2000/11/09 衆議院・青少年問題に関する特別委員会

戻る目次ホーム


谷本龍哉(21世紀クラブ)質問

青少年問題に関する件(有害環境について)

○青山委員長 次に、谷本龍哉君。

○谷本委員 21世紀クラブの谷本龍哉でございます。
 本年六月に初当選以来、今回が初めての質問になりますので、至らぬ点もあるとは思いますが、御容赦のほどをよろしくお願いいたします。

 既に本日、今まで、多くの各委員の方々が、非常に熱心な調査に基づいた質疑をされてまいりました。当然、私の質問とも重なる部分が多々出てくるとは思いますが、あえてそのまま繰り返し問いたいと思います。そしてまた、私は、原委員ほどではございませんが、若い方の政治家ですので、できるだけ、わかりやすく、理解しやすい答弁をよろしくお願いいたします。

 まず一問目ですが、コンビニエンスストアについて少しお伺いをしたいと思います。

 といいますのは、私は地元が和歌山県になりますが、地方におきまして、これは全国各地同じかどうかははっきりした資料はございませんが、今非常にコンビニエンスストアがふえてきております。都心部とまた問題点が違うとは思うのですけれども、地方の場合には、テレクラ、カラオケボックスといったものは、繁華街にはたくさんございますけれども、少し周辺部に行けばほとんどございません。そのかわりと言ってはなんですが、どんどんと酒屋さんが今コンビニにかわっていっております。これは、酒類を販売できるという条件と、お酒の量販店がふえてきたために余儀なくされて転身しているという場合も多いと思いますけれども、非常にコンビニがふえてきております。そして、そのコンビニの周りに、深夜になりますと青少年がたむろしている。ほかに余り明るいところがない地域も多いですから、その前に集まってくる。あるいは、集まらないまでも、コンビニに行って、自由にたばこや酒類を買っている、また有害図書を買っている。そういう現状が多く見受けられるように私は感じております。

 午前中総務庁から説明がありましたが、平成九年十一月に、総務庁、警察庁の連名で、全国的なコンビニエンスストアの組織である社団法人日本フランチャイズチェーン協会に対して自主規制を要請したというふうに説明がございました。条例による有害図書類は十八歳未満の者への販売が禁止されていること、及び、条例による有害図書類を販売するときは専用のコーナーを設けることということで要請がされたと説明がございました。

 しかしながら、私自身の感覚としましては、現状のコンビニエンスストアにおいては、大抵の場合、未成年者に対しても平気でアルコール類を売ったり、たばこを売ったり、また、有害図書類もなかなか分けられていないのが現状のように思われます。

 先ほど、他の委員の方に対する答弁の中で、ことしの夏、再度申し入れを行った旨のお話があったように思いますが、平成九年の要請を行って既に三年たつ中で、コンビニエンスストアの自主規制の現状について、要請を行った総務庁、警察庁は、どのように把握し、その実効性についてどのように評価しているのか。そしてまた、教育的な視点から、文部省は、このコンビニエンスストアの今の現状についてどのように考えておられるのかをお伺いしたいと思います。

○川口政府参考人 先生御指摘の件でございますけれども、総務庁といたしましては、警察庁と連名で、コンビニエンスストアの日本フランチャイズチェーン協会に対しまして、平成九年十一月二十五日に要請を行ったところでございます。

 この中身は、先生のお述べになったとおりでございまして、条例により指定された有害図書類の十八歳未満の者に対する販売、提供の禁止などを傘下の会社によく言ってくれるようにという周知徹底指導ということでお願いしております。その後におきましても、一部守られていないというようなお話もあるやに聞いております。

 ちなみに、和歌山県では、県の条例におきまして、そういった有害図書については、未成年者に販売しないということ、それから区分陳列してくれということを規定しております。

