2002/03/11

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参・予算委員会 「鈴木宗男疑惑・北方領土問題について」


(民主党ニュース)
福山議員、鈴木氏・外務省の黒い癒着に切り込む

11日の参議院予算委員会で、民主党・新緑風会の福山哲郎議員は、午前中に行われた鈴木宗男議員に対する衆議院予算委員会の証人喚問を踏まえ、外務省との癒着による不正疑惑を追及した。

福山議員は冒頭、北方四島へのプレハブ診療所建設問題に関連し、鈴木宗男衆院沖縄・北方特別委員長(当時)が西田外務省欧亜局参事官に対して行った発言を記録した外務省の文書を取り上げた。それによると、鈴木氏は「北方領土問題というのは、国の面子から領土返還を主張しているにすぎず、実際には島が返還されても国としては何の利益にもならない。そうであれば、戦後50年もたって返還されないという事実を踏まえ、わが国は領土返還要求を打ち切って、四島との経済交流を進めていくべきと考える」などと発言している。

福山議員は国の政策と異なる発言ではないかと指摘した上で、「こういう考えをもった議員であることをわかった上で、北方四島人道支援事業を継続してきたのか」と外務省の姿勢をきびしく批判した。

実際、7日の同委員会質疑で、北方四島支援事業の実施主体である「支援委員会」の事務局長は、外務省内で鈴木議員に近いとされる前駐コンゴ大使であることが判明したが、これに加えて福山議員は、現在の外務省ロシア支援室の主席事務官についても追及。これも鈴木議員との密接な関係が指摘されている佐藤優前主席分析官がいた国際情報局分析第一課の人物であることが明らかになり、鈴木議員の外務省人事への介入が鮮明になった。

次に福山議員は、2000年4月3日〜5日にテルアビブで開催されたロシア外交政策に関する国際会議の参加費用を、東郷欧亜局長の指示で支援委員会が捻出したと報道された問題について質問。「支援委員会が支出した」とする斎藤欧州局長に対し、ロシア側代表が空席のまま97年から5年近く委員会の会合も開かれていない状況の中で、どのように参加費用捻出の決定が下されたのかを追及した。

決裁書やメモの提出を求めた福山議員に対して、川口外相は「今までとまったく別の監査法人をつかって監査を行い、適切でないものはすべて挙げ、改めていく」とし、「今までの姿は決してあるべき姿ではない」などと答弁した。しかし、福山議員は「改めていく、改革をしていく、ちゃんと調査する、というのは当たり前。不適切だと(外相が)述べているにもかかわらず、起こった問題に対して誰も責任をとっていない。改革しますだけでは許されない」として、厳しく批判した。

さらに、いわゆるムネオハウスやディーゼル発電施設をつくった場所は国有地か私有地か、と追及。「四島の固有の主権を主張しているわが国が、なぜ無断で建物を建てることができるのか」、「百歩譲って国有地であるとしても、国有財産法14条1項の『財務大臣との協議』はなされたのか」などの問題点を質した。

追及に対して斎藤欧州局長は「戦後50年以上にわたり、わが国固有の領土であるがロシアが不法に占拠している。ロシア側の法律を前提にしたような支援をするわけにはいかない。であるがゆえに、支援委員会という国際機関を設立し、支援をしてきた」といった答弁を繰り返し、土地の帰属についてあくまで明確な答弁を回避した。

福山議員は「地権者に国として何の手続きもしないで建築してしまうと、ロシアの主権を認めてしまうことになりかねない」と指摘。そうであるからこそ、河野外相(当時)は支援事業に対して当初は慎重に対処していたことを明示した上で、国益を損なう事態を招きかねない鈴木議員の暴挙を改めて指摘した。


○福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山でございます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、午前中、衆議院におきまして鈴木宗男議員の証人喚問が行われました。今日、たくさんの官房長官、大臣にお越しをいただいておりますので、大変恐縮ではございますが、お一人お一人、証人喚問の御感想をお述べいただきたいと思います。

○委員長(真鍋賢二君) 大臣を指名してください。

○福山哲郎君 はい。じゃ、官房長官からよろしくお願いいたします。

○国務大臣(福田康夫君) ずっとテレビ画面を凝視していたわけじゃない、断片的でございますけれども、質問される方も、それから証人として出てこられた、答えられた鈴木議員も、真摯にやり取りをされたと、そのように拝見いたしました。

○福山哲郎君 じゃ、財務大臣、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、九時から九時二十分まで、浅野さんの質問のときだけ聞いておったんですが、それ以後はもう陳情者が、ずっと会っていまして、もう十分か十五分刻みで陳情してましたんで、テレビを見ている時間はなかったんです。時々ちょっとつけましたら、皆、質問が厳しくやっておられるなと思っておりまして、その答弁についてももう断片的しか聞けなかったものですから、今ここで軽率に感想を申し上げるのは失礼だと思っております。

○福山哲郎君 じゃ扇大臣、恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(扇千景君) 最近、特に政と官の問題が大変話題になっておりますし、まして国土交通省、公共工事というものがたくさんございますので、私は、大変大事な場面であるというふうに拝聴をいたしました。

 全部が全部ではございませんけれども、私は、少なくとも公共工事、一昨年、公共工事の入札と契約に関する適正化法、こういうことのないために法案を通していただいたと思っておりますので、より徹底を図っていきたい。また、政と官の姿勢というものもお互いに正さなきゃいけないと思って拝聴しておりました。

○福山哲郎君 森山法務大臣、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(森山眞弓君) 私も、ちょうどその時間来客が相次ぎまして、じっと見ているということができませんでしたので、今まとめて御感想を申し上げるということはちょっとできませんのですが、時々ちらっと、一分、二分のぞいてみたというだけでございまして、そのそれぞれの場面で質問者もまた鈴木議員も真剣に答えていらっしゃるという雰囲気だけは感じましたが、内容についてはちょっと、よく申し上げるだけのことができません。どうも申し訳ございません。

○福山哲郎君 尾身大臣、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(尾身幸次君) 私も全部見たわけではありませんが、誠に残念な思いで一部テレビを拝見させていただきました。今後とも私ども政治家として襟を正していかなければならないという思いを持ちました。

○委員長(真鍋賢二君) みんなですか。

○福山哲郎君 はい。
 片山総務大臣、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(片山虎之助君) 私も終始見ていたわけではありませんけれども、鈴木議員は鈴木議員なりに懸命に答えておったという感じを持ちました。

○福山哲郎君 村井国家公安委員長、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(村井仁君) 私も全部聞いていたわけではございませんけれども、政治家がその政治活動を通じまして証人喚問を受けるという事態になりましたこと、大変重く受け止めて拝見をしておりました。

