1993/10/29-3

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参院・ 科学技術特別委員会  3

○委員長(中川嘉美君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題とし、所信に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○稲村稔夫君 私は、きょうは質問を申し上げる前に科学技術庁に、ちょっと残念なんですけれども苦情を申し上げておきたいと思います。

 具体的な日時や人名だとか、そんなものをいういろと挙げると活字になって残るのは問題があると思いますので、ちょっと抽象的に申し上げます。他の委員会で科学技術庁が呼ばれることがあるわけでありますし、いろいろの質疑があるわけでありますけれども、これに出る説明員の方がその委員会の答弁で不適当な答弁をされるということがあってはならないことだと思うんです。しかし、残念ながらそういう件がございました。

 私は、科学技術庁が当日は忙しいということはよくわかってはおりましたけれども、やはり説明員として出席をする者はそれなりにきちんとした答弁者として対応してもらわなきゃならぬ。その辺のところは、職員の訓練が十分でないのか、あるいは科学技術庁がたるんでいるのか、よその委員会にこう言われますので、特によその委員会に出るときはその点は十分に気をつけてもらいたいというふうに思うわけであります。

 この点について今後の姿勢を、これは大臣にといってもちょっとあれですから――いいですか、大臣がお答えになりますか。じゃ、今後のこともありますので、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(江田五月君) 稲村委員の日時とか氏名とかを特定せずにの御注意、御配慮に大変感謝を申し上げます。

 科学技術庁として一番御指導いただかなきゃいけない科学技術委員会、いわゆる参議院の科学技術特別委員会、この委員会でそういう御注意をいただいたことをしっかりと受けとめたいと思います。

 政権交代になりまして、とにかくこんなに長く政権交代がなかったわけですから、私ども旧野党が乗り込んでいってさあどうなるのか。しかし、何はともあれまず職員の皆さんを信頼し、職員と一体となって適切な科学技術行政をやっていかなきゃならぬということで、政権交代がよかった、こう言ってもらえるように職員一同と一緒になって努力をしているところでございます。

 各委員会でも、今とにかく政治家同士の議論ができるように大臣がなるべく答えようじゃないかということで頑張っているつもりでございますが、後ろを振り向いたら職員の皆さんがたるんでおったということでは、これはもう到底許すことができませんので、以後そうした御注意をいただくことがないように全力を尽くしてまいります。
 どうも御指導ありがとうございました。

○稲村稔夫君 今の大臣の御答弁、今後きちんと守っていただけるものと信じまして、質問の方に入らせていただきたいと思います。

 さて、きょうの午前中も、本当に我々日本国民にとっては深刻な問題ということで、ロシア海軍の日本海での核廃棄物投棄の事件について質問がございました。私も、この点についてはぜひ政府の対応を伺いたいというふうに思っているわけであります。

 私も日本海に面したところの者でありますから、しかも一衣帯水の仲といって、いつも仲よくしていこうと言ってやっているところから起こってきただけにショックが大きいわけであります。そしてまた同時に、魚介類、海草というものも特産品として私どものところからずっと出ているわけでありまして、そういう水産業にとっても重大な問題、こういうことに相なります。午前中の質疑でかなりいろいろなことを政府側から御答弁になっておられます。できるだけ私は重複を避けながらというふうに思っております。

 それにいたしましても、私は今のロシア政府の状況というのはちょっと愕然とせざるを得ません。ある本を読んでおりましたら大変おもしろい逸話にぶつかりまして、私も事実関係を調べてみました。大正の初期に東京で水洗便所がはやり出した。丸ビルだとか東京駅だとかというところがみんな水洗便所をつくった。その水洗便所は、今までは農家がみんな大事な肥料として買いにきていたものを、これを今度たっぷり水に薄めてあれするから価値がないから買い手がない。そこでどうしたかといったら、船に積んで東京湾の沖合へ持っていって捨てる。ところが、これはかさばかり張って、中は水だからというので、受けた船はあらかじめ船の底に穴をあけておいて、そして目的地へ着いたころは空になっているようにして運んだ。

 そうすると、またそれは困るものだからということで何をやったかといったら、今度はパイプをずっとあれしてお堀につなげた。丸ビルの排水だとか、それから東京駅の排水だとかというのが皇居のお堀にどんどんと流れ込んだ。これが国民新聞に載っておりますというので記事を調べてみたら、事実二日間にわたってそのことの事実関係と当時の警視総監の談話だとかいろいろなものが載っておりました。

