1978/02/16

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84 参議院・法務委員会(プロ野球のドラフト制度に関する件)

プロ野球論議に疑問投げる

江川選手が希望する球団に入れなかったことから、プロ野球のドラフト制が国会でとりあげられました。江田議員は「この重大な時期に国会がとりあげるほどの問題だろうか」と首をかしげながらも、与えられた十分間の質問を行い、法務大臣や川上哲治氏らに要旨次のように意見を述べました。

「政治が介入しなければならないほどの事態になっているとは思えません。プロ野球のことは、やはりプロ野球関係者の英知と自主性で、国民に健全な娯楽を提供するために努力してほしいと思います。また、国民・ファンのなかの様々な創意工夫、提言をプロ野球 運営に取り入れる、いわば、“市民参加”といった方法も考えられて良いのではないでしょうか。」


○江田五月君 私の持ち時間が十分で、十分質問できるということになるわけですが、この委員会として参考人の皆さん方にお願いをしたのは一時までということでありまして、もうその時間は過ぎている。私はやはりこの委員会の一人でありますから、そうするとそちらのお約束にも従わなきゃならぬ。ルールというのは、時として非常にどうやっていいかよくわからないということが起こるわけでありまして、なるべく短い時間しか質問いたしませんから、ひとつちょっとだけお許しを願いたい。大体、ルールというのは、このドラフト制にしても、そういった非常に困難な事態というのが生ずるのだろうと思うわけであります。

 最初に伺っておきたいのは、政治のこととプロ野球のこととはやはり違うのではないかということであります。王選手を走らすのがいいのか悪いのかというようなことは、これは幾らスポーツ新聞のトップにどんどん出るようなことであってもやはり政治の問題ではないんで、果たしていまこのドラフト制というのは政治が介入しなければならないほどのものになっているのかどうか。それはまあ江川選手のことも非常に大きな問題でしょうけれども、人身売買とかなんとかが起こるというような形で政治が何かチェックしていかなきゃならないそれほどのことになっているとは私はどうも思えない。プロ野球というのは、確かに国民の大ぜいの本当に各層の人たちに健全な娯楽を提供するものではありますが、これはやはりプロ野球の関係者の方々、野球機構に入っている入っていないは別として、プロ野球関係者の皆さん方の英知でもって解決していくべきもの、皆さん方の総意でもって解決していくべきものだろうし、そういう自負心が皆さん方にあってしかるべきだと思いますが、川上さん、いかがですか、この点は。

○参考人(川上哲治君) そのとおりだと思います。

○江田五月君 ほかにいまの見解と違われる方はいらっしゃらないと思いますが、どうですか。――それじゃ、そういうことで、皆さん方にひとついい英知を働かせて何かつくっていっていただきたいと思いますが、これにはまず議論というものが十分なされなければならないだろう。どうも、いま聞くところによりますと、最初にドラフト制ができたときに選手の意見も十分聴取されていないとか、あるいはまた、川上さんは監督をなさっていたので川上さんの意見は十分いろいろな点で検討の対象にはされたのであろうと思いますけれども、この点は、川上さん、いかがですか。

○参考人(川上哲治君) 大勢でこういうふうに決まったものですから、私らの意見というのはまあ参考程度にとどめておかれました。

○江田五月君 今後、まあいまいろいろな問題がないわけではないのですけれども、ここで出た問題について実行委員会で検討されるということですが、国民のあるいはファンのいろいろな人が、それぞれいろいろな考え方を持ち、創意工夫を持っていると思うのですね。そういうものをたとえば投書でもいたしたいと、まあプロ野球の運営についての市民参加というほど大げさなものではありませんけれども、投書でもしてひとついろいろ検討していただきたいというような見解を持っている人が、プロ野球に提言具申をしたいと思うと、一体どういう方法があるのでしょうか、井原参考人にお答え願えますか。

○参考人(井原宏君) 公聴会と申されました。こういうことは、多数のファンの皆様または高度の有識者たちの御意見を伺うということば、原則的に大事なことだと思います。しかし、いずれにしましても、野球愛好家である、言いかえれば野球のファンでもあるという人によって集められる公聴会だと思います。その場合に、各球団ともファンがあるわけでございます。そのファンたちは、自分の好きなチームに勝たしたいということであります。ちょうど相撲を見ますように、どっちかに勝たしたいと、程度はありますがそういうようなことになりますので、多分に御意見が分かれるということではないかと私は思っておりますが、これは非常にいい御意見でありますので今後検討したいとは思っております。

○江田五月君 いろいろな人たちの意見を十分くみ入れるような工夫をひとつお願いをいたしたいと思います。そして、プロ野球界の規律というものについては、これがスポーツ精神の結晶であるんだというようないいものをつくって、これにいろいろと異を唱えるというような場合には、まあわがままなんだと、こう胸を張って言えるような制度をつくるよう御努力を皆さん方にお願いいたしたいと思いますが、最後に鈴木参考人の決意だけを伺って終わりにしたいと思います。

○参考人(鈴木龍二君) ただいまのお話、本当にそうだと思います。御教示どおりに前進したいと思っています。

○江田五月君 どうもありがとうございました。


1978/02/16

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