1981/05/29

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94 参議院・連合審査会 1981/05/29

フェニックス法案で計画のズサンさを追及

 環境保護を訴える市民グループを中心とした反対論が強まる中で、「広域臨海環境整備センター法案(フェニックス計画)」は六月三日、自民党を始めとする賛成多数により参院本会議を通過、成立しました。

 本法案に対し、江田五月議員はリサイクルの観点の欠如、海水汚染や交通公害の惹起、利権ばらまきの要因などの理由から反対し、五月二十九日、参院の運輸・地方行政・社会労働・公害交通特別委の連合審査で次のように政府にただした。

 「今回の政府試算ではリサイクルは一%にしかなっていない。ところが武蔵野市ではリサイクルによってゴミは五割近くまで減量化している。本法案の根拠となった都市人口の変動予測も大きく違ってきており、三全総(第三次全国総合整備計画)も見直しを決定したではないか」――。

 厚生省の山村水道環境部長はこれに対し「昭和五十二年ベースではそうだった。ご指摘の通りで、来年度には(ゴミ発生量に関する)全面的見直しを行う」と答弁。政府自らがフェニックス計画のズサンさを認めたことになりました。

 さらに江田議員は、東京湾と大阪湾での湾岸工事工法の違いについても追及。
 「厚生省が八億円をかけて行った調査書では、東京湾では二重鋼管矢板方式(清水建設の特許)、大阪湾ではケーソン方式(鹿島建設の特許)を前提にしている。建設業者とのゆ着があるのでは」とただしましたが、山村部長は「特許については知らなかった」と答え、厚生省の不自然さが明瞭になりました。

 「建設、土木工事による残土、しゅんせつ土砂についても疑問が残る」(江田議員)との指摘に対しても、「運用上で。配慮する」「実施計画で見直す」(山村部長)と、厚生省は終始逃げの姿勢。

 計画の段階から法案の作成過程まで二転三転したいわつきの本法案は、いずれにせよ成立したわけですが、今後実施されるまでの間に市民運動をさらに展開し、政府が全面見直しを行うよう、今後の対応が要求されています。


○江田五月君 大変な長丁場でございますが、お許しをいただきたいと思います。この広域臨海環境整備センター法案、これはもちろんごみの廃棄物の適正な海面埋め立てによる処理と港湾の秩序ある整備を図るんだということでございますが、廃棄物の処理のための法案として出されておるわけでありまして、廃棄物の処理というと、最近ではリサイクルの話を抜きに廃棄物の処理を考えるわけにはいかない。まず、きょうは大臣四人おそろいですから、廃棄物の処理とリサイクルということについて、リサイクルの重要性について一体どう判断なさっておるか、お考えでいらっしゃるかということについて最初に伺っておきたいと思います。

 これまでは、廃棄物というのはとにかく出るもんだ、出たらあとは捨てりゃいいんだ、捨てる場所を探すことが大切だというようなことであったかもしれませんが、これからは捨てる場所の方もさることながら、いかに廃棄物を出さないようにするのか、あるいはもう一度、出た廃棄物を資源として使っていくということを考えなきゃならぬ時代がいろんな点で来ておるわけです。資源の点からもそうでしょうし、環境の点からもそうでしょう。

 リサイクルによって、たとえば空きかんで自然が汚れてしまうことが防げるとか、あるいはその処理をめぐって起こる大気汚染とか、水の汚染とかが防がれるとか、いろいろな重金属類による自然の汚染を防ぐことができるとか、あるいは資源エネルギーを節約して、それがまたよけいな電気その他の資源エネルギーをつくるために石油を燃やしたり原子力発電所をつくったりというようなことをそんなに一生懸命やらなくても済むようになるとか、あるいはさらに大切な問題がありまして、最近「ゴミュニティー」という言葉があるんですがね。コミュニティーをちょっともじってゴミュニティーという、ごみの処理ということを通じて社会をひとつもう一度、ばらばらになった社会じゃなくて、構成員がみんなお互いに腕を組み合っていこう、心をつなぎ合っていこうという、そういうことですが、ここに一つ、これは「ジュリスト」の一九八〇年四月号というんですが、早稲田大学教授の寄本勝美という方が「ごみ問題とコミュニティづくり」というものを書いている。