 要するにこれと同じことですよ。片っ方では近代的技術を使っているけれども、さてその後を始末する方は何にもつくっていないから穴のあいた船で、今度の投棄事件なんてそんなものみたいなものですよという感じがしてならないのでありますけれども、こういう状況というのは私はよその国のことだといって笑っていられない。やっぱり我が国自身もしっかりやらなきゃならないし、ロシアならロシアに対してもそういう状況を一日も早く克服してもらうようにしなきゃならない、こんなふうに思うんです。

 実は私がそれを感じたのは、正直なことを言うとこの前の投棄事件のときだったんです。今度は再犯なんですよ、ロシア側がやっているのは。再犯が起きたということ、これは私はやっぱり我々にとっては非常にシビアに受けとめなきゃならない問題だと思うんですね。

 そこでまず私は、前回の投棄事件のとき、どういう交渉をされて、どういう約束をロシア側と交わしておられて、そしてそういう中で我が国政府としてはどういう情報収集、対応をしてきたか。このことの大ざっぱな流れを、これは大臣はまだ就任される前でありますが、外務省がかなり窓口になっていると思いますので、まず外務省から伺いたい。

○説明員(林暘君) 旧ソ連及びロシアによります海洋投棄につきましては、ロシア政府の政府委員会によります白書が四月に公表になりましたが、その前、昨年の十二月であったと思いますが、中間報告が出された経緯がございます。したがいまして、その中間報告それから四月の公表、そういったものを踏まえまして、我々といたしましてはロシア側に対してその事実関係の確認及びそのような海洋投棄の即時停止ということの申し入れをしてきた次第でございます。これは大臣、大使を含めましていろいろなレベルでそういう申し入れをいたしてまいりました。

 そういったものを踏まえまして、本年の五月十一日、十二日にモスクワにおいて日ロ間の合同作業部会というものを開催いたしまして、そこにおきまして本件についてロシア側と話し合いをしたわけでございます。この合同作業部会において、ロシア側に対しては我が方の国内の強い懸念を伝えますとともに、投棄の即時停止を要請し、かつ日ロによる共同海洋調査の実施の提案を我が方からいたしました。

 これに対しましてロシア側から回答がございましたのは、投棄そのものにつきましては、固体放射性廃棄物については既に投棄を停止しているということ、液体放射性廃棄物については必要な処理施設を整備することによりステップ・バイ・ステップで投棄を停止する用意があるということ、それから日ロの共同海洋調査の実施については原則として同意するという返事が五月の段階であったわけでございます。

 それから、今回の投棄の前までということでありますと、十月に日ロの首脳会談が行われました際に、細川総理からエリツィン大統領に対しては直接投棄の中止についての申し入れをしたことがございます。
 以上でございます。

○稲村稔夫君 再犯なんて言ったら悪いけれども、私から言えば犯罪行為みたいなものだと思うんですけれども、これを犯さないようにするためにロシア側とどういうきちんとした取り決めをしたのか、これが問題なんですよ。

 というのは、前回のときに、今穐山委員がいますけれども、予算委員会でこれを質問したときには知らなかったんです、そのときのあれは。投棄されるということを知らなかった、向こうから出るまで、何とか委員会のやつが出るまでということになるわけです。そのとき知らなかった。今回も知らなかった。二度続けて知らなかったというのは、これはお粗末だと言われたって仕方がないことになっちゃうんだ。私は、その辺のところは政治的信条とかそういうものを離れてこれは大変なことだという感じをみんな持っていると思うんです。

 しかも、今回の投棄についても、ロシア環境省は海軍に対して海洋投棄を正式に認可しているというそういう情報ですよね。そうすれば、ロシア政府の環境省というのが認可しているにもかかわらず我々の方が知らなかった、きょう午前中のグリーンピースの発表を聞くまでわからなかったみたいな感じの、私はその辺のところがどれだけきちんとできているんだろうか、やっぱり疑問にならざるを得ない。

 前回、やっておられたときにどういう詰めをロシア側とそこのところはやってあるんですか。ロシア側でどこかで認可したらすぐ連絡してもらうようなそういう体制はなかったんですか。

