2007年8月15日

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全国戦没者追悼式における参議院議長追悼の辞

平成19年8月15日
於 日本武道館

 天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、全国戦没者追悼式が行われるに当たり、参議院を代表して、謹んで追悼の言葉を申し上げます。
 
 幾多の悲しみをもたらした先の大戦が終わりを告げたあの夏の日から、はや六十二年の歳月が過ぎました。あの苛烈を極めた戦争の犠牲となられた多くの方々の無念の気持ちに思いを馳せ、最愛の肉親を失われたご遺族の皆さまの深い悲しみと戦中戦後の長きにわたるご労苦を思うとき、今なお痛恨の情が胸に迫るのを禁じえません。
 
 戦後、わが国は、日本国憲法の掲げる平和と民主主義の理念の下で、国民のたゆまぬ努力によって、焦土の中から今日の飛躍的な発展を遂げてきました。今日、平和と繁栄を享受しているからこそ、それだけ一層、私たち国民一人ひとりが平和の尊さとそのための努力の大切さを改めて深く胸に刻み、わが国だけでなく広く世界のすべての人々の平和と幸福の実現に努力をしていかなければなりません。
 
 先の大戦では、わが国の侵略行為と植民地支配により、アジア諸国をはじめとする多くの人々に多大な苦しみと悲しみを与えました。その深い反省の上に立って、悲惨な戦争を二度と繰り返さないという固い決意を改めて確認し、世界の人々から信頼される平和国家を築いていくことは、私たちの責務であります。そして、世界の人々と手を携えて、核兵器の廃絶はもとより、あらゆる戦争の根絶に向け、積極的に訴え行動していかなければなりません。
 
 世界では、地域紛争や民族・宗教間の対立など、現在も争いが絶えることなく続いているのが現実です。世界が様々な困難を克服し、この地球上に生を受けたすべての人々に平和で希望に満ちた未来を約束できるよう、参議院においても、国政審議等を通じ、今後とも渾身の努力を傾けていくことを、ここに固くお誓い申します。
 
 終わりに、戦没者の方々にあらためて哀悼の意を表し、ご遺族の皆さまのご健勝とご多幸を心からお祈りして、私の追悼の言葉といたします。

 平成19年8月15日

参議院議長 江田 五月


2007年8月15日

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