1991/09/27

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衆院・商工委員会

○江田委員 質疑の持ち時間につきまして温かい御配慮を賜りまして、委員長、心からお礼を申し上げます。しかし、それにしても十分ということですので、今同僚委員から非常にきめの細かな御質問がございましたが、私はちょっと通産行政の大筋について伺ってみたいと思います。

 ODA、政府開発援助について、通産大臣のお考えをお伺いいたします。
 我が国のODAというのは、一九九〇年実績、およそれ十億ドル、GNP比率で〇・三一%であった。累積で一九八八年から九〇年までの三年間で二百七十三億ドル。しかし一九八八年の六月、トロント・サミットで当時の竹下首相は、八八年から九二年の五カ年間の総額で実績五百億ドル以上にするという表明をされておりまして、さあ九二年といいますと、もうあと残りの方が少なくなっているわけで、この国際公約達成のためには相当頑張らなきゃならぬというところに来ているわけでございますが、通産大臣もODA所管の大臣の一人として、いろいろお考えもあると思うし、頑張っていただく覚悟もお持ちだと思います。

 ところで、きょうは量の問題でなく質の問題、これを聞いてみたい。量の問題でなくて質の問題、中身の問題にも、これは大いに議論のあるところでございます。

 そこで、ことしの四月、参議院の予算委員会で海部総理は、我が国の政府開発援助のあり方について政府の四原則というものを示されました。これはもちろん通産大臣も御存じのことだと思います。四原則を申し上げますと、申し上げるまでもありませんが被援助国の軍事支出の動向、兵器の開発、製造等の動向、武器輸出入の動向、そして四番目に被援助国の民主化の促進及び市場指向型経済導入の努力並びに基本的人権及び自由の保障状況、こういう原則を挙げましてこれに十分注意を払いつつやっていくんだ、こういう考えを表明をされたわけでございます。私は、これは相当大きな前進であると評価をしたいと思っておりますのできれば民主化、市場経済、基本的人権、自由それに環境という原則もこれから恐らく重要になってくるだろうと思っております。そうなればもっとよかったと思いますが、それはさておき、この政府四原則について、特に基本的人権と自由の保障状況という点について、海部総理がおっしゃっていることでありますが、通産大臣のお考えを伺いたいと思います。

○中尾国務大臣 委員も御質問と同時にお答えを賜ったような感じでございまして、本当に同じ考え方に立つわけでございますけれども、ODAというのは、一つの日本の国というよりは先進国に与えられた今からの課題であり、義務であり、またこれは二十一世紀に向かってさらに増幅されていかなければならぬ問題である、こういう認識でございます。それだけに、政府は本年四月のODAの実施に当たりまして、被援助国におけるすなわちODA四原則というものを打ち出したわけでございますが、なかんずくその中において環境問題も付加しろというこの問題、これも当然その方向の位置づけになってくるであろうと思います。同時にまた人権問題、これは特にODAそのものに対応するというものではございませんが、中国の言うような改革・開放路線というようなものが真実にそういう形で行われていくならばいろいろな形でまた応援をするというような角度もそういう中に確認されているわけでございまして、なかんずくASEANやその他の各国におきましても、いわゆる発展途上国の国々に対しては、ODAはしかるべき形でその人権というものを十分に尊重し、なおかつむだのない形で応援をすることが原則でなければならぬと思うのですへそのむだのない形をとるためには、何といいましても十分なる草の根の調査というものが必要でございましょう。そうでなければある意味においてはむだな支援になってしまう可能性もあるわけでございまして、そういう点においては十分なる資料と十分なる情報というものによって初めて的確なる判断というものが下されるわけでございますから、その判断に基づいてODAは施行されるべきものである、かりそめにもイラクのような国に少なくともああいう形で応援が行われたとするならば、これはやはり反省の一つの域を出ない、このように思います。

○江田委員 大臣から大変積極的な答弁をいただきまして、感謝をいたします。
 今、十分なる草の根調査が必要だ、特に十分なる資料とか情報とかを得て行うということですが、これは大臣、文脈からは当然だと思いますが、ODAの四つの原則、軍事支出の動向あるいは武器の関係それから武器輸出の関係と加えて、民主化の促進、市場型経済の導入の努力、基本的人権、自由の保障といった点についても十分な草の根調査とか資料、情報を収集した上でということでよろしいですね。確認したいと思います。

○中尾国務大臣 私が申し上げましたのは、いかなる国においても、応援する国に対しては十分なる資料並びに情報、そういうものを草の根運動的に十分調査して、そしてむだのない。形で応援をしていく、これに尽きると思います。

○江田委員 私が基本的人権と自由の保障状況に特に触れたのは、この面でどうも我が国が無関心であると国際社会から見られがちなんですね。大変残念なことでありますが、それがどうも事実です。

 実は昨日、私も参加をいたしまして、政権与党自民党から羽田孜さんや戸塚進也さんなど、三十三人でしたかね参加をいただいて、国連人権活動協力議員連盟というのが発足をいたしましたが、まだまだ我が国の人権問題に対する取り組みがおくれていると言わざるを得ないので、決していろいろいちゃもんをつけろとかあるいは援助を少なくしろとかいうのではなくて、むしろ援助をやる中で人権の拡充あるいは自由の拡充を奨励していくという意味から、例えば中国天安門事件後やはりいろいろ問題がある。あるいはビルマ、ミャンマーと今言うのですが、これは本当にひどい状態と言わざるを得ない。それから、インドネシアでは東チモールの問題があります用意地悪質問するつもりはありませんので、その中身についての認識はきょうは尋ねませんが、アムネスティー・インターナショナルがこういう一冊の本を出しているような状況ですので、こうしたことがほかに、アジア諸国にそれぞれあるわけですから、そうした状況について、大臣おっしゃられましたように草の根調査、資料、情報、どれが当たってどれが当たってないかといろいろあると思いますが、そうしたこともこれから大臣のところにもぜひお届けをしたいと思いますので、そうしたことをしっかり勘案の上、ODAの質の向上ということにもひとつ努力をしていただきたいと思います。
 質問を終わります。


1991/09/27

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