1975/06/24

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75 衆議院・公害対策並びに環境保全特別委員会


○江田委員 去る六月五日の当委員会で、水島の三菱石油の事故について御質問したわけでありますが、その後、事態は進んでまいりまして、私ども正確な内容はつかんでいないのでありますが、倉敷市議会また岡山県議会では、いろいろ問題点は残しながらも、三菱石油の操業再開を認めるという方向が出ているように聞いておるのであります。同時にまた、香川県の前川知事は操業再開には絶対に反対だということが新聞で伝えられておりまして、これは一体どういうことになっているのか。この前の委員会で左藤対策本部長は、倉敷市議会及び被害の大きかった関係四県から意思の表明があれば、その段階において対策本部を開いて、政府としてどういう結末をつけるべきか指導するというように言われたのでありますが、いま、このような状況になりまして、どういう指導をなさろうとするのか、それを承りたいのであります。

 そこで私どもも、その後いろいろ協議をいたしましたが、問題は数々残っておる。第一の問題は、この問題に対する政府の事故原因調査というものが、まだ中間報告の段階であって、最終報告は十月になるであろう、こう伝えられております。その中間報告を読みましても、軟弱地盤の上にAPI規格のタンクが置かれるということにはいろいろ問題があるし、またあの水島地域におけるタンク設置の基礎をつくる、その工事の仕方にも問題があるということが出されておるのであります。またその後、土井委員から質問がありましたように、消防庁の正式の認可のないままに工事に着工したというような問題もあるわけで、したがって、安全点検ということが、パイプが詰まっているかどうか、あるいは二百分の一の傾斜があるかどうかというようなことについては調べられておるわけでありますが、いま私が申しました木原委員会が指摘した問題点から見ても、実は消防庁に、タンクについて、これが間違いのないものかどうかということを判断する技術的な用意がないわけでありますから、不安を感ぜざるを得ないわけであります。

 そこで、まずこの問題について対策本部はどういう指導をなさろうとするのかというのが第一点であります。

 次官が、ほかの委員会の日程があって急がれるそうでありますから、私は問題点を先に並べます。次官が御答弁なさる問題、あるいは環境庁長官から伺いたい問題もありますが、その方が時間の節約になると思いますから、そうします。

 第二は、環境庁の環境影響調査の中で、流出油の影響はほとんどないと受け取れる中間報告が出されておるわけであります。しかしながら、この問題について香川の県当局が独自に調査結果を発表しておりますが、これを見ると、大きな影響が残っているように出されておるのであります。また、現地の漁民の操業の中から得た実感からいたしましても、影響は残っているということを指摘しております。たとえばアオサのようなものが海岸につかなくなったというようなことも言われておるのでありまして、環境庁の影響調査と相当食い違いがある。少なくともあの影響調査に現地の漁民諸君は、とんでもないことを言っておるという、むしろ怒りの声を上げておるわけであります。この点、あるいは小委員会を持って、これから最終結論を出ざれるというのでありますが、そのような漁民の実感なり現地の県当局が独自に調査したもの、あるいは民間団体で調査したものもありますが、そのようなデータについて、どういう評価をなさっておるかということであります。また、最終的の詰めをどのようにしていくのかということであります。

 それから第三の問題点は、これはこの前の委員会でも指摘いたしましたが、私たちはあの事故の経緯にかんがみまして、今後あるべき防災協定においては、陸と海との一元的なものでなければ、その目的を達することはできないのではないかという心配をするわけであります。もちろん現行法のもとにおいて、この一元的な防災協定というのは法律上は問題があるわけであります。しかしこのような、ある意味ではこの措置が今後のモデルケースというか、そういう非常に規模の大きな、日本国じゅうの注目を受けておるような事故でありまして、これを受けての防災協定においては、私たちは、いまの法律の枠を越えてでも、現地において陸上、海上の一元的な防災協定を指導なさるのが適切ではないかと思うのでありまして、そのことをどうお考えになるか。

