2005年4月20日 >>会議録本文

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(民主党ニュース)

外交は失敗、郵政は偽物の改革 岡田代表が党首討論で

 岡田克也代表は、20日午後に行われた党首討論で、小泉首相の外交を失敗、郵政改革を偽物と鋭く批判し、反省を求めた。

 岡田代表は、小泉外交がアジアを軽視しており、そのことがアジアでの日本の孤立化を招き、日本の国連安保理常任理事国入りに中国・韓国からの賛成を得られておらず、日本の国益を損ねている、などとして首相に反省を求めた。しかし首相は従来の考えを繰り返すにとどまった。また年金改革については、14日の年金改革両院合同会議での与党側の発言を取り上げ、これでは抜本改革はできないとして、自民党内での指導力発揮を求め、自民党の具体的な案を合同会議に示すことを迫った。首相はこれに直接答えず、民主党の案を議論すればいいとのすり替え答弁に終始。郵政改革問題では、窓口ネットワーク会社に3分の1以上の国の資本が入っているにも関わらず、コンビ二・住宅リフォームなども手がけることを取り上げ、首相の進める民営化は官業の肥大で偽物の改革であると批判した。首相は、民営会社が行うのは競争であると開き直った。

 やり取りの概要は以下の通り。

冒頭

岡田 今朝の福岡の地震について、心からお見舞いを申し上げる。自民党の若い国会議員が、自民党の候補が勝たなければ地震からの復興はないと演説していたことに、心から怒りを覚える。

外交

岡田 北朝鮮問題を話し合う六者協議は、1年間も開かれていない。中国・韓国との関係も、領土・歴史認識をめぐり難しい状況にある。日本はアジアで孤立しつつあるのではないか。関係改善に努めてきた先人の努力が水泡に帰す懸念すら持つ。総理の責任は免れない。反省を求める。

小泉 友好関係の発展に支障がないような対応が必要だ。

岡田 それは一般論だ。中国の若者が日本への怒りを持っていること、デモをしていること、これについて日本が原因をつくったことを反省すべきだ。

小泉 デモは否定しないし、反対もしない。

岡田 反日機運が盛り上がっていることについて、日本側にも原因があったのではないか。あまりにもアジア軽視の外交だった。日中関係に対応してきたと言うのであれば具体的に。

小泉 日中重視の外交だった。行動で示していく。

岡田 日中関係は日本の経済・安全保障の面からも重要だ。国連安保理常任理事国入りの問題で賛成してもらえるよう、韓国・中国にどういった戦略を持って対応してきたのか。日本外交の完全な失敗ではないか。

小泉 理解してもらうよう努力してきた。

岡田 何もしてこなかったことは、はっきりしている。責任を感じてもらわなければ困る。侵略の歴史を美化しているのでは、との批判がある。村山談話の認識を共有しているのか。

小泉 同じような認識を共有している。

岡田 日中首脳会談でもその認識を述べて欲しい。日本の戦後の歴史は自信を持っていいし、誇っていいことだと思う。その自信に裏付けされた謙虚さがあっていい。それで近隣諸国に対処すべきだ。日中関係は危機的な状況にある。首相在任の4年間に大変なことになった。再構築する責任が総理にはある。改善の端緒をつくるべき。できないのなら民主党に任せて欲しい。

年金制度改革

岡田 両院合同会議で丹羽雄哉さん(自民党)は、改革を断行したと言い、公明党の冬柴幹事長は、優れた抜本改革と言った。こうした現状認識では抜本改革はできない。総理も同じか。

小泉 昨年の改革は優れたものと思っている。民主党は違うと思っている。政党が違うのだからそれでいい。それを踏まえて協議するのが、あの会議ではないか。

岡田 産業・雇用構造の変化に、現行の制度は対応できないのではないか。これは総理も言っているが、あの二人は違う。国民年金制度をどう思うか。4割の人がきちんと保険料を払っていない。多様なライフスタイルと制度が合っていないので、安心できる制度になっていない。その認識は。

小泉 今、提起されたことを協議しようというのが、あの会議だ。

岡田 聞いたことに答えるべきだ。

小泉 国民年金は破綻しているとは言えない。将来を見ると問題だ。だから協議をすべきだ。

岡田 すべての年金の一元化との絵を描いた上で、段階的ならいいが、そこを与党はどう考えるか。40年勤続の人や専業主婦がそれを支えるというモデルは通用しない。時代に対応した制度をつくらないと、一部の限られた人だけの国民年金になってしまう。

小泉 負担と給付、保険料、納税者番号制について民主党の案を提示し、それをもとに議論することを拒否していない。

岡田 自民党の中で、一元化が望ましいとの総理の意見を委員に伝えて欲しい。民主党の案を出せというなら出す。国会決議の中で、お互いの案を持ち寄ることになっている。自民党の案も是非出すべきだ。

