2000/09/29

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参院・予算委員会

始まる前、入ってくる森首相とすれ違ったので、風邪の具合を尋ねたら、喉は治ったが、「腹がまだで、おかゆなんだよ」 とのこと。質問は、ここから入ることに決めました。「厳しく行きますよ」と言うと、「厳しく返すぞ」との答え。向こうも緊張しているようです。

質問は、まず昨日の「私生児」失言の取り消しから。「なぜ失言だか分かっているのか」とたたみかけると、首相に忠誠度を示そうとする自民党のやじで、早くも場内は騒然。次いで「東海水害」へ。激甚災害指定の見通しを聞いているのに、扇建設相は延々と災害状況の説明。これは私の持ち時間外なので聞き流し、再度見通しを聞くと、「見通しは立ちません」との答。つい声を荒らげました。

個別問題を4点。夫婦別姓は、昨日の森首相の「なじまない」発言を追及。NPO税制は、宮沢蔵相の前向き発言が飛び出しました。「地域総合整備事業債」は、岡山市のドーム球場を例に引き、仕組みは良くても現実は無駄の奨励になっていると、注意喚起。「中山間地域直接支払制度」は、条件不利農地の営農奨励のため、もっと注目すべき制度で、その他の直接支払制度とともに、民主党としても研究します。

ここでパネルを出し、「森政権を信任できない5つの理由」を説明。

まず参議院選挙制度について。森首相は、「非拘束方式」は参議院で取りまとめの結果出てきたように言われますが、違います。今年2月25日の協議会の結論は、「来年の選挙は、現行制度のまま」と言うもので、その後、久世問題のすり替えとして、与党が唐突に出してきたものです。そこで、久世さんの参考人招致を要求。

ここから中川官房長官の不祥事へ。覚せい剤の件はきっぱり否定されましたが、「愛人疑惑」は困惑のご様子でしたので、惻隠の情でそれ以上の追及は止めました。そしていよいよ、森首相の検挙歴問題。犯歴データを出せない理由が、警察庁刑事局長の国会答弁、警視庁の裁判所への拒否回答、警察庁の私への昨日の文書回答で、プライバシー、個人情報、捜査権の障害、目的外と、まちまちです。細かく詰めて質さなければなりませんが、今日は無理です。

警察庁は、「原則として出さないなら、例外はあるのか」との私の質問に対し、「利益考量による」と答えました。例外はあるということです。森首相の言うとおり検挙歴はないとしても、犯歴データ自体はある、つまりデータは間違いということもありえます。これを正すことの出来るのは、ご本人である森首相しかいません。首相の犯歴の間違いを正すのは、かなり大きな公共の利益ではないでしょうか。森さんは、「そんなに大切なことですか」と反論していましたが、それならなぜ、口元を引きつらせながら、逆切れするのでしょうか。問題は、昔のことでなく、これを否定する今の首相の言葉なのです。ここで時間切れ。


○委員長(岡野裕君) 予算の執行状況に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。江田五月君。

○江田五月君 おはようございます。重要な臨時国会が始まりました。
 森総理、お風邪だと伺いましたが、先ほどちょっと伺うと、もう大体本復されたと。健康第一ですから、どうぞ気をつけて。論戦もなかなか体力使いますので、気をつけてください。

 質問に入る前に、まず一つお願いをしたいんですが、きのう衆議院の予算委員会で、我が党の菅直人幹事長とのやりとりの中で、どうも不適切な発言があったということですね。私生児という言葉を使っておられたと。衆議院の方では議事録削除ということになったようですが、テレビでの発言ですので、発言訂正のチャンスを与えますので、まずその点、御訂正ください。

○国務大臣(森喜朗君) 昨日の衆議院予算委員会で、私の自民党総裁選出に当たる過程のことでいささかちょっと興奮を私もいたしまして、御指摘の部分につきましては適切でない表現がありましたので、取り消したいと思います。こういう機会を与えていただきましてありがとうございました。

○江田五月君 私生児という言葉が不適切だと、これはよくおわかりですよね、なぜ不適切か。

○国務大臣(森喜朗君) あえて私どもの時代、そしてまた今の時代、いろんな言葉の使い分けというもの、十分慎重にしなければならないということを改めて認識をいたしました。重ねて取り消しを申し上げておきます。

○江田五月君 ここで余りそのことを詰めてもしようがありませんが、本当に森総理の発言は不適切な部分が多いというふうに言われていますので、これは私ども野党にとっては攻めるチャンスですけれども、いいわけじゃないですから、国民にとっても、あるいは国際的にもいいわけじゃないので、よく注意をしていただきたいと思います。

 質問に入ります。
 まず、有珠山とか三宅島とかその他、ことしは本当に災害が続いておりまして、全国の被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。特に、最近では東海水害の被災者の皆さん、大変だったと思いますね。

 私たち民主党も災害復旧や生活再建のために力を尽くしていきたいと思っておりますし、九月二十日でしたかね、羽田孜元総理が本部長、佐藤泰介参議院議員が事務局長となって現地に赴きました。子細に状況を教えていただいて、これをもとに対策に力を入れたいと思っておるんですが、まず東海水害について質問します。

 民主党の方からも強く要請をいたしました激甚災害の指定、この見通しはこれはどうなっていますか、内容も含めて、国土庁長官。

○国務大臣(扇千景君) おはようございます。
 私どももすぐ現地に参りまして、御存じのとおり視察をさせていただきまして、御存じのとおりの状況で、これは今、名古屋だけの激甚災害にという御質問かあるいは愛知県のという御質問かちょっと範囲がわからないんですけれども、冒頭から有珠山のともおっしゃいましたけれども、私どもはこの際、皆さん方、本年は、今委員がおっしゃいましたように有珠山、そして伊豆、そして伊豆でも特に伊豆諸島ということで、私どもは三島も二度視察いたしましたけれども、特に名古屋の場合はあっという間の出来事で、本当に皆さん方苦しんでいらっしゃいましたし、私も、この激甚災害というお話ございましたけれども、江田委員が御存じのとおり、激甚災害の要件というのがございまして、今、現地の地方自治体、県、市、町、村から皆さん方どの程度かというのがまだ把握し切れておりませんので、それが上がってくるのを待って最大限に政府としては対策を講じたいというふうに考えております。