 私ども、年二回、都道府県の青少年対策主管課長会議というのを開いておりますので、ここの場におきましても、県の条例でございますけれども、取り締まり等をよろしくということでお願いしておりますと同時に、また毎年七月に、私ども主催しまして、青少年に対する全国非行防止強調月間というものを行っております。このときにも、日本フランチャイズチェーン協会など関係団体に対しまして、こういったことなのでよろしくということで依頼を行っております。

○上田政府参考人 お答えします。
 平成九年の要請を踏まえまして、コンビニエンスストアでは、少年の非行防止と健全育成に配意した営業に努められておられますが、いまだ有害図書が区分陳列されていなかったり、あるいは、有害図書、酒、たばこが少年に販売されるなど、対策の推進が不十分な状況が見受けられます。

 このようなことから、警察庁としましては、本年七月二十七日、日本フランチャイズチェーン協会等に対して、酒、たばこ等の販売時における年齢確認の徹底等、少年の健全育成環境の確保に向けた取り組みを強化することなど、地域安全活動の一翼を担うことのできる店舗としていろいろ努力していただきたいという要請をいたしました。

○崎谷政府参考人 お答え申し上げます。
 コンビニエンスストアにつきましては、未成年者に対するアルコール販売の問題のほかに、いわゆる有害図書類の販売等の問題もございまして、青少年に対する悪影響が非常に懸念される状況にございます。

 特に、有害図書類等につきまして、平成九年の十一月に総務庁及び警察庁から日本フランチャイズチェーン協会に対して申し入れが行われたわけでありますけれども、文部省としましても、その後、平成十年の五月に、同協会に対しまして、青少年に有害図書類を販売しないこと、そもそも有害図書を置かないようにすること、あるいは教育関係団体との話し合い等に協力することなどを要請しております。しかしながら、なお依然としてこの問題につきましては憂慮すべき状況にあると認識をしております。

 したがいまして、今後とも、コンビニエンスストアをめぐる有害環境の問題につきましては、関係省庁とも十分連携しつつ、文部省としても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

○谷本委員 どうもありがとうございます。
 努力されているのはよくわかりますが、要請するだけではなかなか改まっていかないと思います。常に事後の調査を的確に行っていただいて、さらに改善していけるようお願いしたいと思います。

 時間の都合もありますので、次に二問目に行きます。二問目は、放送事業者についての質問でございます。

 郵政省さんがことしの三月に行われた調査を見せていただいたのですが、小学校三年生、四年生の半数近くが一日のうちに三時間以上テレビを見ているという結果が載っておりました。青少年の生活の中でテレビの占める割合がいかに大きいかを示す調査結果であると思います。

 我々政治家は、どちらかというと外に出ている時間の方が多いですから、逆に、なかなかテレビを見る機会が少ないのじゃないか、だから、その内容や影響についてちょっと疎遠になっているのではないかと思う部分がありますが、この結果を見る限り、やはり青少年にはかなり大きな影響をテレビが与えているということになると思います。

 そういう中で、郵政省の方から、放送事業者に関しては自主自律を原則とする、自主的に、また自律的に規制をしていくことを原則とするというお話がありましたけれども、自主規制に関しまして放送界が取り組んでいることとして、まず、昨年六月、子供たちに配慮する時間帯の設定というのが行われております。これは民放連の方が、十七時から二十一時、午後五時から九時という時間帯を、民放連の放送基準で、「放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分配慮する。」こういう条文を追加して、青少年に配慮する時間というふうに決めております。そしてまた、視聴者からの苦情や意見を受け付ける第三者機関として、これも説明にございましたが、放送と青少年に関する委員会というのを設立されております。

 しかしながら、例えば、平成十一年六月に子供たちに配慮する時間帯というのを設定したにもかかわらず、同じ平成十一年十一月に行われました、日本PTA全国協議会の家庭教育におけるテレビメディアの実態についての意識調査、この中で子供に見せたくない番組のワーストファイブというのが選ばれましたけれども、これは先ほど文部省からの資料にもありましたが、この五つの番組のうち四つまでが、土曜日の午後八時、金曜日午後七時半、日曜日の午後八時、水曜の午後七時と、この子供たちに配慮する時間帯として定めた時間の枠に入っております。

