2001/11/21

戻る党首討論目次


抵抗に屈せず改革断行する覚悟を
〜党首討論で鳩山代表が迫る

 今国会初の党首討論(クエスチョン・タイム)が21日、衆議院第1委員室で行われた。民主党の鳩山由紀夫代表は、日増しに自民党内で構造改革への抵抗が強まる中、小泉首相の改革への決意を改めて質した。

 冒頭、鳩山代表は、「今日は総理の覚悟を伺いに来ました」と宣告。自民党内から構造改革反対の大合唱が起こっている状況の中で、どんなことがあってもやり遂げるという決意があるかを質した。

 首相は、党内の改革への抵抗について、「“総論賛成、各論反対”というのはいつものこと。そろそろ出てくると思っていた」と余裕を見せ、「(抵抗勢力は)小泉がなくなれば自民党がなくなるということに気付いていない。断固初心を貫く」と決意を披瀝した。

 これを受けて鳩山代表は、特殊法人改革の各論について質した。首相は、「もっとも改革が困難だと言われてきた」7つの公団・公庫について方針を説明。まず、4つの道路関連公団については「統合した上で廃止・民営化する」とし、同時に来年度から国費投入を打ち切り、既存の高速道路整備計画も見直す意向を表明した。また、住宅金融公庫については、業務をできる限り民間に委託して、5年以内に廃止する方向だとし、都市基盤整備公団と石油公団についても廃止の方向で見直すことを言明した。

 鳩山代表は「よくぞ言ってくれた」と首相の方針を評価し、「7つの公団・公庫の改革はこれで国民への公約となった。どんなことがあってもやり抜いてもらわねば困る」と改めて改革の断行を要請。具体的に、道路公団の運営部門だけを民営化するという“上下分離”論に与しないことや、既存の道路整備計画をすべて一旦凍結することについて確認を求めた。

 首相は、既存の道路計画について、見直しを前提に第3者機関で各事業の費用対効果などを検討する意向を明らかにしたが、「一旦全面凍結」という方針については明言を避けた。

 さらに鳩山代表は、内閣と自民党との間で法案の事前審査のあり方などが議論になっていることに触れ、「内閣と与党の一体化の問題については、民主党はすでに3年前に処方箋を発表している」として党内の検討成果をまとめた冊子を首相に手渡した。そして、内閣の法案が与党の事前審査で骨抜きにされることがあってはならないとし、従来の事前審査の慣例を廃止するよう求めた。

 首相は、私の考えに反対する自民党幹部の主張が本当に党全体の声なのかということが問題だ、などと述べ、事前審査の廃止には触れなかった。

 鳩山代表は雇用問題にも触れ、ワークシェアリングの大胆な導入など雇用の構造改革を実現するため、政労使の協調による取り組みの陣頭指揮を執るべきだ、と迫った。首相は、労働側の意見も聞いて努力する、と述べた。

 鳩山代表は最後に、「首相が今日明らかにした決意は重い」として、阻害勢力があろうと国民のために改革を断行してほしいと要請、「たじろいだり、後ろを振り向いたりせずに進む限り、民主党は応援したい」と首相にエールを送って討論を締めくくった。

(民主党ニュース・トピックス)


会長(堀之内久男君) これより国家基本政策委員会合同審査会を開きます。
 本日は、私が会長を務めさせていただきます。
 国家の基本政策に関する件について調査を進めます。
 これより討議を行います。
 討議に当たりましては、申合せに従い、野党党首及び総理は、配分時間を厳守し、相互の発言時間を考慮しつつ、簡潔に発言を行うようお願い申し上げます。
 また、委員各位におかれましても、議事の妨げとなるような言動のないよう、御協力をお願いいたします。
 発言の申し出がありますので、順次これを許します。鳩山由紀夫君。

鳩山由紀夫君 小泉総理、きょうはあなたの覚悟を伺いに来ました。私も、私の覚悟を申し上げたい。ぜひ総理には後ろを振り返らないでいただきたい。後ろを振り返れば抵抗勢力ばかりですから、どうぞ真っすぐに御答弁を願いたい。

 そこで、総理、参議院の選挙がありました。小泉改革、我こそはと、自民党の皆さん方が、改革の担い手はおれだと、そんな主張をして選挙を戦われた。その結果どうなりましたか。改革が具体案になってくるに従って、反対、反対、反対の大合唱じゃありませんか。

 私たち民主党は野党です。ただ、野党ですが、皆さんの、いや、小泉総理の改革の姿勢、政策というものが、もし、国民の視点から見て、これは何としてもやらなければならない、そんな話であれば、私たち、与野党を超えて支持するのはやぶさかじゃありません。やぶさかじゃありません。ただ、総理、もしあなたがたじろいだり、後ろを振り返ったり、あるいは自己保身に走ったりされれば、どんなに口先で改革とおっしゃっても支持するわけにはまいりません。その思いで聞かせていただきたい。