○江田五月君 東海水害、もちろん愛知県全体のことですが、現地から上がってくるのを待っていると言うんです。私が聞いたのは見通しでして、待っているだけじゃなくて、どういう見通しをお持ちなのか。国土庁長官。

○国務大臣(扇千景君) おわかりだと思いますけれども、私どもはやっぱり現地の人たちが、今、自分の置かれている場所はどこにあるかという御確認をいただくことが一番大事なことなんで、あえて私は江田先生にも御理解いただいて御協力賜りたいと思って持ってまいりましたけれども。(図表掲示)

 要するに、新川と庄内川でございますけれども、新川は県の管轄でございます。庄内は国の管轄でございますけれども、この新川と庄内川に挟まれておりますところがあっという間に、これ、五百ミリに対応することとして、当面は私ども五百ミリに対応できる堤防ということをしておりました。けれども、少なくとも全体の事業費が約五十ミリに対応する、時間雨量でございますよ、時間雨量五十ミリに対応するということで整備をしておりましたけれども、平成十七年末までに全体の事業費の約千五百億円、これを対応して、五五%まで完成しておりました。

 けれども、これは、少なくとも庄内川につきましても長期的には、これ二百年に一度ということでございまして、私どもはそれに対しては少なくとも、堤防が完成したところは二四%にまだとどまっておりましたので、それも含めて私は全国の河川というもののあり方というものをここの教訓を生かして私は万全を期していきたいと。

 余り長くなってはいけません、もっと全国のを申し上げたいですけれども、とりあえずは自分たちが新川と庄内川の間にいたということ自体もぜひ御確認いただいて、私たちは即対応をしておりますし、建設省としましても全国から二十台のポンプ車を夜を徹して走らせましてここに行って水を、地元の皆さんは二日間は水が引かないとおっしゃったんですけれども、そのポンプ車によって一日で水を排除できたということも一つ私は大きな経験をさせていただいたと思っております。

○江田五月君 随分長い御答弁をいただいたんですが、私が聞いたのは激甚指定の見通しを聞いたんです。もう一度お答えください。

○国務大臣(扇千景君) 今、現段階で見通しが立たないということを申し上げたのは、これは地方自治体から被害状況の把握がまだできていないということを冒頭に申し上げました。少なくとも私どもは、激甚災害の指定にすれば、例えば公共事業、土木工事に関しましては、市町村が実施することとなる復旧事業の査定額がその市町村の基準収入の五割を超えるというのが激甚指定の、これはもう江田先生御存じのとおりでございます。ですから、その収入の五〇%に達する被害が出たかどうかという判断は、市町村から上がってこなければ、国が頭からするということではないというのはもう江田先生御存じのとおりでございます。

 けれども、私どもは、少なくとも現在建設省としては、被害を受けた愛知県や稲武町を初めとする地方公共団体からの指定の前提となる被害の報告を待っているというのが状況でございまして、頭からあなたたちは五〇%を超えていますよということではないというのはもう江田先生百も御承知のことで、私どもが何もしていないということでございませんで、私たちはできる限りのことをしているということを申し上げておきます。

○江田五月君 見通しが立たないと冒頭おっしゃいましたね。地域の住民の皆さんの気持ちを逆なでするんじゃありませんか。地方から上がってくる、それはもちろん待たなきゃいけませんよ。だけど、これだけの災害、これは大体どういう規模のものであるかというのは、それは名古屋市の場合もあるし、愛知県全体でそれぞれの町村いろいろあります。ある程度の見通しをお持ちになったらどうなんですか。

○国務大臣(扇千景君) 私たちは、少なくとも皆さんのよりも、一番早く予備費を使っても災害を優先するということを総理はきちんと国会で御答弁なさっておりますし、全閣僚こぞって、予備費も使い、そして今度の補正にも必ず災害対策を入れようということを全閣僚で誓い合っているし、皆さんにも御報告しております。

○江田五月君 そのやりとりばかりで時間費やしてもいけませんが、総理のおっしゃったことに言及されましたので、総理、御決意いかがですか。大きな打撃を受けた中小企業支援策やあるいは大問題、今も後ろで声がありましたごみの問題など含めて、具体的な細かなお話じゃなくて、総理の決意を聞かせてください。

○国務大臣(森喜朗君) 担当大臣は、でき得る限り広範囲にまたきめの細かい対策、そしてまた復旧事業に対する国としての姿勢、そういうものを示そうという、そういう意思のもとに先ほどから御発言をいただいているものだというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。

 当然、国費そして国民の税金でありますから、やはり一応は法律にのっとって、地域からやはり数値もきちっと出していただいて、そしてできる限りそこにこたえていくということは当然だろうと思いますが、基本的にはやり得ることは全部やろうというのが内閣の姿勢であります。

○江田五月君 担当大臣のこととかあるいは地方の要請とかということ、もちろんそれはあるけれども、総理自身の決意ですから、しっかりひとつお願いをしたい。

 名古屋市から河川改修の要望はもう再三にわたって上げられてきたんですね。なぜこれまで対応できていなかったんですか。

○国務大臣(扇千景君) 先ほど御答弁申しましたように、雨量の量をどの程度に計算するかというのは先ほど申しましたとおりでございます。

 例えば、それをもっと堤防を高くしてしまって自然破壊のような形にしてしまえというと、またその方からもありますけれども、少なくとも日本じゅうの河川というものは、国土庁におきましても建設省におきましても、山から海まできちんと計算をして、そして工事をしようというのが一つの、国民の皆さん方の生活と安全のためにあるというのが公共事業の一つでございますから、それは欠くべからざる公共事業であるということで推進しておりまして、これは公共事業の大事な役目だということを私は申し上げておりますので、推進しております。