○福山哲郎君 農水大臣、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(武部勤君) 午前中は会議がありまして全く見ておりませんが、元居住者の皆さん方がどういう思いをしているか。また、国民の皆さん方に御理解いただきたいと思うことは、北方領土返還運動の原点であり拠点である根室市や根室地域の皆さん方の長年の思いというものに理解を深めていただきたいということと同時に、政、官の在り方ということには毅然と律していかなきゃならないということを本件を通じて痛感しております。

○福山哲郎君 中谷防衛庁長官、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(中谷元君) 証人の方は記憶に基づいて答えておられたと思いますが、反省の弁もありました。それを聞きまして、やはり行政の側も政治の側も国民の信頼を得るべくしっかりとした行動を日ごろから取っていかなければならないというふうに私は聞かせていただきました。

○福山哲郎君 竹中大臣、よろしくお願いいたします。

○国務大臣(竹中平蔵君) 私もごく部分的にしか拝見することができませんでしたが、疑問がある問題について責任ある立場の方々が双方真摯に向き合ってオープンに議論されたと、話し合われたということに意義があったと思います。

○福山哲郎君 最後、外務大臣よろしくお願いいたします。

○国務大臣(川口順子君) 国会での御議論は御議論として、外務省として改革をきちんと全力でやりまして、国民の皆様の信頼にこたえるような外務省にならなければいけないというふうに思いました。

 それから、あわせて、やはり政と官の関係をどう考えるかということは開かれた外務省のための十の改革の中の一番目の項目に挙げさせていただきましたけれども、この点について、国会あるいは政党の中、あるいは国会の外できちんと御議論をいただいて、もちろん外務省としても変える会の中で議論をして、また外務省自身としても考えていきたいと思いますが、非常に重要なテーマであるというふうに思った次第です。

○福山哲郎君 ありがとうございます。
 竹中大臣、実は経済のことをやろうと思ったんですが、もう質問する時間ないと思いますので、お引き取りいただいて結構です。

 済みません。では、証人喚問について、少しその事実関係についてお伺いをしていきたいというふうに思います。

 まず、鈴木宗男議員が平成七年の六月の十三日、外務省の西田参事官に対して、診療所建設問題についてこのような主張をしたということが今日証人喚問で明らかになりました。鈴木宗男議員の言葉です。

 北方領土問題というのは、国のメンツから領土返還を主張しているにすぎず、実際には島が返還されても国として何の利益にもならない。そうであれば、我が国は領土返還要求を打ち切って四島との経済交流を進めていくべきだと考えると。領土返還運動に従事している人たちは大変な被害に遭っているので、自分と同じような意見を持った人が、者がいるというようなことを外務省の西田参事官に言って、メモが残っていますが、このメモの存在は、外務省さん、事実でいらっしゃいますか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) お答えいたします。
 事実でございます。

○福山哲郎君 これは元々我が国の北方領土の政策とは異なると思うのですが、いかがでございますでしょうか。大臣、よろしいですか。

○国務大臣(川口順子君) 外務省といたしまして、基本的にロシア外交、北方領土を含めたロシア外交というのは、の基本的な考え方というのは、平和条約の締結、経済分野における協力、それから国際舞台における協力という三つの柱を同時に進めていくということでございます。

 それで、お尋ねの件は、今のその西田参事官の問題につきまして外務省の方針と違うかどうかということであったかというふうに思いますけれども、外務省の西田参事官の当時の答えた趣旨というのは、この領土返還問題について否定的に対応しているのではなくて、あくまで必要な検討を鋭意進めているということであるということを西田参事官としては鈴木議員にお伝えをしたというふうに理解しています。

○福山哲郎君 西田参事官がそのようにお伝えをされたことは私も理解をしています。

 この鈴木宗男議員の発言は国の政策とは異なる政策ではないですかとお伺いをしたんですが。

○国務大臣(川口順子君) 外務省のこの北方領土の返還問題についての方針といいますのは、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということでございまして、これは一貫とした方針でございます。したがいまして、精力的に交渉を続けていきたいというふうに考えております。

 鈴木議員がおっしゃったということがこの趣旨に照らしてどういうことであるかということは、ちょっと私その場にいませんでしたのでよく分かりませんけれども、鈴木議員も、先ほどのお話ですと、そういった趣旨で自分は言ったんだというふうにお答えになっていらしたというのが私の記憶でございます。

○福山哲郎君 ということは、大臣の今の答弁は苦しいのはよく分かるんですが、こういった発言をしている方だという、議員だということを理解をした上で、これから先、実はこの支援事業はどんどん拡大していくわけですが、このような発言をされている方だと認識をした上で外務省は支援事業を継続したわけですね。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 領土問題に関しまして鈴木議員がどのようなお考えを持っておられるかということについて私が御説明する立場にございませんけれども、日本政府の立場といいますのは、先ほど外務大臣から御答弁申し上げましたように、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという一貫した方針を取ってきているわけでございます。

○福山哲郎君 今日は余りしつこくやる気はないんですが、このような発言をしてメモが残っている、こういう議員の考えを、持ち主だということを分かった上で支援事業を継続してきたのですねとお伺いしていますが。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 鈴木議員が四島の問題についてどういう御意見をお持ちかということに対して私の方から御説明することはできないということを先ほど申し上げさせていただいた次第でございます。

○福山哲郎君 これ、ペーパー、外務省のペーパーで先ほど事実だと局長自身がおっしゃられたんですが。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 当時の西田欧亜局参事官と鈴木議員との間で平成七年六月十三日にこういうやり取りがあったということが当時のメモとして残っているということでございまして、そこにそういうことが当時の関係者のメモとして残っていると、こういうことでございます。

○福山哲郎君 答えになっていないわけですが、これを聞かれた元島民の方や……(発言する者あり)

○委員長(真鍋賢二君) 御静粛に願います。

○福山哲郎君 これを聞かれた北方領土の返還運動をやられてきた方がどんな思いかということを少し感じていただきたいと思います。

 時間がないので次に行きます。

 次に、例のタンザニアのキマンドルの中学校建設の寄附について、七百八十万円、外務省の職員に手渡しをして、そして今日も現金だというふうに鈴木議員はおっしゃっておられましたが、キャッシュをして、外務省の方に渡して、その外務省の方が送金をしたということになっておりますが、鈴木宗男議員に外務省の職員の方がお会いになったのはいつで、だれがお会いになられて、どういう形でお金を受け取られたか、お答えください。

○政府参考人(小田野展丈君) お答え申し上げます。
 平成十二年の十二月一日、当時の中近東アフリカ局の幹部二名が鈴木宗男議員を訪ねました。自民党の本部の総務局長室でございます。そこで、キマンドル中学校の口座や工事計画などについて説明するため参りまして、説明をしました際に、同議員より、外務省よりの振り込みを依頼され、現金八百万円を手渡されたと承知しております。