 第四の問題は、水島港のような当初十万トンタンカーで設計をされた港に、いま一部掘削をして十六万トンのタンカーを入れられている。それも実際に使う船は二十万トン、それ以上のタンカーであって、途中で荷をおろして船足を軽くしながら入ってきているのが実態なのでありますが、この間の東京湾のあの事故から見ましても、前方から思いがけない船が出た、それを避けるために、急にかじを取りかえなければならぬということで、ああいう座礁事件が起きているのでありまして、水島の場合にも、そういう危険性というものは多分にあるわけで、私たちはこの際、とりあえず水島港には大型タンカーの航行を規制すべきではないか、これは将来、瀬戸内海なり、あるいは東京湾なり、もっと広い範囲で規制を検討しなければなりませんが、とりあえず水島の三菱石油の操業再開に当たって、これだけのことは緊急的にやるべきではないかということであります。

 第五の問題は、環境庁の調査によりましても、海の底に油は残っておる。しかし、その油は一面的にあるのでなしに部分的にある、しかも、それはどこの油であるかわからないということを言っておられるのでありまして、どこの油かわからぬということになれば、その清掃責任は、だれが今後、責任を持つことになるのか、国の方で徹底的に責任を負って、この残油の清掃をなさるのか、それも公害PPPの原則からしておかしな話だと私は思うのでありますが、どこのものであるかわからぬというような考え方を出されている政府の方では、この残油の清掃責任をどこが持つべきと考えておられるのか、あるいは放任されるのか。そんなことはないと思いますが、その点が第五の問題。

 それからもう一つは、この前、環境庁長官にも御質問いたしましたが、沿岸一般住民への補償措置をどのようにとるかということでありまして、重ねて申しますけれども、海は沿岸住民の共有の財産なのです。ひとり漁業権を持っている漁民の海ではないわけでありまして、あれだけのものが汚された、その影響は、まだ気温が上昇するに従って砂の中から、あるいは岩陰から、残油がじりじりと出てくるわけでありまして、今後も長く影響を受けなければならぬのでありますが、それに対して事故原因の三菱は補償する必要がないのかどうか。

 その六つの問題が残されておると私たちは思うのでありまして、そういうことからいたしまして、先ほど申しましたように、香川の前川知事は、現段階での再開に反対の意思を、新聞で表明しておられましたし、あるいは他の府県の県当局がどういう答えを出されようと、漁民なり、あるいは一般住民からは、納得ができないという声が相当強く起きてくると思うのであります。したがいまして私たちは、この最終段階で操業を再開すべきかいなかを指導に当たられる対策本部の左藤本部長及び環境庁長官は、どのような指導をなされるつもりなのか、それを承りたいのであります。

○左藤政府委員 三菱石油の操業再開の問題につきまして、いま御指摘のような倉敷市におきます。六月十六日ですか、関係委員会における一つの御了解と、それから二十三日、昨日、岡山県の事故対策協議会で、再開を認める一つの執行部の意向に同意する、承認と申しますか、そういったことが取りまとめられたということは、新聞でも承知いたしておるところでございますが、まだこの問題についての正式のわれわれの方に対します書類というものは、ただいま現在におきましては、私の手元には参っておりません。

 これからどういうふうにするかということの御指摘でございますが、お話のように、実際問題といたしまして四県にまたがる大きな事故でもございますし、内閣でこういった対策連絡会議をつくり、また現地対策本部を設けたりして今日まで対処してまいりましたという、その政府の責任なり、それに対します取り組みというものから考えましても、この問題につきまして岡山県から相談というようなものがございました場合におきましては、いろいろな面で一つの総合的な検討をしなければならない、四県のそれぞれの意向というものも聴取しなければならないと私は思いますので、その際に、四県としても、その漁民の意向とか、それぞれの関係のところの意向を十分聞いて、そうしてそのことについてわれわれの方に報告してもらいたい、こういうふうなことを要望することになろうかと思います。そうした結果も全部集めまして、その上で多角的に総合的に、政府の事故対策連絡会議という形で検討をいたしまして、そこで、いま申しましたような形で、それならば再開することがよかろうという結論になりました場合には、その旨を消防庁に伝えまして、消防庁から岡山県を通じて倉敷市の消防に、そういうことで行政指導として御連絡を申し上げる。最終的な法律的な判断は、倉敷市の消防署においてその判断をするという結果になろうか、このように考えます。