○江田五月君 十年たなざらしだったんじゃないですか。十年たなざらしだったんじゃないんですか。

 そこはそれで、今全国のことをおっしゃいましたが、全国にどのくらいこういう危険のある都市河川があるんですか。

○国務大臣(扇千景君) 全国の国土の河川の危ないところというものを、全部ございますけれども、あるいはこれは皆さん方に言うと必ずうちは危ないんじゃないかという一種の恐怖感を与えることにもなりますけれども、私は、少なくとも私が担当である以上は、むだなところを減らして欠くべからざるところは必ずするというのが私の姿勢でございます。

 ですから、この数字を申し上げておりますとまた長くなって怒られますから、もしも御利用でしたら、後で御請求いただいたら全国の資料をお出しいたします。

○江田五月君 後で教えてください。
 河川の決壊がなくても、同規模の集中豪雨で排水量を上回る流入、あるいは降雨があって水害を起こす、そういうところがたくさんあると思うんですね。江戸時代以降、日本じゅうが干拓されて新田になりました。その新田が都市化で水をたたえる田から住宅地に変わってしまった。これは雨が降るとどうにもならない。実は私の住んでいるところなんかもそういう地域の一つなんですが、こういうところが全国にどのくらいありますか、これは。

○国務大臣(扇千景君) これは残念ながら、少なくとも人口の五〇%が浸水するであろうというところ、はんらん、洪水のはんらん区域というのは今全国で一〇%に及んでおります。ですから、河川と湖も含めまして、これは三%の黄色でございます。はんらん区域に居住している人たちは、人口が五〇%危険地帯に住んでいらっしゃるという数字も出ております。

 ですから、これを公共事業としてきちんとやっていこうというのが建設省としての役目ではございますけれども、住民の皆さん方の御賛同を得られずまだ進捗状態が進行していないというところもございますけれども、こういうことがあったときに初めて私は地元の皆さんの御了解が得られて、国民の生命、財産を守る有意義な公共事業にしていきたいと思っております。

○江田五月君 公共事業も本当に必要なものとそうでないものもあるんですよ。その必要なものが、今、住民の理解が得られないとおっしゃったけれども、住民の方が本当に要望しているのに、十年もたなざらしとか、そういうことじゃ困るんです。それではいけません。これは今後また十分、別の委員会などで詰めていきたいと思います。

 個別の問題を四点ほど質問します。
 まず、夫婦別姓。
 森総理、あなたは、男女共同参画審議会の九月二十六日答申に対して、これは新聞報道ですけれども、「個人としては、従来の方が日本にはなじむと思う」と、こういうことを言われたと。こう言われましたか。

○国務大臣(森喜朗君) 選択的夫婦別氏制度につきましては、婚姻制度や家族のあり方とも関連する重要な問題として、国民や関係各方面の意見が分かれている、そういう状況にございます。国民や関係各方面の各層の御意見を幅広く聞き、また各方面におきます議論の推移を踏まえながら適切に対処していく必要がある、このように考えております。

 なお、私が今御指摘いただきましたことは、正式な会見とかそういうことじゃなくて、俗に言うぶら下がりという、歩きながら記者さんと話したときにどう思いますかと言うから、あくまでも個人ですよと、私は個人として私の気持ちを述べただけでありまして、もとより人にそういうことを、価値観を押しつけるとかそういう意味では申し上げたわけではございません。私は、日本人として私はそういう気持ちだと言ったこと、個人として言ったということです。

○江田五月君 これもやはり新聞の報道がそのとおりかどうかよくわからないんですが、個人として、一日本人として自分は夫婦同姓の方がなじむと言うのは、それはいいんです、選択制ですから。だけれども、やはり自分が独身時代に使ってきた姓を今後も使いたい、そのことを変える、それを結婚ということによって変えることを強制されるのは嫌だと、そういう人もいるんです。ですから、これは多様な生き方を認めるか認めないかという問題なんです。

 森総理、日本には同姓の方がなじむと言うと、これは総理大臣ですから、日本はこうだということを言っているわけでしょう。ですから、そうじゃなくて、自分は愛する女房と同じ姓でいたい、うちの奥さんもそう言っていると、それはいいですよ。だけれども、日本人全部がそうならなきゃならぬというお考えではありませんね。多様性をお認めになりますね。どうなんですか。

○国務大臣(森喜朗君) もちろん多様性を認めますし、だから私は一緒に歩いている記者さんに小さな声で、私は個人としてやっぱり一個の方がなじむけれどもなと、私の家内もそれでいいと言ってくれていると、こう言ったんです。

○江田五月君 やはり気をつけて言っていただかないと、「日本にはなじむ」ではいけないんです。
 保岡法務大臣、この別姓、選択的別姓でいかがですか。

○国務大臣(保岡興治君) お答えいたします。
 今、総理が言われましたとおり、この問題については国民の中で非常に議論が分かれておりますし、また国民生活あるいは家庭生活において根幹にかかわる重要な問題でございますので、やはりそういった国民の考え方の動向を踏まえて政府としては対応していくべきだと、そう考えておるところでございます。

○江田五月君 担当大臣はおられないんですね、記者会見。

 NPO税制、NPO法が施行されて二年近くになりますが、施行三年の見直し規定もあって、民主党は、NPOに対する寄附の所得からの控除とかあるいは事業税の減免などのNPO活動促進税制を実現すべきだと考えておりますが、宮澤大臣、いかがですか。