 昨今、小泉総理は大分、特殊法人見直し、廃止に大変熱心でございます。どんなことがあってもやり遂げるという決意で、それぞれ特殊法人の改革問題、御意見を聞かせていただきたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、四月の自民党総裁選挙、あるいは過去二回の総裁選挙、三回総裁選挙を戦って三回目にやっと当選したんですが、基本的に主張は変わっていないんです。変わったのは、自民党が気持ちを変えて、この時代は小泉を先頭に立てて自民党を変えなきゃいかぬという意識があったからこそ、同じ主張を展開したにもかかわらず、去る四月の総裁選挙で私を選任してくれたと私は理解しております。

 その後、いよいよ、私の所信を実現に移す段階に入ってまいりました。総論賛成、各論反対というのはいつもの例でありますが、そろそろ各論の反対が出るころだなと私は思っていたんですよ。案の定出てきております。

 しかし、私の気持ちは変わっておりませんし、なぜ、民間にできることは民間に任せる、地方にできることは地方に任せる、特殊法人等の改革、この構造改革なくして成長なしと言っているかは、民間は黙っていても今リストラに懸命です、生き残りに必死の努力をしている。一番おくれているのは行政機構のリストラだ、構造改革だということから、今、今まで最も困難だと言われていた特殊法人等、このままいったら税金負担は切りがないですよと、今の税金負担なくても、将来、税金負担はとめどもなく広がっていくと。

 だから、この税金を使う事業についてもう一度徹底的な見直しが必要ではないかということで、私はこの構造改革、まず行政側の構造改革を進めようということで主な特殊法人改革に、今そろそろ各論に入ってきたころでありますので、進めているわけですが、前進すればするほど、私の初心を実現に移そうと思えば思うほど、今、抵抗が強くなっている。

 しかし、これは前から覚悟してきたことであります。今までだと、この抵抗の強さにひるんでしまうんですが、私は、この今一部で各論反対、小泉をかえなきゃ自民党はなくなると思っている人たちは、逆に、小泉をかえると自民党がなくなるということに気がついていないようだから、じわりじわり、じわりじわりと、だんだんわかるような努力をこれから進めていきたい。

 初心は断固として貫きますから、もう少しです、なるほど小泉は本気でやってきたなと思う姿がだんだん見えてくると思います。

鳩山由紀夫君 その覚悟のほどは伺いました。

 民主党も、特殊法人の民営化、廃止、総理よりも早くからさまざまな議論を重ねています。

 そこで、今は各論に入ってという話がありました。ぜひ各論を聞かせていただきたい。三つ四つで結構ですから、どんな決意を持ってそれぞれ対処されるおつもりか、その決意のほどを伺いたい。(発言する者あり)

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今、端的に短くやってくれという言葉でありますが、一番困難であると思われて、なおかつ国費を使っていた道路公団ですね。道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団、この四つの公団改革、これを私は廃止、民営化できるのではないかということで、この四つの道路関係公団を統合して廃止、民営化の線に持っていく。

 なおかつ、三千億円程度国費、毎年投入されているわけでありますが、来年度からこの国費投入をしない。そして、今まで高速道路の整備計画が決定されておりましたが、決定された事項においても見直しを進める。こういう方針のもとに、私は、一年前、半年前にはとてもこんなことできないであろうという特殊法人の廃止、民営化に、これから断固とした決意で実施に移していきます。

 そして、住宅金融公庫、これも廃止の方向で、民間にできることは民間に任せていく、五年以内に廃止の線で進めていきます。

 そして、民間にできることは民間に委託していこう、そして民間金融機関も、こういう国民のサービスに必死に取り組んでもらいたい、公庫がやらなくても民間でできるんだという姿を示していただけるような努力をしてもらいたいと。どうしても住宅が必要だ、今のままで低所得者に対して一定の、所得が足りないために住宅取得が困難だという場合には、税の面において政策的に考える方法もあるのではないか。公庫がなければ住宅ができないという問題ではない。

 さらに、都市基盤整備公団、これも本来、旧建設省の時代から、果たしてこれがなきゃ住宅や、分譲、賃貸、できないだろうかということを考えておりましたので、総理になった機会に、これも廃止の方向で見直すことができるなと。もともと、住宅・都市整備公団から都市基盤整備公団に名前を変えた、いろいろ批判があったから統合する。しかし、実態は余り変わっていないから、これは本来の、民間にできることは民間に任せる、将来廃止の方向にやっていこうと。考えてみれば、旧建設省は建設会社と不動産みたいな事業をやっていたわけですから、民間にできることは民間の建設会社、民間の不動産会社にできることをどんどん任せていけばいいじゃないかと。これも廃止の線で見直す。