 第一の今後の取り運びの問題については、以上のそういう形で行われるのではなかろうか、私はいまそういうことを予想しておるところでございます。

 それから、第二の問題は環境庁の方からお答えをいただくのがいいのではないかと思います。

 第三番目に先生御指摘の点で、防災協定でございます。
 これも、ただ原文は、まだ私どもの方の手元に参っておりませんが、県から電話でいろいろ聞きました内容というものを基礎にして、お答えをさせていただきたいと思いますが、倉敷市と三菱石油との間の防災協定と申しますか、そういう形だけでなくて、三菱石油だけでなく陸上にあります二十八社との協定という形で、倉敷市で進められておる協定の内容でございますが、海上防災のための防災施設、設備並びに防災資機材の設置を、この内容では企業に義務づけておる。そしてまた、企業に対しまして、海上防災のための防災組織の整備強化につきましても措置されておるというようなことで、海上に係ります防災についても、一応の配慮はされておるものと私は考えておるわけであります。

 現在、国会に提案いたしまして御審議いただいております石油コンビナート等災害防止法案におきまして、陸上と海上の防災の接点につきまして、特定防災施設等として、流出油などの防止堤の設置を義務づける。仮に油の流出がありましても、事業所内でとどまるように措置するとともに、万一に備えて自衛防災組織及び共同防災組織に備えつけるべき防災資機材に、油回収船それからオイルフェンスといった海上における防災のための資機材を含めることといたしておりますが、さらにまた自衛防災組織及び共同防災組織が海上におきます防災活動を実施いたします場合に、海上保安庁の官署の長、たとえば港におきます港長とか海上保安庁の担当の部長とか、そういった方々が必要な指示を行えることといたしますとともに、コンビナート防災本部には、海上及び陸上の防災に関します機関をすべて構成員とする、そして知事の総括のもとに調整を行う、今度の法案の内容も、そういったことにいたしておりますので、今後も先生御心配の点につきましては、十分この法律によって対処できるのではないか、このように考えておりますが、そうした面の一部を、この防災協定は予想してと申しますか、先取りしてと申しますか、そういう形でやっておる、このように聞いておりますので、確かにそういったものでかなりといいますか、完全にそういうことまでカバーできるかということについてのいろいろな問題点はあろうかと思いますが、非常に前進したものであろう、私はこのように評価いたしておるところでございます。

 それからタンカーにつきましては、海上保安庁の方からお答えいただいたらというふうに思います。

 それから先生の御指摘の五番目の清掃の問題でございます。これは残油の問題でございますが、三菱石油の流出油によりまして汚染された海岸は、延長四百六十九キロメートルという非常に長い海岸線を汚染したわけでございますが、一応、本年の三月末で清掃は終了して、それ以降それぞれの県におきまして、われわれからの要請で指導、監督していただくという形で、三菱石油がパトロール班を編成いたしまして、潮間帯の付着油それから低潮線下の海底付着油につきまして、ダイバーなどによりまして常時監視して、汚染を発見し次第、除去するという体制をとって、今日までやってきております。確かに温度が上がってくるというふうな形もございまして、そういったものが出てくるという心配もございますので、今後におきましても、海岸、海底の残油の清掃というのは、この体制で、あくまで汚染原因者の責任で実施するということに取り決めておりますので、これを守らせていくということになろうか、このように考えておるところでございます。

 最後に六番目の補償の問題につきましては、前回もお答え申し上げたと思いますが、直接被害をこうむった漁民の方々とかそういう方々、あるいは間接被害のものにつきましては、三菱石油側も一応、今日まで補償に当たってきております。一部まだ間接的な被害者に対します補償というのは残っておると聞いておりますが、大部分においては間接被害者の補償も終わっておる、こういうふうに思っておりますが、今後もそういったことで、出てきましたものにつきましては、あくまで会社が誠意をもって補償するように指導していきたい、このように考えております。

 一般沿岸住民に対しますいろいろな問題ということにつきましては、当面、三菱石油そのものも非常に大きな被害を受けておりますし、そういったことで、直ちにそういった地域住民の皆さんに対します何か貢献できるようなことを考えるべきではありましょうけれども、いまの段階においては、そういったことはできないであろうと思います。まだ当面の企業を立て直して、会社の再建に努力するということが第一だろうと思いますが、その上でそうした問題についても配慮すべきではなかろうか、このように考えておるところでございます。