○国務大臣(宮澤喜一君) NPOが社会の活性化に貢献をしてきている、今後もますますそうであろうというふうに考えますので、基本的には今おっしゃいましたような行政に入らなければならないと考えていまして、実はつい先日、事務当局に対して、来年の税制改正及び税務行政の問題としてこのNPOの寄附金減免税を実現に入ろうという指示をいたしました。

 御存じのように、しかし調べてみますと、同好会のようなものから大変に大きな社会活動に及ぶものも、千差万別でありますので、こういう団体は政府が余りあれこれ言うのを嫌われると思うのですが、ただ、国税の寄附金減免というようなことをいたしますと、やはり一つの基準をどうも設けざるを得ない、それからそういう公益性にマッチした処理をしてくれる事務能力も先方に必要であるというふうに思いますので、経済企画庁、各省庁、大蔵省、国税庁一緒になりまして、適当と思われるところから、それに対する寄附金の法人、個人の減免税について来年から行政に入りたいと考えております。

○江田五月君 公益性の判断というのはなかなか難しい。難しいんですが、だれが判断するかというようなこともあるんですよね。

 例えば、私が長くかかわってきたアムネスティ・インターナショナルという運動があるんですが、このアムネスティ・インターナショナル日本支部というのを法人にしてくださいよという、ところがアムネスティ・インターナショナルは死刑廃止運動をやっているんですね。これは政府の方針と違う、したがって公益性がないというようなことで随分議論になりました。

 しかし、保岡さん、法務省、それから河野さん、外務省、これ共管でということで、死刑廃止の議論は政府の方針と違う、中身は、しかし議論をすること自体は、これは社会、公共のあり方、国のあり方として公益性があるじゃないかというので、そういう議論をすることは別に公益に反するわけではないというので、両省の理解を得て、これは社団法人、スタートしたわけですよ。やっぱりそこはひとつ広くおおらかに見ていただきたいと思います。

 NPOという活動について、総理はどういう認識をお持ちですか。

○国務大臣(森喜朗君) 先ほど大蔵大臣もお述べになりましたように、我が国におきましては、行政でも営利企業でもない、いわゆる第三のセクターとしての、国民の多様化したニーズに効果的かつ機動的にこたえるとともに、個々人の自己実現の意欲を生かすということができる仕組みとして、二十一世紀に向けましてますます重要な役割を果たしていくものであろうと、このように考えております。

○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどあえて社会の活性化というふうに申しましたのはそういう意味もございまして、政府に都合のいいものだけが公益にかなうという考え方はいたしません。

○江田五月君 そのお言葉、大切にしていきたいと思います。
 NPO活動、これは、担当大臣は堺屋経済企画庁長官。法人税、こっちの方は堺屋さんの担当ではないと思いますが、NPO全体について、今のようなことでひとつ税制に関するお考えをお聞かせください。

○国務大臣(堺屋太一君) このNPOの制度、NPO法というのは議員立法でつくっていただきまして、その附帯決議といたしまして、二年目を過ぎたら見直すということで、私どもの方でも国民生活審議会におきます総合企画部会において六月二十一日に中間報告をいただきました。これからの世の中でこのNPO、ボランティア、そういうものの広い活動が大変重要になってくるという認識は強く持っております。

 したがいまして、大蔵省の方にも税制の面でぜひお願いしたいと政府ベースとして要求しているところでございますけれども、大蔵大臣も申されましたように、どういう基準でこの公益性を判断していくか。非常に多様なものを、役人が選ばないでまずNPOに認めるということが第一段階でございまして、それでこの税制というものをつけていくときに、その基準を、例えばソーシャルサポートの方法とかいろいろございますけれども、どうしていくか。これから鋭意大蔵省とも打ち合わせして検討していって、これが次のやはり日本の社会を支える一つの柱になっていくようにしていきたいと考えております。

○江田五月君 ぜひお願いします。
 これは、税のことについて言えば控除の問題と減免の問題とがあるわけで、公益性の判断については、上から見るんじゃなくて、今、堺屋さんがちょっとおっしゃったソーシャルサポート、どれだけ社会によって支えられているか、これで見ていけばというような見方もあると思います。

 次に、地域総合整備事業債というのがあるんですね。なかなかややこしいことなんでパネルでお示ししますが、地域総合整備事業債、自治大臣、これはどういうものか御説明ください。

○国務大臣(西田司君) 御承知のように、地方単独事業は、地方団体が地域の実情に即して自主的、主体的に住民に身近な社会資本の整備を行うものであります。また、地域経済を下支えする事業としても重要な役割を持っておると考えております。

 地域単独事業を推進するための財源措置といたしまして、御指摘の地域総合整備事業債等は、その元利償還金の一部を地方交付税の基準財政需要額に算入することとし、地方団体が自主的、主体的に行う地方単独事業の財源として活用をしているところであります。

 各地方団体は、後年度の財政負担なども踏まえた上で、みずからの判断に基づいて必要な事業を選択し、議会の議決も経て計画的な事業実施を行っておるものと承知をいたしております。

○江田五月君 今おっしゃるとおりが、まあ建前。地方の単独事業、これをしっかり財政的に支えていく、国は細かなことを言わないということなんですが、しかし、この建前と実態とがかなり違うんじゃないか。この地総債が景気対策のために自治体に不必要な借金をさせる制度になっているんではないか、こういう指摘があるんですね。

 今、景気対策、なかなかどうもやってもらえない、特に地方の方で。それはそうです、地方も金がありませんから、そう国が景気対策をやれやれと言ったって、ないそでは振れない。そこで、この地総債というもので、後ほど交付税でちゃんと手当てをするからやってくださいよ、地方単独でと。こう言って、後で交付税がちゃんと来るからというので、地方は飛びつく。飛びつくんですが、しかし、どうもそれが本当に後々役に立つものであるかどうかわからずに飛びついている。