○福山哲郎君 何時ぐらいでしょうか。

○政府参考人(小田野展丈君) お答えいたします。
 当日の十二時過ぎであったというふうに記憶していると承知しております。

○福山哲郎君 お昼ですね、それは。

○政府参考人(小田野展丈君) 本人たちの記憶によりますと、戻ってきた時間から逆算するとほぼ十二時過ぎぐらいであっただろうというふうに記憶しております。

○福山哲郎君 お昼ですね。

○政府参考人(小田野展丈君) はい、お昼の十二時でございます。

○福山哲郎君 その御本人の、幹部二人というお名前は明らかにはされていただけませんか。

○政府参考人(小田野展丈君) お答えいたします。
 当時の野川中近東アフリカ局審議官と戸谷アフリカ第二課長でございます。

○福山哲郎君 口座振り込みを行った方はどなたですか。

○政府参考人(小田野展丈君) お答えいたします。
 口座振り込みを行いましたのは、当時のアフリカ第二課の岡島課長補佐でございます。

○福山哲郎君 では、もう一度確認させていただきます。
 平成十二年の十二月の一日昼十二時過ぎ、野川中近東アフリカ局審議官と戸谷アフリカ第二課長が自民党の総務、本部総務局長室で八百万を現金で受け取って、振り込みを行ったのは岡島アフリカ第二課長補佐でよろしいですね。

○政府参考人(小田野展丈君) お答え申し上げます。
 手渡されましたのは、野川中近東アフリカ局審議官、当時でございますが、それと戸谷アフリカ第二課長でございます。振り込みましたのは、岡島課長補佐でございます。十二月、平成十二年十二月一日の正午過ぎであったというのも、そのように承知しております。

○福山哲郎君 場所は。

○政府参考人(小田野展丈君) 場所は、先ほど御説明申し上げましたとおり、自民党本部の総務局長室であるというふうに承知しております。

○福山哲郎君 鈴木宗男議員御本人から手渡しされたんですね。

○政府参考人(小田野展丈君) お答え申し上げます。
 本人から直接手渡されたというふうに承知しております。

○福山哲郎君 分かりました。
 実はこの日は十二月の一日で、例の加藤紘一代議士の加藤政局のあったときでございます。それで、この日十一時四十五分ぐらいから、当時野中幹事長と鈴木宗男総務局長は院内幹事長室で会談をされておられますし、正午からはTBRビルで橋本派の幹部会が開かれているというふうに承っていますし、午後零時四十五分から自民党の代議士会で野中幹事長が最後のごあいさつを、幹事長の辞任のごあいさつをされているというふうに承っております。

 事の真偽は明らかになると思いますが、今の外務省の答弁とは、私も、これは御本人の、証人の今日の答弁もありますので、どちらが正しいかとか本当の真実かは別にいたしまして、一応問題提起をして、次の質問に移りたいというふうに思います。
 次行きます。

 支援委員会の事務局職員やロシア支援室の職員に関して、今日、鈴木議員は証人喚問の場で、私は、支援委員会というのは外務省の団体、関係部局のように感じていたというふうにおっしゃっておられました。

 前回の審議でも明らかにさせていただきましたように、現在の支援委員会の事務局長は前コンゴ大使でございますが、今のロシア支援室の首席事務官はどなたでしょうか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 現時点でのロシア支援室の首席事務官は中野潤也と申します。

○福山哲郎君 前職をお答えください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 中野首席事務官の前職は国際情報局分析第一課に所属しておりました。

○福山哲郎君 これは元々の当該の佐藤前分析官がいらっしゃったところで間違いありませんね。

○政府参考人(齋藤泰雄君) そのとおりでございます。

○福山哲郎君 支援事業のディーゼル発電が三か所に建ちましたが、そのときのコンサルタント契約をされたところはどちらの会社ですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) パシフィックコンサルタンツインターナショナルという会社でございます。
○福山哲郎君 現在の支援委員会事務局の職員がいらっしゃると思いますが、その中にパシフィックコンサルタンツインターナショナルの前職を持たれている方が事務局の中にいらっしゃいますね。間違いありませんか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 以前にパシフィックコンサルタンツインターナショナルに勤務しておりました職員が一名いることは御指摘のとおりでございます。

○福山哲郎君 以前に。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 以前パシフィックコンサルタンツインターナショナルに勤務していた職員が事務局に一名いることは御指摘のとおりでございます。

○福山哲郎君 以前にということは、今はいらっしゃらないんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 今の事務局に以前パシフィックコンサルタンツインターナショナルに勤務していた職員がいるというふうに申し上げました。
 失礼いたしました。

○福山哲郎君 ということは、パシフィックコンサルタンツインターナショナルの職員が事務局にいるということですね。元、元そこで働いていた方が。

○政府参考人(齋藤泰雄君) この職員は、平成元年三月からパシフィックコンサルタンツインターナショナルに勤務いたしまして、平成六年六月に同社を退職した後、所定の採用手続を経まして、平成七年九月一日付けで支援委員会事務局職員として採用され、現在に至っているというふうに承知しております。

○福山哲郎君 ロシア支援室に出向している人は支援委員会事務局から何人いらっしゃいますか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 四人いると伺っております。

○福山哲郎君 支援委員会の事務局や、支援委員会の事務局の職員はどのように採用が決まるんでしょうか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 事務局長が面接の上採用するというふうに承知しております。

○福山哲郎君 道義的にはやっぱり大問題だと私は思っているわけです。
 支援委員会の事務局長がコンゴの前大使で、支援室の事務を取り仕切る首席事務官が分析一課が前職で、そこには佐藤さんがいたところです。更に言えば、ディーゼル発電の入札に、じゃない、コンサルタントの契約をしたところの職員がこの支援委員会の事務局にいるわけです。これはやっぱり道義的に大問題で、その事務局が実は入札を取り仕切るわけです。私は、先ほど鈴木宗男議員が支援委員会というのはあくまでも外務省の関連団体のような感じだというふうに思っていたという証言をされましたけれども、そこに関してはより真実が明らかにこれからなっていくと思いますが、このような事務局体制だということをしっかりと申し上げまして、今後の国会の審議を深めていきたいというふうに思います。

 そして、次に行きたいというふうに思います。

 今日のロシアの、証人喚問で出ましたロシアのスミルノフ参事官の査証の発行について、外務省にお答えを願います。
 鈴木議員よりの関与がありましたか。あったことがありましたか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) この点につきましては、当時の関係者から早速調査、聴取いたしましたが、本件に関する鈴木議員の関与は確認されておりません。また、本件に関する鈴木議員の関与を確認するメモはまだ見付かっておりません。