 その中に、臼杵市の中州団地という例をちょっと引いてありますが、そこでこういうことが書いてあるんですね。「地域リサイクル・システムの卓越した物的側面もさることながら、それを築くための学習や実践の過程で醸成されてきた団地の人びとの能力の引き出し、相互の信頼やコミュニティ意識、彼らと関連回収業者や地場ないし地方産業や市の清掃事業との間の信頼関係、さらには地域活動におけるユニークさや参加感・有力感の大きさ」、そういうものが本質的な意義であるというようなことを書いてあるわけですが、いろんな点からリサイクルということに真剣に取り組まなきゃいけないときが来ております。

 私はきょうは公害及び交通安全対策特別委員会の委員の一人としてこの連合審査会に参加しておりますので、まず環境庁長官、どういうお考えでいらっしゃるか、環境保護とリサイクルということについてどういう基本的な認識を持っていらっしゃるか、お聞かせください。

○国務大臣(鯨岡兵輔君) 私はいまのお話、全く同感なんです。例としてかんの問題をお取り上げくださいましたが、これがいま私の頭の中の一部を占領している大問題なんです。百億本ですからね、一年間に。百億本の中で三〇%ぐらいがもう一回溶鉱炉に戻ると思えばちょっと多過ぎるくらいです。それでそれがもしアルミかんだとすれば、それに要した電気は三十万世帯の都市の上場を除いた電気と同じなんです。ですから、電気、電気と言ってないで、それを元へ戻せば三十万世帯の電気は空きかんから出てくる。日本はエネルギーがないんだないんだと言っているんですから、これはみんなが、国民全体が考えなきゃならぬことでしょうが、そういうところから考えていかなきゃならぬ。

 私は、経済の量の拡大をこのまま五・五%ぐらいまで続けていきますと、西暦二千年になる二、三年前に日本の経済は倍になると思います、このまま続けていけば。倍の経済を、この三十七万平方キロで二割ぐらいしか可住面積のないところで環境や自然を守りながらということはなかなか容易なことじゃない。これは私だけが骨折ったってできるものじゃないです。これは日本じゅうで骨折らなきゃできない問題ですから、経済の量の拡大から質の変化を伴った拡大ということを考えていかなければならない時代だと思います。全く同感であります。

○江田五月君 厚生大臣、まだ就任後日が浅くて恐縮ですが、前の園田厚生大臣のときにも私どもの、同じ党の別の委員からいろいろ聞いておりますが、ひとつ新しい厚生大臣としてどういう基本的なお考えか聞かしてください。

○国務大臣(村山達雄君) いま江田委員の指摘されましたことは全く私も同感でございまして、一つは資源に再利用していくという問題、それから減量化の問題、最終処理を減らすという問題、そして最終処理になるものは無害にして有然に戻していくと、こういうリサイクリングが考えられるわけでございます。

 いま、いわゆる狭義の意味の資源再利用では、産業廃棄物は大体三二%ぐらいになっておりますし、一般廃棄物もこれは大体私の読みでは二五%ぐらいじゃないであろうか。統計では実は再生利用した後のものが一般廃棄物に出ておりますので、推計が入るのでございますけれども、二五、六%ぐらいはやっておるんじゃないか。これをやはりいかにして高めていくかという問題がございます。そのためには当然やはり分別収集するとか、あるいは資源を再利用しやすいような形でまず分別する、あるいはまた技術開発によりましてそれを再利用していく。それからその次は、どうしても焼却し、それを減量化して、それで最終処理を減らして無害にして自然に還元していくと、こういうリサイクリングが必要であろうと。で、いま環境庁長官が言われましたように、これからの日本の経済を考えますと、どうしてもそのことはわれわれ自身が、日本人全体が必要とするリサイクリングではないだろうか、こう思いまして、今後、この線に沿いまして全力を挙げてまいるつもりでございます。

○江田五月君 運輸大臣、所管がちょっと違うかもしれませんが、政治家として、国務大臣としてどういうお考えか聞かしてください。

○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、リサイクリングは現在の状態では経済的なコストの面が云々されてなかなか進みにくいと思うんですが、これはそういう問題を離れてやはり考えるべきではないかと思うんです。そのことはやはり一人一人の心構えというものがやっぱり大事なんではないか。で、行政指導ということも大事でございましょう、行政的な制度でそれを誘導していくということも大事でございましょうが、やはり国民一人一人の心構えというものがリサイクリングの場合決定的な効果をあらわすんではないかと、こう思っております。