 実は私、地元のことなんですが、広大な旧国鉄操車場跡地、この公園用地に突然観客席が五百あるいは千のミニドーム球場をつくる話が持ち上がっていますが、五百以上のものでコンペを入れる、何か計画を出せとかいうんですから、どうも地域総合整備事業債のために自治省から建物を建てるように強く言われて、必要性があるかどうかの議論を抜きにまず建てるという感じ。

 自治大臣、こんなことでよろしいんですか。

○国務大臣(西田司君) 今御指摘がございました個別問題については、残念ながら私は承知をいたしておりません。

 しかし、その事業の選択というのは地方自治体に任せておることでございまして、そこでどのように財源、財政措置の支援をしていくかということは、これは国としての私は役目だと、こう考えておるわけでございます。しかし、今の状態でございますから、よく今後吟味をしていきたい、こう考えております。

○江田五月君 もちろん、地方自治体もしっかりしなきゃいけないんです。本当に真剣に吟味をして必要なものというものを絞っていかなきゃいけないんですが、どうも現実は国が考えているようになかなかなっていないというところがありまして、そこはひとつみんなで努力をしていかなきゃならぬ。

 もう一つ自治大臣、最近の報道では、この地総債に限らずですが、交付税というものが第二補助金になっているんではないか、こういう指摘があるんですが、これは自治大臣、どう思われますか。

○国務大臣(西田司君) 国庫補助を受けずに地方単独事業で実施をしていきます地方総合整備事業債、ただいま御指摘になったところでございますけれども、各団体の現実の財政負担の代償を的確に反映させていくため、その地方債の元利償還金を基準財政需要額に算入しておるところでございます。

 基準財政需要額は地方団体におけるあるべき財政需要額を保障することを目的としておりまして、各地方団体における地方税と地方交付税の収入に対応するものである、したがって需要額に算入することが第二の補助金というようなことでは私はないのじゃないのか、こう考えております。

 なお、つけ加えますけれども、私は、地方交付税、それはもちろん見直しも必要でございますけれども、この必要性は強く感じております。

○江田五月君 ないのじゃないのかというんですが、どうもないのじゃないのじゃないのかというような感じでして、本当に気をつけていかなきゃいかぬと思います。

 四つ目。農業の中山間地域直接支払い制度、これも耳なれない言葉なのでパネルを用意しましたが、農水大臣、どういう制度か御説明ください。

○国務大臣(谷洋一君) 我が国の国土は林野面積が極めて多く、その林野が非常に急峻なところが多うございます。ですから、山合いの国土はほとんどが急傾斜地域としての水田をつくっておる、あるいは畑地をつくっておる、まあ水田が多うございますが。そういうところに対しまして、中山間地域の指定条件を付しまして指定をして、そこで中山間地域の方々に対する支払いをしておるという制度をつくりました。

 これは、やはり何といいましても、中山間地域は先ほど申し上げましたとおりに非常に農業の適地とは言えない不遇な地域が多うございますので、それは国土保全という立場から、特に最近における山地崩壊等々の問題を考えますと、そういう中山間地域の振興のためにもそういう制度をつくることがいいという考えのもとにつくっておるわけでございます。

○江田五月君 この制度の根拠法、これは何ですか。あるいはこの制度について国会で議論されたことはありますか。

○国務大臣(谷洋一君) これは、総理の御指定をいただきまして審議会をつくり、その審議会には各層の方々が入っていただきまして審議会で議論をしていただいたこともございます。そして、現地も踏査もしていただきました。

 また、衆参の農林委員会で相当熱心に、また現地を見ていただくところもございましたが、そういうふうな関係で相当な議論を高めまして、この問題をつくったわけでございます。

○江田五月君 私は、この制度は評価をしておるんです。しかし、どうも直接の根拠法がないと。どうも国民にも、その地域の皆さんにはもちろん説明がある、しかしまだ十分に理解されているとも言えないところもあるみたい。

 そういう中で、初年度国費三百三十億円、事業費七百億円の制度が始まった。その制度自体は評価しますが、もっとやり方をうまくしなきゃ、ガット・ウルグアイ・ラウンドの議論を経てWTOでも認められた農業の支援制度として、これは民主党でも国民合意のもとに、特に都市住民の皆さんの合意もしっかり得て、中山間地域直接支払い制度を充実改善していきたいと思っております。

 本当に山合いで、行ってごらんになると、もう総理もよく御存じだと思いますが、もう棄農といいますか、完全に崩壊してしまったようなそういう水田がたくさんあって、地域社会自体がうまく動いていかない。そこを地域との契約で、協定で、地域の皆さんの共同の努力で守っていこうということですから、国土の保全のために大変大切と。

 さらにまた、WTOではそのほかにも認められた農業支援があるわけで、有機農業、これに対して環境直接支払い制度というものが認められているけれども、まだ日本ではこれは議論の最中。あるいは環境保全型農業の直接所得補償制度、こういうようなこと、これは民主党の農業・農村政策あるいは中山間地域の地域振興政策の重要な柱の一つとして確立をしていきたいと思っております。

 さて、がらりと角度を変えまして、もう一枚大きなパネルを用意いたしました。臨時国会、大変重要な国会になると思います。この臨時国会での課題、これを私流にまとめますと大体こんなことになるかと。ちょっとごらんいただけるでしょうか。(図表掲示)

 「森政権を信任できない五つの理由」、ちょっと厳しいですけれども、「臨時国会の課題」は、一つ、「嘘と疑惑・適格性のない政権」だと。成立疑惑、これは冒頭ちょっと申しましたが、きょうは議論しません。そして、森首相の犯歴疑惑、後から議論します。官房長官、お戻りになりましたか、官房長官の不祥事問題、一です。