○江田委員 環境庁長官にもまだあるのですけれども、あなたがほかの委員会へ出席を急がれるというので、先にやっているのです。したがって私はなるべく早く終わってもらうようにしたいと思うのですが、的確に答えてください、余り決まり切ったことを回りくどく答えられるとしようがないですから。

 第一は、いまの答えの中に、たとえば香川が反対をした場合には、対策本部としてはどうするのかという問題がすぐ出てきますね。関係四県の中の一番被害を大きく受けた香川が反対した場合には、どうするのかという問題が出てくるわけであります。

 それからタンクの安全性について、木原委員会の中間報告もすでに問題を指摘している。消防庁は、これが安全かどうかを認定するだけの技術的な用意はない。そこに不安があるのだが、どうかということについては、いまお答えがなかった。

 それから第三の、今後の防災体制について海上と陸上とが一緒になれるように、今度のコンビナート防災法案でできているはずだと聞いておるということでありましたが、たとえば海に流れた、水島港の中へ流れた油が発火するというようなことも想定としてはあり得るわけです。そのときには、海上保安庁関係の役所は、防災協定を水島で結んでいる二十八社に対して、すぐ協力を要請する措置がとれるかどうなのか。ただ道義的にというだけでなしに、命令というのではないのですけれども、一つの出動を求めるだけのことができるのかどうかということ。

 それから残油については、海岸についているのはわかるのですよ。海の底の問題なのだ。底は潜水夫をもぐらして調べておるということでありますが、環境庁の総合影響調査によると、油は残っているのだけれども、どこの油が残っているのかわからぬ。航行中の船がこぼしたのであるか、三菱の油であるか、あるいは他の企業の油であるかわからぬということであって、だれのものかわからぬということになれば、原因者の責任追及といったって、わけがわからぬことになる。そこに非常に不安があるわけですよ。だからおおむね一定地域に残っている油は、三菱石油のあの事故によるとしか想定できないということは言えるのではないかと私は思うのでございまして、この前、大阪湾でどうとかこうとかいうことは、そんなことは別問題、大体、流れた範囲はわかっているのですから、底に残っている油というものについてはやはり三菱の責任というのでなければ、だれも責任者のない油が残ってくれたのでは困ったことになるわけであります。

 それからもう一つ最後の問題の補償責任というのは、これは人間の活動には生産活動もあります。しかしながらいまレクリエーションというものが非常に大きなウエートを持ってきておるわけでありまして、そういう沿岸住民が、あの海が汚された、その汚れは今後もなお何年か続くということで、やはり被害者なのです。その被害者をほっておいていいということには、私はならぬと思うのです。ただ、会社がいま財政的に非常に苦しい、これはわかります。苦しいならば苦しいで、あるいは将来余裕がある場合にはこういうようなことをしたいと思うというようなことを、道義的に打ち出すのでなければ、沿岸住民としては、漁連だけで話がついてそれでいいのか、釣り道具の商売している人だけの話でいいのか、おれたちはどうするのかという強い不満は残るわけで、そういうことについて何らかの措置をとられることが必要ではないか。金額のことを言っているのではないのです。金額は幾らでもよろしい。やはり筋は通さなければいかぬのではないかと思います。その点どうお考えですか。

○左藤政府委員 まず香川県が反対しておるというふうなことの御指摘でございました。この点につきましても、一つの県が反対したそれぞれの理由が、どういう形で反対するかというような理由もあろうかと思います。そうした意味で、一県でも反対したからどうだというようなことではなくて、そういったことにつきまして、やはり四県でいろいろ話し合った上で一つの方針を考えて、そういったものを対策本部として対策会議にその結果を報告した上で、非常に多角的、総合的に判断すべき性格のもので、反対の内容いかんによっては、非常にウエートの強い場合も、弱い場合も起こってくるのではないか、私はこのように考えるものでございます。

 それから二番目の、まだ事故の原因調査が完了していないのに、そういった問題についてやるということは不安が残るのではないかということですが、このことにつきまして中間報告で一応出ておるわけでございまして、結論的にも、今後そういうものが大きく変わるということはないと思います。ただ、いろいろ詳細なタンクの材質の問題とか、今後のいろいろなそういったことの資料も、そこでしっかりしたデータとして獲得するために、なお調査が続けられておるというような状態でございますし、さらにまた、この問題につきましては、仮に操業再開を認めるといたしましても、問題の二百七十番タンクと、それからその関連施設でございますが、これは最終的な結論が出て、そしてそのときにどういう形で改装させて、そして使わせるなら使わせるというふうなことで、その段階でなければ判断ができないものだ、このように考えております。