○福山哲郎君 まだ見付かっていないというのが大変正直なお言葉だというふうに思います。

 更に申し上げます。
 読売新聞に載っています、鈴木議員がロシアの外交官であったスミルノフ参事官の監視を警察庁に中止をしろと要求したということがあって、警察庁では関係者が鈴木議員から圧力を受けたというふうに述べているという記事が出ておりますが、この鈴木議員の警察庁に関する関与の電話は事実でございますか。警察庁、お答えください。

○国務大臣(村井仁君) 私から申し上げさせていただきますが、警察は、治安維持の責務を全うするために法に基づきまして必要な情報収集を行っているわけでございますが、その具体的な内容にかかわる事項につきましては、今後の警察活動に支障を来すおそれがございますので、基本的に答弁を差し控えさせていただきます。

 ただいま委員御指摘のその報道の事実関係等でございますが、警察の情報活動に関し政治家等から働き掛けがあったか否かということにつきましても、私どもといいますか、警察がやっております情報活動の中身に触れることにもなりますので、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。

 ただ、明確に申し上げておきたいと存じますのは、国家公安委員会といたしまして警察庁を管理しているわけでございますが、その管理を適正に行い指導してまいる、そういう体制はしっかりやっているつもりでございまして、いかなる外部の音がありましょうとも、それは、警察の活動というのは適正に行われるように私どもとしても努めているところでございます。

○福山哲郎君 この件に関しても今後資料等が出てくると思いますので、次回に譲りたいと思います。

 さらには、申し上げます。イスラエルで二〇〇〇年に行われた、四月の三日から五日までテルアビブで開かれた国際学会の参加費用はどこが支出をいたしましたか。外務省、お答えください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) イスラエルにおきまして開かれましたロシア問題に関する国際会議に出席した関係者、外務省関係者の出張旅費がどこから出たかというお尋ねと思いますけれども、支援委員会から支出したというふうに承知しております。

○福山哲郎君 なぜ支援委員会がイスラエルで行われた国際学会への参加費用を捻出できたのですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 平成十二年四月にイスラエル・テルアビブで開催されましたこの国際会議は、ロシア情勢をめぐり世界各国の有識者が意見交換を行ったものでございますが、そこでの議論が、支援委員会が実施しております対ロシア技術支援の円滑、効果的な実施に有益との当時の判断から、参加に要する旅費が支援委員会から支出されたものと承知しております。

○福山哲郎君 これ、前回の委員会でやったことの繰り返しになるので余り長々とやりたくないんですが、最低限、この間、局長は、クリルの地区長からの要請があるとおっしゃったんですね。百歩譲ってクリルの地区長からの要請があって支援委員会が事業をしたとして、私は、締約国であるロシアも参加していない、委員会も開かれていないのに何で事業ができるんだと申し上げたはずです。

 これ、国際学会への参加の費用が、クリル地区から要請が来るんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) そのような状態ではなかったというふうに推測いたします。

○福山哲郎君 それでは、なぜ支援委員会から支出ができたんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) これが本来の趣旨に基づく旅費の支出であったというふうには必ずしも思われませんけれども、前回御説明しましたとおり、協定を法的に解釈いたしますと要請は必要不可欠な要件ではないということで、日本政府が支援の実施方法等について決定することができるというのがこの協定の定めるところでございます。

○福山哲郎君 じゃ、何でもありなんですね。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 本来あるべき姿といたしましては、締約国側から要請がございまして、その要請を支援委員会が検討いたしまして、その要請の検討を考慮に……(発言する者あり)

 本来あるべき姿についてちょっと御説明いたしておるわけでございますが、締約国側からの要請がございまして、その要請を支援委員会で検討いたしまして、その支援委員会による検討を考慮に入れて日本政府が決定すると、こういうのが本来の姿でございますが、残念ながら、九七年以降ロシア側の委員会代表が不在になっているという状況の中で、日本政府として、やむを得ず実施について決定するという状態が続いてきていると、こういうことでございます。

○福山哲郎君 日本政府のどこが決めたんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) ロシア支援室でございます。

○福山哲郎君 ロシア支援室はそうやって勝手に決められるんですか。

○委員長(真鍋賢二君) 齋藤欧州局長。──指名した、手を、挙手したんですから。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 所要の手続を踏まえて決定を実施していると、こういうことでございます。

○福山哲郎君 当時の欧亜局長、東郷局長がこのことに関与していたという話もございます。さらには、佐藤分析官が関与していたという事実、情報もございますが、その当時の決裁書並びにこの支出についてのメモ等をすべてこの委員会に提出を願いたいんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(川口順子君) 資料につきましては、できるだけ調査をして提出申し上げたいと思います。

 それから、前回、昨日ですか一昨日ですか申し上げましたように、この今、齋藤局長がいろいろお答えをしているのは、法的に言えばということですけれども、局長も言いましたように、これが本当に望ましい姿でなされていたかというと、決してそれはそうではないというのは、皆さん、国民の方も含めてお感じていらっしゃるとおりだと思います。

 ということで、私は、先般発表させていただきましたけれども、今までの監査法人と全く異なった監査法人に、この業務の仕方も含めて調査を、監査をしていただこうと思っております。その中で、すべて、適切でなかった業務のやり方については全部挙げてもらって、それは全部直したいと考えております。

 それからもう一つ、その専門家の会議を開きまして、そのあるべき姿ということをこの専門家の方に議論をしていただきたいと思っております。

 ということで、今までの姿は決して本来あるべき姿ではなかったと思っておりますので、その点についてはこれから改めていきたいと思っております。

○福山哲郎君 改めていただく、改革をしていただく、ちゃんと調査をしていただく、これはもう当たり前のことでございます。

 だって、だれもこれ、外務省、責任取ってないじゃないですか。これだけだれが決めたか分からない状況で、お金を使って、税金を使って、今だって不適切だと述べているのに、みんな異動した、いない。責任だれも取ってないじゃないですか。そうしたら、新たにこれで改革をしますからと言って、これで許されるものなんですか、大臣。(発言する者多し)

○委員長(真鍋賢二君) 御静粛に願います。

○国務大臣(川口順子君) 前回提出をさせていただいた外務省の調査を踏まえまして、それから今後明らかになる新たな監査法人による調査も踏まえまして、必要な措置、人事面も含めまして、これは取っていきたいと思っております。