 二、「ごまかし・まやかしの政権」。公共事業の見直しはどうも古いばらまきと新しいばらまきの利権争いじゃないのか。参議院選挙制度の改悪、久世問題のすりかえですね。あっせん利得処罰法は森総理かざる総理かなどと言われる。警察法改正もどうも公安委員会の監察も拒否するんですかと。

 三つ目、「言葉だけで中味なしの政権」。後で簗瀬さんから質問してもらいますがIT革命、あるいは教育基本法議論は笛吹けど踊らずと。

 四つ目、「見当違い・理念混乱の政権」。少年法問題、これは私たちも少年法改正には前向きに取り組んでまいります。まいりますが、しかし大切なのは何なのか。厳罰なのか更生なのか、家裁が今どれほど干からびておるか、こういう問題がある。あるいは永住外国人参政権法案の問題、過去志向なのか未来志向なのか。

 そして五つ目、「構造改革先送りの政権」。補正予算はどうも旧来型公共事業、あるいは退場すべき企業や法人を温存する。医療保険制度、年金制度抜本改革はもう待ったなしなのに。地方分権は本当に補助金一括して地方財源へとやらなきゃだめだと。あるいは財政再建、きのうも衆議院で菅議員と議論がありましたが、総理は準備と言いながらどうも準備はなくて、心構えでしたっけ、それだけの話と。

 こういう信任できない五つの理由、これを個別に全部きょうはもちろんやることはできません。この重要課題、これから衆参のあらゆる審議の中で論議をしてまいります。IT革命は後で簗瀬さん。

 私は、まずこの中で、二の参議院選挙制度改悪問題、これを取り上げていきたい。
 森総理、あなたは昨日の衆議院の予算委員会で、我が党石井一議員が再三質問しました。再三、どうもまともに答弁しておられなかったというような気がしますが、きちんと答えてください。

 民主主義の基本的なルールである選挙制度を与党だけで勝手にすべての野党の反対を押し切って変えていいとあなたは思われますか。どうですか。

○国務大臣(森喜朗君) 選挙制度であれ、いろんな諸改革というのは、当然政治が求めていくものとしてあってしかるべきだと思います。

 この問題に関して言えば、参議院の皆様方の中でいろいろと議論があったというふうに我々承知をいたしております。与党は与党なりに与党の責任としてやり、まずみずからこういう考え方でということで国会にお出しをし、そして国会の中で議論をさせていただきたい、こういう考えで法案の提出をお願いしている、このように私は承知しております。

○江田五月君 きのうの衆議院での議論がちょっとはっきりしないんですが、森総理は参議院の方でいろいろな意見の経過の中から今回の法案の取りまとめになったというふうに聞いておると、つまり参議院でのいわゆる議長のもとでの協議会、ここの議論の延長線でこういう取りまとめになった、こういう認識でおられるんですか。

○国務大臣(森喜朗君) 私は、議院協議会のもとでそういう結論が出たとか、そういうことを申し上げているわけではございません。参議院選挙制度改革に関する協議会におきましては、昨年の六月から各党会派によって参議院議員の選挙制度改革について熱心な議論が行われてきている、このように承知をしております。

 本年二月に取りまとめられました報告書におきましては、参議院のあるべき役割に適合した選挙制度の改革の検討が必要であるというのが一致した意見であった、こういうふうに私は伺っております。当面の改革についての検討の中では、現行の拘束名簿式と非拘束名簿式のおのおのについて長所と短所が指摘されており、非拘束名簿式そのものが否定されているわけではない、このように聞いております。

 なお、協議会の報告では、現行の拘束名簿式の仕組みそのものを改める抜本改革の実現は容易ではないことから、当面は現行の拘束名簿式を維持することを前提として議論を進めるとしているのにすぎず、その後協議会は開催されておりませんが、今般の与党の取り組みは、国民に対し責任を負うべき与党として、来年の通常選挙を控えまして参議院選挙制度の改革をこれ以上先延ばしはせずにこれに正面から取り組まなければならない、そのように判断されたものと承知をいたしております。

○江田五月君 協議会報告書は、一に「参議院の役割と在り方」、二に「当面の改革」、そして「一、拘束名簿式比例代表制と選挙区制について」で、現行の拘束名簿式比例代表制と選挙区制については、時間的な制約等もあり、現行制度を前提として議論を進めることとなったと、こうはっきり書いてあるんですね。ところが、きのうの総理の答弁では、参議院の方でいろいろな意見の経過の中から今回の法案の取りまとめになったと。

 参議院の方で今回の法案の取りまとめになったんじゃないんですよ。与党の方が勝手にそういうものを出してきたというだけで、しかもこれは協議会の最終結論二月二十五日に反するんですよ。そのことはおわかりいただいておるんですか。

○国務大臣(森喜朗君) 議院協議会で取りまとめになったということを申し上げているわけでありません。与党としてそういう取りまとめの判断をされたものというふうに私は聞いておりますと、こう申し上げているわけで、先ほど申し上げたとおりでございます。

○江田五月君 参議院の方でとここで言われている、これは速記録の速報ですが、参議院じゃありませんよ、与党が勝手に取りまとめるだけですよ。それは間違えないようにしてください。参議院というのは与党のことだと、そういう議論はいけませんよ。参議院というのは与党も野党もあるんですからね。野党の存在を忘れてもらっちゃ困ります。

○国務大臣(森喜朗君) 私は、参議院の与党の皆さんがそういう判断をされたものと承知しておりますと、こう申し上げているわけです。

○江田五月君 このことはさらに議論を続けますが、これは、来年の選挙制度は現行制度で行うことで決着ついていた。ところが、この夏になって久世公堯議員の問題が出てきた。そして、にわかに比例代表選挙の問題点が出てきて、与党内でこういう議論になった。悪質なすりかえと言わざるを得ません。しかも、金のかからない政治を目指してこの十年以上進めてきた政治改革の流れに逆行している。

