2004年5月26日 >>会議録全文

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159 参院・憲法調査会

委員による自由討議の最後に発言を求め、天皇制につき意見を述べました。象徴天皇制と国民主権、天皇の行う祭祀の位置付け、女帝を可能にする皇室典範改正の3点です。改正は早い方が良いと述べました。


平成十六年五月二十六日(水曜日)

○江田五月君 今日は発言の準備をしていなかったんですが、皆さんの発言を聞いてちょっと触発されましたので、一言二言お話をしてみたいと思います。

 先ほどの白浜さんの御意見は私は全く賛成なんですね。昭和天皇が崩御されて、そしていろんな儀式があって、そして今の天皇が即位をされたと。その当時に、夜通しバトルを行うテレビの番組があって、あそこで出て大分議論をしたことがあるんですが、その中で一つの議論は、日本国というのはもう天皇制なんだ、これは何だかんだ言ったって天皇制そのものが日本国という、そういう議論があって、天皇とともにある日本国がそのときそのときのいろんな形を取って今日に来ているんだという、そういう主張が堂々となされた。まあそういう考え方もあるでしょう。しかし、私はやはりそれは違うと。

 やはり天皇というのがいろんな形でずっと続いてきていても、それは、戦後の新しい日本を我々がスタートするときに、正に憲法第一条で、天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は主権の存する国民の総意に基づくという、正にその主権の存する国民の総意ということが天皇を日本の象徴にしている根拠なんですね。そこに権力の源泉があるわけですから、これはやはり大きく変わったわけで、これまでずっと続いてきた天皇制というものを象徴制ということで戦後の憲法の下で日本国民が位置付けたという、これはやはり踏み外してならないところだろうと私は思っておりまして、その意味で、国民主権というのが日本国の最大の原理で、その下に象徴天皇制というのがあるんだと。

 そういうことを踏まえながら、しかし、だからといって天皇の立場が悪くなるわけでも弱くなるわけでもない。みんなで天皇というものをひとつ私たちの統合の象徴として大切にしながら天皇家のいやさかを願おうと、それはそれでいいんだということだと思います。

 その当時に、その当時というのは、今の、昭和天皇崩御と現天皇の即位のころに大変な儀式をやりましたですよね。もうこれは本当にすごい儀式で、私も当時、ある政党の代表として、本当に震え上がるような寒さの中を儀式に参加をいたしましたけれども、あの儀式は一体何なんだと。これは日本国の儀式であるという、つまり、国の隅々にまでずうっと地域にはそれぞれ氏神様があって、そういう神道の根がずっと張っている、この一番の中心としての天皇家の神道儀式なんだ、したがってこれは国を挙げての国家の儀式だという、そういう主張があったんですが、私はそれも違うだろうと。

 庶民の氏神様の信仰というのは、もっと素朴で、もっと何かすぐそばに何かがあるというようなものですよ。あんなにすごい儀式というのは、やはりこれは天皇家の儀式で、私的な儀式で、だからといってこれを別に軽んずるわけでもないと。それはそういう儀式でもって天皇の崩御を悼み、そして即位をことほぐということであっていいんで、それ以上でも以下でもないというふうに思いました。今もそう思っております。

 そういうことで、今の象徴天皇制というものは、これが妙に政治利用されるようなことなく、節度を持って、私どものこの新しい憲法を構想するに当たっても、これを維持していけばいいんだと思っておりまして、ただ、やはり今変えなきゃいけないのは、この点も白浜さんはおっしゃいましたが、皇室典範ですね。やはり、それは、やれ男子が誕生するかどうかというのに大変心を痛めるというような、不必要なそういう、どういいますか、プレッシャーを天皇家に掛けるようなことは良くないと思いますよ。女性の天皇は今までもいたわけですし、なぜ第一子が天皇なのか。これはそういう制度だということにして、早く、早くです、女帝を認めるということにしないといけないと。これはある程度たってから、しようがないからということになるとますますおかしくなるんで、早く皇室典範を変えるべきだと思っております。

 以上です。


2004/05/26

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