○福山哲郎君 実は、この支援委員会のやられた事業がいかにいい加減だったか、いかに入札が報告書にあるように鈴木宗男議員の関与の下でねじ曲げられてきたかということは、もう幾つ挙げても、実はたくさんあり過ぎるぐらいあるんです。入札の公告を出すたんびに、外務省の職員は報告書にあるように、鈴木宗男議員のところに行ってお伺いを立てているわけです、これでいいのですか、これでいいのですかと言って。それでいいと言ったら、それが入札の仕組みになるわけです。入札一個一個に関与したという話ではなくて、私は、支援事業のすべてにわたって、ある意味で言うと鈴木宗男議員の目が光っているという状況の中で外務省の職員は仕事をしていたように私は思っています。報告書にもそう書いてあるわけです、おもんぱかってと。鈴木宗男議員の意向をおもんぱかって事業をしたと書いてあるわけです。これは本当に不届きな話なんですが、その中でちょっと根本的なお話をしたいと思います。

 国後島のいわゆるムネオハウス、さらに言えば択捉、色丹、国後に造ったディーゼル発電設備、これはどこに建てられましたか。住所をお答えください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 住所については承知しておりません。

○福山哲郎君 少し納得できないので、もう一度御答弁、お願いできますか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) この場所につきましては、先方のいわゆる行政府から幾つか提示がございました中から、インフラ等の整備、あるいは地盤の、あるいは交通の便等を踏まえまして適当な場所を選定したというふうに聞いておりますけれども、その具体的な場所がどこであるかということにつきましては、住所といった形で特定できる情報を私は持ち合わせておりません。(発言する者あり)

○委員長(真鍋賢二君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
 欧州局長、再度答弁を願います。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 友好の家につきましては国後島の古釜布、それからディーゼル発電施設につきましては国後島は古釜布地区、色丹島は穴澗地区、択捉は紗那地区でございます。

○福山哲郎君 済みません、住所ってそんなに大ざっぱなんでしょうか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 正に、先ほど住所というお尋ねでございましたので、私、情報を持ち合わせておりませんとお答えいたしましたのは、もっと詳しい番地とか、そういうものの付いた住所だというお尋ねだと思ったものですからそのようにお答えさせていただいたんですけれども、これは、戦後五十年以上にわたりましてロシアが不法に占拠している我が国固有の領土でございますけれども、ロシア側の法律といいますか、それを前提にしたような支援を我々としてはするわけにはいかない、そういうものを認めるわけにはいかないということでございまして、であるがゆえに支援委員会という国際機関を設立いたしまして支援をしてきているということでございます。

○福山哲郎君 その土地は国有地ですか、私有地ですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほども申し上げましたとおり、先方が提示した中から諸般の条件を勘案して選択したものでございますけれども、その際、これが我が国の国有地か私有地かについては確認してございません。

 北方四島におけます土地の所有権が消滅していないのは当然でございますけれども、戦後半世紀以上にわたりましてロシアの不法占拠が続いているため、不幸にもその所有権を行使できない状態が続いているわけでございます。

 いずれにいたしましても、土地の所有権を含む財産関係につきましては、北方四島の返還が実現する過程で、関係省庁とも協議の上、適切に対応してまいりたいと存じております。

○福山哲郎君 所有権を行使できない状況にもかかわらず、我が国はお金を立てて物を建てたんですか。我が国の固有の領土なんですよ、これは。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 支援委員会、少し御説明をさせていただきたいと思いますが、支援委員会は、受益諸国におけます市場経済への移行を目指す改革を支援するための活動を行う機関でございますが、支援委員会の設置に関する協定は、支援が行われる対象の地理的範囲を、このような受益諸国の領土に限定してございません。
 我が国が支援委員会を通じまして北方四島に対してこれまで行ってまいりました支援は、我が国固有の領土でありますが、ロシアの不法な占拠の下にある北方四島に現在居住している受益諸国のロシアの国民に対して、あくまでも人道的観点から行われたものでございます。政府といたしましては、支援委員会を通じて北方四島への支援を行うことは以下の理由から北方領土についての我が国の立場を害することにはならないというふうに考えております。

 まず、本協定に基づく北方四島支援は、本協定に基づき設立された国際機関であります支援委員会が実施するものでございまして、あくまで法的観点に限っていえば、我が国政府自身が行う支援とは異なるものでございます。

 次に、北方四島支援はロシア政府に対して行っているものではなく、あくまで人道的な観点から、我が国固有の領土であるにもかかわらずロシアの不法な占拠の下にある北方四島に現在居住しているロシアの国民に対して行われているものでございます。

 更に申し上げますと、ロシアとの間においては、一般的緊急人道支援の枠組みを定める口上書におきまして、これらの訪問及び協力に関連するいかなる問題についても、いずれか一方の側の法的立場を害するものとみなしてはならないとの明確な確認をしているところでございます。

○福山哲郎君 受益諸国のためにと最初おっしゃられたんです。さっき発言の中では、行政、相手の政府に対して行っているわけではなくというふうに、後で議事録調べていただいたら分かりますが、そういうふうに言っているんですね。

 更に言うと、支援委員会が実施するとおっしゃっているんですが、私が先ほどから事業の中身について言ったときに、局長は何回も何回も、前回の質問のときからも日本政府が決定できると何回も言っているんです。いいですか。日本政府が決定したんでしょう、要請が来ていないんだから、この発電所とムネオハウスは。違うんですか。そうあなたはずっと言ってきたはずです。

○政府参考人(齋藤泰雄君) この実施は日本政府が決定したものでございます。

○福山哲郎君 日本政府が決定して実施するんだったら、国有地か私有地か答えてください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、北方四島におけます土地の所有権が消滅していないのは当然でございますけれども、戦後半世紀以上にわたりましてロシアの不法占拠が続いておりますために、不幸にもその所有権を行使できない状況が続いているわけでございます。

 そのような状況の中にあって、今回の支援の対象となる場所が我が国の国有地か私有地かについては確認していないということでございます。

○福山哲郎君 政府が決定したのに確認しなくていいんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) その点につきましては、いずれにいたしましても、土地の所有権を含む財産関係については北方四島の返還が実現する過程で関係省庁とも協議の上適切に対応してまいりたいと、こういうふうに申し上げた次第でございます。

○福山哲郎君 いや、百歩譲って議論を進めたとして、例えば私有地だったとしましょう、そこが。元々の元島民が持っておられる土地だったとしたら、それは確認をするべきなんじゃないんですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 北方四島におけます土地の所有権につきましては、戦後半世紀以上にわたりましてロシアの不法占拠が続いているため、不幸にもその所有権を行使できない状況が続いているということを先ほど申し上げたわけでございます。

 そのような状況にかんがみまして、支援委員会によります支援を実施するに当たりましては、ロシアにより不法占拠される以前の所有権を確認することはいたしませんでしたけれども、いずれにいたしましても、土地の所有権を含む財産関係につきましては、北方四島の返還が実現する過程で関係省庁とも協議の上適切に対応してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。