 この非拘束方式でどのくらい公費助成ですね、公費負担、選挙運動についての公費負担ふえますか。自治大臣。

○国務大臣(西田司君) ちょっとお待ちください、数字でございますから。
 お答えをいたします。
 今般の参議院制度の改革に関する、あえて与党と申しますけれども、与党プロジェクトチームの合意においては、比例代表選挙を非拘束名簿式に改め、名簿登載者個人の選挙運動を認めるとともに、その費用を国費により負担をすることとしておると承知をいたしております。

 この点に関し、公職選挙法は、金のかからない選挙を実現するとともに、候補者間の選挙運動の機会均等を図る手段として選挙の公営制度を採用しているところであります。プロジェクトチームの合意もこのような考え方に基づいておるものと思います。

 いずれにせよ、参議院制度改革については、議会政治の根幹にかかわる問題であり、各党各会派の間で精力的に議論をしていただきたいと思います。(「委員長、全然違うじゃないの、それ、質問と答弁が。何しゃべっているんだよ」と呼ぶ者あり)今お答えをしようと思っております。

 費用の問題についてお触れになりましたが、私のところでは約五十億円くらいな公費支出が要るものだと、こう想定はいたしております。

○江田五月君 今の五十億円ですよ。非拘束名簿にして、そして各候補者、比例区、この皆さんが個人の選挙運動をする。その選挙運動を公費で負担する。五十億円負担増になるということなんですね。これは議員立法ですからちゃんとそういう予算関連、予算も必要ですから、そういう試算をされているということなんですよ。それでは、これは何か前の一人一人の候補者も全国区、残酷区、そして銭酷区、そういうことになる。しかも、公費負担五十億円。全く大変な改悪だと言わざるを得ないと思いますが、事の発端は久世問題の事実解明から始めなきゃなりません。

 委員長、私は、久世公堯参議院議員、この一億円、名簿は霊友会から出してもらって、お金はどこかマンション業者から出してもらったという、いや、そのお金は党費じゃなくて云々と、いろいろこうあるわけですが、この問題をはっきりさせないといけない。

 本委員会に久世議員を証人または参考人として招致をしていただきたいことを求めます。

○委員長(岡野裕君) 江田五月君の提案につきましては、後刻理事会において協議をすることといたします。

○江田五月君 この選挙制度の問題はもっともっと議論をしなきゃいけませんが、次の問題に移ります。

 中川官房長官、先ほどお留守でしたんですが、中川長官の問題。
 建設大臣、お仕事中済みませんが、あなたは、この週刊誌に報道された中川長官のいわゆる愛人問題について、男は元気な方がいいというような発言を閣議後の会見でされたということなんですが、どういうことを言われたんですか。

○国務大臣(扇千景君) 私は、週刊誌は拝見していません。
 それは、閣議が始まります前に皆さんお話ございまして、今回のオリンピックで女性の方が大変メダルをたくさんとって、私は男が元気な方がいいと。そして、宮澤大蔵大臣が中川長官に、いやいや、もう余り気にしないで仕事頑張ってくださいとおっしゃったから、ええ、もう男は元気が一番いい、私の主人もいろいろ元気があるからおかげさまで今日があるというふうに申し上げました。

○江田五月君 上手に逃げましたね。女性も元気な方がいいんですが、しかし、女性もこの中川さんの問題のような元気のよさでいいと思われますかね。まあ余り、こんなことはやめましょうね。

 しかし、中川さん、あなたはきのうの衆議院予算委員会で、天地神明に誓って事実無根である、こう言われたんですね。これはあれですか、滑川さんとかいう人の内容証明、ここに書かれていること、これは愛人問題のほかに覚せい剤問題、それもその女性の覚せい剤だけじゃなくて、あなた自身の覚せい剤のことも書かれているので、これについて事実無根ということなのか。さらに、もっと広げて、週刊誌に書かれている女性の問題も事実無根だということなんですか。どちらですか。

○国務大臣(中川秀直君) 結論から申しますと、その内容証明で送られてまいりました、その中の記載の中で薬物の話まで書かれているということについて、それはもう全く事実無根である、こう申し上げました。

 それからまた、正直、数年前の過去の私事についての報道でございますので、江田委員も御承知だろうと存じますが、国会法で百十九条というものがございまして、こういう場でそういうことについてコメントすることは、回答することは差し控えたい、こう申し上げておるわけでございます。

○江田五月君 覚せい剤の問題については事実無根だと。しかし、もう一つの方は、週刊誌の内容によれば、どうも大人の援助交際風の感じですが、いずれにしても、男女共同参画担当大臣ですから、これはやはりそこのあたりはひとつしっかりと事実を明らかにしていただきたいと思います。

 さて、それはそれとして、森総理の問題に移らざるを得ません。
 きのうの菅幹事長の中で、我が党にも昔逮捕されたことがある議員がおるというようなことがありまして、その一人は私でございまして、自民党の総裁室に入ったということなんですが、まことにお恥ずかしいことであります。ただ、自民党本部に行ったら、何かこちらへと言って大きな会議室に入れられて、案内されて、外からかぎをかけられて一網打尽というので、本当に恥ずかしいことでありますが、若いときにいろんなことはある。それはそれで、それがどうというのではないんですが、森総理はそれをないとおっしゃるから、そこでこれは今の森総理の資格問題になってしまうということなんだと思います。

 今、森総理は月刊誌に対して損害賠償一千万円、謝罪広告を求めている、民事訴訟ですね。そして、被告のこの雑誌の側から警視庁に対して犯歴データの調査嘱託があって、裁判所がこれを認めて調査嘱託の手続をとった。警視庁は裁判所に対して、犯罪経歴は犯罪捜査のために収集、保管しているものでありますので調査に応じかねますという拒否回答、これが現在までです。