○説明員(林暘君) 前回と言われますが、この白書が発表になりまして我々が知り得た事実は、一九五九年から九二年までの間に投棄をしていたという事実がこの白書で発表になったわけでございます。その間の放射性廃棄物の旧ソ連によります、ないしはロシアによります投棄というものについては、一切外に対してその事実が公表された事実はございません。我々としては、もちろん一種のうわさ話として投棄をしているんじゃないかということがあったことは承知しておりますけれども、ロシア側から、例えばIMO、IAEAも含めまして、投棄の事実について外に事実が公式に流れていったということはございません。

 したがいまして、我々は、五九年から九二年にわたって旧ソ連及びロシアが投棄をしていた事実というのは、新しいロシアになって設置されましたロシア政府委員会の公表によって初めて知り得たわけでございます。したがいまして、これを知り得た後……

○稲村稔夫君 そういうことは、もう前にも何回も聞いているからいい。

○説明員(林暘君) 知り得た後、先ほども御説明申し上げましたように即時停止についてロシア側に求めるとともに、合同作業部会というものを設置いたしまして共同調査をやるとともに、その即時停止の申し入れをしたというのが状況でございます。第二回目の作業部会は十一月に開かれることになっておりますので、五月から十一月までの間、これは共同調査をどういうふうにするかというふうなことについてそれぞれ打ち合わせをしておりましたけれども、ロシア側の内部手続その他も含めまして時間がかかっていたのが状況でございます。

○稲村稔夫君 聞いていることを、私が聞きたいことをやっぱり理解して答えてもらいたいと思うんですよね。というのは、前回は知らなかったと。前回といったってそれは何回も積み重ねられたものがあって初めてわかった、発表になったのがわかった。そして、そのときに今後やられたら困るからちゃんとやっているはずだと私は思った。これはもう今後不法投棄をしないように。にもかかわらず、今度やられてまた知らなかったと。ここのところが、私は詰めがどうなっていたんだと。それで、ロシアの国内では政府が認可している省庁があるということになると、これは重大問題でしょうということを申し上げているんです。私の聞いていることについて理解をして物を答えてもらいたい。

○説明員(林暘君) 事後的に私どもが知り得ましたのは、ロシアの環境省は九月二十四日付で海軍からの要請に対して許可を与えたということでございます。それと同時に、十月五日付でロシア政府はIAEAに対して投棄を行うということを通報いたしておりました。それも事後的には我々確認はいたしております。

 IAEAが我々に通告をいたしませんでしたのは、午前中にも御説明申し上げましたように、IAEAというのがロンドン条約上何らの地位を、そういう意味での地位を与えられておりませんで、締約国政府に……

○稲村稔夫君 それはもう何回も聞いた。もういい。

○説明員(林暘君) それからもう一つは、グリーンピースの件でございますが、グリーンピースが事前に投棄するであろうということをつかんで監視船を出していたということは、そのとおり我々も報道及び彼らが外務省に来て話を聞いた際に受けております。彼らがその情報を得たところについても報道及びその他から聞いておりますけれども、そういった形での情報源は政府として持っていなかったというのが事実でございます。

○稲村稔夫君 どうもこんにゃく問答を続けているみたいな感じがしてならないんであります。

 ということは、いずれにしたって民間団体が情報を知り得ているものを我が国政府は最後まで知らないで、それで発表されたということに対して私はショックを受けていなきゃならぬというふうに思うんです。そして、再発を起こさないために今までの情報網の持っている欠陥というものを埋めるためにどうするかという手だてをいろいろと打ってもらわなきゃならぬ。そういうことをやっぱり積極的に、今後二度とこういうことが起こらないように、これは幾らやったって同じようなことを答えられていたら時間のむだですから、僕は要求だけきつくしておきます。二度と絶対に起こらないようにしてもらいたい。

○国務大臣(江田五月君) これまで、固体のものは行わないけれども液体のものについては行わないと言えないということであったのに、もっと注意深く見ておかなきゃいけなかったのじゃないかという委員の御指摘はそのとおりだと思います。その都度中止の申し入れはしたのですが、それが守られずに、委員おっしゃる再犯といいますかということになったのは大変遺憾であると思います。

 ただ、国としてどういうことができるかというのは、いろいろ諜報網などを張りめぐらしてなどということもできることでないので、いろいろ情報収集の努力はいたしますが、先日ミハイロフ原子力大臣がお見えのときに、その点私遺憾の意を表し、二度とやらないように求めるとともに、やらないように求めておきながらやるときは知らせろというのもちょっと変な話ではあるんですけれども。

