海上輸送でございます。それから昭和五十三年に一回、これも海上輸送。以下ずっと海上輸送なんですが、昭和五十四年に一回、昭和五十五年に一回、昭和五十六年に一回でございます。

 それからフランスのコジェマでございますが、これは昭和五十九年に一回、これは海上輸送でございまして、さらに最も新しいものは平成五年、すなわちあかつき丸によります輸送でございまして、これももちろん海上輸送であったわけでございます。

 それから、購入プルトニウムでございます。これも基本的にはイギリスから買ったものがまずあったわけでございまして、一九七〇年、それから七一年、七二年、七三年、七四年、それぞれ航空輸送によりまして購入プルトニウムを輸送しております。

 それからアメリカから、これは一九六六年、六八年、六九年、七〇年、いずれも航空輸送によりまして購入プルトニウムを輸送しております。

 それからドイツから一九七六年、これは海上輸送によりまして輸送しております。
 それからフランスからでございますが、これは一九七二年航空輸送、一九七八年海上輸送、それぞれ輸送したところでございます。
 以上でございます。

○翫正敏君 合計。総量。

○政府委員(石田寛人君) そういうことでございまして、これまで我が国のプルトニウムの全体のバランスでございますけれども、海外から持ってまいりましたものと合わせますと約二・四トンになろうかと思うわけでございます。

○翫正敏君 現在、我が国の国内にそういうさまざまな形でいろんな国から持ち込まれている。現在ある総量、これは五・二トンなのではないんですか。

○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 総量と申しますのは、これは二つあるわけでございまして、一つは今私の申しました海外から持ってきたものでございまして、これが約二・四トンでございます。

 それからそれと同時に、これは御承知のように動燃事業団が持っております東海村の再処理工場で使用済み燃料を再処理した結果出てまいりますプルトニウムでございまして、これが約三・一トンございます。したがいまして、その両方合わせました合計五・五トンのものが、これまで我が国が自分で分離したりあるいは購入したりしたプルトニウムの合計ということに相なろうかと思うわけでございます。

○翫正敏君 そのプルトニウムという物質は、安全に管理をしておくことは技術的にも科学的にも不可能な物質であるというふうに私は思うんですけれども、政府、科学技術庁の立場からいいますと、そういうことは可能だということで今日保管をしておられるわけですけれども、どこでどういうふうにして政府の立場で言うところの安全に、私からいうとその安全性は確保できないとは思いますが、保管をしておられるのか、お示しを願いたいと思います。

○政府委員(石田寛人君) プルトニウムの安全性でございますけれども、こんなことを申し上げてまことに恐縮でございますけれども、これは何遍もこの席で御説明申し上げましたように、プルトニウムはもちろん取り扱いに細心の注意を払うべき物質ではございますけれども、取り扱いよろしきを得れば必ず安全に取り扱い得るものと私ども確信しておるところでございます。

 そこで、保管場所でございますけれども、プルトニウムは動燃事業団東海事業所のプルトニウム燃料加工施設、いわゆるプル燃というところと、それから再処理施設の中に保管されております。

○翫正敏君 大体、政府の今の立場、今の説明による安全性というのは毒性に対する安全性ということだと思いますので、そういうことでは一定の安全性が確保されているのかもしれません。それも私非常に疑いは持っているんですけれども、まあ一応聞いておきますが。

 ところで、この朝いただきました資料を見ますと、資料の中にこういう文面があります。「プルトニウム等の核兵器転用を検知する役割は、IAEA保障措置制度が担うべきである。仮に、核兵器転用の検知について、その制度の充実・強化が必要との認識が生じた場合には、あくまでも、IAEA保障措置制度の枠内で検討すべきである。」云々、こういう指摘がされているんです。

 つまり危険性ということの一面には、このプルトニウムという物質は核分裂物質であるので核兵器に転用することが可能な物質であるということがあるわけで、この点での安全性ということが管理上不可欠なことだと思いますが、その点についてここに書かれている文面との関連で御説明願いたいと思います。

○国務大臣(江田五月君) 翫委員御指摘のとおり、プルトニウムという物質自体の持つ毒性といいますか人体に与える影響、これは一つございます。これは安全性、技術的に最大限のものを追求していかなきゃいけないということですが、もう一つ、確かにおっしゃるとおり核拡散といいますか、核兵器の原料になるという意味で危険性があるわけでございまして、その部分についてはIAEAの保障措置というものが働いて、現にプルトニウムは一体どこでどういうふうに保管され、どういうふうに利用されているか、どれだけそう利用されなくなっているか、そういうことについて国際原子力機関がしっかりと監視をしていくという、そういう体制を世界じゅうでつくっているわけでございます。