郵政改革

岡田 自民党の考えは国業公営の肥大化だが、民主党は縮小を主張している。総理は自民党に近づいた。100%民営で、簡保・郵貯の資金を運営できる案を示すべきだ。35兆円を貸付けする人材やノウハウなしに10年後に貸付けできるというのは絵空事だ。できないとなれば、官の肥大化を招くだけだ。

小泉 できるように制度設計をしている。近く政府案をつくる。公社のままでいいのか、公務員がどうして350兆円を運営できるのか。

岡田 私は35兆円の貸付けの話をしている。焦げ付けば税金で穴埋めすることになる。可能なモデルが示されていない。

小泉 今、努力している。27万人の公務員でなければできない仕事とは思わない。今月中に政府案を決定する。

岡田 公務員でなくすための民営化は、本末転倒だ。窓口ネットワーク会社には3分の1の国の資本が入るが、この会社がコンビニや住宅のリフォームもするのは官の肥大化だ。

小泉 民営化された会社がするのは競争だ。激烈な競争が、より国民が望むような商品を生む。

岡田 民営ではない。3分の1以上、国が株を保有している。郵政改革のスタートは、特殊法人に財政投融資資金が流れることを止めようということだった。公社の財投機関債は50兆円から150兆円に、首相の在任中に増えている。官の肥大であり、偽物の改革だ。

平成十七年四月二十日(水曜日)  午後三時開会

岡田克也君 まず、本題に入ります前に、今朝福岡で震度五強の地震が発生をいたしました。十四名の方の負傷者というふうにお聞きをしておりますが、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 実は私、選挙ですから福岡にも度々入っておりますが、先般、福岡におりましたときに、自民党の候補者を応援される自民党の若い国会議員が演説をされていました。その中で、自民党候補が勝たないとこの福岡の復興は進まないんだと、こういう言い方をされておりました。私は、私はまさしく今本当に困っている被災者の皆さんの弱みに付け込んだ、選挙とそしてこの被災地の復旧を絡めるようなそういう発言、演説に対して心から怒りを覚えたということをまず申し上げておきたいと思います。こういった問題に与党も野党もありませんから、しっかりお互い被災地の復旧に向けて努力をしていきたいと、総理にもそのことをお願いしておきたいと思います。

 さて、まず外交について議論したいと思っています。

 私は、今、日本の外交は完全な手詰まり状態になっているというふうに考えます。特にアジア。北朝鮮をめぐる六者会談はもう一年近くも開かれておりません。そして、近隣の、本来信頼関係がきちんと築かれなければならない韓国、中国、いずれも今、極めて難しい状況にあります。

 私は、今、日本がアジアで孤立しているのではないかと、そういう強い懸念を抱いております。韓国や中国との関係は、戦後六十年、先輩の皆さんが本当にいろいろな努力を重ねられてその関係改善に努めてこられたことだと思います。しかし、今起きている現象を見ると、そういう先人の努力が水泡に帰してしまうんじゃないか、もう一回リセットボタンを押して一に、ゼロに返ってしまうんじゃないかという、そういう懸念すら持つわけであります。

 こういった状態になっていること、これは当然総理が外交についての責任をお持ちなわけですから、私は総理にその責任、免れないと思いますが、総理のこの点についての真剣な反省を求めるとともに、もし総理にこのことについて何か御意見があればお伺いしておきたいと思います。反省の弁を聞きたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 各国と友好関係を発展させていくことが日本の国益にかなうと、また隣国であります中国、韓国も含めて、ロシア等の平和条約を締結に向けてお互い努力していかなきゃならないと思っております。

 日本はアジア重視で、ASEAN諸国とも極めて友好な関係を築いてまいりました。中国、韓国、最近の反日運動というものが今後の両国の友好発展に支障ないような対応がお互い必要だと思っております。

 どの国にも敵対したときはあったとしても、長い目で考えますと、友好国になることがいかに両国にとって利益になるかということは世界どこの国でも共通していると思います。ヨーロッパにおいてもしかりであります。あるいは日米におきましても、かつては敵対国が今や同盟国になっております。ドイツにしてもフランスにおいてもしかりであります。また、ベトナムとアメリカにおいてもしかりであります。

 日本と中国、韓国、過去一時期、不幸な時期がありましたけれども、今後、そういうことを踏まえながら両国の友好関係を維持発展させていこうという大局的な見地に立って現状のこの問題をいかに打開していくかと、そういう意識を両国政府とも持ってこれからの問題に対処していきたいと私は思っております。

岡田克也君 総理、私は現状についての総理の反省の弁をお聞きしたいと申し上げたんですが、今、総理は一般論だけ言われました。私は一般論をお聞きしたかったわけではありません。

 これから具体的に、じゃ、申し上げたいと思います。日中関係、絞ってお話を申し上げたいと思います。

 まず、今、我々が目にしたあの大使館への投石、あるいは日本の企業あるいは日本人に対する危害を加えること、このことはもちろん許されざることであって、私は中国政府に対して当然その謝罪と、そして賠償を求める、これは当然のことだというふうに考えております。そのことは昨日、王毅駐日大使に対しても申し上げてきたところであります。