 しかし、まあそういうことも予想されるわけですから、やらないように求めると同時に、もし何かやらなきゃならぬというようなときにはちゃんと前もって今度は教えなさいよと。さらにどういうものであるのかということ、もしできればサンプルなんかもちゃんとよこして、あるいは現地へ行って我々がモニタリングもできるようにしてというようなことをちゃんと考えなさいということを強くお願いし、万一そういうときにはちゃんと教えるが、しかしやらないようにするという、そういう約束を取りつけたところでございます。

○稲村稔夫君 長官の御親切な御答弁はわかりますが、しかしやられたんじゃしょうがない。やると通告されたんでは本当はしょうがないんですよ。だから、そういうものをやりたいということをロシアならロシアの政府がキャッチしたら、そのことを知らせてくれるというくらいの体制にならなかったら、これは防止なんかできないというふうに思いますので、その点はしっかりと今後の交渉をしていただきたいというふうに思います。

 私の持ち時間はもうどんどんと経過をしていきますので、この点は要望でもう締めくくらさせていただくしかありません。ただ、今回の事件、これも午前中にいろいろと出ましたけれども、今地球上にない核種が、今まで天然にはない核種が、低レベルといってもそれは放出されるわけであります。それだけに重大なんでありまして、これは、海水あるいは魚類の調査だけではだめだ、生態系全体を含めてやっぱり調査をきちっとしていかなきゃならないという課題を私は持っていると思います。

 したがいまして、これは私もう意見の言いっ放しにしてしまいまして恐縮でありますが、調査の結果というものは、ロシア側が発表するものもあるでしょうし、少なくともロシア側の発表したものと突き合わせてだれでもが見れるような公表の仕方をきちんとしていただきたい。このことをまずお願いをしておきたいと思います。

 そこで、私どもがそうやってほかの国に対して要求するときに、自分の国の方の足元がおろそかになっていたんじゃこれは何にもならぬ。相手は言うこと聞いてくれませんよ。ということになったときに、自分の足元を振り返ってみたときに、多少気になることがないわけではありません。

 例えば、我が国にはウランは非常に少ないけれども、その貴重なウランを人形峠で採掘したりしておりますけれども、これがまた残滓問題だとかいろいろと今問題を提起しているわけであります。しかし、これは問題が提起されてから随分時間がたっているんですよ。時間が随分たっているんですけれども、これは一体今はどうなっておりますか。これは我が国が外国にもう何を言われても大丈夫、全部そういうことはきちっとやれておりますと胸を張れるんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(江田五月君) 今の人形峠のことを引き合いにお出しになりながら、全体状況についての御質問というふうに受けとめさせていただいたんですが、そういう意味でお答えをしますと、先般エリツィン大統領と細川首相との話のときに、ロシア側から日本もやっているじゃないかなどということを言われたということが報道されております。しかし、これは確かに我が国も放射性廃棄物の海洋投棄をかってやったことがございますが、これについては昭和四十四年ぐらいまでの間に、いわゆる医療用のアイソトープでございまして、しかもそれもちゃんとした措置をとった上でやっておりますので、安全性について心配なというようなことではない……

○稲村稔夫君 それはまだ論議が残っているんですよ、長官それは。

○国務大臣(江田五月君) まあ一応科学技術庁の立場としてはね。そのほかにこの海洋投棄について検討をしたことはあるけれども、各国のいろいろな反対があり、そういう国々の同意がなかったらこれはやっちゃいけないことだというので、モラトリアム決議には我が国は反対あるいは棄権でございましたが、我が国としては海洋投棄をやっていないというのが事実でございます。

 さらに、廃棄物全体についてどうかということになりますと、これは低レベルのもの、高レベルのもの、あるいは低レベルとまでいかない非常に希薄なもの、いろいろと対策をそれぞれ立てているんですが、しかしそれが完全に全部できておるかというと、まだ高レベルのものについていろいろと苦労しておるというのはこれは委員御承知のところでございます。最大限の努力をこれからもしていかなければいけないということだと思います。

○稲村稔夫君 いずれにいたしましても、長官の御答弁いただいたことの中ではまだ論争がいろいろと残っている部分も随分あります。そして私は、こういうかなり厳しい物の言い方をしておりますけれども、厳しい者がおっていろいろと言う者がおることによって、我々人間の集団なんですから、そういう者がいなければ、もうたるんじゃったら困っちゃうという問題もありますしねということがあります。そのこともひとつ十分に念頭に置いていただきたいと思います。