○江田五月君 自治大臣ね、やっぱり自治体が一番大切なんですね。リサイクルを幾ら国で旗を振っても、いまの運輸大臣のお話のように、一人一人の心構え、一人一人の心構えにすぐ密着するものというのはやっぱり自治体でして、自治体が一生懸命リサイクルに取り組むということを国としても助けていくということになれば、やはり自治大臣ちょっとがんばってもらわなきゃいかぬと思います。お疲れでしょうが、ひとつお考えを聞かしてください。

○国務大臣(安孫子藤吉君) この問題は、やはり自治体が本気になって取り組んでいくという姿勢と熱意と決意がなければうまくいくものじゃなかろうと思います。したがいまして、この問題は自治体が主体になりまして、いろいろといままでも意思の疎通を図ったり、努力をしたり、中央との関係においても連絡をとりながら、その中から生まれてきた構想だと私ども思っております。そして、このセンターができますというと、理事者と申しますか、執行機関というようなものは、大部分が地方自治体の責任者に相なるものだろうと私は思っておるんです。それから出資の面なんかも、地方団体の出資になるわけでございまして、そうしますと、これ全体の運用というものも自治体の共同の重任においてやるというような仕組みに私はなるものだろうと思っております。

 しかし、それだけで問題は解決するのじゃなくして、関係市町村の末端に至るまでと申しますか、構成するこの各市町村が本気になってこの問題に取り組むという姿勢と熱意がやはり基本になるんじゃなかろうかと、お話のとおりだと思っております。

○江田五月君 リサイクルの重要性を聞いたわけでございますが、各大臣、皆それぞれに十分に重要性を認識していただいておるわけですが、どうも残念ながら今回の広域臨海環境整備センターの構想というものは、リサイクルとちょっと合わないんじゃないか。むしろ矛盾するんじゃないか。あるいはこういうフェニックス計画ということによって、逆にリサイクルの熱意が阻害されていくんじゃないかというような危惧が強いわけであります。

 先ほど別の委員の質問の中で鯨岡環境庁長官は、海を埋め立てることはいやなんだ、いやと言いたいんだと。しかし、全体的に見るといやと言ってられないんだというお答えでしたね。どうもしかし、もっと細かく見ていくと、環境庁長官、いやと言っていいんじゃないか。全体的に見ると、こういうフェニックス計画というものがなくても、もっとそれこそ国民一人一人が心構えを新たにしてごみの問題に取り組んでいけば、こういう最終処分場を東京湾とか大阪湾とかに大きくとらなくてもごみが処理できるんではないか、そういう気がするわけであります。

 その問題に深く入っていく前に、昭和五十五年八月につくっておられます「フェニックス計画−廃棄物の広域処分策の推進−」ですか、これは厚生省環境衛生局水道環境部計画課地域計画室、この中には、「廃棄物等の資源化、再生利用、減量化及び可能な限り内陸処分を図ることを受入条件とし、」「埋立処分を行う。」というふうに書いてある。あるいは、五十五年十一月の生活環境審議会の「答申書「大都市圏域における廃棄物の広域的処理に関する基本方策について」」の中の「広域的処理対策の基本方針」の一番最初には、「排出抑制等の徹底」として、「広域的な廃棄物の埋立処分の前提条件として、廃棄物の排出抑制、中間処理による減量化、処理の過程における安全の確保及び資源化・再生利用の促進に対し最大限の努力が払われるべきである。」と書いてあるわけですが、このことはもちろんフェニックス計画を進められる前提としてこれはあるんでしょうね。このことがなくなった――受け入れ条件ではなくなったんだとか、前提条件ではなくなったんだとかいうようなことをおっしゃるわけではないんでしょうね。まずその点を念を押しておきたいと思います。

○政府委員(山村勝美君) フェニックス計画におきましては、貴重な海面の長期有効的な利用という観点から減量化、資源化は促進しなければならないと考えておりまして、センター法におきましても、受け入れ基準を明確に定めまして、焼却とか破砕、圧縮、リサイクルを含む減量化をしないと受け入れられないような受け入れ基準をつくっていくというようなことで、法律でも方針は明らかにしておるところでございます。

○江田五月君 ごみを受け入れるときにどうするかということだけでなくて、廃棄物等の資源化、再生利用、減量化、可能な限りの内陸処分、政策全体においてそうしたことがしっかり図られるということをいわば前提条件として、それでもなおしようがなければ埋め立て処分なんだという先ほどの鯨岡長官のおっしゃったような方向が、まさしく、少なくともそうでなきゃならないと思うんですが、さて、果たしてそれではそういうことを、受け入れ条件をしっかりさせる、前提条件をしっかり遂行していけば、それでもなお埋め立て処分をしなきゃならぬのかどうか、これからだんだんそういう方向に入ってまいります。