○国務大臣(川口順子君) 先ほど来局長が御説明を申し上げていますことについてでございますけれども、これは大事なことは、ロシアの国民、北方四島に住んでいるロシアの人たちを人道的な見地から支援をするということでございます。それでそのときに、これは先ほど局長が申しましたように不法占拠をロシアがしているということでございますので、当然に我が国としてはロシアの国内法に基づく所有権の有効性については認めることはできないということでございます。他方で、ロシアの方からいきますと、我が国が国内法に従った手続を取るということについては、北方四島に関するロシアの立場と相入れないということでこれを認めることができないという、そういう状況に現実問題としてございます。

 ということでございますので、人道上の支援を北方四島に住んでいるロシアの人たちにしなければいけないという立場に立ったときに、両方それぞれ立場を主張するとこれは成り立ちませんので、そういう意味で、先ほど局長が申しましたように、この財産的な問題については、これが返還が実現される過程でこれは整理をしていくということで、現在特に日本の法律に基づいて国有地であるか私有地であるかということを確認しないで、実際に援助ができるという観点からこれを行っているということでございます。

○福山哲郎君 お互いの主張がぶつかっている、主権と主権がぶつかっていると。お互いがお互いの権利をぶつかっていて、我々は北方領土については固有の主権を主張している、それは分かります。ロシアの国内法を認めるわけにもいかない、それも分かる。人道的な援助をしなければいけないのも分かる。

 でも、それを、人道的な援助をしなければいけないからといって、そこの手続を全部捨象して、さらに、いいですか、締約国から支援が来ていないにもかかわらずこういうものを作るのは道義的に問題ないんですか。

○国務大臣(川口順子君) これは、今後返還が実現する過程できちんと整理をしていかなければいけないということだと思います。

 道義的に問題がなかったかという御質問でございますけれども、日本として独自にこれをチェックするということをやるということであればやれたかもしれないという気はいたします。

 ただ、いずれにいたしましても、これについては、その後の返還の過程で整理をしなければいけない問題であると思います。

○福山哲郎君 いや、違うんですよ。
 実は、外務省はその法律的に問題があるの分かっていたんです。だから、河野大臣は、この仮設の診療所を作ることを平成七年の五月の沖縄北方の委員会でずっと答弁されているわけです。この帰属に関する問題が北方領土問題であるということをきちんと今後の交渉の指針も含めて明示していきたいと。現状固定化、既成事実化ということについては、やはり基本的な問題意識、懸念を持たざるを得ないという表現で使っているけれども、これは法的に問題があるから箱物は作れないんだということを外務省は分かっていたんですよ。

 だから、ずっと診療所については仮設だ仮設だと言っていたじゃないですか。仮設だから、あくまでも地震に対する援助なんですよ。だから問題ないんですよ。医療援助や物資を渡すのは問題ないんですよ。診療所だって、仮設にしていたのは、外務省はこの法的な問題があるのが分かっているから仮設にしたのが、いつの間にディーゼルの発電所やムネオハウスが建てるようになったんですか。その法的な根拠をどこで日本政府が覆したのか、はっきりしてください。(発言する者あり)

○政府参考人(齋藤泰雄君) 恐縮でございますが、もう一度整理して御説明させていただきたいと思います。

 北方四島におきます土地につきましては、戦後半世紀以上にわたりましてロシアの不法占拠が続いており、残念ながらその間に、我が国国内法に基づく所有権とは全く関係なく、ロシアの国内法にのっとりました所有権に基づく占有状況が作り上げられてしまったわけでございます。

 我が国としましては、北方四島を不法占拠しているロシアの国内法に基づく所有権の有効性を認めることはできず、支援委員会による支援を実施するに当たっても、支援委員会がロシア国内法に従って事実上設定されているにすぎない所有権を容認することにつながるような手続を取ることは認めておりません。

 一方、ロシアは、支援委員会が北方四島において支援を実施するに際して、我が国国内法に従った手続を取ることは北方四島に関するロシアの法的立場と相入れないため、認めておりません。

 このように、北方四島がロシアの不法占拠の下にあるという特殊な事情を踏まえ、ロシア及び我が国の双方が締約国となっている国際機関たる支援委員会による支援を北方領土問題に関するいずれの国の法的立場をも害することなく実施するためには、一方の国の国内法に基づく法律関係に基づく措置を取ることができないために、支援委員会として我が国国内法に基づく土地の所有権の確認を行いこれにのっとって土地に係る法律関係を整理することはしなかったものでございます。

○委員長(真鍋賢二君) 政治的な立場に立って、植竹副大臣から御答弁願います。

○副大臣(植竹繁雄君) ただいまの先生の御質問でございますが、確かに、何に基づいて支払われたかと、端的に言えば。要請があったとか支援委員会のことがあったかというお尋ねだと思いますが、その点につきましては更に詳細検討いたしまして……(発言する者あり)検討と、ちょっとお待ちください。調査いたしまして、私も実は、私もその点については現在のところははっきりいたしておりませんので、更にそれを調べまして……

○福山哲郎君 何を調べるんですか。

○副大臣(植竹繁雄君) その状況を。なぜそういうことでなされたか。

○福山哲郎君 それは支援委員会のことですか。

○副大臣(植竹繁雄君) はい。委員がお尋ねあったように、その、要請に基づいて払われたかどうか、支払いについてどうであったかということを……

○福山哲郎君 支払いですか。

○副大臣(植竹繁雄君) 払われたこと。

○福山哲郎君 そんなこと今聞いていないんですけれども。

○副大臣(植竹繁雄君) それじゃ、私の取り違いでございます。じゃ、それは、取り違いでございましたら、今の問題は撤回させていただきます。

○委員長(真鍋賢二君) それじゃ、川口外務大臣。

○国務大臣(川口順子君) 政府といたしまして北方領土の住民に対してやってきています支援は、現地のニーズを踏まえまして、あくまでも緊急人道の観点から行うものでございまして、ロシアによる北方領土の不法占拠を助長し、その固定化、既成事実化を通じる可能性のあるものなど北方領土問題に関する我が国の基本的な立場を損なうような可能性のある支援については認められないという政府の立場は全く変わりございません。

 それで、ディーゼル発電施設、色丹島、択捉島、国後島に供与したディーゼル発電施設のことでございますけれども、これは、現地の電力供給事情が非常に厳しくて人道上緊急であるという観点からこれを当面の必要を満たすものとして供与したものでございまして、先ほど申し上げましたような我が国の基本的な立場、これを害するものには当たらないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、その日本の立場というのは変わらないということを確認をさせていただきます。