 今のことに関連をして、少し具体的な地元の問題もありますし、吉田達男委員から関連の質問があります。

○委員長(中川嘉美君) 関連質疑を許します。吉田達男君。

○吉田達男君 お許しをいただいて、大臣に稲村議員の質問に関連してお尋ねをいたします。

 問題は、ロシアの核廃棄物どころでなくて地元のことであります。

 昭和三十年代の初めに日本でウランがとれて、その鉱石が発見され採掘されたときは宝の山でありまして、その場所は我が鳥取県と大臣の地元の岡山県境の人形峠でございます。実はその人形峠に、その当時精錬をしてウランとして使うという鉱石が二百四十立米ほど貯鉱場にある。また、掘進をしていく過程で鉱脈を覆った三千立米のものも野ざらしになっておる。鉱滓は一万五千立米野ざらしになって現存するわけであります。

 事が三十数年たった今、十月の二十日にようやくこれを一部分仮置きしようという作業に入りましたが、地元の者としては、たび重なる申し入れ、交渉あるいは覚書の中で、少なくとも貯鉱部分の二百四十立米、鉱帯部分の三千立米は完全撤去する、こういう前提であるのでありますが、今は二百四十立米を仮置きすると、こういう作業が着手された過程であります。しかし、仮置きが据え置きになって今後どうするかということについて大きい不安があるので、この約束はどう守られるのか、まず大臣にお答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(江田五月君) これは、委員の鳥取県と私の岡山県とのちょうど両方にまたがってウランの鉱石があって、かつて両方で掘った。その跡が、今おっしゃるようなものがいろいろ残っておって大変苦慮しているという問題でございますが、方面堆積場の堆積物については、本年の八月に動力炉・核燃料開発事業団が方面地区との間で貯鉱場跡の堆積物、これは推定二百四十立方メートルですね、これの袋詰め一時仮置き等の工事及びウラン鉱帯部分にかかわる堆積物、これが推定三千立方メートル、その試験選別等の作業の実施について確認書を締結したと承知をしております。

 そして、御承知のように先般、その確認書に基づいて貯鉱場跡の堆積物の一時仮置き等の工事に着手をしたというところだと承知しておりますが、仮置き工事以降の堆積物の処置をどうするんだということについては、これは頭の痛い課題でございますが、関係機関の理解を得ることが何より重要なので、科学技術庁としては動燃事業団と関係機関との誠意ある話し合いを見守ってまいりたい。動燃事業団の方は私どもが所管をしておりますので、そういう誠意ある話し合いをしなさいと、こう指導してまいりたいと思っておるところでございます。

○吉田達男君 完全撤去ということを目指して約束どおり履行をする、こういう基本的なお考えと受けとめてよろしゅうございましょうか。

 その上に立って、今の御答弁の中で関係機関の協力がなければ不可能なのでこれをなし遂げるということでございましたが、動燃は科学技術庁のいわば指導組織でありますから、これはそのとおりにやっていただけると思います。

 格別に大臣に質問をいたしますのは、関係機関の中に岡山県という動燃が存在するところの行政区がございます。お互い放射性物質については若干のいわばセンセーショナルな感情もつきまとう危惧のあるものでございまして、そこのところの行政当局の御理解がなければならぬ。特に動燃が存在する岡山県の御理解がなければならぬ。ついては、岡山御出身の大臣に格別の解決に向けての努力をなさっていただきたい。そうしなければ、三十数年間野ざらしになってようやく今の政権になって着手ができたと、できたけれども仮置きでほったらかしされてごまかされるんじゃないかというような危惧を残したんじゃ、これはせっかく着手したことが生きないんですから、そこのところをもう一度確信を持って御答弁をいただきたい。

○国務大臣(江田五月君) 私も確かに岡山県の出身でございますが、科学技術庁の長官というのは全国に責任を負っているわけでございまして、岡山県という地方公共団体をどうするこうするということは私にできることではありません。ただ、岡山県の出身として、岡山県当局にこんなこともしてほしい、あんな努力もしてほしいという、そういう特別の気持ちというものはもちろん持っております。したがって、ただいま申し上げた誠意ある話し合いをぜひ動燃事業団と関係岡山県、鳥取県、大いにやってほしいと思うんです。

 どういうことに結局なっていくのかということについては、これは科技庁は見守る立場でございまして、どうなっていくかについては、確認書という委員御承知の書面がございまして、その確認書のとおりの方向で進むということしか私の立場としては今言うことができないということでございます。

1993/10/29-3

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