 それと、これで六つですか、七つ目、石油公団。これも、前の堀内通産大臣の時代から、おかしいんじゃないかと。民間に任せることは任せていけばいいし、廃止の線で持っていけばいいんじゃないかというので、これもそうだなと。まず今まででき得ない大物から始めて、そして、これから全特殊法人に徹底した見直しを進めていく。

 今、はっきり七つの特殊法人については具体論を示しました。この方針で、私は、専門家に任せて、いい結論を出していきたいです。

 このはっきりとした各論で今反対が出ているのは御承知のとおりでありますけれども、こういう各論につきましても、私は、党内の最終的には多数の賛意を得ることができると思って、今言っているわけであります。ところが、まあ一部の反対が出ておりますけれども、これはあくまでも一部なんです、一部。私は、大多数は私の主張に最終的には賛成してくれると思っております。

鳩山由紀夫君 よくぞ言っていただいたと、むしろ評価を申し上げたい。これは、私どもがかねてから主張していた特殊法人の民営化、廃止。私は評価をしたい。(発言する者あり)

 今、ああいうやじが飛んでいます。そのやじ自体が、小泉総理の方向に対して、果たしてできるのかなという思い、皆さん方の、自民党の声だと受けとめていきます。

 私たちは、今の小泉総理の七つの公団、公庫、基本的に廃止、民営化、国民に対する公約と感じています。ぜひ、これはもう公約ですから、どんなことがあってもやり抜いていただかなければ困ります。

 そこで、ちょっと一つ聞いていかなきゃならないことができています。それは道路公団の問題でありますが、見直すという話をされました。道路族が、民営化はまあしようがない、しかし、上下うまく分離して、運営だけは民営化しても、この下の道路の部分は確保しておきたい、そういう思惑がのぞいているんです。

 一方で、だから、九千三百四十二キロメートルの高速道路のいわゆる整備計画、ここの部分に関して、税金は投入しないとおっしゃったけれども、まだそれを凍結とは必ずしもおっしゃっていない。ここのところをやはり確認しておかないと、どうも道路族が、形の上で民営化をしておきながら、結局はうまく、多少予算は減っても今までのようにやっていくのではないか。そのおそれがあるから、そこのところだけ確かめておきたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは私は、今までの九千三百キロの計画、これは予定どおり進めろという声があることは承知しております。しかし、それをはっきり見直すと言っているんです。

 今まで考えてみれば、どこの道路が必要かという費用と効果を考えなきゃならない。どの程度の税金だったらこの道路はつくる価値があるのかということの見直しもしなきゃならない。

 考えてみれば、今、知事さんとか地方の市町村長さんとか、あるいはその選出の国会議員がいろいろ、必要だと陳情に見えますよ。考えてみれば、負担しないんですから、地元で。自分たちが負担しないでつくってくれれば、こんないいことないんですよ。しかも、あと、料金を取るにしてもほとんど、利用していない人が、その地域の道路、負担しなきゃならないんでしょう。だから、つくった方がいいかつくらない方がいいかと聞けば、みんなつくってくれと言ってきますよ。それが果たして国民全体の多数の声なのかということを確かめなきゃならないのが国会議員の立場だと思うんです。その点をよく考えていただかなきゃならない。

 今、けしからぬ、けしからぬの大合唱ですよ。もう国会議員だけじゃない、地方の議員も県知事も市長も。しかし、そういう意味において、私は、税金のむだ遣いをなくそう、将来の税金の負担、道路を利用する負担を減らそうということを考えるんだったらば、今までの計画のおよそは決まっているんだから、全部継続するのが当たり前だと言っていますけれども、今は大転換期なんですから。転換期だったら、継続しなくたっていいものがあるだろう、転換したっていいだろうということで、私は見直すと。今までの、この道路は建設しなきゃならないといったところも、専門家、第三者機関を設けて費用対効果を徹底的に見直して、つくる必要があるんだったらば、ではどれだけの税金が必要とするのかということを徹底的に検証してもらって、私は見直すと。

 だから、当然、今までの計画も、できないところもあるでしょう。できる場合は、ではどれだけの税金を負担するのか。これだけの税金を負担するんだったら嫌だと言うんだったらできませんよと、それだけの税金を払うよ言うんだったらば、地方も国も、考えてもいいですよというのを、私は今後よく議論してもらいたいということでございます。

鳩山由紀夫君 いえ、今の答弁では、まだ必ずしも我々は満足はしません。しかし、方向として、一時すべての道路計画を凍結して見直すんだ、その方向に総理が利権と闘うために、まさに利権政治と闘うために努力をしてくださることをこれからも期待したい。