 ただ、一方で中国大使館に対しても赤いペンキが投げ付けられたりしております。もちろん、被害の程度は全く違いますから同列に論じられることではありませんが、しかし、中国大使館に対しては我が国が警備の責任を持っておりますから、そういうことが行われたことについては、我々も当然そのことに対して申し訳ないという気持ちは同様に持つべきだというふうに考えております。

 そこで、問題は、ああいった暴行、投石とかいった暴行ではなくて、デモそのものが行われているということについて、つまり中国の若者があれだけ怒っているということについて、一か所ではなくて各地で起きているということについて、もちろん中国側にもいろんな事情はあるでしょう、しかし日本の側にもその原因をつくったことについてこれは反省が必要ではないかと、そういうふうに思っております。

 総理は中国各地でデモが行われているということについて、日本は何も問題がないというふうにお考えですか。それとも何らかの問題があるとお考えであれば、それは何なのか、お答えいただきたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) それはデモが行われるということに対して私は否定はいたしませんし、反対もいたしません。しかし、これが反日の感情をあおり立てたり、あるいは中国における日本の大使館、領事館を始め企業あるいは中国で活躍しております日本人の皆さんに危害を加えるというようなことは厳に慎んでいただかなきゃならないと、そう思っております。

 それは、今までの過去のいわゆる戦争ということを踏まえますと、中国において日本に対する感情が敵対的な面もあるということは私は否定しませんが、今回のデモとこれまで日本が行ってきたことと併せまして日本にも責任があるということよりも、このデモの暴徒化に対してはやはり日本としてはきっちりと抗議をしなきゃいけないと思っております。

 日本は今までそういう戦争の経験、反省を踏まえて、戦後六十年、一度も戦争したこともないし、戦争に巻き込まれたこともない、行動で、戦争の反省を踏まえて平和国家として発展してきたわけであります。中国に対しましても多額の支援、援助をしてまいりましたし、国交正常化以降、友好関係を発展させてまいりました。

 そういう観点から、私どもとしては、最近の反日デモに対しまして、暴徒化しないように、そして中国の対応に対しましては、先ほど岡田代表も指摘されましたように、日本における中国の大使館なり領事館に対する一部の不心得者の行動に対して、中国の公使は日本に対して陳謝と賠償を求めております。私どもは、中国の公使が日本に対して行っていることを同じように中国政府に申し入れているわけであります。そこをやっぱり中国政府もよく考えていただきたい。そして、日本もしかるべき警備活動、こういう事件が起こることは遺憾なことであると、しかるべき対処をするということを申し上げているんでありまして、中国側が自国の大使館、領事館に対する懸念というものは、どの国でも、その国における大使館の活動、領事館の活動というのが自由に行われることを求めている。

 今回のいろいろな行動におきましても、お互いそういう点を十分考えながら、公正な対応を求めていきたいと思っております。

岡田克也君 私は、暴力的な行為については、これは当然批判されるべきだと、厳しく批判されるべきだということは最初に申し上げたとおりであります。そのことと、これだけの反日の機運が盛り上がっているというその現象に対して、そのことについて日本側にも原因があるのではないかということを申し上げているわけです。

 私は、小泉総理が余りにもアジア軽視の外交を行ってきた。つまり、先輩歴代総理、この日中関係、日韓関係、非常にエネルギーを注いでやってまいりました。しかし、小泉総理は、余りにもアジア外交とかあるいは日中関係、日韓関係に対して関心がなさ過ぎた。もっと率直に、例えば具体的な問題があるんであればそのことについて率直に語り合う、そのことも先送りしてきた。そういったこと全体が今、今回こういった事態を招く一つの原因になっている、そういうふうに考えております。

 私は、小泉総理が日中関係について十分今まで自らも配慮して、そして日中関係の対応をしてきたというんであれば、具体的に日中間で総理はどういう努力をしてこられたのか、そのことを語っていただきたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、日中重視の外交を取ってきたと思っております。中国の目覚ましい経済発展というもの、これに対して日本は脅威と受け取るのではなく、好機と受け止めていると。今後、両国の交流というものをあらゆる分野において広げていこうということで、今までも各分野での交流は進んでまいりました。そして、経済関係も発展してまいりました。

 私は、意見の違う問題がありましても、率直に忌憚のない意見交換をしてまいりました。中国を両国間の関係のみならず、国際社会の中で日中関係が協力していかなきゃならない分野がたくさんあります。そういう点について、具体的に今までの個々の問題について友好関係を重視してやってまいりましたし、一部の対立があるから、それが全体を、及ぼすことないように、お互いやっぱり率直な意見交換が必要ではないかと思っておりますし、他の諸国とも極めて良好な関係を持ちながら発展をさせてまいりました。その点については実際の行動で今後も示していかなきゃならないと思っております。