 それだけでなくて、今私どもはIAEAの保障措置のほかにもう一つ、これは例えばソ連の核兵器解体から出てくるプルトニウムなどもありますので、国際的なプルトニウム管理体制をひとつつくったらどうなんだ、つくるときが来ているんではないかと、こういうことで今検討を始めたところでございます。

 ただ、もう一つ申し上げておきたいのは、我が国が核物質、使用済みの核燃料から再処理をして得るプルトニウムについては、私は技術者じゃないのでなまはんかな知識の受け売りになってしまうかもしれないんですけれども、プルトニウム239というもののプルトニウム全体の中における割合、プルトニウム240とか41とか42とか38とか、いろいろあるようでございますが、プルトニウム全体の中におけるプルトニウム239なり241なりの割合というのはそれほど高くなくて、まあ高くなくてといっても六〇%程度にはなると思いますが、核兵器に転用できる程度のもの、つまり九〇%超えるようなものにはならないというふうに理解をしております。

○翫正敏君 要するに、現在日本が所持し保有しているプルトニウムは239とか241なんかの核分裂の能力を持っているものが六〇%ぐらいであって、核兵器に使う場合には九〇%ぐらいの核分裂物質が含まれていないとできないということは科学的知識として私も知っておりますけれども、つまりそれは濃縮をすることによって科学的に可能であると。する気があるかないかという問題は別問題ですよ、もちろん。我が国は非核三原則があって、そういうことはしないことになっておるんですけれども。

 そういうこととは別の問題として、濃縮という方法によって科学的には240などの分裂しない物質を取り除いて分裂する物質に濃縮するということは、これは十分日本の科学技術力をもってすれば可能であると、こういうふうに理解をしておるわけです。そういうことはIAEAの方から調べてもらうということによって、そういうものがパーセントは高まっていないということを保障してもらうんだろうと思いますが、その辺の科学的な問題と、それをここに書かれておりますようなIAEAの保障措置ということで保障していく問題と、この二つのことについて説明をしていただきたいと思います。

○国務大臣(江田五月君) ウランの方は235と238、これの質量の違いによって遠心分離機で濃縮をしていく、そしてずっと濃度を濃くしていくということが可能であるけれども、プルトニウムの方は238、39、40、41、非常に似通っていて濃縮という技術というのは大変に困難だというふうに私は聞いております。保障措置によってそこの分類をうまくやれないかというのはちょっと技術的に難しいんじゃないかと思いますが、これは政府委員の方で答弁させます。

○政府委員(石田寛人君) プルトニウム濃縮につきまして、一言大臣の御答弁を補足させていただきます。
 今御答弁ありましたように、ウランに比べましてプルトニウムの濃縮、これは在来法、例えば遠心分離法では極めて困難であること、大臣御説明のとおりでございます。ただ、そのほかに例えばレーザー濃縮みたいな方法でプルトニウム濃縮ができないかという議論、これはいろんな、特にアメリカにおきましては研究もあるようでございます。でありますけれども、我が国におきましてはもちろんプルトニウム濃縮の研究は一切やっておりません。

 ただ、ウランのレーザー濃縮、原子法につきまして、あるいは分子法につきまして、技術研究組合とか原研、あるいは分子法を動燃、理研等で研究しておりますことは御承知のとおりでございますが、実際プルトニウム濃縮は我が国で全く研究していないということ、あるいはこれは実際それをやったといたしましても極めて困難な技術でございまして、恐らく我が国が、これは全く私の私見ではございますけれども、プルトニウムを濃縮する、そういうテクノロジーを持っておるという意味では全くない。これからもちろん、これは比較的やはりプルトニウムの濃縮というのは軍事に近いところの技術でございますので、私どもとしましては、そういう技術につきまして取り組むつもりも全くないということを申し上げたいと存じます。

○政府委員(笹谷勇君) 先生の御質問はプルトニウムで核分裂性のものに着目していわゆる保障措置、すなわち核兵器への転用、こういうことをやったらどうかというような……

○翫正敏君 やったらどうかではない。

○政府委員(笹谷勇君) 失礼しました。核転用の防止を行ったらどうかという御質問だと思います。
 先生おっしゃる計量管理等も可能かと思いますが、現在行われておりますのは、そういう核分裂性成分に着目した保障措置制度をとってございませんで、これの考え方は、プルトニウムそのものについて保障措置を適用した方が、核分裂生成物のウエートの高いもの低いものにかかわらず、計量管理した方がより保障措置上効果的に計量管理が行える、また保障措置上もそれが有効だという考え方でなされております。