 今のお話を伺いながら、抵抗勢力、すなわち自民党の中にたくさんあります。与党の声と、総理あるいは内閣、その内閣との声が必ずしも一致していない。総理が今大変に困っておられるのも、むしろそこにある。

 実は三年前、私どもが、自分たちが政権を担当するときにはこういう政府をつくるべきだという、そういう案を鹿野道彦委員長のもとでつくらせてもらいました。これをぜひごらんになっていただきたい。

 ここに、ぜひごらんになっていただきたい、「内閣と与党の一体化による政府の運営」、これが基本です。今小泉総理が苦しんでおられるのは、内閣の声と与党の声、日ごろ、ますます日増しに強くなる小泉総理に対する、改革に対する抵抗勢力、その声と一体になっていないところが問題だ。私どもはここにその処方せんを示してありますから、ぜひごらんになって。

 そこには、例えば与党の審査の話、今出ています。与党が事前に内閣がつくってくる法案に対する審査をする、だからうまくいかない、総務会で骨抜きになってしまう。全会一致だったら骨抜きになるのが見えている。だから、総理が幾ら改革だと言っても進まない。ここに原因があります。

 ぜひ新しい政府の実現のために私どもの処方せんを読んでいただいて、例えば、あちらにおられますが、寝ておられるかもしれませんが、幹事長、政調会長、そういう方々も内閣に入っていただいて、政策運営に責任を持っていただく。そうなっていけば、小泉さんがそんなに苦労をしないで済むんです。与党の審査、事前審査を廃止するという声が今出ていますが、総理の決断を伺いたい。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 政党はいろいろ議論が出てくるのは、むしろ民主主義のもとでは普通だと思います。

 民主党の鳩山さんのところも党首として苦労されていると思いますよ。なかなか党首の意向どおりには進まない問題もたくさんあるでしょう。だから、お互いその苦労は理解できると思うんです。

 自由民主党としても、今までの慣例で、党の了承を得ることができないと政府の法案提出もできない、これはもう慣例です。これからもそうでしょう。

 そこで問題なのは、これが本当に政党として全体の声なのかどうかという見きわめが必要だと私は思うんです。今自民党の中でいろいろ議論が起こっていますが、私は、一部の声か多数の声かということを見きわめなきゃならないのが総理の責任だと思います。

 今確かに、私の進める方向に対して反対の声が一部で上がっています。私は、中の皆さんには多数だと思っているけれども、そこが自民党のおもしろいところなんですよ。多数になりませんよ。私、自信があるんです。今までの総務会とか政調会、あるいは部会長、調査会長、力のある方が言うと、それが全体の声だと思ってひるんじゃう、時の総理なり幹部は。今回は、今までその人の声がいかに力があっても、本当の党内多数はそうなのか、私をかえてまで党は私の改革に反対する覚悟があるのかどうかというのをこれから見きわめていかなきゃならない。

 私は、自民党を変えると言って総裁になったんです。私を多数が、自民党、支持したんです。私の主張は四月と変わっていないんです。そういう中で、小泉は自民党を変えると言って総理・総裁になった、このまま自民党を変えられちゃ大変だ、だから小泉をかえようという動きが最近出てきたけれども、それが本当の自民党国会議員の多数なのかというのを、私、今これから見きわめたいんです。私は、多数にはならない。今一部で私の方向に反対する議員がいるけれども、これは自民党の多数にはなり得ないと私は自信があるから、この改革をこういう場ではっきり言っているんです。

鳩山由紀夫君 私はシステム自体に、もう自民党が機能をしなくなってきていると。この議論を続けますと、国民の皆さんが今本当に死ぬ思いで苦しんでいるこの経済、雇用の問題、どうしても触れなければなりませんので、このことを一言だけ触れさせていただきます。

 御承知のとおり、失業率五・三%、三百五十万人の方が、仕事が欲しい、しかし仕事がない。補正予算ができた、しかし十分な雇用政策になっていない。極めて不十分だ。そんな中で新しい雇用に対する構造改革が必要なんだ、私はそう思う。

 その中で、例えば、苦しい中でも労働者の皆さん方が御努力されて、ワークシェアリングという発想が出てきている。こういう問題にしっかりとタックルをしていくことが、私は政府の役割だと思う。できるだけ早い時期に政労使の協議を行って、雇用問題の解決に向けて総理が陣頭指揮をとっていただきたい。そのことを一言だけ伺わせていただきます。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、雇用対策が重要だと思いまして、今回の補正予算も提出し、大方の御理解を得て成立を見ました。雇用問題、今後改革を進める上において大変重要な問題であると認識しております。