 まず、ごみがどんどんふえてくる、最終処分場がなくなっちゃうんだ、だからどうしてもこれはつくらなきゃならぬのだ、多くの自治体からそういう声がどんどん起こってきたんだと、そうおっしゃるんですが、本当にそうなのかどうか。最終処分場は一体今後どういうふうに大変なことになっていくのか、これは計量的にお示し願えるようになっているのかどうか。

 どうも私どもの調査によりますと、ここに埼玉県衛生部環境衛生課の「一般廃棄物処理事業の概況」とか、横浜市環境事業団とか、川崎とか、いろいろちょっと持ってきておりますが、ここで一番わかりいいのは千葉県の場合があるんですが、千葉県の場合を一つとってみますと、これは昭和五十五年三月、千葉県環境部生活環境課、千葉県環境衛生促進協議会編の「昭和五十三年度清掃事業の現況と実績」という本なんですが、その九ページには「最終処分場関係」として、残余容量、これは四十九年から五十年にかけてちょっと減りましたが、五十年が七十四万三千五百立方メートル、五十一年が百十七万九千七百立方メートル、五十二年が百二十四万四千百立方メートル、五十三年で百五十四万五百立方メートルと、だんだん最終処分場の残余容量というのはふえているんですね。千葉だけじゃないと思いますよ。東京だけが困っているんです。東京都が困っちゃった。

 去年の首都圏サミットですか、そのときには、近県の知事さんたちは皆いやだいやだとおっしゃったじゃないですか。東京都が近県を巻き込んで東京都のごみを何とか処分してしまおうというそういうような感じがするんですがね。最終処分場が本当にそんなに首都圏でなくなっていると言えるのかどうか伺います。

○政府委員(山村勝美君) 私どもの調査では、現状大体五、六年の残余容量はあると思っております。で、将来にわたっての各市町村の処分場確保の見通し等を聞いた際に、自己処理、自分の区域内で処分場を持っておるのが首都圏で大体五一%ぐらいと記憶しておりますが、将来にわたって六十年代の処分地の見通しという意識調査をいたしますと、二十数%に落ちてまいります。というふうに自己処理、自分の区域内で処分場を持てる状況には全くないということでございまして、東京都に限らず横浜につきましても、もうすでに海に出ておるわけでございまして、本牧の埋め立て処理場を持っておりますし、川崎もすでに海に出ておるというふうに、まあ千葉県は比較的海浜が長いこともあって余裕があるようでありますけれども、埼玉も東京からはみ出したごみで埋まっておるというような内陸の事情でございまして、そういうことを背景にこれを考えたわけでございます。

○江田五月君 アンケートで各地方公共団体に聞きますと、どこも大変だ何とかしてくれというような答えをするかもしれません。しかし、それですぐにそういうことをまあ口実にしてと言っちゃ悪いですが、こういう広域最終処分場をつくっていくというようなことになると、各自治体でのそれぞれの場所でのリサイクル等を通じて何とか減量化していって、そしてそこで処理していこうという努力がペイしない。むしろそんなものはほったらかして東京湾へ東京湾へとみんなが流れていってしまうんじゃありませんか。東京だってまあ後二・八年というような計算だと思いますけれども、しかしまだまだ最終処分場をこれから開発していく余地はあるんじゃないかという気がしますが、これはいわばこれからまだごみを持っていく場所が一体ふえていくのかどうかという話。

 今度はごみが一体どのくらいふえるかという話ですがね。このフェニックス計画の前提となるごみの発生量と処分量の将来予測というものがあるわけですけれども、これは昭和五十二年の調査をもとにして一日当たり一人どのくらいごみを出すかということを計算をされた。そしてその出てきた答えに一人当たりの出すごみが年率一・九%でしたかふえる。あるいは人口も一・三%でしたかふえるというようなことをもとにして将来のごみの量を推計されているというふうに伺っておりますが、大体そういうことでよろしいんですか。

○政府委員(山村勝美君) 大体そういうところでございます。

○江田五月君 ところが、一体首都圏の人口というのはこれから年率一・三%でふえていくのかどうかですね。厚生省人口問題研究所が出しておる「人口問題研究」、最近の首都圏の人口の動向というのは、これは集中型、中間型、分散型とあるんですが、どちらかといえば中間型から分散型へというような傾向を示しておる。そうなりますと一・三%なんてふえないんですね。むしろ分散型にもっとなっていくと減るかもしれない。一・三%というような予測は一体どこから出てくるんですかね。

