2006年6月17日 中國新聞インタビュー

戻るホーム2006目次前へ次へ


小泉政権 負の遺産露呈

江田五月参院議員(民主・岡山)


― 「小泉改革の総仕上げ」をどう評価しますか。

小泉政権五年間の負の部分が「偽装」「粉飾」をキーワードに、米国産牛肉問題、防衛施設庁の官製談合、ライフドア事件、耐震強度偽装事件の「四点セット」として象徴的に露呈した。

格差拡大も深刻になった。勝ち組のみに注目して「日本は元気になっている」と豪語し、負け組をたたきのめしておきながら、「再チャレンジの機会を与えよう」と説く。金融政策の最高責任者である日銀の福井俊彦総裁が村上ファンドに一千万円を投資し、それをあたかもはした金のように言う一方で、市民は増税にあえいでいる。

― 当初、「四点セット」を徹底追及する構えでしたが、メール問題で失速しました。

メール問題でのつまずきで「四点セット」が見えにくくなった面はある。だが、それらの問題は何一つ解決していない。国民年金保険料の不正免除などと併せ、引き続き徹底追及する。

民主党は、メール問題で死に体とも言うべき危機に直面したが、小沢一郎代表が「私も変わる」と宣言して挙党態勢をつくった。まさに「雨降って地固まる」だ。政権を担いうる政党として、「反対だ」と主張するだけでなく、「こうすべきだ」という考えを積極的に打ち出していく。

― 「共謀罪」創設、国民投票法案、教育基本法改正案など、重要法案が軒並み継続審議となりました。

「会期延長せず」ありきの小泉純一郎首相の無責任さがあからさまになった。法案を提出するからには、十分に議論した上で成立に努力するのが当然ではないか。

無責任な態度で出した法案が無責任な内容であることも、「共謀罪」をめぐる論戦で明らかになった。国際組織犯罪防止条約と国内法とが整合しない部分が考慮されず、市民生活や思想信条の自由に重大な影響を及ぼしかねない内容だ。しかも、自民党の細田博之国対委員長が、民主党の修正案を丸のみするカードを切りながら「後で改正すればいい」と発言するなど、動機が不純。民主党を揺さぶるがため、というのが明らかだ。

― 今後一年間は、自民党総裁選、民主党代表選、統一地方選、参院選、と続きます。展望を聞かせてください。

誰が首相になろうとも、政権交代に向けた体制固めに全力を尽くす。秋の衆院補選と統一地方選で追い風に乗り、参院選で第一党になる。衆院を通過した法案が参院で否決されることになれば、政権運営ができなくなり解散総選挙になる。そこで政権交代。これがシナリオだ。

小泉政権の負の遺産はあまりに大きい。アジア外交、とりわけ冷え込んだ日中関係を立て直すことが急務だ。


えだ・さつき 東京大法学部卒。党岡山県連常任顧問。元科学技術庁長官。衆院4期、参院3期目。65歳。

【金崎 由美】
中國新聞
 2006年6月17日掲載
対論 永田町 「今国会を振り返って」


2006年6月17日

戻るホーム2006目次前へ次へ