岡田克也君 日中関係、これは日本の経済、安全保障、いずれの面を取っても極めて重要であります。中国から見ても同じでしょう。

 したがって、私は、日本外交にとって中国との関係をいかに建設的につくっていくかということは最大の課題と言っても過言ではない、そう思っています。その割には、総理はこの日中関係に、余りに軽視をしてきたのではないか、そのことが政冷経熱というその言葉で表されていると思います。

 じゃ、具体的に一つお聞きします。

 国連常任理事国の問題、これはそう何回も巡ってくるチャンスではありません。日本としてはこれを是非実現しなければいけない。しかし、日本の近隣国である韓国や中国、元々もろ手を挙げて賛成ということはこれは考えにくいことだと、それは分かります。

 しかし、一体、常任理事国入りに向けて、この韓国や中国に対して総理は一体どのような戦略、戦術を持って対応してきたのか。韓国は既にもう反対とはっきり言っています。中国はまだ明確には反対と言っておりませんが、極めてそれに近いところまで来ている。私はこれは日本外交の完全な失敗だと思う。

 一体、総理は、中国や韓国に対してこの常任理事国入りの問題についてどういった戦略、戦術を持って挑んでこられたのか、説明いただきたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) できるだけ多くの国から、この国連改革、わけても常任理事国入りにつきましては日本の立場を理解してもらえるように今までも努力してまいりました。

 隣国との関係と申しましたけれども、これは今、日本は、ドイツとインドとブラジル、四か国共同でお互いの常任理事国入りを支持し合い、協力していこうということでやっております。

 隣国関係というのは難しいんですよ。例えば、ドイツが常任理事国、手を挙げますとイタリアが反対する、インドが常任理事国入りに手を挙げるとパキスタンが反対する、ブラジルが手を挙げるとアルゼンチンが反対すると。どの国も隣国に対してなかなか、その隣の国だけを特別の常任理事国入りに対しては素直に率直にもろ手を挙げて賛成という状況にないんです。

 そういう点から考えますと、それぞれ難しい立場がありますが、粘り強く、粘り強く理解を求めるように、今後も韓国、中国との関係を重視しながら、日本の立場を理解して常任理事国入りに対して賛同を得るような関係をして、築いていかなきゃならないと思っております。

岡田克也君 今の総理の答弁一つ聞いただけでも、中国に対して、韓国に対して総理が何もしてこなかったということはもうはっきりしていると思うんです。その結果が、常任理事国入りという、日本の国の国益にとって、国民的な利益にとって極めて重要な問題を今我々はまさしく逃がそうとしている、そのことに対してもっと責任を感じてもらわなきゃ困るんですよ。

 そこで、もう一つ申し上げたいと思います。

 中国や韓国から、日本の過去の植民地支配や侵略の歴史を美化しているのではないかという批判が寄せられております。

 我々は、戦後五十年、十年前に、内閣総理大臣談話、当時の村山総理の名前の下で、いわゆる村山談話が出されました。そしてその後、小渕総理のときに、例えば小渕総理と江沢民国家主席の間でパートナーシップ構築に関する日米共同宣言、確認をいたしました。

 この日米パートナーシップ宣言やあるいは村山談話に示された認識、これは総理も同じような認識を共有しておられるのか、それとも違うのか、そこをまず明確に述べていただきたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 同じような認識を共有しております。

岡田克也君 具体的にどういうことなのか、述べていただきたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 村山談話にありますように、過去の戦争の敗戦から、このようなことを二度と起こしてはいけないと、そして両国の関係を重視しながら、日本としては平和国家として発展していく、国際協調が重要だと。

 また、日米パートナーシップ、これは今後とも、日米関係、日本にとっては極めて重要であるし、日米同盟、国際協調を重視していこうという基本方針、これはもう戦後一貫して変わらない。小渕内閣だけじゃありません、戦後の内閣として基本的な外交方針でありますから、これを今後も踏襲していかなきゃならないと思っております。

岡田克也君 私は、村山談話というのは当時としては一歩踏み出したものだったというふうに考えております。

 すなわち、過去の一時期における植民地支配と侵略によってアジアの人々に対し多大の損害と苦痛を与えたと。この歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明する、その表現はほぼそのまま小渕総理の日中のパートナーシップ宣言にも受け継がれております。ここの部分について私はお聞きしているわけです。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 村山談話、同じような認識を共有しております。

岡田克也君 是非そういったことについても来るべき日米首脳会談の中でしっかり述べていただきたい(発言する者あり)日中、日中首脳会談の中でも述べていただきたいと思います。

 私は、私は、日本は戦後の歴史に対してはもっと自信を持っていいと思うんです。つまり、平和国家をつくってきたこと、そして成熟した民主国家をつくってきたこと、このことはもっともっと誇っていいことだ、そういうふうに思います。しかし、そういった自信、その自信に基づいて、私は同時に、自信に裏付けられた謙虚さというものが我々に求められているんだと思います。排外的なナショナリズム、それは自信のなさの裏付けです、結果です。そうではなくて、我々は自信を持ち、その自信に裏付けられた謙虚さを持って近隣の諸国に対していかなければいけない、こう思っております。