○福山哲郎君 いや、川口大臣、苦しい答弁なんですよ。先ほど私が申し上げた仮設診療所で鈴木宗男議員が、要は、申し上げたように、国のメンツから領土返還を主張しているにすぎず実際には島が返還されても国として何の利益にもならないと言ったその西田参事官との会合で、西田参事官はちゃんと説明されているんです。ロシアによる北方領土の不法占拠との関係で日本側の法的な問題があるから仮設で診療所を建てるのは厳しいと説明しているんです。そうしたら鈴木宗男議員はこういう言い方をして、ずずうっとこれから先、仮設の診療所から始まって、ディーゼル、更に言えばムネオハウスに行っているわけです。

 だから、これだけ外務省は法的な問題があるというのが分かっていて、仮設の診療所を建て、ディーゼル発電を建て、そしてムネオハウスを建てるに至ったということは、政策の変更がなければできないんです。だから、そこはいつ変わったのかと、お答えくださいと申し上げているんです。

○政府参考人(齋藤泰雄君) このプレハブ診療所についてでございますが、先ほども大臣から御答弁ございましたように、北方領土住民に対して我が国政府が行ってきております支援は、現地のニーズを踏まえ、あくまでも緊急人道の観点から行うものでございまして、ロシアによる北方領土の不法占拠を助長し、その固定化、既成事実化に通じる可能性のあるものなど北方領土問題に関する我が国の基本的立場を損なうような可能性のある支援については認められないとの政府の立場に変わりはございません。

 このプレハブ仮設診療所も、特に北海道東方沖地震後の色丹島におけます医療事情の著しい悪化を受けまして、緊急人道の観点から当面の必要を満たすために供与したものでございまして、我が国の基本的立場を害するものには当たらないと思います。

○国務大臣(川口順子君) どの時点で政策変更がなされたかというお尋ねかと思いますけれども、診療所について言いますと、私どもの資料では、これについての省内での協議が開始されましたのが四月の十一日でございます。平成七年の、における北方四島の住民支援についての協議開始が、これプレハブ診療所建設も含みましてでございますが、四月十一日で、これは、ということでございます。

 他方で、西田当時の欧亜局参事官が鈴木議員を訪問されたというのは六月の十三日でございまして、この時点でいろいろな条件について議論をしていたということではありましょうが、北方四島の住民支援にプレハブ診療所建設を入れるということ自体は四月の初めの外務省の中で始まった協議の中で既に入っていたということでございますので、特にこの五月三十一日辺りの国会答弁でこれが変わったと、そういうことではないわけでございます。

○福山哲郎君 この法的な問題に対してどう整理を付けているのかと聞いているわけです。

 所有権がはっきりしない状況の中で、調べもしないで建てたわけです。それがもし元島民の所有権のある土地だったらどうするんですか。国有地かどうか、私有地か答えてくださいと申し上げているんです。

○国務大臣(川口順子君) 委員の問題意識はよく理解いたしますけれども、これは二つの違った問題だと御理解をいただきたいと思います。

 まず、国有地か私有地かということについては、先ほど申しましたように、これはどちらかの法律にのっとって議論をするとこれ自体が成り立たなくなるものですから、これ自体は、返還の過程で財産権の処理については相談、話をするということでやっているわけでございまして、ロシアの法律に従ってロシアの何々通りの何番地に何を建てるということでは私どもとして、日本としてはのめませんし、逆に日本の何々町で何とかということではロシアがのめない。したがって、これは私有地、国有地ということについては調べないで、それでこの議論は、建てるということについては、財産権は返還の過程で議論をしますということでございます。

 それから、もう一つの話として、これを、どこの時点で診療所を作るということが決まってその判断が変わったかということについては、先ほど申しましたように四月の十一日、平成七年四月十一日の段階で、外務省で協議を始めた段階で、これは、診療所というのは、プレハブ診療所というのは入っておりまして、それでそれが様々な議論を、五月三十一日にございましたけれども、そこで変わったということではないということで御理解をいただきたいと思います。二つの違った問題だということです。

○福山哲郎君 そうしたら、私有財産を、特殊な事情があるからといって私有財産の場合に相手の了解も得ないで国は建てられるわけですね。(発言する者多し)委員長、やじが多いから言いますが、これ大問題なんですよ。

 じゃ百歩譲って、ロシア側にこのディーゼル発電所とさらにはムネオハウスを建てたことを主権を主張する理由としてはしないというようなことはロシアに確認しているんですね。

○政府参考人(齋藤泰雄君) この支援を実施するに当たりまして、この半世紀以上にわたりましてロシアが不法に占拠している我が国固有の領土であるという状況を踏まえまして、ロシアの法律を前提として支援を実施することは日本側としてはできない。他方、ロシア側にもロシア側の立場があって、日本の法律を前提とする実施は受け入れることができない。こういう状況の中で、支援委員会という国際委員会を通ずる支援を実施するということにしたわけでございます。

 なお、先ほど福山先生お尋ねの、恒久的な施設を造ることが我が国の固有の領土の返還との関係で問題があるのではないかという御指摘につきましては、一般国際法上、領土の返還を求めている我が国が恒久的な施設を造るということは不利に作用するということはあると思いますけれども、それが我が国の国内法を、この場合は北方四島でございますけれども、四島に及ぼすかどうかということとは、これはまた別の問題だと思います。

○国務大臣(川口順子君) 今おっしゃった点につきましては、我が国がロシア政府に出しました口上書におきまして、「いずれの一方の側の法的立場をも害するものと見なしてはならない。」ということをロシアの外務省に口上書で言っております。

○福山哲郎君 いつですか。いつ。それはいつのことですか。

○委員長(真鍋賢二君) 川口外務大臣。──川口外務大臣。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 平成……

○委員長(真鍋賢二君) 欧州局長、指名はしておりません。
 川口外務大臣。

○国務大臣(川口順子君) 今私が持っております口上書は一九九八年の九月十八日付けのものでございます。この前に同じような文言があったかどうかということは、ちょっと今承知しておりません。

○福山哲郎君 一九九八年九月の十八日は、何のときに交わされた口上書ですか。

○政府参考人(齋藤泰雄君) 地震がございましたのを踏まえまして人道支援を四島に実施したわけでございますけれども、この四島に対します緊急人道支援の実施に関連して交わした口上書でございます。

○福山哲郎君 ということは、ディーゼル発電やムネオハウス等の問題について交わした口上書ではありませんね。

○政府参考人(齋藤泰雄君) この枠組みに基づきまして四島に対する緊急人道支援を実施してきているというふうに御理解賜りたいと思います。

○福山哲郎君 ちなみに、今、九八年九月十八日とおっしゃいましたが、ムネオハウスができたのは九九年ですし、ディーゼル発電ができたのは二〇〇〇年ですから、それに関してはどういうふうに判断すればいいでしょうか。今までのは恒久的な施設ではないんです、今おっしゃられた九八年の九月十八日は。