 三つ目の御質問の海の油の残置の問題につきましては、これは環境庁の方からお答えいただいた方がいいのかとも思います。

 それから最後の問題につきましては、御指摘の点につきまして、確かにそういった意味の道義的な責任と申しますかは、会社というものも感じておりますが、いますぐに、それではどういう答えができるかということにつきましては、あるいはむずかしいかと思いますが、当然、先生の御指摘のような考え方で会社も進むべきものである。われわれもその点については十分会社の方に話をしていきたい、このように思っております。

○江田委員 岡山県なり倉敷市の方で再開オーケーという態度をとるのも、問題はあるけれども、あの大きな企業が操業ストップする状況で、失業問題もあったり、あるいは下請の経営というようないろいろな問題もあって、いつまでも放置しておくのは気の毒だ。とりあえず認めなければしょうがないではないかというのが、私は底を流れておる考え方だと受け取っておるのであります。岡山県なり倉敷市議会においても、何ら問題なしに、万事これでよろしい、こういうことではないのであって、いろいろな意見が出る、それを県知事あるいは市長として、そういうことについては私が責任をもってやるからということで、一応、了承を得ているわけであります。したがって、最終の指導に当たられる対策本部がどういう態度をとられるかということは、もう決まった決定の上に乗っかって、倉敷市まで、あるいは岡山市まで、ちょっと顔をのぞかせればいいということではないということだけは、あなたの方にも十分考えていただきたいと思う。特に香川県の問題については、まさか一番被害が大きかった香川が反対するのをほっちらかして、ほかの方で話ができたからというわけにはいかぬでしょう。当然、香川の諸君が了承し得るような条件を、これからお互いに相談し合って生み出していかなければならぬわけです。そういうことを生み出す中において、私が先ほど指摘した六つの問題点について、やはり対策本部がもっと明確な答えを用意されることが必要な条件ではないかと思うわけであります。

 三十分以上あなたをつないではいけないということがありましたから、私はあなたに対する質問はこれで終わりますが、これで問題がもう終わったというのではないということだけは、十分考えていただきたいと思います。どうぞ次の委員会の方へ。

 そこで環境庁長官にお尋ねするのは、さっきの影響調査の問題ですよ。明らかに現地の独自調査や漁民の実感とは違って、あの中間報告が出されたときに、何を言っていやがるのだという声が沸き上がっておることは、あなた方も聞いておられると思うのであります。今後あの中間報告に出されたデータだけをもとにして、この小委員会で結論を出されるのか、あるいは地方の独自調査なり漁民の実感から出たそういう声というものを取り上げて、この小委員会が結論を出されるのか、その点がまず第一点。

○小沢国務大臣 総合調査はまさにいろいろな役所の機構を使っております。それから県にも委託しておりますが、それだからといって、実は行政的な調査でありませんで、純粋に私どもは科学的な調査と考えております。したがって、いまいろいろな調査の結果を中間的に取りまとめたものを、まず第一回目の学者の方々が集まった検討委員会に報告をして、いろいろ意見を聞いたわけでございます。これは最終結論でございませんで、生物の生態調査も続けていかなければいけませんし、また、おっしゃるように漁民の方々の感覚から見ると、どうもおかしいではないかということも確かにわかりますので、漁業組合の方々にもこの調査結果を、私どもは秘密の事項もありませんので、全部出しまして、説明でもいたしまして、そうしてまた実際に漁業をやっている側の意見も聞いて、小委員会とおっしゃいましたが検討委員会でございまして、この検討委員会はずっと続けてまいりますから、この点は私ども、おっしゃるようにそういいかげんに考えておりませんで、今後とも十分調査を継続し、また意見も聞き、それから香川の調査と食い違いがあるではないかというお話なのですが、香川県の調査というのは、やはり私どもがお願いして、私どもの調査の一つになってデータが集まっておりますから、その点はございません。ただ香川大学の先生方の意見で、水島の油がより赤潮その他を促進するのではないかという意見等がございました。あの先生も、実はこの調査と関係ありませんが、入っていただいてやっておりますから、今後も検討委員会を続けていきます。