 総理はそういった認識をお持ちでしょうか。分からない人には全く分からないと思います。お気の毒だと思います。総理はそういう認識をお持ちでしょうか、お聞きしたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 過去の戦争を反省しつつ、これから平和国家として発展していこうという六十年前、この六十年間の実績というのは私は評価されてしかるべきだと、ものだと思っております。自信と、そして国際社会との友好関係を維持発展させていこうという、この方針を実践に移してきたのが戦後六十年間の日本の姿だと思います。この方針で今後も外交を展開していきたいと思っております。

岡田克也君 今、日中関係は非常に大きな危機的な状況にあると思います。先輩のリーダーの皆さんが、歴代首相が築き上げてきたこの日中関係が、小泉総理の四年間の間に私は大変な危機に面している、それをもう一回再構築する責任が小泉総理、あなたにはあります。

 来るべき首脳会談で、小泉総理が責任を持ってそのための端緒を築いていただきたい、きっかけをつくっていただきたいと思います。もし、総理や自民党にそれができないというんであれば、私や民主党に任せていただきたい。私たちは、しっかりとした外交、そしてアジア外交、日中、日韓関係を築いていく、そのことをはっきりと申し上げておきたいと思います。

 次に、内政について、構造改革についてお話をしたいと思います。

 郵政の問題は、ニュースを見ておりますと、総理もお疲れさまですと、こう言いたいわけですが、私は、本当に国民不在のどたばた劇が繰り広げられていると、こういうふうに思います。もっと重要なことがたくさんあるんじゃないかと。さっきの外交もそうですが、内政でも、例えば社会保障制度の改革が全く進んでいない、そう言われても仕方がないと思います。あるいは、食の安全や、前回私、党首討論で触れました、あるいは子育て支援、こういう問題は、総理は大臣や他人に丸投げ状態であります。所得が増えない中で負担増にあえいでいる国民の声も全く総理には届いていないとしか私には思えません。

 そういう中で、まず最も重要な年金の改革について前回に引き続いて申し上げたいと思います。

 先般、両院合同会議がスタートしました。二時間半、議論をいたしました。そのことは評価できると思います。私もこの合同会議に参加をいたしました。しかし、与党側の答弁を聞いて私は愕然としました。自民党の丹羽社会保障制度調査会長は、昨年の参議院選挙の前に行われたあの強行採決で成立した年金改革について、これまでにない思い切った改革を断行したと、こう言われました。公明党の冬柴幹事長は優れた抜本改革であったと、こう言われました。全く国民の意識と懸け離れていると思います。こういった現状認識では、幾ら議論しても年金制度の抜本改革ができません。つまり、もう既に終わったという認識じゃないですか。

 総理も同じような認識なのか、そして抜本改革をこれから何が何でも秋に向けて骨格をつくっていくという決意は果たしてあるのか、そのことについて明確に述べていただきたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 最初に、郵政改革よりももっと大事な問題があると言われましたけれども、大事な問題をしっかりやって、そして同時に郵政改革をしているんですよ。郵政改革をしなければほかの大事な問題が進むかというと、そうじゃないんです。ほかの問題も、外交問題、内政問題、社会保障問題、しっかりやってるんです。郵政改革をやらなければそのほかの問題が進むんですか。そうじゃないでしょう。この困難な問題に加えて困難な郵政改革を同時並行的にやっているのが小泉内閣なんです。その重要性については分かる人と分からない人がいるんです。いずれ、この郵政改革、郵政民営化がいかに重要な行財政改革かというのは後で分かると思いますが。

 それはさておき、社会保障改革協議会、年金の一元化の問題でありますが、これについては丹羽議員と公明党の冬柴幹事長の発言を引用されましたけれども、私はさきの改革は優れた改革だと思っています。しかし、それについては民主党には違う立場がある、違う考え方がある、だからそれを含めて協議しましょうということでお互い会議の場に着いたのがあの協議会じゃないでしょうか。お互いの立場を非難し合って、あそこはけしからぬからおれたちは応じないということじゃ、お互いの協議会で実のある成果は望めないわけであります。

 野党の皆さんにおいても、野党は今のところ民主党だけじゃないんです。共産党も社民党もおられます。民主党と、共産党、社民党も意見が違うんです。だから、民主党と自民党との意見も違うというのは、これはおかしくないんですよ、政党が違うんだから。それを踏まえて、同じテーブルで、どういうより合意できるような成果が上がるかということを協議するのがあの協議会でしょうが。

 それを、意見が違うから駄目だ駄目だという非難し合ってどういう建設的な成果が望めるんでしょうか。お互いの立場は違っても共通する場面があるだろうと。例えば、年金一元化の問題でもそうであります。納税者番号の問題もそうであります。お互い歩み寄りの可能性を探っていくのがあの協議会じゃないでしょうか。だからこそ、衆議院、参議院が一緒になって合同の協議会を設けたんじゃないでしょうか。お互い、今になって違いを強調して非難し合うというような立場よりも、何とか協力できる道を探るのがあの協議会の場ではないでしょうか。

