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江田五月 法政大学大学院 2012年度講義予定


政治と科学技術  客員教授 江田五月

【授業のテーマ】
 
日本の国政の現場を学生に伝え、大きな論点をめぐって討議し、これからの日本をどのような社会に創造していくのか、政治の果たす役割は何か、国際社会との関係、憲法のあり方など講義を通じて学生とともに考えていく。政治、憲法を軸に、政治家江田五月の生きた政治学を学生に伝える。

【授業の到達目標】
 
私は一貫して政権交代民主主義を目標に掲げて政治活動を行ってきた。そして、2009年秋に政権交代を実現した。国民が政権を選択する新しい民主主義の扉を開いた。民主党政権は戦後からの長い自民党支配で溜った膿を出し切り、今後の時代に対応する日本の社会構造を新たに構築するために全力を挙げる。歴史の進歩とは、やはり一人一人が自立して自分自身の自己決定で社会を動かしていこうという人が、ますます歴史の中で大きな爪痕を残すことができるようになることだと思う。そしてこれらが民主主義の政治過程の中で大きく組み合わさって、平和や環境、人権や生活といった価値の実現に向かう流れにならなければならない。いま日本で起きている政治状況の動きも、このような切り口で見る必要がある。この間、参議院議長、法務大臣、環境大臣で経験したことを話し、この国のあり方について学生諸君に関心と認識を高めていただく。そして、政治への市民参加を促進する役割を担う志を学生に持っていただく。

【授業の概要と方法】
 2012年はロシア、韓国、台湾、仏、中国、米国などで大統領選挙等が行われ、激動の年になる。講義では国会の動きなどリアルな情報を盛り込みながら、政治とは何か、政権交代での改革、国際関係、江田五月の21世紀ビジョン(中長期課題)を主に講義を組み立てる。ゲスト(政治家)を招いての討議や、講義外で国会や議員会館の見学なども企画する。

【授業計画】 

後期 
1 政治とは何か  今日までの政治実践から
2 私の世界観  歴史的外観、東西冷戦、社会主義と理想
3 国際社会と日本(1)  パックス・ジャスティス&エクィティー
4 国際社会と日本(2)  日本と米・中・露、東アジア共同体、東ティモール、モンゴル、TPP
5 ねじれ国会のあり方(1)  両院協議会改革、選挙制度改革
6 ねじれ国会のあり方(2)  議事法の学習、法案作成
7 政権の課題(1)  震災復興と原発事故収束、原子力行政
8 政権の課題(2)  社会保障、財政、経済成長
9 政治家の日常(1)  国会活動、地方組織、政治資金
10 政治家の日常(2)  選挙、スタッフ、立法政策、
11 市民の政治参加(1)  ゲスト参加
12 市民の政治参加(2)  ゲスト参加 
13 憲法論議(1)  憲法審査会での論議
14 憲法論議(2)  憲法改正の論点
15 政治と学生  若い人たちへの期待、まとめ

【授業外に行うべき学習活動(準備学習等)】 授業中に指示する。

【テキスト】 江田五月・江橋崇「参議院の将来〔インタビュー〕参議員のこれから」ジュリスト1395号(2010年3月1日号)ならびに同号所収の各論文、参議院憲法調査会ハンドブック

【参考書】 江田五月「多元化、主権の相対化時代の政治」現代の理論2011年新春号、『国会議員』(講談社現代新書、1985年)、『出発のためのメモランダム』(毎日新聞、1978年)。この他、授業中に適宜紹介する。

【成績評価基準】 出席・平常点(70%)、期末レポート(30%)

【学生による授業改善アンケートの気づき】 限られた講義時間ではあるが、学生との討議をなるべく多くするよう工夫したい。

【担当教員の専門分野等】
〈専門領域〉   政治の理念と実践
〈研究テーマ〉  政治技術、憲法政治論、司法改革など
〈主要研究業績〉 「参議院の将来〔インタビュー〕参議員のこれから」ジュリスト1395号(2010年)、『国会議員』(講談社現代新書、1985年)など


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