○政府委員(山村勝美君) その人口につきましては、やはり厚生省の人口問題研究所の推計、一九七五年から二〇〇〇年までの統計によったものでございまして、時点は五十二年十月時点での人口問題の推計を使っております。

○江田五月君 後でよくこの資料を突き合わしてみてどちらが正しいのかよく教えてもらいたいと思いますが、どうも私ども見ますとそういう数字は出てこないように思うんですが、なかなか都合のいいようにいろいろな数字をとってこられてるんじゃないかと申しわけないけれども考えざるを得ないんです。将来、一人一日当たり出すごみの量がどれくらいふえていくかということにしても、リサイクルというようなことがその考慮の中に入っていないんじゃないかと言わざるを得ません。

 また、首都圏でこのごみが一体どういうふうに今後処理されていくか。大体、不燃ごみ二割、可燃ごみが八割ですか、そして全体のごみのうちのおよそ一%ぐらいしかリサイクルには回っていかない。そして、可燃ごみについてはその四八%でしたかはそのままで、残りの五二%だけが焼却をされて処理される。焼却の結果、それぞれ量は減るわけですが、というような根拠で何か今後のごみを考えられておるようですが、これも大体そういうふうに伺ってよろしいですか。

○政府委員(山村勝美君) 現在までの調査では大体そのとおりでございます。なお、この調査は五十二年時点をベースにいたしておりまして、今後センターにこういう考え方あるいは資料は全部引き継ぐことによりまして、恐らく来年度ぐらいには全面的に見直す。それで御指摘のような人口につきましても、すでに三全総の見直しとかいうような経済指標も変わってまいりますので、それらについてすべて見直していきたいというふうに考えております。

○江田五月君 どこでも全部リサイクルが、こういうふうに、私がこれから申し上げるようにできていると言っているわけじゃありませんよ。しかし、一部の自治体ではリサイクルの活動によってここまで減っているところもあるんですよということを申し上げたいと思うんです。不燃ごみのうちの本当にわずかの部分ということでなくて、たとえば武蔵野市の場合の実績で言えば、不燃ごみのうちの五割、ですから二〇%不燃ごみがあると一〇%、これがリサイクルといいますか、リサイクルの中でも粗大ごみなどはリサイクルというほど大げさなことじゃないんで、テレビならテレビ、持って帰ってもう一遍コンセント差し込めばそのまま見えるとか、そういうものも全部含めてですが、そういうふうにして不燃ごみのうちの五割はリサイクルできる、こういう実際の例があるんです。

 本当に悩んで、本当にごみの問題に真剣になって自治体が取り組み、そしてその自治体を構成する一人一人の市民が心がけを新たにして取り組んでいくと、不燃物のうちの半分ぐらいは優にリサイクルできるんじゃありませんか。どうですか。

○政府委員(山村勝美君) 住民運動を含めてあるいは公共団体も含めて熱心に、分別収集を含むそういう資源化に取り組んでおるところにつきましては、そういう例が二、三ございます。

○江田五月君 市民運動、住民運動というのを敵視するようなことがあっちゃいけないんで、そういう運動によって、あるいはそういう運動と連携した自治体の活動によってごみをそこまで減らすことが現にできているところがある。ところが、このフェニックス計画のようなことをやっちゃうと、そういう努力は何かよそから見るとばかなことをやっているなというようなことになっちゃうんじゃないか、これを心配するわけですね。

 可燃ごみにしてもいま五二%しか焼却していない。焼却する場所がなかなかつくれないというようなこともある、それはそのとおりで、確かに御苦労はわかる。しかし、何とか焼却の場所をみんなで努力をしてつくって可燃ごみを全量焼却するようにしていけば、これも東京都の実績で言えば可燃ごみというものは全部焼却をすると十一・五分の一になるというんですね。そうしますと八〇%のごみが、十一・五分の一を仮に十分の一になるとしても八%になる。一〇〇%のごみが、不燃ごみのうちの一〇%はリサイクルに、可燃ごみ八〇%のうちの九割は焼却で体積を減らす。そうすると、一〇〇のごみのうちの最終処分されなきゃならない量というのは一八になるわけですね。こうやってずっと量を推計していきますと、昭和六十年から十年間、このフェニックス計画によって最終処分場に埋め立てなきゃならないほどの必要はなくなる。