岡田克也君 総理、まずその郵政の問題、後から私触れようと思っておりますが、今、ほかの問題もやりながら郵政の問題もやっているというお話でしたが、連日、自民党本部にあれだけの人数の自民党の国会議員が詰め掛けて、今、国会やっているんですよ、国会審議がおざなりになっているじゃないですか。そして竹中大臣はどうですか。竹中大臣は多忙を理由に委員会に欠席しているじゃないですか。そういったことについて私は申し上げているわけであります。

 さて、年金の問題ですが、私たちは具体的な案を出して議論しようと言っているわけですよ。総理御自身も、あの通常国会冒頭の私の代表質問に対して、今後の産業構造、雇用構造の動向に十分対応できるのかという議論もあると、そういう認識を示されて、これからの産業構造、雇用構造の変化に今の制度が対応できないんじゃないかと、だから抜本改革が必要ではないかと、そういう認識を示されているわけですよ。

 ところが、先ほど引用したお二人は、いやもうこの前の改革が抜本改革であって、あとは公務員共済と厚生年金の一元化と、そして基礎年金の国庫負担二分の一の引上げの問題、これをいかにするかが、これが改革だと、こうおっしゃっているから、私は違うと言うわけですよ。

 例えば、総理、国民年金についてどう思われますか。私は、国民年金制度は事実上壊れていると思いますよ。もう既に四割の人がきちんと保険料払っていないんですよ。そして、自営業というものを前提に組み立てたこの国民年金制度ですけれども、今、自営業の方はわずか二四%です。そのほかは多様な働き方、パートであったり派遣であったりいろんな働き方をしておられる方がこの国民年金制度に加入をすると。しかし、二四%しか、いや、四九%しか払っていない。こういう現在の社会構造、多様なライフスタイル、働き方と制度が合っていないから、これでは本当に将来の安心、安全の年金制度にならないと私たちは主張しているわけです。ここの認識、総理、共有されていますか。いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今提起されたような問題を協議しようというのがあの両院の協議会だと思うんであります。

 そこで、確かに産業構造、雇用構造、変わってまいりました。厚生年金と共済年金と国民年金、それぞれ違うから、まずは厚生年金と共済年金の一元化を図っていこうと、そして民主党が主張されております国民年金との一元化、これはそういう点も展望しながら、どうしたら一元化が可能かという議論をしようというのが協議会でしょう。それが、まずは、一挙に今、国民年金と厚生年金、共済年金を一元化というよりも、段階を踏みましょうと言っているんでしょう。これがどうしておかしいんですか。

 まず、まずは現実をよく踏まえて、厚生年金と共済年金一元化したと、そしたら国民年金の一元化に対する問題点が出てきます。これについてどう思うかというのは、あの協議会の場で、専門家の皆さんがよく出ているわけですから、それを進めていこうと。それを最初から、自分たちの意見に賛成しないんだったら協議に応じないと言うんじゃ何のための協議会かと。そう思いませんか。

岡田克也君 総理、是非聞いたことに答えていただきたいんです。

 私は今、一元化の話をしたんじゃないんですよ。国民年金制度が事実上破綻しているということについて聞いているわけですよ。それに対するお答えを求めているわけです。いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは破綻しているとは言えません。未納者が多いけれども、破綻しているとは言えません。国民年金を大事にしている方もたくさんおられるわけですから。未納は問題であります。破綻しているとは思っていません。しかし、将来を見ると、これは問題があるから協議していこうというのがあの協議会じゃないでしょうか。

岡田克也君 このまま行くと無年金者が続発します。それは、結局、生活保護費となって跳ね返るわけですよ。私たちはこの問題をだから協議しようと言っているわけです。しかし、国民年金制度についてそういった議論をするという御提案はないわけです、与党の方から。だから、私は申し上げているんですよ。今総理がおっしゃいましたから、これからこの合同会議で議題として取り上げるということは総理がそう認められたというふうに理解をしておきたいと思います。

 そして、一元化の話は、総理、まず共済年金とそして厚生年金を一元化するのか、一挙にするのか、これは二義的な話ですよ。それは後で議論したらいいんですよ。しかし、まず全体、すべてを一元化するというそういう絵をかいて、そしてその上で段階を踏んでいくのか、あるいは一挙にやるのかと、こういう議論であって、まず絵をかくかどうかのところの問題なんです。そこのところについて与党はどう考えているのか。

