1957/11/12

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27 参議院・大蔵委員会


○委員長(豊田雅孝君) 次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案設備等輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案
 以上二案を便宜一括して議題として質疑を行います。

○江田三郎君 租税特別措置法の内容はせんだって来いろいろ質疑応答がなされ、私もそれを聞いておったのですが、率直に言って、これは最近のいわゆる外貨危機、こういうところに便乗した、きわめて慎重を欠いた法案ではないかという印象を受けるわけです。主税局長は主計局に長いことおられて、私どもも長いつき合いで、なかなか筋の通った骨のある人として、われわれも敬意を払ってきたわけなんですが、そのわれわれが今までつき合った主税局長の人柄から考えると、どうもこういうものに賛成されるはずはないのじゃないかというふうに思われるのですが、そういう便乗法案ではないかという私の印象が間違っておるなら、主税局長本来の人柄に立ち返って聞かしていただきたい。

○政府委員(原純夫君) 大へんお答えのむずかしい御質問でございます。特別措置を扱います場合には、いつも税負担の公平という問題と、それから特定の政策目的のために軽減あるいは免除するという必要と、この二つのものをどう調和させるかという問題にいつもぶつかるわけであります。その際私一般的な腰のかまえとしては、税負担そのものは相当にまだ重いということがございますから、それの一般的な軽減ということに努めたいという気持を相当強く持っております。しかしながら一方で政策的な要請というものが、その場合々々によりましてかなりにあるのであります。それらをはかりにかけて結論を出すというのは非常にむずかしい問題でありますから、間違いはないということは保しがたいというふうに思います。そういう意味でいろいろ御議論があるというのはまことにやむを得ないと申しますか、ごもっともなことだと思います。今般の場合におきましても、もちろんそういう意味の問題点は感じながら仕事をいたしましたけれども、特別措置全般の系列の中で、常々私どもそういう意味で何と申しましょうか、必要の濃淡、厚薄というようなものをやはり常々考えなければならぬ立場におります。そういう意味で孝えております面から申しまして、輸出所得の控除というのは割合私ども優先順位が強いというふうに思っております。それが一つと、そこで春以来の外貨収支の鈍調を契機としての総合対策を急遽とるという状態になりました。その必要性ということを考えあわせまして、やはりこの程度のことは必要ではないかというふうに結論を下したわけであります。結論にいくのに数字的な支点がないものでありますから、まことに御納得になりにくい、本来こういう問題についての御判断にいろいろお立場、お立場で意見の分れてくるような問題でありますので、ぴたりと御説明しにくいのですが、そういうようなことで今回の措置をとろうというふうに政府としては考えた次第でございますので、御了承願いたいと思います。

○江田三郎君 大臣こられて、栗山委員の方から大臣に質問がある予定になっていますから、私は予定外ですから申しませんが、ただ一言だけ主税局長に申し上げておきたいことは、たとえば輸出実績が前年度より非常に上回ってくるのだ、そういうときにこの特別措置を広げていくというなら話はわかりますけれども、今度のような内容というものはどう考えたっておかしなものであって、今の答弁を聞いておりましても、どうも私ははなはだ残念ですけれども、今まで原局長がやってこられた仕事ぶり、あるいは態度というようなことから、非常にぼけてきたというふうに思うのです。来年度の予算編成ということは非常に重要な問題を含んでくるので、なかなか筋の通った話ばかりは出てこない。そういうときに、あなた方がなさる役割というものには私ども大きな期待をしているわけであって、あまり局長になられて、八方円満にいかれるのもほめたことでない場合もあるのではないかと思いますので、今回のことは、私はどうも今の説明では納得できないということだけを申し上げておきます。


1957/11/12

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