 また、小泉内閣を組織して以来、私は、この小泉内閣は与党だけの内閣ではない、自民党を支援しなかった人たちに対しても信頼を得れるような、理解を得れるような政策を展開していきたいということで、いわゆる労働組合側の御意見等できるだけ聞いていくべきだと思っておりました。

 今まで途絶えておりました連合側との意見交換も最近始まってまいりました。ことしはメーデーにも私も参加いたしましたし、あいさつの機会も与えていただきました。そして、先日は、連合の笹森会長、草野事務局長、官邸にお見えになりました。

 そして、政府側、さらには労働組合側、経営者側、これから、ワークシェアリングのお話出ましたけれども、この問題についてもいろいろ協力できることはあるんじゃないかと。時代も変わってきた、労働組合側も、賃金の上昇という要求から、場合によってはワークシェアリングを考えてもいいんじゃないかという声も出てきた。

 ですから、今後、連合側との、あるいは労働組合側との意見も私は拒むものではない。むしろ、積極的に意見を聞かせていただいて、そして、よきものは小泉内閣として取り入れていく。労働者の生活の安定のために今の小泉内閣があるんだという御理解を得るような努力をしていきたいと思っております。

会長(堀之内久男君) 鳩山由紀夫君の持ち時間は終わりましたが、簡潔にお願いいたします。

鳩山由紀夫君 一言だけ、それでは。わかりました。
 総理の御発言、大変重いものだと受け取らせていただきます。私たち民主党は、国民のためになることならば、小泉総理、幾ら与党側が阻害勢力になっても、私どもが改革に対して、国民のためになるなら応援したい、そんな思いも持っていることを最後に申し上げ、私の討論といたします。
 ありがとうございます。

会長(堀之内久男君) これにて鳩山君の発言は終了いたしました。

 次に、志位和夫君。

志位和夫君 私は、失業、雇用問題について質問いたします。
 小泉内閣の半年間で、完全失業率は四・八%から五・三%と史上最悪になりました。私が重大だと思うのは、この事態が日本の労働者に対する世界でも異常な人権侵害と結びついているという問題です。

 ことしの八月三十一日に、国連の社会権規約委員会、これは国際人権規約のうち社会権にかかわる各国の実態を審査している委員会ですけれども、日本政府に対する勧告書を出しました。ここでは、労働者の人権問題として、次の二つの重大な問題提起がされました。

 一つは、長時間労働の問題です。勧告書は、日本政府が「過大な労働時間を容認していることに重大な懸念を表明する。」として、「労働時間を削減するために必要な立法上及び行政上の措置をとることを勧告する。」と述べています。

 もう一つは、中高年の労働者に対する人権侵害の問題です。勧告書は、労働者が「四十五歳以降、十分な補償なしに、給与を削減され、あるいは解雇される恐れがあることに懸念を表明する。」として、日本政府に対し、「四十五歳をこえる労働者が元の給与水準及び雇用の安定を維持することを確保するための措置をとることを勧告する。」と述べています。これは御存じだと思います。

 総理に伺いますが、総理は、この勧告を尊重し、そして実効ある具体的措置をとる、そういう御意思はおありですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日本政府としても、そういう勧告というものを承知し、お互い、経営者側、労働者側、話し合いを通じまして、労働時間の短縮に努力してまいりました。

 そして、今いろいろ、こういう雇用情勢厳しい中において、場合によっては、今までの賃金水準を維持したいという気持ちはわかりますけれども、ある場合においては賃金水準よりも雇用を確保しようという動きが一部でも生まれてきております。

 そういう問題、ワークシェアリング等の問題もありますので、これは、政府が介入すべき問題と、あるいは、経営者側と労働者側の話し合いによって解決していくべきものが本来望ましいわけでありますので、そういう点について政府がどういう面で支援できるかということも含めまして、我々としては、雇用の確保と、そして今言ったような労働時間の短縮の問題、お互いの、経営者側と労働者側の話し合い解決、そういう面を政府としても支援していきたい、そういう勧告が生かされるような努力は今後も継続していく必要があると思っております。

志位和夫君 労働時間の短縮に努力しているということをおっしゃいましたけれども、この間の政府の対策が効果がないわけですよ。千八百時間という目標の年間労働時間も達成できない。労働時間は逆に延びている。ですから、そういう状況を踏まえてこういう厳しい勧告がされたということをしっかり受けとめていただきたい。

 そして、今賃下げの問題が出ました。私、一つ大変大きな具体的な問題について伺いたいんですが、今NTTで十一万人の大リストラ計画が進んでおるのは御存じだと思います。これは、五十歳を超えた社員はNTTを一律、全員ですよ、退職させて別の会社に再就職させて、その際に賃金を二割ないし三割カットするという計画です。これは、国連がまさにやってはならないと勧告書で言っている中高年の労働者に対する十分な補償なしの給与の削減あるいは解雇そのものが、今やられようとしている。