 今、多様なライフスタイル、厚生年金の基本的なモデルは四十年間一つの勤め先に勤め、そして専業主婦の方がそれを支えるというモデル、今でもそういうモデルはあります。だけど、随分多様化した。転職は当たり前になりました。夫婦共働きも当然当たり前になりました。そして、自営業の方が会社勤めをしたり、会社勤めの方が自営業になったり、いろんなそういう意味での転職も起きてくるようになりました。こういう時代にあって、あるいは会社、正規社員だけじゃなくて、パートや派遣、そういった新しい事態に対応した新しい年金制度をつくらない限り、私は一部の限られた人だけの厚生年金になってしまう、そういう認識に基づいて一元化の議論が必要であると申し上げているわけです。総理、いかがでしょうか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは前回の党首討論でも行われて、繰り返しになりますが、私は、あの協議会の場には出席しておりませんでしたが、各党の意見の報告は受けております。そうしますと、国民年金と厚生・共済年金の一元化に反対している方の意見もはっきり出ております。そういうことを踏まえて、できたら私は一元化が望ましいということを岡田さんとの討論で何回も言っているんですよ。

 しかし、望ましいけれども、その過程でどういう問題が出てくるかというのは、民主党考えを持っているそうでありますから、それについて、それでは国民年金と厚生年金を統合する場合に、給付と負担、仕事の形態、違うわけです。そういう点に対して、どっちを合わせるかによって、給付をどういうふうに合わせていくのか、保険料負担をどういうふうに合わせていくのか、また納税者番号を入れる場合に、どの程度その所得を把握するための納税者番号が必要かという点について、民主党が案を持っているんならまずそれを提示して、そしてそれから協議を始めていこうというのがどうしておかしいんですか。自民党それ拒否してないんですよ。どうぞ出してくださいと、案を。

 だから、そういう、自分たちが持っているというんだったら案を出してくださいよ。それについて自由民主党は拒否しません。それを基に協議して、どういう問題点があるかということが浮かび上がってくるじゃありませんか。

岡田克也君 総理、二点、二点申し上げておきます。

 まず一つは、総理は一元化が望ましい、確かにそう発言されていますよ。そのことを党の中でしっかりと委員の皆さんにその認識を伝えてください。最終的に国民年金を含む一元化が望ましいという、そういう前提での議論はありませんから、今。それをきちんとまず伝えて、そして具体的な問題点を議論する。私たちはいつでも具体案を出します。

 そして第二点目、総理にお願いは、民主党に案を出せ、案を出せは結構です。我々は出します。だけど、お互い具体案を持ち寄って議論しようというのがこの合同会議の前提ですよ。決議の中にもはっきり書いてあります。

 ですから、総理、あなたも、そういった納税者番号制や、その他今総理がおっしゃったことについて具体案をちゃんと出してください。お互い案を持ち寄って知恵を出し合おうじゃありませんか。そうでなければ、これは単なる揚げ足取りの議論になってしまうと思います。是非お願いしておきたいと思います。

 そこで、郵政の問題について申し上げたいと思います。

 私は、今自民党の中でいろいろ議論されていますが、自民党の案は基本的には国営企業を維持したまま肥大化さしていく案だと思います。私たち民主党の案は、公社を前提にしながらスリム化していくという案です。ここは根本的に方向が違うんです。総理はやみくもな民営化を言われましたが、だんだんだんだん妥協していって、今や自民党案に非常に近づいてきた。

 私は、この問題について二つ総理に質問したいと思います。

 まず第一です。これは代表質問でも申し上げたことですが、将来、総理は、一〇〇%郵貯会社、簡保会社は民営化すると、こう言っておられます。それが私にはとても可能なことのようには思えないんです。それが本当にできるためには、三百五十兆円の運用をきちんとできるということが、多くの人が納得できるだけの案があって初めてそういうことになるわけです。ところが、その案を示し得ていないんです。

 例えば、貯金会社二百五十兆、その中で三十五兆円は自分で貸付けをするという数字も示されています。だれがどうやって貸すんですか。三十五兆円といえば第二地銀の四十兆円に匹敵する額ですよ。あるいはメガバンク一行に匹敵するだけの、それだけの規模です。例えばメガバンクが戦後六十年間営々と築いてきた人材やノウハウやあるいは取引先、そういうのが全くない中で、十年で同じ規模を貸付けするなんというのは、それは絵そらごとですよ。結局それはできないんです。できないということは、一〇〇%民営化できないということになって、官の肥大化を招くだけになっちゃうわけです。

 この点について、総理はなぜ三十五兆の貸付けができるのか、三百五十兆の運用ができるのか、そのことについて明確に答えていただきたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは郵貯と簡保合わせて三百五十兆円なんです。移行期間、完全民営化後とは違うんです。旧勘定、政府保証のあるときと完全民営化になったときの場合は違うんです。

 そこで、できないと言いますけれども、今まで岡田さんも、私どもが郵政民営化やる前は、民間にできることは民間にと言ってたんじゃないでしょうか。それが今になってできない。私は、これもまた民主党はいかがなものかと思いますし、これは今後、私は、政府としてはできると。自民党の中でもできないと言う人がいます。しかし、できるように今制度設計をしているわけです。近く政府案を決定いたします。そうすれば、国会で審議が始まるわけであります。

