2015年8月23日

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8月23日 新見市戦没者追悼式・追悼のことば


 追悼のことば

 新見市戦没者追悼式にお招きをいただき、まず、先の大戦の犠牲になられた皆さんに心から哀悼の意を表し、ご遺族の皆さんのご労苦に感謝を申し上げます。

  私は先日、参議院議長時代によく手紙のやり取りをしていた岐阜の方から、久しぶりにお便りをいただきました。今93歳で、戦争中に徴兵されて「暗号解読」の任務に当たったそうです。前線から、戦闘による兵士の被害だけでなく、補給路を断たれた中での餓死や自殺の電報が多く寄せられたというのです。これらを解読して正確に報告しても、結局発表は「わが軍は大きな戦果を上げた」となり、真実を漏らすと銃殺で、悲しくてひとり便所で泣いたと書いてこられました。こうして日本は、国民だけでなく、アジアをはじめ世界中の人々に耐え難い苦しみを与えました。惨いことでした。

  先日の首相の70年談話でも、第一次大戦後に世界が国際連盟結成などで不戦の秩序を構築するのに対し、日本が進路を誤って戦争の道を進み、当時の政治はこれを止めることができずに敗戦に至ったと総括され、植民地支配や侵略、反省とお詫びにも言及して歴代内閣の立場を共にされました。15日の政府主催の全戦没者追悼式には私も元参議院議長として参列し、天皇陛下の「深い反省」というおことばを承りました。

  私はここに戦後70年の節目に当たり、現在および将来の国民の英知を結集して、政治のゆがみが再び戦争の惨禍を引き起こすことの無いよう、そして今の平和を守り抜くよう、全力を尽くすことを、改めて戦没者の皆さんにお誓いします。また、ご遺族の皆さんと力を合わせて、次に続く若者たちにもこの思いを引き継いでまいります。どうぞ安らかにお眠り下さい。

平成二十七年八月二十三日
参議院議員  江田五月


2015年8月23日 8月23日 新見市戦没者追悼式・追悼のことば

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