 これは一つの例ですけれども、これを見る限り、どうも自主規制の成果が上がっているようには私は思えないのであります。

 放送事業者の自主規制の現状について、郵政省はどのように把握し、また実効性について評価をしているのか。また、文部省の、教育を管轄する省庁としての評価はどうであるのか。お答え願いたいと思います。

○金澤政府参考人 御指摘ございましたように、昨年十月から、青少年に配慮する時間帯の設定というものが実施されたところでございますけれども、これは十分定着しているとは言えない現状にあるというふうに私どもも認識いたしております。

 放送と青少年に関する委員会というのが本年四月に設置されました。これは、NHKと民放が自主的に設置いたしました苦情処理、意見吸収のための第三者機関でございます。
 この放送と青少年に関する委員会の活動状況でございますが、十月末までに七百六十五件の意見を受け付けております。そのうち五百六件が放送と青少年に関するものでございました。これらにつきまして、委員会で報告するとともに、意見の概要を会報とかホームページで公表いたしております。また、特定番組に対する意見は延べ二百三番組でございまして、これらについては当該放送局に伝達するほか、十五番組については、放送局の見解を求め、順次公表していくこととしております。

 この放送と青少年に関する委員会が機能してくれば、視聴者の声が放送事業者に反映されていくわけでございますので、現状の改善に役立つのではないかというふうに思っている次第でございます。

 私どもとしても、放送事業者の取り組みがより一層実効を上げていくことを期待しているところでございます。

○崎谷政府参考人 お答え申し上げます。
 放送業界では、平成十一年六月の放送と青少年に関する専門家会合の取りまとめを受けまして、青少年向けの放送番組の充実、メディアリテラシーの向上、第三者機関等の活用、放送時間帯の配慮、番組に関する情報提供の充実などについて自主規制を進められているというふうに承知をしております。

 青少年向けの放送番組の充実ということでございますけれども、各局ごとに青少年向け番組を週三時間以上放送することとされております。しかし、既存の番組を指定した例が多く、新たに青少年向けに制作された番組が少ないと考えております。

 また、第三者機関等の活用ということにつきましては、NHKと民放連によって放送と青少年に関する委員会が本年四月に設置されて、視聴者からの意見や苦情を受けて、有識者の委員が審議をして放送事業者に伝達するという仕組みができたことについては、大きな前進であると考えております。しかしながら、まだその存在は広く知られているとは言えません。十分機能しているとは言いがたいと考えております。

 放送時間帯の配慮ということにつきましては、青少年に配慮すべき放送時間帯として十七時から二十一時を設定したということでございますが、目に見えた変化がないと私どもは考えております。

 番組に関する情報の提供の充実ということについては、事実上何も行われていないと考えております。

 なお、このように、その取り組みについてはまだ十分なレベルにあるとは言えませんので、さらなる取り組みが必要であると考えます。

 文部省としましては、このような放送業界の自主規制の状況がまだ不十分であるという現状を踏まえまして、PTA等における民間の取り組みを支援するなどの関係施策の充実を図っていく考えでございます。

○谷本委員 時間が余りありませんので、次へ行かせていただきます。
 他の分野にはなかなかこの時間内では触れられませんが、各委員の方々からのさまざまな議論も含めて、青少年を取り巻く現在の社会環境は非常に憂慮する状況にあると思います。また、各分野における自主規制も、決して実効性を上げているとは言いがたいと私は思っております。

 総務庁から最初に、青少年を取り巻く有害環境への対策の基本姿勢は、まず自主規制ありき、次に地域住民との連携、そして最後に法令との説明がございました。

 自主規制も、また都道府県の条例による規制も、現状を見る限りにおいては限界があると私は思います。この問題に関する国としての姿勢を明確化するためにも、基本法の制定が急務であると私は考えております。