○江田委員 とにかくあの調査報告書を見ると、たとえば、室内実験をやったというようなことが出ているわけですね。だから漁師の諸君から言うと、こんなもの、室内実験なんてばかにするなよということなのですよ。自分たちは毎日海で実験を見ているの、だということであって、やはり今後この調査を深めるためには、漁民の実感というものを十分に踏まえてやっていただきたいと思う。もうすでにイカナゴが減った、そのために回遊が減ったということは異口同音に叫んでおることなのですから。

 それからもう一つの底に残っている残油の問題、これは一体どうするか。

○小沢国務大臣 海底の油は、実は総合調査の結果でもごらんいただきましたように、水島の石油流出事故と関係がないと考えられる大阪湾、燧灘等に、残留の油がよけいあるとか、いろいろなあれがございます。しかも、この前も当委員会で私、申し上げたのですが、とにかく昭和四十五年から四十八年だけで二千六百トンも油が瀬戸内海では流出している。四十九年を入れ、しかもそれは十キロ以上の事故の集計ですから、それ以下のいろいろなものを考えてみますと、やはり三千五、六百トンの油が最近四、五年でこの水島以外でも出ているということを考えなければいけませんし、まず、そういう点を考えますと、政府が関係各省と連絡の上でやって、そしてそれぞれ考えられる原因者に割り当てをしてやる以外にはないのではないだろうか。しかし、どこが一体これを担当すべきかということになりますと、港湾は港湾の責任者が決まっております。港湾以外のところは、建設海岸は建設省が所管し、運輸海岸は運輸省が所管してということになっていますが、それが沖合いまでいっているのかどうか、いままで行政上の権限が不明確でございますので、これらはやはり内閣全体として瀬戸内海の環境保全臨時措置法の施行という面から考えていかなければいかぬことではないかと思って、これから私は検討しようと思っておったところでございます。どこが中心になって、そしてどういう責任を分担させながら、全体をやっていくかということは、もう少し検討させていただきたい。

○江田委員 あなたのところの中間報告なり、それからこの間ここで答弁されたことなどからいくと、どうもこの三菱の事故が原因だとは言えないというところだけが出るのですよ。燧灘や大阪湾は知りませんけれども、しかしあの油が流れた地帯に底に残っておるC重油について、三菱が何%であるか何十%であるか。どのくらいかは別にして、関係がないということは言えないわけなのです。ところが、あの報告書なり答弁を承る限りにおいては、何か三菱は責任をもう感じなくて済むような、親心ではないと思いますけれども、はなはだ変な感じを受けるわけだから、そこのところはそうではないのだ、三菱にも何%か知らぬけれども責任はあるのだということだけは明確にしておかなければ、住民として納得できないわけです。そのことをひとつはっきりさせてください。

 それから、土井さんの質問の時間に食い込んでおりますから、もう一つだけでやめますが、沿岸一般住民への補償、これはあなたもこの前、何か考えてみなくてはならぬ問題のようには思うということを言われましたが、この解決に当たって、操業再開に当たって一歩前進をされる決意はございませんか。

○小沢国務大臣 第一点の、油について水島の影響が全くないような印象を与えたとすれば、これは間違いで、あるのでございます。ただ問題は、それだけではないということを、調査結果から見ますといろいろ疑念も出ますので、申し上げているわけでございますから、御了解をいただきたい。

 第二の点、一般の瀬戸内海沿岸住民の、確かに権利義務までは法律的に云々できないかもしれぬが、しかし、あの海を自分たちのものと考えている人たちの、いろいろな生活の問題というものが影響を受けたことは事実でございますから、これは具体的にどうやったらいいのか、あれでございますが、何らかいわば政治姿勢あるいは企業の社会的責任を果たす姿勢の一つのあらわれとして、考えていくことは必要なことではないかと思いますので、その意味においては何か具体策がないか、これらについて指導もし、また検討もいたします。

○江田委員 いずれにしろ、もう時間がないからやめますが、先ほどの左藤次官が本部長としてどういう態度をとられるか、あるいは特に環境庁長官が、この問題の最終段階でどのような指導をなされるかということを、大いに注目しておるということを申し上げておいて、やめます。


1975/06/24

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