○翫正敏君 某国が、例えばある国がプルトニウムを持っている、それが核兵器を開発しているのじゃないかという疑いがあるとかないとか、そういうことを言いますよね。そういうときには何によってそれを言うか。そして、IAEAの査察をさせろとかいうようなこと、嫌だとかそういうようなことがあります。そういうのは何を調べるかといえば、結局国際機関がパーセントを調べるわけでしょう。パーセントを調べて、六〇%以下だということになればこれは商業用の発電用のものだということがわかる、九〇%に極めて近ければこれは核兵器転用の危険性がある物質だとわかる。

 そういう意味でIAEAというものの国際的な保障措置というのはあるわけだから、そういう観点からいって、今も政府委員の方もレーザー濃縮という方法によれば、そう言わなかったかな、パーセントを濃縮するということは科学技術的には可能なんです。科学技術的に不可能だということじゃないんです。それだったらある意味でほかの国へ行って調べに行くというようなことも、ほかの国が核兵器転用の物質を持っているのじゃないかということで不安がる必要もないくらいのものなんです。

 やっぱりそういう不安を持たれるということには、プルトニウムそのものが濃縮をして核兵器に転用することは物質的、科学的には可能なものであるという、そういう危険な物質だということがあるんだと思います。要するに、そういう危険な物質を日本が非核三原則という大原則、国是に基づいて安全に管理していくのだという、そういうふうに理解してよろしいか。決意だけ答弁していただければ結構です。

○国務大臣(江田五月君) これはもう先日の国際原子力機関における私の演説でも申し上げましたし、それから機会あるごとに申し上げているわけですが、我が国としてはそういうプルトニウムの兵器転用ということは一切行わないし、行う意思もないし、行う技術も開発をしないし、むしろそういうことが行えないような法制度にし、そういうことが行えないような技術にして、安全にこれを使っていくということでございまして、この点については私ども全く気持ちが揺らぐというようなことはありません。

○翫正敏君 今後のことですけれども、日本はこのプルトニウムにつきまして国産エネルギー確保の観点から増殖炉研究を進めてきた。しかし、プルトニウム余剰の点で今では海外から理解も難しいので、またフランスなどもプルトニウムは要らないという方向に進んでいるので、我が国としてもそういう方向に行きたい。来年四月には福井の「もんじゅ」、これの臨界の時期を迎えるわけであるが、そこではプルトニウムを増殖するというのが基本的になっています、この「もんじゅ」は。こういうことは今後は余り考えないと。むしろプルトニウムそのものを燃やしてそしてそれをなくしていく、増殖するんじゃなくてなくしていくという方向を考えている、こういうふうに理解してよろしいですか、長官。

○国務大臣(江田五月君) 原子力の開発利用については、委員御承知の原子力開発利用長期計画で大きな方向性というものが決まっていくわけでございまして、去年の秋から現行の長期計画というものの見直し、改定の作業に入っているところでございます。従来はこの原子力関係の者だけでこれをやっていたのですが、そうではなくてひとつ広い見地から改定、見直しをすべきではないかというので、今専門家以外の者も加えたチームをつくったりして改定作業をしているところですが、そうした中でいろいろな議論をしていくことになろうかと思います。

 ただ、最近のいろいろな人の発言などに関係して一言申し上げておきますと、核燃料サイクルという考え方で今の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」をつくっているわけで、これはブランケット燃料を使いましてプルトニウム239をつくっていくという、したがって原子炉が動くことによって使ったプルトニウムよりももっとたくさんのプルトニウムができるという形でございます。

 その技術を利用すれば、プルトニウムを増殖するという方法ではなくて、プルトニウムを燃焼してなくしていくということもまた可能でございまして、これから先、旧ソ連の核兵器解体などによって出てくる大量のプルトニウムを一体どうするのかという国際的な問題も出てくる、あるいはTRUといったものもある。こうしたことに対処をしていくための技術的可能性として今の「もんじゅ」によって開発されていくFBRというものがいろいろな可能性を持っているということでございまして、そういう議論を今する人が少し出てきておるという、あるいは国際的にはそうした議論もまた一つの方向性として議論されているという、そういう状況でございます。