 きょうは、政府参考人で警察庁長官をお呼びしたんですが、所用で来られていないと。警察庁の刑事局長さんはお見えですね。

 事前に文書で回答をもらっているんですが、調査嘱託への回答の決裁、これは警視総監が行ったと、そうですか。

○政府参考人(五十嵐忠行君) 警視総監が決裁しております。そのとおりでございます。

○江田五月君 警視庁の方に照会したということもありますが、犯歴データはコンピューターで警察庁で一元的に管理されているので、都道府県警察が窓口とすれば、決裁は警察庁長官がした方がいいんじゃないんですか。

○政府参考人(五十嵐忠行君) 犯歴データの管理は警察庁の方で一元的にやっております。
 今回のは、犯歴データの調査に応じるかどうかということの照会が東京地方裁判所の方からございましたが、犯歴データを部外に提供するということにつきましては非常に知り得る限り先例のないことでありますし、そういった意味で慎重に検討する必要があるということ等がございまして、総監決裁事項ということで行ったものでございます。これは提出するのについて、回答するのについて総監決裁を行ったと、こういうことでございます。

○江田五月君 警察庁がおつくりになった私への調査に応じられない理由という文書では、警視庁の裁判所への文書と違うんですね。警察庁の文書では、「犯罪経歴に関する情報は、犯罪捜査等の警察任務遂行のために警察が収集、保有しているもので、このような目的以外での開示は原則として行わないものである。」と、こういう回答になっているんですが、警察庁、お答えいただきたいんですが、原則として行わない、例外はあるんですか。

○政府参考人(五十嵐忠行君) 再度繰り返しになりますけれども、犯罪経歴は個人のプライバシーにも非常に深くかかわる、あるいは公務員法上の秘密に当たるとともに、これを開示すれば自後の警察活動に支障を来すものでございます。したがって、犯罪経歴に関する情報をその収集、保有の目的以外で開示することは特に慎重な判断を要するものでありまして、原則としてできないということでございます。

 なお、例外的にこれを開示しようとする場合には、開示することにより得られる利益と開示しないことで守られる利益とを個々の事案ごとに比較考量した上でその決定がなされるべきものと考えております。

○江田五月君 比較考量ですね。よく聞いておきます。
 五月十二日の衆議院法務委員会、林警察庁刑事局長は、「一般論として申し上げますと、犯罪経歴というのは個人のプライバシーに最も深くかかわるものでありまして、公務員法上の秘密に当たるとともに、これを開示いたしますと自後の警察活動に支障を来すものであるだけに、特に慎重な判断を要するものであり、」云々と答えております。

 個人のプライバシーあるいは警察活動への支障、こう前は答えていた。今回、目的以外の開示はしないと、こういう答え。理由が違うんですよ。プライバシーならプライバシー、情報公開なら情報公開、目的以外はだめならだめ。それぞれによっていろんな対応があるわけで、しかも、目的以外の開示を行わないというのはひどいですよね、情報公開、それでは全くもう趣旨没却されてしまうわけです。

 さて、そこで森総理、森総理は良心に従って自分の名誉のために民事訴訟で闘っているとおっしゃる。しかし、一方で、もし総理にはそういう犯歴は御自身としてはなくても、データとしてそういうものが残っているということだってあり得るわけですよね。ですから、今民事訴訟でやっていらっしゃる。総理はない、真実はないのかもしれない。しかし、あるというデータが残っている、こうなったらこれは民事訴訟でどうなると思われますか。

○国務大臣(森喜朗君) 私は私の名誉に関して今裁判に訴えているわけでありますね。したがいまして、これは一切すべて弁護士に一任をいたしておりまして、そのことに関してこうした場所で私が個人的に申し上げるということは差し控えなければならぬと思っています。

 ただ、これは江田さん、ぜひ、私も黙って伺っておりますが、私は昨日衆議院でも申し上げましたけれども、私の良心にかけて、自分の名誉が毀損されているから私は闘っているんです。それは政治家としても社会人としてもいろんなケースがあるだろうと思う。そして、多くの事柄を書き立てられて、そのために家族がどんな思いをしているか。私はそういう思いを皆かけて今闘っているんです。

 その裁判の結果を待つまで私はここで発言をするということは控えなきゃならないんじゃないですか。それぐらいのことは武士の情けとしてわかっていただきたいと思う。

 そして、もう一言申し上げておきますが、そんなに重要な問題ですか。そして、そんなに私の言うことが信頼できませんか。だったら、あなたもそのおかしな雑誌と一緒になって調査されたらどうですか。

○江田五月君 武士の情けとおっしゃいますが、今、総理大臣ですから。そして、そういうことが疑惑になっているんですから。だから、もし犯歴データが間違って残っていたら、それは正さなきゃいけないですよ、直さなきゃいけないですよ。

 もうこれで質問を次に、簗瀬議員に……

○国務大臣(森喜朗君) 疑惑として残っている、だから私はそのことに対して今名誉をかけて法廷で闘っているんでしょう。あなたは勝手に疑惑、疑惑と、あるようにおっしゃっていますけれども、もしなかったらあなたはどうするんですか、それじゃ。

○江田五月君 警察庁の方ではこの犯歴データ、出すか出さないかは利益衡量だと言っているんですよ。利益衡量だと言っているんですから、あなたがそういう……(発言する者あり)

○委員長(岡野裕君) 委員長から発言を求めます。
 皆さんの声によって発言者の発言が委員長に聞こえません。御静粛に願います。

○江田五月君 利益衡量だと警察庁も言っているわけですから、総理の犯歴データがもしあって、それが真実に異なっていたらそれは直さなきゃいけない、それは総理ならできる話なんでやってくださいと言っているんで、しかし時間が参りました。
 質問、次に簗瀬議員に移ります。


2000//09/29

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