○委員長(真鍋賢二君) 川口外務大臣。──大臣、指名しましたけれども。

○国務大臣(川口順子君) 個々の支援の口上書にその今申し上げた文言が入っているということでございます。(「個々のものに入っている」と呼ぶ者あり)個々の口上書にそれが入っているということです。

○福山哲郎君 それは絶対おかしいんです、だって九七年からロシア政府の代表は出てきていないと言っているわけですから。

 いいですか、クリル地区からの要請に基づいて物をやっているということをずっと言っていて、政府が決定できると言っていて、何でロシア政府と口上書が個々の事案についてあるんですか。全然理屈通らないじゃないですか、委員長。

○国務大臣(川口順子君) これは、毎年と言っていいかと思いますけれども、日本が外務省の、ロシアの外務省に対して出しているということでございまして、これが入っているということです。

○福山哲郎君 いや、それはあくまでも外交の話でございまして、今私は支援委員会の事業について議論をしているわけです。

○国務大臣(川口順子君) これはこの支援のために日本側から入域をするという、入るということですね、それの都度に口上書を出しておりまして、それにそういうことが書いてあるということで支援の内容を、そこで支援を行うために入るわけですから、それを含んでいるということでございます。

 もう少し先ほど読み上げたことを言いますけれども、「本件手続きにより行われる訪問及び協力は、」と書いてございまして、これら訪問及び協力に関連するいかなる問題についてもいずれの一方の側の法的立場をも害するものとはみなしてはならないということでございます。

○福山哲郎君 いいですか、いかなる法的な、訪問と協力はとおっしゃった、それは要は政府間同士の話です。

 今申し上げているのは支援委員会と日本政府の話で、我が国の政府はこの間私に政府が決定をしたと言っているわけです。政府が決定をしてやっている事業ですから、私は国内法が担保しなきゃいけないんじゃないかと申し上げているわけです。分かります。

 で、現実問題として申し上げますと、これ実は大問題で、恒久的な施設を作ってはいけないということは外務省ずっと分かっていた。分かっていたから仮設ということにこだわったわけです。それはお互いの領土を主権する、我々は四島、固有の領土を主張しているわけだから、それを向こうに我々が国有地か私有地かも判断しないで勝手に建てるということをしたときに、ロシア側からその主権を主張されたら困るということは外務省は分かっていたからこそ今日の証人喚問で出てきたこの中で参事官はちゃんと説明しているわけですよ、鈴木宗男議員に。

 いいですか、二島先行返還論をずっと九七年から支援委員会が開かれていない中でずっとやられてきたことというのは、ある意味でいうと大変な国益を侵す重大な案件だと私は思っています。

 これは財務大臣、国有地だった場合には国有財産法で幾ら国が物を建てるにしても財務大臣との協議が要りますよね。それでよろしいですよね。

○政府参考人(寺澤辰麿君) お答えいたします。
 国有財産法第十四条におきまして、各省各庁の長は、行政財産とする目的で土地又は建物を取得しようとするとき、普通財産を行政財産としようとするとき、行政財産の種類を変更しようとするときなどにおきまして国有財産の総括大臣であります財務大臣に協議しなければならないとされているわけでございます。

 ただ、この現在問題となっております施設につきましては、国有財産ではございませんので、国有財産法第十四条の協議の対象とはならないと理解してございます。

○福山哲郎君 じゃ、国有財産でなければ何ですか。(「財務大臣」と呼ぶ者あり)いいですよ、今の理財局長で結構ですよ。理財局長で結構です。

○政府参考人(寺澤辰麿君) お答えいたします。
 当該施設は国有財産ではないというふうな外務省の見解でございます。

○福山哲郎君 だから何かと聞いているんです。答えてない、答えてない。

○政府参考人(齋藤泰雄君) これは支援委員会が北方領土の住民に対しまして供与した施設でございまして、それが日本の国有財産か私有財産かということとはまた別であろうと思います。

○福山哲郎君 答えてない。(発言する者あり)

○委員長(真鍋賢二君) 齋藤欧州局長、的確なる答弁をしてください。

○政府参考人(齋藤泰雄君) この所有は現地行政府に所属するものと理解しております。

○福山哲郎君 現地行政府に所属するの。
 いや、私が言っているのは土地の話ですから。施設とは言っていません。土地の話です。

○政府参考人(齋藤泰雄君) これは我が国固有の領土でございますから、所有権が消滅していないということは先ほども申し上げたとおりでございますけれども、半世紀以上にわたりますロシアの不法占拠のためにロシア側の言わば法律が適用されていると、こういうことでございまして、この土地が日本の国有地か私有地かということについては、残念ながらこれを確認することはできないと、こういうことでございます。(発言する者あり)

○委員長(真鍋賢二君) 福山哲郎君。

○福山哲郎君 だって、答えてない。

○委員長(真鍋賢二君) 質問で、質問で。もう一度再質問してください。

○福山哲郎君 これは大臣がお答えに。

○国務大臣(川口順子君) 国有地か私有地かというお尋ねだと思いますけれども、これについては確認はできないということでございます。

○福山哲郎君 この予算委員会の審議で幾つか明らかになりました。
 支援委員会は開かれていなかった。で、当該、国からの要請が必要だというにもかかわらず、国からの要請はなく、クリル地区の方からの、ひどい話では口頭での要請で支援が続けられた。

 更に言えば、外務省は元々、河野大臣とはずっと、この法的な問題があるから恒久的な施設は造るのは問題だということをずっと外務省は分かっていたからこそ、西田参事官に鈴木宗男議員との会話の中で話をしたら、鈴木宗男議員は、先ほどから何回も言っているように、実際に島が返還されても国として何の利益にもならない、そうであればというような話をして、恒久的な施設をどんどんどんどん、支援委員会が開かれていないにもかかわらず造る算段をされた。更に言えば、それに対して我が国の外務省は全く誠実な答弁もしてくれない、明らかにならない、こういった状況で支援委員会が続けられた。更に言えば、これを放置してきた政府の責任というのは、大変私は大きいというふうに思います。

 この予算委員会を通じて、更に私は、鈴木宗男議員の証人喚問も要求をさせていただきたいと思いますし、佐藤優分析官の参考人質疑も要求させていただきたいと思いますし、もうとにかく分からないことだらけだということを申し上げて、江田議員に替わりたいと思います。(拍手)

>>江田質問


2002/03/11

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