 いま努力をして探している最終処分場のこれからの伸び率、将来ずっと先々までどうなるかというのはまだわかりませんが、まだまだそういうところで賄い切れるんじゃないか。そういう中でもっとリサイクルに真剣に自治体も取り組んでいくというようなことが見通されていくんじゃないか、フェニックス計画は甘いんじゃないか、そういう真剣な対応がないんじゃないか、こういう気がしますが、いかがですか。

○国務大臣(村山達雄君) 住民に自覚を促すところの資源の再利用あるいはごみを出さないようにするということ、これはやっぱり何といっても仰せのごとく私は基本だと思うわけでございまして、もちろんそれは従来以上に一生懸命やりましょう、それから減量化もやりましょう、それはそっちでやってまいりますけれども、しかし、それにしても現に最終処理をしなければならぬものが出ておるわけでございますので、それで利害関係の一致する限りにおきまして、そうしてまた弊害の生じない範囲におきまして両方の目的を達成しよう、このセンターでも受け入れ基準を厳しいことをやるということは、ここへみんな持ってこいという意味では決してないのでございまして、むしろそうすることを通じましてその基準を全般に及ぼそうという気持ちでおるわけでございます。

 いまちょっと細かいことはわかりませんが、トータルの数字を申し上げますと、これは五十三年度ごろの調査でございますけれども、最終処分量、どうにもならないで処分しているのが全国で大体一億一千万トンでございます。そのうちの二割が大体一般廃棄物、それから八割が産業廃棄物、こういうことになっております。これは全体の排出量に対してどれぐらいかと申しますと、これは全国の数字でございますが、一般廃棄物では五〇%、それから産業廃棄物では三六%でございます。御関心の深い首都圏で申し上げますと、一般廃棄物で五百万トン、それから産業廃棄物で二千六百万トンでございますから、三千百万トン出ているわけでございます。で、首都圏の方の今度の受け入れ体制は二億五千万トンでございましたか、計量的にはそんな関係になっています。

 近畿圏の方も同じようにしますと、やはり年間三千百万トンぐらいの最終処理でございます。これは一億四千万トンでございます。で、考え方としてはさっき申しましたとおりのことなんで、江田委員が御指摘のようなことはもちろん進めていく、むしろこれを機会に進めてまいりたいということでございます。それで安心してみんなこっちへ持ってくるというような、そんなことはおおよそ考えていないということだけ申し上げておきます。

○江田五月君 どうも時間の配分がむつかしくて、初めにリサイクルの皆さんのこの高邁な理想を伺っておりましたら、伺うことがたくさんあるのにだんだん時間の方が来ておりまして、ちょっと急ぎますが、首都圏、近畿圏それぞれに広域処分場をつくる。そこで、この工法について伺いたいと思いますが、外周護岸、これは首都圏、近畿圏それぞれどういう工法を想定されていらっしゃいますか。

○政府委員(山村勝美君) 結論から申し上げますと、護岸の構造等につきましては全く決まっていない、最終的には決まっていない。どちらかと言いますと、港湾サイドの方の領域と考えておりまして、私どもの調査の過程で一つの調査を試みております。それで近畿圏の報告では遮水性、施工性、工費、工程等を検討した結果、重力式のケーソン、混成堤を前提として関連事項を調査しております。それで首都圏の報告につきましては、東京湾の軟弱地盤等の実績を考慮し、遮水性、工法等の条件を考慮いたしまして、二重鋼管矢板構造として全体システムの検討を行っているところでございます。

○江田五月君 この両方で八億円ですか、厚生省環境衛生局水道環境部の昭和五十四年度広域最終処分場計画調査、首都圏広域最終処分場基本計画調査報告書と、近畿圏広域最終処分場基本計画調査報告書、拝見をいたしましたが、おっしゃるように、首都圏の方では二重鋼管矢板、近畿圏の方ではケーソンというようなことになっておりますが、しかし、どうもいろいろとお書きですが、首都圏の方では遮水性を考慮して二重鋼管矢板だと、近畿圏の方では工費を考慮してケーソンだと、いろいろなことがたくさんほかにも書いてありますが、主として枝葉を取って幹を残してみると、どうもそういうふうに読めるんです。どうして首都圏では遮水性で近畿圏では工費なんでしょうか。大阪の方の人は商人が多いからお金のことが大切でというようなことではまさかなかろうと思うんですがね。どうして一体首都圏と近畿圏で工法を選ぶ基準が違うんですか。