 確かに、憲法二十一条で保障されている表現の自由を盾にした反対論もあります。民放連の放送倫理の向上を図る放送基準審議会より、青少年問題の原因を社会環境のみに求める短絡的な考え方であり、青少年健全育成の美名に隠れた言論、表現の自由の抑制にほかならないという公式見解も出ておりますし、また日本雑誌協会や日本書籍出版協会なども、憲法違反と言わざるを得ないという見解を出しています。しかしながら、当然のことを申し上げますが、表現の自由というのは決して万能ではありません。この権利のもとに、この権利を盾にとれば何をしてもいいというわけではないはずです。

 例えば、ドイツの憲法であるボン基本法においては、表現の自由及び知る権利を国民の不可侵の基本権と認めながら、ただし、これらの権利は、一般法律の規定、少年保護のための法律の規定及び個人的名誉権によって制限されると明記をされております。日本においてはこのような形で明記はされてはおりませんが、同様の解釈であると理解をしております。表現の自由があるから青少年の有害環境対策の法律はだめだということにはならないと思います。

 繰り返しますが、現状を見れば法整備は急務だと考えておりますが、法制化についての総務庁の見解をお伺いします。

○川口政府参考人 現在の青少年を取り巻く環境というのは、本当にゆゆしい問題だろうというふうに思っております。なお、私どもの調査の結果でも、有害な環境がいろいろな影響を青少年に及ぼしている。ただ、法律で規制するかどうかという問題につきましては、ただいま議員が御指摘のとおり、憲法の問題等もあろうかと思います。

 しかしながら、私どもの意識としては、こういった事態をそのままにしておいていいのかということは先生と全く同じだと思いますけれども、そういった規制立法につきましては、この委員会で議論が行われておりますので、その結果を見守りたいと思っております。

○谷本委員 最後に、短目に、インターネットの有害サイトについて質問させていただきたいと思います。

 インターネットについてですけれども、皆さん御存じのとおり、インターネットは他の既存のメディアとは性格が異なります。放送や出版といった既存のメディアは、情報発信者を特定することが容易で、その対象となる事業者の数も限られております。しかしながら、インターネットは、情報発信者が不特定多数の個人であり、特定することは非常に困難でございます。その性格上、現状では、言うまでもなく、たとえ青少年の有害環境に対する規制の基本法が制定されたとしても、有害サイトの規制というのは非常に難しい状況にあると思いますが、この点について郵政省の見解をお伺いします。

○金澤政府参考人 サイト上の違法有害情報をどのように把握し、これをどのようにコントロールしていくかということでございますけれども、これにつきましては、インターネット接続サービス等に係る事業者の対応に関するガイドラインというものをテレコムサービス協会が制定いたしまして、インターネット・サービス・プロバイダーが準拠すべき指針として周知しているということでございます。

 これは、違法有害情報が流通している場合には情報発信をとめるということを発信者に要請することができるというような形、それから、もしそれでも聞かなければ当該情報を削除するというもの、さらには利用停止を求めるというふうなことをガイドラインに示しておりまして、それをモデルといたしまして約款を策定しているという現状にございます。
 お話がございましたように、サイト上の情報は、通信の秘密の保護との関係から匿名性がございまして、だれが発信したかわからないというところが最大の問題になっております。これにつきまして、このような情報を被害者に対してどのように開示していくかという問題がございまして、これについてのルールの整備というものが急がれるというふうに考えております。

○谷本委員 もう質疑時間が終わりましたので、最後に一言だけ。
 有害環境というのは、言うまでもなく大人がつくり出しているものでございます。それをしっかりと認識した上で、規制をしなければやむを得ない部分は規制をする、しかしながら、今のインターネットのように、どうしてもそれだけではフォローできない部分もございます。そういうものに対しては、そういう有害情報に接したときの対応の仕方、メディアリテラシーと先ほどから出ていますが、いわば情報とのつき合い方というものをしっかりと大人もわきまえ、子供にも教えていくということが非常に重要であると思います。そういう姿勢でこれからも政策を進めていっていただきたいと思います。
 終わります。どうもありがとうございました。


2000/11/09

戻る目次ホーム