 NTTというのは日本最大の企業です。そして、国が株式の四六%を持っている企業です。そういう会社が国連の勧告を全く無視してそういう人権侵害を進める、これを許していいものか。もしこれ、許すならば、ほかの企業もみんな右へ倣えして、そういう中高年の人減らし競争、進みますよ。

 中高年というのは、子供さんの教育費あるいは住宅ローンあるいは親の介護の費用、新しい費用がかさむ、そういう世代です。そういう世代を対象にして、まさに大きな人減らしあるいは賃下げ、そして六十歳定年制を事実上無視したようなこういうやり方、これは私は、国連が当然これは人権にかかわる問題だという勧告をしてしかるべき問題だと思いました。

 私は、総理に、やはり国連の勧告書を無視するようなそういうリストラ計画は政府としてやめさせる、こういう態度をとるべきだと思いますが、いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは企業によっても違いがあると思います。NTTにおきましても、今、生き残りに必死ですね。

 そして、賃金水準がどうあるべきか。それは、まず会社の存続なしには社員の雇用も確保できない。社員の中には、お互い助け合って、ある程度賃金水準は上がらなくてもワークシェアリングによって多少は我慢しようという労働組合側からの動きも出ている。そして、賃金が上がってリストラもない、解雇もない、それで生き残って発展できるといったら、これは一番いいんです。そういう状況じゃない場合、利益を上げなきゃならない、世界に向かって生き残っていかなきゃならないときにどうやって経営者が社会的責任を果たすかというのは、やはり経営者側と労働者側とのよく話し合いをしてもらいたい。

 日本としては、今までも労働時間の短縮、だんだんだんだん、不十分だ不十分と言われながらも、結構短縮されてまいりました。今でも、有給休暇とってくれとってくれと言っても、働くのが好きな人がいてとってくれない人もいるから、できるだけ有給休暇をとってくださいということもありますし、雇用の面におきましても、私は、できるだけ会社側も経営責任を果たしながらどうやって雇用を確保していくかということも大事ですから、政府があれもこれもやれという、一企業に対して命令するというのもよくありませんし、その辺はよく話し合いのもとに、お互い、経営者の企業責任、そして労働者の雇用確保、そしてどの程度の賃金だったらば生活できるのかという所得保障、こういう総合的に勘案して、私は判断していくべきものではないかと思っております。

会長(堀之内久男君) 志位和夫君は時間が参っておりますので、簡潔にお願いいたします。

志位和夫君 はい。
 総理は会社の存続と言われましたけれども、NTTグループ、これは三月期決算だけでも七千億円以上の黒字ですよ。そういう事態ですよ。

 それから、労使の合意とおっしゃいましたけれども、たとえ労使の合意でも、人権侵害は許されないんです。そして、リストラのためだ、もうこれはしようがないんだと言いますけれども、何を言おうと、国連が改善を求めているような、そういう人権侵害は、私は、やってはならない。人間あっての企業ですよ。人権を守らないような企業、人権を守らないような経済……

会長(堀之内久男君) 志位和夫君、時間が経過いたしておりますので。

志位和夫君 政府には未来はないということを最後に強調して、終わりにいたします。

会長(堀之内久男君) これにて志位和夫君の発言は終了いたしました。
 次に、小沢一郎君。

小沢一郎君 来年度の予算編成も近づきまして、先ほど来の議論にもありましたが、総理のいわゆる就任以来の、改革と言ってこられたことをめぐりまして、いろいろな、私も報道で知るしかありませんが、総理の言動、あるいはそれをめぐる政府・与党のいろいろな動きを聞いておるわけでありますけれども、本当に、私は、小泉改革とは一体何なのか、何だったのかということが問われる場面に来ているんじゃないかと思います。

 先ほど来の鳩山さんとの議論の中でも、総理のお話、聞かせてもらいました。大変勇ましい話だったと思いますけれども、現実に、小泉内閣が成立して、実行に移されたもの、改革と呼べる実行に移されたものはまだない。実行そのものは、まだ二百日ということが通用するかもしれませんけれども、政府・与党で正式に決定されたということもまだ一つもないんじゃないかと思います。