○翫正敏君 最近の新聞の報道では、政府と表裏一体の関係にある動燃の理事長が、先ほど私が読みましたのは私が文章を書いたわけではなくて、新聞に載っている動燃の理事長の発言を少し読んだんですけれども、そういうふうな発言を理事長がしておられるということなんですが、これは単に動燃の理事長の個人的見解というのじゃなくて、表裏一体の関係にある日本政府の基本的かつ長期的な方向性というものがこういう形で方向づけられつつあるというふうに理解してよろしいですか。

○国務大臣(江田五月君) この石渡動燃理事長の発言に関して、私、石渡理事長と協議などをした上でのものではございません。ございませんが、基本である「もんじゅ」の十分な活用と増殖の確認を行った上で、その上で国際的にも協調しつつ、柔軟に研究を行って高速増殖炉の多様な特質を最大限に引き出していくんだ、そういう趣旨で理事長はおっしゃったんだろうと思っております。新聞の報道とその辺多少ニュアンスの違いがあるかもしれませんが、いろんな可能性がありますよ、それをいろいろやっていきたいですよと、こういうことでございまして、その点は私ども同じ気持ちでおります。

○翫正敏君 本当はあかつき丸のことについてもっと詳しく聞きたかったんですけれども、時間の関係などで一点だけごく簡単に申します。

 フランスの方からプルトニウムを再処理したのを日本の方へ持ってくるというときに、あかつき丸という船を使ったわけですけれども、これはイギリスの核燃料公社に輸送を委託して、そしていろいろ船の改造費を支払い、また輸送費を支払って、そしてさらにはコンテナとか新容器というものを日本の動燃が買って、そしてこれを日本にまで運んできたわけなんです。

 そのことはそのことといたしまして、もともとこの船はイギリスのパシフィック・ニュークリア・トランスポート社。というところが所有しております船で、パシフィック・クレーン号という四千八百トンの船でありまして、現在もこういう名前で、こういう船会社の船なんですけれども、日本にプルトニウムを運び込むというごく一時期に限って、この平成四年五月二十五日付に所有権の移転というものがなされて日本国籍の船になったわけです。日本国籍の船にしたということの意味は私なりに理解しているつもりなんですけれども、説明はきょうは時間の関係でいいですが、ただそのときに株式会社シーバードという会社が船を持つ、こういう形になったわけです。

 ところが、私が行って調べてみましたけれども、これは簡単に言うと会社としてはペーパーカンパニーでありまして、幽霊会社、実体のない会社であります。そういう会社が船を持つということは別に何ら違法ではない、法律には違反しないんだという説明を受けまして、そうなのかなとは思ってはいるんですが、しかしこれはたとえ法律では幽霊会社が船を持つ、一時的に所有してそれを運ぶということがあっていいとしましても、プルトニウムという極めて、先ほどから問題になっておりますような重要な物質なんです。

 こういうものを、再処理したものをこれからも日本に運んでくるということがあるとするならば、私はそういうことも一切やめた方がいいと思いますが、もし運んでくるとするならば、今後はこういうぺーパーカンパニーが所有するというような方法ではなくて、もっと国民が納得できるような船主というものをつくるべきだ。イギリスの船を使うのは構いませんけれども、日本国籍に移すのも構いませんが、その方法としては、前回の方法は極めて国民に不安を駆り立てるものだったというふうに思うんですが、今後のことについてということだけ長官からお願いいたします。

○国務大臣(江田五月君) あかつき丸によるプルトニウムの輸送が去年の暮れからことしにかけて行われたときは私ども野党でございまして、何と秘密主義でやっているじゃないか、もうちょっとみんなにオープンでやったらどうだというような感じを持ったのは事実でございます。私自身もそういう感じを持ちました。しかし、今こういう立場で当時はこうだからこうだったんだということをいろいろ聞きましたら、それはなるほどそれなりにそうかなというような点もあったのだろうと思います。今のあかつき丸という船をシーバードという会社の籍の船にしてとかいうようなところも、どうもなかなかこそくなことだという感じもいたしましたが、今聞いてみますと、例えば原子力損害の賠償責任の関係のこととか、あるいは警備のこととか、警備をこうやったら主権がどうなるかとか、なかなか厄介な問題が国際的にもいろいろあってということのようでございます。

 それはそれで、いずれにしても今後ですが、一遍ああいうことをやってみましたら、なるほどここはこうできるとか、ここはここまでオープンにできるとか、いろんなことがまた見えてくるだろうと思うんです。そこで、これからやらない方がいいか、やらなきゃいけないか、これも一つの議論でございますが、私の立場としてもっと透明性の高いやり方が何かないか、これは知恵を絞ってみたいと思っているところでございます。

○翫正敏君 ありがとうございました。

1993/10/29-4

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