○政府委員(吉村眞事君) いまの御指摘の調査は厚生省でおやりになった調査でございまして、そういうお選びになった理由はちょっと私はわかりませんけれども、構造を選びます場合は、当然工費あるいは遮水性、それから地盤の条件、それから水深、そういったものを考慮いたしまして一番すぐれたものを選ぶということになろうかと思います。

○江田五月君 そうでしょう。運輸省の方ではまだそこまでとても決まらないんじゃないかと。厚生省の調査の方では、そういう工法を選んでモデルを設定していろんな調査をなさる。それで八億円かける。全くのむだ、むだといいますか、これは国民はやはり怒ると思いますね。

 それで、なぜ一体こういう厚生省の工法の選択が起こってくるんだろうか。よくわからないんですが、いろいろと邪推をしまして、勘ぐってみまして、ひょっとしたらこれ建設業者がそれぞれ絡んでいるんじゃないかなというような、そんなことがあっては困るわけですが、しかしいろいろ調べてみましたら、首都圏の二重鋼管矢板の工法と近畿圏のケーソンの工法と、これ特許がそれぞれあるんですね。そういうこと御存じですか。特許を一体どういう建設会社が持っておるかというようなこと。

○政府委員(山村勝美君) 全く承知いたしません。

○江田五月君 そんなことないんじゃないですかね。工法をいろいろ調べるときに、どの工法がどういうものであって、どういう技術で、どういう長所、短所があってということを調べたら、当然どういう特許があるかというのは調べているんじゃありませんか。

 これで見ますと、二重矢板護岸、これが実願昭和四十九年の一一九七五というんですか、どこをどういうふうに言えば特定できるのかよくわかりませんが、昭和五十一年二五九四八実用新案出願公告、これ二重矢板護岸、これは清水建設株式会社。昭和四十九年の四六九六五特許出願公告、これはケーソン工法ですが、これが鹿島建設株式会社。ケーソン工法はやっぱりその周辺の技術がいろいろありまして、泥水式ケーソン工法、これも鹿島建設株式会社。ケーソン水中定設工法、これも鹿島建設株式会社。水中基礎施工法、この発明は護岸ケーソンなどの海中構造物を設置するための水中基礎を造成する工法に関する。鹿島建設株式会社。ケーソンの沈下工法、鹿島建設株式会社。こうずらずらっと特許が出てくるんですね。

 首都圏と近畿圏となぜ工法を分けたのか。同じように海が大切だ、水が漏れちゃ困る。それならば水が漏れないように、汚水が漏れないようにするのに一番いい工法があるでしょう。そうすると、それが大阪と東京でなぜ違うのか、合理的な説明があるのなら聞かしていただきたいんです。どうも私の方も皆さんのお仕事がゆがんでいるんじゃないかという、その決め手になるんだというほどのことでこれを言うつもりはありませんけれども、何かいろんな疑惑が、そうでなくても出てくるんでね。どういう根拠でこの二つをお分けになるのが、ちょっと聞いておきたいんですがね。

○政府委員(吉村眞事君) その調査報告書のケーソンタイプも、背後に遮水の膜を使用して恐らく遮水性の構造になっておると私は思います。実はそれを直接拝見はしておりませんけれども、技術的には必ずそうなっていると思います。これも確かではございませんけれども、現在大阪でやっております埋め立て護岸の構造がケーソン構造でやっておるわけでございます。それから、東京都でやっておりますのが二重鋼管矢板でやっておりますので、あるいはそれぞれの地域で現在すぐに使っておるものをたまたま工費をはじかれるときにとられたんではないかというふうに私は思います。

○江田五月君 これ読んでみてもいいんですが、確かに裏へ何か張ってあって、遮水性もケーソンの場合でも向上させるようにはしてあるんだけれども、それでもケーソンは遮水性においてはやや劣ると、しかし工費的に見て、そんなようなことを書いてあるわけですよ、この中には。

 それはそれとして、どうもこのフェニックス計画、ごみというこの大義名分を使って、これまた言い過ぎだったらごめんなさいね、ごみに藉口して、ごみを奇貨として土地造成を行おうとしているんじゃないかという、これはわりにそういうことを聞くんですよ、いろんなところで。
 そこで、土砂のことを伺いますが、これ、初めの厚生省の案では、八百ヘクタールで、廃土砂というのは二千五百万立米ですか、それが厚生運輸合同案になりますと、廃土砂が四七四・七%、四・七倍に上がっちゃうんですね。そして、この法律では、どう読んでも廃土砂を廃棄物と認めなきゃいけないことになると思うんですが、この法律の適用の関係ではですよ。しかし一方で、廃棄物の処理及び清掃に関する法律にも、やはり廃棄物というものがもちろんある。この廃棄物の処理及び清掃に関する法律の廃棄物は、土砂を含みますか。