 そういう意味において、やはりここは、小泉内閣といいますか、小泉総理自身の見識、指導性、あるいは国民に対する約束したその責任が、私は問われているんだと思います。

 今、こういう改革を断行するということが一つの焦点になっていますが、私どもは、そのためには本当に政治を、行政を国民の手に取り戻さなきゃいけない。ということは、国民の代表たる政治家の手に取り戻さなきゃいかぬ。そういう主張のもとで、自自連立のときに、政府委員制度の廃止、あるいは内閣の副大臣、政務官等の仕組みを取り入れたわけですけれども、昨今の国会の状況を見ても、以前と同じように、廃止されたはずの政府委員、名前はちょっと変わりましたけれども、官僚の答弁が横行している。というよりは、むしろそれに依存しているということではないかと思うんです。そういう中では、幾ら総理が改革、改革と叫んでも本当の改革は実行できない、私はそういうふうに思っております。

 今日、総理の先ほど来のお話聞いていて、御苦労はわかりますけれども、これだけ国民に約束した以上は、本当にその結果を出さなくてはいけないわけであります。一つの例として、政府委員制度、国会のあり方、政府のあり方についてのせっかくの改革が現実には機能していないということを例に出しましたけれども、現状の政府・与党の状況を踏まえながら、そして、この国会、政府の改革、あり方、旧来のやり方では、どこまで幾ら総理が叫んでも、私は実効のある結果は出ないと思いますけれども、それについての御見解をお聞かせいただきたいと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、国会改革の中で、今、大臣のほかに副大臣、政務官、政府委員、役人の出席は遠慮させて政治家同士で議論した方がいいと言うんですが、これは質問によると思うんですよ。むしろ、質問によっては、政治家よりも役人に答弁してもらった方がわかりやすい質問がたくさんあるんですよ。

 だから、あくまでも政治家じゃなきゃいけないというのは、これはむしろ私は改めた方がいいんじゃないかと。場合によっては、どんどん、より詳しい、詳細、細かいことは、また技術的なことは役人の答弁を求めてもいいし、大臣も役人に答弁してもらっても差し支えない。それを、役人はいけない、政治家じゃなきゃいけないというんだったら、質問次第。

 だから、どういう質問をするかによって、これは政治家、大臣が答えなきゃならない問題か、むしろ役人に答弁してもらった方がいい問題もあるものですから、形式だけにとらわれてすべて政治家じゃなきゃいかぬというよりは、質問も、政治家、大臣が出席しているんだったら、大臣に答えてもらった方がいいという質問を考えることによって、より活性化していくのではないか。

 だから、私は、この国家基本問題調査会も本会議でやったらどうかと言っているんですよ。全大臣出席、全委員会はほとんど今休止。そうしたら、本会議場でやった方がいいじゃないか。そう思いませんか。

 私の棒読み答弁を批判しているけれども、質問が棒読みが多いんだから、大体。そうでしょう。質問しているのはほとんど棒読み質問ですよ。棒読み質問はよくて棒読み答弁はいかぬというのは、どうですか。私、こんな国家基本問題調査会だったら、せっかく全議員が出席できる本会議場でこれをやったってちっともおかしくない。

 ですから、私は、役人の答弁必要ないというのは、質問次第。質問が役人の答弁を必要としない質問をすれば大臣が質問する。私は、もっと形式じゃなくて実体を変えることによって活性化してくる面がたくさんあると思っております。

会長(堀之内久男君) 小沢一郎君、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。

小沢一郎君 はい。
 国会の質疑は、今お話しのとおり、質問する者も答弁する者も両方に見識を問われるものだと思っております。ただ、この政府委員制度の仕組みをつくっておりますと、総理御存じないかもしれませんが、役人は役人で説明員として話を聞くという仕組みはできているのです。あとは本当に政治家同士の見識で議論し合おう、こういう仕組みになっておりますから、今御提案の、本会議場でやろうと、大いに結構です。総理大臣なんですから、どうぞ、口だけじゃなく、実行してください。
 終わります。

会長(堀之内久男君) これにて小沢君の発言は終了いたしました。
 次に、土井たか子君。

土井たか子君 八月の六日の広島、八月の九日の長崎、いずれも、ことしは原爆で犠牲になられた方々の慰霊式典に、総理御出席でした。私は、雨の降る長崎で総理のごあいさつを承ったんですが、その場所では、非常にこれ、何だか総理御自身が思いを込めたごあいさつだったと思うんですよ。

 国際社会の先頭に立って、核軍縮と核不拡散、そして核兵器廃絶へ向けてあらゆる努力をこれからしていくという決意のほどを述べられたんですが、そのお気持ちはずっと変わりませんか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 変わりません。

土井たか子君 九月の十一日、あのアメリカの中枢テロに対して、九月の二十日の日にブッシュ大統領の議会演説がございましたが、その議会演説を日本でも、報道で知る限り、戦争に必要なあらゆる兵器を使うということも言われているんですね。ごくごく最近にはラムズフェルド国防長官がやはり、核使用の可能性を完全排除しないということも公式見解として報道の中では示されているんですね。