 そういう中にあって、三百五十兆円の運用と言いますが、それじゃ公社のままがいいと、公社のままで、民主党の皆さん、いつの間にか民間じゃできない、公務員のままがいいということで公社のままがいいと言っていますけれども、公社のままで公務員がどうして三百五十兆円運用できるんですか。そこを聞きたいですね。

岡田克也君 総理、私の質問に答えていただいてないんですよ。三十五兆円の貸付けですよ、これは。貸付け。民間企業あるいは個人に対する貸付け、これができるという確証がないんですよ。それがない以上、私は国民の重要な金融資産を危機に瀕する、結局、それは焦げ付けば税金で穴埋めすることになっちゃうわけですよ。そういったことは認められない。

 ですから、民間にできることは民間でやる、当然ですよ。しかし、民間でできるかできないか、できるというだけのモデルが示されていないということを私は申し上げているわけです。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) できるということをこれから国会に政府案として出そうと今努力しているんじゃないですか。民営化審議がいずれ五月にはなされると思いますので、そのときまでに政府としてはできるという案をはっきり示します。そして、民主党は民営化できないと言うんだったら、できないという議論は私は阻止はいたしません、その場で議論すればいいんですから。我々としては民営化可能である、今の郵便局の仕事は二十七万人の国家公務員でなければできない仕事とは思っておりません。民間に経営を任せても、民間人でも十分できる仕事だと思っておりますから、今後、まあ今月中には政府案を決定して国会に提出します。そうすれば、より具体的な姿が出てまいりますので、その際には十分議論をしていきたいと思っております。

岡田克也君 総理、今公務員の話されましたね。私は、完全に民営化されたそういう企業であれば、それは当然公務員じゃないですよ。だけど、公務員でなくするために民営化するというのは、それは本末転倒なんですよ。まず、民営化がきちんとできるかどうか示すべきなんです。私はそれはできない。

 もう一つ申し上げます。

 窓口会社、窓口会社はこれは国の出資が三分の一入った持ち株会社の一〇〇%会社ですから、これは私は純粋民間会社ととても言えないと思います。

 この窓口会社がこれからいろんなことをやろうとしていますね。損保、生保の商品を売る、投資信託を扱う、あるいはコンビニは千三百店の二十四時間のコンビニをやる、そして住宅のリフォームまで扱う。まさしく三分の一、国の資本の入ったそういった準国営会社がそういったことをどんどんやっていくというのは、これは官の肥大そのものですよ。それは総理の言っていることと全く違うじゃありませんか。いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 民営化された会社がどのような事業を展開しても、それは民業圧迫とは言えないんです。官業が民間の事業に進出した場合には、それは民業圧迫と言うことはいいと思います。しかし、民営化された会社が今民間と同じような事業をやろうということは競争です。民業圧迫というのは、今の官の分野で三事業しかやってはいけない、しかし貯金にしても保険にしても小包にしても民間でやっている事業なんです。これを民間のやっているところまでやろうとすれば民業圧迫と言えますよ。しかし、民間になった場合は民間と同じような仕事をやってどうして民業圧迫と言えるんですか。それは民間の間の競争であります。

 どのような会社であっても一つの会社じゃない、ほかの会社、新規参入があっても、これは自由であります。

 そういう点から考えて、私は、今の官業が民間になった場合には、その民間の分野に進出する、今の三事業以外の仕事をするということに対しては民間との激烈な競争があるということを否定はいたしません。競争によって、より国民が望むような商品なりサービスを提供していく、そういうことによって市場経済は発展していくんですから、私は、そういう点を考えて、今の官業が民業になった場合に民業圧迫だと言うのは、これは誤解であり、錯覚であります。

岡田克也君 総理、違うんですよ。

 ですから、民間に、民営化されるんじゃないんですよ。三分の一以上、三分の一以上国が資本持っているわけです。これは民営でも何でもないんですよ。その会社がいろいろ手を広げていくということが、私はこれは官の肥大そのものだと思います。

 元々、この郵政改革のスタートは、いろんな特殊法人などに財投資金が流れていくことがそのスタートだったはずです。そこはやめようと。そこについて制度は変わりました。しかし、いまだに財投機関が扱う、例えば財投機関債の引受けを郵政公社がどんどんやっているじゃありませんか。総理在任の四年間で郵政公社の国債の保有高、その中には財投機関債も入っています、五十兆円から百五十兆円に百兆円も増えているんですよ。

会長(北澤俊美君) 申合せの時間が過ぎております。

岡田克也君 つまり、あなたの在任の中でそれだけの官の肥大が進んでいる。市場の規律が働かなくなっている。それが小泉総理のこの四年間やってこられたことだと。だからこそ私は、小泉郵政改革はそれは偽物の改革だと、そういうふうに思っているわけです。(拍手)

会長(北澤俊美君) 以上で岡田克也君の発言は終了いたしました。
 本日の合同審査会はこれにて散会いたします。
   午後三時四十七分散会


2005年4月20日

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