○政府委員(山村勝美君) 広い廃棄物の概念に入ります。

○江田五月君 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について、四十六年十月十六日、厚生省環境衛生局長通達「廃棄物の定義」「なお、次のものは廃棄物処理法の対象となる廃棄物でないこと。」「ウ 土砂及びもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの」。土砂は入らないんじゃありませんか。

○政府委員(山村勝美君) 建設残土、しゅんせつ等の不用になった土砂につきましては、処理法上の一般廃棄物と解し得るものと考えております。従来、土砂につきましては、埋め立て用材の有用物として実際に使われておるという実態がございます。また、その物の性状から見まして、発生の現場で適宜移動もしますし、廃棄物の概念にはなじみにくい性格を持っておりますこと等から、運用上、廃棄物処理法としての規制はかけないという取り扱いをしてきたところでございます。

○江田五月君 運用上とか何とかおっしゃいますが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律というのは、廃棄物という概念を持って刑罰まで決めているのでしょう。ありましたね、刑罰。そんな何か運用で、くるくるなるようなことでいいんですか。この通達はどうされるのですか。そのままにして置かれるのか、それとも今度のこういう広域臨海環境整備センター法の施行に伴ってこの通達はいじられるのですか、どうするんですか。

○政府委員(山村勝美君) センター法と廃棄物処理法とは別という感じでございますが、運用上廃棄物処理法の量の規制とか処分の基準とか、あらゆる規制を外しておるということでございます。で、実際のセンター法では、現に不用になった土砂が不適正に処理されて、処分されて、環境上の問題が生じているという実態を考えまして、受け入れることとしたものでございます。

○江田五月君 どうも時間がなくなりまして、私どもまだまだたくさんこの法案については、この計画については問題を感じておるのです。

 最後に、これ、しり切れトンボみたいな質問になって恐縮なんですが、いまの土砂に関して言いますと、廃棄物の受け入れにそれぞれ料金、代金をおつけになるのですね。そうしてこの八億円の調査の中でも、代金についての試算もなさっておる。この首都圏の方の六十一ページに料金についての計算があるんですがね。ところが、このときの計算はこれは八百平米のときのことですから、これは土砂が少ないときのこと。土砂がたくさんにふえて、さあ一体土砂というのはどの料金になるのか。一般廃棄物、公共系産業廃棄物と左記以外のものというので料金が二つに分かれているんですね。そして、一般廃棄物は三千五百五十円・パー・立方メートル、左記以外のものが六千百四十円・パー・立方メートルとなっているんです。

 同時に、どんどんごみと土砂を埋めていく、埋めていった後がどうなるのかというと、管理型と安定型というんですね。管理型の方は、いつも何か管理をしておかなきゃならない。安定型というのは、これはきちんと安定をしておるからそのままで、どうするんですか、宅地造成でどっか売っちゃうんですか、どうするのか知りませんが、安定型というのはもちろん土砂がたくさん入った方ですね。土砂がたくさん入ると安定型はそこは高く売れる、土砂を余り入れないところは管理型でそこはそんなに高く売れない。コスト計算で料金を出すとすると安定型の方が高く売れるわけですから、土砂がたくさん入った方が高く売れる。そうすると、当然土砂は料金を安くせざるを得ない。料金を安くすると土砂がたくさんどんどん入ってくるじゃないか。そうすると、これはごみを埋めるために十年と言わず十五年でも二十年でも大切に使いますといったってそうはならぬじゃないかということになる。

 一方で、しかし、一体これからの経済の動向の中でそんな思うように土砂が集まるのかという問題がさらにある。東京都の場合、こんなところに持っていく土砂があるというふうに東京都の人は恐らく答えないんじゃないかというような問題がある。いろんなところで問題だらけなんですが、いまの残土の代金の点だけお答えください。あとまだまだ聞きたいところがいっぱいあるけれども、私どもはいろんな点から考えて、この法案はひとつ今国会では廃案にして出し直ししていただいたらいいんじゃないかと考えております。非常に口を荒らしましたが、どうぞ最後の点だけお答えを願って私の質問を終わります。


1981/05/29

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