 当然、そうなってきますと、これは核兵器の使用というのは検討されることもあるというふうに考えなきゃならないんですが、それに同調を我が国がするということは、国是としての非核政策の道義性と説得力というのを失墜させることになりはしませんか。

 アメリカ政府に対して、日本の基本姿勢としては核兵器使用に対しては反対だということの意思をしっかり伝えるべきだと私は思うんです。そして、そのことをしっかり伝えたその上で、やはりそれに対しての考え方というのをしっかり得るぐらいのそういう努力はすべきだと思いますが、このことに対して、総理は何らかの形でアメリカの大統領との間でお話がございましたでしょうか。どうですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) 我々としては、CTBT、包括的核実験禁止条約等、国連等で決議をするように一生懸命努力してきたつもりでございます。現在も、核兵器を持っている国がいろいろな理由でそういう軍備に取り組んでおられるのは承知しておりますが、我々としては、今までの日本の国是であります核兵器廃絶に向けて努力している。

 そういう中で、アメリカとの会談においては、直接、それぞれどういう、今テロとの闘いに核兵器を使うか使わないか、それは使わないであろうということをはっきりと言うか言わないかというのはアメリカ自身の判断でありますし、日本としては、世界としては、そういう核兵器を使わないであろうと言うんですが、戦争当事国にとってみれば、それは選択の手段として残しておくということが必ずしも使うとは限らないわけでありますので、私は、それはその国の判断であると、日本としてそれをどう言うべきかという問題とはまた別の問題であると思っております。

土井たか子君 全く、聞いていて、この問題に対してもこういうお答えですもんね、まことに。

 日本は全世界で唯一の被爆国だという立場からすると、非核三原則は言うまでもありません。核に対して、廃絶することに対しての執念を燃やしているんですね。そのための道のりを、しっかり今度の国連の総会でも決議として出している立場じゃありませんか。だから、したがってそういうことからすれば、これは決議として出しているのは、実は昨年に比べるとトーンダウンしましたよ。CTBT、つまり包括的核実験禁止条約の中身についても、これはトーンダウンしています。

 それと同時に、もう一つ、はっきり申し上げさせていただきたいのは、先日のこの米国における同時多発テロへの対応に関する我が国の措置について、七項目ありますが、この中の五項目目に、パキスタンとインドに対して緊急の経済支援を行うとありますが……

会長(堀之内久男君) 持ち時間を過ぎておりますので、総理の答弁の時間もありますから、簡潔にお願いいたします。

土井たか子君 この二つの国に対しては、経済制裁がなぜ行われたか。この核兵器に対しての、実験をされたということが、三年前のその事実、その事件からこうなっているわけでしょう。

 それに対しての総理の、もう時間だとおっしゃいますから申し上げておきますけれども、本会議での私に対する答弁と、そして政府としてその後とられた措置とは違いますよ。しっかりしていただきたい。これは、総理として、なぜそれじゃあのときに、別次元の問題だからそれはそれ、これはこれだという答えをされたんですか。そして、核兵器に対しては、核兵器廃絶に向けて全勢力を注いで……

会長(堀之内久男君) 時間でありますので、簡潔にお願いします。

土井たか子君 核のない世界のために頑張りますと言ったじゃないですか、答弁で。これは食言ですか。これははっきりしておいていただかなければならないと思います。

内閣総理大臣(小泉純一郎君) パキスタンは核実験しておりました。経済措置も日本はとっておりました。しかし、こういうアフガンの情勢、テロリストの問題が起こってまいりました。それは、経済措置は経済措置として、経済支援しなきゃならない事態に立ち至ったというのは御承知のとおりだと思います。パキスタンの核兵器がテロリスト集団に渡らないようにする努力も必要だと思います。

 総合的に勘案して、私は、パキスタンに援助、支援が必要だということで支援をし、経済措置を解除したわけでありまして、パキスタンも核実験、既に多くの国の抗議にこたえて、日本の抗議にもこたえて、しておりません。守っております。

土井たか子君 一言申し上げておきます。
 今回の国連総会で……

会長(堀之内久男君) 土井たか子君の持ち時間は終わっております。

土井たか子君 これ、一言聞いてくださいよ、大事なことだから。
 今回の国連総会で、日本の決議に対しての提案に、アメリカと、それからインドが反対していますよ。パキスタンは棄権です。賛成をしておりません。このこともはっきりさせておかなければならないと思います。
 終わります。ありがとうございました。

会長(堀之内久男君) これにて土井君の発言は終了いたしました。
 以上をもちまして、本日の合同審査会は終了いたしました。
 次回は、衆議院、参議院、それぞれの公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。


2001/11/21

戻る党首討論目次